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明細書 :レーザーアブレーション成膜装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4370408号 (P4370408)
公開番号 特開2007-270284 (P2007-270284A)
登録日 平成21年9月11日(2009.9.11)
発行日 平成21年11月25日(2009.11.25)
公開日 平成19年10月18日(2007.10.18)
発明の名称または考案の名称 レーザーアブレーション成膜装置
国際特許分類 C23C  14/28        (2006.01)
FI C23C 14/28
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2006-098046 (P2006-098046)
出願日 平成18年3月31日(2006.3.31)
審査請求日 平成18年11月24日(2006.11.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】大久保 利一
【氏名】光木 文秋
審査官 【審査官】宮澤 尚之
参考文献・文献 特開2002-038257(JP,A)
特開2004-269927(JP,A)
特開2005-068536(JP,A)
特開2002-256425(JP,A)
特開2005-298926(JP,A)
特開2005-307302(JP,A)
特開平10-265948(JP,A)
特開2005-272898(JP,A)
特開2004-323876(JP,A)
調査した分野 C23C 14/00-14/58
特許請求の範囲 【請求項1】
一方に排気装置を装着し他方に反応ガス導入装置を装着した横状態の真空円筒体(100)と、
前記真空円筒体(100)の中間部に連通して下部を着脱可能に接続し上部内に基板保持室(400)を有しその下方の壁にレーザー導入窓体(201)を密着設置した円筒状のレーザーアブレーションチャンバー(200)と、
前記レーザーアブレーションチャンバー(200)の下方の対向部において前記真空円筒体(100)の中間部に上部を連通して着脱可能に接続し前記レーザーアブレーションチャンバー(200)内の基板保持室(400)の下方に成膜原料のターゲット材(T)を挿出入するエレベーター装置(300)と、
前記レーザーアブレーションチャンバー(200)内の上部の基板保持室(400)内に成膜される基板を外部から挿出入する基板交換装置と、
を設けたことを特徴とするレーザーアブレーション成膜装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーアブレーション成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザーアブレーション成膜法は、薄膜の母体材料であるターゲットにパルスレーザーを照射してターゲット表面をアブレーションし、放出された粒子群を基板上に堆積させる成膜法である。
チャンバー内のガス種やその圧力を幅広く調整でき、金属酸化物・窒化物をはじめとする無機材料や有機材料の成膜に適している。ターゲットの組成がそのまま薄膜の組成に反映しやすく、結晶制御などが簡単であることから、これまで主に研究用の成膜技術として注目を集めてきた。ターゲットおよび基板ヒーターを設置するので、成膜に用いるチャンバーは比較的容量が大きい。特に、積層膜作製においては、複数個のターゲットを並べて設置している。また、観測用のポートが数多く付属しているものが多く、比較的高価である。
一般的なレーザーアブレーション成膜装置はマルチ処理タイプで図4に一例を示す。図4例のレーザーアブレーション成膜装置は、直径1m前後の比較的大きく高額なチャンバー10に排気装置16と反応ガス導入装置14を接続した大型のもので、チャンバー10内に、一つのターゲットと呼ばれる母体材料13を載置台上に載置し、また、その対向位置に基板11をセットしたヒーター12を配置し、その後に排気装置16によりチャンバー10を所定の真空度にし、場合によっては反応ガス導入装置14から必要なガスを必要濃度にして、レーザー照射装置15からパルスレーザーをターゲット13に照射して基板11表面に成膜を行うものである。
これによりチャンバー内圧力にも依存するが成膜面積は通常直径10cm未満でありこの実際の成膜領域に対してチャンバーのサイズが大きすぎる。またこの成膜作業は、ターゲットや基板の取り出し交換や排気や圧力調整に多大の時間と労力と費用を必要とする。
また、一つの基板に複数膜を生成する積層薄膜の成膜の場合は、上記一つの大型チャンバー内に複数個のターゲットを並べて置き、順にアブレーションさせるので、薄膜に他のターゲット成分が不純物として混入する可能性がある。
大型なチャンバー10には成膜の様子を観測するためのポートが設置されているなど、チャンバー形状が複雑であり内部クリーニングは手間がかかり甚だ煩雑で厄介である。


【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上のことから、レーザーアブレーション成膜装置は、チャンバー10内の環境をコントロールしながらターゲットや基板の任意の交換による成膜作業の自動化又は半自動化及び小型化による利便化が強く要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記問題を解決するものでありその特徴とするところは、真空円筒体の一方に排気装置を装着し、他方に反応ガス導入装置を装着し、中間部にレーザーアブレーションチャンバーを着脱可能に突設装着しその対向部に該小型チャンバー内に成膜原料のターゲットを挿出入するエレベーター装置を着脱可能に突設装着し、前記レーザーアブレーションチャンバーにレーザー導入窓体を密着設置すると共に上部に成膜される基板を挿出入する基板保持交換装置を装着せしめたレーザーアブレーション成膜装置である。

【発明の効果】
【0005】
本発明の上記構成のレーザーアブレーション成膜装置は、真空円筒体の一方に排気装置を装着し、他方に反応ガス導入装置を装着し、中間部にレーザーアブレーションチャンバーを着脱可能に突設装着したので、真空円筒体とレーザーアブレーションチャンバーの機能分化ができ各々の小容量化を有利に可能とした。これにより排気やガス圧力の調整は瞬時に行うことができるものである。
また真空円筒体の中間部にレーザーアブレーションチャンバーとその小型チャンバー内にターゲットを挿出入するエレベーター装置を着脱可能に対向配置したため基板とターゲットの交換をタイミング良く同時に又は連続的や半連続的に行うことができるものである。
レーザーアブレーションチャンバーは、真空円筒体の中間部に脱着可能にしたので、ターゲット材からのアブレーション粒子の飛散状況に応じ、その形状(球、円筒、角筒)や容積を最適化したものを予め用意し、その交換が容易にできる。
また一度のレーザーアブレーションで一種類の薄膜に特化しており、他のターゲット成分などの不純物の混入が抑えられるため、基板上に純度の高い薄膜を形成することができる。
また基板保持室はターゲットからの放出された粒子群を通す開口部を形成するもので、その開口部を任意の形状や大きさにして、微小領域への成膜から大面積領域への成膜まで、目的に応じた面積の成膜が可能である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のレーザーアブレーション成膜装置において、前記レーザーアブレーションチャンバーの形状は、球状、円筒状、角筒状などであり、材質は、ステンレスなどの金属製、もしくは、窓を兼ねた石英製でも良い。容積は、ターゲット物質とレーザーの相互作用やアブレーション粒子と雰囲気ガスとの衝突などを考慮した上で適切に設計できる。また材質を金属製にした場合は、レーザーを導入するための石英製などのレーザー導入窓体を設ける。
上記基板保持室は、一個の基板保持に特化した専用保持部にしてよく、或いは保持部上に基板を外部から挿入セットし外部に挿出する基板交換装置を設置することが容易に可能である。
基板保持室はターゲットからの放出された粒子群を通す開口部を形成するもので、その開口部は成膜に必要な任意の形状や大きさにして、微小領域への膜から大面積領域への成膜まで、目的に応じた面積と形状の成膜が可能である。
また加熱が必要な場合は保持部に基板加熱用ヒーターを付設する。
ヒーターはボルトオンタイプで簡単に交換可能で基底真空に耐え得るカートリッジにし、また材質は容量の小さなレーザーアブレーションチャンバーへの輻射熱を極力抑える目的でポーラスセラミックスなどの熱絶縁物質で覆うことが好ましい。
上記エレベーター装置は、一種類のターゲット材に特化した専用装置にしてよく、或いはエレベーター装置の昇降ステージの下降限位置で昇降ステージ上にターゲット材を外部から挿入載置し外部に挿出するターゲット材交換装置を設置することが容易にできる。

【実施例1】
【0007】
図1~図2に示す本実施例のレーザーアブレーション成膜装置は、小型の横型の真空円筒体100と、小型のレーザーアブレーションチャンバー200と、エレベーター装置300を主構成とする。
真空円筒体100は、本体を円筒状のステンレススチール製とし一方にリークバルブ101と真空ポンプ102の吸引管103とをフランジ装着し、他方にガス導入バルブ104をフランジ装着し酸素など任意の反応ガス導入装置105に接続し、中間部にレーザーアブレーションチャンバー200を着脱可能にフランジ装着しその対向部に該小型チャンバー200内にターゲットTを挿出入するエレベーター装置300を着脱可能にフランジ装着してある。
レーザーアブレーションチャンバー200は、本体を円筒状のステンレススチール製とし、側壁に石英製のレーザー導入窓体201を密着設置し、上部に基板Mを保持する基板保持室400を装着してある。
基板保持室400には、ヒーター404を昇降可能に配置し、ターゲット材Tからの放出された粒子群を通す開口部401を形成し、ポーラスセラミックス製の断熱カートリッジ402内張りし、室内に基板Mを外部から挿入セットし外部に挿出する開閉密閉蓋403を装着してある。基板を外部から挿入載置し外部に挿出する基板交換装置を設置した例は図3の実施例2にて紹介する。

ターゲット材Tを挿出入するエレベーター装置300は、載置したターゲット材Tをレーザーアブレーションチャンバー200内の所定位置に供給するものであり、本例は一個のターゲット材に特化した専用装置にしたもので、ターゲット材Tを載置する昇降ステージ301(ターゲットホルダー)とこれの昇降・回転駆動及びそれらの調整を行う昇降・回転装置302と、昇降ステージの下降限位置に、昇降ステージ上にターゲット材Tを外部から挿入載置し外部に挿出するための開閉密閉蓋303を装着してある。ターゲット材を外部から挿入載置し外部に挿出するターゲット材交換装置を設置した例は図3の実施例2にて紹介する。
【実施例2】
【0008】
本実施例は、前述したように、基板を外部から挿入載置し外部に挿出する基板交換装置とターゲット材を外部から挿入載置し外部に挿出するターゲット材交換装置を設置した例を図3により紹介するものであり実施例1と同一部分は同一符号を付しその説明を省略する。また基板交換装置とターゲット材交換装置は本例は同じ機構としたものであり同一部分は同一符号を付して基板交換装置とターゲット材交換装置を単に交換装置と総称し、基板とターゲット材を被交換体Kと総称して一元的に説明する。
交換装置は、被交換体Kの前後端面及び両側端面と裏面の両側縁のみを当接支持するパレット501を移動方向に連結配列したドウナツ盤状又はベルト状の搬送体500と、これを一パレット単位で基板保持室400に又はエレベーター装置300の昇降ステージ301下降限位置に歩進移動させる移送駆動装置(図示せず)とからなる。搬送体500はレーザーアブレーションチャンバー200の基板保持室400の前後壁400a,400bに又はエレベーター装置300の昇降ステージ下降限位置の前後壁300a,300bに設けた貫通口406、306を貫通移動する。
パレット501には昇降ステージの挿通用や開口部401に合わせた切欠部800を底部に形成してある。
被交換体Kの交換移動中の真空状態保持機構としては、前記各貫通口406.306にはパレット501が歩進移動停止時にパレット501の前後端面各々の上下左右端縁が一致するようにするので、ここに先端を上下左右端縁のシール溝700に密着挿入してシールするシャッター601、602を設けてある。また前記基板保持室400の下側と昇降ステージ下降限位置の上側の各々には被交換体の交換移動中のみ閉塞作動する開閉弁603、604を設けてある。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明のレーザーアブレーション成膜装置は、高品質な機能性薄膜・積層薄膜をピンポイントもしくは比較的狭い領域に大量成膜することが有利に可能となり、よって、各種カード、携帯電話ディスプレイ、携帯表示ペーパ、小型ボードタイプ等などへの成膜・印字が迅速的確に精度良く実施することができ、この種産業上の利用可能性は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1を示す一部側断面の説明図である。
【図2】図1の一部詳細に示す断面の説明図である。
【図3】本発明の実施例2における示す要部側断面の説明図である。
【図4】従来のレーザーアブレーションを用いた成膜積層装置例の簡略説明図
【符号の説明】
【0011】
100 真空円筒体
102 真空ポンプ
101 リークバルブ
104 ガス導入バルブ
105 反応ガス導入装置
200 レーザーアブレーションチャンバー
201 レーザー導入窓体
300 エレベーター装置
303 開閉密閉蓋
400 基板保持室
403 開閉密閉蓋
601、602 シャッター
603、604 開閉弁
K 被交換体

















図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3