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明細書 :ジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4803497号 (P4803497)
公開番号 特開2007-170678 (P2007-170678A)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発行日 平成23年10月26日(2011.10.26)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
発明の名称または考案の名称 ジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法
国際特許分類 F16L   1/024       (2006.01)
FI F16L 1/02 F
請求項の数または発明の数 11
全頁数 18
出願番号 特願2007-065629 (P2007-065629)
分割の表示 特願2005-317188 (P2005-317188)の分割、【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
出願日 平成19年3月14日(2007.3.14)
審査請求日 平成20年9月29日(2008.9.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】毛利 栄征
個別代理人の代理人 【識別番号】100086852、【弁理士】、【氏名又は名称】相川 守
審査官 【審査官】佐藤 正浩
参考文献・文献 特許第3314191(JP,B2)
特開2001-153262(JP,A)
特開2004-346723(JP,A)
特開平06-034076(JP,A)
調査した分野 F16L 1/024
特許請求の範囲 【請求項1】
地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置するとともに、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第2の工程と、地中構造物と溝底面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第3の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第4の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第5の工程とを備えたことを特徴とするジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項2】
地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置する第2の工程と、地中構造物が配置された掘削溝に埋め戻し材を投入して、地中構造物の一部を埋め戻し材上に露出させる第3の工程と、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第4の工程と、地中構造物と埋め戻し材上面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第5の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第6の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第7の工程とを備えたことを特徴とするジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項3】
埋め戻し材を、配置された支持壁材まで投入しては、支持壁材上に他の支持壁材を積み上げてジオテキスタイルの余り部を引き上げ、積み上げと埋め戻しと余り部の引き上げを繰り返し、投入された埋め戻し材内に積み上げた支持壁材により支持壁を形成するとともに、所定の高さまで埋め戻し材を投入することを特徴とする請求項1または2に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項4】
地中構造物と支持壁材との間に、埋め戻し材が所定の嵩を確保するように空隙を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項5】
支持壁材は、地中構造物の溝幅方向両側に設けられることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項6】
ジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせて埋め戻し材を投入した後、埋め戻し材が所定の高さに達すると、上記ジオテキスタイルの余り部を投入された埋め戻し材上に被せて接続し埋め戻し材を包むことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項7】
掘削溝の壁面に土留め用矢板を設け、掘削溝を埋め戻す際、矢板を引き抜くことを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項8】
埋め戻し材を囲んだジオテキスタイルの外側には、溝掘削により生じた掘削土を用いることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項9】
掘削溝底面に地盤材料を投入して支持地盤を形成し、この支持地盤上に地中構造物を配置することを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項10】
地盤材料に埋め戻し材を用いたことを特徴とする請求項9に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
【請求項11】
ジオテキスタイルの余り部は、積み上げられる支持壁材の間に挟み込まれることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1に記載のジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、地中構造物をジオテキスタイルを用いて地中に埋設するジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、地中に埋設されるパイプラインや水路、マンホールなどの地中構造物を地盤の浅い位置に設置する場合、地中構造物に作用する浮力に抵抗するための対策としてジオテキスタイルを用いた地盤補強技術や施工方法が知られている。地盤に埋設される構造物は、地下水や豪雨による浮力を受けるので、浮上に対する安全性を確保するため所定の土被りを設ける必要がある。このため、埋設施工に必要な溝の掘削も大規模になり、工期の長期化や経費の増大の原因となっている。地中構造物の浮上を防止するためには、地中構造物に対し、浮力に見合った鉛直下向きの力を作用させる必要がある。方法としては、土被りを大きくする他に、構造物の重量の増大化をはかったり、構造物上部にコンクリートブロックなどの浮力防止パネルを設置する等の技術が知られている。しかしながら、土被りを大きくするためには、掘削溝の深度を深く取らなければならず、構造物重量の増大化をはかったり浮上抵抗に応じて大量のパネルを設置すると、コストアップを招くという問題がある。このため、本発明者は、掘削溝の両側壁に矢板を打ち込み、この両側を土留め用の矢板で保護した上で、掘削溝に地中構造物を配置し、ジオテキスタイルを敷設して埋め戻し材を投入し、埋め戻し材を包み込んだジオテキスタイルにより地中構造物の浮上抵抗力を抑制する地中構造物の埋設工法を提案した(特許文献1参照)。
【0003】

【特許文献1】特許第3314191号公報(第3-5頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の埋設工法では、矢板を用いて掘削溝の両側壁を保護しつつ埋設を行うため、掘削溝が深くしかも大きい規模の施工には適するものの、地理的な制約や環境などの状況などにより掘削溝を浅い深度とせざるを得ない場合や、矢板の打ち込みができない素堀溝の場合など、施工が困難になるという問題がある。このため、掘削溝に土留め用矢板を打ち込むことができない素堀溝であったり、浅い深度の素堀溝では、上記従来の埋設工法が適用しにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、埋設用の溝が土留め用矢板が打ち込まれた掘削溝であっても、矢板を打ち込むことができない素堀溝であっても、溝の構造に関係なく、また、土被り層の厚さを薄くせざるを得ないきわめて浅い溝であっても、確実に浮上抵抗力を向上させ、かつ、施工性の良好なジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置するとともに、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第2の工程と、地中構造物と溝底面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第3の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第4の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第5の工程とを備えたものである。
【0007】
請求項1に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置するとともに、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第2の工程と、地中構造物と溝底面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第3の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第4の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第5の工程とを備えたことにより、ジオテキスタイルで埋戻し材を囲むことにより埋戻し材の剛性が高まり、埋戻し材が地中構造物に対してアンカー機能を果たすので、ジオテキスタイル上側に投入される土被りとしての埋め戻し材層の厚みを薄くすることができる。このため、浅い素堀溝でも確実に地中構造物の浮上を抑制することができる。また、埋設されたジオテキスタイルの溝幅方向側面には支持壁材が配置されているので、ジオテキスタイルの溝幅方向側面が変形されることなく保持され、ジオテキスタイルに囲まれた埋め戻し材の剛性が確実に確保され、設計通りのアンカー機能を得ることができる。さらに、ジオテキスタイルを溝側壁まで伸ばす必要がないので、大きな掘削断面を要する素堀施工の場合でも、浮上抵抗に打ち勝つ最小限の領域にジオテキスタイルを敷設するだけで済む。
【0008】
請求項2に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置する第2の工程と、地中構造物が配置された掘削溝に埋め戻し材を投入して、地中構造物の一部を埋め戻し材上に露出させる第3の工程と、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第4の工程と、地中構造物と埋め戻し材上面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第5の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第6の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第7の工程とを備えたものである。
【0009】
請求項2に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置する第2の工程と、地中構造物が配置された掘削溝に埋め戻し材を投入して、地中構造物の一部を埋め戻し材上に露出させる第3の工程と、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第4の工程と、地中構造物と埋め戻し材上面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第5の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第6の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第7の工程とを備えたことにより、地中構造物は配置後最初に埋め戻し材が投入され、一部が埋め戻し材に埋められるので、作業中に変位することがなく、確実に施工を行うことができる。
【0010】
請求項3に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、埋め戻し材を、配置された支持壁材まで投入しては、支持壁材上に他の支持壁材を積み上げてジオテキスタイルの余り部を引き上げ、積み上げと埋め戻しと余り部の引き上げを繰り返し、投入された埋め戻し材内に積み上げた支持壁材により支持壁を形成するとともに、所定の高さまで埋め戻し材を投入することを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、地中構造物と支持壁材との間に、埋め戻し材が所定の嵩を確保するように空隙を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、支持壁材は、地中構造物の溝幅方向両側に設けられることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、ジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせて埋め戻し材を投入した後、埋め戻し材が所定の高さに達すると、上記ジオテキスタイルの余り部を投入された埋め戻し材上に被せて接続し埋め戻し材を包むようにしたものである。
【0014】
請求項6に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、ジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせて埋め戻し材を投入した後、埋め戻し材が所定の高さに達すると、上記ジオテキスタイルの余り部を投入された埋め戻し材上に被せて接続し埋め戻し材を包むようにしたことにより、ジオテキスタイルで埋戻し材を包み込むことにより埋戻し材の剛性がより高まり、埋戻し材が地中構造物に対して果たすアンカー機能が向上する。このため、包み込む埋め戻し材の量を少なくすることができる。
【0015】
請求項7に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、掘削溝の壁面に土留め用矢板を設け、掘削溝を埋め戻す際、矢板を引き抜くようにしたものである。
【0016】
請求項7に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、掘削溝の壁面に土留め用矢板を設け、掘削溝を埋め戻す際、矢板を引き抜くようにしたことにより、掘削溝を掘削する場所が例え軟弱地盤であっても溝側壁が矢板により保護される。また、掘削溝を深く掘削しなければならない場所でも溝側壁が確実に保護される。
【0017】
請求項8に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、埋め戻し材を囲んだジオテキスタイルの外側には、溝掘削により生じた掘削土を用いることを特徴とするものである。
【0018】
請求項9に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、掘削溝底面に地盤材料を投入して支持地盤を形成し、この支持地盤上に地中構造物を配置することを特徴とするものである。
【0019】
請求項10に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、地盤材料に埋め戻し材を用いたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項11に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、ジオテキスタイルの余り部が、積み上げられる支持壁材の間に挟み込まれることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置するとともに、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第2の工程と、地中構造物と溝底面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第3の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第4の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第5の工程とを備えるようにしているので、埋設用の溝が矢板を有する掘削溝であっても素堀溝であっても溝の形式に関係なく、地中構造物を浅い位置に埋設することができる。このため、施工効率を向上させることができるとともに、施工コストを低減することができる。また、ジオテキスタイルで囲む埋め戻し材の領域や嵩を浮上抵抗に応じて必要最小限とすることができるので、購入する埋め戻し材の量を抑えることができ、コストダウンを図ることができる。さらに、ジオテキスタイルを溝側壁まで伸ばす必要がないので、大きな掘削断面を要する素堀施工の場合でも、浮上抵抗に打ち勝つ最小限の領域にジオテキスタイルを敷設するだけで済みコストダウンを図ることができるとともに施工効率が向上する。
【0022】
請求項2に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、地盤を掘削して掘削溝を形成する第1の工程と、掘削溝底面に地中構造物を配置する第2の工程と、地中構造物が配置された掘削溝に埋め戻し材を投入して、地中構造物の一部を埋め戻し材上に露出させる第3の工程と、地中構造物と掘削溝壁面との間のうち少なくともいずれか一方に、これら地中構造物と掘削溝壁面またはこの壁面に設けられた土留め用矢板のいずれか一方との間にそれぞれ空隙を確保して支持壁材を配置する第4の工程と、地中構造物と埋め戻し材上面と支持壁材の内側面とに沿ってジオテキスタイルを被せ、このジオテキスタイルの溝幅方向両端を余らせる第5の工程と、ジオテキスタイル両端余り部を埋め戻し材の投入に応じて伸ばす第6の工程と、埋め戻し材を投入し、ジオテキスタイルの両端を埋め込んで掘削溝を埋め戻す第7の工程とを備えるようにしているので、上記効果に加え、地中構造物は埋め戻し材の投入により、一部が埋め戻し材に埋められるので、作業中に地中構造物が変位することがなく、確実に施工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
素堀溝であっても、また、浅い溝であっても、確実に地中構造物の浮上抵抗を抑えるという目的を、地中構造物と溝側壁との間に支持壁材または抜き板を配置してジオテキスタイルを敷設し、埋め戻し材を投入し、投入された埋め戻し材が所定の高さに達するまで支持壁材を積み上げるか、抜き板を徐々に引き上げた後引き抜き、ジオテキスタイルで埋め戻し材を包むことにより実現した。
【実施例1】
【0024】
以下図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設した状態を示す断面図、図2の(A)ないし(E)、図3の(F)ないし(I)および図4の(J)ないし(M)はそれぞれ、この実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。本実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法について説明する。まず初めに、パイプライン(地中構造物)2を埋設する素堀溝(掘削溝)3は、埋設予定現場の地盤4(図2の(A)参照)に所定の溝幅を確保して、素堀により形成される(第1の工程、図2の(B)参照)。この素堀溝3は、素堀で形成されるため、両側壁は上方にゆくに従い拡開するよう傾斜して形成される。素堀溝3の底面5の地盤上には、砂や砕石などの支持力の高い地盤材料を投入して支持地盤Cが形成される。
【0025】
次に、図2の(D)および(E)に示すように、形成された支持地盤C上のほぼ中央にパイプライン2を配置し、パイプライン2と素堀溝3の壁面3A、3Bとの間に土嚢(支持壁材)6を配置する(第2の工程)。これら土嚢6とパイプライン2との間には、所定の空隙S1(図1参照)が設けられるようになっており、この空隙S1に投入される後述する埋め戻し材が浮上抵抗力を確保するのに必要な嵩(容量)を得られるようになっている。土嚢6と壁面3A、3Bとの間にも、空間S2が設けられる。
【0026】
次に、図3の(F)に示すように、ジオテキスタイル10の溝幅方向両端を余らせるようにしてパイプライン2と支持地盤Cと土嚢6の内側面とに沿ってジオテキスタイル10を被せる(第3の工程)。ジオテキスタイル10は、いくつかの長片からなり、非透水性のシート材等、あるいは透水性の編物、麻布等で構成される。本実施例では、麻布を用いている。ジオテキスタイル10は、中央部10Aがパイプライン2の管頂部を覆うようにして被せられ、そのまま管底部側に向かって降ろされ、さらに、支持地盤C上面を通り、続いて土嚢6の内側面に沿って立ち上げられ、巻き回された両端の余り部10B、10Cが土嚢6の上面に載せられるか、上方で図示しない保持手段により保持されるようになっている。このように、ジオテキスタイル10は、パイプライン2の露出部をほぼ覆い、パイプライン2と土嚢6との間の支持地盤C上面に敷かれるとともに、土嚢6のパイプライン2側に向く面に沿って立ち上げられ、両端余り部10B、10Cは、素堀溝3の両側壁3A、3Bに達することなく、土嚢6上に載せられるようになっている。
【0027】
次に、図3の(G)に示すように、パイプライン2と土嚢6との間の、支持地盤C上面に敷かれたジオテキスタイル10上と、土嚢6と素堀溝両側壁3A、3Bとの間とに、埋め戻し材7を投入する。埋め戻し材7は、土嚢6の上面に達するまで投入される(第4の工程)。埋め戻し材7は素堀により発生した掘削土でもよいし、改良土でもよい。埋め戻し材7は、ジオテキスタイル10により包み込まれた際、アンカー機能を果たす剛性を発揮する材料であれば良く、土砂だけでなく、砂、礫、砂利あるいはこれらの混合材であってもよい。
【0028】
次に、図3の(H)に示すように、埋め戻し材7に溝幅方向両側が埋められた各土嚢6A、6Aの上に別の土嚢6B、6Bを積み上げ、ジオテキスタイルの両端余り部10B、10Cを積み上げられた土嚢6B、6B上に載せる。そして、再び、パイプライン2と積み重ねられた土嚢6B、6Bとの間の、向き合うジオテキスタイル10間と、積み重ねられた土嚢6B、6Bと素堀溝両側壁3A、3Bとの間とに、埋め戻し材7を新たに積み上げられた各土嚢6B、6Bの上面に達するまで投入する(図3の(I)参照)。このようにして、土嚢6A、6B・・・6Nの積み重ねと、埋め戻し材7の投入を繰り返し、図4の(J)に示すように、土嚢6A、6B・・・6Nの積み重ねと埋め戻し材7の投入は、埋め戻し材7がパイプライン2のアンカー機能を発揮する高さL1に達するまで行われる。本実施例では、土嚢を5個積み上げ、高さL1はパイプライン2の上方に達している。こうして、ジオテキスタイルの10の溝幅方向外側には、土嚢6A、6B・・・6Nの積み重ねにより支持壁6A-6Nが形成される。次に、図4の(K)に示すように、ジオテキスタイル10の両端余り部10B、10Cを回し開いて伸ばした後、両者10B、10Cを接続し、ジオテキスタイル10で囲まれた埋め戻し材7を包み込む(第5の工程)。このジオテキスタイルの10の接続により、埋め戻し材7はアンカー機能を果たすことになる。また、ジオテキスタイル10は、土嚢6A、6B・・・6Nが積み上げられるごとに、土嚢6A、6B・・・6Nの内側面に沿って余り部10B、10Cが上方に引き上げられるので、パイプライン10の長手方向に沿った面が崩れることなく、確実に保持される。なお、土嚢6A、6B・・・6Nの積み重ねと、埋め戻し材7の投入は、土嚢を1つ積み重ねるごとに行ってもよいし、複数の土嚢を積み重ねて、複数の土嚢分の高さに埋め戻し材を投入してもよい。
【0029】
次に、図4の(L)、(M)に示すように、ジオテキスタイル10の上面に達する位置まで土嚢6N、6Nの積み上げが完了し、これら土嚢6N、6Nと両端が接続されたジオテキスタイル10との上に、埋め戻し材7が埋め戻され、素堀溝3は埋め戻しが完了する(第6の工程)。
【0030】
上記実施例では、ジオテキスタイルを麻布で構成しているがこれに限られるものではなく、この工法に用いられるジオテキスタイルは、織布、不織布および編物、あるいはジオグリッド、ジオネットおよびメンブレンなどジオテキスタイル関連製品を含むものと定義される。例えば、種類として、ジオウォーブン(織物、織布、geowoven, woven geotextile)、ジオノンウォーブン(不織布、geononwoven, nonwoven geotextile)、ジオニット(緬物、geoknitted, knitted geotextile)、ジオグリッド(geogrid)、ジオネット(geonet)、ジオテキスタイル関連製品(geotextile-related product)、ジオコンポジット(複合製品、geocomposite)等がある。ジオウォーブンとは、縦糸と横糸を用いて織った織物で、土木などの用途に使用される製品である。ジオノンウォーブンとは、規則的または不規則的に配列した繊維を製織せずに機械的、化学的または熱的方法によって結合した不織布で、土木などの用途に使用される製品である。繊維の長さにより長い繊維と短繊維のものに大別できる。ジオユニットとは、連続した糸、繊維などによって緬目で構成した編物で、土木などの用途に使用される製品である。ジオグリッドとは、引張抵抗性のある構成要素が連結した規則的な格子構造からなるシート状のもので、主に高分子材料からなる製品である。ジオネットとは、開口部が構成要素の占める面積より大きい網目構造を持つシート状のもので、土木などの用途に使用される高分子材料の製品である。交点部は結節あるいは一体となっており、一般のジオウォーブン、ジオニットとは区別されている。ジオテキスタイル関連製品とは、狭義のジオテキスタイル、ジオグリッドおよびジオネット以外で、シート状または帯状の高分子材料からなる土木用途に使用される製品である。ジオコンポジットとは、狭義のジオテキスタイル、ジオグリッド、ジオネットなどを任意に組み合わせて一体とした複合製品である。単一製品の長所をお互い組み合わせて必要な機能を発揮させるため複合されている。
【0031】
次に、上記第1の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法の作用について説明する。まず、第1の工程で、地盤4を掘削して素堀溝3を形成し、この第1の工程後、第2の工程で、素堀溝3の底面5に地盤材料を投入して支持地盤Cを形成する。そして、支持地盤C上にパイプライン2を配置するとともに、このパイプライン2と素堀溝壁面3A、3Bとの間に土嚢6を配置する。これら土嚢6とパイプライン2との間には、埋め戻し材7が浮上抵抗力を確保するのに必要な嵩を得られるように、所定の空隙S1(図1参照)が設けられる。次に、第2の工程後、第3の工程で、長片のジオテキスタイル10の溝幅方向両端を余らせるようにしてパイプライン2と支持地盤Cと土嚢6の内側面とに沿ってジオテキスタイル10を被せる。ジオテキスタイル10は、パイプライン2の露出部をほぼ覆い、パイプライン2と土嚢6との間の支持地盤C上面に敷かれるとともに、土嚢6のパイプライン2側に向く面に沿って立ち上げられ、両端余り部10B、10Cは、素堀溝3の両側壁3A、3Bに達することなく、土嚢10上に載せられるようになっている。次に、第3の工程後、第4の工程で、パイプライン2と土嚢6との間の、支持地盤C上面に敷かれたジオテキスタイル10上と、土嚢6と素堀溝両側壁3A、3Bとの間とに、埋め戻し材7を投入する。埋め戻し材7は、土嚢6の上面に達するまで投入される。土嚢6の積み上げと埋め戻し材7の投入を繰り返し、埋め戻し材7がパイプライン2のアンカー機能を発揮する高さL1まで達すると、土嚢6の積み重ねは終了する。積み重ねられた土嚢6A、6B・・・6Nにより支持壁6A-6Nが形成される。次に、第4の工程後、第5の工程で、ジオテキスタイル10の両端余り部10B、10Cを開いて接続し、ジオテキスタイル10で囲まれた埋め戻し材7を包み込む。このジオテキスタイルの10の接続により、埋め戻し材7はアンカー機能を果たすことになる。次に、この第5の工程後、第6の工程で、積み重ねが完了した土嚢6N、6Nと両端が接続されたジオテキスタイル10との上に、埋め戻し材7が埋め戻され、素堀溝3は埋め戻しが完了する。
【0032】
このように、第1の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、ジオテキスタイル10で埋戻し材7を包み込むことにより埋戻し材7の剛性が高まり、埋戻し材7がパイプライン10に対してアンカー機能を果たすので、ジオテキスタイル10上側に投入される土被りとしての埋め戻し材7層の厚みを薄くすることができる。このため、浅い素堀溝3でも確実にパイプライン10等の地中構造物の浮上を抑制することができる。また、埋設されたジオテキスタイル10の溝幅方向側面には支持壁材6A-6Nが配置されているので、ジオテキスタイル10の溝幅方向側面が変形されることなく保持され、ジオテキスタイル10に包まれた埋め戻し材7の剛性が確実に確保され、設計通りのアンカー機能を得ることができる。ジオテキスタイル10に包み込まれる埋戻し材7は砂より砕石が好ましく、より浮上抵抗力を増大させる。さらに、埋戻し材7にソイルセメントや流動化処理土を用いると、ジオテキスタイル10と一体化しより浮上抵抗力を増大させる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法について説明する。図5は、上記第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設した状態を示す断面図、図6の(A)ないし(E)、図7の(F)ないし(I)および図8の(J)ないし(M)はそれぞれ、この実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。この第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、上記第1の実施例が、ジオテキスタイル10に包み込まれる埋め戻し材7をアンカー機能を果たす高さL1まで投入する際、土嚢6の積み重ねと埋め戻し材7の投入とを繰り返すようにしているのに対し、土嚢6に代えて抜き板9を用いる点が異なる他はほぼ同じ構成を有している。すなわち、まず初めに、パイプライン2を埋設する素堀溝3が、埋設予定現場の地盤4(図6(A)参照)に形成される(第1の工程、図6の(B)参照)。素堀溝3の底面5の地盤上には、砂や砕石などの支持力の高い地盤材料を投入して支持地盤Cが形成される(図6の(C)参照)。
【0034】
次に、図6の(D)および(E)に示すように、支持地盤C上のほぼ中央にパイプライン2を配置し、パイプライン2と素堀溝3の壁面3A、3Bとの間に抜き板9を配置する(第2の工程)。抜き板9は長方形状に形成された一枚板でパイプライン2に沿って支持地盤C上に引き抜き可能に立てられる。これら抜き板9とパイプライン2との間には、上記第1の実施例と同様に、所定の空隙S1(図5参照)が設けられる。この空隙S1には埋め戻し材7が投入され、パイプライン2に対する浮上抵抗力を確保するようになっている。抜き板9と壁面3A、3Bとの間にも、空間が設けられる。
【0035】
次に、図7の(F)に示すように、ジオテキスタイル10の溝幅方向両端を余らせるようにしてパイプライン2と支持地盤Cと抜き板9の内側面とに沿ってジオテキスタイル10を被せる(第3の工程)。ジオテキスタイル10は、中央部10Aがパイプライン2の管頂部を覆うようにして被せられ、そのまま管底部側に向かって降ろされ、さらに、支持地盤C上面を通り、続いて抜き板9の内側面に沿って立ち上げられ、巻き回された両端の余り部10B、10Cが抜き板9の上面に載せられるか、上方で図示しない保持手段により保持されるようになっている。このように、ジオテキスタイル10は、パイプライン2の露出部をほぼ覆い、パイプライン2と抜き板9との間の支持地盤C上面に敷かれるとともに、抜き板9のパイプライン2側に向く面に沿って立ち上げられ、両端余り部10B、10Cは、素堀溝3の両側壁3A、3Bに達することなく、抜き板9上に載せられるようになっている。
【0036】
次に、図7の(G)に示すように、パイプライン2と抜き板9との間の、支持地盤C上面に敷かれたジオテキスタイル10上と、抜き板9と素堀溝両側壁3A、3Bとの間とに、埋め戻し材7を投入する。埋め戻し材7は、抜き板9の上部が露出する位置まで投入される。次に、図7の(H)に示すように、抜き板9の一方をL2分の高さ引き上げ、立ったまま下部が埋め戻し材7に埋まった状態となるようにする。次に、他方の抜き板9も同様にL2分引き上げ、立った状態に保持する。抜き板9の引き抜きは、抜き板9の引き抜き抵抗に応じてマンパワーで行ってもよいし器具を用いて行ってもよい。両方の抜き板9、9が引き上げられると、再び、埋め戻し材7を投入する(図7の(I)参照)。埋め戻し材7は、抜き板9の上部が露出する位置まで投入される。こうして、抜き板9、9の引き上げと、埋め戻し材7の投入を繰り返し、図8の(J)に示すように、埋め戻し材7がパイプライン2のアンカー機能を発揮する高さL1に達するまで行われる(第4の工程)。そして、埋め戻し材7が高さL1に達すると、図8の(K)に示すように、ジオテキスタイル10の両端余り部10B、10Cを回し開いて接続し、ジオテキスタイル10で囲まれた埋め戻し材7を包み込む(第5の工程)。
【0037】
次に、図8の(L)に示すように、ジオテキスタイル10の溝幅方向両面に接した抜き板9を上方に引き抜く(第6の工程)。これら第5の工程および第6の工程は順序が逆でもよい。次に、抜き板9が引き抜かれ、ジオテキスタイル10が接続された素堀溝3に埋め戻し材7が埋め戻され、素堀溝3は埋め戻しが完了する(第7の工程)。
【0038】
次に、第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法の作用について説明する。第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、第1の工程で地盤4を掘削して素堀溝3を形成し、この第1の工程後、素堀溝5の底面5に形成された支持地盤Cにパイプライン2を配置するとともに、パイプライン2と素堀溝壁面3A、3Bとの間に抜き板9を立設し、第2の工程後、第3の工程で、パイプライン2と支持地盤Cと抜き板9の内側面とに沿ってジオテキスタイル10を被せ、このジオテキスタイル10の両端を余らせ、第3の工程後、第4の工程で、埋め戻し材7を投入して抜き板9を上方に引き上げ、次に、第5の工程で、投入される埋め戻し材7が所定の高さL1に達すると、上記ジオテキスタイル10の余り部10A、10Bを埋め戻し材7上に被せて接続し埋め戻し材を包み、第6の工程で、抜き板9を引き抜き、第7の工程で、抜き板9が引き抜かれジオテキスタイル10が接続された素堀溝3に、埋め戻し材7を投入し、素堀溝3を埋め戻すようにしている。このため、第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、ジオテキスタイル10で埋戻し材7を包み込むことにより埋戻し材7の剛性が高まり、埋戻し材7が地中構造物としてのパイプライン2に対してアンカー機能を果たすので、ジオテキスタイル10の上側に投入される土被りとしての埋め戻し材層の厚みを薄くすることができる。従って、浅い素堀溝でも確実に地中構造物の浮上を抑制することができる。また、抜き板9を引き上げながら埋め戻し材7を投入することができるので、溝幅が短く深い掘削溝でも確実にジオテキスタイル10により埋め戻し材7を包み込むことができる。さらに、埋設されたジオテキスタイル10の溝幅方向側面には抜き板9が配置され、埋め戻し材7の投入量の増大に応じて抜き板9が引き抜かれるので、ジオテキスタイル10の溝幅方向側面が変形されることなく平面状に保持され、ジオテキスタイル10に包まれた埋め戻し材7の剛性が確実に確保され、設計通りのアンカー機能を得ることができる。また、抜き板9を引き抜いて素堀溝を埋め戻すようにしているので、埋め戻された溝には、抜き板9や土嚢6など他の部材を埋め殺しする必要がなくなる。
【0039】
図9の(A)ないし(F)は、第2の実施例の変形例を示すもので、上記第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、素堀溝3のほぼ中央に1本のパイプライン2を配置しているのに対し、支持地盤C上に複数のパイプライン2A、2Bを所定の間隙を隔てて横に並べて配置し、埋め戻し材7Aを所定の高さL3(この変形例の場合、パイプライン2A、2Bのほぼ半分の高さ)まで投入して抜き板9を用いる点が異なる他はほぼ同じ構成を備えている。
【実施例3】
【0040】
次に、本発明の第3の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法について説明する。図10の(A)ないし(D)は、第3の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。この第3の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、上記第1および第2の実施例が、パイプライン2と素堀溝3の側壁3A、3Bとの間に、土嚢6や抜き板9を介在させて、ジオテキスタイル10に埋め戻し材7を包み込むようにしているのに対し、土嚢6や抜き板9等の介在物を介在させず、長片のジオテキスタイル10を敷設する際、両端余り部10B、10Cを素堀溝3の側壁3A、3Bまで伸ばし広げ、被せられたジオテキスタイル10上に埋め戻し材7を投入し、埋め戻し材7がアンカー機能を果たす所定の高さL1に達すると、ジオテキスタイル10の両端を接続し、埋め戻し材7を包み込むようにした点が異なる他はほぼ同じ構成を有している。
【0041】
すなわち、まず初めに、第1の工程で、地盤4を掘削して素堀溝3を形成し、第2の工程で、素堀溝3の底面5に支持地盤Cを形成し、パイプライン2A、2Bを横に並べて配置する。次に、第3の工程で、埋め戻し材7Aを所定の高さL3まで投入して、パイプライン2A、2Bの上部を埋め戻し材7A上に露出させる。次に、第4の工程で、パイプライン2A、2Bと埋め戻し材7A上面と素堀溝壁面3A、3Bとに沿ってジオテキスタイル10を被せ、このジオテキスタイル10の両端の余り部10A、10Bを壁面3A、3B上に配置する。第5の工程で、埋め戻し材7を投入し、投入量の増大に応じてジオテキスタイル10の両端の余り部10A、10Bを壁面3A、3Bに沿って敷き伸ばし、埋め戻し材7が所定の高さL1に達すると、ジオテキスタイル10の余り部10B、10Cを投入された埋め戻し材7上に被せて接続し埋め戻し材7を包み込む。次に、第6の工程で、埋め戻し材7を投入し、素堀溝3を埋め戻すようになっている。
【0042】
このように、第3の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、ジオテキスタイル10で埋戻し材7を包み込むことにより埋戻し材7の剛性が高まり、埋戻し材7が地中構造物としてのパイプライン2A、2Bに対してアンカー機能を果たすので、ジオテキスタイル10上側に投入される土被りとしての埋め戻し材層の厚みを薄くすることができ、浅い素堀溝でも確実に地中構造物の浮上を抑制することができることに加え、介在物を用いることなく、埋め戻し材7が所定の高さL1に達すると、ジオテキスタイル10を接続しさえすれば埋め戻すことができるので施工効率が向上する。このため、浅い素堀溝に複数の地中構造物を埋設する場合に有効である。なお、第3の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、パイプライン2A、2Bの配置前に、第2の工程で、素堀溝3の底面5に支持地盤Cを形成するようにしているがこれに限られるものではなく、素堀溝3の底面5に直接パイプライン2A、2Bを配置するようにしてもよい。また、第3の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、パイプライン2A、2Bの配置後、第3の工程で埋め戻し材7Aを所定の高さL3まで投入して、パイプライン2A、2Bの上部を埋め戻し材7A上に露出させるようにしているが、これに限られるものではなく、パイプライン2A、2Bの配置後、埋め戻し材7Aを投入することなく、ジオテキスタイル10を被せるようにしてもよい。
【実施例4】
【0043】
次に、本発明の第4の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法について説明する。図11の(A)、(B)はそれぞれ、第4の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設した状態を示す断面図および要部を拡大して示す断面図である。この第4の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法は、上記第1ないし第3の各実施例が、掘削溝を、掘削しただけで土留めを行っていない素堀溝3としているのに対し、軟弱地盤対策として、掘削溝53の両側壁53A、53Bに土留め用の矢板20、20を設けた点と、ジオテキスタイル11を、溝幅方向が短寸の長片から構成するとともに、このジオテキスタイル11の両端余り部11B、11Cを接続することなく、埋め戻し材7に埋め込んでいる点との2点が異なる他は、ほぼ同じ構成を有している。ジオテキスタイル11は、パイプライン2の両側で埋め戻し材7を囲むことにより埋戻し材の剛性が高まり、埋戻し材7がパイプライン2に対してアンカー機能を果たすようになっている。しかも、ジオテキスタイル11の、土嚢6のパイプライン2側の面に沿って上方に立ち上がる立ち上がり部11D、11Eは複数の土嚢6を積み上げて形成された支持壁に接しているので、埋戻し材7の剛性がより高まる。
【0044】
このように、第4の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、ジオテキスタイル11の両端11B、11Cを例え接続しなくとも、ジオテキスタイル11で埋戻し材7を囲むことにより、埋戻し材7の剛性が高まり、埋戻し材7がパイプライン2に対してアンカー機能を果たすので、ジオテキスタイル11上側に投入される土被りとしての埋め戻し材層の厚みを薄くすることができ、浅い素堀溝でも確実に地中構造物の浮上を抑制することができる。
【実施例5】
【0045】
図12の(A)、(B)はそれぞれ、第4の実施例の第1の変形例を示すもので、上記第4の実施例では、ジオテキスタイル11の立ち上がり部11D、11Eが、土嚢6の支持壁内面に沿ってほぼ垂直に立ち上がるよう構成されているのに対し、この第4の実施例の第1の変形例に係るジオテキスタイル12は、土嚢6を積み上げて形成された支持壁に沿って立ち上がり部12D、12Eが立ち上がるとともに、両端12B、12Cがパイプライン2側に折れて、埋め戻し材7の上面に載せられる点が異なる他は、第4の実施例とほぼ同様の構成を備えている。このように、第4の実施例の第1の変形例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、ジオテキスタイル12の両端12B、12Cを例え接続しなくとも、ジオテキスタイル12で埋戻し材7を囲むことにより、埋戻し材7の剛性が高まり、埋戻し材7がパイプライン2に対してアンカー機能を果たすようになっている。
【実施例6】
【0046】
図13は、第4の実施例の第2の変形例を示すもので、上記第4の実施例では、ジオテキスタイル11の立ち上がり部11D、11Eが、土嚢6の支持壁内面に沿ってほぼ垂直に立ち上がるよう構成されているのに対し、この第4の実施例の第2の変形例に係るジオテキスタイル13は、土嚢6を積み上げて形成された支持壁に沿って立ち上がり部13D、13Eが立ち上がるとともに、両端13B、13Cが積み上げられた土嚢6のうち上側の土嚢6U、6Uの下面に挟み込まれるようにしている点が異なる他は、第4の実施例とほぼ同様の構成を備えている。このように、第4の実施例の第2の変形例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法では、ジオテキスタイル13の両端13B、13Cを例え接続しなくとも、ジオテキスタイル13で埋戻し材7を囲むことにより、埋戻し材7の剛性が高まり、埋戻し材7がパイプライン2に対してアンカー機能を果たすようになっている。
【実施例7】
【0049】
なお、上記各実施例では、素堀溝3の底面5上に砂や砕石などの支持力の高い地盤材料を投入して支持地盤Cを形成するようにしているがこれに限られるものではなく、底面5上に直接、地中構造物を配置するようにしてもよい。こうすることにより、例えば、素堀溝3の底面5が強固な地盤の場合、支持地盤を形成しなくても地中構造物が確実に支持され変形等の虞がないので、コストダウンを図ることができる。さらに、地盤材料に代えて埋め戻し材または掘削により発生した掘削土を投入し、この埋め戻し材または掘削土の上に地中構造物を配置するようにしてもよい。また、上記第1および第2の実施例では、支持地盤上にパイプラインを配置しているが、これに限られるものではなく、支持地盤上に埋め戻し材または掘削土を投入し、埋め戻し材または掘削土上にパイプラインを配置するようにしてもよいし、支持地盤上にパイプラインを配置した後、埋め戻し材または掘削土を投入し、パイプラインの上部または一部を露出させてジオテキスタイルを被せるようにしてもよい。さらに、上記第1および第2の実施例では、埋め戻し材が包み込まれるジオテキスタイルの外側にも埋め戻し材を投入するようにしているがこれに限られるものではなく、包み込んだジオテキスタイルの外側には、すなわち、土嚢や抜き板と素堀溝側壁との間に、掘削により発生した掘削土を投入するようにしてもよい。掘削土を投入することにより、掘削残土の量を減らすことができる。また、上記第1の実施例および第2の実施例では、地中構造物の溝幅方向両側に、地中構造物の長手方向に沿って土嚢や抜き板を配置しているがこれに限られるものではなく、片側のみに配置するようにしてもよい。その場合、他方は第3の実施例に示すように、ジオテキスタイルを素堀溝の側壁に沿って敷設すればよい。さらに、上記各実施例では、地中構造物の例としてパイプライン2について述べているが、これに限られものではなく、水路、マンホールなどの地中に埋設される構造物であればよいことはいうまでもない。また、上記第1の実施例では、土嚢6の積み上げと埋め戻し材7の投入を繰り返し、複数の土嚢6を積み上げて支持壁を形成し、埋め戻し材がアンカー機能を発揮する所定の高さに達するまで投入されるようになっているがこれに限られるものではなく、浅い素堀溝であって、地中構造物の高さ寸法が短く、単数の土嚢(支持壁材)の高さまで埋め戻し材を投入してアンカー機能を発揮するのであれば、複数の土嚢6を積み上げる必要がないことはいうまでもない。さらに、上記第1の実施例では、支持壁材として土嚢6を用いているがこれに限られるものではなく、積み上げて支持壁を形成するものであれば良く、ブロックや板材であってもよいことはいうまでもない。また、埋め戻し材は、掘削により発生した掘削土や改良土に限られるものではなく、セメント等による流動化処理土、高分子材料などによる人工材料を用いてもよいし、これらを組み合わせて埋め戻し材としてもよい。さらに、土嚢6の内部またはジオテキスタイル10~14で囲まれる空間には、掘削により発生する発生土を入れてよいし、改良土や砂利などを入れるようにしてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設するした状態を示す断面である。(実施例1)
【図2】(A)ないし(E)はそれぞれ、第1の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。
【図3】(F)ないし(I)はそれぞれ、第1の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。
【図4】(J)ないし(M)はそれぞれ、第1の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設するした状態を示す断面である。(実施例2)
【図6】(A)ないし(E)はそれぞれ、第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。
【図7】(F)ないし(I)はそれぞれ、第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。
【図8】(J)ないし(M)はそれぞれ、第2の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。
【図9】(A)ないし(F)は、第2の実施例の変形例を示すジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。
【図10】(A)ないし(D)はそれぞれ、第3の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設する工程を順を追って示す説明図である。(実施例3)
【図11】(A)、(B)はそれぞれ、第4の実施例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設した状態を示す断面図および要部を拡大して示す断面図である。(実施例4)
【図12】(A)、(B)はそれぞれ、第4の実施例の第1の変形例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設した状態を示す断面図および要部を拡大して示す断面図である。(実施例5)
【図13】第4の実施例の第2の変形例に係るジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法により地中構造物を地中に埋設した状態を示す要部を拡大して示す断面図である。(実施例6)
【符号の説明】
【0051】
3 素堀溝
3A、3B 素堀溝壁面
4 地盤
5 素堀溝底面
6 土嚢(支持壁材)
7 埋め戻し材
10 ジオテキスタイル
10B、10C 余り部
L1 所定の高さ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12