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明細書 :加工機械の安全装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3635277号 (P3635277)
公開番号 特開2004-202506 (P2004-202506A)
登録日 平成17年1月7日(2005.1.7)
発行日 平成17年4月6日(2005.4.6)
公開日 平成16年7月22日(2004.7.22)
発明の名称または考案の名称 加工機械の安全装置
国際特許分類 B30B 15/00      
B21D  5/02      
FI B30B 15/00 C
B21D 5/02 M
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2002-371753 (P2002-371753)
出願日 平成14年12月24日(2002.12.24)
審査請求日 平成15年1月16日(2003.1.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391001619
【氏名又は名称】長野県
【識別番号】503003555
【氏名又は名称】有限会社中山ステンレス
【識別番号】503004138
【氏名又は名称】サーモジェン有限会社
発明者または考案者 【氏名】酒井 武一
【氏名】風間 武
【氏名】中山 成春
【氏名】小林 良二
個別代理人の代理人 【識別番号】100088579、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 茂
審査官 【審査官】川村 健一
参考文献・文献 特開平01-271012(JP,A)
特開昭63-152796(JP,A)
調査した分野 B21D 5/02
B30B 15/00
F16P 3/14
特許請求の範囲 【請求項1】
手に持った被加工物を加工する加工機械に付設し、人体の一部が所定の監視領域に入ったことを検出して加工機械の動作を安全側に制御する加工機械の安全装置において、放射光を発光する発光部及び当該放射光の反射光を受光する受光部からなる反射型光センサ部と前記放射光を前記監視領域の境界に対して走査させる走査部を有することにより、人体の一部が前記監視領域に入ったことを検出する検出部と、この検出部の検出結果に基づいて加工機械の動作を安全側に制御する制御部と、外面に前記反射光を前記放射光の入射方向へ反射させる再帰特性を有する反射シートを用いた反射面部を有し、かつ作業者に装着する作業者用装着部を備えることを特徴とする加工機械の安全装置。
【請求項2】
前記放射光は、レーザビームであることを特徴とする請求項1記載の加工機械の安全装置。
【請求項3】
前記走査部は、多角形の辺部にそれぞれ鏡面を設けた多面鏡体と、この多面鏡体を回転させる回転駆動部を有することにより、一方向から入射する前記放射光を走査させることを特徴とする請求項1記載の加工機械の安全装置。
【請求項4】
前記走査部は、前記放射光を通過させ、かつこの放射光の走査範囲を規制するスリットを有することを特徴とする請求項1記載の加工機械の安全装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記監視領域の上方における左右に一対配することを特徴とする請求項1又は4記載の加工機械の安全装置。
【請求項6】
前記作業者用装着部は、作業者が装着する少なくとも作業手袋を含むことを特徴とする請求項1記載の加工機械の安全装置。
【請求項7】
前記監視領域の手前に予備監視領域を設定し、かつ前記検出部の手前に、人体の一部が前記予備監視領域に入ったことを検出する予備検出部を設けるとともに、前記制御部に、前記予備検出部の検出結果に基づいて予備警報を発する警報機能を設けることを特徴とする請求項1記載の加工機械の安全装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体の一部が所定の監視領域に入ったことを検出して加工機械の動作を安全側に制御する加工機械の安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、手に持った被加工物をプレス加工するプレス機械には、人体の一部が所定の監視領域に入ったことを検出してプレス機械の動作を安全側に制御(停止制御)する安全装置が付設されている。
【0003】
この種の安全装置としては、各種知られているが、特にレーザビームを使用した安全装置としては、特表2000-502782号公報で開示される「可動部品に取り付けるための光学的装置」が知られている。この装置は、プレスブレーキの可動部品(可動ブレード)の経路に入る物体を保護するための安全装置であって、可動部品の前縁に対して固定的に取付けられ、可動部品から間隔を置いた位置にある保護領域を形成するために対向した光放出手段と光受信手段が配されるとともに、可動部品の所定の移動範囲内において、光放出手段から光ビームが放出され、この放出された光ビームが光受信手段により受信可能に構成される。そして、正常時には、可動部品の前縁から間隔を置いた位置にある遮断されない経路に沿って光放出手段から放出される光ビームが光受信手段によって受信されるとともに、他方、光ビームが遮断された不測事態において、制御手段により可動部品の前進移動が停止するように構成されたものである。
【特許文献1】
特表2000-502782号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した安全装置をはじめ、従来のこの種の安全装置は、専ら光路が遮断されることをもって人体の一部が所定の監視領域に入ったことを検出していたため、次のような問題点があった。
【0005】
第一に、被加工物の種類によっては加工できないものが発生する。例えば、図7に示すような起立した側板部Wsのある被加工物Wでは、光路を遮断する側板部Wsの存在によって加工機械の動作が安全側に制御されてしまうため、被加工物Wの加工が不能になる。
【0006】
第二に、上記公報開示の安全装置のように、光放出手段と光受信手段が可動部品と一体に移動する方式では、可動部品が下降を開始した後、加工を開始する直前まで検出できないリスクがあるとともに、他方、光放出手段と光受信手段が移動しない方式では、手の位置や大きさ等により、光路を遮断できないリスクがあるなど、高度の安全性を確保するという観点からは不十分である。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、加工できる被加工物の種類を飛躍的に拡大させることにより汎用性及び利便性を高めるとともに、高度の安全性を確保することができる加工機械の安全装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明は、手Hに持った被加工物Wを加工する加工機械Mに付設し、人体の一部(H)が所定の監視領域Zcに入ったことを検出して加工機械Mの動作を安全側に制御する加工機械Mの安全装置1を構成するに際して、放射光Ltを発光する発光部2t及び当該放射光Ltの反射光Lrを受光する受光部2rからなる反射型光センサ部2と放射光Ltを監視領域Zcの境界Kzに対して走査させる走査部3を有することにより、人体の一部(H)が監視領域Zcに入ったことを検出する検出部4p,4qと、この検出部4p,4qの検出結果に基づいて加工機械Mの動作を安全側に制御する制御部5と、外面に反射光Lrを放射光Ltの入射方向へ反射させる再帰特性を有する反射シート14を用いた反射面部6を有し、かつ作業者に装着する作業者用装着部7を備えてなることを特徴とする。
【0009】
この場合、好適な実施の形態により、放射光Ltにはレーザビームを用いる。また、走査部3は、一方向から入射する放射光Ltを走査させることができるように、多角形の辺部にそれぞれ鏡面R…を設けた多面鏡体10と、この多面鏡体10を回転させる回転駆動部11を設けて構成できる。この際、走査部3には、放射光Ltを通過させ、かつこの放射光Ltの走査範囲Qzを規制するスリット12を設けることが望ましい。なお、検出部4p,4qは、監視領域Zcの上方における左右に一対配することができる。一方、作業者用装着部7には、作業者が装着する少なくとも作業手袋15を含ませることができる。他方、他の形態としては、監視領域Zcの手前に予備監視領域Zcsを設定し、かつ検出部4p,4qの手前に、人体の一部が予備監視領域Zcsに入ったことを検出する予備検出部16p,16qを設けるとともに、制御部5に、予備検出部16p,16qの検出結果に基づいて予備警報を発する警報機能を設けることができる。
【0010】
これにより、発光部2tから放射光Ltが発光し、この放射光Ltは走査部3により監視領域Zcの境界Kzに対して走査される。一方、制御部5は受光部2rの検出結果に対応して安全側に制御を行うため、受光部2rが反射光Lrを検出しない限り、制御部5は加工機械Mの動作に対する安全側への制御は行わない。他方、作業者は、外面に反射光Lrを放射光Ltの入射方向へ反射させる再帰特性を有する反射シート14を用いた反射面部6を設けた作業者用装着部7を装着しているため、作業者用装着部7が監視領域Zcに入った場合には、放射光Ltが作業者用装着部7における反射面部6を反射し、この反射光Lrは受光部2rにより受光する。よって、制御部5は、受光部2rの受光(検出結果)に基づいて加工機械Mの動作を安全側に制御(停止制御)する。
【0011】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
まず、本実施例に係る加工機械Mの概要及びこの加工機械Mに付設する安全装置1の構成について、図1~図6を参照して説明する。
【0013】
実施例の加工機械Mは、手Hに持った鋼板,アルミニウム板,銅板等の金属板(被加工物W)を曲げ加工するベンディングマシンMbを示す。このベンディングマシンMbは、図1(図7)に示すように、上部テーブル51に固定され、かつ下方に突出した剣先を有する上型(固定型)52と、下部テーブル53から突出し、かつ機体54に内蔵した昇降駆動部により昇降するV溝を有する下型(可動型)55を備える。これにより、作業者が被加工物Wを手Hに持ち、被加工物Wを上型52と下型55間に入れた後、バーペダル56を足で踏めば、昇降駆動部が作動し、下型55が上昇して被加工物Wに対する曲げ加工を行うことができる。
【0014】
そして、このベンディングマシンMbには、本実施例に係る安全装置1を付設する。安全装置1は、監視領域Zcの上方に配した左右一対の検出部4p,4qを備える。実施例の監視領域Zcは、図3に示すように、上型52及び下型55の手前50〔mm〕程度の範囲に設定した。このため、検出部4p,4qは、図1に示す上部テーブル51を有する前面パネル57に取付けることにより、監視領域Zcの境界Kzに対して走査することができる。したがって、本実施例に係る安全装置1は、既存のベンディングマシンMbにも容易に後付することができる。
【0015】
右側の検出部4pは、図4に示すように、直方体状に形成したハウジング21を有し、内部には、反射型光センサ部2と走査部3を備える。反射型光センサ部2は、放射光Ltを発光する発光部2t及び当該放射光Ltの反射光Lrを受光する受光部2rからなり、発光部2tと受光部2rを一体化したユニットとして構成する。なお、発光部2tと受光部2rの向きは同一方向である。この場合、発光部2tの発光する放射光Ltはビーム径が3〔mm〕程度のレーザビームであり、作業者が監視領域Zcを認識できるように、波長を650~670〔nm〕に選定することが望ましい。このようなレーザビームを用いれば、必要により監視領域Zcを狭めることができるため、より小さい被加工物Wの加工も実現可能になる。
【0016】
また、反射型光センサ部2は、回帰反射方式により構成する。したがって、発光部2tには、放射光(レーザビーム)Ltの横波のみを通過させる偏光フィルタを有するとともに、受光部2rには、反射光(レーザビーム)Lrの縦波のみを通過させる偏光フィルタを有する。これにより、放射光Ltが鋼板,アルミニウム板,銅板等の金属板(被加工物W)に当たっても偏光方向は変わらないため、受光部2rではこの反射光Lrを受光しない。即ち、反射型光センサ部2は、被加工物Wを検出しない。
【0017】
一方、走査部3は、放射光Ltを監視領域Zcの境界Kzに対して走査させる機能を有する。走査部3は、図4に示すように、多角形の辺部にそれぞれ鏡面R…を設けた多面鏡体10と、この多面鏡体10を回転させる回転駆動部11を有することにより、一方向から入射する放射光Ltを走査させることができる。実施例の多面鏡体10は、端面を六角形に形成し、かつ周面に平面鏡を用いた六枚の鏡面R…を設けて構成する。回転駆動部11は、電動モータを使用する。この場合、多面鏡体10は、電動モータの回転シャフトに直結してもよいし、必要により減速回転伝達機構等を介在させてもよい。走査部3をこのように構成すれば、比較的簡易な構成により放射光Ltを走査させることができるとともに、回転数を変更することにより走査回数を容易に設定することができる。また、ハウジング21の底面部21dには、図4に示すように、放射光Ltの走査範囲Qzを規制するスリット12を形成する。この走査範囲Qzは、図1に示すように、ベンディンングマシンMbの左右方向全幅分を確保することが望ましい。
【0018】
以上、右側の検出部4pについて説明したが、左側の検出部4qも右側の検出部4pに対して左右対称に構成する点を除いて同一に構成することができる。なお、左右の干渉を防止するため、レーザビームの波長を左右において若干異ならせてもよい。
【0019】
さらに、前面パネル57の空き位置には、制御部5を内蔵する制御ボックス22を取付ける。制御部5には、上記検出部4p,4qにおける反射型光センサ部2…及び回転駆動部11(電動モータ)…をそれぞれ接続するとともに、ベンディンングマシンMbの制御系を接続する。これにより、検出部4p,4qからの検出結果は制御部5に付与される。また、制御部5は、回転駆動部11を制御するとともに、検出部4p,4qの検出結果に基づいて加工機械Mの動作を安全側に制御する。よって、多面鏡体10の形状(角数)や配設位置及び回転数を設定すれば、放射光Ltは、鏡面R…に当たって反射し、スリット12を透過して下方に放射されるとともに、左右方向への反復的な走査が繰り返し行われる。実施例は、1秒間の走査回数を100~200回程度に設定した。なお、図1中、58は緊急停止解除ボタンを示す。
【0020】
他方、安全装置1は、外面に放射光Ltを反射する反射面部6を有し、かつ作業者に装着する作業者用装着部7を備える。反射面部6は、放射光Ltの入射方向へ反射光Lrを反射させる再帰特性を有する夜光反射シート14を用いる。また、作業者用装着部7は、作業者が装着する少なくとも作業手袋15を含み、必要により作業服や作業ズボンの一部を含ませることができる。図5には、放射光Ltを反射する反射面部6を外面全面に設けた作業手袋15を示す。
【0021】
再帰特性を有する夜光反射シートとしては、一般に、ガラスビーズ方式とマイクロプリズム方式が知られている。実施例は、図6に示すように、マイクロプリズム方式を用いた夜光反射シート14を示す。夜光反射シート14は、多数のマイクロプリズムP…が配列したプリズム層23,空気層24及び裏材25からなり、平坦面に形成したプリズム層23の外面が入射面となる。これにより、反射面部6に入射した放射光Ltは、マイクロプリズムPの三つの面を跳ね返り、入射方向に反射光Lrを放射する。
【0022】
このため、作業手袋15を製作する場合には、夜光反射シート14の裏材25に作業手袋用生地に兼用できる素材を使用し、図5に示すように、夜光反射シート14を直接用いて作業手袋15を製作してもよいし、図6に示すように、別途の作業手袋用生地26を用いて作業手袋の本体を製作し、この表面に、夜光反射シート14を小片状にカットするなどによって形成した多数の夜光反射チップ14p…を貼付けてもよい。
【0023】
次に、本実施例に係る安全装置1の動作について、各図を参照しつつ図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0024】
まず、作業者は、手Hに作業手袋15を装着する。そして、作業者は、作業手袋15を装着した手Hで被加工物Wを持ち、図1に示すように、ベンディングマシンMbの上型52と下型55間に挿入する。この状態で、作業者がバーペダル56を足で踏めば、ベンディングマシンMbは加工処理動作を開始する(ステップS1)。即ち、機体54に内蔵する昇降駆動部の作動により下型55が上昇を開始し、同時に、検出部4p(4q側も同じ)の発光部2tから放射光Ltが放射されるとともに、多面鏡体10は回転駆動部11により回転する(ステップS2)。これにより、放射光Ltは、多面鏡体10の鏡面Rに反射し、スリット12を通過するとともに、多面鏡体10の回転により、鏡面Rを反射した放射光Ltは左右方向に走査される(ステップS3)。この場合、放射光Ltは、図4に示すように、スリット12により走査範囲Qzが規制されるとともに、図2及び図3に示すように、設定した監視領域Zcの境界Kzに対して走査を行う。
【0025】
この際、反射型光センサ部2は、前述した回帰反射方式を採用するため、偏光した放射光Ltがそのまま反射する被加工物Wは検出されない。したがって、作業手袋15が監視領域Zcに入らない限り、正常に加工処理動作が継続する(ステップS4,S5)。即ち、下型55の上昇が継続するとともに、この下型55と上型52で被加工物Wを挟むことにより曲げ加工が行われる。この状態の一例を図7に示す。この場合、監視領域Zcは上型52及び下型55に対して50〔mm〕程度手前に設定されるため、かなり小さい被加工物Wであっても加工可能である。そして、加工が終了すれば、下型55が下降し、ホームポジションに戻ることにより加工処理動作が終了するとともに、放射光Ltの放射が停止し、また、多面鏡体10の回転も停止する(ステップS6,S7,S8)。これにより一連の加工工程が終了する。
【0026】
他方、加工処理動作中に、作業手袋15が図3に仮想線で示す作業手袋15sのように、監視領域Zcに入った場合を想定する。この場合、図2に示すように、放射光Ltは作業手袋15の反射面部6を反射する。反射面部6は、反射光Lrを放射光Ltの入射方向へ反射させる再帰特性を有する夜光反射シート14を用いているため、反射面部6に入射した放射光Ltは、マイクロプリズムPの三つの面を跳ね返り、入射方向に偏光が乱された反射光Lrを放射する。よって、反射光Lrは、スリット12を通過し、さらに、鏡面Pを反射することにより受光部2rに入光する。この反射光Lrは偏光が乱されているため、受光部2rにより検出される。そして、この検出結果は、制御部5に付与される。検出結果は、制御部5において予め設定した閾値と比較処理され、作業手袋15(人体の一部)が監視領域Zcに入ったことが判別される(ステップS4,S9)。
【0027】
これにより、制御部5は、ベンディングマシンMbの動作を安全側に制御(停止制御)する(ステップS10)。この結果、動作中のベンディングマシンMbは直ちに停止し、安全が確保される。作業者は、これに基づき、被加工物Wを持つ位置を変えるなどにより、作業手袋15を監視領域Zcの外に出せば、反射光Lrは無くなり、受光部2rは非検出状態となる。したがって、加工を続行する場合には、バーペダル56を踏み直すことにより、加工処理動作が再開する(ステップS11,S1…)。即ち、停止していた下型55が上昇を再開するとともに、放射光Ltの放射及び多面鏡体10の回転も再開する。
【0028】
一方、ベンディングマシンMbの動作が停止した際に、作業者が危険を感じた場合は、緊急停止解除ボタン58を押せばよい(ステップS11,S12)。これにより、下型55が下降し、ホームポジションに戻ることにより加工処理動作を終了させることができる(ステップS7,S8)。
【0029】
このような本実施例に係る安全装置1によれば、従来の安全装置のような光路が遮断されることをもって人体の一部が所定の監視領域に入ったことを検出する方式とは異なり、図7に示すような起立した側板部Wsのある被加工物Wであっても加工することができる。よって、加工できる被加工物Wの種類が飛躍的に拡大し、汎用性及び利便性が高められる。また、バーペダル56を踏んだ後(加工処理動作が開始した後)は、常時、検出可能な状態になるとともに、左右一対の検出部4p,4qにより角度の異なる二方向から検出を行うため、一方向のみによる場合の検出漏れが回避されるなど、高度の安全性が確保される。
【0030】
なお、図9には、変更実施例を示す。この変更実施例は、監視領域Zcの手前に予備監視領域Zcsを設定し、かつ検出部4p,4qの手前に、人体の一部が予備監視領域Zcsに入ったことを検出する予備検出部16p,16qを設けるとともに、制御部5に、予備検出部16p,16qの検出結果に基づいて予備警報を発する警報機能を設けたものである。この場合、予備監視領域Zcsは、監視領域Zcの手前200〔mm〕程度の範囲に設定することができる。予備検出部16p,16qは、それぞれ検出部4p,4qと同様に構成することができるが、検出精度は、検出部4p,4qよりも低度で足りるため、例えば、反射型光センサ部には、レーザビームを用いることなく、一般的な発光ダイオードの発光を利用することができる。また、制御部5には、チァイム音等を発するアラーム30を接続する。
【0031】
これにより、予備監視領域Zcsに、作業手袋15が入ったなら、予備検出部16p,16qにより検出され、制御部5は、アラーム30を作動させてチァイム音等による予備警報を発する。よって、作業者に対して監視領域Zcの手前で注意を促すことができるため、作業者に対して安心感を持たせることができるとともに、より安全性を高めることができる。なお、図9中、Kzsは予備監視領域Zcsの境界を示している。また、図9において、図2と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
【0032】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、実施例は、安全装置1を付設する加工機械Mとして、ベンディングマシンMbを例示したが、印刷業や紙器業で用いられる裁断機等の各種加工機械Mにも同様に適用することができる。また、人体の一部が監視領域Zcに入ったことを検出して加工機械Mの動作を停止させる場合を例示したが、必要により反対方向に動作させるなどの他の制御を行わせる場合を排除するものではない。さらに、走査部3として、多角形の辺部にそれぞれ鏡面R…を設けた多面鏡体10を回転駆動部11により回転させる場合を示したが、一枚の鏡体を一定の角度範囲で反復的に回動(揺動)させることにより放射光Ltを振らせてもよい。他方、検出部4p,4q(予備検出部16p,16q)は、監視領域Zc(予備監視領域Zcs)の上方における左右に一対配した場合を示したが、単一の検出部4p(又は4q)であってもよいし、必要により三以上の検出部4p…を用いてもよい。また、単一の検出部4pから放射される放射光Ltをハーフミラー等により二方向に分岐させて使用してもよい。
【0033】
【発明の効果】
このように、本発明に係る加工機械の安全装置は、放射光を発光する発光部及び当該放射光の反射光を受光する受光部からなる反射型光センサ部と放射光を監視領域の境界に対して走査させる走査部を有することにより、人体の一部が監視領域に入ったことを検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて加工機械の動作を安全側に制御する制御部と、外面に反射光を放射光の入射方向へ反射させる再帰特性を有する反射シートを用いた反射面部を有し、かつ作業者に装着する作業者用装着部を備えるため、次のような顕著な効果を奏する。
【0034】
(1) 従来の安全装置のような光路が遮断されることにより検出する方式とは異なるため、起立した側板部のある被加工物であっても加工できるなど、加工できる被加工物の種類を飛躍的に拡大することができ、汎用性及び利便性を高めることができる。
【0035】
(2) レーザビームを可動部品と一緒に移動させる従来の方式とは異なり、加工処理動作を開始した後は、常時検出可能な状態となるため、高度の安全性を確保することができる。
【0036】
(3) 好適な実施の形態により、放射光に、レーザビームを用いれば、必要により監視領域を狭めることができるため、より小さい被加工物の加工も実現可能となる。
【0037】
(4) 好適な実施の形態により、走査部に、多角形の辺部にそれぞれ鏡面を設けた多面鏡体と、この多面鏡体を回転させる回転駆動部を設ければ、比較的簡易な構成により放射光を走査させることができるとともに、走査回数の設定を容易に行うことができる。
【0038】
(5) 好適な実施の形態により、検出部を、監視領域の上方における左右に一対配すれば、検出漏れが回避できるなど、より高度の安全性を確保することができる。
【0039】
(6) 好適な実施の形態により、監視領域の手前に予備監視領域を設定し、かつ検出部の手前に、人体の一部が予備監視領域に入ったことを検出する予備検出部を設けるとともに、制御部に、予備検出部の検出結果に基づいて予備警報を発する警報機能を設ければ、作業者に対して監視領域の手前で注意を促すことができ、作業者に対して安心感を持たせることができるとともに、より安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る安全装置を付設した加工機械(ベンディングマシン)の外観斜視図、
【図2】同安全装置の正面方向から見た原理的構成図、
【図3】同安全装置の平面方向から見た原理的構成図、
【図4】同安全装置における検出部の構成図、
【図5】同安全装置における作業手袋の背面図、
【図6】同作業手袋の変更例における断面図、
【図7】同加工機械(ベンディングマシン)による被加工物に対する加工中の状態を示す斜視図、
【図8】同安全装置の動作(機能)を説明するためのフローチャート、
【図9】本発明の変更実施例に係る安全装置の平面方向から見た原理的構成図、
【符号の説明】
1 安全装置
2 反射型光センサ部
2t 発光部
2r 受光部
3 走査部
4p 検出部
4q 検出部
5 制御部
6 反射面部
7 作業者用装着部
10 多面鏡体
11 回転駆動部
12 スリット
14 夜光反射シート
15 作業手袋
16p 予備検出部
16q 予備検出部
H 手(人体の一部)
W 被加工物
Zc 監視領域
Zcs 予備監視領域
M 加工機械
Lt 放射光
Lr 反射光
Kz 監視領域の境界
R… 鏡面
Qz 走査範囲
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8