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明細書 :電線支持装置及び監視システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4979626号 (P4979626)
公開番号 特開2009-247081 (P2009-247081A)
登録日 平成24年4月27日(2012.4.27)
発行日 平成24年7月18日(2012.7.18)
公開日 平成21年10月22日(2009.10.22)
発明の名称または考案の名称 電線支持装置及び監視システム
国際特許分類 H02G   9/00        (2006.01)
G06K  17/00        (2006.01)
FI H02G 9/00 D
H02G 9/00 C
G06K 17/00 F
G06K 17/00 L
請求項の数または発明の数 5
全頁数 7
出願番号 特願2008-089115 (P2008-089115)
出願日 平成20年3月31日(2008.3.31)
審査請求日 平成22年7月9日(2010.7.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】奥井 明伸
【氏名】森本 大観
【氏名】赤木 雅陽
【氏名】森田 岳
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
審査官 【審査官】和田 財太
参考文献・文献 実開平03-026229(JP,U)
特開昭59-117410(JP,A)
特開2006-004683(JP,A)
調査した分野 H02G 9/00
H02G 1/00-1/06
G01R 31/12
G06K 17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
導電性の芯線が絶縁性の被覆部で覆われた直流電力ケーブルが配設される構造体に取り付けられ、当該直流電力ケーブルを支持する電線支持装置であって、
前記直流電力ケーブルを支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記直流電力ケーブルの前記被覆部の外周面と接触する第1電極と、
前記支持部に設けられ、前記構造体と接触する第2電極と、
前記支持部に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極に電気的に接続され、当該第1電極及び第2電極の間に発生する電圧若しくは当該第1電極及び第2電極の間に流れる電流を検出する漏電検知部と、
前記漏電検知部により前記電圧若しくは前記電流が検出されたときに、漏電情報を出力する処理部と、を有する電線支持装置。
【請求項2】
前記支持部が、当該支持部を貫通し、前記構造体に螺合される導電性のボルトにより当該構造体に固定されるように構成されているときに、
前記第2電極が、前記ボルトと電気的に接続することにより、前記構造体と接続されるように構成された請求項1に記載の電線支持装置。
【請求項3】
前記処理部が、前記漏電情報を電波として出力するように構成された請求項1または2に記載の電線支持装置と、
前記電線支持装置から出力される前記漏電情報を監視する監視装置と、
前記電線支持装置から送信された前記漏電情報を受信して前記監視装置に送信する受信器と、を有する監視システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電線支持装置と、
前記電線支持装置から出力される前記漏電情報を監視する監視装置と、
前記電線支持装置及び前記監視装置を接続する通信ケーブルと、を有し、
前記電線支持装置の前記処理部が、前記漏電情報を、前記通信ケーブルを介して前記監視装置に送信するように構成された監視システム。
【請求項5】
前記支持部に設けられたICタグを有し、前記処理部が前記漏電情報を前記ICタグに記憶するように構成された請求項1または2に記載の電線支持装置と、
前記ICタグと非接触通信をして当該ICタグに記憶されている前記漏電情報を読み出すリーダ装置と、を有する監視システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力ケーブルからの漏電を検出する電線支持装置及びこの電線支持装置から出力される漏電情報を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電気鉄道の変電所の内部や電車線路の一部において、直流電力ケーブルは、「クリート」と呼ばれる電線支持装置により壁、ケーブルラック、若しくは、床等の構造体に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。このような直流電力ケーブルの絶縁(被覆部)が劣化すると、漏電が発生する可能性がある。この漏電は、その初期段階においては数A程度と小さいため検知することが難しい。

【特許文献1】特開2007-259591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
交流電力ケーブルの場合、ケーブルが劣化・故障すると漏れ電流が遮蔽層に流れるため、この漏れ電流に基づく故障検知装置が実用化されている。しかしながら一般に、直流電気鉄道用のケーブルは、交流電力用CV-Tケーブル等と異なり、遮蔽層(シールド)を有しておらず、その漏れ電流は直接このケーブルが取り付けられている構造物(上述の壁、ケーブルラック、床等)に流れるため、検出することが難しいという課題があった。
【0004】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、直流電力ケーブルの被覆部の劣化により発生する漏電を検知する機能を有した電線支持装置、及び、この電線支持装置から出力される漏電情報を監視する監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明に係る電線支持装置(例えば、実施形態におけるクリート10)は、導電性の芯線が絶縁性の被覆部で覆われた直流電力ケーブルが配設される構造体に取り付けられ、当該直流電力ケーブルを支持するものあって、直流電力ケーブルを支持する支持部(例えば、実施形態における第1半体20及び第2半体30)と、この支持部に設けられ、直流電力ケーブルの被覆部の外周面と接触する第1電極と、支持部に設けられ、構造体と接触する第2電極と、支持部に設けられ、第1電極及び第2電極に電気的に接続され、当該第1電極及び第2電極の間に発生する電圧若しくは当該第1電極及び第2電極の間に流れる電流を検出する漏電検知部と、この漏電検知部により電圧若しくは電流が検出されたときに、漏電情報を出力する処理部と、を有する。
【0006】
このような本発明に係る電線支持装置において、支持部が、当該支持部を貫通し、構造体に螺合される導電性のボルトにより当該構造体に固定されるように構成されているときに、第2電極が、ボルトと電気的に接続することにより、構造体と接続されるように構成されることが好ましい。
【0007】
また、本発明に係る監視システムは、処理部が、漏電情報を電波として出力するように構成された上述の電線支持装置と、この電線支持装置から出力される漏電情報を監視する監視装置と、電線支持装置から送信された漏電情報を受信して監視装置に送信する受信器と、を有して構成される。
【0008】
また、本発明に係る監視システムは、上述の電線支持装置と、この電線支持装置から出力される漏電情報を監視する監視装置と、電線支持装置及び監視装置を接続する通信ケーブルと、を有し、電線支持装置の処理部が、漏電情報を、通信ケーブルを介して監視装置に送信するように構成される。
【0009】
あるいは、本発明に係る監視システムは、支持部に設けられたICタグを有し、処理部が漏電情報をICタグに記憶するように構成された上述の電線支持装置と、ICタグと非接触通信をして当該ICタグに記憶されている漏電情報を読み出すリーダ装置と、を有して構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電線支持装置及び監視システムを以上のように構成すると、従来は発見することが極めて困難であった直流電力ケーブルの漏電を早期に検知することができるようになり、高信頼の運転用直流電力供給(鉄道サービス)を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を用いて、本発明に係る電線支持装置(以下、「クリート10」と呼ぶ)の構成について説明する。このクリート10は、壁、ケーブルラック、床等の構造体Sに取り付けられ、導電性の芯線Caとこの芯線Caを覆うように設けられた絶縁性の被覆部Cbとを有する直流電力ケーブルCを支持するものであり、構造体Sに取り付けられる第1半体20と、この第1半体20との間に配置された直流電力ケーブルCを挟持する第2半体30とから構成される。第1半体20と第2半体30との対向する面には、直流電力ケーブルCの直径の外形と略同一大きさの溝21,31が形成されており、直流電力ケーブルCはこの溝21,31に挟持される。また、この第1及び第2半体20,30には、位置整合して貫通する複数のネジ孔22,32が設けられており、このネジ孔22,32にボルト40を挿入し、構造体Sに螺合させることにより、第1及び第2半体20,30で挟持した直流電力ケーブルCを構造体Sに固定するように構成されている。
【0012】
第1半体20の溝21内には、この溝21に挿入された直流電力ケーブルCの外周(被覆部)と接触するように第1電極23が取り付けられており、また、この第2半体20の構造物Sと接触する面には第2電極24が取り付けられている。なお、この第2電極24は構造体Sと直接接触していなくても、第1半体20の内部において、ネジ孔22内に挿入された導電性のボルト40と接触するように設けられていても良い。そして、この第1半体20の内部には、第1電極23と第2電極24との間に発生する電位差(電圧)若しくはこの第1電極23と第2電極24との間に流れる電流を検知する漏電検知部25と、漏電が検知されたときの処理を行う処理部26とが設けられている。なお、図2においては、第1半体20の溝21に第1電極23を設けた場合について示しているが、第2半体30の溝31にも第1電極を設け、直流電力ケーブルCを覆うようにしても良い。この場合、溝21及び溝31に取り付けられた第1電極は、溝21,31で直流電力ケーブルCを挟持するときに、電気的に接触するように配置する必要がある。
【0013】
直流電力ケーブルCの漏電故障は、多くの場合、クリート10により支持されている被覆部Cbの破損により発生する。そのため、この被覆部Cbが破損して芯線Caから電流が漏れることにより、構造物SとケーブルCとの間に発生する電位差(電圧)若しくはこの間に流れる電流を漏電検知部25で検出することにより、直流電力ケーブルCの損傷を早期に発見して漏電事故を防止することができる。なお、この第1及び第2半体20,30は、例えばエポキシ樹脂等を成型して構成されており、検知部25及び処理部26は第1半体20とともに一体にモールドすることにより、このクリート10の取り扱いを容易にすることができる。
【0014】
それでは、次に、漏電検知部25で漏電を検知したときの処理に係る2つの実施例について説明する。
【0015】
(第1実施例)
まず、図3を用いて第1実施例について説明する。第1半体20における処理部26には、漏電検知部25で漏電が検出されたときにアンテナ27aを介して漏電情報を電波として発信する発信部27(発信された漏電情報を「検出信号」と呼ぶ)と、この発信部27及び漏電検知部25が作動するための電力を供給する電源部28とから構成されている。なお、電源部28は、バッテリをこの第1半体20に内蔵しても良いし、第1及び第2電極23,24を流れる漏電電流を漏電検知部25及び処理部26の動作のための電力として供給するように構成しても良い。
【0016】
一方、このクリート10が取り付けられている周囲に、アンテナ51aを備え、第1半体20の発信部27から送信される検出信号を受信する受信器51と、受信器51で受信された検出信号を監視して、クリート10で発生する漏電を監視する監視装置52とから構成される監視システム50が設けられている。例えば、クリート10毎に固有の識別番号を割り当てておき、発信部27が漏電を検知して検出信号を送信するときにこの識別番号を含めることにより、監視装置52は、どのクリート10で漏電が発生しているのかを識別して管理することができ、漏電箇所を迅速に把握して、直流電力ケーブルCによる送電の停止やこの直流電力ケーブルCの取り替え工事等を行うことができる。
【0017】
なお、クリート10は、直流電力ケーブルCが配設されている方向に沿って、所定の間隔を空けて配置されているので、所定の個数のクリート10毎にグループに分け、それらのグループの各々に対して1台の受信器51を設けるように構成することができる。もちろん、監視装置52は、1台で、すべての受信器51から送信される検出信号を監視し、この直流電力ケーブルC全体を管理するように構成することができる。また、クリート10間に通信用のケーブルを敷設し、無線で検出信号を送信する代わりにこの通信用のケーブルを介して検出信号を監視装置53に送信するように構成することも可能である。この場合は、受信器51は不要である。
【0018】
(第2実施例)
次に、図4を用いて第2実施例について説明する。この第2実施例においては、処理部26は、発信部27の代わりに記録部29が設けられており、第1半体20に設けられたICタグ60に漏電情報を記憶するように構成されている。ここで、ICタグ60は、不揮発性の読み書き可能な記憶部を有し、外部のリーダ装置53から送信される電波により、非接触でこの記憶部の情報を読み書き可能に構成されたICチップである。なお、漏電検知部25及び処理部26に対する電源の供給方法は、第1実施例と同様である。
【0019】
記録部29は、漏電検知部25により直流電力ケーブルCの漏電が検知されると、クリート10の識別番号に加えて、漏電情報をICタグ60の記憶部に書き込む。ここで、漏電情報としては、漏れ電流や電圧の最大値を記憶するように構成しても良いし、この最大値に加えて検出した日時を記憶するように構成しても良い。また、ICタグ60の記憶部に常に最新の漏電情報を書き込むようにしても良いし、所定の回数の漏電情報を履歴情報として複数記憶するように構成しても良い。そして、検査員がリーダ装置53を携帯して直流電力ケーブルCが配設されている現場に行き、各クリート10の近傍においてこのリーダ装置53から電波を発射して、ICタグ60の記憶部に記憶されている識別情報及び漏電情報を読み出す。このとき、リーダ装置53が読み出した日時(検査日時)を送信してICタグ60の記憶部に書き込み、合わせて前回の検査日時をICタグ60の記憶部から読み出すように構成しても良い。クリート10のICタグ60に漏電情報が記憶されているときは、リーダ装置54で読み出したときに検査員に警告を発するか、若しくは、無線または有線に関わらず、リーダ装置53で収集した漏電情報を監視装置52に送信してこの監視装置52で管理するように構成される。
【0020】
このように、漏電検知部25で検出した漏電情報を一旦、クリート10に設けられたICタグ60に蓄積することにより、受信器51の設置や通信用ケーブルの敷設が不要となるため、簡単な構成で直流電力ケーブルCの漏電を検出することができる。また、漏電情報の蓄積にICタグ60を用いると、漏電情報の外部への送信は、リーダ装置53から放射される電波から電力を得て行われるため、送信のための特別な電力源が不要となる。そのため、電源部28は、漏電検知部25で検出された漏電情報をICタグ60に書き込む記録部29の動作のためにだけ用いられるため、電源部28の容量は小さくて済む。さらに、このICタグ60に漏電情報の履歴を記憶することにより、直流電力ケーブルCの被覆部に微細な劣化が発生し、降雨により水が付着しているときだけ漏電が発生する場合でも、その情報を記録することができるので、この直流電力ケーブルCの劣化を早期に発見して対策を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るクリート及びこのクリートに支持される直流電力ケーブルの斜視図である。
【図2】上記クリートの正面図であって、(a)は第1及び第2半体を分離した状態を示し、(b)は第1及び第2半体で直流電力ケーブルを挟持して構造体に取り付けた状態を示す。
【図3】第1実施例に係るクリート及び監視システムの構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施例に係るクリート及び監視システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0022】
10 クリート(電線支持装置) 20 第1半体(支持部)
23 第1電極 24 第2電極 25 漏電検知部 26 処理部
30 第2半体(支持部) 40 ボルト 50 監視システム
51 受信器 52 監視装置 53 リーダ装置 60 ICタグ
C 直流電力ケーブル Ca 芯線 Cb 被覆部 S 構造体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3