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明細書 :連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法およびその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4803508号 (P4803508)
公開番号 特開2011-115730 (P2011-115730A)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発行日 平成23年10月26日(2011.10.26)
公開日 平成23年6月16日(2011.6.16)
発明の名称または考案の名称 連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法およびその装置
国際特許分類 B01F   3/08        (2006.01)
B01F   3/04        (2006.01)
B01F   5/00        (2006.01)
B01J  13/00        (2006.01)
B01F   5/08        (2006.01)
C08F   2/01        (2006.01)
A61K   8/06        (2006.01)
A61K   8/92        (2006.01)
FI B01F 3/08 A
B01F 3/04 A
B01F 5/00 G
B01J 13/00 A
B01F 5/08
C08F 2/01
A61K 8/06
A61K 8/92
請求項の数または発明の数 16
全頁数 30
出願番号 特願2009-276136 (P2009-276136)
出願日 平成21年12月4日(2009.12.4)
審査請求日 平成22年7月28日(2010.7.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
発明者または考案者 【氏名】下田 満哉
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100089705、【弁理士】、【氏名又は名称】社本 一夫
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100112634、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 美奈子
【識別番号】100129311、【弁理士】、【氏名又は名称】新井 規之
審査官 【審査官】北村 英隆
参考文献・文献 特開2003-335804(JP,A)
特開平05-123570(JP,A)
特開2007-111616(JP,A)
国際公開第2008/038763(WO,A1)
特開2008-104942(JP,A)
特表2007-516067(JP,A)
特開2007-029781(JP,A)
特開2005-270720(JP,A)
特開2005-162848(JP,A)
特開平10-192670(JP,A)
特開平09-141085(JP,A)
特開平02-095433(JP,A)
特開昭57-012822(JP,A)
調査した分野 B01F 3/00-5/08
B01J 13/00
C08F 2/01
A61K 8/06,8/92


特許請求の範囲 【請求項1】
(A)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、
B1)前記多孔質膜を介して分散相流体を前記旋回流に供給して多孔質膜上に分散相粒子を形成する工程、および
(B2)前記多孔質膜上に形成された分散相粒子を、前記旋回流の剪断力によって離脱させる工程を含む、
連続相中に分散相が微分散している組成物の製造方法。
【請求項2】
得られる組成物が、以下の式(1)で定義される、0.2~1.5のスパン:
スパン=(d90-d10)/d50 ・・・(1)
10:分散相粒子の積算分布10%における粒子径
90:分散相粒子の積算分布90%における粒子径
50:分散相粒子の積算分布50%における粒子径
を有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記円筒体が、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口と、前記流入口から前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管とを有し、
前記(A)工程が、前記導入管を用いて、前記円筒体の軸に対して略垂直であってかつ前記円筒体の内壁面の接線方向から前記連続相液体を流入することにより、旋回流を流す工程である、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記導入管内の連続相液体の流量を前記導入管の内径断面積で除した値として定義される流入線速度が1~40m/sである、請求項記載の製造方法。
【請求項5】
前記円筒体の内径断面積をS1、前記導入管の内径断面積をS2とするとき、面積比S1/S2が4~64である、請求項記載の製造方法。
【請求項6】
前記円筒体の内径をX1、前記導入管の断面が円でありその内径をX2とするとき、内径比X1/X2が2~8である、請求項記載の製造方法。
【請求項7】
前記円筒体の内径をX1とし、前記円筒体がもう一方の端の断面に組成物を排出するための円形の排出口を有し、当該排出口の内径をX0とするとき、内径比X1/X0が1~5である、請求項記載の製造方法。
【請求項8】
前記連続相液体が水系液体であり、前記分散相流体が油系液体であり、得られる組成物がO/W型エマルションである、請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
前記連続相液体が油系液体であり、前記分散相流体が水系液体であり、得られる組成物がW/O型エマルションである、請求項1記載の製造方法。
【請求項10】
前記連続相液体が油系液体であり、前記分散相流体が気体であり、得られる組成物が連続相中に気体が微分散したマイクロバブル組成物である、請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、
E1)前記多孔質膜を介して重合性モノマーを含む分散相液体を前記旋回流に供給して多孔質膜上に分散相粒子を形成する工程、
(E2)前記多孔質膜上に形成された分散相粒子を、前記旋回流の剪断力によって離脱させる工程、
)前記連続相中に前記分散相が微分散した重合性組成物を得る工程、および
)前記重合性組成物を重合する工程を含む、
ポリマー微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記円筒体が、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口と、前記流入口から前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管とを有し、
前記(D)工程が、前記導入管を用いて、前記円筒体の軸に対して略垂直であってかつ前記円筒体の内壁面の接線方向から前記連続相液体を流入して旋回流を流す工程である、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体であって、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口およびもう一方の端の断面に連続相中に分散相が微分散した組成物の排出口を有する円筒体、
前記円筒体の円周面の外側に設けられた分散相流体貯留部、
前記分散相流体貯留部から分散相流体を前記円筒体内に供給するための供給手段、ならびに
連続相液体を前記円筒体の軸に略垂直かつ内壁面の接線方向から流入して旋回流を発生させ、当該旋回流の剪断力によって前記多孔質膜上に形成された分散相粒子を離脱できるように、前記流入口に接続され、前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管、
を具備する、前記組成物の製造装置。
【請求項14】
前記円筒体の内径断面積をS1、前記導入管の内径断面積をS2とするとき、面積比S1/S2が4~64である、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記円筒体の内径をX1、前記導入管の断面が円でありその内径をX2とするとき、内径比X1/X2が2~8である、請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記円筒体の内径をX1とし、前記排出口が円形であってその内径をX0とするとき、内径比X1/X0が1~5である、請求項13記載の装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続相中に分散相が微分散した組成物として、連続相液体に分散相液体が微分散したエマルションや、連続相液体に分散相気体が微分散したマイクロバブル組成物が知られている。従来、エマルションは、連続相となるべき液体に分散相となるべき液体および界面活性剤などの乳化剤を添加して混合液とし、この混合液を機械的に撹拌して分散相を微細化することにより製造されてきた。機械的な混合を行う具体的手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミルが知られている。また、前記混合液に超音波を照射して、キャビテーションを発生させて分散相を微細化する方法も利用されている。
【0003】
しかしながら、これらの方法で製造されるエマルションは、分散相粒子の粒子径が不均一であった。一般に、分散相液体の連続相液体に対する溶解度は分散相表面の曲率に依存し、次のThompson-Freundlichの式で表される。
【0004】
RT ln(Ca/C∞)=(2γ/a)・(M/ρ)
式中、aは分散相粒子の半径、Caは半径aの分散相粒子の溶解度、C∞はフラットな界面近傍における分散相液体の溶解度、γは界面張力、Mは分散相液体の分子量、ρは分散相液体の密度、Rは気体常数、Tは絶対温度を表す。
【0005】
すなわち、この式から、分散相粒子の粒子径が小さいほど分散相の連続相への溶解度が増加し、分散相粒子の粒子径が大きいほど分散相の連続相への溶解度が減少することが明らかである。このため分散相粒子の粒子径が不均一の場合、連続相に溶解した分散相の分子(溶解分子)が小さい分散相粒子近傍に存在すると、この溶解分子は連続相を拡散移動して大きな分散相粒子に吸収される。その結果、小さい分散相粒子は次第に小さくなり、大きな分散相粒子はさらに大きくなる。このエマルションが不安定化する現象はオストワルド熟成とも呼ばれる。もし分散相粒子の粒子径を均一に制御することができれば、個々の分散相粒子の連続相に対する溶解度はほとんど同程度となるので、オストワルド熟成によるエマルションの不安定化を防止することができる。
【0006】
また、エマルションは食品、化粧品、化学製品、医薬品において広く利用されており、用途に応じて分散相粒子の粒子径を変化させる必要がある。しかしながら従来の製造方法では粒子径を精度よく制御することが困難であった。特に分散相に重合性モノマーを含むエマルションは、重合開始剤の存在下で分散相をそのまま重合させる懸濁重合法の原料として重要である。懸濁重合法においては、所望の粒子径のポリマー微粒子を均一な粒子径で得たいという要求が特に強いが、従来のエマルション製造技術ではこの要求を満足することは困難であった。
【0007】
上記の問題点を解決するために、均一な微細孔を有する多孔質膜を通して分散相を連続相となるべき液体中に圧入するエマルションの製造方法が提案されている(特許文献1:特開2003-270849、特許文献2:特開平2-95433)。この膜乳化法では、多孔質膜の細孔径を選択することにより、ほぼ均一な大きさの所望の粒子径の分散相が得られるとされる。例えば特許文献1に記載の方法では、平均粒子径が4~15μmであって多分散度の指標であるD25/D75が1.02~1.40のトナーが得られる(明細書段落0028)。これら特許文献1および2に記載の方法においては、円周面が多孔質膜からなる円筒体を用い、その円筒体内に連続相液体を円筒体の軸に平行に流す(以下「軸流方式」ともいう)。この際の連続相液体の流速は0.5~2m/s程度である(例えば特許文献2明細書196頁左上欄11行)。この方法における単位時間当たりの分散相液体の処理量(以下「供給速度(m/m・h)」ともいう)は、特許文献1明細書0024によれば膜面積1mあたり50~1000ml/分(3~60×10-3[m/m・h])である。つまり、軸流方式では分散相液体の供給速度が10-3オーダーのレベルと低く、実用化に十分なレベルではなかった。さらに、軸流方式においては、これ以上供給速度を向上させると均一な粒子径の分散相粒子が得られない、つまり多分散度が高くなるという問題があった。
【0008】
これに対し、非特許文献1、2には、分散相液体の供給速度を高めてエマルションを効率よく製造するための方法が提案されている。具体的に非特許文献1、2は、非対称構造の多孔質ガラス膜を用いた、分散相液体の供給速度を10-2オーダーに向上させたエマルションの製造方法を開示する(非特許文献1:Journal of Membrane Science, vol.299(2007),190-199、非特許文献2:第1回 工・農連携を進める講演会資料、宮崎県工業技術センター 久木崎 雅人「多孔質ガラス膜の調製と単分散エマルションおよびナノバブルへの応用」)。多孔質膜が分散相液体により濡れやすいと、多孔質膜表面に生成した分散相粒子が多孔質膜から遊離しにくいので分散相液体の供給速度を上げることができない。しかし、非特許文献1、2に記載の方法では、非対称構造の多孔質ガラス膜を用いるので連続相液体が非対称構造の多孔質ガラス膜を逆に通過できる。このため、膜が分散相液体によって濡れにくくなり、分散相粒子が多孔質膜から遊離しやすく、分散相液体の供給速度が向上したとされる。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2003-270849
【特許文献2】特開平2-95433
【0010】

【非特許文献1】Journal of Membrane Science, vol.299(2007),190-199
【非特許文献2】第1回 工・農連携を進める講演会資料、宮崎県工業技術センター 久木崎 雅人「多孔質ガラス膜の調製と単分散エマルションおよびナノバブルへの応用」
【非特許文献3】日本機械学会論文集B編 58巻550号1668~1673頁(1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のとおり、エマルションのような連続相に分散相が微分散した組成物の製造方法において、分散相液体の供給速度を高めて、組成物の生産効率を高めようとする試みがなされてきた。しかし、実用化のためにはさらなる供給速度の向上が必要であり、未だこの要求は達成されていない。
【0012】
かかる事情に鑑み、本発明は、生産効率に優れ、かつ連続相に分散相が低多分散度で微分散した組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明者らは鋭意検討した結果、連続相を旋回流で流すことにより前記課題が解決できることを見出した。すなわち本発明は、第一に(A)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、および(B)前記多孔質膜を介して、分散相流体を前記旋回流に供給する工程を含む、連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法を提供する。前記(A)工程は、前記円筒体の一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口と、前記流入口から前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管とが設けられ、前記導入管を用いて、前記円筒体の軸に対して略垂直であってかつ前記円筒体の内壁面の接線方向から前記連続相液体を流入して行う工程であることが好ましい。
【0014】
前記導入管内の連続相液体の流量を前記導入管の内径断面積で除した値として定義される流入線速度は1~40m/sであることが好ましい。また、前記円筒体の内径断面積をS1、前記導入管の内径断面積をS2とするとき、面積比S1/S2は4~64であること、あるいは前記円筒体の内径をX1、前記導入管の断面が円でありその内径をX2とするとき、内径比X1/X2が2~8であることが好ましい。さらに、前記円筒体の内径をX1とし、前記円筒体がもう一方の端の断面に組成物を排出するための円形の排出口を有し、当該排出口の内径をX0とするとき、内径比X1/X0は1~5であることが好ましい。
【0015】
本方法で得られる組成物は、O/W型エマルション、W/O型エマルション、またはマイクロバブル組成物であることが好ましい。
第二に、本発明は、(C)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、(D)前記多孔質膜を介して、重合性モノマーを含む分散相液体を前記旋回流に供給する工程、(E)前記連続相中に前記分散相が微分散した重合性組成物を得る工程、および(F)前記重合性組成物を重合する工程を含むポリマー微粒子の製造方法も提供する。
【0016】
第三に、本発明は、円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体であって、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口およびもう一方の端の断面に連続相中に分散相が微分散した組成物の排出口を有する円筒体、連続相液体を前記円筒体の軸に略垂直かつ内壁面の接線方向から流入できるように、前記流入口に接続され、前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管、前記円筒体の円周面の外側に設けられた分散相流体貯留部、ならびに前記分散相流体貯留部から分散相流体を前記円筒体内に供給するための供給手段、を具備する、前記組成物の製造装置も提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、生産効率に優れ、かつ連続相に分散相が低多分散度で微分散した組成物の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好ましい装置の概念図である。
【図2】本発明の他の好ましい装置の概念図である。
【図3】図1におけるY-Y断面を矢印の方向から見た断面図である。
【図4】本発明の方法と従来の方法の比較を示す図である。
【図5】図1におけるZ-Z断面を矢印の方向から見た断面図である。
【図6】実施例1~3における相対粒子量分布図である。
【図7】実施例1~3における相対粒子数分布図である。
【図8】実施例4~7における相対粒子量分布図である。
【図9】実施例7、8における相対粒子量分布図である。
【図10】実施例9~11における相対粒子量分布図である。
【図11】比較例1~3における相対粒子量分布図である。
【図12】実施例12における相対粒子量分布図である。
【図13】実施例12におけるポリスチレン微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】実施例13におけるポリスチレン微粒子の相対粒子量分布図である。
【図15】実施例14におけるマイクロバブルの相対気泡径の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.組成物の製造方法
本発明の連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法は、(A)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、および(B)前記多孔質膜を介して、分散相流体を前記旋回流に供給する工程を含む。連続相中に分散相が微分散した組成物とは、平均粒子径が50μm以下の分散相粒子が連続相に分散している組成物(以下「本発明の組成物」または「組成物」ともいう)をいう。粒子径は、レーザー回折散乱法により求められ、平均粒子径とは粒子積算量が50%となる値の粒子径(d50)で定義される。また本発明の組成物は、低多分散度であるという特徴を有する。本発明において低多分散度とは、以下の式(1)で表わされる多分散度(以下「スパン」ともいう)が0.2~1.5であることを意味する。

【0020】
スパン=(d90-d10)/d50 ・・・(1)
10:液滴(分散相粒子)の積算分布10%における粒子径
90:液滴(分散相粒子)の積算分布90%における粒子径
50:液滴(分散相粒子)の積算量が50%となる粒子径
本発明の組成物の例には、連続相液体に分散相液体が微分散したエマルションや連続相液体に分散相気体が微分散したマイクロバブル組成物が含まれる。

【0021】
(A)工程
1)連続相液体
本工程では、円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に連続相液体の旋回流を流す。連続相液体とは連続相となるべき液体をいう。本発明では水系液体および油系液体等の公知の連続相液体を用いることができる。水系液体とは水を主成分とする液体である。油系液体とは有機化合物を主成分とする液体である。連続相液体と分散相流体の相溶性が高いと本発明の組成物が得られないため、連続相液体は用いる分散相流体との相溶性を考慮して選択される。

【0022】
連続相液体は円筒体に供される際に液体であればよい。従って、例えば室温では固体であるが、加熱することにより液体となる物質も連続相液体として用いることができる。あるいは、室温で液体であるが、時間の経過とともに固体化する過冷却状態にある液体も使用することができる。作業性を考慮すると、本工程は室温(20~30℃)で行われることが好ましいため、連続相液体は、室温で液体であることが好ましい。このような液体としては無機物質および有機物質があり、無機物質の例には水、有機物質の例には、各種食用油、石油系燃料油、炭素原子の数が約20以下の鎖状炭化水素、および炭素原子の数が約20以下の芳香族炭化水素等が含まれる。

【0023】
連続相液体は界面活性剤、電解質、粘度調整剤等の添加剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、公知のものを用いてよいが、陰イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は陽電荷を含まないため、ガラス製の多孔質膜を用いた場合にシラノール基に起因する陰イオンと静電的に引き合わず、界面活性剤としての活性が低下しないという利点を有する。陰イオン性界面活性剤の例には、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等が含まれる。非イオン性界面活性剤の例には、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが含まれる。界面活性剤の添加量は、通常使用される量としてよいが、連続相液体中、0.01~5質量%が好ましく0.02~2質量%がより好ましい。

【0024】
電解質の例には、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムが含まれる。連続相液体に電解質を添加すると、多孔質膜表面において電気二重層の形成が促進され分散相流体による多孔質膜の濡れを防ぐことができる。その結果、界面活性剤の活性が向上し、次工程で生成される分散相粒子を小さくできる。電解質の添加量は、連続相液体中0.5~5.0質量%が好ましい。

【0025】
粘度調整剤としては、公知のものを用いてよいが、その好ましい例には、ポリビニルアルコール、ペクチンおよびゼラチン等の親水性高分子化合物が含まれる。
2)円筒体
円筒体とは内部が空洞の円筒状の部材をいう。本発明の円筒体は、円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される。多孔質膜とは多数の微小な貫通孔を有する膜をいう。このような膜として、ガラス製、セラミック製、ニッケル製等の公知の多孔質膜を使用してよい。本発明においてはガラス製の多孔質膜が好ましく、非特許文献1、2に記載のシラス多孔質ガラス製の多孔質膜(Shiras porous glass、以下「SPG膜」ともいう)がより好ましい。多孔質膜の平均孔径は、所望の分散相粒子径に応じて適宜選択できるが、工業的に好適な分散相粒子径を得るためには、0.5~10μmが好ましく、1~5μmがより好ましい。多孔質膜の空隙率および平均孔径は水銀圧入法(自動ポロシメータ使用)により測定できる。

【0026】
円周面の一部または全部が多孔質膜で構成されるとは、円周面の分散相流体の供給に使用する部分が多孔質膜で構成されており、他の部分はこれ以外の材料で構成されていてもよいことを意味する。しかしながら本発明においては、組成物の製造に有効に使用できる膜面積(以下「有効膜面積」ともいう)を大きくするために、円周面の全部が多孔質膜で構成されていることが好ましい。

【0027】
また後述するとおり、本発明においては連続相液体が円筒体の円周面から、円筒体の軸に略垂直に導入されることが好ましい。このような場合、円筒体の円周面の全部を多孔質膜で構成して、連続相液体が導入される付近の多孔質膜に連続相液体が円筒体外へ漏れないような処理を施すことが好ましい。具体的には、多孔質膜の当該部分における内壁面または外壁をコーティングすることにより、連続相液体が円筒体外へ漏れないようにすることができる。あるいは、図1に示すように、円周面が多孔質膜で構成されている円筒体の端部に円周面が他の材料からなる円筒体を接続して一体の円筒体とし、これを本発明の円筒体として用いてもよい。

【0028】
本発明の円筒体の形状および寸法は特に限定されないが、断面積が長さ方向において一定であって、内径が5~100mmであることが好ましい。内径が5mm未満であると、円筒内に旋回流を発生させるのが困難となる場合があり、内径が100mmを超えると、旋回流を発生させるのに要する連続相の供給量が過大となることがある。また、円筒体の長さは、内径の2~50倍であることが好ましい。円筒の長さが内径の2倍未満であると、有効膜面積が小さくなるために製造効率が低下しうる。逆に、円筒の長さが内径の50倍を超えると円筒体内の旋回速度が不均一となる場合がある。旋回速度が一定でないと組成物中の分散粒子径が不均一となりやすい。

【0029】
3)旋回流
旋回流とは、円筒体の軸に沿った流れと円周面に沿った流れを持ち合わせた流れをいう。旋回流は公知の方法で発生させることができる。例えば、円筒体の一方の端にスクリュウを設け、スクリュウを回転させながら連続相液体を円筒体に供給して円筒内に連続相液体の旋回流を流すことができる。しかしながら本発明においては図1に示すようにして旋回流を流すことが好ましい。このように旋回流を発生させると、旋回速度を制御しやすい等の利点がある。以下、この態様について図を参照しながら説明する。

【0030】
図1は本発明の好ましい装置の概要を示す。図1中、1は本発明の製造装置、10は円筒体である。円筒体10において、100は円周面が多孔質膜で構成された多孔質膜部分、101は円周面が他の部材で構成された非多孔質膜部分である。12は連続相液体の流入口、14は組成物の排出口、20は導入管、22は導入管を構成する部材、30は排出管、32は排出管を構成する部材、40は分散相流体貯留部、42は分散相流体導入管、44は分散相流体貯留部を構成する部材を示す。図1において80はシールリングである。図3は、図1におけるY-Y断面を矢印の方向から見た断面図である。図3中、16は円筒体10の内壁面である。

【0031】
図1に示すように、円筒体10の一方の端近傍の円周面(すなわち非多孔質膜部分101の円周面)に流入口12が設けられており、この流入口12には円筒体の軸に対して略垂直に延びる導入管20が接続されている。ここでの近傍とは、円筒体の端を原点とし、円筒体の全長を1とした場合に、原点から0.1までの範囲をいう。略垂直とは、導入管20の軸と円筒体10の軸がなす角度が85~95°、好ましくは88~92°、より好ましくは90°(垂直)であることを意味する。導入管20は、図3に示すとおり、円筒体10の接線方向に延びており、円筒体10の内壁面16の接線方向から連続相液体を導入できるようになっている。すなわち、導入管20の内壁面の一部は円筒体10の内壁面16の接線と同一平面にある。この連続相液体の流れは、内壁面16を円周方向に沿って流れると同時に、円筒体10の他方の端に向かって押し出されるため、旋回流を生成する。すなわち、本発明のこの好ましい態様においては円筒体10の円周面に沿って円筒体10の軸に垂直な方向から連続相液体を流入して旋回流を得る(図4a)点が、従来の軸流方式(図4b)と著しく異なる。

【0032】
本発明において旋回流の円周方向の速度(以下「旋回速度」ともいう)および円筒体の軸方向の速度(以下「軸速度」ともいう、また旋回速度と軸速度を合わせて単に「旋回流の速度」ともいう。)は、導入管20を流れる連続相液体の流量を導入管20の内径断面積で除した値、すなわち流入線速度で制御することが好ましい。その流入線速度は、円筒体の内径との関連のもとに最適化されるべきであるが、約1~40m/sが好ましく、2~20m/sがより好ましい。流入線速度がこの範囲にあると、分散相粒子が比較的小さく、かつ低多分散度である組成物を効率よく得ることができる。導入管20の断面は、四角または円等の任意の形状としてよいが、製造が容易であることと、導入管20内での連続相液体の流れを均一にしやすいことから、円が好ましい。

【0033】
また、本発明においては、導入管20の太さと円筒体10の太さが一定の関係にあると、円筒体10内で旋回流を効率よく発生することができるので好ましい。円筒体10と導入管20の太さの関係は、円筒体10の内径断面積をS1、導入管20の内径断面積をS2とするとき、面積比S1/S2が4~64であることが好ましい。内径断面積とは、例えば円筒体10においては、連続相液体が流れる部分の断面積をいい、具体的には内径を直径とする円の面積である。また、特に、円筒体10の内径がX1、導入管20の断面が内径X2の円である場合、内径比X1/X2が2~8であることが好ましい。

【0034】
さらに、排出口14の大きさにより円筒体10内の旋回流の態様および軸速度は影響を受ける(非特許文献3:日本機械学会論文集B編 58卷550号1668~1673頁(1992))。本発明の円筒体10が図1に示すような排出口14を有する場合、排出口14の断面は円形であることが好ましい。排出口14が円でないと、生成した組成物に不均一な応力がかかり、場合によっては分散相粒子が破砕されることがあるからである。円形の排出口14の内径をX0とするとき、円筒体10の内径X1と排出口14の内径X0の比X1/X0は1~5が好ましく、1~3がより好ましい。X0は、円筒体10の端に配置される部材32の形状により調整できる。部材32については後述する。

【0035】
本製造方法において本発明の装置を設置する向きは限定されないが、円筒体10の軸が略鉛直となるように設置されることが好ましい。円筒体10の内部で旋回運動する連続相液体の旋回面が重力の方向と直行する方が、件の旋回運動は重力加速度の影響を受けにくいからである。略鉛直とは、水平線と円筒体10の軸がなす角度が85~95°、好ましくは88~92°、より好ましくは90°であることを意味する。

【0036】
このように発生させた連続相液体の旋回流を用いることにより、連続相に分散相が低多分散度で微分散した組成物を高い生産効率で得ることができる。この機構は次のように推察される。一般に、水や油などの粘性流体は、その粘性のために固定された壁と接触した際に壁表面に粘着することが知られている。すなわち、円筒体内に軸方向に液体を流すと、液体は管壁に付着するため管壁近傍の流速は管壁から充分に離れた位置での流速に比べて著しく小さくなる。このような領域は境界層とも呼ばれる。つまり軸方向に流れる連続相液体に多孔質膜を介して分散相流体を供給する方法(軸流方式)では、多孔質膜表面近傍での連続相の流速が十分に大きくない。このため1)多孔質膜表面が分散相流体によって濡れやすい、2)多孔質膜の細孔出口に形成された分散相粒子へ、連続相に含まれる界面活性剤分子を供給する速度が小さくなることから、表面張力を低下させて分散相粒子を多孔質膜から遊離するのに時間を要する、3)多孔質膜表面の細孔出口に結合している分散相粒子を多孔質膜から遊離させるのに必要な連続相液体からの剪断力を得にくい等の現象が生じる。よって、分散相流体の供給速度が小さくないと、連続相に分散相が微分散した組成物を得ることが困難となる。もし、分散相流体の供給速度を大きくすると、分散相粒子が多孔質膜から遊離する速度にばらつきが生じるので多分散度が大きくなる。

【0037】
これに対して、本発明で用いる連続相液体の流入速度は、円筒体10の内径断面積と導入管20の内径断面積の比(S1/S2)に比例して増大するうえに、円筒体の内壁面に沿って円運動(等加速度運動)をしながら流れるので(図5中の矢印参照)、形成される境界層の厚さが軸流方式に比べて極めて薄い。よって、1)多孔質膜表面の分散相流体による濡れを防止するとともに、2)多孔質膜の細孔出口で形成された分散相粒子へ連続相に含まれる界面活性剤分子を速やかに供給でき、3)界面活性剤で覆われた分散相粒子を膜面から遊離させるのに必要な剪断力を与えることができる。以上から、旋回流を用いることにより、多孔質膜の細孔出口で形成された分散相粒子を速やかに連続相中に遊離させることが可能となる。このため、得られる分散相粒子は粒子径が小さく、かつ多分散度が低くなる。分散相流体の供給速度を大きくしても連続相液体の適正な剪断力により分散相粒子が離脱する速度は低下しないので、生産効率を高めることができる。しかしながら、旋回流の流速が大きすぎると、多孔質膜表面で発生する剪断力が過大となるために、所望の大きさの分散相粒子に加えて、これよりもはるかに小さな分散相粒子(「微細粒子」または「サテライト粒子」ともいう)が生成されやすくなり、多分散度が増大することがある。逆に旋回流の流速が小さすぎると多孔質膜表面での剪断力が小さいために、分散相粒子が多孔質膜から離脱し難くなり、主たる分散相粒子は大きくなる。これに加えて分散相粒子と多孔質膜細孔を連結している分散相流体の細い管が引き伸ばされて、その部分が数個に分断される結果、サテライト粒子が生成し、多分散度も高くなる場合がある。

【0038】
(B)工程
1)分散相流体
本工程では、多孔質膜を介して分散相流体を前記旋回流に供給する。分散相流体とは分散相になるべき流体であり、その例には、水系液体、油系液体および気体が含まれる。水系液体は連続相液体で述べたとおりである。分散相流体として水系液体を用いると、本発明の組成物としてW/O型のエマルションが得られる。ただし、多孔質膜を介して分散相を連続相中に微分散させるには、多孔質膜が分散相流体で濡れるのを避ける必要がある。この理由から、水系液体を分散相とする場合には疎水性多孔質膜が好適であり、油系液体あるいは気体を分散相とする場合には親水性多孔質膜の使用が好ましい。さらには、いずれの場合にも分散相流体で多孔質膜が濡れるのを防ぐために、分散相流体は界面活性剤を含まないことが好ましい。

【0039】
油系液体とは既に述べたとおり有機化合物を主成分とする液体である。油系液体を用いると本発明の組成物としてO/W型のエマルションが得られる。ただし、前述のとおり多孔質膜が油系液体で濡れるのを防ぐ理由から、油系液体は界面活性剤を含まないことが好ましい。油系液体としては食用油、脂肪酸エステルが好ましいが、用途によって油系液体は適宜選択できる。例えば、ラウリン酸メチル等の脂肪酸エステルを分散相とするエマルションは、化粧品添加物、食品添加物または塗料添加剤等として有用である。

【0040】
また、油系液体が重合性モノマーを含むと、重合性モノマーを含む分散相粒子が低多分散度で微分散したエマルションが得られる。このエマルションは懸濁重合の原料とすることができる。重合性モノマーとは重合性官能基を有する化合物であるが、本発明においては、加熱することにより容易に重合を進行できるラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性モノマーが好ましい。このような化合物の例には、スチレン、α-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、4-スルホンアミドスチレン、4-スチレンスルホン酸等のスチレン化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが含まれる。これらの重合性モノマーに加えて、得られるポリマーに架橋構造を導入するために、ジビニルベンゼンのような重合性官能基を分子中に複数有する重合性モノマーを使用してもよい。

【0041】
油系液体として重合性モノマーを用いる場合、油系液体はラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。ラジカル重合開始剤とは、加熱される等によりラジカルを発生する化合物である。その好ましい例には2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、および過酸化ベンゾイルが含まれる。ラジカル開始剤の添加量は、重合性モノマー100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。その他、油系液体は、有機系染料、および有機系顔料、無機系染料、無機系顔料等の公知の着色剤を含んでいてもよい。この着色剤は、ナノメートルサイズの分散微粒子であることが好ましい。

【0042】
重合性モノマーを分散相として含む本発明のエマルションは低多分散度のポリマー粒子、すなわち単分散のポリマー微粒子を与える。このようなポリマー粒子は、液晶ディスプレーのスペーサー、液体クロマトグラフ分離カラム用充填剤、化粧品の原料、トナーの原料として有用である。中でも、重合性モノマーを分散相として含む本発明の組成物は、印刷の解像度を上げるために多分散度が非常に低いポリマー粒子が求められているトナーの分野に好適である。

【0043】
分散相流体が気体の場合は、本発明の組成物として連続相中に微小な気泡が分散したマイクロバブル組成物が得られる。この場合、連続相は水系液体または油系液体であってよい。気体の例には、空気、酸素、窒素、希ガス、二酸化炭素およびオゾンが含まれる。気体として空気あるいは窒素を用いると含気食品の製造に有用なホイップ組成物が得られる。気体として二酸化炭素を用いると、炭酸飲料の製造に有用なマイクロバブル組成物が得られる。また、連続相としての水にオゾンを含む気体を微分散させることは、オゾン水の製造に好適であり、水の殺菌手段として好適である。さらに、この水を用いた洗浄、殺菌も重要な利用方法となる。

【0044】
2)供給方法
分散相流体は多孔質膜を介して連続相液体へ供給される。その供給の方法は特に限定されない。しかしながら、図1に示すように、円筒体10の外周部の周りに部材44を配置して分散相流体貯留部40を設けて、その貯留部40に分散相流体を充填し、その圧力を適切に調整するための圧力制御装置(図示せず)を用いて分散相流体を連続相液体に供給することが好ましい。円筒体10内部には連続相液体50の旋回流が生じているため、分散相流体60は、円筒体10内に供給されると速やかに多孔質膜10から遊離して連続相液体50中に分散する(図5)。

【0045】
本発明では、この際の供給速度(m/m・h)を、標準状態(0℃、1気圧)で10-2~10のオーダーとすることが好ましい。この供給速度は従来の軸流方式に比べてはるかに大きいが、本発明によれば、供給速度を高めても分散相粒子の粒子径が小さく、かつ低多分散度の組成物を得ることができる。特に、分散相流体が液体である場合、供給速度は、0.5~3(m/m・h)とすることがより好ましい。

【0046】
分散相流体を供給する温度は、特に限定されないが、前述のとおり室温(20~30℃)が好ましい。
(C)取出し工程
得られた本発明の組成物は、円筒体10の一方の端に設けられた排出口14から取出される。排出口は、既に述べたとおり、円筒体10の一方の端の断面に、一定の内径を有する円形に設けられることが好ましい。さらに、組成物は排出口14に接続された排出管30を通って取出されてもよい。
2.組成物
(1)分散相の粒子径
本発明の組成物は、連続相液体に水系液体、分散相流体に油系液体を用いた場合はO/Wエマルション、連続相液体に油系液体、分散相流体に水系液体を用いた場合はW/Oエマルション、連続相液体に油系液体または水系液体、分散相流体に気体を用いた場合はマイクロバブル組成物となる。

【0047】
分散相粒子の粒子径はレーザー回折散乱法により求められ、粒子積算量が50%となる値の粒子径(d50)で定義される平均粒子径は1~50μmであることが好ましく、1~30μmであることがより好ましい。また、以下の式(1)で定義される多分散度(以下「スパン」ともいう)は、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。

【0048】
スパン=(d90-d10)/d50 ・・・(1)
10:液滴(分散相粒子)の積算分布10%における粒子径
90:液滴(分散相粒子)の積算分布90%における粒子径
50:液滴(分散相粒子)の積算量が50%となる粒子径
(2)組成および用途
本発明の組成物の比率は、用いる物質や用途によっても異なるが、O/WおよびW/Oエマルションにおいては円筒体内部を旋回流として1回通過させる工程において、連続相と分散相の質量比(連続相/分散相)がおおよそ10~100であることが好ましく、10~50であることがより好ましい。さらに、生成したエマルションを繰り返し連続相として循環させることにより、必要に応じて連続相に対する分散相の割合を大きくすることができる。

【0049】
マイクロバブル組成物における連続相と気体の比率は、用いる気体の種類や用途によって異なるが、連続相と気体(標準状態)の体積比(連続相/気体)が0.1~100,000であることが好ましい。例えば、マイクロバブル組成物として炭酸飲料を製造する場合、体積比は0.2程度が好適であり、マイクロバブル組成物としてオゾン水の製造する場合、10,000程度が好適である。

【0050】
本発明のO/WおよびW/Oエマルション組成物は、前述のとおり、食品添加物、塗料添加物、液晶ディスプレーのスペーサー、液体クロマトグラフ分離カラム用充填剤、化粧品の原料またはトナー用原料等として有用である。また、本発明のマイクロバブル組成物は、前述のとおり、ホイップ組成物、炭酸飲料、またはオゾン水の製造に有用である。
3.ポリマー微粒子の製造方法
本発明のポリマー微粒子の製造方法は、(D)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、(E)前記多孔質膜を介して、重合性モノマーを含む分散相液体を前記旋回流に供給する工程、(F)前記連続相中に前記分散相が微分散した重合性組成物を得る工程、および(G)前記重合性組成物を重合する工程を含む。

【0051】
(D)~(F)工程
これらの工程は、本発明の組成物の製造方法で述べたとおりである。
(G)工程
本工程では、前工程にて得た重合性組成物を重合する。この重合はいわゆる懸濁重合であり、重合温度、重合時間等の重合条件は、通常の懸濁重合の条件としてよい。

【0052】
本発明で得られるポリマー粒子の平均粒子径(d50)は1~50μmであることが好ましく、1~30μmであることがより好ましい。また、本発明で得られるポリマー粒子の多分散度は、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。このようなポリマー微粒子は、前述のとおり、液晶ディスプレーのスペーサー、液体クロマトグラフ分離カラム用充填剤、化粧品の原料またはトナー用原料等として有用である。
4.装置
本発明の組成物は、発明の効果を損なわない限り、任意の装置で製造できる。しかしながら、本発明の組成物は、a)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体であって、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口およびもう一方の端の断面に連続相中に分散相が微分散した組成物の排出口を有する円筒体と、b)連続相液体を前記円筒体の軸に略垂直かつ内壁面の接線方向から流入できるように、前記流入口に接続され前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管と、c)前記円筒体の円周面の外側に設けられた分散相流体貯留部と、d)前記分散相流体貯留部から分散相流体を前記円筒体内に供給するための供給手段とを具備する装置で製造されることが好ましい。

【0053】
以下、この装置の好ましい一例を示す図1を参照しながら説明する。
a)円筒体
円筒体10は反応器としての機能を担う。円筒体を構成する材質、形状および寸法等は既に述べたとおりである。

【0054】
b)導入管
導入管20は旋回流を発生させる機能を担う。既に述べたとおり、導入管20は円筒体10の円周面に設けられた流入口12に接続され、前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びている。導入管20の太さを調整することにより、旋回流の速度を調整できる。導入管20は、図1および図2に示すように形成されることが好ましい。すなわち、円筒体10の内径とほぼ同じ内径を有し、一方の端が閉じられた肉厚の円筒状部材22を準備し、円筒体10の端をキャップするように配置する。次いで部材22に、円筒内10の軸に垂直であって、円筒体10の接線方向に延びる貫通孔を設け、この貫通孔を導入管20とする。連続相液体50は、この導入管20を通って、部材22によって形成された円周面が多孔質膜以外の材料からなる非多孔質膜部分101の内壁に沿って流入し、効率よく旋回流を発生できる。また、旋回速度は、貫通孔の大きさにより容易に調整できる。部材22の材質は特に限定されないが、酸、アルカリ、有機溶媒に対する耐性を考慮してステンレス鋼が好ましい。

【0055】
また、図2に示すように、円筒体10の多孔質部分100に導入管20を設けてもよい。ただし、この場合、多孔質部分100の導入管20近傍の領域は、連続相液体が漏洩しないようにコーティング処理が施されることが好ましい。

【0056】
c)分散相流体貯留部
円筒体10の外周を覆うように部材44を配置し、部材44の内壁と円筒体10の外壁との間に形成された空間を分散相流体貯留部40とすることが好ましい。分散相流体貯留部40により円筒体10の多孔質膜部分100全体から分散相流体を供給できるため、生産効率が向上する。この場合、隙間の間隔、すなわち部材44の内半径と円筒体10の外半径の差は、1.0~10mmが好ましく、1.5~4.0mmがより好ましい。この隙間の間隔が1.0mmより狭い場合には、分散相流体の供給速度が大きくなると貯留部40内に圧力分布が生じ、分散相流体の多孔質膜細孔を通過する速度の均一性を損なうおそれがある。一方、この隙間が必要以上に大きい場合には、分散相の貯留量が大きくなり、装置の分解、洗浄に際して廃棄される分散相流体が多くなり、資源の無駄を招く。

【0057】
部材44の材質は特に限定されないが、酸、アルカリ、有機溶媒に対する耐性を考慮してステンレスが好ましい。また、円筒体10、部材44および部材22が接続される部位に、液体が装置の外に漏れることを防ぐためのシールリングを配置してもよい。シールリングの例には公知のO-リングが含まれる。

【0058】
d)供給手段
供給手段は特に限定されないが、脈流の発生が少ないポンプが好ましい。供給手段は、部材44に設けられた分散相流体導入管42に接続される。

【0059】
e)排出口および排出管
本発明の装置は、円筒体10のもう一方の端に排出口14および排出管30を有することが好ましい。排出口14の形状および寸法は既に述べたとおりである。排出口14に接続された排出管30は、所望の内径を有し、排出のための貫通孔を有する円筒状部材32を準備して、円筒体10の端をキャップするように配置して形成することが好ましい。部材32の材質は特に限定されないが、酸、アルカリ、有機溶媒に対する耐性を考慮してステンレス鋼が好ましい。
【実施例】
【0060】
[実施例1]
円周面の全部が平均孔径5.2μmのシラス多孔質ガラス製の多孔質膜(SPG膜)で構成され、外径10mm、内径9mm、長さ150mmの円筒体(SPGテクノ株式会社製、SPG膜、ロット番号PJN08J14)を準備した。このSPG膜円筒体よりも肉厚の部材であって、SPG膜円筒体と同じ内径を有し、かつ一方の端が閉じられたステンレス鋼製の円筒状部材22を準備した。図1に示すように、この部材22をSPG膜円筒体の端をキャップするように配置し、SPG膜円筒体の端部に、円周面がステンレス鋼で構成された長さ5mmの円筒状の空間を形成して、多孔質部分100と非多孔質101を有する、全長が155mmの円筒体10を準備した。部材22に、円筒体10の軸に垂直であって、円筒体10の接線方向に延びる貫通孔を設け、この貫通孔を導入管20とした。導入管の断面は円であり、内径は2.5mmであった。
【実施例】
【0061】
円筒体10の外周部を覆うように部材44を配置して分散相流体貯留部40を形成した。分散相流体貯留部40の高さ(部材44の内半径と円筒体10の外半径の差)は2.0mmであった。円筒体10のもう一方の端に、内径4.5mmの排出口を具備したステンレス鋼製の円筒状部材32を円筒体10の端をキャップするように配置して、排出口14および排出管30を形成した。図1に示すとおり、部材44と円筒体10の間の空間であって、部材44の両端部にO-リングを挿入した。このようにして、本発明の製造装置を準備した。この製造装置は、図1に示すとおり、円筒体の軸が略鉛直であって、導入管20が下に位置するように設置された。
【実施例】
【0062】
界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(ナカライテスク社製)を1.0質量%含む水溶液を準備し連続相液体とした。歯車ポンプを用いて、この連続相液体を導入口20から、円筒体10の軸に対して90°の方向であって円筒体10の内壁の接線方向から導入し、旋回流を生成した。実施例1~3において、流入線速度を1.6~6.4m/sとしたが、本例では流入線速度は1.6m/sであった。
【実施例】
【0063】
分散相流体としてラウリン酸メチルを準備し、別の歯車ポンプを用いてSPG膜を介して、連続相液体の旋回流に供給した。この供給速度は3.0m/m・hであった。このようにして本発明の組成物、すなわちO/Wエマルションを製造した。得られたエマルションの分散相粒子径をレーザー回折散乱法(島津製作所製、装置名SALD-200V)により分析した。相対粒子量と粒子径の関係(相対粒子量分布)結果を図6に示す。スパン(多分散度)は1.08、平均粒子径は23.6μmであった。
[実施例2]
ポンプの出力を調整して流入線速度を3.2m/sとした以外は、実施例1と同様にしてエマルションを製造し評価した。相対粒子量分布の結果を図6に示す。その結果、スパン0.64、平均粒子径21.3μmであった。
[実施例3]
流入線速度を6.4m/sとした以外は、実施例1と同様にしてエマルションを製造し評価した。相対粒子量分布の結果を図6に示す。その結果、スパン(多分散度)は1.21、平均粒子径は16.2μmであった。
【実施例】
【0064】
実施例1~3から、流入線速度が3.2m/sのときスパンは最小となった。実施例1~3において生じた微細液滴(サテライト液滴)の有無を確かめるために、粒子の数と粒子径の関係を示した図(相対粒子数分布)を図7に示す。図7より、導入線流速が3.2m/sのときは、微細液滴の生成は認められないが、それ以外の線速度においては微細液滴が多数生じていることが明らかとなった。このことは、導入線流速が3.2m/sであると得られるエマルションの多分散度が最小となることと整合する。
[実施例4]
SPG膜の平均孔径を1.0μmとし、分散相流体の供給速度を0.6m/m・hとし、流入線速度を5.3m/sとした以外は、実施例1と同様にしてエマルションを作製し評価した。相対粒子量分布結果を図8に示す。スパンは0.57、平均粒子径は20.0μmであった。
[実施例5]
流入線速度を8.0とした以外は、実施例4と同様にしてエマルションを作製し評価した。相対粒子量分布結果を図8に示す。スパンは1.01、平均粒子径は12.2μmであった。
[実施例6]
流入線速度を10.6m/sとした以外は、実施例4と同様にしてエマルションを作製し評価した。相対粒子量分布結果を図8に示す。スパンは1.15、平均粒子径は6.73μmであった。
[実施例7]
流入線速度を13.3m/sとした以外は、実施例4と同様にしてエマルションを作製し評価した。相対粒子量分布結果を図8に示す。スパンは0.81、平均粒子径は4.64μmであった。
[実施例8]
1.0質量%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に3質量%の塩化ナトリウムを添加して連続相液体とした。これ以外の条件は実施例7と同様にして、エマルションを作製し評価した。相対粒子量分布結果を、実施例7の結果と合わせて図9に示す。実施例7のエマルションにおけるスパンは0.81、平均粒子径は4.64μmであったが、本例のスパンは0.91、平均粒子径は2.82μmであった。この結果から、連続相液体に塩化ナトリウムなどの電解質を添加することにより、分散相粒子が小さくなることが明らかである。これは塩化ナトリウムの添加により、SPG膜のガラス表面において電気二重層の形成が促進されて、SPG膜細孔出口に形成されつつある分散相油滴表面を覆う陰イオン界面活性剤であるSDS分子間の静電的反発力が増強されるためと考えられた。
【実施例】
【0065】
実施例1~8の結果を表1にまとめて示す。
【実施例】
【0066】
【表1】
JP0004803508B2_000002t.gif
【実施例】
【0067】
[実施例9]
非界面活性剤であるTween20(ナカライテスク社製)を1.0質量%含む水溶液を調製し連続相液体とした。SPG膜の平均孔径を5.2μmとし、連続相液体を流入線速度1.7、3.4、5.1、6.8、8.5、10.2、11.2m/sで前記装置に流入し、かつ分散相流体の供給速度を1.2m/m・hとした以外は、実施例1と同様にしてエマルションを製造し評価した。相対粒子量分布結果を図10に示す。その結果、スパンおよび平均粒子径は、以下のとおりであった。
【実施例】
【0068】
流入線速度1.7m/s:1.50、72.3μm
流入線速度3.4m/s:0.84、51.4μm
流入線速度5.1m/s:0.62、38.9μm
流入線速度6.8m/s:0.53、32.1μm
流入線速度8.5m/s:0.50、27.6μm
流入線速度10.2m/s:0.51、25.4μm
流入線速度11.2m/s:0.51、22.9μm
[実施例10]
SPG膜の平均孔径を2.1μmとした以外は、実施例9と同様にしてエマルションを作製し評価した。相対粒子量分布結果を図10に示す。その結果、スパンおよび平均粒子径は、以下のとおりであった。
【実施例】
【0069】
流入線速度1.7m/s:1.09、40.8、μm
流入線速度3.4m/s:1.53、19.6μm
流入線速度5.1m/s:0.91、14.2μm
流入線速度6.8m/s:0.58、11.4μm
流入線速度8.5m/s:0.43、10.9μm
流入線速度10.2m/s:0.41、10.4μm
流入線速度11.2m/s:0.47、9.77μm
[実施例11]
SPG膜の平均孔径を1.0μmとした以外は、実施例9と同様にしてエマルションを作製し評価した。相対粒子量分布結果を図10に示す。その結果、スパンおよび平均粒子径は、以下のとおりであった。
【実施例】
【0070】
流入線速度1.7m/s:1.66、38.1μm
流入線速度3.4m/s:1.69、17.7μm
流入線速度5.1m/s:2.48、7.94μm
流入線速度6.8m/s:2.28、5.66μm
流入線速度8.5m/s:1.73、5.09μm
流入線速度10.2m/s:0.61、4.64μm
流入線速度11.2m/s:0.54、4.61μm
実施例9~11から、流入線速度が大きくなるほど平均粒子径は減少し、流入線速度が10.2および11.2m/sのときにスパンは最小となった。このときのスパンの値はSPG膜に形成されている孔径の分散とほぼ同程度であることから、本条件は粒子径の分散度を最小にするための条件として好適である。
[比較例1]
実施例1と同様にして準備した製造装置であって、部材22を具備せず、内径が4.5mmの連続相液体流入口および微分散組成物の排出口を有する部材32を円筒体10の両端に具備した製造装置(図4の(b))を準備した。連続相液体を円筒体10の軸に平行に導入し、円筒体10の内部において軸に平行に流す以外は、実施例9と同様にしてエマルションを製造し評価した。連続相液体の流量を実施例9と同じとした。円筒体内を流れる連続相液体の流量を円筒体の内径断面積で除した値で定義される円筒体内線速度は、0.13、0.26、0.39、0.52、0.65、0.78、0.86m/sであった。このときの相対粒子量分布結果を図11に示す。その結果、スパンおよび平均粒子径は以下のとおりであった。
【実施例】
【0071】
円筒体内線速度0.13m/s:1.50、48.2μm
円筒体内線速度0.26m/s:1.22、66.9μm
円筒体内線速度0.39m/s:1.06、54.2μm
円筒体内線速度0.52m/s:0.91、50.7μm
円筒体内線速度0.65m/s:0.87、47.1μm
円筒体内線速度0.78m/s:0.81、48.2μm
円筒体内線速度0.86m/s:0.80、42.7μm
図10と図11の比較から明らかなように、連続相液体を旋回流として流すことにより、平均粒子径を小さく、粒子径の多分散度を小さくすることができた。
[比較例2]
比較例1と同様の製造装置を準備した。
【実施例】
【0072】
連続相液体を円筒体10の軸に平行に導入し、円筒体10の内部において軸に平行に流す以外は、実施例10と同様にしてエマルションを製造し評価した。相対粒子量分布結果を図11に示す。その結果、スパンおよび平均粒子径は、以下のとおりであった。
【実施例】
【0073】
円筒体内線速度0.13m/s:0.89、64.2μm
円筒体内線速度0.26m/s:1.02、54.6μm
円筒体内線速度0.39m/s:0.79、51.7μm
円筒体内線速度0.52m/s:1.00、40.4μm
円筒体内線速度0.65m/s:1.14、35.2μm
円筒体内線速度0.78m/s:1.29、31.0μm
円筒体内線速度0.86m/s:1.38、29.2μm
図10と図11の比較から明らかなように、連続相液体を旋回流として流すことにより、平均粒子径を小さく、粒子径の多分散度を小さくすることができた。
[比較例3]
比較例1と同様の製造装置を準備した。
【実施例】
【0074】
連続相液体を円筒体10の軸に平行に導入し、円筒体10の内部において軸に平行に流す以外は、実施例11と同様にしてエマルションを製造し評価した。相対粒子量分布結果を図11に示す。その結果、その結果、スパンおよび平均粒子径は、以下のとおりであった。
【実施例】
【0075】
円筒体内線速度0.13m/s:0.96、57.4μm
円筒体内線速度0.26m/s:1.19、43.7μm
円筒体内線速度0.39m/s:1.19、36.6μm
円筒体内線速度0.52m/s:1.16、31.8μm
円筒体内線速度0.65m/s:1.21、29.0μm
円筒体内線速度0.78m/s:1.05、25.4μm
円筒体内線速度0.86m/s:1.21、20.4μm
図10と図11の比較から明らかなように、連続相液体を旋回流として流すことにより、平均粒子径を小さく、粒子径の多分散度を小さくすることができた。
【実施例】
【0076】
実施例9~11の結果を表2に、比較例1~3の結果を表3にまとめて示す。
【実施例】
【0077】
【表2】
JP0004803508B2_000003t.gif
【実施例】
【0078】
【表3】
JP0004803508B2_000004t.gif
【実施例】
【0079】
[実施例12]
SPG膜の平均孔径が2.1μmであること以外は実施例1と同じ装置を用い、以下に示す分散相および連続相を用いてスチレンモノマーを含む分散相(液滴)が微分散した組成物の製造を行った。ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)(ナカライテスク社製)を2.0質量%含有するスチレン溶液を分散相として用いた。連続相には、ポリビニルアルコール(重合度約500)(ナカライテスク社製)0.65%、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.05質量%、硫酸ナトリウム0.03質量%、ヒドロキノン0.04質量%を含有する水溶液を用いた。
【実施例】
【0080】
実施例1と同様にして、上記の連続相を1.7~8.5m/sの流入線速度で円筒体10内に流入して、旋回流を発生させ、上記の分散相を1.2m/m・hで供給することにより、連続相中に微細な液滴を形成した。連続相液体の流入線速度が1.7~8.5m/sのとき分散相粒子のスパンは0.99~0.44であり、分散相粒子の大きさを良好に制御することができた。特に流入線速度が5.1~8.5m/sであると、スパンを0.5以下にすることができた。
【実施例】
【0081】
このようにして調製されたエマルション溶液を70℃で6時間放置することにより重合し、連続相中にポリスチレン微粒子が分散相として微分散した組成物を製造した。図12は連続相中に分散した状態のポリスチレン微粒子の粒子径分布を計測した結果である。平均粒子径は17.1μm、スパンは0.44であった。この組成物を孔径0.5μmのフィルターでろ過し、さらにフィルター上で充分量の水で洗浄したものを減圧乾燥し、ポリスチレン微粒子粉末を得た(図13)。上述のとおり、本発明は、単分散ポリマー微粒子の大量生産を可能にする方法として重要であることが示された。
[実施例13]
平均孔径が1.0μmのSPG膜を使用して、実施例12で調製した分散相液体に分散相液滴の安定剤としてヘキサデカンを10質量%添加した以外は、実施例12と同様にして連続相中にポリスチレン微粒子が分散相として微分散した組成物を製造した。図14は連続相中に分散した状態のポリスチレン微粒子の粒子径分布を計測した結果である。平均粒子径は7.5μm、スパンは0.28であった。実施例12との比較により、SPG膜の孔径を適切に選択することにより、所望の粒子径を有するポリマー微粒子を製造することができ、ヘキサデカンを分散相液滴の安定剤として添加することにより生成する分散相粒子径のスパンを効果的に小さくすることができることが明らかとなった。
[実施例14]
SPG膜の平均孔径が2.1μmである以外は実施例1と同じ装置を用い、以下に示す分散相および連続相を用いてマイクロバブル組成物の製造を行った。連続相液体として0.5質量%のSDS水溶液を用い、分散相として高圧ボンベから適切に減圧調整された窒素ガスを用いた。実施例1と同様にして円筒体10に連続相液体を流入し旋回流を発生させ、円筒体内へ窒素ガスを供給した。連続相液体の流入線速度は6.8m/sであった。窒素ガスの供給量は、連続相/分散相気体(標準状態)の体積比にして100~0.1の間とした。その結果、体積分率100~5では連続相中(水中)にマイクロバブルを含む組成物(水溶液)が得られた。このときの気体の供給速度は0.3~6(m/m・h)であった。また、体積比を1~0.1とすると、マイクロバブルが密集したムース状物質が得られた。このときの気体の供給速度は30~300(m/m・h)であった。図15は前者の組成物におけるマイクロバブルの粒子径分布を計測した結果である。
【符号の説明】
【0082】
1 本発明の製造装置
10 円筒体
100 円周面が多孔質膜で構成された多孔質膜部分
101 円周面が他の部材で構成された非多孔質膜部分
12 流入口
14 排出口
16 内壁面
20 導入管
22 部材
30 排出管
32 部材
40 分散相流体貯留部
42 分散相流体導入管
44 部材
50 連続相液体
60 分散相流体
70 組成物
80 シールリング
90 ポンプ
図面
【図4】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14