TOP > 国内特許検索 > ウェアラブル足底圧力提示装置 > 明細書

明細書 :ウェアラブル足底圧力提示装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4787957号 (P4787957)
公開番号 特開2007-061260 (P2007-061260A)
登録日 平成23年7月29日(2011.7.29)
発行日 平成23年10月5日(2011.10.5)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
発明の名称または考案の名称 ウェアラブル足底圧力提示装置
国際特許分類 A63B  23/04        (2006.01)
A61H   1/02        (2006.01)
A63B  24/00        (2006.01)
A61H   3/00        (2006.01)
FI A63B 23/04 Z
A61H 1/02 R
A63B 24/00
A61H 3/00 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2005-249198 (P2005-249198)
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年3月2日 国立大学法人豊橋技術科学大学主催の「平成16年度 学生研究プロジェクト研究成果報告会」において文書をもって発表
審査請求日 平成20年8月28日(2008.8.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】宇野 洋二
【氏名】香川 高弘
審査官 【審査官】瀬津 太朗
参考文献・文献 特開平09-276348(JP,A)
特開2004-141275(JP,A)
特開平10-179793(JP,A)
特開2000-316827(JP,A)
特許第2606813(JP,B2)
調査した分野 A61H 3/00
A63B 24/00
A63B 23/04
A61H 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の圧力センサを配置した足底圧センサと、この足底圧センサにより計測される足底圧力信号を皮膚刺激信号に変換するコントローラと、このコントローラから出力される皮膚刺激信号により皮膚感覚を提示する皮膚感覚提示手段とを備え、
前記コントローラは、前記足底信号をデジタル信号の足底圧力データに変換するAD変換機能と、足底圧力信号の変化に対応する皮膚刺激信号の変化量を設定するためのゲインのパラメータおよび靴の内圧のために生じる圧力を除去するためのオフセットのパラメータを設定する刺激設定用ボリュームと、前記足底圧力データならびに前記ゲインおよびオフセットのパラメータに基づいて皮膚刺激データを計算する演算機能と、前記皮膚刺激データのデジタル信号をアナログ信号の皮膚刺激信号に変換するDA変換機能とを備えるコントローラであり、
前記皮膚感覚提示手段は、皮膚に接触するように装着され、前記DA変換機能から出力される皮膚刺激信号に応じた皮膚刺激を発生させる皮膚感覚提示手段である
ことを特徴とする足底圧提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の足底圧力提示装置において、足底内の異なる部位に作用する足底圧力の大きさを、それぞれ異なる位置に取り付けられた皮膚感覚提示手段を用いて足底圧力を提示することを特徴とする足底圧力提示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の足底圧力提示装置において、装置全体を身体に着用することが可能であることを特徴とする足底圧力提示装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、足底圧感覚に障害のある運動障害者が行う歩行運動において、足底圧力を提示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
足底圧感覚の低下または失調を有する障害者(足底圧感覚障害者)は、歩行において転倒に強い不安を持っている。このため歩行訓練などのリハビリテーションでは療法士が補助を行うなど転倒事故に細心の注意が払われている。歩行者の転倒は,足底圧力の中心位置と密接に関係することから、足底圧感覚障害者が転倒を予期し、回避するためには足底圧力に関する情報を,足底圧感覚障害者にリアルタイムに認知させるための手段が必要である。
【0003】
足底圧感覚障害者に,足底圧力を,視覚または聴覚によって,リアルタイムに提示する装置はすでにいくつか存在する。( 特許文献1,特許文献2)
【0004】
足底圧感覚障害者に,足底圧力を提示する手段として、特許文献1に記載の視覚的な提示を用いた場合、歩行を行いながら足底圧力の提示を目視することが難しい点が問題である。また、特許文献2に記載の聴覚による提示法では、提示音が周囲への騒音となること、提示音と足底圧力の時間空間的パターンとの対応関係が歩行者にわかりにくいこと、および提示音の設定にパーソナルコンピュータを使用するために、装置の設置場所とケーブルにより使用者の運動が制限されることが問題である。すなわち、従来の装置ではリハビリテーションや訓練においてのみ適用可能であり、日常生活への適用が困難であるという問題点がある。
【0005】

【特許文献1】特開平07-204235号公報
【特許文献2】特開2004-141275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、足底圧感覚障害者の歩行において、足底圧力の情報を皮膚感覚提示手段によってリアルタイムに提示し、かつ、位置によって異なる足底圧力の弁別が容易であり、さらに、足底圧力情報の提示が周囲に影響を与えず、装置全体を使用者の身体に着用することが可能であり、使用者の運動範囲に制限のない足底圧力提示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、複数の圧力センサを配置した足底圧センサと、この足底圧センサにより計測される足底圧力信号を皮膚刺激信号に変換するコントローラと、このコントローラから出力される皮膚刺激信号により皮膚感覚を提示する皮膚感覚提示手段とを備え、前記コントローラは、前記足底信号をデジタル信号の足底圧力データに変換するAD変換機能と、足底圧力信号の変化に対応する皮膚刺激信号の変化量を設定するためのゲインのパラメータおよび靴の内圧のために生じる圧力を除去するためのオフセットのパラメータを設定する刺激設定用ボリュームと、前記足底圧力データならびに前記ゲインおよびオフセットのパラメータに基づいて皮膚刺激データを計算する演算機能と、前記皮膚刺激データのデジタル信号をアナログ信号の皮膚刺激信号に変換するDA変換機能とを備えるコントローラであり、前記皮膚感覚提示手段は、皮膚に接触するように装着され、前記DA変換機能から出力される皮膚刺激信号に応じた皮膚刺激を発生させる皮膚感覚提示手段であることを特徴とする足底圧提示装置である。
【0008】
第2の発明は,該足底圧力提示装置において、足底内の異なる部位に作用する足底圧力の大きさを、それぞれ異なる位置に取り付けられた皮膚感覚提示手段を用いて足底圧力を提示することを特徴とする足底圧力提示装置である。
【0009】
第3の発明は,該足底圧力提示装置において、装置全体を身体に着用することが可能であることを特徴とする足底圧力提示装置である。
【0010】
本発明の動作原理について図1および図2に基づいて説明する。足底圧感覚障害者が歩行する際の足底圧力を足底圧センサ004により計測する。コントローラ003では、図2に示すように、足底圧力信号005をAD変換006によりマイクロコンピュータに取り込み、刺激量計算007において、足底圧力データから皮膚刺激データを計算する。皮膚刺激データからDA変換008により、皮膚刺激信号009に変換する。皮膚刺激信号から皮膚感覚刺激装置002によって足底圧力情報を提示する。
【0011】
足底圧センサ004において、爪先や踵など、足底に複数の圧力センサが取り付けられる。足底に取り付けられる圧力センサの位置と対応して、複数の皮膚感覚刺激装置002が感覚機能の障害の及ばない体部位に取り付けられる。爪先や踵などの足底の場所によって異なる足底圧力の大きさをそれぞれ異なる部位に提示される皮膚刺激により提示する。
【0012】
提示刺激の大きさの設定する方法としてボリュームを用い、AD変換機能、DA変換機能および演算機能を有するマイクロコンピュータを用いて、身体に着用可能な足底圧力提示装置を構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により足底圧感覚障害者は、足底圧力の大きさを,感覚障害のない部位に提示される皮膚感覚提示刺激の大きさから,リアルタイムに認知することができる。爪先や踵などで異なる足底圧力の大きさを、異なる部位に取り付けられた皮膚感覚刺激装置を用いて,提示することにより、異なる位置の足底圧力の大きさを弁別することができるとともに、提示刺激量のパラメータ設定を,簡便化することが可能になる。足底内における複数の位置の圧力を,異なる部位に取り付けられた皮膚感覚刺激装置によって提示することにより、マイクロコンピュータを使用したコンパクトな足底圧力提示装置を,構成することができる。本発明によれば、足底圧力提示装置を,身体に取り付けることができ、訓練やリハビリテーションのみにとどまらず、日常的に利用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
足底圧感覚障害者の歩行中において、爪先と踵に作用する足底圧力を,それぞれ前腕と上腕に取り付けられた振動モータによって励起される皮膚振動感覚によって,提示する装置の実施形態を図3に基づいて説明する。ただし、皮膚感覚による提示法は,皮膚圧感覚による提示法や,電気刺激により励起される皮膚痛覚による提示法であってもよく,なお,これらの方法に限定されるものではない。
【0015】
本発明に係る足底圧力提示装置の入力は,踵と爪先に作用する荷重と、提示刺激の大きさの設定において必要なパラメータであるゲインとオフセットの設定用ボリュームの大きさである。足底圧力提示装置の出力は,左右の爪先と踵に作用する足底圧力の大きさを提示するモータの振動である。
【0016】
靴の中に挿入された足底圧センサ104は,コントローラ103と接続される。足底圧センサにかかる荷重の大きさに応じて変化するセンサの出力電圧は、アンプフィルタ機能を持つアナログ回路とマイクロコンピュータ011のAD変換を通してディジタル信号に変換され、マイクロコンピュータ011のメモリに格納される。このデータを圧データと呼ぶこととする。刺激設定用ボリューム010の大きさに応じて変化する電圧値が、計測用アンプフィルタ機能を持つアナログ回路とマイクロコンピュータ011のAD変換を通してディジタル信号に変換され、マイクロコンピュータ011のメモリに格納される。このデータをパラメータデータと呼ぶこととする。
【0017】
マイクロコンピュータ011の演算機能を用いて、圧データ(Vin)から刺激データ(Vout)を次式により計算する。
【数1】
JP0004787957B2_000002t.gif
ここで、VgainとVoffsetは刺激設定用ボリューム010から入力されるゲインとオフセットのパラメータデータを表わす。Vthは使用者の振動の知覚閾値を生成する電圧値に対応するデータを表わす。
【0018】
ここで、本発明に係る足底圧力提示装置の入力と出力の間の,ゲインとオフセットのパラメータの作用について説明する。ゲインは圧力の変化に対する刺激データの変化の大きさを設定するパラメータである。ゲインのパラメータにより、使用者の体重の違いによって生じる刺激量の違いを調整することができる。オフセットは靴の内圧のために生じる圧力のオフセットを除去するためのパラメータである。オフセットのパラメータにより、足が地面から離れ、圧力が0となったときに刺激量を0として、足の接地状態をより明確に提示することができる。なお、刺激のゲインとオフセットはあらかじめマイクロコンピュータのプログラムに記述してもよい。
【0019】
次に、知覚閾値のパラメータVthの作用について説明する。振動や圧力などの刺激に対するヒトの皮膚感覚は、ある一定の刺激強度(知覚閾値)を超えたときに初めてその刺激に反応する。したがって、知覚閾値のパラメータを使用者の皮膚感覚刺激閾値に相当する電圧値に設定することにより、足の接地状態をより明確に提示することができるとともに、圧力の大きさと刺激量との関係がより明確になる。本実施形態では知覚閾値のパラメータはプログラムにあらかじめ記述しているが、ゲインとオフセットのパラメータと同様にボリュームにより調整可能としてもよい。
【0020】
計算された刺激データがマイクロコンピュータのDA変換によってディジタル値からアナログ値に変換される。コントローラのアナログ出力はモータ駆動用のアンプを備えるアナログ回路を通して、振動モータ102に供給される。供給される電圧値の大きさに応じて振動の回転数が制御され、振動の周波数および振幅の変化から、足底圧感覚障害者は皮膚感覚を通して足底圧力を認知する。
【実施例1】
【0021】
図4に足底圧力提示装置の製作例のひとつを示す。振動モータ102と足底圧センサ104がコントローラと接続される。また、コントローラの電源として電池013がコントローラと接続される。
【0022】
図5に当該の足底圧力提示装置のコントローラ部の製作例のひとつを示す。コントローラ部は刺激設定ボリューム010とマイクロコンピュータ011および電池のコネクタ014と振動モータのコネクタ015と足底圧センサのコネクタ016を備える。
【0023】
図6に当該の足底圧力提示装置の足底圧センサの製作例のひとつを示す。足底圧センサは爪先部の2箇所に取り付けられた圧センサ017と踵に取り付けられた圧センサ018を備え、靴に挿入することが可能な形態とする。
【0024】
図7に当該の足底圧力提示装置の振動モータの取り付け例のひとつを示す。踵の圧データを提示する振動モータが上腕サポータ019に取り付けられる。一方、爪先の圧データを提示する振動モータが前腕サポータ020に取り付けられる。振動モータの取り付けられた上腕サポータ019および前腕サポータ020が使用者の腕に取り付けられる。
【0025】
図8に当該の足底圧力提示装置を身体に取り付けた例のひとつを示す。足底圧センサを靴底に挿入し、コントローラを大腿部に取り付け、上腕サポータと前腕サポータを腕に取り付けることによって、装置全体を身体に取り付けられる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、足底圧感覚の低下もしくは失調を有する障害者が使用する医療、福祉機器として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る足底圧力提示装置の作用を示す図である。
【図2】本発明に係る足底圧力提示装置のコントローラにおける信号処理のフローチャートである。
【図3】本発明に係る足底圧力提示装置の実施形態の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る足底圧力提示装置の実施例を示す図である
【図5】図4に示す足底圧力提示装置におけるコントローラ部を示す図である。
【図6】図4に示す足底圧力提示装置における足底圧センサの例を示す図である。
【図7】本発明に係る足底圧力提示装置の実施例における皮膚感覚提示装置を腕に取り付けた例を示す図である。
【図8】本発明に係る足底圧力提示装置を身体に装着した例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
001 足底圧感覚障害者
002 皮膚感覚提示装置
003 コントローラ
004 足底圧センサ
005 足底圧力信号
006 A/D変換
007 刺激量計算
008 D/A変換
009 皮膚刺激信号
010 刺激設定用ボリューム
011 マイクロコンピュータ
012 振動モータ
013 電池
014 電池のコネクタ
015 振動モータのコネクタ
016 足底圧センサのコネクタ
017 爪先部の圧力センサ
018 踵部の圧力センサ
019 振動モータ取付け用の上腕サポータ
020 振動モータ取付け用の前腕サポータ
021 振動モータとコントローラを結ぶコード
022 足底圧センサとコントローラを結ぶコード
102 振動モータ
103 コントローラ
104 足底圧センサ



図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7