TOP > 国内特許検索 > 鉄道車両用空気ばねの試験装置 > 明細書

明細書 :鉄道車両用空気ばねの試験装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4705884号 (P4705884)
公開番号 特開2007-327832 (P2007-327832A)
登録日 平成23年3月18日(2011.3.18)
発行日 平成23年6月22日(2011.6.22)
公開日 平成19年12月20日(2007.12.20)
発明の名称または考案の名称 鉄道車両用空気ばねの試験装置
国際特許分類 G01M  13/00        (2006.01)
B61F   5/10        (2006.01)
B61F   5/22        (2006.01)
G01M   7/02        (2006.01)
F16F   9/02        (2006.01)
B61K  13/00        (2006.01)
FI G01M 13/00
B61F 5/10 D
B61F 5/22 C
G01M 7/00 A
F16F 9/02
B61K 13/00 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2006-158680 (P2006-158680)
出願日 平成18年6月7日(2006.6.7)
審査請求日 平成20年7月15日(2008.7.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】佐々木 君章
【氏名】渡辺 信行
【氏名】梅原 康宏
【氏名】山長 雄亮
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 隆
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開平03-048131(JP,A)
実開平02-043639(JP,U)
特開2002-336787(JP,A)
特開2000-283894(JP,A)
特開2002-030642(JP,A)
特開平09-105706(JP,A)
特開平06-280931(JP,A)
小林善一郎 他,”鉄道車両用空気ばね制御システムの開発”,日本機械学会論文集(C編) 57巻541号,1991年 9月,2860~2865頁
調査した分野 G01M 13/00
B61F 5/10
B61F 5/22
B61K 13/00
F16F 9/02
G01M 7/02
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
供試体となる鉄道車両用空気ばねを下側から支持する支持用ばねと、
前記鉄道車両用空気ばねを加振する多自由度の加振手段と、
前記加振手段の加振による前記鉄道車両用空気ばねの動作を計測する計測手段と、
前記加振手段によって前記鉄道車両用空気ばねに与えられる変位に係る変位情報を生成する情報生成手段と、
を備え
前記鉄道車両用空気ばねは、車体との接続面を下に向けて前記支持用ばねと間隙を隔てて対向するように配置され、かつ台車との接続面が固定されており、
前記支持用ばねは、前記鉄道車両用空気ばねの前記車体との接続面と前記間隙を隔てて対向する第1の面を上に向けて配置され、かつ当該第1の面と反対側の第2の面が固定されており、
前記加振手段は、前記鉄道車両用空気ばねの前記車体との接続面に振動を与える振動印加部材を有しており、
前記振動印加部材を上下方向に貫通し、前記鉄道車両用空気ばねと前記支持用ばねの間で力を伝達する力伝達部材がさらに設けられている
ことを特徴とする鉄道車両用空気ばねの試験装置。
【請求項2】
前記計測手段が複数設けられており、各計測手段が前記力伝達部材の周囲に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用空気ばねの試験装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、防振のために鉄道車両に取り付けられる鉄道車両用空気ばねの試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両には、車体を支持し、振動を抑えるための空気ばねが車体と台車の間に設けられている。従来、空気ばねの特性を試験する際には、空気ばねの単軸方向にのみ振動を与え、空気ばねの特性を評価していた(例えば非特許文献1参照)。

【非特許文献1】「鉄道車両用ばね装置」,財団法人日本規格協会,平成元年9月30日,p18-20
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
走行状態での空気ばねは多自由度の力を受けて変位し、その特性は非線形性を有している。しかし、従来の空気ばね試験では、上記のように単軸方向の特性しか評価することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、鉄道車両用空気ばねの多自由度の特性を試験することができる鉄道車両用空気ばねの試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、供試体となる鉄道車両用空気ばねを下側から支持する支持用ばねと、前記鉄道車両用空気ばねを加振する多自由度の加振手段と、前記加振手段の加振による前記鉄道車両用空気ばねの動作を計測する計測手段と、前記加振手段によって前記鉄道車両用空気ばねに与えられる変位に係る変位情報を生成する情報生成手段とを備え、前記鉄道車両用空気ばねは、車体との接続面を下に向けて前記支持用ばねと間隙を隔てて対向するように配置され、かつ台車との接続面が固定されており、前記支持用ばねは、前記鉄道車両用空気ばねの前記車体との接続面と前記間隙を隔てて対向する第1の面を上に向けて配置され、かつ当該第1の面と反対側の第2の面が固定されており、前記加振手段は、前記鉄道車両用空気ばねの前記車体との接続面に振動を与える振動印加部材を有しており、前記振動印加部材を上下方向に貫通し、前記鉄道車両用空気ばねと前記支持用ばねの間で力を伝達する力伝達部材がさらに設けられていることを特徴とする鉄道車両用空気ばねの試験装置である。
【0007】
また、本発明の鉄道車両用空気ばねの試験装置において、前記計測手段が複数設けられており、各計測手段が前記力伝達部材の周囲に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加振手段によって多自由度の変位が鉄道車両用空気ばねに与えられるので、多自由度の変位に対する鉄道車両用空気ばねの応答特性を試験することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による試験装置の構造を示している。また、図2は本試験装置の機能構成を示している。供試体1は試験対象の空気ばねであり、車体との接続面1aを下に向けた状態となっている。多自由度の加振機構である公知のモーションベース2(加振手段)によって、供試体1が加振される。モーションベース2は、伸縮自在に構成された6本のシリンダ(アクチュエータ)が支持フレーム220(振動印加部材)と台座230の間に介在する構造を有している。なお、図1および図2では、3本のシリンダ210a,210b,210cのみを図示している。
【0010】
シリンダ210a,210b,210cはそれぞれ、上側接続部250a,250b,250cを介して支持フレーム220に接続され、下側接続部260a,260b,260cを介して台座230に接続されている。モーションベースコントローラ3の指示により、各シリンダが伸縮し、6自由度(X,Y,Zの各軸方向および各軸周りの回転方向)の変位が供試体1に与えられる。
【0011】
釣り合いばね20(支持用ばね)は、供試体1を下側から支持する(供試体1の静荷重を支持する)ためのばねであり、接続面20aが供試体1の車体との接続面1aと間隙を隔てて対向するように配置されている。接続面20aは、釣り合いばね20の形状の差異を吸収するためのアダプタ25に接続されている。釣り合いばね20の下端は、釣り合いばね20の形状の差異を吸収するためのアダプタ22により固定されている。供試体1と釣り合いばね20の間には、それら両者の間で力を伝達する力伝達部材24が、支持フレーム220を上下方向に貫通するように設けられている。
【0012】
供試体1の上端は、供試体1の形状の差異を吸収するためのアダプタ26により固定されている。供試体1の車体との接続面1aは、供試体1の形状の差異を吸収するためのアダプタ28に接続されている。アダプタ28と支持フレーム220の間には、モーションベース2の加振による供試体1の動作を計測するため、ロードセル30が取り付けられている。
【0013】
図3はロードセル30の配置を平面的に表しており、3つのロードセル30が力伝達部材24の周囲に互いに等間隔で配置されている。ロードセル30として3分力計が用いられており、各ロードセル30によって、X,Y,Zの各軸方向の並進力が測定され、測定結果を示すアナログ信号が出力される。
【0014】
供試体1の内部には圧縮空気が封入されており、これによる供試体1の大きな静荷重をモーションベース2だけで支持することができないため、釣り合いばね20を設け、供試体1の静荷重を支持している。釣り合いばね20によって供試体1の静荷重が支持されている状態で、支持フレーム220から振動が、ロードセル30およびアダプタ28を介して供試体1の車体との接続面1aに与えられる。
【0015】
釣り合いばね20として、供試体1が発生する大きな静荷重を負担することができ、試験中の供試体1の6自由度の動きに追随でき、その動きによって動的な力が発生しないものを用いることがより望ましい。本実施形態では、これらの条件を満たす空気ばねを釣り合いばね20として用いている。
【0016】
走行状態での空気ばねは、車体を支持することによる大きな静荷重を負担した状態でさらに動荷重を受ける。従来の空気ばねの試験装置では、供試体の静荷重を支持しつつ、静荷重と比較してかなり小さい動荷重を与えることが難しかった。しかし、本実施形態では、静荷重を支持する釣り合いばね20と、動荷重を供試体1に与えるモーションベース2とが別個体であるため、供試体1の静荷重を釣り合いばね20が打ち消しつつ、モーションベース2が動荷重を供試体1に与えることが可能となり、より高精度な試験を行うことができる。
【0017】
本実施形態では、供試体1に下側から振動を与える機構と、供試体1を同じく下側から支持すると機構とが干渉しないようにするため、供試体1と釣り合いばね20の間に間隙が設けられており、支持フレーム220によって供試体1に振動が与えられると共に、支持フレーム220を貫通する力伝達部材24によって供試体1と釣り合いばね20の間で力が伝達される構造となっている。
【0018】
また、振動によって供試体1が発生する6分力(X,Y,Zの各軸方向の並進力および各軸周りのトルク(モーメント))を測定するためには6分力計を設ければよいが、力伝達部材24を設ける必要性から、6分力計を車体との接続面1aの中心位置に配置することができず、代わりに3個の3分力計(ロードセル30)を力伝達部材24の周囲に配置している。後述するように、測定された3分力が6分力に変換されるため、結果として6分力を測定することが可能となる。
【0019】
図2において、ロードセル30から出力されたアナログ信号はA/D変換部4によってデジタル信号に変換され、力変換部13へ出力される。力変換部13は、3箇所で測定された3分力の測定値を6分力の値に変換し、変換結果を測定結果記憶部5および車両運動シミュレーション部6へ出力する。
【0020】
測定結果記憶部5は力変換部13の変換結果、すなわち6分力の測定結果を記憶する。車両運動シミュレーション部6は、鉄道車両の運動シミュレーションの結果に基づいてモーションベース2による加振の条件を決定する。具体的には、車両運動シミュレーション部6は、仮想の車両をコンピュータ上に構築するため車両運動のシミュレーションを行い、その結果を取付点座標演算部9へ出力する。車両運動シミュレーション部6から取付点座標演算部9へ出力されるシミュレーション結果のデータは、車体の重心の6自由度の変位、台車の重心の6自由度の変位、および台車・車体の重心に対する供試体1の固定的な相対位置である。
【0021】
取付点座標演算部9は、入力されたデータに基づいて、供試体1の仮想車両における取付点の座標を演算し、モーションベース座標演算部10へ演算結果を出力する。モーションベース座標演算部10は、供試体1の取付点の座標を、モーションベース2の座標系における座標に変換し、変換結果を伝達関数補正部11へ出力する。
【0022】
上記の車両運動シミュレーション部6、取付点座標演算部9、およびモーションベース座標演算部10が本発明の情報生成手段の一実施形態である。モーションベース2によって供試体1に与えられる変位に係る情報(本実施形態では供試体1の取付点の座標)が、これらの構成によって生成されることになる。
【0023】
伝達関数補正部11は、モーションベース座標演算部10で演算した座標の通りにモーションベース2が動作するように補正を行い、モーションベース2の位置指令に係る信号を出力する。伝達関数補正部11から出力された信号は、D/A変換部12によってデジタル信号に変換され、モーションベースコントローラ3へ出力される。モーションベースコントローラ3は、入力された信号に基づいてモーションベース2の動作を制御する。
【0024】
上述したように、車両運動シミュレーション部6で算出された車両運動の結果に基づいて供試体1が加振され、供試体1の挙動が車両運動シミュレーションにフィードバックされ、車両運動シミュレーションが継続されることによって、車両の走行状態が模擬される。このような閉ループ構造を構成することにより、仮想的な車両運動シミュレーションの精度を向上させることができる。あるいは、仮想的な車両への供試体1の取付効果を推定することができる。
【0025】
車両運動シミュレーションの結果に基づいて供試体1を加振するという試験だけでは、供試体1の特性の評価には十分でない場合がある。そこで、本実施形態では、車両運動シミュレーション部6の他に実車両走行データ再生部7および特性同定用振動波発生部8が設けられている。これらも、本発明の情報生成手段の一実施形態である。車両運動シミュレーション部6、実車両走行データ再生部7、および特性同定用振動波発生部8は、試験時にそれらのいずれか1つが動作するように選択可能となっている。実車両走行データ再生部7および特性同定用振動波発生部8のいずれかが動作しているときは、力変換部13から出力されたデータは測定結果記憶部5のみへ出力される。
【0026】
実車両走行データ再生部7は、鉄道車両の実際の走行時における空気ばねの動作の結果に基づいて加振の条件を決定する。具体的には、実車両走行データ再生部7は、実際の走行時における空気ばねの6分力測定結果のデータと空気ばねの取付位置とに基づいて、車体の重心の6自由度の変位、台車の重心の6自由度の変位、および台車・車体の重心に対する供試体1の固定的な相対位置を演算する。実際の車両走行時のデータに基づいて試験を行い、測定結果を解析することによって、供試体1の特性を評価することができる。
【0027】
また、車両運動シミュレーションに用いられる供試体1のモデルは理想化されており、現実の供試体1を十分にモデル化しているとは言えない。そこで、特性同定用振動波発生部8は、供試体1の特性を同定し、その特性を表すシミュレーションモデルを構築するのに必要な試験を行うための加振の条件を決定する。
【0028】
具体的には、特性同定用振動波発生部8は、ランダム波または正弦波等の所定の振動波に基づいた変位を供試体1に与えるため、供試体1の取付点の座標を演算し、モーションベース座標演算部10へ演算結果を出力する。この振動波の波形は供試体1の設計上の動作範囲を超えないものである。このような所定の振動を供試体1に与える試験を行い、測定結果を解析することによって、供試体1の特性を同定することができる。
【0029】
上述したように、本実施形態によれば、モーションベース2によって多自由度の変位が供試体1に与えられるので、多自由度の変位に対する供試体1の応答特性を試験することができる。以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態による試験装置の構造を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による試験装置の機能構成を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態による試験装置が備えるロードセルの配置位置を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・供試体、2・・・モーションベース、3・・・モーションベースコントローラ、4・・・A/D変換部、5・・・測定結果記憶部、6・・・車両運動シミュレーション部、7・・・実車両走行データ再生部、8・・・特性同定用振動波発生部、9・・・取付点座標演算部、10・・・モーションベース座標演算部、11・・・伝達関数補正部、12・・・D/A変換部、13・・・力変換部、20・・・釣り合いばね、22,25,26,28・・・アダプタ、24・・・力伝達部材、30・・・ロードセル

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2