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明細書 :ガス圧接方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4871365号 (P4871365)
公開番号 特開2009-082991 (P2009-082991A)
登録日 平成23年11月25日(2011.11.25)
発行日 平成24年2月8日(2012.2.8)
公開日 平成21年4月23日(2009.4.23)
発明の名称または考案の名称 ガス圧接方法
国際特許分類 B23K  20/00        (2006.01)
FI B23K 20/00 330A
B23K 20/00 330B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 9
出願番号 特願2009-015150 (P2009-015150)
分割の表示 特願2004-047893 (P2004-047893)の分割、【原出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
出願日 平成21年1月27日(2009.1.27)
審査請求日 平成21年2月4日(2009.2.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】山本 隆一
【氏名】深田 康人
個別代理人の代理人 【識別番号】100097113、【弁理士】、【氏名又は名称】堀 城之
審査官 【審査官】松本 公一
参考文献・文献 特開2001-259862(JP,A)
特開2000-280079(JP,A)
特開2001-087869(JP,A)
特公昭45-030205(JP,B1)
特開平10-166163(JP,A)
特開2002-235910(JP,A)
特開2001-047255(JP,A)
調査した分野 B23K 20/00- 20/26
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式Ck-1H2k(kは自然数)で表される燃料ガスに酸素ガスを混合して接合部材同士をガス圧接する際に、前記接合部材同士の突き合わせの隙間がないときの前記燃料ガスの供給量と前記酸素ガスの供給量との体積比を1:(1.25k-1)とし、
前記接合部材同士の突き合わせの隙間が大きくなる程、前記燃料ガスの単位時間当たりの供給量のみを増大させたことを特徴とするガス圧接方法。
【請求項2】
前記接合部材の断面積の換算直径がr〔mm〕であるとき、前記接合部材同士の突き合わせの隙間がないときの前記燃料ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r/(1.5k-1)〔l/min〕とするとともに、前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r(1.25k-1)/(1.5k-1)〔l/min〕としたことを特徴とする請求項1に記載のガス圧接方法。
【請求項3】
一般式Ck-1H2k(kは自然数)で表される燃料ガスに酸素ガスを混合して接合部材同士を集中加熱でガス圧接する際に、前記燃料ガスの供給量と前記酸素ガスの供給量との体積比を1:(1.25k-1)とし、
前記接合部材を幅焼きする際には、幅焼きの幅が広くなる程、前記燃料ガスおよび前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量を増大させたことを特徴とするガス圧接方法。
【請求項4】
前記燃料ガスおよび前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量の増大比率は、集中加熱をする場合のガス供給量の1.3倍以下であることを特徴とする請求項3に記載のガス圧接方法。
【請求項5】
前記接合部材の断面積の換算直径がr〔mm〕であるとき、集中加熱をするときの前記燃料ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r/(1.5k-1)〔l/min〕とするとともに、前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r(1.25k-1)/(1.5k-1)〔l/min〕としたことを特徴とする請求項3又は4に記載のガス圧接方法。
【請求項6】
前記燃料ガスは、水素ガスまたはプロパンガスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のガス圧接方法。
【請求項7】
前記接合部材は、鉄筋またはレールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のガス圧接方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋、レール、肉厚パイプなどの接合部材をガス圧接する際に適用するに好
適なガス圧接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接合部材を接合する手法として、ガス圧接が広く用いられている。この
ガス圧接は、接合部材の接合端面を研削し、接合部材を突き合わせて加圧した後、酸素ア
セチレン炎にて突き合わせ部を加熱する接合方法である。ところが、このとき燃料ガスと
してアセチレンガスを用いるため、危険度が高く、取扱いには特に慎重さが要求される。
また、酸素アセチレン炎の場合、燃焼反応に伴う炭酸ガス発生量が多く、環境に与える影
響が懸念されている。
【0003】
そこで、こうしたアセチレンガス特有の不具合を解消すべく、アセチレンガスに代えて
、取扱いが容易で環境にやさしい燃料ガス(例えば、プロパンガスなど)を用いることも
考えられ、ガス圧接への適用可能性について検討された経緯がある(例えば、特許文献1
参照)。ここで、ガス圧接においてアセチレンガス以外の燃料ガスを適用する場合、その
供給量は理論的に定められておらず、施工後の圧接部品質から遡って実験的に設定されて
いるのが実状である。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2001-47255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガス圧接は一般に屋外、すなわち大気中で接合作業が実施されるので、
必然的に大気中の酸素も燃焼反応に参加することになる。したがって、燃料ガスの完全燃
焼(酸素ガスとの適正混合)によって所期の圧接部品質を得るためには、大気中からの酸
素の巻込量を考慮しなければならない面倒がある。
【0006】
さらに、ガス圧接は現場に根付いた汎用技術であるが故に、作業効率や経済性について
も圧接部品質と同様に取り扱うことが極めて重要となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、アセチレンガス以外の特定の燃料ガス、具体的には
水素ガスや飽和炭化水素ガス(単結合のみで構成され、二重結合や三重結合を含まない炭
化水素ガス)を用いて大気中でガス圧接を行う際に、そのガス供給条件を定量的に定める
ことにより、大気中からの酸素の巻込量も含めて燃料ガスの完全燃焼を実現するとともに
、圧接部品質、作業効率、経済性のトータルバランスを高めることが可能なガス圧接方法
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、請求項1に係る発明は、一般式Ck-1H2k(kは自然数)で表される燃料ガスに酸素ガスを混合して接合部材同士をガス圧接する際に、前記接合部材同士の突き合わせの隙間がないときの前記燃料ガスの供給量と前記酸素ガスの供給量との体積比を1:(1.25k-1)とし、前記接合部材同士の突き合わせの隙間が大きくなる程、前記燃料ガスの単位時間当たりの供給量のみを増大させたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記接合部材の断面積の換算直径がr〔mm〕であるとき、前記接合部材同士の突き合わせの隙間がないときの前記燃料ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r/(1.5k-1)〔l/min〕とするとともに、前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r(1.25k-1)/(1.5k-1)〔l/min〕としたことを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、一般式Ck-1H2k(kは自然数)で表される燃料ガスに酸素ガスを混合して接合部材同士を集中加熱でガス圧接する際に、前記燃料ガスの供給量と前記酸素ガスの供給量との体積比を1:(1.25k-1)とし、前記接合部材を幅焼きする際には、幅焼きの幅が広くなる程、前記燃料ガスおよび前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量を増大させたことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、前記燃料ガスおよび前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量の増大比率は、集中加熱をする場合のガス供給量の1.3倍以下であることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、前記接合部材の断面積の換算直径がr〔mm〕であるとき、集中加熱をするときの前記燃料ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r/(1.5k-1)〔l/min〕とするとともに、前記酸素ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r(1.25k-1)/(1.5k-1)〔l/min〕としたことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、前記燃料ガスは、水素ガスまたはプロパンガスであることを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、前記接合部材は、鉄筋またはレールであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水素ガスや飽和炭化水素ガスを用いてガス圧接を行うので、従来のア
セチレンガスと比べて、危険度が低くて取扱いも容易であるばかりか、燃焼反応に伴う炭
酸ガス発生量が少なく、環境に深刻な影響を与えない。しかも、このガス圧接を大気中で
行う際に、大気中からの酸素の巻込量も含めて燃料ガスの完全燃焼を実現することができ
る。その結果、所期の圧接部品質を得ることが可能となる。
【0010】
また、接合部材の断面積の換算直径がr〔mm〕であるとき、燃料ガスの単位時間当た
りの供給量を2.6r/(1.5k-1)〔l/min〕とするとともに、酸素ガスの単
位時間当たりの供給量を2.6r(1.25k-1)/(1.5k-1)〔l/min〕
とすれば、接合部材の断面積に応じた適正な標準加熱時間が定まり、良好な圧接部を実現
するために必要な投入熱量が得られる。したがって、接合部材の表面温度と中心温度との
間に顕著な差が生じない加熱パターンを維持し、かつ作業効率に直接影響する圧接時間を
むやみに延ばさないという条件下で、燃料ガスおよび酸素ガスの総使用量をできるだけ抑
制して経済性を高めることができる。その結果、圧接部品質、作業効率、経済性のトータ
ルバランスを高めることができる。
【0011】
また、接合部材同士の突き合わせの隙間に応じて、燃料ガスの単位時間当たりの供給量
のみを増大させれば、接合環境が還元雰囲気になるので、酸化による接合強度の低下を避
けて一定の圧接部品質を得ることができる。このとき、燃料ガスの単位時間当たりの供給
量の増大比率を1.5倍以下とすると、作業効率や経済性を低下させることなく一定の圧
接部品質を得ることができる。
【0012】
また、接合部材の幅焼きの程度に応じて、燃料ガスおよび酸素ガスの単位時間当たりの
供給量を増大させれば、とりわけ鉄筋同士を幅焼きで加熱してガス圧接する際に、加熱時
間を長くしなくても所定の投入熱量を獲得しうるので、作業効率や経済性を低下させるこ
となく一定の圧接部品質を得ることができる。このとき、燃料ガスおよび酸素ガスの単位
時間当たりの供給量の増大比率を1.3倍以下とすると、ガスの過剰消費および作業性の
低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】接合部材である鉄筋の直径と標準加熱時間との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。

【0015】
まず、接合部材の寸法(断面積および表面積)によって、良好な圧接部を実現するため
に必要な投入熱量が異なり、完全燃焼を前提とした場合、燃焼反応に参加する大気中から
の巻込み分も含めた酸素ガス総量と寸法との間に対応関係があることが明らかとなった。

【0016】
表1は、適正混合条件の酸素アセチレン炎で各断面形状部材の中心温度をガス圧接の標
準加熱温度である1300℃まで昇温した際のガス供給条件と加熱時間との関係を整理し
たものである。この表1より、鉄筋形状材の場合、燃焼に参加する総酸素量は直径の3乗
に比例して増大することが分かる。これは加熱すべき鉄筋の体積が直径の3乗に比例して
増加することに対応している。一方、JIS60kgレールの場合には、換算直径100
mmの鉄筋形状材に対応し、直径25mmの鉄筋形状材を基準に考えると直径が4倍であ
るため、4800lの酸素が必要になると推定される。ところが、実際には、中心温度を
1300℃に到達させるのに1/3程度の酸素しか必要としていない。これには、レール
形状材の場合、同じ断面積であっても、鉄筋形状材に比べて、表面積が大きいため、効率
的な加熱をし得ることが背景にある。なお、以上に述べた概念は、酸素プロパン炎、酸素
水素炎でも成立する。

【0017】
【表1】
JP0004871365B2_000002t.gif

【0018】
このように、良好な圧接部を実現するために必要な投入熱量は、接合部材のサイズと形
状に応じて増減する。しかし、水素ガスや飽和炭化水素ガスを燃料ガスとして用いる場合
、その燃料ガスの供給量と酸素ガスの供給量との体積比(モル比)については、燃焼時の
発熱量がピークに達する体積比1:(1.25k-1)を適正値とみなした。すなわち、
水素ガスおよび飽和炭化水素ガスは一般式Ck-12k(kは自然数で、1、2、3、…)
で表すことができ、その燃焼反応は化1に示す化学反応式に従って進行するため、燃料ガ
ス1リットルに対する酸素ガスの理論反応量は(1.5k-1)リットルとなる。一方、
発明者の検討により、燃焼反応における大気中からの酸素の巻込量は、燃料ガスおよび酸
素ガスの総使用量1.5kリットルの1/6、つまり0.25kリットルであることが分
かっている。よって、酸素ガスの理論反応量(1.5k-1)リットルのうち残りの(1
.25k-1)リットルを酸素供給量とすれば、燃焼時の発熱量がピークに達することか
ら、大気中からの酸素の巻込量も含めて燃料ガスの完全燃焼を実現し、所期の圧接部品質
を得ることができる。

【0019】
(化1)Ck-12k+(1.5k-1)O2 →(k-1)CO2 +kH2
例えば、水素ガスを燃料ガスとして用いる場合、表2に示すように、水素ガス1リット
ルに対する酸素ガスの理論反応量は0.5リットルとなり、そのうち0.25リットルを
酸素供給量とすれば、大気中からの酸素の巻込量も含めて燃料ガスの完全燃焼を実現し、
所期の圧接部品質を得ることができる。また、エタンガスを燃料ガスとして用いる場合、
水素ガス1リットルに対する酸素ガスの理論反応量は3.5リットルとなり、そのうち2
.75リットルを酸素供給量とすれば、大気中からの酸素の巻込量も含めて燃料ガスの完
全燃焼を実現し、所期の圧接部品質を得ることができる。

【0020】
【表2】
JP0004871365B2_000003t.gif

【0021】
また、ガス圧接の場合、上述したように、部材への投入熱量が重要なパラメータになる
ことはいうまでもない。しかし、投入熱量と一口に言っても単位時間当たりの供給量およ
び加熱時間の積算値であり、一元的に定まるものではない。ただし、ガス圧接技術は、実
用技術であるため、当然、経済性および作業性を考慮しなければならない。この観点から
考えると、圧接時間をむやみに延ばさないという条件下で、トータルのガス使用量をでき
るだけ抑制するということが望まれる。すなわち、圧接作業の主目的が、加熱材中心部温
度を効率よく適正値に到達させることであることを考慮すると、単位時間当たりのガス供
給量をむやみに増大させても、表面が過熱されるだけで、無駄なガスが費やされることに
なる。つまり、表面温度と中心温度との間に顕著な差の生じない加熱パターンが望まれる
。図1は、この観点に立ち、発明者が適正混合比の酸素アセチレン炎を用いた検討により
、各種直径の鉄筋形状材を圧接する際の標準加熱時間を求めたものである。本発明におい
ては、この標準圧接時間を根底に置いて検討した。

【0022】
その結果、接合部材の断面積の換算直径がr〔mm〕であるとき、燃料ガスCk-12k
(kは自然数)の単位時間当たりの供給量を2.6r/(1.5k-1)〔l/min〕
とするとともに、酸素ガスの単位時間当たりの供給量を2.6r(1.25k-1)/(
1.5k-1)〔l/min〕とすれば、接合部材の断面積に応じた適正な標準加熱時間
が定まり、良好な圧接部を実現するために必要な投入熱量が得られることが判明した。こ
の場合、接合部材の表面温度と中心温度との間に顕著な差が生じない加熱パターンを維持
し、かつ作業効率に直接影響する圧接時間をむやみに延ばさないという条件下で、燃料ガ
スおよび酸素ガスの総使用量をできるだけ抑制して経済性を高めることができる。その結
果、圧接部品質、作業効率、経済性のトータルバランスを高めることができる。

【0023】
また、ガス圧接の場合、大気中で接合作業が実施されるため、接合端面の酸化を防ぐこ
とはできない。実際に、部材の突き合わせ面に存在する隙間が大きい程、酸化の度合が激
しくなる。なお、接合端面上に生成する酸化物の量を抑制するには、発熱量の観点からみ
た適正混合比に対して、燃料ガスの比率を高め、接合環境を還元雰囲気にすることが有効
である。ただし、酸素に対する適正混合量の1.5倍を越えて燃料ガスの比率L1を高め
ると、燃焼火炎の加熱能力が著しく低下する。よって、非常に大きな隙間が存在し、1.
5を越えるL1を設定せざるを得ない場合には、突合せ部が閉口し、接合端面がそれ以上
酸化を被らなくなった時点で、L1の値を下げ加熱特性を増大させる措置をとらなければ
ならない。一方、燃料ガスの比率L1を適正混合量の1.0倍未満に設定すると、酸化雰
囲気になるため、隙間の存在しない場合であっても、良好品質の圧接部は得られない。

【0024】
さらに、レールの場合には、加熱作業直後にふくらみを押抜くため、ふくらみ形状自体
が問題となることはない。したがって、レールの圧接作業では「集中加熱」により突合せ
部近傍を加熱するのが一般的である。なお、L2=1.0がレール形状材を圧接する際の
集中加熱を意味する。一方、鉄筋の場合には、一般にふくらみの押抜きは実施されないこ
ともあり、なだらかなふくらみ形状が実現されることを意図してふくらみ長さが鉄筋径の
1.1倍以上でなければならないことなどが規定されている(例えば、(社)日本圧接協
会「鉄筋のガス圧接工事標準仕様書」1999年改訂など)。すなわち、突合せ部を中心
に広範囲にわたって熱を投入する必要があるため、バーナを揺動させる「幅焼き」という
加熱の仕方が採用される。同じガス供給条件で、幅焼きを実施した場合には、同レベルの
圧接品質を得るための加熱時間が集中加熱の場合に比べ長時間側にシフトするので、加熱
時間の増大を抑制する観点から、ガス供給量を増加させる必要がある。つまり、幅焼きの
程度に応じて、L2を増加させなければならない。しかし、L2が1.3を越えた場合に
は、通常の幅焼きを実施しても加熱材料表面が過熱されるため、バーナ揺動幅を過度に広
げる必要があり、ガスの過剰消費および作業性の低下などが引き起こされる。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明を鉄筋に適用した実施例について説明する。
【実施例1】
【0026】
水素ガスおよびプロパンガスを燃料ガスとして、直径32mmの鉄筋形状材同士のガス
圧接試験を実施した。そして、圧接部品質などを調査すべく、得られた継手のふくらみ部
を圧接部の直径が鉄筋径の1.1倍になるように機械加工で削り出し、日本工業規格(J
IS Z 2248)の規定に準拠して曲げ試験を行った。その結果をまとめて表3に示
す。ここで、水素ガスを燃料ガスとする場合、燃料ガス(水素ガス)の単位時間当たりの
供給量は、2.6r/(1.5k-1)に、r=32mm、k=1を代入して得た値、つ
まり166l/minが基本供給量となり、酸素ガスの単位時間当たりの供給量は、2.
6r(1.25k-1)/(1.5k-1)に、r=32mm、k=1を代入して得た値
、つまり42l/minが基本供給量となる。一方、プロパンガスを燃料ガスとする場合
、燃料ガス(プロパンガス)の単位時間当たりの供給量は、2.6r/(1.5k-1)
に、r=32mm、k=4を代入して得た値、つまり16l/minが基本供給量となり
、酸素ガスの単位時間当たりの供給量は、2.6r(1.25k-1)/(1.5k-1
)に、r=32mm、k=4を代入して得た値、つまり67l/minが基本供給量とな
る。
【実施例1】
【0027】
【表3】
JP0004871365B2_000004t.gif
【実施例1】
【0028】
表3から明らかなように、本発明で決定されるガス供給量を適用した場合、いずれの燃
料ガスにおいても、適正な加熱時間で良好な品質が実現されることを確認した。ただし、
燃料ガスとしてプロパンガスを採用した例で、部材の突き合わせ部に2mmの隙間が存在
する場合、標準圧接時間で良好な品質の圧接部を実現するためには、酸素に対する適正混
合量の1.4倍にプロパンガスの比率を高める必要があった。しかし、酸素に対する適正
混合量の1.6倍にプロパンガスの比率を高めた条件においては、突き合わせ部に隙間が
存在しない場合でも、良好な品質の圧接部を実現するために加熱時間を20秒延ばす必要
があった。すなわち、L1≦1.5はガス圧接の品質を確保するための必須条件ではなく
、効率、経済性を考慮した適正範囲である。一方、酸素に対する適正混合比率の0.9倍
にプロパンガスの比率を低下させたものは、加熱時間を20秒延ばしても良好な圧接部は
得られなかった。さらに、加熱方法として幅焼きを適用する場合には、プロパンガスと酸
素ガスの両者を標準供給量の1.2倍程度とすることで、標準的な圧接時間で良好な圧接
部が得られることが分かった。
【実施例2】
【0029】
以下、本発明をレールに適用した実施例について説明する。
【実施例2】
【0030】
水素ガスを燃料ガスとして、JIS60kg普通レール同士のガス圧接試験を実施し、
圧接部の曲げ試験を行った。その結果を表4に示す。ここで、燃料ガス(水素ガス)の単
位時間当たりの供給量は、2.6r/(1.5k-1)に、r=100mm、k=1を代
入して得た値、つまり520l/minが基本供給量となり、酸素ガスの単位時間当たり
の供給量は、2.6r(1.25k-1)/(1.5k-1)に、r=100mm、k=
1を代入して得た値、つまり130l/minが基本供給量となる。
【実施例2】
【0031】
【表4】
JP0004871365B2_000005t.gif
【実施例2】
【0032】
表4から明らかなように、従来の酸素アセチレン炎を用いた圧接法と同程度の圧接時間
で、良好な圧接部を実現できることが分かった。ただし、部材の突き合わせ部に2mmの
隙間が存在する場合、標準圧接時間で良好な品質の圧接部を実現するためには、酸素に対
する適正混合量の1.2倍(好ましくは1.3倍)に水素ガスの比率を高める必要があっ
た。
図面
【図1】
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