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明細書 :化学・物理現象検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4852752号 (P4852752)
公開番号 特開2007-278760 (P2007-278760A)
登録日 平成23年11月4日(2011.11.4)
発行日 平成24年1月11日(2012.1.11)
公開日 平成19年10月25日(2007.10.25)
発明の名称または考案の名称 化学・物理現象検出装置
国際特許分類 G01N  27/414       (2006.01)
H01L  21/337       (2006.01)
H01L  29/808       (2006.01)
FI G01N 27/30 301Z
H01L 29/80 C
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願2006-103253 (P2006-103253)
出願日 平成18年4月4日(2006.4.4)
審査請求日 平成21年4月2日(2009.4.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】澤田 和明
【氏名】飛沢 健
【氏名】渡邊 恵弥
個別代理人の代理人 【識別番号】100095577、【弁理士】、【氏名又は名称】小西 富雅
審査官 【審査官】黒田 浩一
参考文献・文献 特開平06-037555(JP,A)
特開平07-066389(JP,A)
特開平02-005441(JP,A)
特開2002-098667(JP,A)
特開平10-332423(JP,A)
特開昭58-220574(JP,A)
調査した分野 G01N 27/26-49
H01L 21/339-29/762
H01L 27/14-27/146
特許請求の範囲 【請求項1】
第1導電型で、被検査溶液のイオン濃度に対応してポテンシャルが変化するセンシング部と、
前記第1導電型と極性の異なる第2導電型で、前記センシング部に蓄積された電荷を累積するフローティングディフュージョン部と、
前記フローティングディフュージョン部に蓄積された電荷に基づく出力信号からフローティングディフュージョン部の電位変化を検出することにより、前記被検査溶液のイオン濃度を特定する接合型電界効果トランジスタ(Junction Field-Effect Transistor:JFET)とを備える化学・物理現象検出装置であって、
前記センシング部に蓄積された電荷を、前記センシング部から前記フローティングディフュージョン部に転送する転送電極を備え、
前記センシング部及び前記フローティングディフュージョン部を配列する方向と直交する方向で、前記フローティングディフュージョン部の1方の外側に前記接合型電界効果トランジスタのソース領域を配置し、前記直交する方向で、前記フローティングディフュージョン部の他方の外側に前記接合型電界効果トランジスタのドレイン領域を配置し、
前記フローティングディフュージョン部が前記接合型電界効果トランジスタのゲート電極と一体に形成されることにより、前記フローティングディフュージョン部が前記接合型電界効果トランジスタのゲート電極を兼用し、
前記フローティングディフュージョン部に蓄積された電荷に基づく前記出力信号を、配線を経ることなく、前記接合型電界効果トランジスタのゲート電極に直接入力することにより前記被検査溶液のイオン濃度を特定することを特徴とする化学・物理現象検出装置。
【請求項2】
前記フローティングディフュージョン部に残留する電荷を除去するために、前記フローティングディフュージョン部からリセット部に電荷を転送するリセット電極を備えることを特徴とする請求項1記載の化学・物理現象検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は化学・物理現象検出装置(以下、単に「検出装置」又は「装置」と略することがある)に関する。
【背景技術】
【0002】
化学・物理現象検出装置として特許文献1、特許文献2及び特許文献3等に記載のものが知られている。
例えばイオン濃度を測定するためにこの化学・物理現象検出装置を利用する例を図1に示す。
シリコン基板10にはn型ドープ領域11、13とp型ドープ領域15が形成されている。p型ドープ領域15にはゲート絶縁膜としてシリコン酸化膜19が積層されている。このシリコン酸化膜19の上に2つのゲート電極22及び24が設けられている。図中の符号23はシリコン窒化膜である。シリコン窒化膜23の上に液槽21が設けられ、その中にイオン濃度(pH)の測定対象となる水溶液32が充填される。符号26は参照電極であり、一定の電位に保たれている。
基板のn領域11、ゲート電極22、ゲート電極24及びn領域13はそれぞれ、端子ID、ICG、TG及びFDに接続され、所定の電位が所定のタイミングで印加される。その結果、基板のn領域11が電荷供給部1となり、ゲート電極22に対応する部分が電荷注入調節部2となり、シリコン窒化膜23に対応する部分がセンシング部3となり、ゲート電極24に対応する部分が障壁部4となり、n型領域13がフローティングディフュージョン部5となる。
【0003】
このように構成された従来例の累積型化学・物理現象検出装置の理論上の動作を図2に示す。
スタンバイ状態S1においてフローティングディフュージョン部5には電荷が蓄積されている。この電荷は前回までの単位検出動作により蓄積されたものである。このとき、溶液32のイオン濃度に対応してセンシング部3のポテンシャルが変化している。
次に、電荷供給部1に印加する電位を下げることによってセンシング部3へ電荷をチャージする(ステップ3)。その後、電荷供給部1の電位を上げることによって、電荷注入調節部2によりすり切られた電荷がセンシング部3に残される(ステップ5)。そして、ステップ7においてこの残された電荷をフローティングディフュージョン部5へ蓄積する。
ステップ1~ステップ7で示される単位検出動作を繰返すことによりフローティングディフュージョン部5に電荷が累積される。これにより、図3に示すように、検出の感度が高くなる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平10-332423号公報
【特許文献2】特開2002-98667号公報
【特許文献3】特願2005-69501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討によれば、図1に示した装置を用いて単位検出動作を繰返しても、図3に示すように、感度を増大させることが困難であった。それを解決するために、特許文献3に記載する累積型化学・物理現象検出装置が発明された。
しかしながらこれまでの発明ではフローティングディフュージョン領域の電位を検出するために金属-酸化膜-半導体型電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor: MOSFET) のゲート電極にフローティングディフュージョンが接続され、ソースフォロア回路でフローティングディフュージョン領域の電位を読み出していた。
【0006】
本発明者らはこれまでの調査研究の結果から、MOSFETにはf分の1雑音と呼ばれる雑音が存在し、累積型化学・物理現象検出装置の当該感度(S/N比)の低下の原因になることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は次の構成を採用する。
(1)第1導電型で、被検査溶液のイオン濃度に対応してポテンシャルが変化するセンシング部と、前記第1導電型と極性の異なる第2導電型で、前記センシング部に蓄積された電荷を累積するフローティングディフュージョン部と、前記フローティングディフュージョン部に蓄積された電荷に基づく出力信号からフローティングディフュージョン部の電位変化を検出することにより、前記被検査溶液のイオン濃度を特定する接合型電界効果トランジスタ(Junction Field-Effect Transistor:JFET)とを備える化学・物理現象検出装置であって、前記センシング部に蓄積された電荷を、前記センシング部から前記フローティングディフュージョン部に転送する転送電極を備え、前記センシング部及び前記フローティングディフュージョン部を配列する方向と直交する方向で、前記フローティングディフュージョン部の1方の外側に前記接合型電界効果トランジスタのソース領域を配置し、前記直交する方向で、前記フローティングディフュージョン部の他方の外側に前記接合型電界効果トランジスタのドレイン領域を配置し、前記フローティングディフュージョン部が前記接合型電界効果トランジスタのゲート電極と一体に形成されることにより、前記フローティングディフュージョン部が前記接合型電界効果トランジスタのゲート電極を兼用し、前記フローティングディフュージョン部に蓄積された電荷に基づく前記出力信号を、配線を経ることなく、前記接合型電界効果トランジスタのゲート電極に直接入力することにより前記被検査溶液のイオン濃度を特定することを特徴とする化学・物理現象検出装置。
【0008】
(2)前記フローティングディフュージョン部に残留する電荷を除去するために、前記フローティングディフュージョン部からリセット部に電荷を転送するリセット電極を備えることを特徴とする(1)記載の化学・物理現象検出装置。
【0009】
このように構成された発明によれば、累積型化学・物理現象検出装置からの信号が出力されるフローティングディフュージョンの電位変化をJFETのゲートに入力し、JFETに流れる電流の変化により検出を行う。累積型化学・物理現象検出装置からの出力信号は周波数が低いものであるが、JFETにはf分の1雑音が発生しないため、JFETに流れる電流にf分の1雑音が混入することなく、雑音が減少し、感度が上昇する。
【0010】
実施例の装置の模式図を図4、そのレイアウト図を図5に示す。累積型化学・物理現象検出装置のフローティングディフュージョン領域がJFETのゲート接続されており、さらにそのJFETに負荷の役割を担う、もう一つのJFETが直列に接続されている。負荷の役割を担うJFETは適当な直流電圧が印加される。この2つのJFETの間から出力を得るようになっている。この2つのJFETはソースフォロア回路と呼ばれるものであり、センサ出力であるフローティングディフュージョンの電位変化を電圧として出力する役割を担う。
【0011】
図5にそのレイアウト図を示す。たとえばp型のシリコン基板を用い、インプットダイオード、フローティングディフュージョン、リセットダイオードはn型の不純物拡散層により構成されている。センシングエリアには、pHセンサ感応膜であるSi3N4膜が150nm堆積されている。もちろんTa2O5やAl2O3、ダイヤモンドなどの薄膜でもpH感応膜としての役割をはたす。さらに、グルコースオキシダーゼ膜をSi3N4膜の上部に積層する事でグルコースセンサとしても働く。
フローティングディフュージョン領域はJFETのゲート電極に配線材料でつながれている。JFETのゲート電極はn型ドーピングされた拡散層で作製されている。もちろん、JFETのゲート電極とフローティングディフュージョン領域はn型拡散層で作製できるため、両者をかねることで、配線材料を用いなくても良い。
チャンネルはp型シリコン拡散層で構成され、基板はn型シリコン基板を用いる。
【0012】
第2の実施例としてそのレイアウト図を図6に示す。JFETのゲート電極と累積型化学・物理現象検出装置のフローティングディフュージョン領域が兼ねあわせた構造になっており別々にくるものに比べて高感度化、小型化が期待できる。通常、累積型化学・物理現象検出装置を作製する工程では実施例2のデバイスを作ることはできないため、通常の作製プロセスに加えてp型拡散層をあらかじめ作製する必要がある。これを実現するために、新たにフォトリソ工程を追加してp型拡散層を作製した。このようにして作製した実施例のセンサは、JFETによりf分の1雑音を抑制できた効果はもちろんのことである。実施例1ではフローティングディフュージョンとゲート電極を配線で結ぶ構造であるため、配線による寄生容量が増加してしまい外部からの雑音が重畳され、さらに寄生容量のため実質上フローティングディフュージョンの容量が増加して感度が低下していた。これらの問題を実施例2の構造では、フローティングディフュージョンを一体化することで解決することが可能である。
【0013】
図7に作製したJFETの顕微鏡写真を示す。また図8にそのJFETの電気特性を示す。ゲート電圧を大きくすることにより電流が減少することが分かる。また、作製したこのJFETを実際に雑音特性を測定した結果を図9に示す。同時に作製したMOSFETの雑音特性も同時に示す。この測定結果から分かるようにJFETを用いることで雑音が100分の1程度に下がることが分かる。
【0014】
センシング部3の面積は10000μm、フローティングディフュージョン部5の面積は1500μmとした。
【0015】
図10は図4に示す装置を縦10個、横10個並べてなるセンサチップを示す。各装置は同一の水溶液の中に浸漬されており、各装置からの信号は、信号の大きさに対応した色若しくは模様として画像表示できる。
また、図11には実施例の装置を縦32個、横32個並べ、かつ縦方向及び横方向にそれぞれシフトレジスタを付加したアレイセンサを示す。
【0016】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0017】
この発明により、たいへん容易に高感度なpHの計測ができるようになり、電気的な専門の知識を持たない研究者(医学部、生物学者、バイオ研究者など)にこのセンサが使いやすくなるため産業上の利用価値が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来例の累積型化学・物理現象検出装置の構成を示す断面図である。
【図2】累積型化学・物理現象検出装置の理論上の動作を示す。
【図3】累積型化学・物理現象検出装置の理論上の出力特性を示す。
【図4】本発明の累積型化学・物理現象検出装置の構成を模式的に示す。
【図5】本発明の累積型化学・物理現象検出装置のレイアウトを模式的に示す。
【図6】第2の累積型化学・物理現象検出装置の実施例を示す
【図7】本発明に用いたJFETの写真を示す。
【図8】本発明に用いたJFETの電気的特性を示す。
【図9】本発明に用いたJFETの雑音特性を従来のMOSFETの雑音と併せて示す。
【図10】実施例の累積型化学・物理現象検出装置をアレイ化したセンサチップを示す。
【図11】実施例の累積型化学・物理現象検出装置を集積した他のセンサチップの例を示す。
【符号の説明】
【0019】
1 電荷供給部
2 電荷注入制御部
3 センシング部
4 障壁部
5 フローティングディフュージョン部
10 基板
11、13 n領域
15 p領域
19 シリコン酸化膜
22、24、62 電極
23 シリコン窒化膜
26 参照電極
32 水溶液
50 pチャネルJFET
51 pチャネルJFETで作製した負荷部
52 出力
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図7】
8
【図10】
9
【図11】
10