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明細書 :レール用部材取付治具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5292161号 (P5292161)
公開番号 特開2010-007452 (P2010-007452A)
登録日 平成25年6月14日(2013.6.14)
発行日 平成25年9月18日(2013.9.18)
公開日 平成22年1月14日(2010.1.14)
発明の名称または考案の名称 レール用部材取付治具
国際特許分類 E01B  35/06        (2006.01)
B61K   5/04        (2006.01)
FI E01B 35/06
B61K 5/04
請求項の数または発明の数 7
全頁数 8
出願番号 特願2009-096596 (P2009-096596)
出願日 平成21年4月13日(2009.4.13)
優先権出願番号 2008137720
優先日 平成20年5月27日(2008.5.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年11月2日(2011.11.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】村本 勝己
【氏名】平尾 博樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100083839、【弁理士】、【氏名又は名称】石川 泰男
審査官 【審査官】西田 秀彦
参考文献・文献 特開2003-207319(JP,A)
特開2007-017201(JP,A)
特開平07-208994(JP,A)
調査した分野 E01B 35/06
B61K 5/04
特許請求の範囲 【請求項1】
レールの側部に部材を取り付けるレール用部材取付治具において、
前記部材が取り付けられる取付台と、前記取付台に取り付けられた水平固定磁石と、前記取付台に取り付けられた転倒防止ピンとを備え、前記水平固定磁石は、前記レールの腹部に吸着し、前記転倒防止ピンの下端は、前記レールの底部上面に当接することを特徴とするレール用部材取付治具。
【請求項2】
前記転倒防止ピンは、高さ調整可能になっていることを特徴とする、請求項1に記載のレール用部材取付治具。
【請求項3】
前記転倒防止ピンの下端は、尖っていることを特徴とする、請求項1または2に記載のレール用部材取付治具。
【請求項4】
前記転倒防止ピンの下端には、鉛直固定磁石が固定され、前記鉛直固定磁石は、前記レールの底部に吸着することを特徴とする、請求項1または2に記載のレール用部材取付治具。
【請求項5】
前記鉛直固定磁石は、回転可能なジョイントを介して前記転倒防止ピンの下端に固定されていることを特徴とする、請求項4に記載のレール用部材取付治具。
【請求項6】
前記取付台は、垂直板と水平板とを備え、前記水平固定磁石は、前記垂直板の外面に固定され、前記転倒防止ピンは、前記水平板に垂直に取り付けられていることを特徴する、請求項1から5の何れか1つに記載のレール用部材取付治具。
【請求項7】
前記部材は、変位計等のセンサからなることを特徴とする、請求項1から6の何れか1つに記載のレール用部材取付治具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、レール用部材取付治具、特に、レール側部の定位置に変位計等の部材を特別な技術を要することなく容易かつ着脱可能に、しかも、列車の走行による振動等により位置ズレすることなく確実に取り付けることができるレール用部材取付治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、渋滞対策で在来線の下に立体交差化工事を施工するような場合、この工事の影響によるレールの変位を連続的に測定して、レールへの影響を監視することは、列車の安全走行を図る上できわめて重要である。そして、万一、異常な変位が測定された場合には、速やかに警報等を発して、レールの変位を補修する等の手段を講じる必要がある。
【0003】
レールの変位を測定するには、例えば、レールの側部に変位計等のセンサを取り付け、センサによる測定データを中央制御室に無線等により伝送する方法がある。
【0004】
このように、変位計等のセンサをレールの側部に取り付ければ、レールの変位を常時、監視することができるが、ここで問題となるのは、いかにしてセンサをレールの側部に取り付けるかである。
【0005】
センサをレールの側部に取り付ける治具は、以下のような条件を満足することが不可欠である。
【0006】
(1)各種計測機器をレールに設置する場合、一般的にレールへの孔あけ、切削等の加工はしないことから、レールに何らの加工を施すことなく取り付けることができなけらばならない。
【0007】
(2)センサの取付位置および取付姿勢は、予め決められているので、その位置および姿勢に、専門的知識を持たない作業員であっても確実に取り付けることができなければならない。
【0008】
(3)列車の走行による振動等によりセンサが位置ズレしないように、確実に取り付けることができなければならない。
【0009】
(4)センサ設置箇所において線路の保守点検作業を行う場合、センサの取り外しが必要となることがある。この場合、センサを容易に撤去できれば、保守点検の作業性が大幅に向上することから、センサの着脱が容易に行えなければならない。
【0010】
(5)レールの変位を正確に測定するには、レールの一定長さ範囲に亘って数多くのセンサを取り付ける必要があり、センサの取り付けが容易に行えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
センサではないが、従来、レールの側部に取り付けられる部材として、一般的に知られているものに、列車の脱線を防止する、L形鋼からなる脱線防止ガードがある。以下、この脱線防止ガードおよびその取付治具について説明する。
【0012】
図7に示すように、脱線防止ガード8は、取付治具9によってレール1の側部に固定される。なお、以下、この明細書において、レール1の各部の名称は、列車の車輪が走行する部分を頭部1A、枕木に固定される部分を底部1B、頭部1Aと底部1Bとの間を腹部1Cとする。
【0013】
取付治具9は、レール1の底部1Bを抱え込むようにしてレール1の下に挿入され、ボルト10によりレール1の底部1Bに固定される取付治具本体11と、取付治具本体11にボルト12により固定される締め付け板13とからなっている。脱線防止ガード8は、その垂直部8Aを取付治具本体11と締め付け板13との間に挟み込み、ボルト12を締めることによって、レール1の側部にその頭部1Aと所定間隔をあけて固定される。
【0014】
上述した取付治具9を使用すれば、上記条件をある程度満足してセンサ(S)をレール1の側部に取り付けることはできる。
【0015】
しかしながら、取付治具9は、脱線防止ガード8をレール1の側部に強固に固定する必要があることから、堅牢で重量があり、しかも、取付治具9を取り付けるには、レール1下の道床を掻き出す必要があり、その取り付けに多大の手間と時間を要することから、上記条件(2)、(4)、(5)を満足することができない。
【0016】
従って、この発明の目的は、レールの側部にセンサ等の部材を取り付けるに当って、レールに何らの加工を施すことなく、容易かつ着脱可能に取り付けることができ、しかも、予め決められた取付位置および取付姿勢を正確に維持して、専門的知識を持たない作業員であっても確実に取り付けることができ、さらに、列車の走行による振動等により位置ズレが生じないように取り付けることができるレール用部材取付治具を提供することにある。
【0017】
そこで、本願発明者等は、上記条件(1)から(5)を全て満足するレール用部材取付治具を得べく、鋭意、検討を重ねた。
【0018】
この結果、以下のような知見を得た。
【0019】
(a)レールの腹部は、略平面形状であるので磁石が吸着しやすい。従って、センサ等の部材を磁石を介してレールの腹部に吸着させれば、レールに何らの加工を施すことなく、レールの側部に部材を着脱可能かつ容易に取り付けることができ、これにより、例えば、センサの取り外しが必要となるセンサ設置箇所における線路の保守点検の作業性が大幅に向上する。
【0020】
(b)しかし、単に、部材を磁石のみによりレールの腹部に吸着させたのでは、水平方向の位置ズレは防止できても、鉛直方法の位置ズレを防止することができない。
【0021】
(c)そこで、鉛直方法の荷重を支持する転倒防止ピンを設け、このピンの先端をレールの底部上面に当接させれば、部材の鉛直方法の位置ズレを確実に防止することができ、しかも、部材の位置決めが正確に行えるので、専門的知識を持たない作業員であっても、予め決められた取付位置および取付姿勢を維持して、レールの側部に部材を確実に取り付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明は、上記知見に基づきなされたものであって、下記を特徴とする。
【0023】
請求項1に記載の発明は、レールの側部に部材を取り付けるレール用部材取付治具において、前記部材が取り付けられる取付台と、前記取付台に取り付けられた水平固定磁石と、前記取付台に取り付けられた転倒防止ピンとを備え、前記水平固定磁石は、前記レールの腹部に吸着し、前記転倒防止ピンの下端は、前記レールの底部上面に当接することに特徴を有するものである。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレール用部材取付治具において、前記転倒防止ピンは、高さ調整可能になっていることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記転倒防止ピンの下端は、尖っていることに特徴を有するものである。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のレール用部材取付治具において、前記転倒防止ピンの下端には、鉛直固定磁石が固定され、前記鉛直固定磁石は、前記レールの底部に吸着することに特徴を有するものである。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のレール用部材取付治具において、前記鉛直固定磁石は、回転可能なジョイントを介して前記転倒防止ピンの下端に固定されていることに特徴を有するものである。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載のレール用部材取付治具において、前記取付台は、垂直板と水平板とを備え、前記水平固定磁石は、前記垂直板の外面に固定され、前記転倒防止ピンは、前記水平板に垂直に取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0029】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1つに記載のレール用部材取付治具において、前記部材は、変位計等のセンサからなることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、レールの側部にセンサ等の部材を取り付けるに当って、レールに何らの加工を施すことなく、着脱可能かつ容易に取り付けることができ、しかも、予め決められた取付位置および取付姿勢を正確に維持して、専門的知識を持たない作業員であっても確実に取り付けることができ、さらに、列車の走行による振動等により位置ズレが生じないように取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明のレール用部材取付治具を示す正面図である。
【図2】この発明のレール用部材取付治具を示す側面図である。
【図3】この発明のレール用部材取付治具を示す平面図である。
【図4】転倒防止ピンが取り付けられた取付台を示す部分断面図である。
【図5】レールの側部に取り付けられた、この発明のレール用部材取付治具を示す正面図である。
【図6】レールの側部に取り付けられた、この発明の他のレール用部材取付治具を示す正面図である。
【図7】取付治具により脱線防止ガードがレールの側部に取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明のレール用部材取付治具の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。

【0033】
図1は、この発明のレール用部材取付治具を示す正面図、図2は、この発明のレール用部材取付治具を示す側面図、図3は、この発明のレール用部材取付治具を示す平面図、図4は、転倒防止ピンが取り付けられた取付台を示す部分断面図、図5は、レールの側部に取り付けられた、この発明のレール用部材取付治具を示す正面図である。

【0034】
以下、部材として変位計等のセンサを例にあげて説明するが、これ以外の部材であって良いことは勿論である。

【0035】
図1から図5において、2は、変位計等のセンサ(S)が取り付けられるL形状の取付台である。取付台2は、例えば、アルミニウム板等の金属板を直角に折り曲げたものからなり、その垂直板2Aには、後述する水平固定磁石が取り付けられ、水平板2Bには、後述する転倒防止ピンが取り付けられる。

【0036】
3は、フェライト磁石等の永久磁石からなる水平固定磁石(図中ハッチングを施してある。)であり、後述するヨークを介して取付台2の垂直板2Aの外面に取り付けられている。水平固定磁石3は、その磁束を集中させて、レール1への吸着力を強くするために、エッジ4Aが形成された鉄製のコ字状ヨーク4内に、エッジ4Aから突出しないように納められている。これにより、水平固定磁石3の磁束は、ヨーク4のエッジ4Aの先端部に集中する結果、水平固定磁石3は、レール1の腹部1Cに強固に吸着する。この結果、センサ(S)が取り付けられた取付台2は、レール1の側部に強固に取り付けられ、列車の振動等による水平方向の移動を阻止することができる。また、水平固定磁石3を使用することにより、取付台2をレール1に着脱可能に取り付けることができるので、センサ(S)を取り外す場合、あるいは、測定箇所を変更する場合等におけるセンサ(S)の着脱作業がきわめて容易に行える。この結果、例えば、センサの取り外しが必要となるセンサ設置箇所における線路の保守点検の作業性が大幅に向上する。

【0037】
5は、取付台2の水平板2Bに取り付けられた転倒防止ピンである。取付台2は、水平固定磁石3による吸着力により、列車の振動等の外力による水平方向の移動は阻止できるが、鉛直方向の移動は阻止できない恐れがある。転倒防止ピン5は、取付台2の鉛直方向の荷重を支持して、鉛直方向の移動を阻止すると共に、取付台2の高さ方向の位置決めをする作用を有している。転倒防止ピン5は、水平板2Bに水平方向に間隔をあけて2本取り付けられている。転倒防止ピン5の本数は2本に限定されないが、吸着後の取付台2の「がたつき」を考慮すると、2本が好ましい。また、この「がたつき」防止の点から、転倒防止ピン5のレール1の底部1Bに当接する下端は、図4に示すように、尖っていることが好ましい。さらに、同図に示すように、転倒防止ピン5を水平板2Bに螺合させて、高さ調整可能にすれば、取付台2の高さ位置の微調整が容易に行えると共に、レール1の大きさが異なってもそれに対応することができる。

【0038】
図6に示すように、転倒防止ピン5の下端に、ユニバーサルジョイント等からなる回転可能なジョイント6を介して鉛直固定磁石7を固定し、鉛直固定磁石7をレール1の底部1Bの上面に吸着させれば、形状の異なるレール1に対しても常に最適な角度で転倒防止ピン5の下端をレール1の底部1Bに当接させることができる。鉛直固定磁石7は、水平固定磁石3におけると同様に、磁束を集中させてレール1への吸着力を強くするために鉄製のコ字状ヨーク内に納められている。

【0039】
なお、レール1の底部1Bの上面の傾斜角度は、レール1の寸法が変わっても大きく変わらないので、転倒防止ピン5の下端に直接、鉛直固定磁石7を固定しても良い。

【0040】
以上のように構成されている、この発明のレール用部材取付治具により、センサ(S)をレール1の所定位置に取り付けるには、取付台2にセンサ(S)を固定し、転倒防止ピン5の下端がレール1の底部1Bの表面に当接するようにして、水平固定磁石3により取付台2をレール1の長手方向の所定位置の腹部1Cに単に吸着させれば良い。

【0041】
転倒防止ピン5の作用により、センサ(S)の高さ位置は自動的に決まると共に、取付台2の鉛直方向の荷重が支持されるので、取付台2の鉛直方向の移動を阻止することができる。

【0042】
このように、この発明によれば、磁石3および転倒防止ピン5を用いることにより、レール1に何らの加工を施すことなく、レール1の側部にセンサ(S)等の部材を着脱可能に取り付けることができる。この結果、例えば、センサの取り外しが必要となるセンサ設置箇所における線路の保守点検の作業性が大幅に向上する。しかも、専門的知識を持たない作業員であっても、部材を予め決められた位置および姿勢を正確に維持して、列車の走行による振動等により位置ズレを起すことなく、容易かつ確実に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0043】
1:レール
1A:頭部
1B:底部
1C:腹部
2:取付台
2A:垂直板
2B:水平板
3:水平固定磁石
4:ヨーク
4A:エッジ
5:転倒防止ピン
6:ジョイント
7:鉛直固定磁石
8:脱線防止ガード
8A:垂直部
9:取付治具
10:ボルト
11:固定治具本体
12:ボルト
13:締め付け板
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6