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明細書 :橋梁の構築工法およびその橋梁構造物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4863268号 (P4863268)
公開番号 特開2007-321452 (P2007-321452A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
公開日 平成19年12月13日(2007.12.13)
発明の名称または考案の名称 橋梁の構築工法およびその橋梁構造物
国際特許分類 E01D  21/00        (2006.01)
E01D   1/00        (2006.01)
E01D  19/04        (2006.01)
E02D  17/18        (2006.01)
FI E01D 21/00 Z
E01D 1/00 C
E01D 19/04 C
E02D 17/18 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2006-153219 (P2006-153219)
出願日 平成18年6月1日(2006.6.1)
審判番号 不服 2010-021252(P2010-021252/J1)
審査請求日 平成20年7月11日(2008.7.11)
審判請求日 平成22年9月22日(2010.9.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】龍岡 文夫
【氏名】舘山 勝
【氏名】渡辺 健治
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
参考文献・文献 特開2005-113467(JP,A)
特開2002-4224(JP,A)
特開2005-68816(JP,A)
特公昭57-37724(JP,B2)
調査した分野 E01D
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)ジオテキスタイルと土嚢の壁面部材を用いて補強盛土を構築し、
(b)該補強盛土の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で基礎杭を施工し、
(c)前記補強盛土に上部に厚みを残す壁面工を施工し、
(d)前記補強盛土の対面する側にも同時に、ジオテキスタイルと土嚢の壁面部材を用いて補強盛土を構築し、
(e)該補強盛土の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で基礎杭を施工し、
(f)前記補強盛土に上部に厚みを残す壁面工を施工し、
(g)前記互いに対面する補強盛土にそれぞれ施工された前記壁面工間上に鉄筋コンクリートを打設した橋桁を設け、前記補強盛土と前記壁面工と前記橋桁とを一体化することを特徴とする橋梁の構築工法。
【請求項2】
(a)ジオテキスタイルと土嚢の壁面部材を用いて構築される補強盛土と、
(b)該補強盛土の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で施工される基礎杭と、
(c)前記補強盛土に施工される上部に厚みを残す壁面工と、
(d)ジオテキスタイルと土嚢の壁面部材を用いて前記補強盛土の対面する側にも同時に構築される補強盛土と、
(e)該補強盛土の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で施工される基礎杭と、
(f)前記補強盛土に施工される上部に厚みを残す壁面工と、
(g)前記互いに対面する補強盛土にそれぞれ施工された前記壁面工間上に鉄筋コンクリートを打設した橋桁とを具備し、前記補強盛土と前記壁面工と前記橋桁とを一体化することを特徴とする橋梁構造物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、河川や道路横断部等における橋梁の構築方法およびその橋梁構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、河川部や道路交差部に橋梁を構築する場合には、初めに、図6(a)に示すように支持地盤101に基礎杭102(支持地盤101が強固な場合には基礎杭102は不要な場合もある)を打ち、その上に橋台103を構築する。その後、図6(b)に示すように、橋台103の背面に盛土104を盛り立て、橋台103上に固定支承105と自由支承106とを設置し、橋桁107を橋台103間に構築するという手順で施工されてきた。ここで橋台103は、盛土104による土圧に抵抗するとともに、橋桁107の桁座として、桁自重や桁に上載する列車などを支持する役割がある。
【0003】
また、本願の発明者らは、既に、(1)土嚢を積み、コントリートを食いつかせることによる盛土の構築に伴う安定化工法及びその構造物(補強土壁工法)を提案している(下記特許文献1参照)。また、(2)切土直後の地盤、あるいは一般の地盤を補強するための引張り補強体について提案している(下記特許文献2参照)。さらに、(3)橋梁改築に伴う橋台の構築工法およびその橋台構造物について提案している(下記特許文献3参照)。

【特許文献1】特公平4-53204号公報
【特許文献2】特許第2575329号公報
【特許文献3】特開2005-68816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した橋梁の構築工法およびその橋梁構造物では、橋台基礎部には大きな水平力と鉛直力、モーメントが作用するため、大きなフーチングと多数の基礎杭が必要となる。また、従来の施工法では、杭基礎を施工した後に、橋台背面の盛土を盛り立てることになるため、盛土の盛り立て時に橋台構造物に過大な土圧を与える可能性があるだけでなく、地盤が過大に沈下したり側方に変位して杭基礎を押す場合がある。これを抑制しようとすると、さらに大掛かりな基礎が必要となる。
【0005】
構築後においても、橋台とその背面の盛土は弱点となりやすい。特に、図7に示すように、背面の盛土104が沈下した場合には、橋台103との間に段差が生じて列車や自動車の走行安全性に支障を与える。しかも、地震時(特にレベル2地震動)において橋台構造物に過大な土圧を与える可能性があるだけでなく、橋台背後の盛土の沈下を抑制することは難しい。また、従来の橋梁では、橋桁支承の維持管理も問題になる。さらに、多数の工種から構成されるため、従来の構造形式の橋台は、一般に建設費が高く建設期間が長い。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて、堅牢で高強度な、地震に強い橋梁の構築工法およびその橋梁構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕橋梁の構築工法において、
(a)ジオテキスタイル(2)と土嚢(3)の壁面部材を用いて補強盛土(4)を構築し、
(b)この補強盛土(4)の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で基礎杭(5)を施工し、
(c)前記補強盛土(4)に上部に厚みを残す壁面工(6)を施工し、
(d)前記補強盛土(4)の対面する側にも同時に、ジオテキスタイル(2)と土嚢(3)の壁面部材を用いて補強盛土(4)を構築し、
(e)この補強盛土(4)の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で基礎杭(5)を施工し、
(f)前記補強盛土(4)に上部に厚みを残す壁面工(6)を施工し、
(g)前記互いに対面する補強盛土(4,4)にそれぞれ施工された前記壁面工(6,6)間上に鉄筋コンクリートを打設した橋桁(7)を設け、前記補強盛土(14)と前記壁面工(6)と前記橋桁(7)とを一体化することを特徴とする。
【0008】
〕橋梁構造物において、
(a)ジオテキスタイル(2)と土嚢(3)の壁面部材を用いて構築される補強盛土(4)と、
(b)この補強盛土(4)の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で施工される基礎杭(5)と、
(c)前記補強盛土(4)に施工される上部に厚みを残す壁面工(6)と、
(d)ジオテキスタイル(2)と土嚢(3)の壁面部材を用いて、前記補強盛土(4)の対面する側にも同時に構築される補強盛土(4)と
(e)この補強盛土(4)の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で施工される基礎杭(5)と、
(f)前記補強盛土(4)に施工される上部に厚みを残す壁面工(6)と、
(g)前記互いに対面する補強盛土(4,4′)にそれぞれ施工された前記壁面工(6,6)間上に鉄筋コンクリートを打設した橋桁とを具備し、前記補強盛土(4)と前記壁面工(6)と前記橋桁(7)とを一体化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、堅牢で高強度な、地震に強い橋梁の構築工法およびその橋梁構造物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の橋梁の構築工法は、ジオテキスタイルと土嚢の壁面部材を用いて補強盛土を構築し、この補強盛土の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で基礎杭を施工し、前記補強盛土に上部に厚みを残す壁面工を施工し、前記補強盛土の対面する側にも同時に、ジオテキスタイルと土嚢の壁面部材を用いて補強盛土を構築し、この補強盛土の盛り立てによる地盤沈下が収束した段階で基礎杭を施工し、前記補強盛土に上部に厚みを残す壁面工を施工し、前記互いに対面する補強盛土にそれぞれ施工された前記壁面工間上に鉄筋コンクリートを打設した橋桁を設け、前記補強盛土と前記壁面工と前記橋桁とを一体化する。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の実施例を示す橋梁の構築工法について説明する。
図1は本発明の実施例を示す橋梁の構築工法を示す模式図である。
この実施例は、河川や道路横断部などにおける橋梁の構築方法に関するものである。
(1)図1(a)に示すように、初めに補強土壁工法の手順で、ジオテキスタイル2と土嚢3などを用いて、補強盛土4を構築する。
【0012】
(2)次に、図1(a)に示すように、支持地盤1が軟弱な場合には、補強盛土4の盛り立てによる地盤沈下などが収束した段階で基礎杭5などの基礎を施工する。ただし、支持地盤1が堅固な場合には、基礎杭5は不要となる。
(3)次に、図1(b)に示すように、壁面工6を施工する。その際に、その壁面工6の上部を所定の厚み(橋桁の厚み)残しておく。
【0013】
(4)同時に、図1(c)に示すように、対面する側にも補強盛土4と、必要に応じて基礎杭5などを施工し、壁面工6を施工する。
(5)次に、図1(c)に示すように、対面する補強盛土4の壁面工6と、橋桁7の梁部分7Aを一体化するように、鉄筋コンクリートを打設し、ラーメン橋梁8とする。つまり、橋桁7の梁部分7Aに打設される鉄筋コンクリートは、土嚢3とジオテキスタイル2に十分に食いつくことになり、橋桁7と補強盛土4とが強固に構築される。したがって、橋桁7上を、例えば、列車9が走行しても、橋桁7と補強盛土4とは強固に一体化されているので、橋桁7と補強盛土4の間が陥没することはない。
【0014】
このように、初めに補強盛土構造で盛土部を構築することにより、施工中ならびに構築初期に生じる盛土や地盤の変形に対する高い追随性を確保することができる。この工法は補強土壁工法と呼ばれ、擁壁の代替として多くの実績を有する。この補強土壁工法により壁面部(壁面工)と橋桁とを一体化した鉄筋コンクリートの打設によるラーメン橋梁を打設する前に盛土が建設されるので、盛土の盛り立てに伴う地盤の変形を抑制するための基礎杭や地盤改良は不要である。
【0015】
しかしながら、完成後に、ラーメン橋梁8の自重や交通荷重によるラーメン橋梁8(壁面工6+橋桁7)の長期残留沈下を防ぐ必要がある場合には、基礎杭5が必要となる。また、壁面工6は補強盛土4と一体となっていて活荷重は補強盛土4内にも分散される。また、地震時などにおいて、ラーメン橋梁8に水平慣性力が作用した場合でも、補強盛土4背面のジオテキスタイル2が抵抗するため、基礎杭5に作用する水平力やモーメントは格段に小さくなる。したがって、基礎杭5の本数は大幅に少なくすることができる。
【0016】
また、支承を有しない橋台・橋桁の一体構造であり、支承の製作、設置費、維持管理費が不要となる。
なお、背面盛土を補強盛土構造としないラーメン橋梁も考えられ、実際にヨーロッパなどにおいては多用されている(図5)。しかし、この場合には橋桁の温度変化に伴う熱膨張収縮による壁面工の強制繰返し水平変位(年周期)によって、壁面工背後の盛土が沈下し、最大土圧が増加する場合がある。したがって、補強盛土を併用しないラーメン橋梁では、この増加した土圧に対して壁面工が構造的に対抗する必要がある。一方、本発明の工法は、背面盛土にジオテキスタイルを配置し、ラーメン橋梁と一体化を図ることを特徴とする。つまり、図2に示すように、ジオテキスタイル2で補強されているため拘束圧が高くなり補強盛土4の剛性が増加し、温度変化による壁面工6の強制繰返し水平変位も減少する。また、壁面工6の背面に結合されているジオテキスタイル2によって盛土の累積的な沈下が防止できる。さらに、壁面工6とジオテキスタイル2が結合されている箇所は壁面工6に対する支点として機能するので、作用土圧が増加しても壁面工6は多支点で支持された連続梁として機能するので、壁面工6には高い構造的強度が必要にはならない。
【0017】
さらに、構造的な特徴として、両側の橋台としての壁面工6と橋桁7が一体化されることによって耐震性が向上する。これらの相乗効果で、温度変化による壁面工6の背後での盛土沈下や、地震荷重による壁面工6の背後での盛土沈下がさらに防止できる。
なお、上記した図1(b)に示すように、壁面工6を施工する際に、その壁面工6の上部を所定の厚みを残すのではなく、当初から門型の鉄筋をくみ上げておき、壁面工と橋桁とのラーメン橋梁の鉄筋コンクリートを同時に打設するようにしてもよい。この場合にも、補強盛土とラーメン橋梁との強固な一体化を図ることができる。
【0018】
図3は本発明の参考例を示す橋梁の構築工法を示す模式図である。
上記実施例は、専ら橋梁を新築する場合の施工手順であったが、既設橋梁の架け替え時においても、本発明は応用できる。つまり、補強盛土の部分を地山補強土工法で構築し、ラーメン橋梁と一体化すれば、上記と同じ構造となる。具体的な施工手順は以下の通りである。
(1)既設盛土11,11′に土留め壁(H鋼や鋼矢板、ソイルセメント壁など)12,12′を打設し、その後、小段の掘削を行う。
(2)掘削面に対して、ネイリング、マイクロパイリング、ダウアリングなどの引張り補強材13,13′を打設し、これらの工程を繰り返し、所定の深さまで掘削する。
(3)土留め壁12,12′の前面の空いたスペースに、必要に応じて基礎杭14,14′を設置する。
(4)最終的に、引張り補強材13,13′、土留め壁12,12′と橋桁15Aの梁部分15Bとを連結し一体化するように鉄筋コンクリートを打設し、ラーメン橋梁15を構築する。
【0019】
このように、補強盛土の部分を地山補強土工法と引張り補強材、土留め壁と連結し一体化するように鉄筋コンクリートを打設し、ラーメン橋梁を構築することにより、上記実施例と同様に盛土の累積的な沈下が防止でき、両側の橋台が一体化されることによって耐震性が向上する。これらの相乗効果で、温度変化による壁面工背後での盛土沈下や、地震荷重による壁面工背後での盛土沈下がさらに防止できる。
【0020】
図4は本発明の参考例を示す橋梁の構築工法を示す模式図である。
この図において、22は橋梁の桁長が長い場合に設けられる橋脚であり、この橋脚22は橋桁7の中間部の基礎杭21上において、ローラ支承23により鉛直力だけを支持する構造である。
このように、本発明のラーメン橋梁において桁長が長い場合、ローラ支承により鉛直力だけを支持する構造とした橋脚を中間部に設けることにより、ラーメン橋梁の支持力を高めることができる。
【0021】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の橋梁の構築工法及びその橋梁構造物は、堅牢で高強度な、地震にも強い鉄道や道路の橋梁の構築工法及びその橋梁構造物として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例を示す橋梁の構築工法を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例を示す橋梁の構築工法による橋梁の構造を示す模式図である。
【図3】本発明の参考例を示す橋梁の構築工法を示す模式図である。
【図4】本発明の参考例を示す橋梁の構築工法を示す模式図である。
【図5】従来の補強なしの盛土で施工される橋梁を示す模式図である。
【図6】従来の橋梁の構築工法を示す図である。
【図7】図6に示した従来の橋梁の構築工法の問題点を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 支持地盤
2 ジオテキスタイル
3 土嚢
4 補強盛土
5,14,14′,21 基礎杭
6 壁面工
7,15A 橋桁
7A,15B 梁部分
8,15 ラーメン橋梁
9 列車
11,11′ 既設盛土
12,12′ 土留め壁
13,13′ 引張り補強材
22 橋脚
23 ローラ支承
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6