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明細書 :高分子担持金クラスター触媒を用いた非対称エステルの製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5580613号 (P5580613)
公開番号 特開2011-162453 (P2011-162453A)
登録日 平成26年7月18日(2014.7.18)
発行日 平成26年8月27日(2014.8.27)
公開日 平成23年8月25日(2011.8.25)
発明の名称または考案の名称 高分子担持金クラスター触媒を用いた非対称エステルの製法
国際特許分類 C07C  67/40        (2006.01)
B01J  31/26        (2006.01)
C07C  69/54        (2006.01)
C07C  69/612       (2006.01)
C07C  69/92        (2006.01)
C07C  67/44        (2006.01)
C07C  69/618       (2006.01)
C07D 213/807       (2006.01)
C07D 213/79        (2006.01)
C07C  69/78        (2006.01)
C07C  69/76        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 67/40
B01J 31/26 Z
C07C 69/54 Z
C07C 69/612
C07C 69/92
C07C 67/44
C07C 69/618
C07D 213/807
C07D 213/79
C07C 69/78
C07C 69/76 Z
C07C 69/76 A
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 2
全頁数 11
出願番号 特願2010-024324 (P2010-024324)
出願日 平成22年2月5日(2010.2.5)
審査請求日 平成23年3月29日(2011.3.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】宮村 浩之
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】水島 英一郎
参考文献・文献 特開2004-181359(JP,A)
特開2007-237116(JP,A)
特開2002-361086(JP,A)
特開2000-154164(JP,A)
特開2007-301503(JP,A)
調査した分野 C07C 67/44
C07C 69/76
C07C 69/78
C07C 69/92
C07C 69/612
C07C 69/54
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
溶媒を加えない液相で、高分子担持金クラスター触媒の存在下で、(a)R-CHOH及び(b)R'-OH(式中、R及びR'は、互いに異なり、R'は、水酸基を0~2個有していてもよく、Rは、メチル基、メトキシ基又は臭素原子を有していてもよいフェニル基、フェニル基を有していてもよいビニル基、ナフチル基、ピリジル基、又はCHCHCHPhを表し、R'は、直鎖であっても分枝であってもよく、アルキル基又はポリアルキレンオキシド基を表す。)で表される2種の化合物を、酸素雰囲気かつ室温で混合することにより、R-COO-R'(式中、Rは、R'は、上記と同様を表す。)で表される非対称エステル化合物を製造する方法であって、該高分子担持金クラスター触媒が、金の平均径が20nm以下のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成り、該スチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有し、該架橋性官能基としてエポキシ基と水酸基を有する高分子であり、該スチレン系高分子のエポキシ基と水酸基とを架橋させて成る、非対称エステル化合物の製法。

【請求項2】
前記スチレン系高分子が、下式(化3)
【化1】
JP0005580613B2_000015t.gif
(式中、l、m及びnは構成モノマーのモル比を表し、(l+m+n)に対して、mは5~60%、nは10~60%、ただし、m+nは100%以下、lは残部であり、oは0~5の整数、pは1~6の整数を表す。)で表される請求項1に記載の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、酸化反応用の高分子担持金クラスター触媒を用いて2種の異なるアルコールから非対称エステルを製造する方法に関する。

【背景技術】
【0002】
金コロイド、金ナノクラスターは生物学、触媒、ナノテクノロジーなど様々な分野に置いて注目され、活発に研究されてきた。
従来エステルを合成するには主に、カルボン酸とアルコールと化学量論量の縮合剤を用いたり、強塩基性条件下で加熱を必要としていた(非特許文献1)。
本願発明者らは、安定で長期保存や回収再使用が可能な高分子担持金クラスター触媒を開発し、この触媒をアルコールのカルボニル化合物への酸素酸化反応等の酸化反応に利用する方法を開発している(特許文献1)。
【0003】

【特許文献1】特開2007-237116
【非特許文献1】Catal. Lett. 2007, 116, 35-40
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来金触媒を用いたアルコールのエステル化反応はこれまでに開発されているが、出発原料を両方ともアルコールとした場合加温条件が必要であった(非特許文献1)。
また、従来の触媒を用いて複数のアルコール官能基が存在する場合、無差別にエステル化が進行するのが一般であった。
そのため、本発明は、室温条件下、回収再使用可能な触媒を用いて、複数の異なるアルコールから非対称エステルを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが既に開発した高分子担持金クラスター触媒(特許文献1等)を、複数の異なるアルコールを用いてエステル化反応を行なうと、非対称エステルが効率良く生成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、溶媒を加えない液相で、高分子担持金クラスター触媒の存在下で、(a)R-CHOH及び(b)R'-OH(式中、R及びR'は、互いに異なり、R'は、水酸基を0~2個有していてもよく、Rは、メチル基、メトキシ基又は臭素原子を有していてもよいフェニル基、フェニル基を有していてもよいビニル基、ナフチル基、ピリジル基、又はCHCHCHPhを表し、R'は、直鎖であっても分枝であってもよく、アルキル基又はポリアルキレンオキシド基を表す。)で表される2種の化合物を、酸素雰囲気かつ室温で混合することにより、R-COO-R'(式中、Rは、R'は、上記と同様を表す。)で表される非対称エステル化合物を製造する方法であって、該高分子担持金クラスター触媒が、金の平均径が20nm以下のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成り、該スチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有し、該架橋性官能基としてエポキシ基と水酸基を有する高分子であり、該スチレン系高分子のエポキシ基と水酸基とを架橋させて成る、非対称エステル化合物の製法である。

【発明の効果】
【0006】
本発明の方法を用いることにより、酸化次数の少ないアルコールから直接エステルを合成することができる。さらに回収、再使用可能な触媒を用いて、大気に豊富に存在する分子状酸素を酸化剤として、室温、常温といった穏和な条件下反応を行うことができるため、エネルギー効率、E factorに優れている。さらに、ポリオールのモノエステル化も可能になることから、複雑な化合物を合成する際、複数存在するアルコール官能基の選択的な保護も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で用いる触媒は、金のナノサイズクラスターが、スチレン系高分子との相互作用によりポリマーに微小クラスターとして担持された形態を有する。
金をスチレン系高分子に担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば上記したごとき構造を有する高分子と金前駆体とを、a)適当な極性の良溶媒に溶解し還元剤と混合した後適当な極性の貧溶媒で凝集させる、b)適当な非極性又は低極性の良溶媒に溶解し還元剤と混合した後適当な極性の貧溶媒で凝集させる、ことにより行われる。
金クラスターはスチレン系高分子の芳香環との相互作用により担持されている。
【0008】
尚、極性の良溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などがあり、非極性又は低極性の良溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使用できる。極性の貧溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなどがあり、非極性の貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用できる。金クラスターを架橋性ポリマーに担持する際の、ポリマーの濃度は用いる溶媒やポリマーの分子量によっても異なるが、約5.0~200 mg/mL、好ましくは10~100 mg/mlである。1価又は3価の金化合物は、ポリマー1gに対して、0.01~0.5 mmol、好ましくは0.03~0.2 mmol使用する。還元剤は、還元に必要な量の1~10当量使用するが、例えば1価の金化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元する場合の水素化ホウ素ナトリウムは、金化合物の0.5~5倍モルが好適である。還元に必要な温度及び時間は金化合物や還元剤の種類によるが、通常は0℃~50℃の間、好ましくは室温で、1~24時間で行われる。相分離する際の貧溶媒は、良溶媒に対して1~10(v/v)倍量、好ましくは2~5倍量使用し、0.5~5時間程度で滴下する。
【0009】
金前駆体としては、1価又は3価の金化合物を用いる。このような金化合物として、ハロゲン化金、ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体が挙げられる。ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体として、AuCl(PPh)が挙げられる。
【0010】
このような金化合物を還元剤を用いて還元することにより、ナノサイズの金クラスターがスチレン形高分子に担持される。このような還元剤として、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物又は水素化ケイ素化合物、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム又はボランを用いることができる。
【0011】
本発明のスチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとした高分子であり、その主鎖又はベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有する。
この架橋性官能基を有する親水性側鎖は、親水性を有する架橋性官能基のみから成るものであっても、親水性側鎖の主鎖に架橋性官能基が付いたものでもよい。
架橋性官能基の一方は、エポキシ基である。
もう一方の架橋性官能基は水酸基である。
親水性側鎖の主鎖としては、比較的短いアルキル基、例えば、炭素数が1~6程度のアルキレン基であってもよいが、-R(OR-、-R(COOR-、又は-R(COOR(OR-(式中、Rは共有結合又は炭素数1~6、好ましくは共有結合又は1~2のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立して炭素数2~4、好ましくは2のアルキレン基を表し、u、v及びzは1~10の整数、wは1又は2を表す。)で表される主鎖をもつものが親水性であるため好ましい。このような好ましい主鎖として、-CH(OC-や-CO(OC-等が挙げられる。
【0012】
このようなスチレン系高分子として、例えば、下式(化2)
【化2】
JP0005580613B2_000002t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化3)
【化3】
JP0005580613B2_000003t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に5~60%含み、下式(化4)
【化4】
JP0005580613B2_000004t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化5)
【化5】
JP0005580613B2_000005t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に10~60%含み、かつこれらの合計が100%以下となるように含み、更にこれらの合計が100%未満の場合には残部としてスチレンモノマーを含むモノマー混合物を共重合して得られたスチレン系高分子が挙げられる。
【0013】
好ましいスチレン系高分子として、下記の高分子が挙げられる。
【化1】
JP0005580613B2_000006t.gif
式中、l、m及びnは構成モノマーのモル比を表し、(l+m+n)に対して、mは5~60%、好ましくは10~50%、nは10~60%、好ましくは20~50%であり、ただし、m+nは100%以下である。lは残部である。oは0~5の整数、pは1~6の整数を表す。
【0014】
このようなスチレン系高分子と上記の金前駆体を、上記のような適当な溶媒に還元剤と共に溶解し、その後、高分子に対する貧溶媒を加えることにより、金クラスター含有高分子を相分離させることができる。
この場合、金前駆体がまず還元を受ける。金前駆体に配位子が結合していた場合は、その際に配位子が脱離する。還元された金はクラスターとして高分子の疎水性部分に取り込まれ、高分子の芳香環から電子供与を受け微小な状態でも安定化される。
これに担持されている金クラスター1個の平均径は20nm以下、好ましくは0.3~20nm、より好ましくは0.3~10nm、更に好ましくは0.3~5nm、より更に好ましくは0.3~2nm、よりより更に好ましいのは0.3~1nmであり、数多くの金クラスターがミセルの疎水性部分(スチレン系高分子の芳香環)に均一に分散して存在していると考えられる。このように金属が微小なクラスター(微小金属塊)となっているため、高い触媒活性を示すことができる。
【0015】
このように金クラスターを担持したミセルは、架橋性官能基(エポキシ基と水酸基)により架橋することができる。架橋することにより金クラスターは安定化すると共に種々の溶剤に対して不溶化し、担持した金クラスターの漏れを防止することができる。
架橋反応により、金クラスターを担持した高分子鎖同士を結合させることや、架橋基を有する材料など適当な担体に結合させることもできる。
架橋反応は、加熱や紫外線照射、好ましくは加熱により架橋性官能基を反応させることにより行う。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。
【0016】
架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~200℃、好ましくは70~180℃、より好ましくは100~160℃である。
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは2~10時間である。
【0017】
本ナノサイズ金クラスターを、塊や膜としたり、担体に固定することもできる。ガラス、シリカゲル、樹脂などの担体表面の架橋性官能基(例えば、水酸基やアミノ基など)と金含有ポリマーの架橋性官能基とを架橋反応させると、本発明の高分子担持金クラスターは担体表面に強固に固定される。また、適当な樹脂やガラスの反応容器の表面に、ミセルの架橋性官能基を使用して、本発明の高分子担持金クラスター組成物を固定化すれば、より再使用が簡便な触媒担持反応容器として使用できる。
【0018】
このようにして得られた架橋型金含有ポリマーミセルは多くの空孔を有しており、適当な溶剤で膨潤して表面積を拡大する。また担持された金は数ナノメートル以下の非常に小さいクラスターを形成する。
【0019】
本発明においては、この高分子担持金クラスター触媒用いて、2種の異なるアルコール化合物から非対称エステル化合物を製造する。
これら2種の反応物は下式で表される。
(a)R-CHOH、及び
(b)R'-OH
式中、R及びR'は、互いに異なる。
Rは、メチル基、メトキシ基又は臭素原子を有していてもよいフェニル基、フェニル基を有していてもよいビニル基、ナフチル基、ピリジル基、又はCHCHCHPhを表す
R'は、直鎖であっても分枝であってもよく、アルキル基又はポリアルキレンオキシド基を表す。R'の炭素数は好ましくは2~5である。
'は、水酸基を0~2個有していてもよい
'はモノオール、ジオール又はトリオールであってもよい。
そのほか反応の際の添加剤として、塩基、好ましくはアルカリ金属の炭酸塩の添加が有効である。このような場合は、アルカリ金属炭酸塩の水溶液の使用が好適である。




【0020】
この反応は液相で行なわれる。
原料のアルコールを溶媒として、更に溶媒加えない。
基質の濃度は、通常0.05~5 mmol/ml、好ましくは0.1~2 mmol/mlである。
触媒の基質に対する当量は、通常0.1~10 mol%、好ましくは1~5 mol%である。
本発明の製法は、酸素雰囲気下で行われる。酸素雰囲気下とは酸素ガス分圧が0.2以上の条件をいい、空気中でも反応は進行する。
またこの反応は、室温で行なう。
反応のための操作としては、攪拌すればよく、それ以上の特別な操作を必要としない。
反応時間は、0.3~72時間である。
その結果、下式の反応により非対称エステル化合物が得られる。ここで非対称とは下式のエステルにおいてRとR'とが同一ではないことをいう。
【化6】
JP0005580613B2_000007t.gif

【実施例】
【0021】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
得られたエステル化合物の収率は内部標準を用いて下記条件のガスクロマトグラフィー(装置:島津製作所GC2010、カラム:GL Science, TCWAX)により定量した。標品であるイミン化合物との保持時間の一致を確認することで生成物を同定した。
GC測定条件:気化室温度250℃、FID: 250℃、キャリアガス:He、圧力:214.2kPa、全流量:90.6 mL/min、カラム流量:1.86 mL/min、線速度:30.8 cm/sec、パージ流量:3.0 mL/min、スプリット比:46.0、カラムプログラム:starting from 50.0℃, 10 min hold, 10℃/min to 220℃, 5 min hold、アニソールRT(Retention time):20.073 min、トルアルデヒドRT:25.454 min、パラトルイックアシッドメチルエステルRT:26.748、4-メチルベンジルアルコールRT:29.447
【0022】
製造例1
150 mLのTHFにソジウムハイドライド(60% in mineral oil, 5.2g)を加え、0℃にてその反応液にテトラエチレングリコール(25.4 g, 131 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後 1-クロロメチル-4-ビニルベンゼン(13.3 g, 87.1 mmol)を加え、さらに12時間撹拌を続けた。0℃に冷却しジエチルエーテルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。水相をエーテルで抽出した後、併せた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、テトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテルを得た(20.6 g, 66.2 mmol, 76%)。
1H NMR (CDCl3) δ 2.55-2.59 (m, 1H), 3.59-3.73 (m, 16H), 4.55 (s, 2H), 5.25 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 5.53 (d, 1H, J = 18 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 11.0, 17.9 Hz), 7.22-7.27 (m, 3H), 7.31-7.39 (m, 2H); 13C NMR δ 61.8, 69.5, 70.5, 70.69, 70.74, 72.6, 73.0, 113.8, 126.3, 128.0, 136.0, 137.1, 138.0.
【0023】
製造例2
スチレン(1.9 g、18 mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(特許文献1(WO2005/085307)に記載の方法に従って合成した。)(3.4 g、18 mmol)、製造例1で得たテトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル(5.6 g、18 mmol)、及び2,2'-アゾ(イソブチロニトリル)(164 mg、1 mmol)をクロロホルム(9 ml)に溶解させ、脱気操作後アルゴン中で室温、48時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、THF200 mlを加えた反応液をエーテル1l中に0℃にてゆっくりと滴下し、得られた沈殿物を濾過分取した後、メタノールにて十分に洗浄した。その後、室温にて減圧乾燥させ透明ガム状固体として下式の架橋性スチレン系高分子(高分子1)(8.2g、x:y:z:=28:34:38)を得た。コポリマーのモノマー成分の比はH-NMRにより決定した。
【化7】
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【0024】
製造例3
製造例2で得た高分子1(800 mg)と水素化ホウ素ナトリウム(7.0 mg, 0.18 mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(10 mL)溶液に、室温でクロロトリフェニルホスフィン金((C6H5)3P)AuCl)(STREM、30 mg、0.06 mmol)のTHF(2.0 ml)溶液を0.15時間手滴下し、24時間撹拌した。この混合液にヘキサン(20 ml)を加えた。析出した金クラスターを含むマイクロカプセル化高分子をろ別し、ヘキサン洗浄と減圧乾燥を行った。その後、無溶媒下150℃で5時間加熱して高分子を架橋させた。得られた固体を、THF(20 ml)続いて水(20 ml)で洗浄、減圧乾燥し、高分子固定化ナノサイズ金クラスターを842 mg得た。金の含有量はICPにより定量した(0.079 mmol/g)。得られた高分子固定化ナノサイズ金クラスターのTEMによる観察の結果、担持されたクラスターのサイズは大部分が1~5nmであった。このようにして得た高分子固定化ナノサイズ金クラスター触媒を以下「PI-Au」という。
【0025】
実施例1
本実施例では製造例3で得た触媒PI-Auを用いて下式の酸化反応を行った。
【化8】
JP0005580613B2_000009t.gif
4-メチルベンジルアルコール(30.5 mg, 0.25 mmol,東京化成・特級)、炭酸カリウム(17.3 mg,和光純薬・特級)、PI Au(0.072 mmol/g, 1 mol%)と2 mLのメタノール(和光純薬・特級を少量のNa存在下蒸留し、MS3Aを乾燥剤として保存したもの)と純水4μLを混合し、酸素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。触媒を吸引ろ過にて除去し、アニソールを内部標準物質(東京化成・特級)としてGCで定量分析を行った結果パラトルイックアシッドメチルエステル(34.5 mg, >99% yield)を得た。
ろ過によって回収された触媒は、フラスコに入れ、オイルバスで170℃、5時間無溶媒条件で加熱することによって、活性を維持したまま再利用が可能であった。
【0026】
実施例2~9
本実施例では、実施例1と同様に、表1に示すアルコールとメタノールから下式に従ってメチルエステルを合成した。なお、実施例2~4,7,9の反応物のアルコールはTCIの市販品を用い、実施例5,6,8の反応物のアルコールは和光純薬工業の市販品を用いた。
【化9】
JP0005580613B2_000010t.gif




【0027】
【表1】
JP0005580613B2_000011t.gif

【0028】
参考例10
参考例ではアルデヒドとエチレングルコールを用いて下式に従って下式の酸化反応を行った。
【化10】
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4-メチルベンズアルデヒド(29.9 mg, 0.25 mmol,東京化成・特級)、炭酸カリウム(17.3 mg,和光純薬・特級)、PI Au(0.072 mmol/g, 1 mol%)と1 mLのエチレングリコール(和光純薬・特級)を混合し、酸素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。触媒を吸引ろ過にて除去し、pTLCにて単離し、2-ヒドロキシメチル4-メチルベンゾエートを38.2 mg(85%)得た。生成物の分析値を以下に示す:
1H NMR (CDCl3) δ = 2.40 (s, 3H), 3.95 (t, 2H, J = 4.0 Hz), 4.44 (t, 2H, J = 4.0 Hz), 7.23 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.94 (t, 2H, J = 7.6 Hz). DART-MS (M+H+)found:181.1018, calc.: 181.0864

【0029】
参考例11~14
参考例では、参考例10と同様に、ベンズアルデヒドと表2に示すアルコール化合物から下式に従ってエステルを合成した。
【化11】
JP0005580613B2_000013t.gif

【0030】
【表2】
JP0005580613B2_000014t.gif

【0031】
生成物の分析値を以下に示す。
参考例11の生成物:
1H NMR (CDCl3) δ= 1.94 (q, 2H, J = 6.0 Hz), 3.75 (q, 2H, J = 6.0 Hz), 4.42 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 7.36-7.39 (m, 2H), 7.48-7.51 (m, 1H), 7.96-7.98(m, 2H). DART-MS (M+H+)found:181.1003, calc.: 181.0864
参考例12の生成物(1):
1H NMR (CDCl3) δ= 3.60-3.65 (m, 1H), 3.69-3.74 (m, 1H), 3.99-4.04 (m, 2H), 7.37-7.41 (m, 2H), 7.50-7.54 (m, 1H), 7.97-8.00 (m, 2H). DART-MS (M+H+)found:197.0933, calc.: 197.0813
参考例12の生成物(2):
1H NMR (CDCl3) δ= 3.90-3.92 (m, 4H), 5.09-5.12 (m, 1H), 7.37-7.41 (m, 2H), 7.50-7.54 (m, 1H), 7.97-8.00 (m, 2H).. DART-MS (M+H+)found: 197.0933, calc.: 197.0813
参考例13の生成物:
1H NMR (CDCl3) δ= 3.58-3.61 (m, 2H), 3.69-3.71 (m, 2H), 3.77-3.80 (m, 2H), 7.37-7.41 (m, 2H), 7.49-7.52 (m, 1H), 8.00-8.02 (m, 2H).
参考例14の生成物:
1H NMR (CDCl3) δ= 3.41 (s, 3H), 3.71 (t, 2H, J = 4.2 Hz), 4.46 (t, 2H, J = 4.2 Hz), 7.40-7.43 (m, 2H), 7.52-7.56 (m, 1H), 8.00-8.06 (m, 2H).