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明細書 :ナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5361011号 (P5361011)
公開番号 特開2012-004547 (P2012-004547A)
登録日 平成25年9月13日(2013.9.13)
発行日 平成25年12月4日(2013.12.4)
公開日 平成24年1月5日(2012.1.5)
発明の名称または考案の名称 ナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法
国際特許分類 H05K   3/20        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
B29C  59/02        (2006.01)
C23C  24/08        (2006.01)
FI H05K 3/20 ZNMC
H01L 21/30 502D
B29C 59/02 Z
C23C 24/08 B
C23C 24/08 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 20
出願番号 特願2011-107268 (P2011-107268)
出願日 平成23年5月12日(2011.5.12)
優先権出願番号 2010114877
優先日 平成22年5月19日(2010.5.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年12月12日(2011.12.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】伊東 栄次
審査官 【審査官】中田 誠二郎
参考文献・文献 特開2009-140790(JP,A)
特開2009-049136(JP,A)
特開2009-062523(JP,A)
特開2005-097003(JP,A)
特開2002-100852(JP,A)
特表2007-529884(JP,A)
特開2009-170447(JP,A)
調査した分野 H05K 3/20
B29C 59/02
C23C 24/08
H01L 21/027
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)導体パターンに合わせて凹凸パターンが形成された、スタンパーのスタンプ面にーボンナノチューブあるいはグラフェンを含むナノカーボン分散液を供給する工程と、
(b)ナノカーボン分散液が供給されたスタンプ面にナノメタルインクを供給し、前記スタンパーに供給されたカーボンナノチューブあるいはグラフェンの間にナノメタルインクを浸み込ませる工程と、
(c)スタンパーのスタンプ面と被転写体の被転写面とを対向させてスタンパーと転写基板とを重ね合わせ、厚さ方向に挟圧して、スタンパーから被転写体にカーボンナノチューブあるいはグラフェンとともにナノメタルインクを転写する工程
とを備えることを特徴とするナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法。
【請求項2】
(a)導体パターンに合わせて凹凸パターンが形成された、スタンパーのスタンプ面にーボンナノチューブあるいはグラフェンを含むナノカーボン分散液を供給する工程と、
(b)ナノカーボン分散液が供給されたスタンプ面にナノメタルインクを供給し、前記スタンパーに供給されたカーボンナノチューブあるいはグラフェンの間にナノメタルインクを浸み込ませる工程と、
(e)ナノメタルインクが供給されたスタンプ面に、接着機能層を形成する工程と、
(f)スタンパーのスタンプ面と被転写体の被転写面とを対向させてスタンパーと被転写体とを重ね合わせ、厚さ方向に挟圧して、スタンパーから被転写体に前記接着機能層を介してカーボンナノチューブあるいはグラフェンとともにナノメタルインクを転写する工程とを備えることを特徴とするナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法。
【請求項3】
前記(c)工程においては、前記スタンパーと被転写体とを加熱しながら加圧することを特徴とする請求項1記載のナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法。
【請求項4】
前記(c)工程の次工程として、
(d)被転写体に転写されたナノメタルインクを焼成する工程
を備えることを特徴とする請求項1または3記載の導体パターンの形成方法。
【請求項5】
前記(c)工程においては、前記スタンパーと被転写体とを加圧ローラにより加圧しながら移動させて転写することを特徴とする請求項1、3または4記載の導体パターンの形成方法。
【請求項6】
前記(f)工程においては、前記スタンパーと被転写体とを加熱しながら加圧することを特徴とする請求項2記載のナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法。
【請求項7】
前記(f)工程の次工程として、
(g)被転写体に転写されたナノメタルインクを焼成する工程
を備えることを特徴とする請求項2または6記載の導体パターンの形成方法。
【請求項8】
前記(f)工程においては、前記スタンパーと被転写体とを加圧ローラにより加圧しながら移動させて転写することを特徴とする請求項2、6または7記載の導体パターンの形成方法。
【請求項9】
スタンパーに形成された凸部と凹部の一方に、ナノカーボン分散液とナノメタルインクとが選択的に付着する処理が施されたスタンパーを使用することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項記載の導体パターンの形成方法。
【請求項10】
前記ナノメタルインクとして、銀ナノインクを使用することを特徴とする請求項1~のいずれか一項記載の導体パターンの形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本出願は、マイクロコンタクトプリンティング(μCP)法を利用し、ナノメタルインクを用いて導体パターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロコンタクトプリンティング(μCP)法は、凹凸パターンが形成されたスタンパーのスタンプ面にインクを供給し、被転写体の表面にスタンパーを押接してインクを転写する方法によって印刷する方法である。μCP法に用いるスタンパーは、ベース板上にきわめて微細な凹凸パターンを形成したマスター板から凹凸パターンを転写して形成される。μCP法に用いるスタンパーは、きわめて微細な凹凸パターンを備えており、導電性を有するインクを用いて印刷することにより、微細な導体パターンを形成することができる。
【0003】
μCP法によって形成されるパターンの分解能の限界は数十nmであり、オフセット印刷、凸版印刷(分解能:数10μm)、インクジェット法(分解能:数μm)とくらべて、μCP法はすぐれた分解能を有している。このような微細なパターンを形成するμCP法に使用する導電性インクには、微細な導電体であるカーボンナノチューブやナノメタルインク等のナノ材料を含むインクを使用することが検討されている。
このカーボンナノチューブを導電体として含むインクでは、μCP法によって確実に導体パターンが形成できるようにするために、カーボンナノチューブがインク液中に均一に分散すること、導電性インクが確実に転写されること、転写して形成した導体パターンが所要の導電性を備えていることが求められる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2010-80865号公報
【特許文献2】特開2006-131953号公報
【特許文献3】特開2009-62523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
μCP法に用いるスタンパーには、微細な凹凸パターンが形成されたマスター板からの転写性にすぐれ、安定性、耐熱性に富むことから、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等のシリコーンゴムあるいはシリコーンエラストマーが用いられている。
スタンパーを用いて導体パターンを転写する際には、スタンパーとインクとの濡れ性が問題となり、カーボンナノチューブを導電体として含むインクでは、カーボンナノチューブを均一に分散させるとともに、スタンパーとのなじみを良くするために分散剤を使用している。しかしながら、分散剤によってはスタンパーとのなじみが不十分でインクの転写が確実にできないという問題や、分散剤がスタンパーに浸透してスタンパーが膨潤してしまい、導体パターンが歪んでしまったり、パターンが滲むといった問題が生じる。
また、カーボンナノチューブを含むインクを使用した場合に、転写によって形成した導体パターンによって十分な導電性が得られないという問題もあった。
【0006】
本出願はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、導電性インクを使用してμCP法によって導体パターンを形成する際に、確実に導電性インクを転写することができ、かつ所用の導電性を備える導体パターンを形成することができるナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願に係るナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法は、(a)導体パターンに合わせて凹凸パターンが形成された、スタンパーのスタンプ面にカーボンナノチューブあるいはグラフェンを含むナノカーボン分散液を供給する工程と、(b)ナノカーボン分散液が供給されたスタンプ面にナノメタルインクを供給し、前記スタンパーに供給されたカーボンナノチューブあるいはグラフェンの間にナノメタルインクを浸み込ませる工程と、(c)スタンパーのスタンプ面と被転写体の被転写面とを対向させてスタンパーと転写基板とを重ね合わせ、厚さ方向に挟圧して、スタンパーから被転写体にカーボンナノチューブあるいはグラフェンとともにナノメタルインクを転写する工程とを備えることを特徴とする。なお、スタンパーから被転写体にナノメタルインクを転写した際には、ナノカーボン分散液に含まれているカーボンナノチューブあるいはグラフェンもナノメタルインクとともに転写される。ナノカーボン分散液は、ナノメタルインクをスタンパーのスタンプ面に被着させやすくするとともに、転写操作の際にスタンパーから剥離しやすくして転写性を向上させるように作用する。なお、本明細書においてナノカーボン分散液とは、カーボンナノチューブ分散液とグラフェン分散液を含む概念として用いている。
スタンパーに設ける凹凸パターンは、凸部のパターンを形成すべき導体パターンに合わせて形成する場合と、凹部を導体パターンに合わせて形成する場合とがある。
本明細書において、ナノメタルインクとは銀、銅、金等の金属の微粒体を含むインクの意であり、微粒体の大きさがナノサイズであるものに限られるものではなく、ナノメタルの形状や金属種、インクに用いられる分散剤等の組成が限定されるものではない。
【0008】
また、ナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法として、(a)導体パターンに合わせて凹凸パターンが形成された、スタンパーのスタンプ面にカーボンナノチューブあるいはグラフェンを含むナノカーボン分散液を供給する工程と、(b)ナノカーボン分散液が供給されたスタンプ面にナノメタルインクを供給し、前記スタンパーに供給されたカーボンナノチューブあるいはグラフェンの間にナノメタルインクを浸み込ませる工程と、(e)ナノメタルインクが供給されたスタンプ面に、接着機能層を形成する工程と、(f)スタンパーのスタンプ面と被転写体の被転写面とを対向させてスタンパーと被転写体とを重ね合わせ、厚さ方向に挟圧して、スタンパーから被転写体に前記接着機能層を介してカーボンナノチューブあるいはグラフェンとともにナノメタルインクを転写する工程とを備えることを特徴とする。
接着機能層は、ナノメタルインクと被転写体との接着性を向上させ、あるいはナノメタルインクを補強してナノメタルインクの転写性、安定性を向上させるものであり、樹脂系の接着剤の他に、自己組織化単分子膜等の表面処理剤、適宜メタル層を積層して形成することができる。
【0009】
前記スタンパーと被転写体とを挟圧して被転写体にナノメタルインクを転写する工程は、室温において行うこともできるし、加熱工程によって行うことにより、さらに転写性を向上させることができる。
被転写体にナノメタルインクを転写した後、ナノメタルインクを焼成して導体パターンとする。
【0010】
前記スタンパーと被転写体とを挟圧して被転写体にナノメタルインクを転写する工程においては、ラミネーターの貼り合わせ工程のように、前記スタンパーと被転写体とを加圧ローラにより加圧しながら移動させて転写することができる。この方法によれば、連続的な転写が可能であり、導体パターンを効率的に形成することが可能となる。
【0011】
前記スタンパーとしては、凸部と凹部の一方に、ナノカーボン分散液とナノメタルインクとが選択的に付着する処理が施されたスタンパーを使用する方法が、パターン印刷に不必要な箇所へ薬品を塗布する必要がないため比較的高額なナノインク材料の有効利用や洗浄工程(スタンパーのリサイクル工程)の削減、及び微細な導体パターンを確実に形成する上で有効である。
また、前記ナノメタルインクとして銀ナノインクを使用することにより、比較的低温で焼成して導体パターンを形成することができ、あわせて導電率にすぐれた導体パターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法によれば、ナノカーボン分散液が供給されたスタンプ面にナノメタルインクを供給する工程とすることにより、スタンパーから転写基板に確実にナノメタルインクを転写することができ、かつ所要の導電率を備える導体パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マスター板からスタンパーを形成する工程を示す図である。
【図2】スタンパーにカーボンナノチューブ分散液とナノメタルインクを供給して転写基板に転写する工程を示す図である。
【図3】カーボンナノチューブ分散液に用いる分散溶剤の相違によるPDMS膜への濡れ性を試験した結果を示す写真である。
【図4】PDMS膜上におけるナノメタルインクの濡れ性を試験した結果を示す写真である。
【図5】銀ナノメタルを転写した導体パターンを示す写真である。
【図6】転写基板としてガラス基板、ポリイミドフィルム、PENフィルムを用いた場合の導体パターンを示す写真である。
【図7】線幅を変えて導体パターンを形成した例を示す写真である。
【図8】加圧ローラを用いて転写する工程を示す図である。
【図9】加圧ローラを加熱して転写した場合の導体パターンを示す写真である。
【図10】室温でラミネート速度を変えた場合の導体パターンを示す写真である。
【図11】接着剤を用いるナノメタルインクの転写工程を示す図である。
【図12】接着剤を使用しない場合(a)と使用した場合(b)の導体パターンを示す写真である。
【図13】スタンパーを形成する他の方法を示す図である。
【図14】転写の実験に使用したスタンパーと、スタンパーにカーボンナノチューブ分散液とナノメタルインクを供給して転写した状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(スタンパーの形成工程)
はじめにμCP法において使用するスタンパーを形成する方法について説明する。
図1(a)は、スタンパーを形成するマスター板10である。マスター板10は、基板11の一方の面をポリイミド膜12によって被覆し、ポリイミド膜12の表面にフォトレジストからなる凸パターン13を形成したものである。基板11にはガラス板等の一定の保形性を有する基板が用いられ、凸パターン13は、例としてフォトリソグラフィー法によりフォトレジストをパターニングして形成される。凸パターン13は、スタンパーによって転写して形成する導体パターンにしたがってパターン形成されている。

【0015】
図1(b)は、マスター板10の表面にPDMS(ポリジメチルシロキサン)液14aをコーティングした状態を示す。PDMS液14aは凸パターン13が埋没する厚さに形成する。次いで、PDMS液14aをコーティングしたマスター板10の上方からガラス板15をマスター板10に押接し、PDMS液14aを加熱キュアする。図1(c)は、ガラス板15をマスター板10に押圧した状態でPDMS液14aを加熱しPDMS液14aを熱硬化させている状態(第1次の熱硬化工程)である。

【0016】
PDMS液14aが熱硬化した後、マスター板10を硬化後のPDMS膜14bから剥離し、再度加熱させる(第2次の熱硬化工程)。図1(d)がPDMS膜14bをマスター板10から剥離した状態である。こうして、ガラス板15の表面にPDMS膜14bが被着形成されたスタンパー16が得られる。スタンパー16に形成されている凸部16a(頂部面)が、スタンパー16によって転写する操作によってナノメタルインクが転写され、導体パターンが形成される部位である。

【0017】
(ナノメタルインクの転写工程)
次に、スタンパー16を用いてナノメタルインクを転写する工程について説明する。
図2(a)はμCP法において使用するスタンパー16の表面にIPA(イソプロパノール)を分散溶剤として使用したカーボンナノチューブ分散液20を供給した状態を示す(カーボンナノチューブ分散液をスタンプ面に供給する工程)。
本実施形態においては、5000rpm、30秒間スピンコートする方法によってカーボンナノチューブ分散液20を供給した。カーボンナノチューブ分散液をスタンパー16に供給する方法はスピンコート法に限らず、カーボンナノチューブ分散液にディップするといった方法も可能である。また、カーボンナノチューブの代わりにグラフェンの分散液を用いることも可能である。
スタンパー16にカーボンナノチューブ分散液20を供給した状態で、スタンパー16の凸部16aの頂部面と凹部16bの底面にカーボンナノチューブ分散液20が付着し、凸部16aの側面にはカーボンナノチューブ分散液20は付着しない状態になる(図2(a))。

【0018】
カーボンナノチューブの分散溶剤には、スタンパー16に用いるPDMS(ポリジメチルシロキサン)とのなじみのよい分散溶剤を使用するのがよい。本実施形態において、分散溶液としてIPAを使用しているのは、IPAがカーボンナノチューブの分散溶剤としてスタンパー16とのなじみがよく、かつスタンパー16中に浸透してスタンパー16を膨潤させたりするという問題がないからである。

【0019】
図3に、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の分散溶剤として水分散液を使用した場合、IPA分散液を使用した場合、トルエン分散液を使用した場合について、PDMSスタンパーとカーボンナノチューブの付着性について調べた結果を示す。
図3は、PDMSスタンパーにカーボンナノチューブ分散液をディップさせた後の、スタンパーの一つの凸部を拡大して示す。
図3(a)は、水分散液の場合であり、カーボンナノチューブ分散液はわずかに付着しているのみである。図3(b)はIPA分散液、図3(c)はトルエン分散液の場合であり、いずれも濡れ性は良好である。ただし、トルエン分散液を使用する場合は、トルエンが徐々にPDMSスタンパーに浸透していき、スタンパーが膨潤するという問題があり、ファインパターンの形成に使用するスタンパーとしては不適当である。ただし、耐薬品性に優れた材料をスタンパーに用いればトルエンを使用することも可能である。

【0020】
上記試験は、カーボンナノチューブ分散液とPDMSスタンパーとのなじみやすさ(濡れ性)をみたものであるが、PDMSスタンパーと濡れ性が良いカーボンナノチューブ分散液は、PDMSスタンパーの表面エネルギーと表面張力とが近いものが良いことがわかる。
PDMSの表面エネルギーは19.8(mJ/m2)である。これに対して、水の表面張力は、72.8(mJ/m2)、トルエン28.5(mJ/m2)、エタノール22.8(mJ/m2)、イソプロパノール21.8(mJ/m2)である。これらを比較すると、水分散液はPDMSの表面エネルギーから大きくずれており、PDMSスタンパーに濡れにくく、一方、トルエン、エタノール、イソプロパノールはPDMSの表面エネルギーに近い値を有し、PDMSスタンパーに濡れやすいことがわかる。とくに、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の分散液は、PDMSスタンパーを膨潤させたりすることがなく、カーボンナノチューブ分散液として好適に利用することができる。

【0021】
図2(b)は、カーボンナノチューブ分散液20を供給したスタンパー16にさらにナノメタルインク22を供給した状態を示す(ナノメタルインクをスタンパーに供給する工程)。 ナノメタルインクはスピンコート法、ディップ法等によって供給することができる。本実施形態においては、ナノメタルインクとして、銀のナノメタルインクを使用し、5000rpm、30秒間スピンコートする方法によってナノメタルインクを供給した。
図2(b)は、スタンパー16の凸部16aの頂部と凹部16bの表面に付着したカーボンナノチューブ分散液20の上層に、銀のナノメタルインク22が付着した状態を示す。、凸部16aの側面部分については、ナノメタルインク22が付着したとしてもわずかであり、転写時の加圧力等を調節することにより、転写に寄与しないようにすることができる。

【0022】
カーボンナノチューブ分散液20が供給されたスタンパー16にナノメタルインク22を供給することにより、ナノメタルインク22はカーボンナノチューブ分散液20中に分散しているカーボンナノチューブの間に浸み込むようにして供給される。
次いで、カーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22が供給されたスタンパー16から基板へ、カーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22を転写する工程へ進む。転写は、スタンパー16を基板(被転写体)に対して加圧及び加熱して行う。

【0023】
図2(c)は転写基板24(被転写体)にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22を転写している状態である。本実施形態においては、加圧力1MPa、加熱温度100℃の条件下において、1分間、加圧及び加熱して転写した(転写工程)。
図2(d)は、転写基板24にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22が転写された状態を示す。スタンパー16の凸部16aの平坦な頂部面に付着したカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22が転写基板24の表面に押接され、スタンパー16から転写基板24へ転写される。
なお、転写に使用する転写基板24にはガラス基板、ポリイミド基板、PENフィルム等が使用でき、材質がとくに限定されるものではない。

【0024】
転写後、ナノメタルインク22を焼成する熱処理を施して転写工程が完了する(ナノメタルインクを焼成する工程)。
熱処理工程は、ナノメタルインク22を焼成するための処理であり、150℃~230℃程度に加熱して行う。ナノメタルインクに使用するインクの種類によって焼成温度が設定されているから、その設定温度にしたがって熱処理すればよい。
熱処理工程を経て、転写基板24上にはカーボンナノチューブとナノメタルからなる導体パターン23が形成される(図2(d))。

【0025】
本実施形態においては、銀のナノメタルを使用したが、銀以外の銅、金といったナノメタルを使用することができる。また、ナノメタルインクは分散溶剤にナノメタルを分散させて用いるから、使用する分散溶剤によって焼成温度等が異なっている。また、ナノメタルインクに使用される金属の粒径や形状、密度等も様々であり、ナノメタルの粒径、密度等についても限定されるものではない。

【0026】
上述したように、本実施形態のナノメタルインクの転写方法においては、スタンパー16にまずカーボンナノチューブ分散液20を供給してスタンパー16のスタンプ面(転写基板24に押接される面)をカーボンナノチューブ分散液20によって被覆し、次いでスタンパー16のスタンプ面にナノメタルを供給して転写基板24に転写する。

【0027】
スタンパー16にカーボンナノチューブ分散液20を供給する作用としては、まず、カーボンナノチューブ分散液20とスタンパー16とのなじみ性(濡れ性)により、ナノメタルインクをスタンパー16のスタンプ面に確実に被着させる作用がある。スタンパー16の凸部16aの頂部に確実に(一様に)ナノメタルインクを被着できることから、スタンパー16の凸部16aのパターン(スタンプ面のパターン)にしたがって精度よく導体パターン23を形成することができる。

【0028】
また、他の作用として、カーボンナノチューブは本来、PDMS膜からなるスタンパー16とは剥離しやすい性質を有するから、スタンパー16から転写基板24への転写を確実にさせる作用がある。すなわち、スタンパー16を転写基板24に転写する際に、カーボンナノチューブ分散液を使用しない場合と比較して、加圧力を弱くしても確実に転写することができる。
このように、カーボンナノチューブ分散液20とスタンパー16とのなじみ性(濡れ性)と剥離性とを程よく調節することによって、ナノメタルインク22を転写基板24に容易、かつ確実に転写することができる。この作用は、炭素材料の表面エネルギーに由来するものであるため、表面エネルギーがカーボンナノチューブに近いグラフェンの分散液を用いても同様の作用を得ることが可能である。

【0029】
また、カーボンナノチューブ分散液20のみを転写基板24に転写して導体パターンを形成する方法とくらべて、本実施形態のようにカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを合わせて転写することによって、転写基板24に転写された導体パターン23の導電性を良好にすることができる。
カーボンナノチューブは導電性を有するからカーボンナノチューブ分散液20のみを転写して導体パターンを形成した場合も導電性が得られるが、カーボンナノチューブのみであっては十分な導電性は得られない。これに対して、カーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22を合わせて転写した場合は、ナノメタルインクがカーボンナノチューブの間に染み込むようにして転写され、パターン幅の全体にわたりナノメタルインク22とカーボンナノチューブがプリントされ、十分な導電性を有する導体パターンが得られる。

【0030】
(試験結果)
図4は、PDMS膜にカーボンナノチューブ分散液(分散溶剤イソプロパノール)を下地として塗布した場合と、塗布しない場合とで、ナノメタルインクの付着性がどうなるかを調べた結果を示す。図4(a)は、PDMS膜の右半部にのみカーボンナノチューブ分散液を塗布し、左半部についてはPDMS膜の表面を露出させたサンプルを示す。図4(b)は、このサンプルに銀のナノメタルインクをスピンコートした状態を示す。図4(b)に示すように、カーボンナノチューブ分散液を塗布したサンプルの右半部にはナノメタルインクが全面に均一に付着しているのに対して、サンプルの左半部についてはナノメタルインクが一様に付着せず、部分的にナノメタルインクが撥じかれたようになっている。

【0031】
図5は、スタンパーにカーボンナノチューブ分散液(分散溶剤イソプロパノール)を塗布し、さらにナノメタルインクを塗布してガラス基板に転写した導体パターンを拡大して示したものである。
図5(a)は、テトラデカン溶媒を使用する銀ナノインク(DOWAエレクトロニクス社製)を使用したもの、図5(b)は、トルエン溶媒を使用する銀ナノインクL-Ag1T(アルバックマテリアル社製)、図5(c)はトルエン溶媒を使用する銀ナノインクAg2T(アルバックマテリアル社製)、図5(d)はテトラデカン溶媒を使用する銀ナノインクNPS-J(ハリマ化成株式会社製)を使用したもの、図5(e)はデカノール溶媒を使用する銀ナノインクNPS(ハリマ化成株式会社製)を使用したものである。

【0032】
転写後の導体パターンを見ると、いずれも、カーボンナノチューブに銀が染み込むようにして積層されていることがわかる。
図5(a)、(c)、(d)、(e)に示すサンプルについて電気伝導率を測定したところ、表1の結果が得られた。
【表1】
JP0005361011B2_000002t.gif

【0033】
バルク銀の電気伝導率は6.14×107(S/m)であり、厚さ50nm程度の真空蒸着銀の実効的な電気伝導率が1×106(S/m) 以下であることを考慮すると、本実施形態の方法によって形成した導体パターンがすぐれた導電性を有していること、いいかえればカーボンナノチューブとナノメタルとの組み合わせによる導体パターンが導電性に優れることがわかる。本発明に係る導体パターンの形成方法は、ファインパターンに形成する配線パターンの形成方法として有効に利用することができる。

【0034】
図6は転写基板を変えた場合に、導体パターンがどのように形成されるかを調べた結果を示す。
図6(a)は、転写基板としてガラス基板を使用した場合、図6(b)はポリイミドフィルムを使用した場合、図6(c)は、PENフィルムを使用して上記方法によって導体パターンを形成した状態(拡大図)を示す。いずれの転写基板についても、導体パターンのにじみもなく、銀ナノインクが良好に転写されていることが確認された。なお、図6のパターン転写は、テトラデカンを溶媒とした銀ナノインクを用いた例であるが、図5の今回使用したいずれの銀ナノインクについても同様の結果が得られた。
図6(b)、(c)に示したポリイミドフィルムとPENフィルムを転写基板としたものは、基板を自由に湾曲させるように曲げることが可能であり、本方法は可撓性を有する素材に転写することによりフレキシブル配線基板の製造にも利用することができる。

【0035】
図7は、本方法によって高精細に導体パターンが形成できることを確認したものである。図7(a)はガラス基板上に、銀ナノインクを用いて導体パターンを形成した例であり、線幅を200μmとして導体パターンを形成した例である。図7(b)は、同じくガラス基板上に、銀ナノインクを500nmの線幅に転写した例である。

【0036】
(ラミネーターによる転写方法)
上述したナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法は、スタンパーを転写基板に押圧してナノメタルインクを簡単に転写することができるから、ラミネーターを用いて連続的にナノメタルインクを転写する方法を利用することも可能である。
図8はラミネーターを用いてスタンパーから転写基板24にナノメタルインクを転写する方法を説明的に示している。すなわち、スタンパー16のスタンプ面と転写基板24の被転写面とを対向させるようにして、スタンパー16と転写基板24とを重ね合わせ、スタンパー16と転写基板24を加圧ローラ30a、30bにより挟圧しながら加圧ローラ30a、30b間を通過させることによって転写する。

【0037】
図9は、加圧ローラ30a、30bを100℃に加熱し、ラミネーターの速度0.5cm/secとして転写した状態を示す。転写基板はPENフィルム、銀ナノインクはテトラデカン溶媒を使用した銀ナノインクである。
図10は、加圧ローラ30a、30bを加熱せず室温の状態で転写した例である。転写基板及び銀ナノインクは同一のものを使用した。図10(a)は、ラミネーターの速度が0.5cm/secの場合、図10(b)はラミネーターの速度が1.5cm/secの場合である。

【0038】
図10(a)と図10(b)とを比較すると、ラミネーターの速度を速く設定した場合であっても、速度を遅く設定した場合と遜色のない転写ができていることがわかる。また、図9に示す加圧ローラを加熱した場合と比較しても、転写性については大きな相違はみられない。すなわち、本方法のナノメタルインクの転写方法によれば、ラミネーターの速度や加圧条件等を適当に設定することによって、室温での転写が可能であり、ラミネーターを用いて連続的にナノメタルインクを転写することが可能となる。これによって、導体パターンを備える基板の量産等に有効に利用することが可能となる。

【0039】
(接着機能層を利用するナノメタルインクの転写工程)
前述したナノメタルインクの転写方法においては、カーボンナノチューブ分散液とナノメタルインクとを複合利用して転写基板に導体パターンを転写した。ナノメタルインクの転写性をさらに向上させる方法として、スタンパーにナノメタルインクを供給した後、スタンパーの表面に、転写基板との接着性を向上させる接着剤を供給し、接着機能層を利用して転写する方法がある。

【0040】
図11(a)は、スタンパー16にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを供給した状態(図2(b)の工程)であり、この工程に続いて、スタンパー16の表面に接着剤25を供給する(図11(b))。本実施形態においては、接着剤25としてCL-PVP (架橋したポリビニルフェノール)をスピンコートして供給した。
次いで、図2(c)に示した工程と同様に、スタンパー16を転写基板24に押圧し、転写基板24にナノメタルインク22を転写する。こうして、転写基板24上に、接着剤25を介してナノメタルインクとカーボンナノチューブが積層された導体パターン23が形成される。

【0041】
図12(a)は、スタンパーにカーボンナノチューブ分散液20とターピネオール溶媒を使用する銀ナノインクを供給してガラス基板に転写する方法、図12(b)は銀ナノインクの上にさらにCL-PVPを供給して転写する方法によって形成した導体パターンを拡大して示す。これらの図を比較すると、接着剤を供給して転写した場合の方がより均一に導体パターンが形成されていることがわかる。
このように、転写基板との接着性を向上させることができる接着剤を利用することによって、ナノメタルインクの転写性を向上させることが可能である。本実施形態においては、接着剤としてCL-PVPを使用したが、転写基板との接着性が向上できるものであれば、エポキシ系の樹脂や光硬化樹脂、自己組織化単分子膜からなる表面処理剤等の適宜接着材を使用することができる。

【0042】
また、上述した接着剤にかえて、転写されるナノメタルを補強してナノメタルと転写基板との接着性を向上させる金属層(ナノメタル)をナノメタル22に積層して形成することも有効である。すなわち、カーボンナノチューブ分散液20を供給した後、異種のナノメタルインクを複数層に積層する構造、あるいはナノメタルインクとメタル層とを積層する構造とすることも可能である。ナノメタルインク20に積層して形成する接着剤あるいはメタル層はナノメタルインクの転写性を向上させる接着機能層として作用する。

【0043】
(スタンパーの処理方法)
前述した実施形態においてはスタンパー16に形成する凸部16aのパターンを導体パターンに合わせて形成し、凸部16aに付着させたカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを転写基板24(被転写体)に転写して導体パターン23を形成した。前述した工程においては、スタンパー16の凸部と凹部の双方にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とが付着するから、スタンパー16に形成された凹凸パターンのうち、転写に寄与する凸部あるいは凹部の一方にのみカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22が付着させるようにすることができれば、導体パターンをより微細にかつ高精度に形成することが可能であるだけでなく、ナノインク材料の有効利用に効果的である。また、凹凸パターンの両方にインクがある場合は凸部のパターンを基材に転写した後、残った凹部のインクを取り除く必要があるが、一方にのみ付着させて、それを基材に移し取ってしまえば、残留インクの処理の必要が無く工程数も削減できる。

【0044】
図13は、スタンパー16の凹部16bに選択的にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを付着させる処理例を示す。この場合のスタンパー16は、凹部16bにカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを選択的に付着させて被転写体に転写するものであり、いわば凹版に相当する。
図13(a)は、凸部16aと凹部16bからなる凹凸パターンを備えるスタンパー16を示す(図1(d))。凹凸パターンのうち、凹部16bが転写によって形成する導体パターンにしたがってパターン形成されている。

【0045】
図13(b)は、スタンパー16のスタンプ面に保護材(PMMA樹脂等)を供給し、加圧面に弾性層40aを備える加圧板40によりスタンパー16の表面に向けて保護材を加圧している状態を示す。加圧板40の弾性層40aがスタンパー16の凹凸パターンにならって変形し、凹部16bに保護材が押入される。この状態で保護材の溶剤を乾燥させる、もしくは保護材の前駆体を加熱し、保護材を硬化させて保護膜28とする。
次いで、保護膜28によりスタンパー16の凹部16bを被覆した状態でUVオゾン処理あるいはプラズマエッチング等により、スタンパー16の凸部16aの表面を親水(油)化し、さらにフッ素処理により、凸部16aの表面を超撥水(油)化処理する。図13(c)は、凸部16aの表面16cを超撥水(油)処理している状態を示す。
次に、保護膜28を化学的に溶解除去することにより、凸部16aの表面が超撥水(油)処理されたスタンパー16が得られる(図13(d))。

【0046】
図13(e)は、上述した方法によって得られたスタンパー16のスタンプ面に、カーボンナノチューブ分散液20を供給し、さらにナノメタルインク22を供給した状態を示す。スタンパー16の凸部16bの表面は超撥水(油)処理されているからカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22は付着せず、一方、スタンパー16の基材であるPDMS膜14bはカーボンナノチューブ分散液20との濡れ性が良好であるから、凹部16bにカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とが選択的に付着する。
こうして、本実施形態の方法によれば、凹部16bにカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを選択的に付着させ、転写基板24にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを転写することができる。転写基板24への転写方法は前述した方法と同様である。

【0047】
図14(a)は、凹凸パターンを形成したスタンパーの例を示す。凹凸パターンのL/Sは100μmである。図14(b)は、スタンパーの凹部にカーボンナノチューブ分散液とナノメタルインクとを供給した状態で、スタンパーの凹部に選択的にカーボンナノチューブ分散液とナノメタルインクとが付着することを示す。図14(c)は、転写基板24をガラス板としてスタンパーから導体パターンを転写した状態を示す。転写が不十分の個所があるが、転写基板との密着性等を改善することによって、より確実な転写が可能である。なお、凹版の場合は、凹部16bの側面の立ち上がり部分の傾斜をなだらかにしたり、凹凸の段差を小さくすることによりナノメタルインクの転写性を向上させるといったことも可能である。

【0048】
上記実施形態においては、凸部16aの表面をいったん親水(油)化する処理を行ってから凸部16aの表面を超撥水(油)処理したが、処理方法は上述した方法に限定されるものではなく適宜方法が利用できる。
また、上記例とは逆に、スタンパーの凹部16bに撥水(油)性となる処理を施して凸部16aに選択的にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22が付着するようにすることも可能である。たとえば、凹部16bを撥水(油)性に優れた保護材により被覆し、凸部16aに選択的にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを付着させるようにすればよい。この場合は、保護材としてスタンパーの基材(PDMS膜)との密着性のよい素材を選択し、凹部16bが保護材によって確実に被覆されるようにするのがよい。

【0049】
このようにスタンパー16の凹凸パターンの凸部16aと凹部16bの一方が選択的にカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とが付着するように処理すれば、転写操作の際に、導体パターンになる部位のみにカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22とを付着させることができるから、導体パターンにならない不要な部位に導体が付着することを防止し、きわめて微細な導体パターンであっても確実に導体パターンを形成することができる。また、スタンパー16には導体パターンとなる部位のみにカーボンナノチューブ分散液20とナノメタルインク22が付着し、これらの材料を効率的に使用することが可能となる。
上述した方法によって形成したスタンパーは、前述した接着機能層を設ける転写方法や、ラミネーターによる転写方法にも、まったく同様に利用することができる。

【0050】
本発明に係るナノメタルインクを用いる導体パターンの形成方法においては、スタンパーにカーボンナノチューブ分散液を供給し、さらにナノメタルインクを供給するという工程を採用したことによって、スタンパーから転写される導体部分を、カーボンナノチューブとナノメタルインクとの積層構造あるいは複合構造として形成することができる点が特徴的である。
カーボンナノチューブとナノメタルインクとを複合させるために、カーボンナノチューブをナノメタルインク中に含有させて転写する方法による場合は、ナノメタルインク中に分散させることができるカーボンナノチューブの量は極めて僅かであり、カーボンナノチューブの作用を十分に発揮できる導体パターンを形成することができない。これに対して、本方法による場合は、あらかじめスタンパーにカーボンナノチューブ分散液を供給する方法をとることにより、導体パターン中におけるカーボンナノチューブの量を多くすることができ、導体パターン中におけるカーボンナノチューブの作用を十分に得ることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ナノ材料を導体材料として、転写基板に転写する方法により導体パターンを形成する方法を利用する分野、例として配線基板の製造工程等に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
10 マスター板
11 基板
12 ポリイミド膜
13 凸パターン
14a PDMS液
14b PDMS膜
15 ガラス板
16 スタンパー
16a 凸部
16b 凹部
20 カーボンナノチューブ分散液
22 ナノメタルインク
23 導体パターン
24 転写基板
25 接着剤
28 保護膜
30a、30b 加圧ローラ
40 加圧板
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
13