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明細書 :DC-DCコンバータ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4465472号 (P4465472)
公開番号 特開2007-037372 (P2007-037372A)
登録日 平成22年3月5日(2010.3.5)
発行日 平成22年5月19日(2010.5.19)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
発明の名称または考案の名称 DC-DCコンバータ
国際特許分類 H02M   3/155       (2006.01)
FI H02M 3/155 H
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2005-221260 (P2005-221260)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
審査請求日 平成18年11月24日(2006.11.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】佐藤 輝被
【氏名】鍋島 隆
審査官 【審査官】安池 一貴
参考文献・文献 米国特許出願公開第2004/0022077(US,A1)
米国特許第5694302(US,A)
特開平5-219758(JP,A)
特開平11-98841(JP,A)
調査した分野 H02M 3/155
特許請求の範囲 【請求項1】
直流電源の入力端子1,2にスイッチ5とダイオード6を直列形態で接続し、
前記スイッチ5と前記ダイオード6の中間点にインダクタ7と電圧トランスを接続し、前記インダクタ7に出力キャパシタ8を並列に接続し、電圧トランスの一次巻線9にキャパシタンス13を直列形態で接続したDC-DCコンバータにおいて、前記電圧トランスの二次側に直流阻止用キャパシタンス11と電流調整用インダクタンス12を接続し、この直流阻止用キャパシタンス11と電流調整用インダクタンス12によりリプル電流と相似の電流を逆位相で前記出力キャパシタ8に抽入して、前記出力キャパシタ8のリプル電流およびリプル電圧を低減することを特徴とするDC-DCコンバータ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リプルキャンセラー回路により特に出力キャパシタのリプル電流・電圧を低減するDC-DCコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力の目的で待機モードを有する電子機器が増えている。これらの電子機器は待機モードから通常モードへ移行する際に急激な電流変化を伴い、これによる電源電圧の変動が機器に誤動作を与える要因となっている。これを解決するためのもっとも有効な方法は、小さなフィルタインダクタを用いることであるが、小さなフィルタインダクタの使用は、出力キャパシタに大きなリプル電流を伴い、これがキャパシタの等価直列抵抗を流れることよる発熱により、回路の信頼性の低下や素子の寿命を縮める要因となっている。したがって、出力キャパシタのリプル電流を低減することが重要な課題となっている。

【特許文献1】米国特許第5,929,692
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを解決するための従来の技術には特許文献1にあるように、スイッチ2個、インダクタンス、キャパシタンスおよびスイッチ駆動回路からなる補助回路を使用し、主回路と逆位相の電流を作り出して出力キャパシタンスに注入する方法があるが、この方法は、補助スイッチおよびその駆動回路が別途必要であり、そのため、部品点数が増えコストが高くなり、また、補助スイッチおよび駆動回路の損失が増えて効率が低下するという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記した課題を解決するためなされたリプルキャンセラー回路であり、その特徴は、次の(1)の通りである。
(1)、直流電源の入力端子1,2にスイッチ5とダイオード6を直列形態で接続し、前記スイッチ5と前記ダイオード6の中間点にインダクタ7と電圧トランスを接続し、前記インダクタ7に出力キャパシタ8を並列に接続し、電圧トランスの一次巻線9にキャパシタンス13を直列形態で接続したDC-DCコンバータにおいて、前記電圧トランスの二次側に直流阻止用キャパシタンス11と電流調整用インダクタンス12を接続し、この直流阻止用キャパシタンス11と電流調整用インダクタンス12によりリプル電流と相似の電流を逆位相で前記出力キャパシタ8に抽入して、前記出力キャパシタ8のリプル電流およびリプル電圧を低減することを特徴とするDC-DCコンバータ。
【発明の効果】
【0005】
即ち本発明のDC-DCコンバータは、出力キャパシタのリプル電流・電圧を低減するため、電圧トランスと直流阻止用キャパシタと電流調整用インダクタ、または、電圧トランスと直流阻止用キャパシタとを用いてDC-DCコンバータの出力電流のリプル電流と逆相の電流を注入することで、出力キャパシタのリプル電流を相殺して完全にゼロにして回路の信頼性の高位安定化と素子の長寿命化を可能にしたものである。その際、キャンセル用の補助回路として、補助スイッチやその駆動回路を必要とせず、受動素子のみで構成されているので、回路が簡単で効率の低下が低く抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発明のDC-DCコンバータを実施するための最良の形態は、第1にDC-DCコンバータの出力キャパシタ8に流れるリプル電流i1と相似の電流i2を、出力キャパシタ8に逆位相で抽入することにより、出力キャパシタ8のリプル電流i3およびリプル電圧を低減する回路において、抽入するリプル電流i2を、電圧トランスと、直流阻止用キャパシタ12と、電流調整用インダクタンス11とを用いて生成すること及び、第2にDC-DCコンバータの出力キャパシタ8に流れるリプル電流i1と相似の電流を、出力キャパシタ8に逆位相で抽入することにより、出力キャパシタ8のリプル電流およびリプル電圧を低減する回路において、抽入するリプル電流i2を、電圧トランスと、直流阻止用キャパシタ12とを用いて生成することである。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明のDC-DCコンバータの実施例である。
まず、回路構成について説明する.図1において、直流電源は入力端子1と2とに接続される。入力端子1と2にスイッチ5とダイオード6が直列形態で接続される。ダイオード6にはスイッチ5と相補的に駆動されたスイッチを用いてもよい。スイッチ5とダイオード6の中間点にインダクタ7が接続され、インダクタ7の他端は正側出力端子3,4に接続される。出力端子には出力キャパシタ8が並列に接続される。スイッチ5とダイオード6の中間点に電圧トランスの一次巻線9がキャパシタンス13と直列形態で接続され、キャパシタンス13の他端は負側入力端子(グランド)に接続される。電圧トランスの二次巻線10側の一端は負側入力端子2に接続され、他端は直列形態で接続された電流調整用インダクタ12と直流阻止用キャパシタンス11を介して正側出力端子3に接続される。
【0008】
次に、この回路の動作を波形図2を参照して説明する。
図2において電流の向きは図1に示す方向を正とする。
【0009】
図1の回路で、入力電圧をVi、スイッチ5の時比率(オン時間/スイッチング周期)をDとすると、出力電圧Voは、数1で与えられる。
【0010】
【数1】
JP0004465472B2_000002t.gif
同様に、キャパシタ13の電圧も数1で与えられ、トランスの1次巻線にはインダクタ7の電圧波形と同じ方形波電圧が発生する。これによって、トランスの2次側巻き線に巻数比に比例した方形波波形が発生し、それによってインダクタ12が励磁され、インダクタ12には三角波電流が流れる。この電流を直流阻止用キャパシタ11を介してこれを出力キャパシタンスに注入することにより、出力キャパシタンスのリプル電流i3を低減することができる。インダクタ12は電流調整用であり、巻数比に応じて決定する。トランスの巻数比(二次巻線数/一次巻線数)をnとすると、インダクタ12の最適な値は、次の数2または数3で与えられる。
【0011】
【数2】
JP0004465472B2_000003t.gif

【0012】
【数3】
JP0004465472B2_000004t.gif

【0013】
図3は、従来型の回路の観測波形であり、上からスイッチ駆動波形、キャパシタの電流波形、キャパシタの電圧波形である。キャパシタの電流波形のレンジは1A/divである。図4は本実施例の観測波形であり、同じく、上からスイッチ駆動波形、キャパシタの電流波形、キャパシタの電圧波形である。キャパシタの電流波形のレンジも同じく1A/divである。このように、本実施例によって、出力キャパシタのリプル電流・電圧が低減されていることが確認できる。
【0014】
図5~図13は、本発明のDC-DCコンバータの他の実施例である。図5~図11の回路は、回路の接続が異なっているだけで、その動作は実施例1とほぼ同様となる。
【0015】
図12および図13は実施例1において出力キャパシタ8に抽入するリプル電流i2を電圧トランスとキャパシタ11を用いて生成するもので、基本的な動作は実施例1とほぼ同様となる。電圧トランスを用いた図12および図13は、主回路の伝達関数が4次系となって、フィードバック回路の設計に注意を要するが、回路構成が非常に簡単になるという利点があり、高速応答を要求されない応用に対しては非常に有効な回路である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明のDC-DCコンバータは、前記したように、出力キャパシタンスのリプル電流を相殺して完全にゼロにして回路の信頼性の高位安定化と素子の長寿命化を可能にしたものであり、このためDC-DCコンバータを利用した電子機器などに活用されるなど産業上広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例を示す。
【図2】図1に示す実施例1の動作を説明するための波形図である。
【図3】従来の回路の観測波形を示す。
【図4】本発明の実施例1の観測波形を示す。
【図5】本発明のその他の実施例を示す。
【図6】本発明のその他の実施例を示す。
【図7】本発明のその他の実施例を示す。
【図8】本発明のその他の実施例を示す。
【図9】本発明のその他の実施例を示す。
【図10】本発明のその他の実施例を示す。
【図11】本発明のその他の実施例を示す。
【図12】本発明のその他の実施例を示す。
【図13】本発明のその他の実施例を示す。
【符号の説明】
【0018】
1、2…入力端子
5、6…スイッチ素子
3、4…出力端子
7…インダクタ
8…出力キャパシタ
9…トランス一次巻線
10…トランス二次巻線
12…電流調整用インダクタ
11…直流阻止用キャパシタ
13…キャパシタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12