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明細書 :分散ノード通信システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5414055号 (P5414055)
登録日 平成25年11月22日(2013.11.22)
発行日 平成26年2月12日(2014.2.12)
発明の名称または考案の名称 分散ノード通信システム
国際特許分類 H04J  99/00        (2009.01)
H04B   1/707       (2011.01)
H04B   7/04        (2006.01)
H04W  84/18        (2009.01)
H04W  56/00        (2009.01)
H04W  72/04        (2009.01)
FI H04J 15/00
H04J 13/00 400
H04B 7/04
H04W 84/18 110
H04W 56/00
H04W 72/04 134
請求項の数または発明の数 9
全頁数 27
出願番号 特願2010-039521 (P2010-039521)
出願日 平成22年2月25日(2010.2.25)
審査請求日 平成24年10月31日(2012.10.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】松藤 信哉
【氏名】松元 隆博
【氏名】畔柳 功芳
【氏名】大竹 孝平
特許請求の範囲 【請求項1】
無線信号を送信する送信ノード(A)と、
前記送信ノードが送信した無線信号を受信してその無線信号を復調した復調信号を記憶するとともに、記憶した復調信号を無線中継信号に変換して送信する1つ以上の中継ノードからなる中継段(B,C)と、
無線信号を受信する受信ノード(D)と、
前記送信ノードおよび前記中継ノードの送信開始時点と、前記中継ノードおよび前記受信ノードの受信開始時点とを制御し、同一の中継段に属する全ての中継ノードに対して同一のタイミングで受信開始および送信開始の動作を行わせる送受信時点制御手段とを有し、
前記送信ノードと前記受信ノードの間の通信空間に1段以上の段数の前記中継段が配置された分散ノード通信システムであって、
前記送信ノードは、送信データによりリンク識別用拡散系列を変調して基底帯域送信信号を生成する手段と、該基底帯域送信信号により搬送波を変調して生成した無線信号を送信する手段を備えたものであり、
前記中継ノードは、受信した無線信号を局部搬送波により復調して基底帯域受信信号を生成し、前段ノードの用いたリンク識別用拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段ノードと該中継ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力を加算して合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、該合成修正軟出力によりリンク識別用拡散系列を変調して基底帯域送信信号を生成する手段と、該基底帯域送信信号により搬送波を変調して生成した無線信号を送信する手段を備えたものであり、
前記受信ノードは、受信した無線信号を局部搬送波により復調して基底帯域受信信号を生成し、前段中継ノードの用いたリンク識別用拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段中継ノードと該受信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力を加算して合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、該合成修正軟出力を硬判定することにより前記送信ノードが送信した送信データを検出する手段を備えたものである分散ノード通信システム。
【請求項2】
送信データにより搬送波を変調して生成した無線信号を送信する送信機能と、受信した無線信号を局部搬送波により復調することにより生成した復調信号を記憶するとともに、記憶した復調信号を無線信号に変換して中継送信する中継機能と、前記復調信号を用いて送信データを検出する受信機能とを備えた通信ノードを1つ以上備え、該通信ノードが全て同一のタイミングで動作する通信段(A,B,C,D)と、
前記通信ノードの送信開始時点と受信開始時点とを制御し、同一の通信段に属する全ての通信ノードに対して同一のタイミングで受信開始および送信開始の動作を行わせる送受信時点制御手段とを有し、
複数の前記通信段が通信空間内に配置された分散ノード通信システムであって、
前記通信ノードは、
受信した無線信号を復調することにより生成した復調信号を、前段の通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段の各通信ノードと自局通信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力を加算することにより合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、
該通信ノードを始点とする送信データにより送信点識別用第1拡散系列を変調して第1拡散信号を生成する手段と、
前記第1拡散信号と前記合成修正軟出力とを加算した出力によりさらに伝送リンク識別用第2拡散系列を変調して第2拡散信号を生成する手段と、
前記第2拡散信号により搬送波を変調して生成した無線信号を送信する手段と、
前記合成修正軟出力を、取得したいデータを送信した相手局の通信ノードが用いた第1拡散系列により逆拡散することにより受信軟出力信号を生成する手段と、該受信軟出力信号を硬判定することにより該相手局の通信ノードの送信した送信データを検出する手段とを備えたものである分散ノード通信システム。
【請求項3】
請求項1,2のいずれか1項に記載した分散ノード通信システムであって、
前記合成修正軟出力生成手段は、前記復調信号を前段の通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段の各通信ノードと自局通信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力のうち平均電力が予め設定した閾値以下の値を取る修正軟出力を除いた全ての修正軟出力を加算することにより前記合成修正軟出力を生成するものである分散ノード通信システム。
【請求項4】
請求項1,2のいずれか1項に記載した分散ノード通信システムであって、
前記合成修正軟出力生成手段は、前記復調信号を前段の通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段の各通信ノードと自局通信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、それらの修正軟出力の電圧振幅を当該修正軟出力に含まれる信号対雑音比に応じて調整した調整軟出力を生成し、該調整軟出力を加算することにより前記合成修正軟出力を生成するものである分散ノード通信システム。
【請求項5】
請求項2に記載した分散ノード通信システムであって、
前記通信段は、内側の通信段に対して、その通信段に隣接する外側の通信段が環状に内側の通信段を包囲するように配置されたものである分散ノード通信システム。
【請求項6】
請求項2に記載した分散ノード通信システムであって、
複数段の前記通信段は順次距離を隔てて配置されており、
複数段の前記通信段は、前記通信ノードが1つの通信段と、前記通信ノードが複数の通信段とを含むものである分散ノード通信システム。
【請求項7】
請求項2に記載した分散ノード通信システムであって、
前記通信段は、円環状に配置された複数個の前記通信ノードからなる円環状通信段を含むものであり、
複数の前記通信段が、前記円環状通信段の円環が含まれる平面と直交する方向に互いに距離を隔てて配置されたものである分散ノード通信システム。
【請求項8】
請求項7に記載した分散ノード通信システムであって、
前記円環状通信段(B,C,D)の中心点を結ぶ曲線の近傍に沿って移動局(M)が移動するものであり、
前記送受信時点制御手段は、前記移動局(M)の移動に伴って、前記移動局(M)の近傍位置にある前記円環状通信段に属する全ての通信ノードに対して同一のタイミングで受信開始および送信開始の動作を行わせるものであるとともに、前記移動局(M)の近傍位置にある前記円環状通信段の通信ノードと通信可能となるようなタイミングで前記移動局(M)に送信開始および受信開始の動作を行わせるものであり、
前記移動局(M)は、
受信した無線信号を復調することにより生成した復調信号を、近傍位置にある前記円環状通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、それらの各通信ノードと自局間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力に基づいて合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、
前記合成修正軟出力を、データ受信を希望する相手局の通信ノードが用いた第1拡散系列により逆拡散することにより受信軟出力信号を生成する手段と、該受信軟出力信号を硬判定することにより該相手局の通信ノードの送信した送信データを検出する手段とを備えたものである分散ノード通信システム。
【請求項9】
請求項7に記載した分散ノード通信システムであって、
前記円環状通信段(B,C,D)の中心点を結ぶ曲線の近傍に沿って移動局(M)が移動するものであり、
前記移動局(M)が既に通過した後方の近接する前記円環状通信段の各通信ノードは、当該円環状通信段に割り当てられた送信タイミングで無変調搬送波を送信し、
前記移動局(M)は、前記無変調搬送波の受信に対応して自局が記憶するデータを読み出して送信し、
前記移動局(M)の移動方向の前方の近接する前記円環状通信段の各通信ノードは、前記移動局(M)の送信データを受信するものであり、
さらに、前記移動局(M)が既に通過した後方の近接する前記円環状通信段の各通信ノードは、当該円環状通信段に割り当てられた送信タイミングで前記無変調搬送波と異なる周波数の搬送波を用いて書き込みデータを含む送信信号を送信し、
前記移動局(M)は、受信した書き込みデータを自局の記憶手段に記憶するものである分散ノード通信システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は送受信および中継伝送機能を有する通信ノードからなるノード群(通信段)を、通信空間内に多段に配置し、ある通信ノードが送信した信号が一般に複数の通信段を順次経由して中継伝送される分散ノード通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のシステムと構成上類似する従来の無線伝送システムについて説明する。まず、多入力多出力方式(MIMO:Multiple Input Multiple Output)と呼ばれるシステムについて、その一例を図16を参照して説明する。送信機TXから受信機RXに送信データが送られる。送信データ系列{d}は送信部TX0において、2個のデータ系列{d1},{d2}に分離され、内蔵する変調器により無線信号に変換された後、2個の送信増幅器AMPTを経てアンテナTA1,TA2からそれぞれ送信される。
【0003】
受信機RXにおいて、受信信号は受信アンテナRA1,RA2から受信増幅器AMPRを経て、2個の受信信号が復調部RX0に送られる。送受信機間の伝搬定数を要素とする伝搬行列をH(h11,h21,h12,h22)とすると、トレーニング期間におけるパイロット信号の伝送を利用して、パイロット応答回路PR1,PR2が伝搬行列のレプリカ^H(^h11,^h21,^h12,^h22)を予め生成し記憶している。ここで「^H」,「^h」等の表記は「^」を上部に伴うそれぞれの英字記号を表すものである。このように、この明細書では「^」,「~」を上部に伴う英字の代理表記として「^」,「~」を前置した英字を用いる場合がある。
【0004】
復調部RX0の信号処理部AYZは、2系列に分離された送信信号が伝搬行列により変換され、さらに多重化された形で受信された2系列の受信信号をレプリカ^Hを用いて分析することにより、2系列のデータ成分の軟出力{~d1},{~d2}を分離生成する。これらの成分内の個々のデータ成分を判定器DECにより硬判定し、送信データ系列の検出値{^d1},{^d2}を生成する。
【0005】
このようなMIMO方式の利点は、送受信に1個ずつのアンテナを用いる方式に比べ、送受信に2個ずつのアンテナを用いることにより、同じ伝送帯域幅であっても伝送容量を倍増できることにある。このような利点を得るためには、伝搬行列の要素が互いに無相関であること、受信機がレプリカ^Hを予め取得し、受信信号をこのレプリカ^Hにより分析する必要がある。伝搬定数を無相関にするためには、送信アンテナ相互の設置間隔および受信アンテナ相互の設置間隔を搬送波の波長の1/2以上に設定する必要がある。また、見通し内伝搬環境では、伝搬定数間の相関が増大するので、2系列の分離は困難となり容量の増大は不可能である。
【0006】
上記の問題を解決する手法として、図16の中央下部の破線枠で示すように、中継段REP1,REP2を送受信機間に挿入する技術がある。このような技術の例としては、下記の特許文献1,2のような通信方式が知られている。
【0007】
図16において、伝搬経路上に破線枠で示した中継段REP1,REP2を挿入することにより、送信機TXの出力は2個の中継器REP1,REP2を経て受信機RXに伝送される。この場合の伝搬行列Hは送信側の伝搬行列HT(h1R1,h2R1,h1R2,h2R2)と受信側の伝搬行列HR(hR11,hR21,hR12,hR22)の積として与えられ、見通し内環境でも伝搬定数間の相関が減少するので、復調部RX0における信号分離が達成される。このような中継段を備えたMIMO方式(以下、MIMO-REP方式という)は、外観上は本発明の構成と類似しているが、後述するように本質的に異なる技術である。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2005-192185号公報
【特許文献2】特開2006-148482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のMIMO方式やMIMO-REP方式の通信システムは、送信局と受信局間の伝送効率の向上やS/N比の改善を目的とした、単純な送信局-受信局間の通信システムであった。このような従来の通信システムは、ユビキタス通信への応用を考慮されたものではなく、空間の広い領域内に多数配置された通信局(通信ノード)を扱うものでもなかった。近年「同時にあらゆる所との通信」を可能とするようなユビキタス通信の実用化が注目を集めているが、従来の通信システムはこのようなユビキタス通信に対して必ずしも適合性がよいものではなかった。
【0010】
そこで、本発明は、送受信および中継伝送機能を有する通信ノードからなるノード群を通信段とし、その通信段を通信空間内に多段に配置するとともに、それらの通信段間の送受信のタイミングを統合的に制御するようにして、通信形態の自由度が大きく、多様な形態の応用分野に適用可能であり、ユビキタス通信への適合性の良好な通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の分散ノード通信システムは、無線信号を送信する送信ノードと、前記送信ノードが送信した無線信号を受信してその無線信号を復調した復調信号を記憶するとともに、記憶した復調信号を無線中継信号に変換して送信する1つ以上の中継ノードからなる中継段と、無線信号を受信する受信ノードと、前記送信ノードおよび前記中継ノードの送信開始時点と、前記中継ノードおよび前記受信ノードの受信開始時点とを制御し、同一の中継段に属する全ての中継ノードに対して同一のタイミングで受信開始および送信開始の動作を行わせる送受信時点制御手段とを有し、前記送信ノードと前記受信ノードの間の通信空間に1段以上の段数の前記中継段が配置された分散ノード通信システムである。前記送信ノードは、送信データによりリンク識別用拡散系列を変調して基底帯域送信信号を生成する手段と、該基底帯域送信信号により搬送波を変調して生成した無線信号を送信する手段を備えたものである。前記中継ノードは、受信した無線信号を局部搬送波により復調して基底帯域受信信号を生成し、前段ノードの用いたリンク識別用拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段ノードと該中継ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力を加算して合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、該合成修正軟出力によりリンク識別用拡散系列を変調して基底帯域送信信号を生成する手段と、該基底帯域送信信号により搬送波を変調して生成した無線信号を送信する手段を備えたものである。前記受信ノードは、受信した無線信号を局部搬送波により復調して基底帯域受信信号を生成し、前段中継ノードの用いたリンク識別用拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段中継ノードと該受信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力を加算して合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、該合成修正軟出力を硬判定することにより前記送信ノードが送信した送信データを検出する手段を備えたものである。
【0012】
また、本発明の分散ノード通信システムは、送信データにより搬送波を変調して生成した無線信号を送信する送信機能と、受信した無線信号を局部搬送波により復調することにより生成した復調信号を記憶するとともに、記憶した復調信号を無線信号に変換して中継送信する中継機能と、前記復調信号を用いて送信データを検出する受信機能とを備えた通信ノードを1つ以上備え、該通信ノードが全て同一のタイミングで動作する通信段と、前記通信ノードの送信開始時点と受信開始時点とを制御し、同一の通信段に属する全ての通信ノードに対して同一のタイミングで受信開始および送信開始の動作を行わせる送受信時点制御手段とを有し、複数の前記通信段が通信空間内に配置された分散ノード通信システムである。前記通信ノードは、受信した無線信号を復調することにより生成した復調信号を、前段の通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段の各通信ノードと自局通信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力を加算することにより合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、該通信ノードを始点とする送信データにより送信点識別用第1拡散系列を変調して第1拡散信号を生成する手段と、前記第1拡散信号と前記合成修正軟出力とを加算した出力によりさらに伝送リンク識別用第2拡散系列を変調して第2拡散信号を生成する手段と、前記第2拡散信号により搬送波を変調して生成した無線信号を送信する手段と、前記合成修正軟出力を、取得したいデータを送信した相手局の通信ノードが用いた第1拡散系列により逆拡散することにより受信軟出力信号を生成する手段と、該受信軟出力信号を硬判定することにより該相手局の通信ノードの送信した送信データを検出する手段とを備えたものである。
【0013】
また、上記の分散ノード通信システムにおいて、前記合成修正軟出力生成手段は、前記復調信号を前段の通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段の各通信ノードと自局通信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力のうち平均電力が予め設定した閾値以下の値を取る修正軟出力を除いた全ての修正軟出力を加算することにより前記合成修正軟出力を生成するものであることが好ましい。
【0014】
また、上記の分散ノード通信システムにおいて、前記合成修正軟出力生成手段は、前記復調信号を前段の通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、前段の各通信ノードと自局通信ノード間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、それらの修正軟出力の電圧振幅を当該修正軟出力に含まれる信号対雑音比に応じて調整した調整軟出力を生成し、該調整軟出力を加算することにより前記合成修正軟出力を生成するものであることが好ましい。
【0015】
また、上記の分散ノード通信システムにおいて、前記通信段は、内側の通信段に対して、その通信段に隣接する外側の通信段が環状に内側の通信段を包囲するように配置されたものとすることができる。
【0016】
また、上記の分散ノード通信システムにおいて、複数段の前記通信段は順次距離を隔てて配置されており、複数段の前記通信段は、前記通信ノードが1つの通信段と、前記通信ノードが複数の通信段とを含むものとすることができる。
【0017】
また、上記の分散ノード通信システムにおいて、前記通信段は、円環状に配置された複数個の前記通信ノードからなる円環状通信段を含むものであり、複数の前記通信段が、前記円環状通信段の円環が含まれる平面と直交する方向に互いに距離を隔てて配置されたものとすることができる。
【0018】
また、上記の分散ノード通信システムにおいて、前記円環状通信段の中心点を結ぶ曲線の近傍に沿って移動局が移動するものであり、前記送受信時点制御手段は、前記移動局の移動に伴って、前記移動局の近傍位置にある前記円環状通信段に属する全ての通信ノードに対して同一のタイミングで受信開始および送信開始の動作を行わせるものであるとともに、前記移動局の近傍位置にある前記円環状通信段の通信ノードと通信可能となるようなタイミングで前記移動局に送信開始および受信開始の動作を行わせるものであり、前記移動局は、受信した無線信号を復調することにより生成した復調信号を、近傍位置にある前記円環状通信段の各通信ノードが用いた第2拡散系列によりそれぞれ逆拡散して得た各軟出力に対し、それらの各通信ノードと自局間の伝送で生じた搬送波の位相回転量をそれぞれ修正する位相修正処理を施すことにより各修正軟出力を生成し、これらの修正軟出力に基づいて合成修正軟出力を生成する合成修正軟出力生成手段と、前記合成修正軟出力を、データ受信を希望する相手局の通信ノードが用いた第1拡散系列により逆拡散することにより受信軟出力信号を生成する手段と、該受信軟出力信号を硬判定することにより該相手局の通信ノードの送信した送信データを検出する手段とを備えたものとすることができる。
【0019】
また、上記の分散ノード通信システムにおいて、前記円環状通信段の中心点を結ぶ曲線の近傍に沿って移動局が移動するものであり、前記移動局が既に通過した後方の近接する前記円環状通信段の各通信ノードは、当該円環状通信段に割り当てられた送信タイミングで無変調搬送波を送信し、前記移動局は、前記無変調搬送波の受信に対応して自局が記憶するデータを読み出して送信し、前記移動局の移動方向の前方の近接する前記円環状通信段の各通信ノードは、前記移動局の送信データを受信するものであり、さらに、前記移動局が既に通過した後方の近接する前記円環状通信段の各通信ノードは、当該円環状通信段に割り当てられた送信タイミングで前記無変調搬送波と異なる周波数の搬送波を用いて書き込みデータを含む送信信号を送信し、前記移動局は、受信した書き込みデータを自局の記憶手段に記憶するものとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0021】
各通信ノードの送信信号に対しリンク識別用の拡散系列による拡散を施すことにより、前段の各通信ノードから受信したリンク信号の識別分離を可能としている。さらに、伝搬過程で生ずる搬送波位相の変化を修正する機能を各通信ノードに持たせることにより、複数の前段通信ノードから受信したリンク信号の伝搬過程で生じた位相回転を修正することができる。その結果、所望の1対の通信ノード間のデ-タ伝送において、経由した通信段数と各通信段を構成するノード数が増大するに従って受信S/N比は増大する。したがって、受信レベル変動の大きな空間においても、低い送信電力を用いて誤り発生確率が小さく安定な通信を提供できる。
【0022】
また、タイミング制御信号を用いた2相または多相による通信段間の時分割伝送方式により、順方向、逆方向、順逆双方向同時伝送、或いは2次元、3次元空間内のセンターから周辺へ、その逆方向への伝送などの実現と、それらの伝送モードの選択切り替え制御などにより柔軟なネットワークを構成できるので、ユビキタス通信において想定される多様な通信需要に適応できる。
【0023】
また、アクティブ・タグやパッシブ・タグと固定通信網間の通信に適用すれば、低電力通信による信頼性の高い分類配送システムを実現できる。さらに、移動通信システムにおけるセル内通信に本発明の多段中継技術を適用すれば、多段中継によるS/N比の増大と多数回の同一シンボル成分の送受信により、基地局と移動体ノード間の安定な低電力通信を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の分散ノード通信システムの基本構成を示す図である。
【図2】図2は、第1拡散符号および第2拡散符号を使用した分散ノード通信システムの具体的な構成を示す図である。
【図3】図3は、分散ノード通信システムのS/N比の特性を示すグラフである。
【図4】図4は、中継段を1段とした最も単純な通信システムを示す図である。
【図5】図5は、図4の通信システムを複数個縦続接続して構成した通信システムを示す図である。
【図6】図6は、長い廊下のような空間における通信システムの一例を示す図である。
【図7】図7は、所定方向の伝送を行う通信システムに対して、分岐伝送路を付加した通信システムを示す図である。
【図8】図8は、中継段をその外側の中継段で環状に包囲するような構造の通信システムを示す図である。
【図9】図9は、通信ノード内の送信部と受信部における信号処理過程を示す図である。
【図10】図10は、通信ノードの構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、通信ノードのシンボル伝送部の詳細を示すブロック図である。
【図12】図12は、移動体ノードを含む通信システムの概要を示す図である。
【図13】図13は、移動体ノードMの移動位置と各タイミングとの関係を示す図である。
【図14】図14は、電源を内蔵しない移動体ノードを含む通信システムの概要を示す図である。
【図15】図15は、図14の通信システムの側面図である。
【図16】従来の多入力多出力方式の通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の分散ノード通信システムの基本構造を示す図である。本発明の分散ノード通信システムは、送信ノードA,中継ノードBn(n=1,2,…,Ns),中継ノードCm(m=1,2,…,Ns)および受信ノードDとからなるものである。一群の中継ノードBn(n=1,2,…,Ns)を中継段Bとし、一群の中継ノードCm(m=1,2,…,Ns)を中継段Cとする。ここで、それぞれの中継段におけるノード数をNsで表す。送信ノードAから送信した信号が、 中継段B,中継段Cを経て受信ノードDへと順次矢印方向に伝搬する通信システムである。

【0026】
また、送信ノードAも単数のノードからなる通信段であると考えることができ、受信ノードDも単数のノードからなる通信段であると考えることができる。一般化すれば、これらの通信段A,中継段B,中継段C,通信段Dを、それぞれk段目(k=0,1,2,3)に相当する通信段であると考えることができる。図1では、各通信段におけるノード数Nsは、通信段AではNs=1、中継段B,CではNs=3、通信段DではNs=1となっている。なお、中継段B,Cでのノード数をNsは3以外の数でもよく、中継段B,Cのノード数が互いに異なる数でもよい。

【0027】
図1における中継段は2段であるが、一般的に中継段の段数をK-1とし、K+1段の通信段k(k=0,1,2,…,K)によるK段の中継伝送(K-hop伝送)を実現することができる。図1において、a,b,cの符号が付与された破線は、信号伝送のタイミングを示すものである。タイミングaは送信ノードA→中継段Bの信号伝送、タイミングbは中継段B→中継段Cの信号伝送、タイミングcは中継段C→受信ノードDの信号伝送を示す。これらは互いに異なるタイミングである。各通信は無指向性送受信アンテナを介して行われる。ノード間の距離はすべてほぼ等しく、ノード間の距離による信号の減衰量は互いにほぼ等しいとする。

【0028】
タイミングaにおいて、送信ノードAは2値送信データdAを用いて局部搬送波を変調することにより生成した送信信号SAを送信し、中継ノードBnは送信信号SAに対応する受信信号RBnを受信し、局部搬送波(ここでは、非同期受信とする)を用いることにより受信信号RBnを復調して基底帯域信号を生成し、これを一時記憶回路に書き込む。次に、中継ノードBnは記憶された基底帯域信号を読みだして、基底帯域信号により局部搬送波を変調して送信信号SBnを生成し、これをタイミングaに後続するタイミングbにおいて送信する。

【0029】
中継ノードCmは送信信号SBnに対応する受信信号RCmを受信し、局部搬送波を用いることにより受信信号RCmを復調して基底帯域信号を生成する。この場合基底帯域信号はNs個の前段の中継ノードBnから個々に受信したNs個の受信信号成分の加算出力になっている。そして加算出力を一時記憶回路に書き込む。次に、記憶された加算出力を読みだした信号により局部搬送波を変調して送信信号SCmを生成し、これをタイミングbに後続するタイミングcにおいて送信する。

【0030】
受信ノードDは送信信号SCmに対応する受信信号RDを受信する。局部搬送波を用いることにより受信信号RDを復調して基底帯域信号を生成する。基底帯域信号はNs個の前段の中継ノードCmから個々に受信したNs個の受信信号成分の加算出力になっている。この加算出力が出力SDである。次に、出力SDに含まれている送信ノードAの送信データdAを検出する。このようにして、送信ノードAから受信ノードDへの伝送が遂行される。

【0031】
ここでシステムを一般化して、複数の送信ノードが存在し、これらが多重アクセス方式により通信する場合を考える。この場合、送信ノードAの送信データdAのみをその他の送信ノードXの送信データdXと分離して検出するためには、多重化および分離復元が可能な通信方式が必要である。多重化通信方式としては、時分割多重や周波数分割多重方式もあるが、ここでは符号分割多重方式を用いる。

【0032】
すなわち、データの始点送信ノードを識別するための第1拡散符号をξとする。次の式1に示すように、この第1拡散符号ξは互いに直交するN個の系列ξi(i=1,2,…,N)の集合である。
ξ={ξ1,ξ2,ξ3,…,ξN} ・・・ 式1

【0033】
送信ノードAは、第1拡散符号ξの中の例えば第1番目の系列ξ1を送信ノードAの第1拡散系列ξAとし、送信データdAにより系列ξAを変調することにより被拡散信号dAξAを基底帯域信号として生成する。系列ξAは、第1拡散符号ξの中から送信ノードAに専用に割り当てられた系列である。このように、各通信ノードには第1拡散符号ξの中からそれぞれ専用の系列が割り当てられる。さらに、送信ノードAは、基底帯域信号dAξAを用いて局部搬送波を変調することにより送信信号SAを生成し、この送信信号SAを送信する。

【0034】
次に、中継段Cの動作に着目して説明する。中継段Bの動作も中継段Cの動作と同様である。中継ノードCmが受信信号を復調することにより生成した基底帯域信号R´CmはNs個の複素数成分R´Cm/Bnから構成される。ただし、この明細書では「/Bn」の表記法により「中継ノードBnから送信された成分」を表す。他のノードについても同様である。よって、基底帯域信号R´Cmはこれらの複素数成分の加算出力ΣR´Cm/Bn(n=1,2,…,Nsでの加算)となる。

【0035】
中継ノードCmが受信する受信信号は、送信ノードAが生成した第1拡散信号dAξAが、送信ノードA→中継ノードBn→中継ノードCmと伝搬される過程で減衰αを受ける。そして、この受信信号は、中継ノードBnにおいて増幅度Gの増幅がなされている。また、この受信信号は、送信ノードA→中継ノードBn,中継ノードBn→中継ノードCmのそれぞれ伝搬過程において、非同期受信により送受信搬送波の位相差を発生する。それらの位相差の和を位相差θとする。基底帯域信号R´Cm/Bnは、減衰αと位相差θを用い次式のように表わされる。
R´Cm/Bn=αGdAξA・exp(jθ) ・・・ 式2

【0036】
なお、ここで
exp()は指数関数を表し、jは虚数単位を表す。また、ここでは受信信号に含まれる雑音成分の表示は省かれている。式2はまた、右辺の複素数を実数部と虚数部に分けて、次の式3のように表すことができる。
R´Cm/Bn=ICm/Bn+jQCm/Bn ・・・ 式3

【0037】
式3では、中継ノードCmが中継ノードBnから受信した信号の実数部をICm/Bn、虚数部をQCm/Bnとして表している。それらの実数部、虚数部の極性も振幅も位相差θにより変化する。位相差θはランダムな値をとる。また、一般にn≠mの中継ノードBnから中継ノードCmに至るリンクを経て受信した複素信号成分は相互に無相関である。したがって、その実数部加算出力(ΣICm/Bn)と虚数部加算出力(ΣQCm/Bn)とからなる受信信号(ΣR´Cm/Bn)の規格化電力は、その実数部加算出力の2乗と虚数部加算出力の2乗の和となる。

【0038】
ここで、中継ノードCmが送信ノードAから中継ノードBnを経由して受信した受信信号の位相差θを何らかの手段で修正することができれば、異なる中継ノードBnを経由しての受信信号を同位相とすることができ、それらを加算した受信信号(ΣR´Cm/Bn)の電力も最大にすることができる。このように、送信信号が経由するリンクに応じて発生する位相差θを修正するために第2拡散符号ζを導入する。

【0039】
次の式4に示すように、この第2拡散符号ζは互いに直交するN個の系列ζi(i=1,2,…,N)の集合である。ただし、ここで第2拡散符号の系列の個数Nを第1拡散符号の系列の個数と同じ符号で表しているが、これらの系列の個数は互いに一致している必要はない。
ζ={ζ1,ζ2,ζ3,…,ζN} ・・・ 式4

【0040】
図2は、図1の分散ノード通信システムにおいて、第1拡散符号ξに加えて第2拡散符号ζを使用した通信システムの具体的な構成を示した図である。ただし、図2では搬送波変調、搬送波復調に関しては図示を省略している。次に、図2の通信システムについて説明し、第2拡散符号ζの機能に関しても説明する。

【0041】
送信ノードAには、第1拡散符号ξの中から専用の系列ξAが割り当てられとともに、第2拡散符号ζの中から専用の系列ζAが割り当てられている。送信ノードAは、基底帯域信号として生成した前述の第1拡散信号dAξAにより、さらに第2拡散系列ζAを拡散変調することにより、2重拡散変調信号を基底帯域信号として生成する。この第2拡散符号ζによる拡散処理は、伝搬過程で生じた位相回転を次段のノードで修正するために利用される。送信ノードAの第2拡散後の基底帯域送信信号S´Aは次式で与えられる。
S´A=dAξAζA ・・・ 式5

【0042】
中継ノードBnは、受信信号を局部搬送波により復調することにより式2と同様の基底帯域受信信号を生成する。これを第2拡散系列ζAにより逆拡散すれば、次の式6で示すような送信ノードA→中継ノードBnを伝搬した信号(リンク伝搬成分)が得られる。
R´Bn=αABnBnAξA・exp(jθ)
=IBn+jQBn ・・・ 式6

【0043】
ここで、減衰αABnは上記のノード間の伝搬による減衰であり、増幅度GBnは中継ノードBnにおいてなされる増幅の増幅度である。また、位相差θは上記のノード間の伝搬による位相回転量である。送信ノードAは実際のデータ送信に先だちパイロット信号を送信する。中継ノードBnは、このパイロット信号の受信信号を復調したパイロット応答からノード間の伝搬による位相回転量を推測することができ、実際のデータ受信においてその位相回転量を補償することができる。

【0044】
すなわち、送信ノードAの送信データdAが実数成分のみであれば、位相差θは式6における実数部IBnと虚数部QBnの比から次式により求めることができる。
θ=arctan(QBn/IBn) ・・・ 式7

【0045】
なお、ここで
arctan()は正接関数の逆関数を表す。この式7においては、「/」は除算を示す演算子である。中継ノードBnは、パイロット応答から式7により位相差θを求めて記憶しておき、実データの受信時に式6で示す信号に対して位相差θの補償処理を行うことができる。すなわち、式6で示す信号に exp(-jθ)を乗算することにより、位相差θの影響を相殺することができる。式6の信号にこのような位相差θの補償処理を行って得られる位相変換信号RcBnは、次式で与えられる。
cBn=αABnBnAξA ・・・ 式8

【0046】
また、増幅度GBnを、減衰αABnに対してαABnBn=1となるように選ぶようにすれば、式8で示す位相変換信号RcBnは、dAξAとなり、送信ノードAが基底帯域信号として生成した第1拡散信号dAξAと同一の信号となる。このとき、位相変換信号は送信ノードAから送信された第1拡散信号と同じ電圧となり電力も同一となる。この通信システムでは、受信側の通信ノードの増幅度Gは、前段の通信ノードからの全ての伝搬経路(リンク)における減衰αの平均値をE(α)とすると、E(α)G=1の関係となるように、増幅度Gが設定されている。ここで、平均値を求める関数をE()で表す。全ての通信ノードの増幅度Gがこのように設定されている。

【0047】
中継ノードBnは、式8で示す位相変換信号RcBnを記憶回路に記憶し、その後、記憶回路から読み出した信号により、基底帯域送信信号S´Bnを生成する。この際、中継ノードBnを始点とする伝搬経路(リンク)を次段のノードが識別できるようにするために、第2拡散系列ζBnによる拡散処理を行う。第2拡散系列ζBnは、第2拡散符号ζの中から中継ノードBn専用に割り当てられた系列である。中継ノードBnの基底帯域送信信号S´Bnは次式で与えられる。
S´Bn=αABnBnAξAζBn ・・・ 式9

【0048】
式9の信号は中継ノードBnから搬送波を介して中継ノードCmに伝送され、中継ノードCmは搬送波復調により基底帯域受信信号R´Cmを生成する。中継ノードCmが中継ノードBnから受信したリンク伝搬成分である基底帯域受信信号R´Cm/Bnは、受信信号に対して第2拡散系列ζBnによる逆拡散を施すことによって得られる。この逆拡散の処理は図2においては相関器MF1~MF3によって行われる。第2拡散符号ζの直交性により、それぞれの中継ノードBnを経由したリンク伝搬成分を互いに独立して受信し識別することができる。基底帯域受信信号R´Cm/Bnは、次式で与えられる。
R´Cm/Bn=αABnBnαBnCmCmAξA・exp(jθ)
=ICm/Bn+jQCm/Bn ・・・ 式10

【0049】
ここで、減衰αBnCmは上記のノード間(Bn→Cm)の伝搬による減衰であり、増幅度GCmは中継ノードCmにおいてなされる増幅の増幅度である。また、位相差θは上記のノード間(Bn→Cm)の伝搬による位相回転量である。中継ノードBnは実際のデータ送信に先だちパイロット信号を送信する。中継ノードCmは、このパイロット信号の受信信号を復調したパイロット応答からノード間の伝搬による位相回転量を推測することができ、実際のデータ受信においてその位相回転量を補償することができる。中継ノードCmの位相回転量の補償については前述の中継ノードBnの補償動作と同様である。

【0050】
すなわち、式10で示す信号に exp(-jθ)を乗算することにより、位相差θの影響を相殺することができる。式10の信号にこのような位相差θの補償処理を行って得られる位相変換信号RcCm/Bnは、次式で与えられる。
cCm/Bn=αABnBnαBnCmCmAξA ・・・ 式11

【0051】
中継ノードCmは、式11で与えられる位相変換信号RcCm/Bnをn(n=1,2,…,Ns)について加算し、その加算出力を合成変換出力RsCmとする。合成変換出力RsCmは次式で与えられる。
sCm=Σn(αABnBnαBnCmCm)dAξA ・・・ 式12

【0052】
式12で、Σnはn(n=1,2,…,Ns)についての加算を表す。中継ノードCmは、式12で与えられる合成変換出力RsCmを記憶手段に記憶しておき、次の送信タイミングでこの合成変換出力RsCmを記憶手段から読み出して中継動作を行う。

【0053】
前述のように、この通信システムでは、通信ノードの増幅度Gと前段側の各リンクにおける減衰αの平均値E(α)とが、E(α)G=1の関係となるように設定されている。これにより、式12の合成変換出力RsCmはさらに次式のように表すことができる。
sCm=NsAξA ・・・ 式13

【0054】
式13から次のことが分かる。すなわち、本発明の通信システムにおいては、送信ノードAから送信された送信電圧dAξAが、ノード数Nsの中継段Bを経由することにより、中継ノードCmにおいてNs倍に増幅されて受信されることになる。信号の電力に換算すればNsの2乗倍に増幅される。この合成変換出力の分散は、2段(Ns×Ns)の中継伝搬過程において生ずる空間ダイバーシティ効果により、中継段のノード数Nsの増大とともに減少する。Nsの値を大きくすれば、大数の法則により合成変換出力の標準偏差は減少し、安定な伝送が実現できる。

【0055】
中継ノードCmは、次の送信タイミングにおいて、記憶手段に記憶しておいた合成変換出力RsCmを読み出し、この信号にリンク識別用の第2拡散系列ζCmにより拡散処理を施して基底帯域送信信号S´Cmとする。基底帯域送信信号S´Cmは搬送波を介して受信ノードDに伝送される。ここでは、受信ノードDが伝送の終点となっているが、一般的には中継段をさらに増加させてもよい。

【0056】
中継ノードCmは、送信ノードAや他のノードを起点とする情報伝送の中継を行うだけでなく、自局ノードを起点とする情報の伝送も行うことができる。図2では、中継ノードC1を起点とする情報が送信データdC1で示されている。送信データdC1により第1拡散系列ξC1を変調した被拡散信号は、合成変換出力RsC1と加算され、さらに第2拡散系列ζC1による拡散処理を施され、搬送波を介して受信ノードDに伝送される。

【0057】
受信ノードDは、中継ノードCmの受信動作と同様の処理を行い、各中継ノードCmからの受信信号を加算して合成変換出力RsDを作成する。合成変換出力RsDは、式13を求めたのと同様の手順により、次式のように表すことができる。
sD=Ns2AξA ・・・ 式14

【0058】
式14から、受信ノードDにおける受信信号の電圧は、送信ノードAから送信された送信信号の電圧のNsの2乗倍に増幅されることが分かる。信号の電力に換算すればNsの4乗倍に増幅される。このように、Ns個のノードからなる中継段を2段経由することにより信号の電力はNsの4乗倍に増幅される。

【0059】
ここで、ノード間の位相回転量θは個別の各リンクA→Bn,Bn→Cm,Cm→Dにより異なる。この位相回転量θは、送信ノードAからパイロット信号をパイロット伝送期間に順次各リンクに伝送する手段、あるいは送信シンボルの一部にパイロット成分(データで変調しないチップ成分)を含ませて伝送する手段を用い、これらのパイロット信号に対するパイロット応答を取得することにより測定できる。したがって、このパイロット応答を用いて、各ノードが受信したリンク信号成分を、位相回転量θが0となるように修正すれば、位相修正逆拡散出力は互いに位相差のない実数成分のみとなり、受信信号が前述のように増幅される。なお、位相回転量θは必ずしも0に修正する必要はなく、0以外の一定値に修正してもよい。

【0060】
次に、本発明の通信システムの信号対雑音比(S/N比)特性を検討する。図1のような通信システムを一般化してk段の通信段を備えたものを考える。ここで、k=0の通信段が送信ノードAであるとすると、k=1の通信段が中継段Bとなる。各中継段のノード数をNsとすると、前述のように、k段目の通信段における受信電圧は送信ノードAの送信電圧のNsk-1倍となる。受信電力は送信電力のNs2k-2倍となる。

【0061】
ここで、中継段B以降(k≧1)の中継段において、送信ノードAが送信する信号電力と等しい電力の雑音が混入したものとして、S/N比を計算してみる。その場合、信号電力(S)と雑音電力(N)の比(S/N)は次式で与えられる。
S/N=Nsk-1/(1+Ns-1+Ns-2+…+Ns-k+1) ・・・ 式15

【0062】
図3は、式15で与えられるS/N比をデシベル(dB)で表し、中継段の段数kとの関係を示したものである。中継段のノード数Ns≧2であれば、中継段の段数kによる信号電力の増大が雑音の増大よりも大きくなり、図示のように、段数kの増加とともにS/N比も増大する。中継段のノード数Ns≧3であれば、各ノード間伝送のS/N比が0dB程度の場合(式15の場合)でも、最終段において十分大きな受信S/N比を得ることができる。このため、雑音に強く、低送信電力で動作するシステムを構築できる。

【0063】
ここで、中継ノードCmやその他の通信ノードにおける合成変換出力RsCmの生成法(式12)について補足する。式11の位相変換信号RcCm/Bnはレイレイ波特性により変動し、低レベル信号になる場合もある。このような信号は低い信号対雑音比(S/N比)をもつので利用しない方が得策である。そこで、パイロット応答の信号レベルを検出し、パイロット応答レベルが予め設定した閾値より低い場合には、式12の加算処理に含めないようにする。すなわち、位相変換信号のうち平均電力が予め設定した閾値以下の値を取る位相変換信号を除き、その他の全ての位相変換信号を加算することにより合成変換出力を生成する。これを補足1の生成方法とする。

【0064】
または、次のような合成変換出力の生成方法を用いてもよい。各ノード間のパイロット応答信号により、各ノード間伝送での信号成分の電力と雑音成分の電力を求めることができ、各リンクの信号対雑音比(S/N比)を求める。各リンクの位相変換信号に対して、そのS/N比に比例した電力となるように重み係数wnを乗じ、その重み係数wnで修正した位相変換信号を加算して合成変換出力とする。すなわち、合成変換出力RsCmを次式により求める。
sCm=ΣnncCm/Bn ・・・ 式16

【0065】
式16において、重み係数wnによって修正した位相変換信号wncCm/Bnは、各リンクのS/N比に比例した電力となる。式16のような合成変換出力の生成方法を用いると、通信システムの実効S/N比を、式15の値よりもさらに向上させることができる。これを補足2の生成方法とする。

【0066】
図1においては、送信ノードAは送信機能を持ち、中継ノードBn,Cmは中継機能を持ち、受信ノードDは受信機能を持つものとした。しかし、これらの通信ノードが全て同一のノードで、各ノードが送信機能、中継機能、受信機能の全ての機能を有するものとしてもよい。このような通信システムにおいては、各通信ノードは自局ノードを始点とする送信データを他の任意の通信ノードへ伝送できる。その伝送は直接行われる場合もあるが、中継ノードを介して行われる場合もある。

【0067】
なお、第1拡散系列による変調を用いる代わりに、例えば、各通信ノードに固有のデータ送信タイミング(時間スロット)を割り当て、時分割方式により任意の通信ノード間伝送を実現することもできる。または、各通信ノードに固有の中間周波数を割り当てて、周波数分割方式より任意の通信ノード間伝送を実現することもできる。これらの場合には、第1拡散系列および第2拡散系列による2重拡散変調の必要はなくなり、第1拡散系列は使用せず第2拡散系列のみを使用すればよい。

【0068】
図1に示した中継段を横方向に任意個数縦続接続することにより、1次元のネットワークを構成できる。中継段を1段として最も単純な通信システムとしたものを図4に示す。図4の通信システムは、送信ノードA、中継段B、受信ノードCからなるものであり、中継段Bのノード数Nsは6である。また、中継段Bの各通信ノードは円周上に均等に配置されている。

【0069】
ここで、ノード間の減衰量がノード間距離dの関数になるものと仮定する。一般にノード間減衰量が等しい場合に優れた伝送特性が得られるが、図4の通信システムではノード間距離dを全て等しくすることによりノード間減衰量も等しくすることができる。図4の構成を用いると、中継段Bのノード数Nsを任意の個数としてもノード間距離dを一定に保つことができる。

【0070】
図4の通信システムは、通信段Bの通信ノードが円環状に配置されている。そして、複数段の通信段A,B,Cは、円環状の通信段Bの円環が含まれる平面と直交する方向に互いに距離を隔てて配置されている。送信データは円環が含まれる平面と交差する方向に伝送される。

【0071】
図4の通信システムを複数個縦続接続して、図5に示すような長い鎖状の通信システムを構成することができる。図5の通信システムにおいてもノード間距離およびノード間減衰量を全て等しくすることができる。図5の通信システムでは、ノード間の伝送タイミングとして、タイミングaとタイミングbの2相タイミングを使用して、実線矢印で示す右方向への伝送と、破線矢印で示す左方向への伝送の両者を同時に行うことができる。すなわち双方向の伝送を実現することができる。

【0072】
このような2相のタイミングa,b,a,b,…の繰り返しによる双方向伝送の場合には、例えば、送信ノードAから送信した1つの送信データが他のノードを経由してこのネットワーク内を永久に循環することになり、各ノードに記憶されるデータの多重度は累積してしまう。そこで、各ノードが複数のシンボルの送受信を行った適当な期間の後に、制御ノードから送信されたリセット信号により、各ノード内のメモリに記憶されている全情報を消去し、改めて次の送受信を開始するというような手段を別途設ける必要がある。

【0073】
次に、長い廊下のような空間における通信システムの一例を図6に示す。図6の通信システムは、送信ノードA、中継段B,C,D,…からなるものであり、各中継段のノード数Nsは3である。図示のように、天井側に通信ノードA,B1,B3,C2,D1,D3,…が配置され、床面側に通信ノードB2,C1,C3,D2,…が配置されている。また、通信ノードB1,B2,B3は、直角二等辺三角形の頂点位置(ノードB2が直角頂点)となるように配置し、通信ノードA,B1,B3も同形の直角二等辺三角形の頂点位置(ノードAが直角頂点)となるように配置することが好ましい。

【0074】
すなわち、図6の配置では、天井と床の距離をeとすると、天井にある通信ノードB1,B3間の距離は2eとなり、隣接段のノード間距離dは(√2)eとなっている。ここで、「√2」は2の平方根を表す。しかし、このような配置に限定されることはなく、一般にdをさらに長くし段間距離を増大しても、天井と床の距離eに対して、天井にある通信ノード間(例えば、B1,B3間)距離が2eであるという条件さえ満足すれば、このような配置により主要な伝送リンクの各通信ノード間距離を等しくできる。

【0075】
図6のような所定方向の伝送を行う通信システムに対して、分岐伝送路を付加した通信システムを図7に示す。図7の通信システムでは、分岐点である通信段Dのタイミングを適当に選ぶことにより、図の横方向の伝送路から分岐点を経て図の縦方向の伝送路に分岐させたり、あるいはその逆の伝送をさせたりすることができる。

【0076】
図8は、方形に配置した中継段をその外側の同様な中継段で環状に包囲するような構造の通信システムを示す図である。図8(a)は通信ノードの配置を示す平面図であり、図8(b)は側面図である。中央の通信ノードAから外方向に中継段B,C,D,…を介して送信信号を伝送させることができ、また、逆に外周側から通信ノードAに向けて送信信号を伝送させることもできる。伝送のタイミングは多相のタイミングa,b,c,d,e,f,gによって駆動する。a→b→c…のように順方向に順次駆動すれば、中央の通信ノードAから周辺の通信ノードに向けた伝送が行われ、その逆方向に駆動すれば、周辺の通信ノードGから中央の通信ノードAに向けた伝送が行われる。

【0077】
また、図8(b)の側面図で示すように、これらの通信段は1段おきに交互に天井側と床面側上に立体的に配置する。そうすれば、隣接する中継段のノード間に対して等距離の配置が実現できる。このような配置の通信システムでは、ある通信ノードから次段への伝送において、ノード間の距離の関係で、次段の全ての通信ノードに有効な伝送が行われるわけではない。しかし、次段の2つ以上の通信ノードに有効な伝送が行われれば、前述のような中継による増幅効果を得ることができる。

【0078】
図4から図8のような各構成の通信システムにおいて、全てのノードを送信機能、中継機能、受信機能の全ての機能を有する通信ノードとすれば、任意の1対のノード間伝送が可能な汎用的な通信システムが実現できる。さらに、前述の2重拡散変調を用いれば、先行通信段を多段に経由して伝送されてきた多数のデータ成分を含む多重化信号を、同一タイミングで隣接段へ増幅伝送することが可能となり、優れたマルチアクセス通信が実現できる。

【0079】
ここで、各ノードのタイミングを指示するタイミング制御信号は、例えば1個の制御ノードから各ノードに順次中継段を介して中継供給する方法を用いることができる。この方法により、伝送遅延の誤差範囲内で、各ノードはほぼ共通のタイミングを利用できる。

【0080】
図9は、通信ノードにおける、送信部での送信シンボルの生成過程と、受信部での受信シンボルの復調過程を示す図である。送信部TXの動作は図9の上半分(水平方向点線より上)で示され、通信ノードC1を例にとって表示している。受信部RXの動作は図9の下半分(水平方向点線より下)で示され、通信ノードDを例にとって表示している。

【0081】
まず送信部TXの動作を説明する。系列長4チップの第1拡散系列ξC1(各チップの値は-1,1のいずれか)にデータdC1(各ビットの値は0,1のいずれか)を乗算することにより図示のデータ(1,0)に対応する第1拡散信号dC1ξC1が得られる。図の第1拡散信号の下段には信号NdC1ξC1として、第1拡散信号の「1」に対応する部分を時間軸上にN(=8)回繰り返した信号を示した。系列長N(=8)チップの第2拡散系列ζC1(各チップの値は-1,1のいずれか)の各チップに第1拡散信号dC1ξC1を乗算すれば、信号NdC1ξC1と同じ長さの第2拡散信号dC1ξC1ζC1が生成される。

【0082】
図9の第2拡散信号dC1ξC1ζC1において、ハッチングを付した枠が第2拡散系列のチップ値「1」に対応した第1拡散信号の非反転部分を示し、白枠の部分が第2拡散系列のチップ値「-1」に対応した第1拡散信号の反転部分を示す。また、図の時間軸は、必要に応じて拡大・縮小表示されている部分がある。上下段間の時間軸の対応関係は破線で示されている。

【0083】
この第2拡散信号の後部gチップをコピーし、これをガード部分として第2拡散信号の前側に付加し、ガード付き信号を基底帯域送信信号S´C1として生成する。基底帯域送信信号S´C1は、周期Tcのコア部分と垂直ハッチング枠(前方)で示した周期Tgのガード部分からなる。基底帯域送信信号S´C1は本来のシンボル周期Tsの信号として示している。なお、通信ノードC1が中継動作を行うには、第2拡散処理を行う前に前段から受信した中継信号を第1拡散信号に加算する必要があるが、ここではその中継動作に関する処理は省略している。

【0084】
次に、図9下段の受信部RXの動作について説明する。受信したガード付き信号RgDのガード部分を除いて周期Tcの受信信号R´Dを生成する。受信信号R´Dはガード付き信号RgDの下段に拡大表示している。受信信号R´Dと同一の周期を持たせた第2拡散信号ζC1(0)を準備し、受信信号R´Dに第2拡散信号ζC1(0)を乗算した出力を、第2拡散信号のチップ単位で積分(逆拡散)すれば、逆拡散出力E(R´DζC1(0))が得られる。この逆拡散出力は遅延が0に対応する出力である。一般的には遅延チップ数に応じた逆拡散出力をそれぞれ生成するが、ここでは図示を省略する。

【0085】
これらの各々に対し前述の位相修正を施した出力を加算合成して位相変換信号を生成する。通信ノードCnとの間のリンクを経て受信した信号も同様に逆拡散により求めて位相変換信号を生成する。これらの全てのリンクを経た位相変換信号を加算した加算出力は合成変換出力RsDとなる。図9では合成変換出力RsDを本来のシンボル周期Tsの信号として示している。通信ノードDが中継動作を実行する場合は、合成変換出力RsDは中継用記憶信号として記憶手段に記憶され、次の伝送タイミングで次段に送信される。また、通信ノードDは、合成変換出力RsDからデータを抽出して受信することもできる。例えば、第1拡散系列ξC1により合成変換出力RsDを逆拡散すれば、通信ノードC1が送信したデータdC1の軟出力~dC1を求めることができる。

【0086】
式1、式4で示す拡散符号としては、一般に用いられている拡散符号(拡散系列セット)を用いる。完全な系列間分離が可能な直交符号を用いれば、優れた動作が遂行される。直交符号の例としては、受信シンボルに遅延波が含まれない環境下では、アダマール符号、遅延波が含まれる環境下ではZCZ(Zero Correlation Zone) 符号、DFT(Discrete
Fourier Transform)符号などを用いる。擬直交符号であるM系列を用いることもできる。

【0087】
図10は、通信ノードの構成を示すブロック図である。図10は、通信ノードC1を例にとって符号などが記載されている。シンボル伝送部は、上段の5個のブロック、第1送信部TX-I、第2送信部TX-II、第1受信部RX-I、第2受信部RX-II、データ検出部DXからなる。ここでは、通信ノードC1が2つの伝送タイミングa,bによって駆動されるものとする。第1送信部TX-Iは、通信ノードC1を始点とする送信データの第1拡散信号dC1ξC1を生成し、タイミングbを示す書き込み信号W(b)により一旦メモリに記憶する。そして、次のタイミングaを示す読み出し信号R(a)によりメモリから読み出した第1拡散信号を次段に送出する。

【0088】
第2送信部TX-IIは、送信信号SsC1を第2拡散系列ζC1により拡散し、かつ搬送波f0により搬送波変調を行う。第1受信部RX-Iは受信信号を局部搬送波周波数f0により復調し、第2拡散系列ζBnにより逆拡散し、これらを合成した合成変換出力RsC1を生成する。第2受信部RX-IIは、この合成変換出力RsC1を書き込み信号W(b)によって記憶し、読み出し信号R(a)によって出力する。データ検出部DXは、例えば通信ノードAの用いた第1拡散系列ξAにより逆拡散した出力を硬判定することにより検出データ^dAを生成する。

【0089】
図10の下段はタイミング生成部であり、タイミング制御信号発生器OTG、タイミング発生器TG、搬送波発生器CG、タイミング制御信号変調器TTXからなる。タイミング制御信号発生器OTGは、独立の周波数発信機を内蔵し、基本周波数f00を発生するとともに、タイミング制御信号γa,γbを発生する。タイミング発生器TGは、タイミング制御信号発生器OTGの出力をもとにして、この通信ノード内で用いるメモリへの書き込み信号W(b)および読み出し信号R(a)を発生する。搬送波発生器CGは、搬送波周波数f0およびタイミング制御信号用中間周波数fa2,fb2を発生する。

【0090】
タイミング制御信号変調器TTXは、タイミング制御信号γa,γbの変調器で、データ伝送の帯域とは中間周波数fa2,fb2だけ偏移した帯域上に伝送するタイミング制御信号Γ(fa2),Γ(fb2)を出力する。ここでは、通信ノードC1が制御ノードであるものとする。制御信号Γ(fa2),Γ(fb2)は隣接する通信ノードを順次経由して他の通信ノードへと伝送されるので、全ての通信ノードがほぼ同一のタイミングa,bを使用できるようになる。

【0091】
通信ノードC1が制御ノード以外の一般の通信ノードの場合には、タイミング制御信号発生器OTGの入力として前段通信ノードから受信したタイミング制御信号Γ(fa1),Γ(fb1)が加えられる。一般の通信ノードは、これらの前段からのタイミング制御信号をもとにタイミング制御信号γa,γbを発生する。以上のようにして、タイミング制御信号が制御ノードから一般の各通信ノードに分配される。リセット信号も同様な手段で各通信ノードに分配することができる。

【0092】
図11は、通信ノードのシンボル伝送部の詳細を示すブロック図である。第1送信部TX-Iは、変調器としての乗算器MODと、メモリM1を備えている。第2送信部TX-IIは、合成変換出力RsC1に送信信号dC1ξC1を加算した信号S0C1に、図9に示したガード部分を付加した後、第2拡散系列ζC1による第2拡散処理と搬送波f0による搬送波変調を施す。この出力は電力増幅器AMPSで増幅された後送信される。

【0093】
第1受信部RX-Iは、復調部DEM、リンク信号合成部LSS、パイロット応答メモリ部PRMからなる。復調部DEMにおいて、アンテナからの受信入力は、増幅器AMPRに加えられる。送受切り替え制御入力CSは、送信信号が増幅器AMPRに加わるのを防ぐものであり、送信動作時には増幅器AMPRの入力を遮断する。乗算器MODと低域濾波器LPFによって局部搬送波f0による復調が行われ、復調出力R´C1が生成される。

【0094】
リンク信号合成部LSSは3個の位相回転機能を具備した相関器MFE(ζ,θ)Bn(n=1,2,3)で構成される。各相関器MFE(ζ,θ)Bnは、第2拡散系列ζBnを用いて、逆拡散することによりリンク信号成分の分離を行った後、各リンク信号出力にパイロット応答メモリ部PRMから転送されたパイロット応答を用いて位相回転を修正する。これらの位相変換出力は加算器Σにおいて加算され、合成変換出力RsC1が生成される。

【0095】
なお、合成変換出力RsC1の生成方法において、前述の補足1または補足2の生成方法を実施する場合には以下のようにする。補足1の生成方法の場合は、各相関器MFE(ζ,θ)Bnは上記の位相変換出力に対し、パイロット応答メモリ部PRMから転送された電力レベルPBnの中で予め定めた閾値より低い電力レベルに対応するリンク信号を加算器Σに転送しない処置をとる。また、補足2の生成方法の場合は、各リンクのS/N比に比例した電力レベルにこれらの位相変換出力を後述する重み係数wを用いて修正した後加算器Σに転送する。

【0096】
図11に示すスイッチSは、信号フレームのパイロット送信周期、または受信シンボルの中のパイロット周期に受信したパイロット信号成分のみがパイロット応答メモリ部PRMに転送されるように、受信復調信号R´C1のパイロット応答メモリ部PRMへの伝送タイミングを制御する。このパイロット信号は、入力リンク数に対応して3個の相関器MF(ζBn)(n=1,2,3)と後続配置された位相回転検出器D(θ)に加えられ、相関器出力の実数部、虚数部成分を用いることにより位相回転量を求める。

【0097】
なお、位相回転検出器D(θ)は、この相関器出力を内蔵する整流器に加えることにより、パイロット信号の電力レベルPBnも検出する。さらに、位相回転検出器D(θ)は、復調信号R´C1をデータシンボルベースで動作する積分器に加え、その出力からデータシンボルに含まれている雑音電力推定値を得て、各リンクに対応するS/N比から重み係数wを求める。これらの出力(θ,P,w)Bnは減衰時定数をもつメモリM3に累積記憶され、これらの情報はリンク信号合成部LSSに転送される。

【0098】
第2受信部RX-IIは、書き込み信号W(b)により合成変換出力RsC1をメモリM2に記憶し、読み出し信号R(a)により読み出して送信加算器Σに転送する。検出部DXでは、図の例の場合には、相関器MF(ξA)において通信ノードAの第1拡散系列ξAにより逆拡散することにより軟出力を生成する。さらに、その軟出力を硬判定回路DECにより判定し、送信データdAのレプリカ(^dA)を生成する。

【0099】
次に、移動体に添付した通信ノード(以下、移動体ノードという)が、図1に示すような構成の伝送ネットワークの中を移動し、ネットワーク上の各通信ノードと送受信するような実施の形態について説明する。まず、移動体ノードが電源を内蔵し自力で送信ができる場合、すなわち移動体ノードがアクティブ・タグである場合について説明する。図12は、このような移動体ノードを含む通信システムの概要を示す図である。

【0100】
図12では縦長の矩形枠で示している通信段Bは、図4の通信段Bのようにほぼ円環状(正確な円環である必要はない)に配置された複数個の通信ノードBnからなるものである。通信段C,Dも同様に円環状に配置された複数個の通信ノードからなるものである。移動体ノードMは、黒丸で示した位置M0から出発し、点線で示した各リンクを経て通信ノードEの手前の位置M4へと移動する。移動体ノードMは、縦続的に配置された円環状の通信段の内部空間のほぼ中央を図の左から右へ移動する。

【0101】
通信段B,C,Dの中央近傍を通過する円環移動時間帯をそれぞれ移動周期TB,TC,TDとする。一方、ここでは通信ノードAを制御ノードとし、通信ノードAは4相のタイミング制御信号Γ(fa0),Γ(fb0),Γ(fc0),Γ(fd0)を送信する。これらのタイミング制御信号は、前述のように順次各通信段B,C,Dを経て通信ノードEに中継伝送されるとともに、移動体ノードMにも伝送される。例えば、移動体ノードMが通信段Bの近傍を移動している移動周期TBでは、移動体ノードMは通信段Bの各ノードが中継送信した4相のタイミング制御信号Γ(fa1),Γ(fb1),Γ(fc1),Γ(fd1)を受信する。これらの中継信号受信後の周期TTSのタイムスロットは符号a,b,c,dで表されており、移動体ノードMと固定ノード間の伝送に用いられる。

【0102】
これらのタイミング制御信号を用いて、各通信段の通信ノードは、4個の駆動位相を用いる4相のタイミングa,b,c,dの中からその通信段に割り当てられた2個のタイミングを使って送受信を行う。例えば、通信段Bの通信ノードはタイミングbを送信に、タイミングaを受信に用いる。各通信段に割り当てるタイミングは、例えば、通信段A(送信:a,受信:なし),通信段B(送信:b,受信:a),通信段C(送信:c,受信:b),通信段D(送信:d,受信:c),通信段E(送信:なし,受信:d)のようにする。

【0103】
図13は、移動体ノードMの移動位置(タグ位置)と各タイミングとの関係を示す図である。図13の左側の縦軸は4相のタイミングを示しているが、4相の各タイミングのタイムスロットに通し番号0~11を付与し、4相を示す符号(a,b,c,d)の後にタイムスロット番号を付けて表示している。送受信に用いるタイムスロット周期TTSと移動周期TM(TB,TC,TD)には、この例では次式の関係がある。
T = TM/TTS ・・・ 式17

【0104】
式17で、NTは駆動位相の相数であり、この場合にはNT=4である。式17が満足されれば、移動体ノードMが各通信段を通過するときNT個の中の各相のタイムスロットを1回利用できる。したがって、移動体ノードMは固定通信ノード相互間の多相タイミングa,b,c,dを利用して、各通信段との通信を行うことができる。図13の実線R(M0→M4)で示すように、例えば、移動体ノードMが通信段Bを通過する移動周期TBにおいて、タイミングb1で移動体ノードMは通信段Bの各通信ノードBnの送信信号を受信でき、タイミングa0で移動体ノードMから通信段Bに送信できる。移動周期TCにおいて、タイミングb5で移動体ノードMは通信段Cの各通信ノードCmへ送信し、タイミングc6で各通信ノードCmから受信できる。図13の左側の縦軸において、この例で送受信に使用するタイミング記号には下線が付されている。

【0105】
このようにして、移動体ノードMと近傍の通信段の全通信ノードとの送受信が遂行される。この通信と並行して各通信段の各通信ノードは、移動体ノードMから受信したシンボルを、図12の上部に示すタイミング(a),(b),(c),(d)において、特に表示していない他の受信シンボルとともに次の通信段の各通信ノードに常時送信するので、最後の通信ノードEは移動体ノードMが送信したシンボルのすべてを受信することができる。この際、中継段数に対応して信号が増幅されるので、最初に受信した信号ほど高いS/N比で受信できる。このようにして、移動体と固定通信段の通信システムが実現できる。

【0106】
また、移動体ノードMに後続する別の移動体ノードM´が、例えば周期TCにおいて通信段Bの通信ノードと通信することもできる。さらに、移動体ノードMに近接して移動する別の移動体ノードが、移動体ノードMが通信する同じ通信ノードに対して同じ移動周期に通信することもできる。そのためには移動体ノードによって異なる拡散系列で変調した送信信号を用いるなどの方法によればよい。

【0107】
次に、移動体ノードM´が図12の通信ノードE側から通信ノードAに向けて左方向に移動する場合について説明する。移動体ノードM´が位置M4から左方向に移動し、通信段D,C,Bを順次通過する移動周期をT´D,T´C,T´Bとする。図13の右側に移動周期T´D,T´C,T´Bを示す。通信ノードAから供給される各通信段の送受信タイミングは変わらないので、移動体ノードM´の位置と移動周期および送受信タイミングの関係は、図13の破線L(M´4→M´0)で示される。すなわち、通信段Dの通過時間帯T´Dでは送受信タイミングは、タイミングc2,d3となる。各移動周期に用いる送受信タイミングは図の右端に示している。

【0108】
次に、移動体ノードが電源を内蔵しない場合、すなわち移動体ノードがパッシブ・タグである場合について説明する。図14は、このような移動体ノードを含む通信システムの概要を示す図である。また、図15はこの通信システムの側面図である。この通信システムにおいても、通信段B,C,Dは円環状に配置された複数個の通信ノードからなるものである。このような通信システムの応用例としては、タグを添付した物体をベルトコンベアー等によって移動させ、タグの持つ情報に従って行き先に応じた移動分岐制御を行うようなシステムが考えられる。

【0109】
移動体ノードMは、初期位置M00から、まず位置M0に移動され、その後、位置M0→位置M1→位置M2→位置M3と移動されていく。移動体ノードMと固定の通信段とのデータ伝送に関しては図12に示す通信システムと同様である。タイミング制御信号は通信ノードAから通信段B,C,Dに中継伝送される。

【0110】
4相タイミングのタイムスロットTSと移動体ノードMの移動周期との関係も、図13と同様である。移動体ノードMが通信段Bの近傍位置M0に移動した移動周期TBに含まれるタイムスロットa0において、通信ノードAは読み出し信号Ra0(無変調搬送波)を送信する。これを受信した移動体ノードMは、公知の技術により移動体ノードMに記憶されている情報を含む応答信号Sa0を送信する。この応答信号Sa0は通信段Bの全通信ノードが受信できる。

【0111】
同様に、移動体ノードMが位置M1に移動し、移動周期TCに含まれるタイムスロットb5において、通信ノードBnは読み出し信号Rb5を送信する。この場合、通信段Bに属する全通信ノードが読み出し信号Rb5を送信するので、移動体ノードMは1ノードからの受信電力のNs倍(Ns:通信段のノード数)の電力を、空間ダイバーシティ効果のもとに受信できる。これを受信した移動体ノードMは、この時点で移動体ノードMが持つ情報を含む応答信号Sb5を送信する。通信段Cの全ノードは応答信号Sb5を受信できる。

【0112】
このような動作を繰り返すことにより、移動体ノードMから送信された情報が各通信段B,C,Dで受信され、これらの受信信号は固定ネットワークの右方向伝送機能により通信ノードEに伝送される。したがって、通信ノードEは、前述のような中継段ごとの信号レベルの増大により、高いS/N比でこの応答信号を受信できる。

【0113】
なお、上述の読み出し信号の送信タイミングにおいて、読み出し信号の代わりに、異なる中間周波数を用いることにより、この移動体ノードMへの書き込み信号を送信することもできる。

【0114】
本発明は、上記のように、所定の通信空間内に多数の無線通信ノードを通信段ごとに散在配置し、各通信ノードにデ-タの送受信機能、中継伝送機能、送受タイミング制御機能を配備している。そして、制御ノードに2相または多相のタイミング制御信号を送信する機能を備え、一般の通信ノードにはそのタイミング制御信号の中継伝送機能を備えている。それにより、各通信ノードが制御ノードから受信したタイミング制御信号にしたがってデ-タの送受信を遂行するマルチアクセス通信システムを提供できる。この通信システムは、送信データの始点ノードの識別を、時分割、周波数分割、あるいは符号分割の手段によって行うことにより、ネットワーク内の任意の1対の通信ノード間のデータ伝送を複数同時に遂行できる。

【0115】
各通信ノードの送信信号に対しリンク識別用の拡散系列による拡散を施すことにより、前段の各通信ノードから受信したリンク信号の識別分離を可能としている。さらに、伝搬過程で生ずる搬送波位相の変化を修正する機能を各通信ノードに持たせることにより、複数の前段通信ノードから受信したリンク信号の伝搬過程で生じた位相回転を修正することができる。その結果、所望の1対の通信ノード間のデ-タ伝送において、経由した通信段数と各通信段を構成するノード数が増大するに従って受信S/N比は増大する。したがって、レイレイ波伝搬環境のような受信レベル変動の大きな空間においても、低い送信電力を用いて誤り発生確率が小さく安定な通信を提供できる。

【0116】
この通信システムは、リンク識別用の拡散系列を用いるために、単純な2値データの伝送に必要な帯域に比べて多くの周波数帯域を必要とする。しかし、前述のように、ノード数と中継段数の大きなシステムでは受信S/N比は極めて大きな値となる。このS/N比増大特性を利用してQAMの如き多値多相伝送を行えば、周波数利用効率の向上、通信容量の飛躍的な増大が可能である。従来方式に比べてはるかに優れた特性を実現できる。

【0117】
一方、中継段や受信段においてMIMO方式の原理に従って、干渉成分を除去する方式に必要な複雑な干渉除去処理を必要としない。本発明の方式では中継段の入力には干渉成分は含まれず、各ノードが送信した第1拡散符号による符号分割信号成分がすべて多重化された形で含まれている。あるノードが始点ノードとして送信したデータの受信を希望する受信ノードは、その受信信号を対応する第1拡散符号で逆拡散した軟出力を検出することにより、希望するデータを受信できる。

【0118】
また、MIMO方式は、伝搬行列の要素間の無相関性を利用しているので、見通し内伝搬環境では機能しないが、本発明は見通し内、見通し外の両者に対して適用できる利点がある。MIMO方式の干渉除去機能を利用する中継伝送方式は、送受信ノード対の数に対してはるかに多い数の中継ノードを設置する必要がある。本発明はそのような中継段のノード数に関する制約はない。

【0119】
また、本発明は、タイミング制御信号を用いた2相または多相による通信段間の時分割伝送方式により、順方向、逆方向、順逆双方向同時伝送、或いは2次元、3次元空間内の中央部から周辺へ、その逆方向への伝送などの実現と、それらの伝送モードの選択切り替え制御などにより柔軟なネットワークを構成できるので、ユビキタス通信において想定される多様な通信需要に適応できる。

【0120】
また、アクティブ・タグやパッシブ・タグと固定通信網間の通信に適用すれば、低電力通信による信頼性の高い分類配送システムを実現できる。さらに、移動通信システムにおけるセル内通信に本発明の多段中継技術を適用すれば、多段中継によるS/N比の増大と多数回の同一シンボル成分の送受信により、基地局と移動体ノード間の安定な低電力通信を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の分散ノード通信システムは、通信形態の自由度が大きく、多様な形態の応用分野に適用可能である。ユビキタス通信への適合性も良好な通信システムである。
【符号の説明】
【0122】
A 送信ノード
B,C 中継段
D 受信ノード
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15