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明細書 :アバランシェフォトダイオードを用いた波長スペクトル検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4654446号 (P4654446)
公開番号 特開2008-241578 (P2008-241578A)
登録日 平成23年1月7日(2011.1.7)
発行日 平成23年3月23日(2011.3.23)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 アバランシェフォトダイオードを用いた波長スペクトル検出方法
国際特許分類 G01J   3/32        (2006.01)
G01J   3/02        (2006.01)
H01L  31/107       (2006.01)
FI G01J 3/32
G01J 3/02 S
H01L 31/10 B
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2007-084832 (P2007-084832)
出願日 平成19年3月28日(2007.3.28)
審査請求日 平成19年3月28日(2007.3.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】秋山 正弘
【氏名】澤田 和明
審査官 【審査官】▲高▼場 正光
参考文献・文献 特開昭61-277024(JP,A)
特公平04-069825(JP,B2)
特開平07-262560(JP,A)
特開2005-010114(JP,A)
特公平07-117458(JP,B2)
特公昭52-043591(JP,B2)
A.R.Pauchard, 他,“Dead Space Effect on the Wavelength Dependence of Gain and Noise in Avalanche Photodiodes”,IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,2000年 9月,Vol.47, No.9,pp.1685-1693
H.Ishikura, 他,“Stable avalanche-photodiode operation of ZnSe-based p+-n structure blue-ultraviolet photodetectors”,APPLIED PHYSICS LETTERS,2000年 2月21日,Vol.76, No.8,pp.1069-1071
調査した分野 G01J3/00-3/52
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
任意の光の波長スペクトルを検出する方法であって、
アバランシェフォトダイオードの増倍率を検出する増倍率検出回路を用いて、単一の前記アバランシェフォトダイオードに複数のバイアス電圧Vnを印加した場合のそれぞれにおいて、予め波長λnが判明している複数の比較用の光をそれぞれ入射させたときの増倍率X[λn,Vn]を検出し、
前記単一のアバランシェフォトダイオードに前記任意の光を入射させたときの増倍率M(n)を、前記複数のバイアス電圧Vnを印加した場合のそれぞれにおいて前記増倍率検出回路を用いて検出し、
以下の数1の式に基づいて、前記任意の光の波長スペクトルを検出することを特徴とするアバランシェフォトダイオードを用いた波長スペクトル検出方法。
なお、Anは波長λnの光の含有率。nは2以上の整数、X[λn,Vn]は前記単一のアバランシェダイオードに逆バイアス電圧Vnを印加し、波長λnの光を入れた場合の増倍率、M(n)は前記単一のアバランシェフォトダイオードに前記逆バイアス電圧Vnを印加し、前記任意の光を入射した場合の増倍率。
【数1】
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発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、波長スペクトルを検出する方法に関し、より詳細には、アバランシェフォトダイオードの増倍率に基づいて波長スペクトルを検出するアバランシェフォトダイオードを用いた波長スペクトル検出方法に関する
【背景技術】
【0002】
通常、波長スペクトラム測定をするために光スペクトラムアナライザが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
光スペクトラムアナライザは、モータ等によって角度を変えることができるように支持された回折格子に測定対象光を入射し、その回折光からスリットによって選択した光のレベルを受光器によって検出する光学部を有しており、回折格子の角度を連続的に変えることによりスリットを通過する光の波長を掃引して、入力光の波長毎のスペクトラムを求め、これを表示器の画面に波長軸とともに表示している。表示されるスペクトラムの波長情報は、光学部の機械的な情報、即ち、回折格子の角度情報に基づいて生成されている。
【0004】

【特許文献1】特開2002-168692(第3頁、従来の技術)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した光スペクトルアナライザは大きな構造をとるため、持ち運びや設置に問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされ、その目的とするところは、小型で持ち運びやすく、設置場所に制限されない装置が実現可能となる、APDを用いた波長スペクトル検出方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるバランシェフォトダイオードを用いた波長スペクトル検出方法は、任意の光の波長スペクトルを検出する方法であって、アバランシェフォトダイオードの増倍率を検出する増倍率検出回路を用いて、単一の前記アバランシェフォトダイオードに複数のバイアス電圧Vnを印加した場合のそれぞれにおいて、予め波長λnが判明している複数の比較用の光をそれぞれ入射させたときの増倍率X[λn,Vn]を検出し、前記単一のアバランシェダイオードに前記任意の光を入射させたときの増倍率M(n)を、前記複数のバイアス電圧Vnを印加した場合のそれぞれにおいて前記増倍率検出回路を用いて検出し、以下の数1の式に基づいて、前記任意の光の波長スペクトルを検出することを特徴とする。
なお、Anは波長λnの光の含有率。nは2以上の整数、X[λn,Vn]は前記単一のアバランシェダイオードに逆バイアス電圧Vnを印加し、波長λnの光を入れた場合の増倍率、M(n)は前記単一のアバランシェフォトダイオードに前記逆バイアス電圧Vnを印加し、前記任意の光を入射した場合の増倍率。
【0008】
【数1】
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【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるアバランシェフォトダイオードを用いた波長スペクトル検出方法によれば、小型で持ち運びやすく設置場所に制限されない装置が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
アバランシェフォトダイオード(以下、単にAPDと称する場合がある)は入射光の波長により増倍率が変化する特徴を持っている。図1にAPDの入射光の波長と増倍率の依存特性を示している。APDの増倍率検出には増倍率検出回路を用いる。これにより、APDの増倍率を検出することが可能である。
【0011】
図2に増倍率検出回路の具体例を示す。
【0012】
全素子の接続関係は、APD11のアノードは直流電源VAPDと接続されている。
APD11のカソードはA点と接続されている。A点は電界効果トランジスタ(以下FETと称することもある)1のソース、コンデンサ6の陽極、FET4のソース、FET3のソースに接続されている。コンデンサ6の陰極はGNDに接続されている。FET1のゲートはパルス電圧源Vres1に接続されている。FET1のドレインは電圧源Vr1に接続されている。FET4のゲートはパルス電圧源Vres2に接続されている。FET4のドレインはD点に接続されており、D点は電圧源Vr1に接続されている。FET3のゲートはC点に接続されている。FET3のドレインはB点に接続されている。C点は、PD12のカソードと、コンデンサ7の陽極、FET2のソースと接続されている。コンデンサ7の陰極はGNDと接続されている。PD12のアノードは直流電源VPDに接続されている。FET2のゲートはパルス電源Vres1に接続されている。FET2のドレインは直流電源Vr1に接続されている。B点は、コンデンサ8の陽極と、FET5のソースとVout端子に接続されている。コンデンサ8の陰極はGNDに接続されている。FET5のゲートはパルス電圧源Vres3に接続されている。FET5のドレインは電圧源Vr2に接続されている。
【0013】
FET1はA点の電位をVr1まで充電するために用いられる。コンデンサ6はAPD11により発生する光信号電流を蓄積するために用いられる。FET2はC点の電位をVr1まで充電するために用いられる。コンデンサ7はPD12により発生する光信号電流を蓄積するために用いられる。FET3はC点とA点の電位を比較し、A点の電位が大きい場合には、B点に電位差分の電荷を移動する役割を持っている。FET4は、A点からB点に行く電荷量を制限する役割がある。この制限によって、B点には増倍率に比例した信号電荷が蓄積されることになる。FET5はB点の電位をVr2まで充電するために用いられる。コンデンサ8はA点からB点に移動する電荷を蓄積するために用いられる。
【0014】
「増倍率が1倍の場合」はB点に転送される信号電荷量は0となる。「増倍率が2倍の場合」はB点に転送される信号電荷量は(Vr1-Vres2)/Cである。「増倍率が3倍の場合」はB点に転送される信号電荷量は2×(Vr1-Vres2)/Cである。「増倍率が4倍の場合」はB点に転送される信号電荷量は3×(Vr1-Vres2)/Cである。このように、B点の信号電荷量は(増倍率-1)×(Vr1-Vres2)/Cとなり、増倍率を検出することが可能となる。


【0015】
ここで、任意の光(波長スペクトルを求めたい光)がAPDに入射した場合の増倍率は、数式2のように表される。
【0016】
【数2】
JP0004654446B2_000003t.gif

【0017】
また、APDは印加電圧によっても増倍率が変化する特徴を持っている。図3にAPDへの印加電圧を変化させた場合の入射光の波長と増倍率の依存特性を示している。
【0018】
ここで、「印加電圧をV1からVnに変化させた場合」において、任意の光(波長スペクトルを求めたい光)がAPDに入射した場合の増倍率は、数式3のように表される。
【0019】
【数3】
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【0020】
数式3を行列に書き換えると数式4のようになる。
【0021】
【数4】
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【0022】
数式4を波長スペクトル(A1からAn)を求める形に変形すると数式5のようになる。
【0023】
【数5】
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【0024】
このように、波長スペクトルは、式5より求めることができる。ここで、Anは波長λnの光比率(含有率)を示している。故に、A1からAnはλ1からλnまでの波長スペクトルを表している。また、X[λn,Vn]はアバランシェフォトダイオード(APD)に「逆バイアス電圧Vnを印加し、波長λnの光を入れた場合」の増倍率を表している。またM(n)はAPDに「逆バイアス電圧Vnを印加し、任意の光(波長スペクトルを求めたい光)を入れた場合」の増倍率を表している。この式より、X[λn,Vn]を予め測定して置けば、「任意の光」の増倍率M(1)からM(n)を求めることで、式4により任意の光の波長スペクトル(A1からAn)を求めることが可能である。
【0025】
数式5が正しいことを確認した実験を報告する。実験で用いたAPDは浜松フォトニクス製S2381を用いている。ここでは、2つの波長に限定して実験を行う。「2つの波長を持つ光を入射した場合」、数式5は数式6のように変形される。
【0026】
【数6】
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【0027】
λ1には655nmの光(Kokuyo製赤色レーザポインタ)を用い、λ2には532nmの光(Kokuyo製緑色レーザポインタ)を用いる。またV1には73.0Vを用い、V2には73.1Vの電圧を用いる。その場合、数式6は数式7のように表される。
【0028】
【数7】
JP0004654446B2_000008t.gif

【0029】
Xの値を予め測定し、数式7に代入すると数式8のようになる。
【0030】
【数8】
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【0031】
655nmの光と532nmの光を、75% 対 25%の割合で入射した場合、測定結果から数式9を得ることができる。
【0032】
【数9】
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【0033】
数式9の逆行列を計算すると、数式10を得ることが出来る。
【0034】
【数10】
JP0004654446B2_000011t.gif

【0035】
数式10より、A(655nm)とA(532nm)を計算すると数式11を得る。
【0036】
【数11】
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【0037】
数式11より、A(655nm)が0.76、A(532nm)が0.24であることが確認できた。これは、入射した光に、655nmの光が76%の割合で含まれており、532nmの光が24%の割合で含まれていることを意味している。元々入射した光の割合は655nmの光が75%で、532nmの光が25%であったことから、ほぼ正しい値が出力されているといえる。
【0038】
以上本発明につき、好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、APDの入射光の波長と増倍率の依存特性である。
【図2】図2は、APDの増倍率検出回路の回路図である。
【図3】図3は、APDへの印加電圧を変化させた場合の入射光の波長と増倍率の依存特性である。
【符号の説明】
【0040】
1,2、3、4、5 NチャネルMOSFET
6、7、8 コンデンサ
11 APD
12 PD
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2