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明細書 :光信号からクロック信号を抽出する方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4839450号 (P4839450)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
発明の名称または考案の名称 光信号からクロック信号を抽出する方法および装置
国際特許分類 H04B  10/00        (2006.01)
H04L   7/02        (2006.01)
FI H04B 9/00 B
H04L 7/02 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 15
出願番号 特願2007-523339 (P2007-523339)
出願日 平成18年2月10日(2006.2.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 電子情報通信学会技術研究報告、OCS2005-9
国際出願番号 PCT/JP2006/302785
国際公開番号 WO2007/004338
国際公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
優先権出願番号 2005194117
2005257778
優先日 平成17年7月1日(2005.7.1)
平成17年9月6日(2005.9.6)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成19年12月17日(2007.12.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】塙 雅典
個別代理人の代理人 【識別番号】100080322、【弁理士】、【氏名又は名称】牛久 健司
【識別番号】100104651、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 正
【識別番号】100114786、【弁理士】、【氏名又は名称】高城 貞晶
審査官 【審査官】工藤 一光
参考文献・文献 特開2004-228840(JP,A)
特開2004-341307(JP,A)
塙 雅典、藤本 敏也、中村 一彦,π位相シフトファイバグレーティングによる高速NRZ光信号からのクロック抽出,電子情報通信学会技術研究報告、光通信システム,日本,電子情報通信学会,2005年 4月15日,OCS、Vol.105、No.32,p.35-40
調査した分野 H04B10/00-10/28
H04J14/00-14/08
H04L7/00-7/10
特許請求の範囲 【請求項1】
光信号からのクロック信号抽出方法であって,
光導波路内に間隙部を介して配置された2つのブラッググレーティングを有し,これらの2つのブラッググレーティングによる反射光波間位相差がπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtがクロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整されたπ位相シフトブラッググレーティングを用い,
クロック信号を抽出すべき光信号を上記π位相シフトブラッググレーティングに導き,かつ上記π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を取出して電気信号に変換し,
この電気信号を,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタに通してクロック信号を得る,
クロック信号抽出方法。
【請求項2】
光信号からのクロック信号抽出装置であって,
光導波路内に間隙部を介して配置された2つのブラッググレーティングを有し,これらの2つのブラッググレーティングの反射光波間位相差がπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtがクロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整されたπ位相シフトブラッググレーティングと,
クロック信号を抽出すべき光信号を上記π位相シフトブラッググレーティングに導き,かつ上記π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を出力する光サーキュレータと,
上記光サーキュレータから出力される上記反射光波を電気信号に変換して出力する光検出器と,
上記光検出器の出力側に接続され,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタと,
を備えたクロック信号抽出装置。
【請求項3】
光導波路内に間隙部を介して配置された2つのブラッググレーティングを有し,これらの2つのブラッググレーティングの反射光波間位相差がπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtがクロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された,光信号からクロック信号を抽出するために用いられるπ位相シフトブラッググレーティング装置。
【請求項4】
光信号からのクロック信号抽出方法であって,光導波路内に間隙部を介して配置された4つの第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,FBG3,FBG4)を有し,これらの4つのサブブラッググレーティングが第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第1と第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG4)の反射率(R1,R4)は第2と第3のサブブラッググレーティング(FBG2,FBG3)の反射率(R2,R3)よりも低くなるように調整され,第1と第2のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第2と第3のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第3と第4のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングを用い,
これにクロック信号を抽出すべき光信号を第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を取出して電気信号に変換し,
この電気信号を上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタに通してクロック信号を得る,
クロック信号抽出方法。
【請求項5】
光信号からのクロック信号抽出装置であって,光導波路内に間隙部を介して配置された4つの第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,FBG3,FBG4)を有し,これらの4つのサブブラッググレーティングが第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第1と第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG4)の反射率(R1,R4)は第2と第3のサブブラッググレーティング(FBG2,FBG3)の反射率(R2,R3)よりも低くなるように調整され,第1と第2のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第2と第3のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第3と第4のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティング,
クロック信号を抽出すべき光信号を上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングにその第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を出力する光サーキュレータ,
上記光サーキュレータから出力される上記反射光波を電気信号に変換して出力する光検出器,および
上記光検出器の出力側に接続され,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタ,
を備えたクロック信号抽出装置。
【請求項6】
光導波路内に間隙部を介して配置された4つの第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,FBG3,FBG4)を有し,これらの4つのサブブラッググレーティングが第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第1と第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG4)の反射率(R1,R4)は第2と第3のサブブラッググレーティング(FBG2,FBG3)の反射率(R2,R3)よりも低くなるように調整され,第1と第2のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第2と第3のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第3と第4のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整されていることを特徴とする,光信号からクロック信号を抽出するために用いられる低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティング装置。
【請求項7】
光信号からのクロック信号抽出方法であって,nを正の整数として,光導波路内に間隙部を介して配置された2n個のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,・・・,FBG2n)を有し,これらの2n個のサブブラッググレーティングが第1,第2,・・・,第2nのサブブラッググレーティングの順で配置され,かつkを1以上n以下の正の整数として,第kと第2n—k+1のサブブラッググレーティング(FBGk,FBG2n-k+1)の反射率(Rk,R2n-k+1)は同等であるように設定され,かつmを1以上n-1以下の正の整数として,第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射率はRm<Rm+1となるように調整され,第kと第2n-k+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングを用い,
これにクロック信号を抽出すべき光信号を第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を取出して電気信号に変換し,
この電気信号を上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタに通してクロック信号を得る,
クロック信号抽出方法。
【請求項8】
光信号からのクロック信号抽出装置であって,nを正の整数として,光導波路内に間隙部を介して配置された2n個のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,・・・,FBG2n)を有し,これらの2n個のサブブラッググレーティングが第1,第2,・・・,第2nのサブブラッググレーティングの順で配置され,かつkを1以上n以下の正の整数として,第kと第2n—k+1のサブブラッググレーティング(FBGk,FBG2n-k+1)の反射率(Rk,R2n-k+1)は同等であるように設定され,かつmを1以上n-1以下の正の整数として,第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射率はRm<Rm+1となるように調整され,第kと第2n-k+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティング,
クロック信号を抽出すべき光信号を上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングにその第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を出力する光サーキュレータ,
上記光サーキュレータから出力される上記反射光波を電気信号に変換して出力する光検出器,および
上記光検出器の出力側に接続され,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタ,
を備えたクロック信号抽出装置。
【請求項9】
nを正の整数として,光導波路内に間隙部を介して配置された2n個のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,・・・,FBG2n)を有し,これらの2n個のサブブラッググレーティングが第1,第2,・・・,第2nのサブブラッググレーティングの順で配置され,かつkを1以上n以下の正の整数として,第kと第2n—k+1のサブブラッググレーティング(FBGk,FBG2n-k+1)の反射率(Rk,R2n-k+1)は同等であるように設定され,かつmを1以上n-1以下の正の整数として,第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射率はRm<Rm+1となるように調整され,第kと第2n-k+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整されていることを特徴とする,光信号からクロック信号を抽出するために用いられる低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティング装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は,光信号からクロック信号を抽出する装置および方法に関し,特に光ファイバ通信システムで一般的に用いられるオンオフキーイングNRZ(OOK-NRZ)光信号からクロック信号を抽出するために適した方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにとってクロック抽出は必要不可欠な技術である。光ファイバ通信システムで一般的に用いられるオンオフキーイングNRZ(OOK-NRZ)(NRZ:Non-Return-to-Zero)光信号(以下,NRZ光信号という)では,基本パルス波形が矩形パルスの場合は原理的にクロック成分を持たず,NRZ光信号から直接クロック抽出を行うことはできない。一方,実際に用いられるNRZ光信号の場合には,基本パルス波形が理想的な矩形パルスではないため微弱なクロック成分を有し,伝送速度が数十Gbit/s程度までは電気的処理によるクロック抽出も可能である。しかしそのクロック対変調成分比は低く,抽出されるクロック信号のS/N比劣化やジッタ増大が懸念される。さらに100Gbit/sを超える高速NRZ光信号の場合には電気的処理ではクロック抽出を行うことは不可能なため,光信号処理を併用してクロック抽出を可能とする様々な方法が検討されている。
たとえば次の文献の報告がある。M.L.Nielsen,J.D.Buron,J.Mork and B.Dagens,”All-optical Extraction of 40GHz component from 40Gb/s NRZ data using Signal Processing in an SOA combined with optical filtering”,Technical Digest of OECC/COIN2004,16E3-3,pp884-885,July 2004。
この文献では半導体光増幅器(以下,SOAという)(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)中の非線形光学効果を利用し,SOAに入力されたNRZ光信号の立ち上がりまたは立ち下がりに擬似的なRZ信号を生成し,電気信号用の狭帯域フィルタによってクロック成分のみを切り出すことによって40Gbit/sのNRZ光信号からクロック抽出を行う方法が提案されている。この方法は原理的には100Gbit/sを超える高速NRZ光信号にも対応可能であるが,半導体光増幅器はクロック抽出だけに用いるには高価すぎる。
【発明の開示】
【0003】
この発明は,簡素な構成でより高速の光信号にも対応可能なクロック信号抽出方法および装置を提供するものである。
この発明はまた,クロック抽出の波長ずれ耐性を向上させたクロック信号抽出方法および装置を提供するものである。
この発明によるクロック信号抽出方法は,光導波路内に間隙部を介して配置された2つのブラッググレーティングを有し,これらの2つのブラッググレーティングによる反射光波間位相差がπとなり,かつ上記反射光波間時間遅延量がΔtとなるように調整されたπ位相シフトブラッググレーティングを用い,クロック信号を抽出すべき光信号を上記π位相シフトブラッググレーティングに導き,かつ上記π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を取出して電気信号に変換し,この電気信号を,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタに通してクロック信号を得るものである。
一実施態様では,上記クロック信号抽出方法において,前記2つのブラッググレーティングのうち,クロック信号を抽出すべき光信号を入射する側のブラッググレーティングの光路長と,前記2つのブラッググレーティングに挟まれる間隙部の光路長は,上記反射光波間時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整されたπ位相シフトグレーティングを用いる。
好ましい実施態様では,前記2つのブラッググレーティングの各々の反射率は,これらの2つのブラッググレーティングの反射光波強度が実質的に同一となるように定められている。
好ましい実施態様では,前記2つのブラッググレーティングのグレーティング周期は,これらの2つのブラッググレーティングのブラッグ波長が実質的に同一となるように定められている。
この発明によるクロック信号抽出装置は,光導波路内に間隙部を介して配置された2つのブラッググレーティングを有し,これらの2つのブラッググレーティングの反射光波間位相差がπとなり,かつ上記反射光波間時間遅延量がΔtとなるように調整されたπ位相シフトブラッググレーティングと,クロック信号を抽出すべき光信号を上記π位相シフトブラッググレーティングに導き,かつ上記π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を出力する光サーキュレータと,上記光サーキュレータから出力される上記反射光波を電気信号に変換して出力する光検出器と,上記光検出器の出力側に接続され,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタとを備えているものである。
一実施態様では,上記π位相シフトグレーティングが,前記2つのブラッググレーティングのうち,クロック信号を抽出すべき光信号を入射する側のブラッググレーティングの光路長と,前記2つのブラッググレーティングに挟まれる間隙部の光路長は,上記反射光波間時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整されたものである。
好ましい実施態様では,前記2つのブラッググレーティングの各々の反射率は,これらの2つのブラッググレーティングの反射光波強度が実質的に同一となるように定められている。
好ましい実施態様では,前記2つのブラッググレーティングのグレーティング周期は,これらの2つのブラッググレーティングのブラッグ波長が実質的に同一となるように定められている。
一実施態様では,前記光導波路は光ファイバである。
他の実施態様では,前記光導波路は平面型光導波路である。
この発明は,光ファイバのコアにブラッググレーティングを形成したファイバブラッググレーティング(以下,FBGという)と平面型光導波路にブラッググレーティングを形成したデバイスなどに適用が可能であるが,以下ではFBGを例にとって説明する。
この発明によると,π位相シフトファイバブラッググレーティング(以下,π位相シフトFBGという)を用いている。π位相シフトFBGは2つのサブファイバブラッググレーティング(以下,サブFBGという)を有している。クロックを抽出すべき光信号をπ位相シフトFBGに導入する。π位相シフトFBGにおいて,前段のサブFBGの反射光と後段のサブFBGの反射光との間には,π位相シフトFBGの間隙部で時間遅延量(Δt)(光信号のビット周期(T)よりも小さい)とπの位相差が与えられる。すなわち,π位相シフトFBGは差分器として機能し,π位相シフトFBGから得られる出力光信号(上記の2つの反射光の合成光信号)は,各サブFBGの反射光が時間的に重なる部分で上記反射光波間位相差πにより干渉しあい打ち消しあう。クロックを抽出すべき光信号(たとえばNRZ光信号)の立ち上がり部と立ち下がり部において,上記の時間遅延量(Δt)に相当するパルス幅の光パルスが立ち,また立ち下がり部の光パルスの振幅は立ち上がり部の光パルスに対して位相がπ異なることから,立ち上がり部の光パルスを基準に考えると負となる。この光パルスを光検出器で電気信号に変換することにより,立ち下がり部に立つ振幅が負の光パルスの極性が正となる電気パルス信号(擬似RZ信号と呼ぶ)となる。この電気パルス信号は,元の光信号(NRZ光信号)の立ち上がりと立ち下がりの位置にパルスを有することから,パルス間隔は元の光信号のビット周期(T)の整数倍(最小間隔はT)となり,強いクロック成分を有する。この電気パルス信号を狭帯域通過フィルタに通すことで元のNRZ光信号のクロック成分を取り出すことが出来る(これがクロック抽出である)。
以上のようにして,この発明によると,簡素な構成により,上述した従来の手法に比べて擬似的なRZパルス密度が2倍と成ることからより強いクロック信号を取り出すことが出来る。また,π位相シフトFBGの前段のサブFBGの長さと間隙部の長さの和を短くすることにより時間遅延量(Δt)を小さくすれば,より高速の(ビット周期(T)がより短い)光信号に対応することが可能となる。
この発明は上述のクロック抽出方法および装置に好適に用いられるπ位相シフトFBGも提供している。
このπ位相シフトFBGは,ブラッググレーティング装置であって,光導波路内に間隙部をおいて配置された2つのブラッググレーティングを有し,これらの2つのブラッググレーティングの反射光波間位相差がπとなり,かつ上記反射光波間時間遅延量がΔtとなるように調整されたものである。
一実施態様では,前記2つのブラッググレーティングのうち,クロック信号を抽出すべき光信号を入射する側のブラッググレーティングの光路長と,前記2つのブラッググレーティングに挟まれる間隙部の光路長は,上記反射光波間時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整されている。
好ましい実施態様では,前記2つのブラッググレーティングの各々の反射率は,これらの2つのブラッググレーティングの反射光波強度が実質的に同一となるように定められている。
好ましい実施態様では,前記2つのブラッググレーティングのグレーティング周期は,これらの2つのブラッググレーティングのブラッグ波長が実質的に同一となるように定められている。
一実施態様では,前記2つのブラッググレーティングのうち少なくとも1つはアポダイズグレーティングである。
他の実施態様では,前記光導波路は光ファイバである。
さらに他の実施態様では,前記光導波路は平面型光導波路である。
この発明によるクロック信号抽出の波長のずれ耐性を向上させたクロック信号抽出方法は,光導波路内に間隙部を介して配置された4つの第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,FBG3,FBG4)を有し,これらの4つのサブブラッググレーティングが第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第1と第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG4)の反射率(R1,R4)は第2と第3のサブブラッググレーティング(FBG2,FBG3)の反射率(R2,R3)よりも低くなるように調整され,第1と第2のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第2と第3のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第3と第4のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングを用い,これにクロック信号を抽出すべき光信号を第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を取出して電気信号に変換し,この電気信号を上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタに通してクロック信号を得るものである。
この構成によって,クロック信号を抽出すべき光信号の搬送波波長と,π位相シフトブラッググレーティングのブラッグ波長に波長差Δλが生じた場合に,許容できる波長差Δλが増加している。
好ましい実施態様では,上記4つのサブブラッググレーティングのうち,第1のサブブラッググレーティング(FBG1)の光路長(L1)および第1と第2のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2)に挟まれる間隙部の光路長(Lg1)の和(L1+Lg1)と,第2のサブブラッググレーティング(FBG2)の光路長(L2)および第2と第3のサブブラッググレーティング(FBG2,FBG3)に挟まれる間隙部の光路長(Lg2)の和(L2+Lg2)と,第3のサブブラッググレーティング(FBG3)の光路長(L3)および第3と第4のサブブラッググレーティング(FBG3,FBG4)に挟まれる間隙部の光路長(Lg3)の和(L3+Lg3)は,隣接する2つのサブブラッググレーティングによる反射光波間の時間遅延量Δtの和が,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングを用いる。
好ましい一実施態様では,上記4つのサブブラッググレーティングのうち,第1と第4のサブブラッググレーティングの反射率(R1,R4)と,第2と第3のサブブラッググレーティングの反射率(R2,R3)は,それぞれこれらの2つのサブブラッググレーティング対の反射光波強度が実質的に同一となるように定められている。すなわち,R1=R4,R2=R3のように定められている。
さらに好ましい実施態様では,前記4つのサブブラッググレーティングのグレーティング周期は,これらの4つのサブブラッググレーティングのブラッグ波長が実質的に同一となるように定められている。
この発明によるクロック抽出装置は,光導波路内に間隙部を介して配置された4つの第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,FBG3,FBG4)を有し,これらの4つのサブブラッググレーティングが第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第1と第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG4)の反射率(R1,R4)は第2と第3のサブブラッググレーティング(FBG2,FBG3)の反射率(R2,R3)よりも低くなるように調整され,第1と第2のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第2と第3のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第3と第4のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティング,クロック信号を抽出すべき光信号を上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングにその第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を出力する光サーキュレータ,上記光サーキュレータから出力される上記反射光波を電気信号に変換して出力する光検出器,および上記光検出器の出力側に接続され,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタを備えているものである。
このクロック抽出装置においても,波長ずれ耐性が高まる。
上記実施態様はこのクロック抽出装置にもあてはまる。
さらに一実施態様においては,上記光導波路は光ファイバである。他の実施態様においては上記光導波路は平面型光導波路である。
この発明はさらに波長ずれ耐性を高められるブラッググレーティング装置を提供している。すなわち,このブラッググレーティング装置は,光信号からのクロック信号抽出に用いられるものであって,光導波路内に間隙部を介して配置された4つの第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,FBG3,FBG4)を有し,これらの4つのサブブラッググレーティングが第1,第2,第3,第4のサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第1と第4のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG4)の反射率(R1,R4)は第2と第3のサブブラッググレーティング(FBG2,FBG3)の反射率(R2,R3)よりも低くなるように調整され,第1と第2のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第2と第3のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差,第3と第4のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整されていることを特徴とするものである。
上記の実施態様はこのブラッググレーティング装置にもあてはまる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
第1図は,第1実施例のクロック信号抽出装置の全体的構成を示す。
第2図は,π位相シフトFBGの詳細構成を示す。
第3図は,π位相シフトFBGが差分器として働くことを示す等価回路図である。
第4図は,第1図に示す装置の各ブロックの入出力信号波形を示す波形図である。
第5図は,第2実施例のクロック信号抽出装置の全体的構成を示す。
第6図は,低反射率FBG装荷π位相シフトFBGの詳細構成を示す。
第7図は,低反射率FBG装荷π位相シフトFBGが差分器として働くことを示す等価回路図である。
第8図は,第5図に示す装置の各ブロックの入出力信号波形を示す波形図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
第1図はNRZ光信号からクロック信号を抽出(生成と言ってもよい)する第1実施例による装置の全体的構成を示すものである。
π位相シフトFBG(ファイバブラッググレーティング)10は,コアとその周囲のクラッド層とからなる光ファイバであり,その拡大図を第2図に示すように,光の入出力端(第2図に示すπ位相シフトFBG10の左端)から少し内部に入った位置において,光ファイバのコアに,前段のサブFBG1と後段のサブFBG2とが形成されており,これらの2つのサブFBG1,サブFBG2との間に間隙部(gap)が存在する。サブFBG1,サブFBG2は,ブラッグ回折を生じさせる屈折率変化によるグレーティング(回折格子)である。
このπ位相シフトFBG10は,次の2つの機能を持つ。
(1)π位相シフトFBGの入出力端から入射した光波のうち,前段のサブFBG1で反射して入出力端に戻る反射光波と,後段のサブFBG2で反射して入出力端に戻る反射光波との間に,ブラッグ波長λにおいてπの位相差があること。
この機能を実現するためには,上記の2つの反射光波間の光路差
2{n(L+L)+δn
を,ブラッグ波長λの(2k+1)/2倍(kは整数)とする。
たとえばコアを感光性樹脂で形成し,紫外光を照射して各部分の光路長を調整することにより,またはコアを感熱性樹脂で形成し加熱して各部分の光路長を調整することにより,上記光路差の微調整が可能である。
ここでLは間隙部の長さ,nは間隙部の屈折率,LはサブFBG1の長さ,δnはサブFBG1の屈折率変調量である。
(2)後段のサブFBG2で反射して入出力端に戻る反射光波はサブFBG1で反射して入出力端に戻る反射光波よりも時間Δt遅れるが,サブFBG1とサブFBG2の反射光波間のこの時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべきNRZ光信号のビット周期Tよりも小さいこと。
サブFBG1とサブFBG2との反射光波間時間遅延量Δtは次式で表わされる。
Δt=2{n(L+L)+δn}/c
ここでcは光速である。
時間遅延量Δtは,主に,間隙部の長さLと,前段のサブFBG1の長さLにより定まり,これらを小さくすれば時間遅延量Δtを小さくすることができる。また,微調整は上述のように紫外光照射,加熱等による光路長の調整で行うことができる。
上記の2つの特徴をもつπ位相シフトFBGは第3図に示すように光の差分器を実現する機能をもつと把握することができる。
第3図において,g(t)はサブFBG1による反射光波を,g(t-Δt)はΔtの遅延時間を持つサブFBG2による反射光波を,-1はサブFBG1とサブFBG2による反射光波間のπ位相差を表わす。
位相シフトFBG10から出力される合成された反射光波は
g(t)-g(t-Δt)
と表わすことができる。
以上を前提に,第1図に示すクロック抽出装置の構成と動作を,第4図に示す波形図を参照して説明する。クロックを抽出すべき光信号(NRZ光信号)は光サーキュレータ11を経てπ位相シフトFBG10の入出力端に導入される。上記の通り,π位相シフトFBG10において,前段のサブFBG1の反射光と後段のサブFBG2の反射光との間には,π位相シフトFBGの間隙部(gap)で時間遅延量(Δt)(光信号のビット周期(T)よりも小さい)とπの位相差が与えられる。すなわち,π位相シフトFBG10は差分器として機能し,π位相シフトFBG10から得られる出力光信号(上記の2つの反射光の合成光信号)では,各サブFBGの反射光が時間的に重なる部分で上記反射光波間位相差πにより干渉し打ち消しあい,立ち上がり部と立下り部において,上記の時間遅延量(Δt)に相当するパルス幅の位相がπ異なる光パルスが立つことになる。便宜上第4図では位相がπ異なる光パルスを負の振幅を有するパルスとして表している。
π位相シフトFBG10から出力されるこの光パルスは光サーキュレータ11を経て光検出器12に与えられ,この光検出器12で電気信号に変換される。これにより,正,負の光パルスが全て正の振幅を有する電気パルス信号(これを擬似RZ信号と呼ぶ)となる(光検出器12は信号振幅の絶対値の二乗をとる機能を有する)。この擬似RZ信号は,元の光信号(NRZ光信号)の立ち上がりと立ち下がりの位置にパルスを有することから,パルス間隔は元の光信号のビット周期(T)の整数倍(最小間隔はT)となり,強いクロック成分を有する。光検出器12の出力信号はビット周期Tの逆数(1/T)に相当する通過中心周波数をもつ狭帯域の(高いQ値をもつ)帯域通過フィルタ(BPF)13に与えられる。光検出器12の出力電気パルス信号(擬似RZ信号)の持つ強調されたクロック成分が狭帯域通過フィルタ13により取出される。すなわち,電気的クロック信号が生成される。
帯域通過フィルタ13の出力信号(波形整形したものを含む)を光変調器(一定振幅の光信号を入力する)の制御信号として用いることにより,光変調器から光クロック信号を得ることもできる。
このようにして,第1図に示す装置によると,簡素な構成により,従来の手法より強いクロック信号を得ることが可能となる。また,π位相シフトFBG10の前段のサブFBG1の長さL,または間隙部の長さLを短くすることにより時間遅延量(Δt)を小さくすれば,より高速の(ビット周期(T)がより短い)光信号に対応することが可能となる。
第5図はNRZ光信号からクロック信号を抽出(生成と言ってもよい)する第2実施例による装置の全体的構成を示すものである。
低反射率FBG装荷π位相シフトFBG20は,コアとその周囲のクラッド層とからなる光ファイバであり,その拡大図を第6図に示すように,光の入出力端から少し内部に入った位置において,コアに,第1のサブFBG1,第2のサブFBG2,第3のサブFBG3および第4のサブFBG4とが形成されており,これらの4つのサブFBG1ないしサブFBG4の隣接するものの間に間隙部(gap)が存在する。サブFBG1ないしサブFBG4は,ブラッグ回折を生じさせる屈折率変化によるグレーティング(回折格子)である。
この低反射率FBG装荷π位相シフトFBG20においては,4つのサブFBGが第1,第2,第3,第4のサブFBGの順で配置され,かつ第1と第4のサブFBG1,FBG4の反射率R1,R4が第2と第3のサブFBG2,FBG3の反射率R2,R3よりも低くなるように調整されている。たとえば,2R1=R2=R3=2R4である。
また,第1と第2のサブFBGの反射光波間の位相差,第2と第3のサブFBGの反射光波間の位相差,第3と第4のサブFBGの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整されている。
好ましくは,上記低反射率FBG装荷π位相シフトFBGにおいて,上記4つのサブブラッググレーティングのうち,第1のサブFBG1の光路長L1および第1と第2のサブFBG1,FBG2に挟まれる間隙部の光路長Lg1の和(L1+Lg1)と,第2のサブFBG2の光路長L2および第2と第3のサブFBG2,FBG3に挟まれる間隙部の光路長Lg2の和(L2+Lg2)と,第3のサブFBG3の光路長L3および第3と第4のサブFBG3,FBG4に挟まれる間隙部の光路長Lg3の和(L3+Lg3)は,隣接する2つのサブブラッググレーティングによる反射光波間の時間遅延量Δtの和が,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期Tよりも小さくなるように調整される。
すなわち,(L1+Lg1)+(L2+Lg2)+(L3+Lg3)の長さの光路長による時間遅延量の和がビット周期Tより小さくなるように調整されている。別の表現でいうと,サブFBG1とサブFBG4の反射光の時間的遅延がTよりも小さい。
好ましくは,上記4つのサブFBGのうち,第1と第4のサブFBG1,FBG4の反射率R1,R4と,第2と第3のサブFBG2,FBG3の反射率R2,R3は,それぞれこれらの2つのサブFBG対の反射光波強度が実質的に同一となるように定められている。すなわち,R1=R4,R2=R3のように定められている。
さらに好ましくは,前記4つのサブFBGのグレーティング周期は,これらの4つのサFBGのブラッグ波長が実質的に同一となるように定められている。
このような低反射率FBG装荷π位相シフトFBGの等価回路が第7図に示されている。入力をg(t)とすると,出力は,Rg(t)-Rg(t-Δt)+Rg(t-2Δt)-Rg(t-3Δt)と表わすことができる。
第8図は,NRZ光波が上記の低反射率FBG装荷π位相シフトFBG20に入射したときのサブFBG1からの反射光波出力,サブFBG2からの反射光波出力,サブFBG3からの反射光波出力,サブFBG4からの反射光波出力,低反射率FBG装荷π位相シフトFBG20の合成出力および検出器12から出力される疑似RZ信号を示している。
第2実施例のクロック信号抽出装置は,クロック信号を抽出すべき光信号の搬送波波長と,π位相シフトブラッググレーティングのブラッグ波長に波長差Δλが生じた場合に,許容できる波長差Δλが増加するものとなり,波長ずれ耐性が向上するものとなっている。
第1実施例は2つのサブFBGを持つπ位相シフトFBGを用いており,第2実施例は4つのサブFBGをもつ低反射率FBG装荷π位相シフトFBGを用いた例である。
一般に2n個(nは正の整数)のサブFBGを持つπ位相シフトFBGを用いたこの発明によるクロック信号抽出方法は,光信号からのクロック信号抽出方法であって,光導波路内に間隙部を介して配置された2n個(nは正の整数)のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,・・・,FBG2n)を有し,これらの2n個のサブブラッググレーティングが第1,第2,・・・,第2nのサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第k(kは1以上n以下の正の整数)と第2n-k+1のサブブラッググレーティング(FBGk,FBG2n-k+1)の反射率(Rk,R2n-k+1)は実質的に同等であるように設定され,かつ第m(mは1以上n-1以下の正の整数)と第m+1のサブブラッググレーティングの反射率はRm<Rm+1となるように調整され,第kと第2n-k+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングを用い,これにクロック信号を抽出すべき光信号を第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を取出して電気信号に変換し,この電気信号を上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタに通してクロック信号を得るものである。
この発明によるクロック信号抽出装置は,光信号からのクロック信号抽出装置であって,光導波路内に間隙部を介して配置された2n個(nは正の整数)のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,・・・,FBG2n)を有し,これらの2n個のサブブラッググレーティングが第1,第2,・・・,第2nのサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第k(kは1以上n以下の正の整数)と第2n-k+1のサブブラッググレーティング(FBGk,FBG2n-k+1)の反射率(Rk,R2n-k+1)は実質的に同等であるように設定され,かつ第m(mは1以上n-1以下の正の整数)と第m+1のサブブラッググレーティングの反射率はRm<Rm+1となるように調整され,第kと第2n-k+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整された低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティング,クロック信号を抽出すべき光信号を上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングにその第1のサブブラッググレーティング側から導き,かつ上記低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティングからの反射光波を出力する光サーキュレータ,上記光サーキュレータから出力される上記反射光波を電気信号に変換して出力する光検出器,および上記光検出器の出力側に接続され,上記光信号のビット周期(T)の逆数に相当する周波数を通過中心周波数とする狭帯域通過フィルタを備えたものである。
この発明による低反射率ブラッググレーティング装荷π位相シフトブラッググレーティング装置は,光導波路内に間隙部を介して配置された2n個(nは正の整数)のサブブラッググレーティング(FBG1,FBG2,・・・,FBG2n)を有し,これらの2n個のサブブラッググレーティングが第1,第2,・・・,第2nのサブブラッググレーティングの順で配置され,かつ第k(kは1以上n以下の正の整数)と第2n-k+1のサブブラッググレーティング(FBGk,FBG2n-k+1)の反射率(Rk,R2n-k+1)は実質的に同等であるように設定され,かつ第m(mは1以上n-1以下の正の整数)と第m+1のサブブラッググレーティングの反射率はRm<Rm+1となるように調整され,第kと第2n-k+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ第mと第m+1のサブブラッググレーティングの反射光波間の位相差がそれぞれπとなり,かつ上記反射光波間の時間遅延量Δtが,クロック信号を抽出すべき光信号のビット周期(T)よりも小さくなるように調整されたものである。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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