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明細書 :放射線量アラーム付き照明器具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5761850号 (P5761850)
公開番号 特開2013-004190 (P2013-004190A)
登録日 平成27年6月19日(2015.6.19)
発行日 平成27年8月12日(2015.8.12)
公開日 平成25年1月7日(2013.1.7)
発明の名称または考案の名称 放射線量アラーム付き照明器具
国際特許分類 H05B  37/02        (2006.01)
G01T   1/16        (2006.01)
G01T   1/00        (2006.01)
FI H05B 37/02 L
G01T 1/16 A
G01T 1/00 D
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2011-131014 (P2011-131014)
出願日 平成23年6月13日(2011.6.13)
審査請求日 平成26年6月4日(2014.6.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】宮保 憲治
個別代理人の代理人 【識別番号】100119677、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 賢治
【識別番号】100115794、【弁理士】、【氏名又は名称】今下 勝博
審査官 【審査官】三島木 英宏
参考文献・文献 特表2007-527510(JP,A)
特開2009-200046(JP,A)
特表2005-517278(JP,A)
特開2010-146447(JP,A)
調査した分野 H05B 37/02
G01T 1/00
G01T 1/16
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の放射線量アラーム付き照明器具が間隔を置いて配置された放射線量アラームシステムであって、
前記放射線量アラーム付き照明器具は、
色光を出力する多波長光源と、
放射線を検出する放射線検出回路と、
前記放射線検出回路の検出する放射線を一定時間計数することにより放射線量を計数する放射線量計数回路と、
前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値を超えたか否かを判定し、当該放射線量が前記閾値を超えた場合には、前記多波長光源から白色光とは異なる色彩の可視光を出力させる波長制御回路と、
を備え
前記放射線量アラーム付き照明器具は、
自装置の配置されている地域の放射線量が前記閾値以下の場合には、自装置の配置されている地域を白色光で照明し、
自装置の配置されている地域の放射線量が前記閾値を超える場合には、自装置の配置されている地域を白色光とは異なる色彩で照明する、
放射線量アラームシステム
【請求項2】
前記多波長光源は、出力光を合成すると白色光となる波長の異なる3つ以上の発光素子を備え、
前記波長制御回路は、前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値を超えた場合には、前記3つ以上の発光素子のうちの1つ以上の発光素子の出力を停止させることを特徴とする請求項1に記載の放射線量アラームシステム
【請求項3】
記波長制御回路における前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値は複数であり、
前記波長制御回路は、各閾値を超える度に、色彩の異なる可視光を前記多波長光源に出力させることを特徴とする請求項1に記載の放射線量アラームシステム
【請求項4】
前記多波長光源は、出力光を合成すると白色光となる波長の異なる2つの発光素子を備え
前記波長制御回路は、前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値のうちの第1の閾値を超えた場合には、前記2つの発光素子のうちの一方を出力させ、前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値のうちの前記第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えた場合には、前記2つの発光素子のうちの他方を出力させることを特徴とする請求項1に記載の放射線量アラームシステム
【請求項5】
前記放射線量アラーム付き照明器具は、前記波長制御回路において前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値を超えた場合には、前記放射線量計数回路の計数する放射線量の情報を、前記多波長光源からの可視光に重畳する変調回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の放射線量アラームシステム
【請求項6】
前記放射線量アラーム付き照明器具は、放射線量アラーム付き照明器具の位置を検出する位置検出回路をさらに備え、
前記変調回路は、前記位置検出回路の検出する位置情報を、前記多波長光源からの可視光に重畳し、
複数の前記放射線量アラーム付き照明器具が間隔を置いて配置された地域における、放射線量の分布マップを構築することを特徴とする請求項5に記載の放射線量アラームシステム
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードからの照明光や有機EL照明光などの複数の可視光が合成された白色光を出力する多波長光源を利用して、大気中の放射線量のデータをモニターして目に見える白色以外の可視光波長に変換し、遠隔地点からも放射線量の大きさがリアルタイムに監視できるようにする放射線量アラーム付き照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(Light-Emitting Diode:LED)や有機EL(エレクトロルミネッセンス:Organic Electro-Luminescence)を利用した発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode:OLED)が、照明として活用されつつある。また、アルファ線、ベータ線、ガンマ線等の種類の異なる複数の種類の放射線を同時に、検出または測定する放射線検出器や放射線測定装置が開発されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
特許文献1の放射線検出器では、放射線の種別毎に特有の波長の光をシンチレータを活用し、放射線の種別毎に電気パルス信号に変換する。そして、高い放射線の線量であった場合、入射光量を減少させる。
【0004】
特許文献2の放射線検出器では、放射線検出後に電気信号を出力して計数するに際し、統計的に平均値を求めるための技術が開示されている。
【0005】
一方、室内においては照明器具と火災警報器の設置場所の条件が似ており、一般家庭やオフィスではこれらの機器の統合の要求があることから、火災警報機能を備える照明器が開示されている(例えば、特許文献3及び4参照。)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平7-84054号公報
【特許文献2】特開平7-181263号公報
【特許文献3】特開2010-211961号公報
【特許文献4】特開平7-161477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
放射性物質が大気中を浮遊すると、街中のいろいろな箇所に放射性物質が蓄積する。放射性物質が蓄積すると局所的に放射線量が多くなるが、放射線は人の視覚で感じることができないため、もし放射線量の高い地域であっても立ち入ってしまう危険性がある。このため、様々な地域での放射線量の継続的な観測を行い、放射線量の高い地域かどうかを監視できるようにする必要がある。
【0008】
特許文献1及び2の放射線検出器は、計数処理した放射線量をどのようにして知らしめるかという点は考慮されていない。放射線は人の視覚で感じることができないため、特許文献1及び2の放射線検出器では、もし放射線量の高い地域であっても、知らずに、立ち入ってしまう危険性がある。
【0009】
特許文献3及び4の照明器具では、一般家庭やオフィスの室内照明における要求を反映したものであり、一般家庭やオフィスの室内では問題にならない放射線量警報機能については考慮されていない。
【0010】
そこで、本発明は、様々な地域での放射線量の継続的な観測を行い、観測結果を照明光の色彩の変化により、分かり易く知らしめることで、放射線量が高くなった場合または低くなった場合は、その状況を周囲の人に認識しやすい方法で教えられる手段を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本願発明の放射線量アラーム付き照明器具は、放射線量が設定された閾値を超えた場合には、白色光ではない可視光を出力する。
本願発明の放射線量アラーム付き照明器具は、ディスプレイへの文字や図形などの形の表示ではなく、照明光の色彩を変化させることでアラームを出力するため、照明光を視認できる範囲に近づいた人に対して直感的に危険を認識させることができる。このため、様々な地域での放射線量の継続的な観測を行い、観測結果を照明光の色彩の変化により、分かり易く知らしめることで、放射線量が高くなった場合または低くなった場合は、その状況を周囲の人に認識しやすい方法で教えられる手段を、提供することができる。
【0012】
具体的には、本願発明の放射線量アラームシステムは、複数の放射線量アラーム付き照明器具が間隔を置いて配置された放射線量アラームシステムであって、前記放射線量アラーム付き照明器具は、白色光を出力する多波長光源と、放射線を検出する放射線検出回路と、前記放射線検出回路の検出する放射線を一定時間計数することにより放射線量を計数する放射線量計数回路と、前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値を超えたか否かを判定し、当該放射線量が前記閾値を超えた場合には、前記多波長光源から白色光とは異なる色彩の可視光を出力させる波長制御回路と、を備え、前記放射線量アラーム付き照明器具は、自装置の配置されている地域の放射線量が前記閾値以下の場合には、自装置の配置されている地域を白色光で照明し、自装置の配置されている地域の放射線量が前記閾値を超える場合には、自装置の配置されている地域を白色光とは異なる色彩で照明する。
【0013】
本願発明の放射線量アラーム付き照明器具は、放射線検出回路と、放射線量計数回路と、を備えるため、照明器具の設置位置における放射線量を継続的に監視することができる。本願発明の放射線量アラーム付き照明器具は、多波長光源と、波長制御回路と、を備えるため、放射線量が設定された閾値を超えた場合には、白色光ではない可視光を出力することができる。したがって、本願発明の放射線量アラーム付き照明器具は、様々な地域での放射線量の継続的な観測を行い、観測結果を照明光の色彩の変化により、分かり易く知らしめることで、放射線量が高くなった場合または低くなった場合は、その状況を周囲の人に認識しやすい方法で教えられる手段を、提供することができる。
【0014】
本願発明の放射線量アラームシステムでは、前記多波長光源は、出力光を合成すると白色光となる波長の異なる3つ以上の発光素子を備え、前記波長制御回路は、前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値を超えた場合には、前記3つ以上の発光素子のうちの1つ以上の発光素子の出力を停止させてもよい。
本発明により、複数の可視光を組み合わせ、白色光とは異なる色彩の可視光を出力することができる。これにより、色彩の変化で放射線量の増減を確認することができる。
【0015】
本願発明の放射線量アラームシステムでは、記波長制御回路における前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値は複数であり、前記波長制御回路は、各閾値を超える度に、色彩の異なる可視光を前記多波長光源に出力させてもよい。
本発明により、放射線量に応じた複数段階でのアラームを出力することができる。これにより、色彩の変化で放射線量の増減を確認することができる。
【0016】
本願発明の放射線量アラームシステムでは、前記多波長光源は、出力光を合成すると白色光となる波長の異なる2つの発光素子を備え、前記波長制御回路は、前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値のうちの第1の閾値を超えた場合には、前記2つの発光素子のうちの一方を出力させ、前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値のうちの前記第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えた場合には、前記2つの発光素子のうちの他方を出力させてもよい。
本発明により、2つの可視光を合成して白色光にする多波長光源であっても、放射線量に応じた複数段階でのアラームを出力することができる。これにより、色彩の変化で、設置場所および周辺の地域における、放射線量の増減を確認することができる。
【0017】
本願発明の放射線量アラームシステムでは、前記放射線量アラーム付き照明器具は、前記波長制御回路において前記放射線量計数回路の計数する放射線量が設定された閾値を超えた場合には、前記放射線量計数回路の計数する放射線量の情報を、前記多波長光源からの可視光に重畳する変調回路をさらに備えてもよい。
本発明により、可視光に重畳された信号を受信する受信装置に対して、正確な放射線量を通知することができる。
【0018】
本願発明の放射線量アラームシステムでは、前記放射線量アラーム付き照明器具は、放射線量アラーム付き照明器具の位置を検出する位置検出回路をさらに備え、前記変調回路は、前記位置検出回路の検出する位置情報を、前記多波長光源からの可視光に重畳し、複数の前記放射線量アラーム付き照明器具が間隔を置いて配置された地域における、放射線量の分布マップを構築してもよい。
本発明により、可視光に重畳された信号を受信する受信装置に対して、どの位置でどの放射線量が観測されたのかを通知することができる。
【0019】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、本願発明の放射線量アラーム付き照明器具は、様々な地域での放射線量の継続的な観測を行い、観測結果を照明光の色彩の変化により、分かり易く知らしめることで、放射線量が高くなった場合または低くなった場合は、その状況を周囲の人に認識しやすい方法で教えられる手段を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の使用状態の第1例を示す。
【図2】本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の使用状態の第2例を示す。
【図3】第1の実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の一例を示す。
【図4】多波長光源から出力された白色光が3つの可視光を合成される場合における、多波長光源14から出力する白色光とは異なる色彩の一例を示す。
【図5】多波長光源から出力された白色光が2つの可視光を合成される場合における、多波長光源14から出力する白色光とは異なる色彩の一例を示す。
【図6】第3の実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の一例を示す。
【図7】第4の実施形態に係る通信システムの一例を示す。
【図8】受信装置20のブロック構成の一例を示す。
【図9】カラーセンサ21の内部構成の一例を示す。
【図10】カラーセンサ21のパワースペクトルの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。

【0023】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の使用状態の第1例を示す。本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具101、102は、放射線検出機能を有する。放射線量アラーム付き照明器具101、102は、例えば街路灯として用いられ、道路に沿って間隔を置いて配置される。

【0024】
図2に、本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の使用状態の第2例を示す。放射線量アラーム付き照明器具の使用状態の第2例では、放射線量アラーム付き照明器具101が照明器具103と接続され、放射線量アラーム付き照明器具102が照明器具104と接続されている。照明器具103及び104は、高価な放射線検出回路、放射線量計数回路、波長制御回路を備えておらず、安価なLEDや有機EL等から構成される多波長光源を備え、それぞれ、接続されている放射線量アラーム付き照明器具101及び102と同一の色彩の可視光を出力する。この例に示すような配置形態を用いれば、経済的に、放射線量の観測結果を、広域の地域にわたって、知らしめることが可能になる。なお、この配置例にとどまらず、例えば、広大な公園、学校等の敷地内や、工場内、あるいはマンションの居室においても、同様な考え方を適用可能であることはいうまでもない。

【0025】
放射線量アラーム付き照明器具101、102は、放射線量が閾値を超えなければ白色光の照明光を出力するが、放射線量が閾値を超えると白色光とは異なる可視光を出力する。例えば、放射線量アラーム付き照明器具101では放射線量が閾値を超えず、放射線量アラーム付き照明器具102では放射線量が閾値を超えると白色光とは異なる例えば赤色の可視光を出力する。これにより、放射線量アラーム付き照明器具102付近の地域では放射線量が高いために近づかない方が安全であるが、放射線量アラーム付き照明器具101付近の地域までであれば放射線量が少なく安全であることを、視覚を通じて直感的に体感することができる。さらに、照明光の色彩を変化させるため、近傍および遠方からでも分かり易く知らしめることがで、放射線量が段階的に、高くなった場合または、低くなった場合において、その状況を周囲の人に認識しやすい方法で教えることができる。

【0026】
閾値に応じて色彩を変化させれば、放射線量アラーム付き照明器具の配置された地域ごとに、放射線量の分布マップを構築することができる。特に、照明器具の色彩を変化させるため、遠隔の地から望遠鏡を用いて観察したり、上空から観察したりすることによって、放射線量の分布マップを構築することができるため、放射線量の分布マップを、その場所から離れた、遠方の場所からでも、安全に構築することができる。

【0027】
さらに、音声による通知を放射線量アラーム付き照明器具101、102ごとに行っても良い。例えば、放射線量アラーム付き照明器具102付近の地域で放射線量が高い場合、放射線量アラーム付き照明器具102は、警告音を発したり、警告する旨のメッセージを放送したりしてもよい。

【0028】
図3に、第1の実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の一例を示す。本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具は、放射線検出回路11と、放射線量計数回路12と、波長制御回路13と、多波長光源14と、を備える。

【0029】
多波長光源14は、波長の異なる複数の可視光が合成された白色光を出力する。多波長光源14は、例えば、可視光の波長λ1、λ2、λ3でそれぞれ発光する3つの発光素子41、42、43を備える。発光素子41、42、43は、それぞれ、緑色の波長λ1の可視光、青色の波長λ2の可視光、赤色の波長λ3の可視光を出力する。多波長光源14は、発光素子41、42及び43からの出力光を合成することで、白色光を出力することができる。なお、白色光は、照明用に用いられるものであり、電球色、白色、昼白色、昼光色のいずれでもよい。また、発光素子41、42、43は、例えば、有機ELまたはLEDである。

【0030】
放射線検出回路11は、アルファ(α)線、ベータ(β)線、あるいはガンマ(γ)線等を含んだ放射線を入力信号として受信する。放射線検出回路11は、例えば、ガイガー・ミュラー計数管を備えることにより、α線、β線、γ線を検出することができる。なお、放射線の種類は限定せず、例えば、α線、β線、γ線のいずれか1種類であってもよいし、α線、β線、γ線の全てであってもよい。複数種類の放射線を検出する場合は、放射線の種類ごとに個別に検出することが好ましい。例えば、プルトニウム239のα線などの危険性の高い放射線を個別に検出することが好ましい。

【0031】
放射線量計数回路12は、放射線検出回路11の検出する放射線を一定時間計数することにより放射線量を計数する。このように一定時間蓄積された放射線を計数することで、放射線量アラーム付き照明器具の配置されている各地域において蓄積された放射性物質から放射された放射線量を観測することができる。放射線量として、μSv/h(マイクロシーベルト/時)や、単位時間あたりのパルスカウント数がカウントできる。例えば、0.01~10μSv/h、等の放射線量カウント可能である。放射線が人体に与える影響は放射線の種類によって異なり、許容量も放射線の種類によって異なる。このため、放射線量の計数は、放射線の種類ごとに行うことが好ましい。

【0032】
波長制御回路13は、放射線量計数回路12の計数した放射線量が設定された閾値を超えたか否かを判定する。そして、閾値を超えた場合には、波長制御回路13は、超えた閾値に応じて白色光とは異なる色彩を選択し、選択した色彩の可視光を多波長光源14から出力させる。図4に、多波長光源14から出力された白色光が3つの可視光を合成される場合における、多波長光源14から出力する白色光とは異なる色彩の一例を示す。緑、青、赤のように、3色を合成して白色になる色相1、色相2及び色相3の場合、色相1、色相2及び色相3のうちのいずれかの色彩の可視光を出力する。すなわち、波長制御回路13が発光素子41、42、43のうちのいずれか1つを選択する。

【0033】
ここで、波長制御回路13における設定された閾値は複数であってもよい。この場合、波長制御回路13は、各閾値を超える度に、色彩の異なる可視光を多波長光源14に出力させる。例えば、
閾値A~閾値Bの範囲の放射線量が検出された場合、波長制御回路13は、緑色の波長λ1を選択する。閾値B~閾値Cの範囲の放射線量が検出された場合、波長制御回路13は、青色の波長λ2を選択する。閾値C~閾値Dの範囲の放射線量が検出された場合、波長制御回路13は、赤色の波長λ3を選択する。そして、波長制御回路13は、選択した制御信号に基づいて、多波長光源14を制御し、選択した波長の可視光を出力させる。

【0034】
一般に、0.01μSv/hの放射線量を例にとると、この大きさは、α線では4MeV以上、β線では0.2MeV以上、γ線では0.02MeV以上に対応している。これらの大きさ以上の放射線量の検出は、ガイガーカウンタの技術を用いることにより可能である。

【0035】
どの程度の範囲にある放射線量を超えているかどうかの閾値の設定に関しても、半固定的に設定することや、任意に変更することも可能である。例えば、0.01μSv/hを閾値A、10μSv/hを閾値B、100μSv/hを閾値C、999μSv/hを閾値Dに設定することが可能である。なお、閾値の設定に関しては、例えば、各国で実施されている、技術検査や安全性試験を行った結果を用いることが好ましい。

【0036】
なお、図3では多波長光源14が3つの可視光が合成された白色光を出力する例について説明したが、多波長光源14は2つの可視光が合成された白色光を出力してもよい。図5に、2つの可視光を合成して白色光を出力する場合の色相の一例を示す。色相1及び2は、例えば、黄色及び青色である。この場合、波長制御回路13は、放射線量計数回路12の計数した放射線量が設定された第1の閾値を超えた場合には色相1の可視光を出力させ、放射線量計数回路12の計数した放射線量が設定された第2の閾値を超えた場合には色相2の可視光を出力させる。

【0037】
近年、特に有機ELを活用した通信システム、とりわけ、有機ELで発光する複数の光波長を活用して通信を行う試みに関しては、十分には開示されていない状況である。すでに、照明光を用いた通信方式として考案されたもの中には、照明光用の光源として、化合物半導体系の白色発光ダイオード(以下、白色LED(LED:Light Emitting Diode)と呼称)が用いられているものがある。白色LEDを用いた照明は、蛍光などの照明と比較して、長寿命、低消費電力といった優れた特長を有し、実用化が行われているが、本発明は、これらの発光ダイオードを活用することも可能である。

【0038】
有機EL素子は、一般に、配線を形成した基板上に発光素子を直接形成し、設計上の自由度が高いことに加え、極めて小さな素子の製造も比較的容易であり、かつ複数の光波長の発生を同一の基板上で実現することが可能である。このため、通常の発光ダイオード(LED)素子または、有機EL素子を照明用の発光素子として、複数の光波長を有効に組み合わせて活用することにより、放射線量に対応して、予め定められた光の波長(色)を定め、表示色を変化できるようにすれば、放射線による被曝状態をリアルタイムにモニターできる。また、遠隔地点からも、容易に観測できるようにする際には、発光量の大きいLEDを使用することも可能である。有機ELと発光LEDを組み合わせて使用することにより、経済的な、放射線量アラーム付き照明器具を実現することが可能になる。

【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る放射線量のアラーム付き照明器具は、地域における放射線量に対する安全性を、常時又は設定されたタイミングごとに、色彩の種別によって、モニタリングし易くすると同時に、通常照明としての機能を兼用することができる。さらに、放射線量の大きさ毎に、複数の放射線量毎の範囲を、識別して分類し、それぞれの範囲毎に、異なる色彩を持つ光の波長(色)を割り当て、放射線量の微量、小量、大量等の違いを、照明の色の違いで識別することができる。

【0040】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、波長制御回路13が発光素子41、42、43のうちのいずれか1つを選択した。これに対し、第2の実施形態では、波長制御回路13が、放射線量の範囲を規定する閾値に基づいて、使用波長の組み合わせを選択する。

【0041】
例えば、使用波長の組み合わせは以下のようにする。
閾値A以下の放射線量が検出された場合は、波長制御回路13は、緑色の波長λ1、青色の波長λ2、および赤色の波長λ3を同時に選択する。これにより、多波長光源14から白色光が出力される。
閾値A~閾値Bの範囲の放射線量が検出された場合は、緑色の波長λ1を選択する。これにより、多波長光源14から緑色光が出力される。
閾値B~閾値Cの範囲の放射線量が検出された場合は、緑色の波長λ1と、青色の波長λ2を同時に選択する。これにより、多波長光源14から黄色光が出力される。
閾値C~閾値Dの範囲の放射線量が検出された場合は、青色の波長λ2を選択する。これにより、多波長光源14から青色光が出力される。
閾値D以上の大きさの放射線量が検出された場合は、赤色の波長λ3を選択する。これにより、多波長光源14から赤色光が出力される。

【0042】
ここで、波長制御回路13の選択する色彩は、人の感じる危険度に合わせて変化させることが好ましい。例えば、使用波長の組み合わせは以下のようにする。
閾値A以下の放射線量が検出された場合は、波長制御回路13は、緑色の波長λ1、青色の波長λ2、および赤色の波長λ3を同時に選択する。これにより、多波長光源14から白色光が出力される。
閾値A~閾値Bの範囲の放射線量が検出された場合は、緑色の波長λ1と、青色の波長λ2を同時に選択する。これにより、多波長光源14から黄色の可視光が出力される。
閾値B~閾値Cの範囲の放射線量が検出された場合は、赤色の波長λ3を選択する。これにより、多波長光源14から赤色の可視光が出力される。
閾値C~閾値Dの範囲の放射線量が検出された場合は、青色の波長λ2と、赤色の波長λ3を同時に選択する。これにより、多波長光源14から紫色の可視光が出力される。

【0043】
さらに、閾値Dを超える範囲では、危険度が高いほど出力強度を高めることが好ましい。これにより、閾値Dを超える範囲においても、人の感じる危険度に合わせて多波長光源14からの出力光を変化させることができる。

【0044】
また、波長制御回路13における可視光の波長の変化は、多波長光源14の複数の可視光のうちの1つ以上の可視光の出力を停止させることによって行ってもよい。例えば、発光素子41の出力を停止させることによって、図4に示す色相2と色相3が合成された色相4の色彩の可視光を選択する。発光素子42の出力を停止させることによって、図4に示す色相1と色相3が合成された色相5の色彩の可視光を選択する。発光素子43の出力を停止させることによって、図4に示す色相1と色相2が合成された色相6の色彩の可視光を選択する。

【0045】
このように、本実施形態に係る放射線量のアラーム付き照明器具は、各種の異なる波長を組み合わせ、自由に照明光の色彩を変化させることにより、放射線量の大きさ毎に、複数の放射線量毎の範囲を、識別して分類し、それぞれの範囲毎に、異なる色彩を持つ光の波長(色)を割り当て、放射線量の微量、小量、大量等の違いを、照明の色の違いで識別することができる。

【0046】
(第3の実施形態)
図6に、第3の実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具の一例を示す。本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具は、放射線量の範囲を規定する閾値の大きさを、外部から、任意に、設定変更するための閾値設定指示回路15を追加したことである。この閾値設定指示回路15に基づいて、波長制御回路13に半固定的に設定された閾値を任意に、変更することができる。

【0047】
例えば、安全性に関わる技術基準の見直しが行われた場合や、各国毎に異なる基準値に基づいて、第1の実施形態で説明した閾値A~Dのいずれかを変更する。このとき、さらに閾値ごとの色彩を変更してもよい。これにより、放射線量の閾値や放射線量の閾値ごとの色彩を変更する場合に、迅速な当該変更を実施するための有効な手段を提供することができる。

【0048】
本実施形態においては、図面に記した各色彩を持つ可視光、または有機ELのほかに通常の白色LED、または蛍光灯等を、併せて用いることも可能である。この場合には、たとえば、閾値A以下の、極めて微量な放射線量が検出された場合は、白色のLED照明光または蛍光灯を選択すればよい。

【0049】
また、本実施形態に係る放射線量アラーム付き照明器具は、受信回路19をさらに備えていてもよい。受信回路19は、無線信号で伝送されてきた閾値設定指示回路15の制御信号を受信する。これにより、波長制御回路13の閾値を遠隔の地から任意に変更することができるため、放射線量が多い地域であっても、遠隔の場所から、閾値を安全に変更することができる。

【0050】
(第4の実施形態)
図7に、第4の実施形態に係る通信システムの一例を示す。本実施形態に係るアラーム付き照明器具は、第2の実施形態で説明した使用波長の組み合わせの選択に加えて、新たに、変調回路17をさらに備えることで、送信装置10として機能する。送信装置10は、波長制御回路13において放射線量が設定された閾値を超えた場合に、放射線量の情報を送信する。これにより、受信装置20で、放射線量の正確な値を受信可能にしている。

【0051】
変調回路17は、放射線量計数回路12の計数する放射線量の情報を、予め定められた出力波長の可視光に重畳する。変調方式は例えば振幅変調又は位相変調のいずれでもよい。

【0052】
また、送信装置10は、位置検出回路18をさらに備えていてもよい。位置検出回路18は、放射線量アラーム付き照明器具の位置を検出する。この場合、変調回路17は、位置検出回路18の検出する位置情報を、予め定められた出力波長の可視光に重畳する。なお、位置の検出には、例えば、衛星測位システムや無線LANを用いた測位システムを用いる。

【0053】
第4の実施形態に係る通信システムは、放射線量に対応して、予め定められた光の波長を定め、照明光の色を変化させて、放射線による被曝状態をリアルタイムにモニターできる。更に、遠隔地点からも、容易に照明光を観測することにより、容易に、放射線量の状態を監視できるとともに、波長毎に含まれた、高速点滅情報を用いて、より詳細な放射線量等に関わるデータの取得ができる手段として活用することができる。

【0054】
図7においては、送信装置10からの光信号を、カラーセンサ21を受信装置20に使用することにより、可視光による通信を、照明機能と兼用して実現することができる。

【0055】
ここで、照明光は、カラーセンサ21で、受信時に採光できる。受光装置20においては、カラーセンサ21を配置し、採光時の感度に関わる閾値の設定により、「赤」色と「青」色の同時受信、あるいは、「赤」色、「青」色、「緑」色の同時受信が可能となる。受信装置20は、通常は、制御部24を、例えばUSB接続されるPC(Personal computer)22とで構成することができるが、この構成に限定される必要は無い。

【0056】
図8に、受信装置20のブロック構成の一例を示す。図9に、カラーセンサ21の内部構成の一例を示す。カラーセンサ21の初期設定を行い、デジタル出力のピンの設定を行い、デジタル入力のピンの設定を行い、初期設定を終了する。次に、Loop処理を開始し、測定開始指示信号及びデータ生成用クロック信号をLOWレベルに設定し、感度制御信号を用いてカラーセンサ21の受光感度を高感度に設定する。次に、測定開始指示信号を用いてカラーセンサ21の測光開始を指示し、測光時間を測定し、受光時間の経過時に測定開始指示信号を用いて測光終了を指示する。

【0057】
次に、制御部24が、赤色光を受光したセンサ出力信号の処理を行いデータ信号を生成し、緑色光を受光したセンサ出力信号の処理を行いデータ信号を生成し、青色光を受光したセンサ出力信号の処理を行いデータ信号を生成する。そして、制御部24は、測定開始指示信号をHighレベルに設定し、データ信号をPC22に出力する。なお、この構成に限定される必要は無い。

【0058】
図10に、カラーセンサ21のパワースペクトルの一例を示す。異なる色彩の可視光がカラーセンサ21で別々に受光できるよう、カラーセンサ21の入力電力の閾値を適切に設定した状態で照明光を採光する。

【0059】
各色彩の可視光の採光によってデータの受信が正確に可能な場合には、各波長の値が比較的離れた青色光と赤色光等を同時に用いて点滅させたときに、それぞれの波長に含められた、点滅データを、情報信号として採取することも可能である。また、適宜、各波長毎のデータ受信が正確にできるように、閾値を設定することが適切なことはいうまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、様々な地域での放射線量の継続的な観測を行うことで放射線量の高い地域かどうかを常時又は設定されたタイミングごとに監視し、放射線量が高くなった場合には人の認識しやすい方法で知らしめることができるため、放射性物質が蓄積する可能性のある地域の街路灯に用いれば、住民は安心して生活することができる。また、各地域の放射線量が正確に分かるため、測定した放射線量に基づいて避難すべき区域を正確に割り出すことができる。
【符号の説明】
【0061】
10:送信装置
11:放射線検出回路
12:放射線量計数回路
13:波長制御回路
14:多波長光源
15:閾値設定指示回路
17:変調回路
18:位置検出回路
19:受信回路
41、42、43:発光素子
20:受信装置
21:カラーセンサ
22:PC
24:制御部
101、102:放射線量アラーム付き照明器具
103、104:照明器具
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
8
【図10】
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