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明細書 :共重合体およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5306815号 (P5306815)
登録日 平成25年7月5日(2013.7.5)
発行日 平成25年10月2日(2013.10.2)
発明の名称または考案の名称 共重合体およびその製造方法
国際特許分類 C09K   3/00        (2006.01)
C08F 290/06        (2006.01)
FI C09K 3/00 Z
C08F 290/06
請求項の数または発明の数 7
全頁数 12
出願番号 特願2008-533122 (P2008-533122)
出願日 平成19年8月30日(2007.8.30)
国際出願番号 PCT/JP2007/066867
国際公開番号 WO2008/029698
国際公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
優先権出願番号 2006242889
優先日 平成18年9月7日(2006.9.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年8月30日(2010.8.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
発明者または考案者 【氏名】吉田 絵里
【氏名】今村 ひろ子
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
審査官 【審査官】中野 孝一
参考文献・文献 国際公開第2004/018535(WO,A1)
特開2002-311577(JP,A)
調査した分野 C09K3/00、
C09K3/18、
B01F17/00-17/56、
C08F290/06、
A61K8/81、
A61K8/90、
A61K47/32、
A61Q19/00、
C09D133/16、
C12N9/56
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと下記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーとからなる共重合体であって、前記フッ素含有モノマーと前記親水性高分子含有モノマーの割合をモル比で99:1~90:10とした共重合体を、超臨界ないしは液体二酸化炭素に投じ、前記共重合体中の親水性高分子のセグメントの凝集力を利用することにより得られる高分子界面活性剤。
【化1】
JP0005306815B2_000009t.gif
ここで、上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、xは1~4の整数、yは5~15の整数である。
【化2】
JP0005306815B2_000010t.gif
ここで、上記一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基である。nはエチレングリコールユニットの重合度で、10~400の整数である。
【請求項2】
請求項1記載の高分子界面活性剤において、前記共重合体にタンパク質を投入し、前記共重合体が前記タンパク質を取り込むことによって、前記超臨界ないしは液体二酸化炭素に前記タンパク質を可溶化させることを特徴とする高分子界面活性剤。
【請求項3】
請求項2記載の高分子界面活性剤において、前記タンパク質を取り込む形態としては、前記共重合体中の親水性高分子のセグメント、及びフッ素を含有しないポリマー主鎖がタンパク質を取り囲むことにより、前記超臨界ないしは液体二酸化炭素にタンパク質を可溶化させることを特徴とする高分子界面活性剤。
【請求項4】
請求項1記載の高分子界面活性剤において、酵素を投入し、前記共重合体が酵素を取り込むことによって、前記超臨界ないしは液体二酸化炭素に酵素を可溶化させることを特徴とする高分子界面活性剤。
【請求項5】
請求項4記載の高分子界面活性剤において、前記酵素を内包した前記共重合体を水に投入することにより前記酵素の活性が発現されることを特徴とする高分子界面活性剤。
【請求項6】
有機溶媒中に、下記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと下記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーをモル比で99:1~90:10の割合で投じて共重合体を得て、該共重合体を超臨界ないしは液体二酸化炭素に投じ、前記共重合体中の親水性高分子のセグメントの凝集力を利用することを特徴とする高分子界面活性剤の製造方法。
【化3】
JP0005306815B2_000011t.gif
ここで、上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、xは1~4の整数、yは5~15の整数である。
【化4】
JP0005306815B2_000012t.gif
ここで、上記一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基である。nはエチレングリコールユニットの重合度で、10~400の整数である。
【請求項7】
請求項6記載の高分子界面活性剤の製造方法において、前記有機溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドないしN,N-ジメチルアセトアミドであることを特徴とする高分子界面活性剤の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体およびその製造方法に係り、特に、超臨界ないしは液体二酸化炭素中で機能する高分子界面活性剤およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以前から、電子写真や印刷用および塗料の分野で用いられる撥水処理剤には、フッ素系高分子が用いられてきたが、フッ素系高分子は溶ける溶媒がフッ素系有機溶剤に限られているため、その表面処理方法には大量のフッ素系有機溶剤が用いられている。フッ素系有機溶剤は生体への毒性が高いばかりでなく、オゾン層破壊物質であるため、近年その使用が大幅に規制もしくは禁止されている。また、フッ素系有機溶媒を使用する表面処理方法は、処理後に溶媒除去工程が必要である上、表面処理した高分子中に溶媒が残留するなどの不都合がある。
【0003】
一方、酵素の中でもタンパク質分解酵素は水分で酵素自体が分解して活性を失いやすいため、その安定性向上のニーズが高まっているが、撥水処理により安定性向上を図ろうとすると、(1)フッ素系溶媒へ投入すると酵素の活性が失われる、(2)撥水処理後に酵素の活性が発現し難い、などの問題があった。
【0004】
また、フッ素系(メタ)アクリレート100重量部、および粉体に対する反応基を有するモノマー1~50重量部を含んでなる共重合体で処理した化粧料用粉体(下記特許文献1)が開示されており、さらに、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)と塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)を含む単量体類(G)を重合して得られる共重合体(I)からなるフッ素系界面活性剤を含有するカラーレジスト組成物であって、単量体類(G)中の塩基性基含有エチレン性不飽和単量体(B)の含有率が5~70重量%であるカラーレジスト組成物(下記特許文献2)が開示されている。

【特許文献1】特開2000-290137号公報
【特許文献2】特開2004-109179号公報
【非特許文献1】新高分子実験化学2;高分子の合成-反応(1);付加系高分子の合成、高分子学会編-共立出版1995/06/15初版1刷発行
【発明の開示】
【0005】
本発明は、従来技術の問題点を解決できるタンパク質の抽出や撥水処理を行うことができる高分子界面活性剤およびその製造および処理方法を提供する。この方法は、酵素の活性を保持したまま酵素の撥水表面処理を可能にする。さらに、本発明は、タンパク質の抽出や撥水処理過程において、溶媒として水あるいは有機溶剤を用いないことで、処理後の溶媒除去工程ならびに廃溶媒処理工程が不要な処理方法を提供する。これにより、タンパク質の抽出や撥水処理工程を簡素化すると共に、環境負荷の少ない処理方法を提供することを目指す。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて、タンパク質の抽出や撥水処理工程を簡素化すると共に、環境負荷の少ない高分子界面活性剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕高分子界面活性剤において、下記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと下記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーとからなる共重合体であって、前記フッ素含有モノマーと前記親水性高分子含有モノマーの割合をモル比で99:1~90:10とした共重合体を、超臨界ないしは液体二酸化炭素に投じ、前記共重合体中の親水性高分子のセグメントの凝集力を利用することにより得られる高分子界面活性剤。
【化1】
JP0005306815B2_000002t.gif
ここで、上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、xは1~4の整数、yは5~15の整数である。
【化2】
JP0005306815B2_000003t.gif
ここで、上記一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基である。nはエチレングリコールユニットの重合度で、10~400の整数である。
【0009】
〔2〕上記〔1〕記載の高分子界面活性剤において、前記共重合体にタンパク質を投入し、前記共重合体が前記タンパク質を取り込むことによって、前記超臨界ないしは液体二酸化炭素に前記タンパク質を可溶化させることを特徴とする。
【0010】
〔3〕上記〔2〕記載の高分子界面活性剤において、前記タンパク質を取り込む形態としては、前記共重合体中の親水性高分子のセグメント、及びフッ素を含有しないポリマー主鎖がタンパク質を取り囲むことにより、前記超臨界ないしは液体二酸化炭素にタンパク質を可溶化させることを特徴とする。
【0011】
〔4〕上記〔1〕記載の高分子界面活性剤において、酵素を投入し、前記共重合体が酵素を取り込むことによって、前記超臨界ないしは液体二酸化炭素に酵素を可溶化させることを特徴とする。
【0012】
〔5〕上記〔4〕記載の高分子界面活性剤において、前記酵素を内包した前記共重合体を水に投入することにより前記酵素の活性が発現されることを特徴とする。
【0014】
〔6〕高分子界面活性剤の製造方法において、有機溶媒中に、下記一般式(1)で示されるフッ素モノマーと下記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーをモル比で99:1~90:10の割合で投じて共重合体を得て、該共重合体を超臨界ないしは液体二酸化炭素に投じ、前記共重合体中の親水性高分子のセグメントの凝集力を利用することを特徴とする。
【化1】
JP0005306815B2_000004t.gif
ここで、上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、xは1~4の整数、yは5~15の整数である。
【化2】
JP0005306815B2_000005t.gif
ここで、上記一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基である。nはエチレングリコールユニットの重合度で、10~400の整数である。
【0015】
〔7〕上記〔6〕記載の高分子界面活性剤の製造方法において、前記有機溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドないしN,N-ジメチルアセトアミドであることを特徴とする。
本発明者らは鋭意検討してきた結果、フッ素含有モノマーと親水性高分子含有モノマーからなる共重合体を超臨界ないしは液体二酸化炭素中に投入することで、タンパク質を可溶化できるばかりでなく、酵素に撥水処理を行うことができ、さらに、この酵素を水に投入することにより酵素の活性が発現されることを見出し、本発明の高分子界面活性剤を完成した。
【0016】
本発明においては、下記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと下記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーの共重合体を得る。この共重合体を超臨界ないしは液体二酸化炭素中に投入することにより、高分子界面活性剤を得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に基づいて高分子界面活性剤を製造する装置の一例を示す図である。
【図2】本発明にかかる高分子界面活性剤としての機能が発現されるメカニズムの説明図である。
【図3】本発明の実施例1に関する酵素を内包している高分子界面活性剤の電子顕微鏡写真(図面代用写真)である。
【図4】本発明の共重合体の合成方法を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
以下、本発明を図1を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明に基づいて構成された設備の一例であり、本発明に基づく高分子界面活性剤の製造設備はこれに限るものではない。
【0021】
まず、下記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと下記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーとからなる共重合体を用意する。
【化1】
JP0005306815B2_000006t.gif
ここで、上記一般式(1)中、R1 は水素原子またはメチル基、xは1~4の整数、yは5~15の整数である。
【化2】
JP0005306815B2_000007t.gif
ここで、上記一般式(2)中、R2 は水素原子またはメチル基である。nはエチレングリコールユニットの重合度で、10~400の整数である。
【0022】
上記した一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと上記した一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーの共重合体とタンパク質分解酵素であるズブチリシンを、温度制御装置5のついた高圧体積可変セル6に入れて蓋8をした後、ボンベ1に詰められた二酸化炭素を加圧用ポンプ2を経由して高圧体積可変セル6に供給する。高圧体積可変セル6内を所定の温度(20~65℃、好ましくは35~45℃)および所定の圧力(5~25MPa、好ましくは10~20MPa)に保つ。温度制御は温度制御装置5を使って行う。また、圧力は圧力計3を参照しながら加圧用ポンプ2、バルブ9を操作して所定値に保つ。この際、高圧体積可変セル6内は攪拌器(攪拌子)7などにより攪拌されるのが望ましい。所定の温度・圧力に1時間保った後、ハンドル10を回転させて高圧体積可変セル6内の容量を増加させ、圧力を1~3MPa、好ましくは2MPa下げる。バルブ11を開放して減圧するとともに、二酸化炭素とともに噴射されるズブチリシンを内包した高分子粉体を捕集する。なお、4は高圧体積可変セル6の温度を計測する温度計である。
【0023】
ここで、該共重合体が高分子界面活性剤としての機能を発現するメカニズムを図2に基づいて説明する。
【0024】
前記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと前記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーの共重合体21の鎖側は、パーフルオロアルキル基22と親水性高分子セグメント23である。この共重合体21とタンパク質もしくは酵素24を超臨界ないしは液体二酸化炭素中に投入すると、親水性高分子セグメント23がファンデルワールス(van der Waals)力により非共有的にタンパク質もしくは酵素24と結合し、共重合体21の分子間に親水性高分子セグメント23を介した架橋25が生じる。一方、架橋25にかかわらないパーフルオロアルキル基22は外側に位置するので、図2に示すような高分子凝集体(高分子微粒子)26となり、タンパク質もしくは酵素24を超臨界ないしは液体二酸化炭素中に可溶化させることができる。このようにパーフルオロアルキル基22で覆われたタンパク質や酵素24には強固な撥水性があり、化粧品組成物や皮膚保湿剤として用いられた場合、皮膚にべとつかない、いわゆるさらさら感を与えることができ、且つ新陳代謝で生成するタンパク質由来の老廃物を分解できるメリットがある。また、電子写真の現像材、印刷用インク、塗料等の構成材料として用いられた場合、自浄作用のある材料として利用できる。
【0025】
本発明によって製造される高分子微粒子は目的に応じて、共重合体を構成するモノマーの種類や組成比を選択することができるばかりでなく、親水性高分子と相互作用する化合物の種類を選択することもできる。すなわち、親水性化合物又は超臨界ないしは液体二酸化炭素に親和性の低い化合物を用いることで、これらの化合物の表面を撥水性にすることができる。例えば、触媒、接着、吸着、脱臭、光エネルギー変換・蓄積、光捕集、磁性、伝導性などの機能をもった化合物に撥水表面処理を施すことができる。
【0026】
前記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと前記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーの共重合体にはランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体による共重合体等があげられる。これらの共重合体の重合方法は、たとえば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等既に公知の方法により可能である(上記非特許文献1:新高分子実験化学2;高分子の合成-反応(1);付加系高分子の合成、高分子学会編-共立出版1995/06/15初版1刷発行参照)。
【0027】
また、前記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーと前記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーの割合は、生成する高分子微粒子の粒度調整の観点から、モル比で99:1~90:10が望ましい。反応条件としては前記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーの割合が大きいほど高い反応圧力を必要とする。そのフッ素含有モノマーの割合が99:1より多くなると、界面機能に支障をきたす。また、90:10より少ないと、過大な反応圧力が必要となり望ましくない。
【0028】
前記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーにおけるCH2 基の数xは、1~4が適当であるが、好ましくは1あるいは2である。xが5以上になると超臨界二酸化炭素中への溶解が悪くなり、前記架橋反応に支障をきたす。
【0029】
また、CF2 基の数yは5~15の整数が適当であるが、好ましくはCF2 基の数yは7~10である。CF2基の数yが5より小さいと十分な粒子形成が得られず、CF2 基の数yが15より大きいと共重合体をつくる際、溶媒への溶解性が悪くなるので不都合を生じる。
【0030】
前記一般式(1)で示されるモノマーの具体例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限るものではない。
【0031】
一般式(1)で示されるモノマーの具体例は次の通りである。
【0032】
【化3】
JP0005306815B2_000008t.gif

【実施例1】
【0033】
前記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーにおいて、R1 が水素原子、xが2、yが8の化合物、すなわち前記化合物No. 7と、前記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーにおいてR2がメチル基、エチレングリコールユニットの重合度nが19の化合物を、モル比で90:10の割合でラジカル共重合させて得られたランダム共重合体30ミリグラムとズブチリシン3.5ミリグラム、及び攪拌器(攪拌子)7を、図1に示すのと同型の、内容量3.75ミリリットルに合わせた高圧体積可変セルに仕込み、冷却した二酸化炭素を封入した。続いて温度を35℃、圧力を15~25MPa程度に上げ、1時間攪拌した。その後、ハンドル10を回転させて高圧体積可変セル内の容積を増加させることによって圧力を2.2MPa下げ、バルブ11からガスを抜いて圧力を下げるとともに生成物8ミリグラムを捕集した。得られた生成物を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図3に示す。図3は本発明により高分子界面活性剤がズブチリシンの周囲を取り囲んで超臨界二酸化炭素に可溶化していることを示している。 次に、実施例1で用いた共重合体の合成方法について、図4を参照しながら説明する。図4は本発明の共重合体の合成方法を示しており、前記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマーにおいて、R1が水素原子、xが2、yが8の化合物、すなわち、前記化合物No. 7の2. 47グラムと、前記一般式(2)で示される親水性高分子含有モノマーにおいて、R2がメチル基、エチレングリコールユニットの重合度nが19の化合物、すなわち、エチレングリコールの重合度が19である片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコールメチルエーテルの0.588グラムを有機溶媒としてのN、N-ジメチルホルムアミド5ミリリットルに溶解させる。重合開始剤としてのAIBN(アゾビスイソブチロニトル)26ミリグラムを添加して脱気封管後、60℃で43時間重合した。生成物をヘキサンに沈殿させ、さらに、水に再沈殿を繰り返すと、本発明の共重合体を合成することができた。なお、有機溶媒としてのN、N-ジメチルホルムアミドに代えて、N,N-ジメチルアセトアミドを用いるようにしてもよい。
【0034】
また、本発明によれば、撥水表面処理剤や薬物輸送組成物、化粧品組成物、皮膚保湿剤等の構成材料としての用途が見込まれる。
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0036】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0037】
撥水性の高分子でタンパク質の表面を覆うことができ、揮発性の超臨界流体を製造の媒体に用いるため乾燥工程が不要であり、かつ廃水が発生せず、環境にやさしい技術を提供することができる。また、従来法と異なり、有機溶媒を用いないので、撥水処理したタンパク質中に残存溶媒の心配がないなど、従来の製造法の問題点のほとんどを解決することができる。
【0038】
さらに、本発明は、表面処理に水や有機溶剤を用いる方法ではないので、残存溶剤の心配がないなど、環境にやさしい技術を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の高分子界面活性剤およびその製造方法は、特に、撥水表面処理剤や薬物輸送組成物、化粧品組成物、皮膚保湿剤等の構成材料としての用途が見込まれる高分子界面活性剤及びその微粒子として利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3