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明細書 :C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群、検査方法及び検査用キット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5787337号 (P5787337)
公開番号 特開2011-193786 (P2011-193786A)
登録日 平成27年8月7日(2015.8.7)
発行日 平成27年9月30日(2015.9.30)
公開日 平成23年10月6日(2011.10.6)
発明の名称または考案の名称 C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群、検査方法及び検査用キット
国際特許分類 C12Q   1/68        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C12Q 1/68 ZNAA
C12N 15/00 A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 15
出願番号 特願2010-063622 (P2010-063622)
出願日 平成22年3月19日(2010.3.19)
審査請求日 平成25年2月25日(2013.2.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000056
【氏名又は名称】公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
発明者または考案者 【氏名】田中 靖人
【氏名】溝上 雅史
【氏名】徳永 勝士
個別代理人の代理人 【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
【識別番号】100135208、【弁理士】、【氏名又は名称】大杉 卓也
【識別番号】100152319、【弁理士】、【氏名又は名称】曽我 亜紀
【識別番号】100163544、【弁理士】、【氏名又は名称】平田 緑
審査官 【審査官】北村 悠美子
参考文献・文献 特開2011-041526(JP,A)
国際公開第2011/021508(WO,A1)
NATURE GENETICS,2009年,Vol.41, No.10,p.1105-1109
NATURE GENETICS,2009年,Vol.41, no.10,p.1100-1104
Submitted SNP(ss) Details: ss12449652,2003年,2014年7月22日検索、インターネット、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ss.cgi?subsnp_id=12449652
Submitted SNP(ss) Details: ss2992470,2001年,2014年7月22日検索、インターネット、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ss.cgi?subsnp_id=2992470
Submitted SNP(ss) Details: ss21261873,2004年,2014年7月22日検索、インターネット、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ss.cgi?subsnp_id=21261873
Submitted SNP(ss) Details: ss13203908,2003年,2014年7月22日検索、インターネット、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ss.cgi?subsnp_id=13203908
Submitted SNP(ss) Details: ss435085,2000年,2014年7月22日検索、インターネット、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ss.cgi?subsnp_id=435085
調査した分野 C12Q 1/68
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
被検者から取得したサンプルより、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカーに含まれるrs8099917、第二のマーカーに含まれるrs12907066及び第三のマーカーに含まれるrs341554の各SNPのアリルプロファイルを決定し、得られた各アリルプロファイルの組み合わせから、C型肝炎の治療効果の予測を行う、C型肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
【請求項2】
C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカーに含まれるrs8099917、第二のマーカーに含まれるrs12907066及び第三のマーカーに含まれるrs341554が、各々メジャーアリルの場合に、PEG化インターフェロン/RBV併用療法による治療有効性が90%以上と予測する、請求項1に記載のC型肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
【請求項3】
C型肝炎の治療効果が、インターフェロン及び/又はPEG化インターフェロンを用いた治療による治療効果であることを特徴とする、請求項に記載のC型肝炎の治療効果の予測のための検査方法
【請求項4】
C型肝炎の治療効果が、PEG化インターフェロン/RBV併用療法による治療効果であることを特徴とする、請求項3に記載のC型肝炎の治療効果の予測のための検査方法
【請求項5】
黄色人種におけるC型肝炎の治療効果を予測するための、請求項1~4のいずれか1に記載の検査方法
【請求項6】
C型肝炎の治療効果を予測するためのプローブ及び/又はプライマーの組み合わせであって、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカーに含まれるrs8099917、第二のマーカーに含まれるrs12907066及び第三のマーカーに含まれるrs341554の各SNPのアリルプロファイルを決定するためのプローブ及び/又はプライマーの組み合わせ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群、同効果を予測するための検査方法、及び同効果を予測するための検査用キットに関する。さらには、C型肝炎の治療効果を予測するために使用するプライマー及びプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎に対する治療効果を予測する方法は、種々検討されてきたが、その多くは、患者が罹患した"ウイルス側因子"をもとに判断するものが主流であった。具体的には、ウイルス遺伝子型や特定の領域(コア領域や非構造領域(NS5A))の変異によりインターフェロン(IFN)の治療効果を予測してきた。
【0003】
近年、"患者(宿主)自身の一塩基多型(SNP)"を利用する方法が報告されている(特許文献1、非特許文献1、2等)。これらの文献では、「IFN単独療法」における治療効果を予測する方法が示されている。しかしながら、IFN単独療法は、現在主流となっている「PEG化IFN/RBV併用療法」とはSNPの判断基準となる治癒効率(著効率)自体が全く異なるため、IFN単独療法に対して導きだされたSNPを、PEG化IFN/RBV併用療法における治療効果を予測するためにそのまま転用することは不可能であった。
【0004】
一方、PEG化IFN/RBV併用療法における治療効果を予測するためにゲノムワイド関連解析(Genome-wide association study: 以下単に「GWAS」ともいう。)による多型を利用する方法についてもいくつか報告されている(非特許文献3-7)。以下に示すSNPを特定する数値(rs番号)は、NCBIのデータベース(Build 35)に掲載されているヒトの遺伝子情報を参酌したものである。非特許文献3は、C型肝炎ウイルス(以下単に「HCV」という。)感染者1362名について調査を行ない、IL28B近傍に位置するrs8099917が、肝炎の慢性化及び薬剤反応性に対して影響していることを開示する。非特許文献4は、IL28Bの3kb上流に位置するrs12979860が、肝炎治療薬によるHCVクリアランスに対して影響していることを開示する。非特許文献5は、本件発明者らによって報告されたものであり、IL28B又はIL28B近傍に位置するSNPsであるrs12980286及びrs8099917がHCV RNAの持続陰性化(SVR)に関連し、さらに解析したところrs8105790, rs11881222, rs8103142, rs28416813, rs4803219及びrs7248668が、HCV RNAの持続陰性化(SVR)に関連することを開示する。非特許文献6は、オーストラリア人の555名のgenotype 1の慢性C型肝炎患者についてGWASを行い、293名がPEG化IFN/RBV併用療法に効果を示し、IL28B近傍に位置するrs8099917を含むIL28が関与していることを開示する。非特許文献7は、IL28Bの遺伝子変異が、肝炎治療薬によるHCVクリアランスに対して影響し、治療予測可能なことを開示する。
【0005】
上記のように、GWASの結果、IFN又はPEG化IFN/RBV併用療法に対する効果に影響を及ぼすSNPとして、IL28B又はIL28B近傍に位置するいくつかのSNPが報告されているが、より精度の高いC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカーの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2004-298011号公報
【0007】

【非特許文献1】Matsuyama, N. et al. Hepatol Res 25, 221-225, 2003
【非特許文献2】Tsukada, H. et al. Gastroenterology 136, 1796-1805, 2009
【非特許文献3】Gastroenterology, doi:10.1053/j.gastro.2009.12.056, published online 11, January 2010
【非特許文献4】Nature, 461(7265), 798-801, 2009
【非特許文献5】Nature Genetics, 41(10), 1105-1109, 2009
【非特許文献6】Nature Genetics, 41(10), 1100-1104, 2009
【非特許文献7】Nature, 461, 399-401, 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、C型肝炎治療効果について、SNPを利用したC型肝炎治療効果予測用マーカーを用い、より精度の高い予測結果を達成しうる組み合わせからなる複数のマーカーを含むC型肝炎治療効果予測用マーカー群を提供することを課題とする。また、当該複数のマーカーに対応するプローブ、プライマーを提供することを課題とし、さらには当該プローブ、プライマーを含むC型肝炎治療効果予測するための検査方法及び検査用キットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記問題を解決すべく、日本人を中心とするアジア系集団、すなわち黄色人種において、「PEG化IFN/RBV併用療法」について、宿主ゲノム全体に亘って網羅的にゲノムワイド関連解析(GWAS)した結果、C型肝炎治療効果をより精度よく予測しうるSNPの組み合わせを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明以下よりなる。
1.C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群であって、各マーカーはヒトゲノム上に存在するオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドから選択され、第一のマーカーは、遺伝子多型のうちrs8099917を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドであり、さらにrs2076954, rs12907066, rs9528038及びrs341554から選択されるいずれかを含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを他のマーカーとして少なくとも1種含むことを特徴とする、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群。
2.rs8099917を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドからなる第一のマーカーのほか、rs2076954若しくはrs12907066のいずれかを含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを第二のマーカーとし、さらにrs9528038若しくはrs341554のいずれかを含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを第三のマーカーとすることを特徴とする、前項1に記載の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群。
3.rs8099917を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを第一のマーカー、rs12907066を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを第二のマーカー、及びrs341554を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを第三のマーカーとすることを特徴とする、前項1又は2に記載の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群。
4.各マーカーとしてのオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの長さが、40k塩基長以下であることを特徴とする、前項1~3のいずれか1に記載の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群。
5.C型肝炎の治療効果が、インターフェロン及び/又はPEG化インターフェロンを用いた治療による治療効果であることを特徴とする、前項1~4のいずれか1に記載の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群。
6.C型肝炎の治療効果が、PEG化インターフェロン/RBV併用療法による治療効果であることを特徴とする、前項5に記載の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群。
7.黄色人種におけるC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカーである、前項1~6のいずれか1に記載の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群。
8.前項1~7のいずれかに記載のマーカー群を構成するマーカーとしてのオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドにハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド。
9.前項8に記載のオリゴヌクレオチド又はその標識物からなるプローブ。
10.前項8に記載のオリゴヌクレオチド又はその標識物からなるプライマー。
11.前項9に記載のプローブ及び/又は前項10に記載のプライマーを含むことを特徴とする、C型肝炎の治療効果を予測するための検査用キット。
12.下記(1)~(3)の工程を含む、C型肝炎の治療効果の予測のための検査方法:
(1)被検者から取得したサンプルより、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカーに含まれるrs8099917のアリルプロファイルを決定する工程;
(2)さらに、第二のマーカーに含まれるrs2076954又はrs12907066のいずれかのSNPのアリルプロファイルを決定する工程;
(3)(1)及び(2)で検出された各SNPのアリルプロファイルの組み合わせから、C型肝炎の治療効果の予測を行う工程。
13.(1)又は(2)の工程の後、さらに、第三のマーカーに含まれるrs9528038又はrs341554のいずれかのSNPのアリルプロファイルを決定する工程(2’)を含み、工程(3)において、(1)、(2)及び(2’)で検出された各SNPのアリルプロファイルの組み合わせから、C型肝炎の治療効果の予測を行う、前項12に記載のC型肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
14.被検者から取得したサンプルより、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカーに含まれるrs8099917、第二のマーカーに含まれるrs12907066及び第三のマーカーに含まれるrs341554の各SNPのアリルプロファイルを決定し、得られた各アリルプロファイルの組み合わせから、C型肝炎の治療効果の予測を行う、C型肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
15.C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカーに含まれるrs8099917、第二のマーカーに含まれるrs12907066及び第三のマーカーに含まれるrs341554が、各々メジャーアリルの場合に、PEG化インターフェロン/RBV併用療法による治療有効性が90%以上と予測する、前項14に記載のC型肝炎の治療効果の予測のための検査方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群、即ちrs8099917を含むオリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド(以下、単に「オリゴ(又はポリ)ヌクレオチド」という場合もある。)からなる第一のマーカーに、さらにrs2076954, rs12907066, rs9528038及びrs341554から選択されるいずれかを含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを他のマーカーとして少なくとも1種含むマーカー群を利用することで、より確実にC型慢性肝炎に対する治療効果を予測することができる。具体的には、各マーカーに含まれるSNPのうちrs8099917のアリルプロファイルのほかrs2076954, rs12907066, rs9528038及びrs341554のいずれかのSNPのアリルプロファイルを解析することで、C型慢性肝炎に対するPEG-IFN/RBV併用療法に関し、より高い精度で治療有効性及び治療無効性を予測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、「遺伝子」、「オリゴヌクレオチド」、及び「ポリヌクレオチド」とは、アデニン(A)、グアニン(G)等のプリン塩基や、チミン(T)、ウラシル(U)、シトシン(C)等のピリミジン塩基やそれらの修飾塩基を構成要素として含むものであり、一本鎖又は二本鎖のDNA、一本鎖又は二本鎖のRNA、一本鎖DNAと一本鎖RNAからなるハイブリッド体、RNAとDNAが結合して一本鎖となったキメラ体のいずれか、又は複数を意味するものである。また、DNAには、cDNAも含まれる。

【0013】
1)C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー
本明細書において、「C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー」とは、C型肝炎の治療効果を予測するための指標となるものであって、ヒトゲノム上に存在するDNA配列から選択される遺伝子多型を含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドである。本発明において、遺伝子多型(polymorphism)とは、遺伝子を構成しているDNAの配列の個体差であり、その頻度が母集団の1%以上であるものを意味し、SNP(single nucleotide polymorphism:一塩基多型)のみならず、1~数個のヌクレオチドの欠失、置換、付加、及び/又は挿入等の変異の他、VNTR(variable number of tandem repeat:反復配列多型)やSTRP(short tandem repeat polymorphism:マイクロサテライト多型)等をも含むものであり、反復多型部分の一部が、欠失、置換、付加、及び/又は挿入等の変異を受けているものも含む。

【0014】
本発明の「C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群」は、上述で定義されるC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカーを少なくとも二種以上含み、C型肝炎の治療効果をより効果的に予測しうる複数のマーカーの組み合わせからなる。本発明のマーカー群は、具体的には遺伝子多型のうちSNPであるrs8099917を含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを第一のマーカーとし、さらにrs2076954, rs12907066, rs9528038及びrs341554から選択されるいずれかのSNPを含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを他のマーカーとして少なくとも1種含む。ここで、上記SNPを表す数値(rs番号)や、配列表に記載の配列は、NCBIのデータベース(Build 35)に掲載されているヒトの遺伝子情報を参酌したものである。

【0015】
隣接するSNP等の遺伝子多型は強い連鎖不平衡にあることが多いため、1つのSNP等の遺伝子多型だけでなく近接する複数のSNP等の遺伝子多型を組み合わせ、ハプロタイプを作った上で、検討することもできる。例えば、このマーカー(遺伝子)内のハプロタイプを表現するタグ(代表)SNP等の遺伝子多型を組み合わせて検査することで、C型肝炎の治療効果の予測が、より一層、効率的かつ確実となる可能性が高いからである。即ち、本発明のC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群を構成する各マーカーは、上記具体的に示した各マーカーのほか、各々と強い連鎖不平衡状態(R2>0.8)にあるSNP等であってもよい。特定のSNPと連鎖不平衡状態(R2>0.8)にあるものは、当該特定のSNPと挙動が類似するため、同様の治療効果予測が可能であり、同様にマーカーとして機能しうる。連鎖不平衡状態にあるものは、例えばHaploviewソフトウェア等によって、公知の方法に従って検出できる。

【0016】
本発明のC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群は、好ましくはrs8099917を含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドとからなる第一のマーカーのほか、rs2076954若しくはrs12907066のいずれかを含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを第二のマーカーとし、さらにrs9528038若しくはrs341554のいずれかを含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを第三のマーカーとすることができる。上記第一のマーカーのほか、rs12907066を含む第二のマーカー、及びrs341554を含む第三のマーカーとするのが最も好適である。

【0017】
本発明において、C型肝炎の治療効果を予測するために、上記各SNPをマーカーとする場合は、表1に示す対立遺伝子(allele:以下「アリル」)のプロファイルを確認することが必要である。アリルプロファイル(遺伝子型)の違いにより、C型肝炎の治療効果が異なると考えられるからである。
【表1】
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【0018】
本発明の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群を構成するマーカー関連SNPのうち、rs8099917はIL28Bタンパク質の遺伝子近傍にある。このIL28BはISG(interferon-stimulated genes)誘導及びTLR(Toll-Like Receptor)を介した抗ウイルス効果を発揮することが報告されていることから(Ank, N. et al. J Immunol 180, 2474-2485 (2008); Marcello, T. et al. Gastroenterology 131, 1887-1898 (2006))、IFNを基軸とする治療全般に影響を与える可能性が高く、IFNを用いた治療方法の効果確認に有用である可能性が非常に高いと考えられる。

【0019】
本発明の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群を構成するマーカー関連SNPのうち、rs2076954及びrs12907066は、RYR3タンパク質の遺伝子領域にある。このRYRはリアノジン受容体の略称であり、リアノジン受容体の命名は、植物より単離されたアルカロイドであるリアノジンが結合するタンパク質であることに由来する。リアノジン受容体は小胞体上のCa2+放出チャネルとして、細胞膜上のCa2+チャネルと連動して開口する。哺乳動物の興奮性細胞では3種類のリアノジン受容体サブタイプ遺伝子が独自の組織特異性を有して分布し、そのCa2+放出は骨格筋や心筋の収縮や平滑筋や神経細胞の膜興奮調節に必須であることが報告されている。

【0020】
本発明の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群を構成するマーカー関連SNPのうち、rs9528038及びrs341554は、DIAPH3タンパク質の遺伝子領域にある。このDIAPH3タンパク質はRhoなどに結合して活性化され、アクチン重合を促進する。細胞分裂、ストレス繊維形成や転写因子の活性化に必須である。一方、Rhoは分子量20,000の単量体で働くいわゆる低分子量GTP結合タンパク質の一つで、Rhoがアクトミオシン系の制御を介して、平滑筋の収縮、細胞の基質への接着と移動、細胞質分裂に関与している。また、Rho-ROCK経路が血管平滑筋や気管支平滑筋の病態時の過剰収縮や、がん細胞の転移・浸潤及び細胞の悪性化に働くことが明らかになってきている。

【0021】
上記の本発明のマーカー群を構成する各マーカーとしてのオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドの大きさは、~40k塩基長(又は塩基対(bp))が好ましく、より好ましくは、~16k塩基長(又はbp)、更に好ましくは1500~3000塩基長(又はbp)である。

【0022】
上記に示すC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群は、黄色人種、好適には東アジア人種、特に好適には日本人におけるC型肝炎の治療効果を予測するために有効である。第一のマーカーに含まれるrs8099917について検討した結果、東アジア人種においてはメジャー(Major)アリルとマイナー(Minor)アリルの関係において、治療効果が予測されることが報告されている(非特許文献5)。なお、アメリカ人やオーストラリア人などでは、rs8099917について検討した結果、メジャーアリルとマイナーアリルに関係なく治療効果が得られている場合が多い(非特許文献4、6)。治療効果の違いは、このようなマーカーのほか、治療開始の年齢など、マーカー以外の要素も関連しているものと考えられる。

【0023】
2)本発明のマーカー群によって治療効果を予測する対象となる治療方法
本発明の、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群を使用して、治療効果を予測する対象となる具体的な治療方法は、IFN単独療法、PEG化IFN単独療法、PEG化IFN/RBV(2剤併用)療法、PEG化IFN/RBV/その他の薬剤(3剤、あるいは4剤併用)療法等の、IFN又はPEG化IFNを用いた治療等が挙げられる。

【0024】
3)本発明のマーカー群を構成するマーカーとしてのオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドにハイブリダイズする、オリゴ(又はポリ)ヌクレオチド
本明細書において、ハイブリダイズするオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドとは、目的のオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドに対して、完全に、又は部分的に相補的に結合しうるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドをいう。例えば、本発明のマーカー群を構成するマーカーとしてのいずれかのオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドに対して、完全に、又は部分的に相補的に結合しうるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドをいい、完全に相補的な配列、又は相補的な配列から1~複数個の塩基が、置換、欠失、付加若しくは挿入された配列からなり、かつ結合可能な配列からなるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドをいう。そのようなオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドは、プライマーやプローブとして使用することができる。

【0025】
4)本発明のプローブ及びプライマー
本発明のプローブやプライマーとしては、上述の本発明のマーカーとしてのいずれかのオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドに対してハイブリダイズするオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを利用することができ、それらは標識物質により標識されたものであっても良い。標識物質としては、蛍光分子、放射性物質、ビオチン、ジゴキシゲニン、酵素標識等が挙げられる。オリゴ(又はポリ)ヌクレオチドへの標識物の結合は、自体公知の方法に従って行うことができる。

【0026】
本発明のプローブは、上述の本発明のマーカーとしてのいずれかのオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを釣り上げるのに用いられ、検出の標的となるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドに対して、特異的にハイブリダイズするものをいう。当該プローブの配列は、標的の塩基配列と、完全に相補対を形成する配列であるのが最も好ましいが、標的の塩基配列とハイブリダイズする程度に、1~複数個のヌクレオチドが、置換、欠失、付加及び/又は導入された配列であっても良い。

【0027】
本発明のプローブは、C型肝炎の治療効果を予測する際には、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカーを検出し、マーカーに含まれるSNPのアリルプロファイルを決定するために用いることができる。本発明のプローブは、検出の標的となる、例えばマーカーとしてのオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドの塩基配列に対応させて、それとハイブリダイズするように、適宜デザインすることができる。本発明のプローブの大きさは、検出の標的となるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドによって、様々で一概にはいえないが、例えば、~1000塩基長、好ましくは5~500塩基長、より好ましくは10~40塩基長程度とすれば良い。尚、通常、プローブとしては、核酸分子の安定性の点等から、DNAが適しているが、リアルタイムPCR法のうち一種のサイクリングプローブ法を用いて標的を増幅する際には、キメラプローブが用いられる。

【0028】
検出用プローブは、SNP位置と隣接して下流に存在する3'側プローブ(common probe)とSNPを3'末端に含む上流に存在する5'側プローブ'(query probe)を用いることができる。query probeはSNP毎にアリルに対応した2種類を用意する。query probe の3'末端に対応するSNPのアリルプロファイルに応じて、それと相補的な塩基を持つquery probeだけが、3'側に隣接して存在するcommon probeと結合することができる。アンチセンス鎖に設計したquery probeは、NCBIデータベースのFasta sequenceと相同な塩基配列となり、センス鎖に設計した場合には相補的な塩基配列となる。検出のために各query probeの5'末端にはアリルに対応して2種類のquery tagが連結されており、またcommon probeの3'末端にはSNPごとに異なるcommon tagが連結されている。

【0029】
具体的なプローブとしては、以下に示す塩基配列からなるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドが挙げられる。
a)rs8099917検出用プローブ(IL28B)
Query probe 1 for rs8099917:GGTTCCAATTTGGGTGAC(配列番号1)
Query probe 2 for rs8099917:GGTTCCAATTTGGGTGAA(配列番号2)
Common probe for rs8099917:ATTGCTCACAGAAAGGAAAACAAAAGGAGGAAC(配列番号3)

【0030】
b)rs2076954検出用プローブ(RYR3)
Query probe 1 for rs2076954:TGGCCTGAATTAAGGATCT(配列番号4)
Query probe 2 for rs2076954:GGCCTGAATTAAGGATCC(配列番号5)
Common probe for rs2076954:TCCTGCCATCCATACCTTGTAGGACTG(配列番号6)

【0031】
c)rs12907066検出用プローブ(RYR3)
Query probe 1 for rs12907066:ATCTCTCCAGAAGATCCCTA(配列番号7)
Query probe 2 for rs12907066:CTCTCCAGAAGATCCCTG(配列番号8)
Common probe for rs12907066:AGCACATGTCTGGATGCCTCAGC(配列番号9)

【0032】
d)rs9528038検出用プローブ(DIAPH3)
Query probe 1 for rs9528038:TCTAAAACTGTAGATTCACCAAGA(配列番号10)
Query probe 2 for rs9528038:AACTGTAGATTCACCAAGC(配列番号11)
Common probe for rs9528038:ATTTGACATGCCCATGAAAGTTTAGTTCTCAAATGG(配列番号12)

【0033】
e)rs341554検出用プローブ(DIAPH3)
Query probe 1 for rs341554:ACATATGTGTGTATGTATATGGG(配列番号13)
Query probe 2 for rs341554:GCACATATGTGTGTATGTATATGGA(配列番号14)
Common probe for rs341554:CAACTCTTTTCATTTATGAATCTCATAGTTTTCTG(配列番号15)

【0034】
本発明のプライマーは、上述の本発明のマーカーを構成するオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを標的物質としてハイブリダイズし、当該標的物質を増幅しうるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドをいう。本発明のプライマーは、標的物質であるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドの、アンチセンス鎖及びセンス鎖の3'末端と、それぞれ特異的にハイブリダイズする、センス(フォワード)プライマーとアンチセンス(リバース)プライマーが挙げられる。本発明のプライマーは、C型肝炎の治療効果を予測する際に、サンプル中の、マーカーに相当するオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを増幅し、検出を容易にするために用いることができる。本発明のプライマーは、標的物質であるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドの末端の塩基配列に合わせて、適宜デザインすることができる。

【0035】
プライマーの大きさは、検出の標的となるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドによって、様々で一概にはいえないが、例えば、5~100塩基長、好ましくは10~70塩基長、より好ましくは15~50塩基長程度とすれば良い。尚、通常、プライマーとしては、核酸分子の安定性の点等から、DNAが適しているが、等温遺伝子増幅法(ICAN法)にはキメラプライマーが用いられる。

【0036】
具体的なプライマーとしては、以下に示す塩基配列からなるオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドが挙げられる。
a)rs8099917増幅用プライマー(IL28B)
sense primer:CCAACAAAGTGAGACTGCATCTCTGGGGAAAAAAA(配列番号16)
antisense primer:AGTAACACTTGTTCCTTGTAAAAGATTCCATCCATACAAAAA(配列番号17)

【0037】
b)rs2076954増幅用プライマー(RYR3)
forward primer for:GAGCCAAGACTGTATATAGAGCAGACATCTGCCATCTATA(配列番号18)
reverse primer for:GGCTCATACTGGTTTTACGGAAATTTTACTGTCTATACAAGTA(配列番号19)

【0038】
c)rs12907066増幅用プライマー(RYR3)
forward primer:CGGGATCCTAAGACAACCTTGATTTCCTCCTTTAATATCA(配列番号20)
reverse primer:TCCCCAGAAGTGTTGATGTTTCCTCTGTCAACCGAA(配列番号21)

【0039】
d)rs9528038増幅用プライマー(DIAPH3)
forward primer:TGCCCATTCTGAATCTCTCCCTTTTCTTATGGCAAAA(配列番号22)
reverse primer:GATCCAGTAAGACCAAAGACTATCCCAGGTACACATGA(配列番号23)

【0040】
e)rs341554増幅用プライマー(DIAPH3)
forward primer:CCTTCTAATTTGGAAAATTCCATTTGTATTCTGTAAATTA(配列番号24)
reverse primer:AAGTTGTCAGTCTGTTGAAAGGTCAACCATTTCTATAGTA(配列番号25)

【0041】
5)C型肝炎の治療効果を予測するための検査用キット
本発明の検査用キットは、C型肝炎の治療効果を予測するために用いられる検査用キットである。本発明の検査用キットには、少なくとも上記本発明のプローブ及び/又はプライマーを含み、さらに、PCR等の遺伝子増幅操作に必要な試薬、例えば耐熱性DNAポリメラーゼ、アリルプロファイル決定に一般に必要とされる試薬などを含んでいても良い。また、上述した試薬のみならず、装置・試薬・ソフト・コンピューター等のいずれかをキットに含んでいてもよく、適宜必要なものが選択される。

【0042】
6)C型肝炎の治療効果を予測するための検査方法
本発明のC型肝炎の治療効果の予測のための検査は、(1)~(3)の工程を含む方法により行うことができる。

【0043】
(1)被検者から取得したサンプルより、rs8099917のアリルプロファイルを決定する工程;
(2)さらに、rs2076954又はrs12907066のいずれかのSNPのアリルプロファイルを決定する工程;
(3)(1)及び(2)で検出された各SNPのアリルプロファイルの組み合わせから、C型肝炎の治療効果の予測を行う工程。

【0044】
上記(1)又は(2)の工程の後、さらに、第三のマーカーに含まれるrs9528038又はrs341554のいずれかのSNPのアリルプロファイルを決定する工程(2’)を含み、工程(3)において、(1)、(2)及び(2’)で検出された各SNPのアリルプロファイルの組み合わせから、C型肝炎の治療効果の予測を行うことができる。アリルプロファイルの組み合わせにおいて、SNPの種類が多いほど、より精度高いく治療効果を予測することができる。

【0045】
上記検査方法において、被検者から取得したサンプルより、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカーに含まれるrs8099917、第二一のマーカーに含まれるrs12907066及び第三のマーカーに含まれるrs341554の各SNPのアリルプロファイルを決定し、得られた各アリルプロファイルの組み合わせから、C型肝炎の治療効果の予測を行うのが最も好ましい。

【0046】
上記において被検者とは、HCVに感染している又は感染の疑われる対象をいい、ヒト以外にもチンパンジーやヒト肝細胞置換キメラマウス等を含むものであるが、本発明のマーカーは、ヒトを対象としたGWASによって得られたものであるため、ヒトが最も好ましい。上記において、被検者から取得したサンプルとは、被検者由来であって、上述のマーカーが含まれている可能性を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば血液、血清、リンパ液、精液、尿、唾液(含:口内粘膜細胞)、その他の体液、及び生体組織等が挙げられ、特に血液(リンパ球)等が採取などの取り扱いが容易で、侵襲性が低いという点で最も好ましい。被検者からサンプルを取得する方法は、特に限定されず、自体公知の方法によることができる。

【0047】
上記被検者から取得したサンプルは、個々のマーカーを検出するために、予め処理することができる。個々のマーカーを検出するためには、サンプルからDNA又はmRNA等のオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを抽出することが必要である。サンプルからのDNA又はmRNAの抽出方法は、特に限定されず、自体公知の方法によることができる。例えばDNAを抽出する場合は、塩析、PCI(フェノールクロロホルム抽出)法、市販のDNA抽出キット等を用いる方法、その他公知の方法によることができる。例えばmRNAを抽出する場合は、PCI法において溶液を酸性にして水層から抽出する方法、オリゴdTカラム等を利用する方法、市販のRNA抽出キットを用いる方法、その他の公知の方法によることができる。

【0048】
サンプルから得られたDNA又はmRNA等のオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドの量が少ない場合には、必要に応じて、公知の方法によって増幅することができる。オリゴ(又はポリ)ヌクレオチドの増幅方法は、特に限定されず自体公知の方法を採用することができ、増幅の対象がDNAの場合は、例えばPCR法やLAMP法を利用することができ、増幅の標的となる対象がmRNAの場合には、RT-PCR法やRT-LAMP法等を利用することができる。

【0049】
上記サンプルから得られたDNA又はmRNAから、本発明のマーカーに対応するオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを増幅するために、上述の各プライマーを使用することができる。また、本発明のマーカーを検出するために、上述のプローブを用いることができる。具体的には、本発明のプライマーを用いてマーカーを構成するオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを増幅し、検出することができる。さらにプローブを用いて当該増幅産物から対応するSNPを検出し、SNPのアリルプロファイルを決定することができる。

【0050】
本発明の検査方法において、サンプルから得られたDNA又はmRNA等のオリゴ(又はポリ)ヌクレオチド、あるいは上記増幅により得られたオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドにより、SNPのアリルプロファイルを決定する工程を含めても良い。アリルプロファイルの決定方法は、公知の配列決定法等を用いることができ、例えば、シークエンサー等を用いて直接塩基配列を決定するダイレクトシークエンス法(ジデオキシ法)の他、RELP(制限酵素断片長多型性)を利用するPCR-RELP法、TaqMan法、DigiTag2法、シングルヌクレオチドプライマー伸長法、SnaPshot法(ABI)、ASP-PCR法、PCR-SSO(sequence specific oligonucleotide)法、PCR-SSP(specific sequence primer)法、PCR-SSCP(single-stranded conformational polymorphism analysis)法、電気泳動等による核酸の長さの確認、及びDNAチップ等の遺伝子多型検査用器具等を用いる方法等が挙げられるが、これらに限られるものではない。

【0051】
上記増幅産物を含む検体中に含まれる標的SNPは、例えばcommon probeに連結されたcommon tagと相補的な塩基配列を持つオリゴDNAを固定したDNAチップを用いることで、検出することができる。検体に含まれる標的SNPのアリルプロファイルに応じて生成されたquery probeとcommon probeの結合産物は、DNAチップ上のcommon tagと相補的な塩基配列を持つオリゴDNAに捕獲される。アリルに対応するquery tagに対応して2種類の蛍光分子を導入することで、SNPのアリルプロファイルを決定することができる。

【0052】
上記の方法により被検者から取得したサンプルにおいて、本発明のC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群を構成するマーカーのうち、いずれか二種以上のマーカーに含まれる各SNPについてアリルプロファイルを解析することで、高い確率でC型肝炎の治療効果を予測することができる。具体的には、サンプル中に、第一のマーカーに含まれるrs8099917がメジャーアリルの場合には、約80~85%の確率で治療効果を発揮することが予測され、rs8099917がマイナーアリルの場合には、約75~80%の確率で、治療効果が発揮されないことが予測される。さらに第二のマーカーに含まれるs2076954若しくはrs12907066がメジャーアリル及び/又はマイナーアリルの場合、第三のマーカーに含まれるrs9528038若しくはrs341554がメジャーアリル及び/又はマイナーアリルの場合、各々について高い確率でC型肝炎の治療効果を予測することができる。より具体的には、C型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群のうち、第一のマーカー(rs8099917)がメジャーアリルの場合には、精度約80~85%(適用範囲約100%)、第一及び第二のマーカー(rs12907066)がメジャーアリルの場合には、精度約85~90%(適用範囲約55~57%)、さらに第一、第二及び第三のマーカー(rs341554)が各々メジャーアリルの場合には、精度約90%(適用範囲30~32%)で治療有効であると予測することができる(表4参照)。一方、第一のマーカー(rs8099917)がマイナーアリルの場合には、精度約75~80%(適用範囲約100%)、第一及び第二のマーカー(rs12907066)がマイナーアリルの場合には、精度約85%(適用範囲55~57%)、さらに第一、第二及び第三のマーカー(rs341554)が各々マイナーアリルの場合には、精度約90%(適用範囲30~32%)で治療効果が期待できないと予測することができる(表4参照)。
【実施例】
【0053】
本発明の理解を助けるために、参考例において、本発明を完成するに至った経緯を説明し、さらに実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
【実施例】
【0054】
(参考例)ゲノムワイド関連解析(GWAS)によるC型肝炎の治療効果予測
C型慢性肝炎に対してPEG-IFN/RBV併用療法が施行された日本人患者について、薬剤応答性に応じて無効群(NVR)及び有効群(VR)について、90万種以上のSNP解析用プローブを用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。その結果、特に染色体19番目に位置するIL28B近傍のSNPsであるrs2980286及びrs8099917が、p値が低く、薬剤応答性について予測可能なマーカーとなりうることが確認された(非特許文献5)。そこで、PEG-IFN/RBV併用療法が施行された日本人患者のうち無効群(NVR)128名及び有効群(VR)186名についてさらに解析を行ない、薬剤応答性について予測可能なマーカーとなりうるSNPsを選別した。解析結果は、表2に示す如くである。
【実施例】
【0055】
【表2】
JP0005787337B2_000003t.gif
【実施例】
【0056】
(実施例1)複数のマーカーを組み合わせた場合の治療効果予測について
参考例1により選別されたSNPsのうち、rs8099917並びにRYR3及びDIAPH3の各遺伝子に関連するSNPsをマーカー群とし、C型慢性肝炎に対してPEG-IFN/RBV併用療法が施行された日本人患者(425名)のうち薬剤応答性に応じて無効群(NVR)及び有効群(VR)について、上記マーカー情報に基づく治療予測と治療結果の一致率を確認した。RYR3に関連するSNPsでは、連鎖不平衡状態にある2種のSNPs、即ちrs2076954及びrs12907066があり、DIAPH3に関連する連鎖不平衡状態にある2種のSNPs、即ちSNPsではrs9528038及びrs341554がある。本実施例では、RYR3及びDIAPH3の各遺伝子に関連するSNPsとしてrs12907066、及びrs341554を用いて以下の検討を行なった。
【実施例】
【0057】
各患者から取得した血液からDNAを抽出し、各マーカーに含まれる各SNPについて、以下のプライマー及びプローブを用いてメジャー又はマイナーアリルを検出し、実際の治療結果との一致率を確認した。その結果、表3に示す実測結果が得られた。さらに、rs8099917に関連するマーカーを単独でマーカーとした場合、rs8099917及びrs12907066に関連する各マーカーをマーカー群として組み合わせた場合、rs8099917、rs12907066、及びrs341554に関連する各マーカーをマーカー群として組み合わせた場合の治療効果予測と治療結果の一致率を、表4に示した。これらの結果より、3種のマーカーに含まれる各SNPについてメジャー又はマイナーアリルを確認し、全てのSNPがメジャーアリルの場合には90.4%の一致率で治療有効性が認められ、全てのSNPがマイナーアリルの場合には89.8%の一致率で治療無効性が認められた。
【実施例】
【0058】
各SNPに対応するマーカーを増幅するためのプライマーは、配列表の配列番号16-17、20-21及び24-25に示す各塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、各SNPのアレルプロファイルを決定するためのプローブは、各々配列表の配列番号1-3、7-9、13-15に示す各塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである。
【実施例】
【0059】
【表3】
JP0005787337B2_000004t.gif
【実施例】
【0060】
【表4】
JP0005787337B2_000005t.gif

【産業上の利用可能性】
【0061】
以上、詳述したように、本発明のC型肝炎の治療効果を予測するためのマーカー群、即ちrs8099917を含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドからなる第一のマーカーに、さらにrs2076954, rs12907066, rs9528038及びrs341554から選択されるいずれかを含むオリゴ(又はポリ)ヌクレオチドを他のマーカーとして少なくとも1種含むマーカー群を利用することで、C型慢性肝炎に対する治療効果を予測することができる。具体的には、各マーカーに含まれるSNPのうちrs8099917のアリルプロファイルのほかrs2076954, rs12907066, rs9528038及びrs341554のいずれかのSNPのアリルプロファイルを解析することで、C型慢性肝炎に対するPEG-IFN/RBV併用療法に関し、より高い精度で治療有効性及び治療無効性を予測することができる。
【0062】
PEG-IFN/RBV併用療法は、治療に要する費用が高額であり、患者に対する肉体的負担は必ずしも軽いものではない。本発明のマーカー群を組み合わせて、治療有効性を確認することで、治療効果が殆ど期待されない患者に対しては、他の治療方法を提供又は提案することができ、患者に対して、経済的、肉体的負担を軽減することができる。さらに、治療効果が期待できない患者に対して施されていた治療を回避することで、国内の医療費を軽減化することができ、経済的効果も大きい。