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明細書 :鉄道車両用防振体の試験装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4892281号 (P4892281)
公開番号 特開2007-327831 (P2007-327831A)
登録日 平成23年12月22日(2011.12.22)
発行日 平成24年3月7日(2012.3.7)
公開日 平成19年12月20日(2007.12.20)
発明の名称または考案の名称 鉄道車両用防振体の試験装置
国際特許分類 G01M   7/02        (2006.01)
G01M  17/08        (2006.01)
G01N   3/32        (2006.01)
B61K  13/00        (2006.01)
FI G01M 7/00 C
G01M 17/00 F
G01N 3/32 Z
B61K 13/00 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2006-158679 (P2006-158679)
出願日 平成18年6月7日(2006.6.7)
審査請求日 平成20年7月15日(2008.7.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】佐々木 君章
【氏名】渡辺 信行
【氏名】梅原 康宏
【氏名】小金井 玲子
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 隆
審査官 【審査官】▲高▼見 重雄
参考文献・文献 特開平03-048131(JP,A)
特開平09-105706(JP,A)
実開平02-043639(JP,U)
鉄道車両用オイルダンパ—性能通則,JIS E 4205:2001,日本,日本規格協会,2001年 7月31日,1~9頁
小林善一郎 他,”鉄道車両用空気ばね制御システムの開発”,日本機械学会論文集(C編) 57巻541号,1991年 9月,2860~2865頁
調査した分野 G01M 7/02
B61K 13/00
G01M 17/08
G01N 3/32
特許請求の範囲 【請求項1】
鉄道車両用防振体に与えられる変位に係る変位情報に基づいて前記鉄道車両用防振体の一端を加振する多自由度の加振手段と、
前記鉄道車両用防振体の他端に接続され、前記加振手段の加振による前記鉄道車両用防振体の動作を計測する計測手段と、
鉄道車両の運動シミュレーションの結果に基づいて前記変位情報を生成する情報生成手段と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両用防振体の試験装置。
【請求項2】
鉄道車両用防振体に与えられる変位に係る変位情報に基づいて前記鉄道車両用防振体の一端を加振する多自由度の加振手段と、
前記鉄道車両用防振体の他端に接続され、前記加振手段の加振による前記鉄道車両用防振体の動作を計測する計測手段と、
鉄道車両の実際の走行時における前記鉄道車両用防振体の動作の結果を示すデータに基づいて前記変位情報を生成する情報生成手段と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両用防振体の試験装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、防振のために鉄道車両に取り付けられる鉄道車両用防振体の試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両には、振動を抑えるためのダンパが車体と台車の間等に設けられている。従来、ダンパの特性を試験する際には、ダンパの主軸方向にのみ振動を与え、ダンパの特性を評価していた(例えば非特許文献1参照)。

【非特許文献1】「鉄道車両用オイルダンパ-性能通則」,財団法人日本規格協会,平成13年7月31日,p5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ダンパの両端には、変位を許容するゴムブッシュ等が付いており、ダンパをこじった状態で動作させると、ダンパに無理な力が掛かり、ダンパの特性が変化する。しかし、従来のダンパ試験では、ダンパの主軸方向の特性しか評価することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、鉄道車両用防振体の多自由度の特性を試験することができる鉄道車両用防振体の試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、鉄道車両用防振体に与えられる変位に係る変位情報に基づいて前記鉄道車両用防振体の一端を加振する多自由度の加振手段と、前記鉄道車両用防振体の他端に接続され、前記加振手段の加振による前記鉄道車両用防振体の動作を計測する計測手段と、鉄道車両の運動シミュレーションの結果に基づいて前記変位情報を生成する情報生成手段と、を備えたことを特徴とする鉄道車両用防振体の試験装置である。
【0006】
また、本発明は、鉄道車両用防振体に与えられる変位に係る変位情報に基づいて前記鉄道車両用防振体の一端を加振する多自由度の加振手段と、前記鉄道車両用防振体の他端に接続され、前記加振手段の加振による前記鉄道車両用防振体の動作を計測する計測手段と、鉄道車両の実際の走行時における前記鉄道車両用防振体の動作の結果を示すデータに基づいて前記変位情報を生成する情報生成手段と、を備えたことを特徴とする鉄道車両用防振体の試験装置である
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加振手段によって多自由度の変位が鉄道車両用防振体に与えられるので、多自由度の変位に対する鉄道車両用防振体の応答特性を試験することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による試験装置の構成を示している。本実施形態では、試験対象の供試体を鉄道車両用ダンパとしている。供試体1の一端1aは、多自由度の加振機構である公知のモーションベース2(加振手段)によって支持され、他端1bは固定されている。モーションベース2によって、供試体1が加振される。
【0011】
図2に示すように、モーションベース2は、伸縮自在に構成された6本のシリンダ(アクチュエータ)が支持フレーム220と台座230の間に介在する構造を有している。なお、図1および図2では、3本のシリンダ210a,210b,210cのみを図示している。支持フレーム220上の供試体接続部240は供試体1の一端1aに接続されている。
【0012】
シリンダ210a,210b,210cはそれぞれ、上側接続部250a,250b,250cを介して支持フレーム220に接続され、下側接続部260a,260b,260cを介して台座230に接続されている。モーションベースコントローラ3の指示により、各シリンダが伸縮し、供試体接続部240に接続された供試体1の一端1aには、6自由度(X,Y,Zの各軸方向および各軸周りの回転方向)の変位が与えられる。
【0013】
モーションベース2の加振による供試体1の動作を計測するため、供試体1の他端1bには、6分力計20(計測手段)が取り付けられている。6分力計20によって、X,Y,Zの各軸方向の並進力および各軸周りのトルク(モーメント)が測定され、測定結果を示すアナログ信号が出力される。アナログ信号はA/D変換部4によってデジタル信号に変換され、測定結果記憶部5および車両運動シミュレーション部6に入力される。
【0014】
測定結果記憶部5は、6分力計20で測定された力およびトルクの測定値を記憶する。車両運動シミュレーション部6は、鉄道車両の運動シミュレーションの結果に基づいてモーションベース2による加振の条件を決定する。具体的には、車両運動シミュレーション部6は、仮想の車両をコンピュータ上に構築するため車両運動のシミュレーションを行い、その結果を取付点座標演算部9へ出力する。車両運動シミュレーション部6から取付点座標演算部9へ出力されるシミュレーション結果のデータは、車体の重心の6自由度の変位、台車の重心の6自由度の変位、および台車・車体の重心に対する供試体1の固定的な相対位置である。
【0015】
取付点座標演算部9は、入力されたデータに基づいて、供試体1の仮想車両における取付点(一端1aおよび他端1b)の座標を演算し、モーションベース座標演算部10へ演算結果を出力する。モーションベース座標演算部10は、供試体1の取付点の座標を、モーションベース2の座標系における座標に変換し、変換結果を伝達関数補正部11へ出力する。
【0016】
上記の車両運動シミュレーション部6、取付点座標演算部9、およびモーションベース座標演算部10が本発明の情報生成手段の一実施形態である。モーションベース2によって供試体1に与えられる変位に係る情報(本実施形態では供試体1の取付点の座標)が、これらの構成によって生成されることになる。
【0017】
伝達関数補正部11は、モーションベース座標演算部10で演算した座標の通りにモーションベース2が動作するように補正を行い、モーションベース2の位置指令に係る信号を出力する。伝達関数補正部11から出力された信号は、D/A変換部12によってデジタル信号に変換され、モーションベースコントローラ3へ出力される。モーションベースコントローラ3は、入力された信号に基づいてモーションベース2の動作を制御する。
【0018】
上述したように、車両運動シミュレーション部6で算出された車両運動の結果に基づいて供試体1が加振され、供試体1の挙動が車両運動シミュレーションにフィードバックされ、車両運動シミュレーションが継続されることによって、車両の走行状態が模擬される。このような閉ループ構造を構成することにより、仮想的な車両運動シミュレーションの精度を向上させることができる。あるいは、仮想的な車両への供試体1の取付効果を推定することができる。
【0019】
車両運動シミュレーションの結果に基づいて供試体1を加振するという試験だけでは、供試体1の特性の評価には十分でない場合がある。そこで、本実施形態では、車両運動シミュレーション部6の他に実車両走行データ再生部7および特性同定用振動波発生部8が設けられている。これらも、本発明の情報生成手段の一実施形態である。車両運動シミュレーション部6、実車両走行データ再生部7、および特性同定用振動波発生部8は、試験時にそれらのいずれか1つが動作するように選択可能となっている。実車両走行データ再生部7および特性同定用振動波発生部8のいずれかが動作しているときは、A/D変換部4から出力されたデータは測定結果記憶部5のみへ出力される。
【0020】
実車両走行データ再生部7は、鉄道車両の実際の走行時におけるダンパの動作の結果に基づいて加振の条件を決定する。具体的には、実車両走行データ再生部7は、実際の走行時におけるダンパの6分力測定結果のデータとダンパの取付位置とに基づいて、車体の重心の6自由度の変位、台車の重心の6自由度の変位、および台車・車体の重心に対する供試体1の固定的な相対位置を演算する。実際の車両走行時のデータに基づいて試験を行い、測定結果を解析することによって、供試体1の特性を評価することができる。
【0021】
また、車両運動シミュレーションに用いられる供試体1のモデルは理想化されており、現実の供試体1を十分にモデル化しているとは言えない。例えば、ダンパの減衰係数は速度に比例するものとされているが、ダンパの取付点に使用されているゴムの影響により、非線形要素が無視できなくなる。そこで、特性同定用振動波発生部8は、供試体1の特性を同定し、その特性を表すシミュレーションモデルを構築するのに必要な試験を行うための加振の条件を決定する。
【0022】
具体的には、特性同定用振動波発生部8は、ランダム波または正弦波等の所定の振動波に基づいた変位を供試体1に与えるため、供試体1の取付点の座標を演算し、モーションベース座標演算部10へ演算結果を出力する。この振動波の波形は供試体1の設計上の動作範囲を超えないものである。このような所定の振動を供試体1に与える試験を行い、測定結果を解析することによって、供試体1の特性を同定することができる。
【0023】
図1および図2では、供試体1の主軸方向が水平方向であるが、主軸方向がこれと異なる供試体の試験を行うことも可能である。図3(a)は、供試体1の主軸方向が垂直方向の場合の構成例を示している。また、ダンパの中には、主軸方向を斜めにして取り付けるものがあり、従来の試験装置では、特別な治具が必要であったり、装置全体を傾けなければならなかったり等の問題があった。しかし、図3(b)に示すように、モーションベース2の可動範囲内で供試体1の主軸方向を斜めにすることができ、特別な治具は必要なくなる。このように、様々な取付状態の供試体の試験を行うことができる。
【0024】
上述したように、本実施形態によれば、モーションベース2によって多自由度の変位が供試体1に与えられるので、多自由度の変位に対する供試体1の応答特性を試験することができる。以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、車体と台車の間に設けられる鉄道車両用空気ばねを供試体としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による試験装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による試験装置が備えるモーションベースの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態による試験装置の他の構成例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1・・・供試体、2・・・モーションベース、3・・・モーションベースコントローラ、4・・・A/D変換部、5・・・測定結果記憶部、6・・・車両運動シミュレーション部、7・・・実車両走行データ再生部、8・・・特性同定用振動波発生部、9・・・取付点座標演算部、10・・・モーションベース座標演算部、11・・・伝達関数補正部、12・・・D/A変換部、20・・・6分力計

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2