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明細書 :センサ及びセンサの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5339377号 (P5339377)
公開番号 特開2011-226800 (P2011-226800A)
登録日 平成25年8月16日(2013.8.16)
発行日 平成25年11月13日(2013.11.13)
公開日 平成23年11月10日(2011.11.10)
発明の名称または考案の名称 センサ及びセンサの製造方法
国際特許分類 G01N  27/414       (2006.01)
G01N  27/00        (2006.01)
FI G01N 27/30 301U
G01N 27/30 301V
G01N 27/30 301W
G01N 27/30 301X
G01N 27/30 301Y
G01N 27/00 J
請求項の数または発明の数 5
全頁数 25
出願番号 特願2010-094012 (P2010-094012)
出願日 平成22年4月15日(2010.4.15)
審査請求日 平成25年4月2日(2013.4.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】佐藤 威友
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100113435、【弁理士】、【氏名又は名称】黒木 義樹
【識別番号】100154656、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 英彦
審査官 【審査官】柏木 一浩
参考文献・文献 特開2010-19555(JP,A)
特開2008-258594(JP,A)
特開平6-213851(JP,A)
調査した分野 G01N 27/414
G01N 27/00
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
電界効果トランジスタ型のセンサであって、
第1導電型半導体基板と、
前記第1導電型半導体基板の主面上に設けられた第2導電型半導体領域と、
前記第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられたソース電極と、
前記ソース電極と離間するように前記第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられたドレイン電極と、
前記第1導電型半導体基板の裏面上に設けられたバックゲート電極と、
を備え、
前記第1導電型半導体基板と前記第2導電型半導体領域とはpn接合を構成し、
前記第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極によって覆われておらず、
前記第2導電型半導体領域の上面の前記少なくとも一部には、複数の孔部が形成されており、
前記複数の孔部は、それぞれ、前記第2導電型半導体領域の上面から前記第1導電型半導体基板に向かって延びると共に、前記第1導電型半導体基板には至っておらず、
前記第2導電型半導体領域の上面の前記少なくとも一部及び前記複数の孔部の側面は、オープンゲートを構成していることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記複数の孔部は、前記バックゲート電極を陽極電極として用いた陽極酸化法によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
電界効果トランジスタ型のセンサの製造方法であって、
第1導電型半導体基板の主面上に、当該第1導電型半導体基板とpn接合を構成する第2導電型半導体領域を形成する半導体領域形成工程と、
前記第1導電型半導体基板の裏面上にバックゲート電極を形成するバックゲート電極形成工程と、
前記第2導電型半導体領域に、複数の孔部を形成する孔部形成工程と、
前記第2導電型半導体領域の上面又は側面に互いに離間するソース電極及びドレイン電極を形成し、その際、前記第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部は前記ソース電極及び前記ドレイン電極によって覆われていないようにするソース・ドレイン電極形成工程と、
を備え、
前記孔部形成工程は、前記第1導電型半導体基板を陽極電極として用いた陽極酸化法によって、前記第2導電型半導体領域に、当該第2導電型半導体領域の上面から前記第1導電型半導体基板に向かって延びる前記複数の孔部であって、前記第1導電型半導体基板には至っていない前記複数の孔部を形成する陽極酸化工程を含むことを特徴とするセンサの製造方法。
【請求項4】
前記孔部形成工程は、前記陽極酸化工程の前に、前記第2導電型半導体領域の上面に、複数の開口を有するマスクを形成するマスク形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のセンサの製造方法。
【請求項5】
第1導電型半導体基板と、
前記第1導電型半導体基板の主面上に設けられた第2導電型半導体領域と、
前記第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられた第1電極と、
前記第1電極と離間するように前記第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられた第2電極と、
前記第1導電型半導体基板の裏面上に設けられた第3電極と、
を備え、
前記第1導電型半導体基板と前記第2導電型半導体領域とはpn接合を構成し、
前記第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部は、前記第1電極及び前記第2電極によって覆われておらず、
前記第2導電型半導体領域の上面の前記少なくとも一部には、複数の孔部が形成されており、
前記複数の孔部は、それぞれ、前記第2導電型半導体領域の上面から前記第1導電型半導体基板に向かって延びると共に、前記第1導電型半導体基板には至っておらず、
前記第2導電型半導体領域の上面の前記少なくとも一部及び前記複数の孔部の側面は、測定対象を作用させる感応面を構成しており、
前記測定対象が前記感応面に作用することにより、前記第2導電型半導体領域の電気伝導度が変化することを特徴とするセンサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ及びセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物を半導体へ作用させ、その際に生じる半導体の電気伝導度の変化を測定することにより、測定対象物を検出するセンサが知られている。例えば、下記非特許文献1には、イオン感応性電界効果トランジスタと呼ばれるセンサが記載されている。このセンサは、電界効果トランジスタ構造を有している。測定の際には、ソース電極とドレイン電極間に検知電流を流した状態で、測定対象物である溶液中のイオンをセンサのゲート部に吸着させる。すると、ゲート部の表面電位が変化する。この表面電位の変化に起因して、ゲート部に接する半導体領域の空乏層の厚さが変化するため、当該半導体領域の電気伝導度が変化する。その結果、ソース電極とドレイン電極間を流れる検知電流の大きさも変化するため、その変化を測定することにより、測定対象物を検出することができる。
【0003】
また、下記特許文献1には、絶縁基板上に設けられた多孔質構造の半導体層からなるガス感応部と、ガス感応部上に設けられた一対の電極と、を備えるガス検知素子が記載されている。このガス検知素子においては、ガス感応部が多孔質構造であるため、測定対象のガスを吸着するガス感応部の表面積が大きくなり、測定感度が向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平6-213851号公報
【0005】

【非特許文献1】P. Bergveld et al., “Developmentof an Ion-Sensitive Solid-State Device for Neurophysiological Measurements”,IEEE TRANSACTIONS ON BIO-MEDICAL ENGINEERING, 17 (1970), p.70-71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イオン感応性電界効果トランジスタ等の、測定対象の作用による半導体の電気伝導度の変化を利用したセンサは、ガスセンサやバイオセンサ等の幅広い用途に応用されており、その感度の向上が求められている。
【0007】
上記非特許文献1に記載のイオン感応性電界効果トランジスタにおいては、半導体領域の表面の一部が、感応面としてのゲート部(オープンゲート)を構成している。この感応面は平坦な面であるため、その表面積は小さく、感度が低いという問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために、上記特許文献1に記載のガス検知素子のように、多孔質構造の半導体を用いることにより、ガス感応部の表面積を増大させる方法が考えられる。しかしながら、上記特許文献1に記載のガス検知素子のような構成を有するセンサにおいては、下記のような理由により、センサの製造工程が複雑であり製造コストが高いという問題がある。
【0009】
即ち、半導体層に多孔質構造を形成する際には、一般的に、基板上に均一な半導体層を形成した後に、この基板を陽極電極として用いた陽極酸化法によって、半導体層に多孔質構造を形成する。陽極酸化法を用いることにより、複数の孔部を直線的に形成することができ、また、各孔部の直径のばらつきを低減させることができる。
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載のガス検知素子においては、絶縁基板上に多孔質構造の半導体層を設けている。そのため、絶縁基板に半導体層が固定された状態では、基板が導電性を有していないため、基板を陽極電極として用いた陽極酸化法によって半導体層に多孔質構造を形成することはできない。そのため、導電性の基板上に均一な半導体層を形成してから陽極酸化法によって半導体層に多孔質構造を形成した後に、基板と半導体層とを分離し、当該半導体層を絶縁性の基板に固定するという複数の工程が必要となる。そのため、センサの製造工程が複雑となり、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
【0011】
このような問題を改善するためには、導電性の基板上に半導体層を形成し、この基板を陽極電極として用いた陽極酸化法によって半導体層に多孔質構造を形成する方法が考えられる。しかしながら、このような方法を採用した場合、以下のような理由により、センサの特性のばらつきを抑制しながら、センサの感度を向上させることが困難であるという問題がある。
【0012】
即ち、導電性の基板上に半導体層を形成し、この基板を陽極電極として用いた陽極酸化法によって半導体層に多孔質構造を形成する際、各孔部が半導体層の下面、即ち、半導体層と基板との界面まで延びるようにすると、半導体層と基板とでは、同一条件下での陽極酸化法によるエッチングレートが異なるため、各孔部の深さについての加工精度が低下してしまう。その結果、各孔部の深さのばらつきが大きくなってしまうため、センサの特性のばらつきも大きくなってしまう。
【0013】
このようなばらつきを抑制するためには、各孔部が半導体層と基板との界面まで達しないように、即ち、各孔部が半導体層の上面と下面との中間点まで延びるように、陽極酸化法によって半導体層に多孔質構造を形成する方法が考えられる。しかしながら、このようは方法を採用した場合、半導体層に設けた2つの電極(例えば、ソース電極とドレイン電極)の間に流れる検知電流は、孔部が延びていない半導体層の下部にも流れてしまうため、その分センサの感度が低下してしまう。このような理由により、センサの特性のばらつきを抑制しながら、センサの感度を向上させることが困難であるという問題がある。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、製造コストが低いと共に、センサの特性のばらつきを抑制しながら、センサの感度を向上させることが可能なセンサ、及び、このようなセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決するため、本発明に係るセンサは、電界効果トランジスタ型のセンサであって、第1導電型半導体基板と、第1導電型半導体基板の主面上に設けられた第2導電型半導体領域と、第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられたソース電極と、ソース電極と離間するように第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられたドレイン電極と、第1導電型半導体基板の裏面上に設けられたバックゲート電極とを備え、第1導電型半導体基板と第2導電型半導体領域とはpn接合を構成し、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部は、ソース電極及びドレイン電極によって覆われておらず、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部には、複数の孔部が形成されており、複数の孔部は、それぞれ、第2導電型半導体領域の上面から第1導電型半導体基板に向かって延びると共に、第1導電型半導体基板には至っておらず、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部及び複数の孔部の側面は、オープンゲートを構成していることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るセンサにおいては、感応面となるオープンゲートは、複数の孔部の側面を含んでいるために、表面積が大きくなる。そのため、センサの感度を高くすることができる。
【0017】
また、本発明に係るセンサにおいては、導電性を有する第1導電型半導体基板上に、第2導電型半導体領域が設けられ、第2導電型半導体領域に複数の孔部が形成されている。そのため、第1導電型半導体基板上に均一な第2導電型半導体領域を形成した後に、第1導電型半導体基板を電極として用いた方法によって、第2導電型半導体領域に複数の孔部を形成することができる。これにより、複数の孔部を有する第2導電型半導体領域を基板上に形成した後に、当該基板と第2導電型半導体領域とを分離し、別の基板に第2導電型半導体領域を固定する必要はないため、製造コストを低くすることができる。
【0018】
また、本発明に係るセンサにおいては、複数の孔部は、第2導電型半導体領域の上面から第1導電型半導体基板に向かって延びると共に、第1導電型半導体基板には至っていないため、複数の孔部を形成する際に、各孔部の深さのばらつきを抑制することができる。
【0019】
また、本発明に係るセンサは、第1導電型半導体基板と第2導電型半導体領域とはpn接合を構成し、第1導電型半導体基板の裏面上にバックゲート電極を備えている。そのため、バックゲート電極によって当該pn接合に逆バイアス電圧を印加すれば、複数の孔部が延びていない第2導電型半導体領域の下部に空乏層を形成することができる。これにより、測定中に、ソース電極からドレイン電極に流れる検知電流が、複数の孔部が延びていない第2導電型半導体領域の下部を経由することを抑制することができるため、複数の孔部が第1導電型半導体基板に至っていないことに起因するセンサの感度の低下を防止することができる。
【0020】
以上のような理由により、本発明に係るセンサによれば、製造コストを低くすることが可能であると共に、センサの特性のばらつきを抑制しながら、センサの感度を向上させることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明に係るセンサにおいて、複数の孔部は、バックゲート電極を陽極電極として用いた陽極酸化法によって形成されていることが好ましい。これにより、複数の孔部を直線的に形成することができ、また、各孔部の直径のばらつきを低減させることができる。
【0022】
また、上述の課題を解決するため、本発明に係るセンサの製造方法は、電界効果トランジスタ型のセンサの製造方法であって、第1導電型半導体基板の主面上に、当該第1導電型半導体基板とpn接合を構成する第2導電型半導体領域を形成する半導体領域形成工程と、第1導電型半導体基板の裏面上にバックゲート電極を形成するバックゲート電極形成工程と、第2導電型半導体領域に、複数の孔部を形成する孔部形成工程と、第2導電型半導体領域の上面又は側面に互いに離間するソース電極及びドレイン電極を形成し、その際、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部はソース電極及びドレイン電極によって覆われていないようにするソース・ドレイン電極形成工程とを備え、孔部形成工程は、第1導電型半導体基板を陽極電極として用いた陽極酸化法によって、第2導電型半導体領域に、当該第2導電型半導体領域の上面から第1導電型半導体基板に向かって延びる複数の孔部であって、第1導電型半導体基板には至っていない複数の孔部を形成する陽極酸化工程を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係るセンサの製造方法においては、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部を覆わないように、ソース電極及び前記ドレイン電極が形成される。そのため、第2導電型半導体領域の上面の上記少なくとも一部は、オープンゲートの一部を構成すると共に、複数の孔部の側面は、オープンゲートの他の一部となる。そのため、感度の高いセンサが得られる。
【0024】
また、本発明に係るセンサの製造方法は、導電性を有する第1導電型半導体基板上に第2導電型半導体領域を形成する半導体領域形成工程と、第2導電型半導体領域に、複数の孔部を形成する孔部形成工程とを備え、孔部形成工程は、第1導電型半導体基板を陽極電極として用いた陽極酸化法によって、第2導電型半導体領域に複数の孔部を形成する陽極酸化工程を含んでいる。そのため、複数の孔部を有する第2導電型半導体領域を基板上に形成した後に、当該基板と第2導電型半導体領域とを分離し、別の基板に第2導電型半導体領域を固定する必要はないため、製造コストを低くすることができる。
【0025】
また、本発明に係るセンサの製造方法では、陽極酸化工程において形成される複数の孔部は、第2導電型半導体領域の上面から第1導電型半導体基板に向かって延びると共に、第1導電型半導体基板には至っていない。そのため、各孔部の深さのばらつきを抑制することができる。
【0026】
また、本発明に係るセンサの製造方法では、半導体領域形成工程において、第1導電型半導体基板とpn接合を構成する第2導電型半導体領域を形成し、また、バックゲート電極形成工程において、第1導電型半導体基板の裏面上にバックゲート電極を形成している。そのため、バックゲート電極によって当該pn接合に逆バイアス電圧を印加すれば、複数の孔部が延びていない第2導電型半導体領域の下部に空乏層を形成することができる。これにより、測定中に、複数の孔部が延びていない第2導電型半導体領域の下部に検知電流が流れることを抑制することができるため、複数の孔部が第1導電型半導体基板に至っていないことに起因する感度の低下を防止することが可能なセンサを得ることができる。
【0027】
以上のような理由により、本発明に係るセンサの製造方法によれば、製造コストが低いと共に、特性のばらつきを抑制しながら、感度を向上させることが可能なセンサを得ることができる。
【0028】
さらに、本発明に係るセンサの製造方法において、孔部形成工程は、陽極酸化工程の前に、第2導電型半導体領域の上面に、複数の開口を有するマスクを形成するマスク形成工程をさらに含むことが好ましい。これにより、第2導電型半導体領域に複数の開口を容易に形成することができる。
【0029】
また、上述の課題を解決するため、本発明に係る他の態様のセンサは、第1導電型半導体基板と、第1導電型半導体基板の主面上に設けられた第2導電型半導体領域と、第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられた第1電極と、第1電極と離間するように第2導電型半導体領域の上面又は側面に設けられた第2電極と、第1導電型半導体基板の裏面上に設けられた第3電極とを備え、第1導電型半導体基板と第2導電型半導体領域とはpn接合を構成し、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部は、第1電極及び第2電極によって覆われておらず、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部には、複数の孔部が形成されており、複数の孔部は、それぞれ、第2導電型半導体領域の上面から第1導電型半導体基板に向かって延びると共に、第1導電型半導体基板には至っておらず、第2導電型半導体領域の上面の少なくとも一部及び複数の孔部の側面は、測定対象を作用させる感応面を構成しており、測定対象が感応面に作用することにより、第2導電型半導体領域の電気伝導度が変化することを特徴とする。
【0030】
本発明に係る他の態様のセンサにおいては、感応面は、複数の孔部の側面を含んでいるために、表面積が大きくなる。そのため、センサの感度を高くすることができる。
【0031】
また、本発明に係る他の態様のセンサにおいては、導電性を有する第1導電型半導体基板上に、第2導電型半導体領域が設けられ、第2導電型半導体領域に複数の孔部が形成されている。そのため、第1導電型半導体基板上に均一な第2導電型半導体領域を形成した後に、第1導電型半導体基板を電極として用いた方法によって、第2導電型半導体領域に複数の孔部を形成することができる。これにより、複数の孔部を有する第2導電型半導体領域を基板上に形成した後に、当該基板と第2導電型半導体領域とを分離し、別の基板に第2導電型半導体領域を固定する必要はないため、製造コストを低くすることができる。
【0032】
また、本発明に係る他の態様のセンサにおいては、複数の孔部は、第2導電型半導体領域の上面から第1導電型半導体基板に向かって延びると共に、第1導電型半導体基板には至っていないため、複数の孔部を形成する際に、各孔部の深さのばらつきを抑制することができる。
【0033】
また、本発明に係る他の態様のセンサは、第1導電型半導体基板と第2導電型半導体領域とはpn接合を構成し、第1導電型半導体基板の裏面上に第3電極を備えている。そのため、第3電極によって当該pn接合に逆バイアス電圧を印加すれば、複数の孔部が延びていない第2導電型半導体領域の下部に空乏層を形成することができる。これにより、測定中に、第1電極から第2電極に流れる検知電流が、複数の孔部が延びていない第2導電型半導体領域の下部を経由することを抑制することができるため、複数の孔部が第1導電型半導体基板に至っていないことに起因するセンサの感度の低下を防止することができる。
【0034】
以上のような理由により、本発明に係るセンサによれば、製造コストを低くすることが可能であると共に、特性のばらつきを抑制しながら、感度を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、製造コストが低いと共に、センサの特性のばらつきを抑制しながら、センサの感度を向上させることが可能なセンサ、及び、このようなセンサの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態のセンサを示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の半導体領域の断面図である。
【図3】第1実施形態のセンサの断面図である。
【図4】第1実施形態のセンサの断面図である。
【図5】第1実施形態の半導体領域の断面図である。
【図6】第1実施形態のセンサの断面図である。
【図7】第1実施形態の半導体領域の断面図である。
【図8】第1実施形態のセンサの断面図である。
【図9】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図10】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図11】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図12】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図13】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図14】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図15】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図16】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図17】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図18】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図19】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図20】第1実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図21】第2実施形態のセンサの断面図である。
【図22】実施例1のソース・ドレイン電流(IDS)の時間変化を示す図である。
【図23】実施例1のソース・ドレイン電流の変化量(ΔIDS)とpH値との関係を示す図である。
【図24】比較例1と実施例1の電解液に対する感度(μA/pH)を示す図である。
【図25】第1実施形態の変形例のセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施の形態に係るセンサ及びセンサの製造方法について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。

【0038】
(第1実施形態)
第1実施形態のセンサとして、電界効果トランジスタ型のセンサについて説明する。図1は、本実施形態のセンサを示す斜視図である。

【0039】
図1に示すように、本実施形態のセンサ1は、半導体基板3と、半導体領域5と、ソース電極7と、ドレイン電極9と、バックゲート電極11と、を備えている。なお、図1においては、直交座標系Sが示されており、図2以降の各図においても、必要に応じて直交座標系Sが示されている。

【0040】
半導体基板3は、第1導電型(例えば、p型)の半導体材料からなる基板である。本実施形態においては、半導体基板3は矩形状の基板である。半導体基板3を構成する半導体材料としては、例えば、InP、GaAs、GaP、GaN、InSb等のIII-V族半導体、CdSe、CdTe、ZnTe等のII-VI族半導体、SiC等のIV-IV族半導体、Si、Ge等の単元素半導体、又は、TiO、ZnO、WO等の酸化物半導体や、これらの混晶材料からなる。そして、半導体基板3には、第1導電型の不純物がドープされている。なお、図1の直交座標系Sにおいては、半導体基板3の主面3mの長辺方向にX軸を設定し、半導体基板3の主面3mの短辺方向にY軸を設定し、半導体基板3の主面3mと垂直な方向にZ軸を設定している。

【0041】
半導体領域5は、半導体基板3の主面3m上に設けられている。半導体領域5は、第2導電型(例えば第1導電型がp型の場合、n型)の半導体材料からなる半導体領域である。半導体領域5は、本実施形態においては、半導体基板3の主面3m上に積層された層状の領域である。即ち、センサ1の積層方向は、Z軸方向である。そして、半導体基板3と半導体領域5とは、pn接合Jを構成している。

【0042】
半導体領域5を構成する材料としては、例えば、InP、GaAs、GaP、GaN、InSb等のIII-V族半導体、CdSe、CdTe、ZnTe等のII-VI族半導体、SiC等のIV-IV族半導体、Si、Ge等の単元素半導体、又は、TiO、ZnO、WO等の酸化物半導体や、これらの混晶材料からなる。そして、半導体領域5には、第2導電型の不純物がドープされている。

【0043】
ソース電極7は、半導体領域5の上面5uの一部上に設けられている。本実施形態においては、ソース電極7は、半導体領域5の上面5uの-X軸方向の外縁に接するように設けられている。ソース電極7は、金属等の導電性材料からなる。例えば、半導体領域5がn型のIII-V族半導体からなる場合、ソース電極7は、Ge、Au、Ni等の金属からなることが好ましい。ソース電極7は半導体領域5とオーミック接触していることが好ましい。

【0044】
ドレイン電極9は、半導体領域5の上面5uの他の一部上に設けられている。これにより、本実施形態の半導体領域5は多孔質構造となっている。本実施形態においては、ドレイン電極9は、半導体領域5の上面5uのX軸方向の外縁に接するように設けられている。ドレイン電極9は、金属等の導電性材料からなる。例えば、半導体領域5がn型のIII-V族半導体からなる場合、ドレイン電極9は、Ge、Au、Ni等の金属からなることが好ましい。ドレイン電極9は半導体領域5とオーミック接触していることが好ましい。

【0045】
半導体領域5の上面5uの一部5eは、Z方向から見て、ソース電極7及びドレイン電極9によって覆われていない。即ち、本実施形態においては、半導体領域5の上面5u上において、ソース電極7とドレイン電極9は、X軸方向に互いに離間するように設けられている。そのため、本実施形態においては、半導体領域5の上面5uの一部5eは、露出している。

【0046】
また、半導体領域5の上面5uには、複数の孔部15が形成されている。詳細は後述するように、複数の孔部15は、それぞれ、半導体領域5の上面5uから半導体基板3に向かって延びているが、半導体基板3には達していない。

【0047】
バックゲート電極11は、半導体基板3の裏面3b上に設けられている。そのため、バックゲート電極11は、半導体基板3を介して半導体領域5と対向している。バックゲート電極11は、金属等の導電性材料からなる。例えば、半導体基板3がp型のIII-V族半導体からなる場合、バックゲート電極11は、Au、Zn、Ni等の金属からなることが好ましい。バックゲート電極11は、半導体基板3とオーミック接触していることが好ましい。

【0048】
次に、半導体領域5の構成について、詳細に説明する。図2は、Z軸と垂直な面で切断したときの半導体領域の断面図であり、図3は、Y軸と垂直な面で切断したときのセンサの断面図である。また、図3においては、センサの電気回路構成も示している。

【0049】
図2に示すように、複数の孔部15は、Z軸方向から見て、六方格子状に配列している。複数の孔部15の配列の態様は、Z軸方向から見て、正方格子状、直方格子状、菱形格子状、又は、平行四辺形格子状であってもよく、また、ランダムであってもよい。各孔部15のZ軸と垂直な面での切断形状は、本実施形態では円形であるが、楕円形や、矩形等の多角形であってもよい。

【0050】
半導体領域5のうち、複数の孔部15の側面15sの周辺には、空乏層5dが形成されている。空乏層5dの厚さ(XY面における厚さ)は、孔部15の側面15sの表面電位に対応して変化する。

【0051】
また、図3に示すように、複数の孔部15は、それぞれ、半導体領域5の上面5uから半導体基板3に向かって延びているが、半導体基板3には達していない。即ち、半導体領域5は、複数の孔部15が形成された孔部形成領域5aと、複数の孔部15が形成されていない孔部非形成領域5bと、を有している。孔部非形成領域5bは、半導体基板3と孔部形成領域5aとの間に位置する。

【0052】
半導体領域5のZ軸方向の厚さは、例えば、0.1μm以上、100μm以下とすることができる。各孔部15のZ軸方向の深さは、例えば、0.1μm以上、100μm以下とすることができる。各孔部15の直径(各孔部15のZ軸と垂直な面での断面の直径)は、例えば、0.1nm以上、1000nm以下とすることができる。なお、各孔部15の直径は、測定対象物が孔部15内に侵入可能な大きさに設定される。また、測定対象物以外の不要物が各孔部15内に侵入しないように、各孔部15の直径を設定することもできる。

【0053】
また、半導体領域5の上面5uのうちの一部5e(上面5uのうち、Z方向から見て、ソース電極7及びドレイン電極9によって覆われていない部分)と、複数の孔部15の側面15sとで、オープンゲート5gを構成している。オープンゲート5gは、測定対象に対する感応面として機能する。

【0054】
オープンゲート5gの大きさは、特に制限されないが、オープンゲート5gのX軸に沿った方向の長さ(ゲート長)は、例えば、1μm以上、5000μm以下とすることができ、オープンゲート5gのY軸に沿った方向の長さ(ゲート幅)は、例えば、1μm以上、5000μm以下とすることができる。

【0055】
また、図3に示すように、ソース電極7とドレイン電極9との間には、スイッチSW1を介して電源21が電気的に接続されている。電源21は、ソース電極7からドレイン電極9へ検知電流を流すための電源である。また、バックゲート電極11とソース電極7との間には、スイッチSW2を介して電源23が電気的に接続されている。電源23は、バックゲート電極11及びソース電極7を介して、半導体基板3と半導体領域5との間に電圧を印加するための電源である。また、ソース電極7は、グラウンドに電気的に接続されている。図3は、非測定状態におけるセンサ1の電気回路構成を示しており、スイッチSW1及びスイッチSW2はオフとなっている。

【0056】
次に、センサ1による測定原理について説明する。図4及び図6は、Y軸と垂直な面で切断したときのセンサの断面図であり、図5及び図7は、Z軸と垂直な面で切断したときの半導体領域の断面図である。図4及び図6は、測定状態におけるセンサ1の電気回路構成も示している。また、図4及び図5は、測定対象物がセンサに作用する前の状態を示した図であり、図6及び図7は、測定対象物がセンサに作用した後の状態を示した図である。

【0057】
まず、測定対象物がセンサに作用する前の状態とセンサに作用した後の状態とで共通する事項について説明する。

【0058】
図4及び図6に示すように、センサ1によって測定を行う際には、まず、スイッチSW2をオンにし、電源23によってバックゲート電極11とソース電極7との間に電圧を印加する。この際、半導体基板3と半導体領域5との間のpn接合Jに、逆電圧が印加されるようにする。例えば、第1導電型がp型で第2導電型がn型である場合、即ち、半導体基板3がp型半導体からなり、半導体領域5がn型半導体からなる場合、ソース電極7が正電圧、バックゲート電極11が負電圧となるように(半導体領域5が正電圧、半導体基板3が負電圧となるように)、電源23によって印加する電圧の極性を選択する。

【0059】
これにより、半導体領域5の孔部非形成領域5bには、空乏層5bdが形成される。図4及び図6に示すように、半導体領域5の孔部非形成領域5bの略全てが空乏層5bdとなるように、即ち、空乏層5bdが複数の孔部15の底部に達するように、電源23によってpn接合Jに印加する逆電圧の大きさを調節することが好ましい。後述のように、検知電流30が半導体領域5の孔部非形成領域5bを流れなくなるため、センサ1の測定感度が向上するためである。

【0060】
続いて、図4及び図6に示すように、スイッチSW1をオンにし、電源21によって半導体領域5内に検知電流30を流す。検知電流30は、ソース電極7から半導体領域5を経由してドレイン電極9に至る。図4及び図6に示すように半導体領域5の孔部非形成領域5bの略全てが空乏層5bdとなっている場合、検知電流30は半導体領域5の孔部非形成領域5b内は殆ど流れず、検知電流30の大部分は半導体領域5の孔部形成領域5a内を流れる。

【0061】
図5及び図7に示すように、検知電流30は半導体領域5の空乏層5d内を流れることができない。そのため、検知電流30は、複数の孔部15の周りの空乏層5dによって規定される半導体領域5内の経路に沿って、ソース電極7からドレイン電極9まで流れる。

【0062】
続いて、測定対象物がセンサに作用する前の状態とセンサに作用した後の状態とで異なる事項について説明する。

【0063】
図4及び図5に示すように、測定対象物がセンサ1に作用する前の状態においては、半導体領域5の空乏層5dは、基準となる厚さを有している。そのため、図5に示すように、複数の孔部15の周りの空乏層5dによって規定される半導体領域5内の経路は基準となる広さを有しており、ソース電極7とドレイン電極9間における半導体領域5の電気伝導度も、基準となる値となっている。そのため、ソース電極7からドレイン電極9まで流れる検知電流30は、基準となる電流値となっている。

【0064】
続いて、図6及び図7に示すように、測定対象物27がセンサ1に作用した後の状態においては、測定対象物27は、オープンゲート5g(半導体領域5の上面5uのうちの一部5e、及び、複数の孔部15の側面15s)に、吸着等によって接触する。これにより、オープンゲート5gの表面電位が変化する。そして、この表面電位の変化に起因して、半導体領域5の空乏層5dの厚さは、測定対象物27が存在しない場合の空乏層5dの厚さ(図4及び図5参照)から変化する。例えば、図6及び図7に示すように、測定対象物27がオープンゲート5gに吸着等によって接触することによって、半導体領域5の空乏層5dの厚さが厚く変化する。

【0065】
これにより、図7に示すように、複数の孔部15の周りの空乏層5dによって規定される半導体領域5内の経路は狭くなるため、ソース電極7とドレイン電極9間における半導体領域5の電気伝導度は、基準となる値よりも小さくなる。この測定対象物27がセンサ1に作用する前後の半導体領域5の電気伝導度の変化量は、センサ1に作用した測定対象物27の濃度に対応する。そのため、半導体領域5の電気伝導度の変化量を測定すれば、測定対象物27の濃度を測定することができる。

【0066】
半導体領域5の電気伝導度の変化量は、例えば、電源21によってソース電極7とドレイン電極9間に印加する電圧値を一定に保った状態で、測定対象物27をセンサ1に作用させることにより測定することができる。即ち、このような状態で測定対象物27をセンサ1に作用させると、図7に示すように、ソース電極7とドレイン電極9間における半導体領域5の電気伝導度が基準となる値よりも小さくなるため、検知電流30は、基準となる電流値よりも小さくなっている。この検知電流30の電流値の変化量は、半導体領域5の電気伝導度に対応して決まるため、測定対象物27をセンサ1に作用させる前後の検知電流30の電流値の変化量を測定すれば、測定対象物27の濃度を測定することができる。

【0067】
測定対象物27は、オープンゲート5gに接触することにより、オープンゲート5gの表面電位を変化させるものである。具体的には、測定対象物27は、水素イオン、アンモニウムイオンやリン酸イオン等のイオン、水素、NOxやCOx等のガス、血中成分やDNA等の生体物質等である。そのため、本実施形態のセンサ1は、pHセンサ等のイオンセンサ、ガスセンサ、及び、バイオセンサ等として使用することができる。

【0068】
上述のような本実施形態に係るセンサ1によれば、感応面となるオープンゲート5gは、複数の孔部15の側面15sを含んでいるために、表面積が大きくなる(図3、図4、及び、図6参照)。そのため、センサ1の感度を高くすることができる。特に本実施形態のセンサ1では、測定対象物27がセンサ1に作用すると、複数の孔部15の周りの空乏層5dは、Z軸と垂直な断面において2次元的に広がるため、ソース電極7とドレイン電極9間における半導体領域5の電気伝導度が大きく変化する(図5及び図7参照)。そのため、センサ1の測定感度は非常に高くなる。

【0069】
また、上述のような本実施形態に係るセンサ1においては、導電性を有する第1導電型の半導体基板3上に、第2導電型の半導体領域5が設けられ、この半導体領域5に複数の孔部15が形成されている(図1、図3、図4及び図6参照)。そのため、半導体基板3上に均一な半導体領域5を形成した後に、半導体基板3を電極として用いた方法によって、半導体領域5に複数の孔部15を形成することができる。これにより、複数の孔部15を有する半導体領域5を基板上に形成した後に、当該基板と半導体領域5とを分離し、別の基板に半導体領域5を固定する必要はないため、製造コストを低くすることができる。

【0070】
また、上述のような本実施形態に係るセンサ1においては、複数の孔部15は、半導体領域5の上面5uから半導体基板3に向かって延びると共に、半導体基板3には至っていない(図3、図4及び図6参照)。そのため、複数の孔部15を形成する際に、各孔部15の深さのばらつきを抑制することができる。

【0071】
また、上述のような本実施形態に係るセンサ1においては、半導体基板3と半導体領域5とはpn接合Jを構成し、センサ1は半導体基板3の裏面3b上にバックゲート電極11を備えている(図1、図3、図4及び図6参照)。そのため、バックゲート電極11によって当該pn接合Jに逆バイアス電圧を印加すれば、複数の孔部15が延びていない半導体領域5の孔部非形成領域5bに空乏層5bdを形成することができる(図4及び図6参照)。これにより、測定中に、ソース電極7からドレイン電極9に流れる検知電流30が、複数の孔部15が延びていない半導体領域5の孔部非形成領域5bを経由することを抑制することができるため、複数の孔部15が半導体基板3に至っていないことに起因するセンサ1の感度の低下を防止することができる。

【0072】
以上のような理由により、本実施形態に係るセンサ1によれば、製造コストを低くすることが可能であると共に、センサ1の特性のばらつきを抑制しながら、センサ1の感度を向上させることが可能となる。

【0073】
また、上述のような本実施形態に係るセンサ1において、複数の孔部15は、バックゲート電極11を陽極電極として用いた陽極酸化法によって形成されていることが好ましい。これにより、複数の孔部15を直線的に形成することができ、また、各孔部15の直径のばらつきを低減させることができる。その結果、センサ1の特性のばらつきを抑制することができる。

【0074】
また、上述のような本実施形態のセンサ1においては、測定の際、半導体領域5の孔部非形成領域5bの略全てが空乏層5bdとなるように、電源23によってpn接合Jに逆電圧をp印加しているが(図4及び図6参照)、図8に示すように、孔部非形成領域5bのうちの下層部のみに空乏層5bdを形成し、孔部非形成領域5bのうちの上層部5bnには空乏層を形成しないように、電源23によってpn接合Jに印加する電圧の大きさを調節することができる。この場合、検知電流30の一部は、孔部非形成領域5bの上層部5bnにも流れるため、センサ1の感度が低下する。即ち、本実施形態のセンサ1においては、電源23によってpn接合Jに印加する電圧の大きさを調節することにより、センサ1の感度を調節することが可能である。これにより、例えば、複数のセンサ1によってセンサアレイを構成した場合、各センサ1の感度の大きさを調節することによって、各センサ1間の感度のばらつきを抑制することが可能となる。

【0075】
次に、本実施形態のセンサの製造方法について、図9~図20を参照しながら説明する。図9~図20の(A)は、本実施形態のセンサの製造方法を説明するための平面図であり、図9~図20の(B)は、本実施形態のセンサの製造方法を説明するための断面図である。

【0076】
本実施形態のセンサの製造方法は、半導体領域形成工程と、バックゲート電極形成工程と、孔部形成工程と、ソース・ドレイン電極形成工程と、を備えている。

【0077】
(半導体領域形成工程及びバックゲート電極形成工程)
これらの工程においては、まず、図9に示すように、第1導電型の半導体基板3を準備する。そして、半導体基板3の主面3m上に、分子線エピタキシ法、有機金属気相成長法、液相成長法等によって、第2導電型の半導体領域5を結晶成長させる。又は、第1導電型の半導体基板を準備し、当該半導体基板の主面の少なくとも一部を含む領域に、第2導電型の不純物をドープしてもよい。この場合、当該半導体基板の当該不純物がドープされた領域が半導体領域5となり、当該半導体基板の当該不純物がドープされていない領域が半導体基板3となる。半導体基板3と半導体領域5は、pn接合Jを構成するようにする。半導体領域5の厚さは、例えば、5μmとすることができる。

【0078】
その後、半導体基板3の裏面3b上に、真空蒸着法、スパッタリング法、及び、電着法等によって、バックゲート電極11を形成する。バックゲート電極11を形成した後に、バックゲート電極11に300℃~500℃程度の熱処理を施してもよい。

【0079】
(孔部形成工程)
孔部形成工程は、マスク形成工程と、陽極酸化工程と、を含んでいる。

【0080】
(マスク形成工程)
マスク形成工程においては、図10に示すように、半導体領域5の上面5uに、複数の開口33hを有するマスク33を形成する。マスク33は、例えば、絶縁材料からなる。開口33hは、マスク33の厚さ方向に延びている。

【0081】
(陽極酸化工程)
陽極酸化工程においては、マスク33で覆われた半導体領域5を電解液の中にひたす。半導体領域5がn型のInPからなる場合、電解液としては、例えば、1mol/Lの塩酸に少量の硝酸を加えた溶液を用いることができる。そして、マスク33の上方に白金等の金属からなる電極板を、半導体領域5と対応するように設ける。そして、半導体基板3を陽極電極として用いた陽極酸化法によって、半導体領域5をエッチングする。具体的には、バックゲート電極11と電極板間に、半導体基板3が陽極となるように電圧を印加し、陽極電流を流す。これにより、半導体領域5のマスク33によってマスクされていない領域をエッチングする。半導体領域5がn型のInPからなる場合、バックゲート電極11と電極板間に印加する電圧は、例えば、6V~7Vとすることができ、この電圧の印加時間は、例えば、5秒間とすることができる。

【0082】
このようにして、図11に示すように、半導体領域5に、半導体領域5の上面5uから半導体基板3に向かって延びると共に、半導体基板3には至っていない複数の孔部15を形成する。複数の開口33hを有するマスク33を用いることにより、半導体領域5に複数の孔部15を容易に形成することができる。

【0083】
なお、孔部形成工程においては、マスク形成工程を省略し、陽極酸化工程において、半導体領域5に複数の孔部15を自己組織化形成してもよい。即ち、マスク33を用いずに、半導体領域5を適切な条件下で陽極酸化法によってエッチングすることにより、所定の態様(例えば、六方格子状)で配列した複数の孔部15を自己組織化的に形成することもできる。

【0084】
(ソース・ドレイン電極形成工程)
その後、図12に示すように、半導体領域5上に、酸化シリコンや窒化シリコン等からなる絶縁物層35を形成する。

【0085】
続いて、図13に示すように、絶縁物層35の上面のうち、ソース電極及びドレイン電極を形成予定面以外の部分を、フォトレジスト層37で覆う。

【0086】
そして、図14に示すように、フォトレジスト層37をマスクとして用いて絶縁物層35をエッチングすることにより、半導体領域5の上面5uの一部を露出させる。

【0087】
続いて、図15に示すように、半導体領域5及びフォトレジスト層37上に、真空蒸着法等によって、金属層39を形成する。金属層39を形成後、金属層39に300℃~500℃程度の熱処理を施してもよい。

【0088】
そして、図16に示すように、フォトレジスト層37を除去(リフトオフ)する。

【0089】
次に、図17に示すように、オープンゲート形成予定領域に開口41hを有し、絶縁物層35、ソース電極7及びドレイン電極9の一部を覆うフォトレジスト層41を形成する。

【0090】
続いて、図18に示すように、開口41hの下部の絶縁物層35をエッチングすることにより、半導体領域5の上面5uの一部を露出させる。このようにして、ソース電極7及びドレイン電極9が形成される。半導体領域5の上面5uのうちの一部5eは、Z軸方向から見て、ソース電極7及びドレイン電極9に覆われていない。そして、半導体領域5の上面5uのうちの一部5eと、複数の孔部15の側面15sとで、感応面であるオープンゲート5gが形成される。

【0091】
その後、図19に示すように、半導体基板3を主面3mと垂直な面で切断することにより、図20に示すように、複数のセンサ1が完成する。なお、半導体基板3を主面3mと垂直な面で切断する代わりに、各センサ1となる各領域間に半導体基板3の厚さ方向の中間部に至るストライプ溝を形成する等の方法によって、各センサ1となる各領域間を電気的に分離する(素子間分離する)ことにより、複数のセンサ1を完成させることもできる。

【0092】
上述のような本実施形態に係るセンサの製造方法においては、半導体領域5の上面5uの一部5eは、オープンゲート5gの一部を構成すると共に、複数の孔部15の側面15sは、オープンゲート5gの他の一部となる(図18参照)。そのため、感度の高いセンサ1が得られる。

【0093】
また、上述のような本実施形態に係るセンサの製造方法は、導電性を有する第1導電型の半導体基板3上に第2導電型の半導体領域5を形成する半導体領域形成工程と、半導体領域5に、複数の孔部15を形成する孔部形成工程とを備え、孔部形成工程は、半導体基板3を陽極電極として用いた陽極酸化法によって、半導体領域5に複数の孔部15を形成する陽極酸化工程を含んでいる(図9~図11参照)。そのため、複数の孔部15を有する半導体領域5を基板上に形成した後に、当該基板と半導体領域5とを分離し、別の基板に半導体領域5を固定する必要はないため、製造コストを低くすることができる。

【0094】
また、上述のような本実施形態に係るセンサの製造方法では、陽極酸化工程において形成される複数の孔部15は、半導体領域5の上面5uから半導体基板3に向かって延びると共に、半導体基板3には至っていない(図11参照)。そのため、各孔部15の深さのばらつきを抑制することができる。

【0095】
また、上述のような本実施形態に係るセンサの製造方法では、半導体領域形成工程において、半導体基板3とpn接合Jを構成する半導体領域5を形成し、また、バックゲート電極形成工程において、半導体基板3の裏面3b上にバックゲート電極11を形成している(図9参照)。そのため、バックゲート電極11によって当該pn接合Jに逆バイアス電圧を印加すれば、複数の孔部15が延びていない半導体領域5の孔部非形成領域5bに上層部5bnを形成することができる(図4及び図6参照)。これにより、測定中に、複数の孔部15が延びていない半導体領域5の下部に検知電流30が流れることを抑制することができるため、複数の孔部15が半導体基板3に至っていないことに起因する感度の低下を防止することが可能なセンサ1を得ることができる(図5及び図7参照)。

【0096】
以上のような理由により、本実施形態に係るセンサの製造方法によれば、製造コストが低いと共に、特性のばらつきを抑制しながら、感度を向上させることが可能なセンサ1を得ることができる。

【0097】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のセンサについて説明する。本実施形態の説明においては、図面において第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付すことにより、その要素の説明を省略する場合がある。

【0098】
図21はY軸と垂直な面で切断したときの本実施形態のセンサの断面図である。図21に示すように、本実施形態のセンサ1xは、第1実施形態のセンサ1のソース電極7、ドレイン電極9、バックゲート電極11、及び、オープンゲート5gの代わりに、第1電極7x、第2電極9x、第3電極11x、及び、感応面5gxを備えている。本実施形態の第1電極7x、第2電極9x、第3電極11x、及び、感応面5gxは、それぞれ、第1実施形態のソース電極7、ドレイン電極9、バックゲート電極11、及び、オープンゲート5gと同様の構成を有している。

【0099】
また、本実施形態のセンサ1xの半導体領域5は、測定対象27xが感応面5gxに作用することにより、電気伝導度が変化する。測定対象27xとしては、例えば、磁気や光を挙げることができる。測定対象27xが磁気である場合、測定対象27xに対しサイクロン運動する半導体領域5内の電子(又は正孔)の運動や位相変調を受けた電子(又は正孔)の干渉現象によって、半導体領域5の孔部形成領域5aの電気伝導度が変化する。

【0100】
また、測定対象27xが光である場合、測定対象27xによって半導体領域5内に電子-正孔対に起因する光電流が発生するため、半導体領域5の孔部形成領域5aの電気伝導度が変化する。

【0101】
そのため、本実施形態のセンサ1xは、磁気センサや光センサ等として使用することができる。

【0102】
上述のような本実施形態に係るセンサ1xにおいては、感応面5gxは、複数の孔部15の側面15sを含んでいるために、表面積が大きくなる。そのため、感応面5gxは測定対象27xの作用を受けやすくなるため、センサ1xの感度を高くすることができる。

【0103】
また、上述のような本実施形態に係るセンサ1xにおいては、導電性を有する第1導電型の半導体基板3上に、半導体領域5が設けられ、第2導電型の半導体領域5に複数の孔部15が形成されている。そのため、半導体基板3上に均一な半導体領域5を形成した後に、半導体基板3を電極として用いた方法によって、半導体領域5に複数の孔部15を形成することができる。これにより、複数の孔部15を有する半導体領域5を基板上に形成した後に、当該基板と半導体領域5とを分離し、別の基板に半導体領域5を固定する必要はないため、製造コストを低くすることができる。

【0104】
また、上述のような本実施形態に係るセンサ1xにおいては、複数の孔部15は、半導体領域5の上面5uから半導体基板3に向かって延びると共に、半導体基板3には至っていないため、複数の孔部15を形成する際に、各孔部15の深さのばらつきを抑制することができる。

【0105】
また、上述のような本実施形態に係るセンサ1xは、半導体基板3と半導体領域5とはpn接合Jを構成し、半導体基板3の裏面3b上に第3電極11xを備えている。そのため、第3電極11xによって当該pn接合Jに逆バイアス電圧を印加すれば、複数の孔部15が延びていない半導体領域5の孔部非形成領域5bに空乏層5bdを形成することができる。これにより、測定中に、第1電極7xから第2電極9xに流れる検知電流が、複数の孔部15が延びていない半導体領域5の孔部非形成領域5bを経由することを抑制することができるため、複数の孔部15が半導体基板3に至っていないことに起因するセンサの感度の低下を防止することができる。

【0106】
以上のような理由により、上述のような本実施形態に係るセンサ1xによれば、製造コストを低くすることが可能であると共に、特性のばらつきを抑制しながら、感度を向上させることが可能となる。

【0107】
(実施例)
以下、本発明の効果をより一層明らかなものとするため、実施例および比較例を用いて説明する。

【0108】
第1実施形態のセンサ1に対応するセンサを実施例1とした。この実施例1のセンサをpHセンサとして用いた場合の特性を評価した。具体的には、実施例1のセンサを、0.1mol/Lの塩化カリウム溶液からなる電解液中に浸した。ソース電極7とドレイン電極9との間に0.5Vの電圧を印加し、pn接合Jに逆電圧を印加するように、ソース電極7とバックゲート電極11との間にバックゲート電圧(VBG)を印加した。バックゲート電圧(VBG)の大きさは、0V、-1.0V、及び、-1.5Vの3種類とした。そのような状態で、電解液中に一定時間ごとに所定量の希釈塩酸溶液を滴下し、電解液のpH値を減少させ、その際の実施例1のソース電極7とドレイン電極9との間に流れるソース・ドレイン電流(IDS)の変化を測定した。

【0109】
図22は、上記特性評価によって得られた実施例1のソース・ドレイン電流(IDS)の時間変化を示す図である。図22において、測定値の上又は下に、その時点での電解液のpH値を示している。

【0110】
図22に示されるように、時間の経過と共に電解液のpH値が減少すると、それに応答してソース・ドレイン電流(IDS)が増加した。これは、pH値の変化によって、半導体領域5の空乏層5dの厚さが減少したことを示している。

【0111】
また、図23は、上記特性評価によって得られた実施例1のソース・ドレイン電流の変化量(ΔIDS)とpH値との関係を示す図である。図23に示されるように、実施例1においてバックゲート電圧(VBG)が増加すると、センサの感度(pH値の変化に対するソース・ドレイン電流の変化の大きさ)が増加することがわかった。

【0112】
次に、比較例1及び実施例1の電解液に対する感度の比較を行った。比較例1は、半導体領域5が複数の孔部15を有していない点、及び、バックゲート電極11を備えていない点以外は、実施例1と同一の構造のセンサとした。

【0113】
図24は、比較例1と実施例1の電解液に対する感度(μA/pH)を示す図である。図23に示されるように、比較例1の電解液に対する感度は、1.7μA/pHであった。それに対して、実施例1の電解液に対する感度は、バックゲート電圧(VBG)が0Vのときに、45.9μA/pHであり、バックゲート電圧(VBG)が-1.0Vのときに、53.5μA/pHであり、バックゲート電圧(VBG)が-1.5Vのときに、73.0μA/pHであった。実施例1の感度は、最大で比較例1の約43倍となった。

【0114】
本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。

【0115】
例えば、上述の実施形態では、半導体領域5の複数の孔部15を陽極酸化法によって形成していたが、他の方法、例えば、均一な半導体領域5上に複数の開口を有するレジスト層を形成する工程と、このレジスト層をマスクとして半導体領域5をドライエッチングする工程とを含むフォトリソグラフィー法によって、複数の孔部15を形成することもできる。

【0116】
また、上述の実施形態では、オープンゲート5gは露出していたが(図3、図4及び図6参照)、特定の測定対象物27に対する測定感度を向上させるために、オープンゲート5gは機能修飾されていてもよい。例えば、測定対象物27が溶液中のグルコースである場合、オープンゲート5gはグルコース酸化酵素によってコーティングされることによって、機能修飾されていてもよい。また、測定対象物27は水素イオンである場合、オープンゲート5gはSiO膜やSi膜によってコーティングされることによって、機能修飾されていてもよい。

【0117】
また、上述の実施形態では、ソース電極7及びドレイン電極9は、半導体領域5の上面5uに設けられていたが(図3、図4及び図6参照)、Z方向から見て半導体領域5の上面5uの少なくとも一部がソース電極7及びドレイン電極9によって覆われていなければ、ソース電極7及びドレイン電極9は半導体領域5の側面や、半導体領域5の側面から上面5uに亘って設けられていてもよい。

【0118】
また、半導体基板3、半導体領域5、ソース電極7、及び、ドレイン電極9の形状は、上述の実施形態の態様に限られない。例えば、図25(A)に示すように、ソース電極7及びドレイン電極9は、半導体領域5の上面5uのX軸方向の外縁及び-X軸方向の外縁に接していなくてもよい。また、図25(B)に示すように、半導体領域5の孔部形成領域5aが孔部非形成領域5b内に埋め込まれていてもよい。また、図25(C)に示すように、半導体領域5の孔部形成領域5aが孔部非形成領域5b内に埋め込まれており、さらに、孔部非形成領域5bが半導体基板3内に埋め込まれていてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1・・・センサ、3・・・半導体基板、3m・・・半導体基板の主面、3b・・・半導体基板の裏面、5・・・半導体領域、5g・・・オープンゲート、7・・・ソース電極、9・・・ドレイン電極、11・・・バックゲート電極、15・・・孔部、15s・・・孔部の側面、J・・・pn接合。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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