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明細書 :多重インバータの制御システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4838031号 (P4838031)
公開番号 特開2007-274829 (P2007-274829A)
登録日 平成23年10月7日(2011.10.7)
発行日 平成23年12月14日(2011.12.14)
公開日 平成19年10月18日(2007.10.18)
発明の名称または考案の名称 多重インバータの制御システム
国際特許分類 H02M   7/483       (2007.01)
H02M   7/48        (2007.01)
FI H02M 7/48 Q
H02M 7/48 F
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2006-098664 (P2006-098664)
出願日 平成18年3月31日(2006.3.31)
審査請求日 平成20年7月16日(2008.7.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】奥井 明伸
【氏名】重枝 秀紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100079212、【弁理士】、【氏名又は名称】松下 義治
審査官 【審査官】服部 俊樹
参考文献・文献 特開平11-089242(JP,A)
特開平09-121555(JP,A)
特開昭53-100430(JP,A)
特開2001-128459(JP,A)
調査した分野 H02M 7/48
特許請求の範囲 【請求項1】
偶数台の単位インバータの出力変圧器をスター結線して多重化した多重インバータにおいて、前記偶数台の単位インバータを2台ずつのインバータ群にグループ分けし、各インバータ群を構成する2台の単位インバータの出力電圧の基本波の位相差が60度となるように各単位インバータを制御するようにしたことを特徴とする多重インバータの制御システム。
【請求項2】
前記2台の単位インバータのスイッチ回路に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせて前記各単位インバータをワンパルス制御することを特徴とする請求項1の多重インバータの制御システム。
【請求項3】
前記2台の単位インバータのキャリア信号を同位相にし、変調信号を60度ずらして前記各単位インバータをパルス幅変調制御することを特徴とする請求項1の多重インバータの制御システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてリニアシンクロナスモータ(以下LSMと呼ぶ)に駆動電力を供給する電力変換装置を構成する多重インバータの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超電導磁気浮上式鉄道の駆動方式として採用されている地上一次LSM方式においては、地上に大容量の可変電圧・可変周波数(VVVF)の電源が必要であることから、パルス幅変調(PWM)制御を用いた電圧型のインバータが採用されてきた。従来、インバータを構成するスイッチング素子としてGTOサイリスタを用いたLSM駆動用インバータは、素子を安定に動作させる必要から直流電圧の利用率が80%程度に抑えられていた。このため、前記の従来のインバータは変換効率が未だ低いという問題があった。
【0003】
一方、電機子コイル(推進コイル)とき電用ケーブルで構成されるき電回路は、分布定数負荷としての特性を有することから、インバータが出力する高調波によって共振が生じたり、高調波が大地に漏洩することで通信線路に誘導障害を与えたりする可能性がある。
特に、零相成分の高調波については、回路の共振周波数と一致し易いことに加え、大地を帰路として流出入するため通信誘導障害を起こし易い。
そこで、LSM駆動用インバータの出力部に出力フィルタが挿入されているが、き電長が伸びた場合や一般の電気鉄道と同様に延長き電等が行われた場合には、対応できないという問題がある。
【0004】
従来、多重インバータの高調波低減は、主にキャリア信号の位相をインバータの多重化数Nに合わせてπ/Nづつずらし、等価変調周波数を高くすることで行ってきた。この方法によれば、インバータの出力電圧に現れる高調波は多重化数Nに比例して高くなり、インバータの負荷回路が誘導性成分であれば、電流に含まれる高調波は低減する。しかしながら、零相成分の高調波の低減は行えず、他の複雑な制御方法を加える必要があった。
【0005】
特開2001-268936号公報(特許文献1)には、インバータ間の位相を60度ずらすことによって零相高調波を低減した多重インバータ装置の瞬時空間ベクトル制御方式が開示されている。しかしながら、三相を一括して制御する多重インバータ装置の瞬時空間ベクトル制御方式において、インバータ間に60度の位相差を持たせるには、制御システムの構成が複雑になると同時に、出力電圧振幅値を連続的に制御することができないため、場合によっては、頻繁にスイッチングデバイスがオン・オフを繰り返し、線間電圧高調波の増加、制御の不安定性の増加等が発生するという問題があった。

【特許文献1】特開2001-268936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、偶数台の単位インバータの出力変圧器をスター結線して多重化した多重インバータにおいて、瞬時空間ベクトル制御方式などの複雑な制御システムを用いないで、出力電圧に含まれる零相成分の高調波を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、偶数台の単位インバータの出力変圧器をスター結線して多重化した多重インバータにおいて、前記偶数台の単位インバータを2台ずつのインバータ群にグループ分けし、各インバータ群を構成する2台の単位インバータの出力電圧の基本波の位相差が60度となるように各単位インバータを制御するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、偶数台の単位インバータの出力変圧器をスター結線して多重化した多重インバータにおいて、瞬時空間ベクトル制御方式などの複雑な制御システムを用いないで、出力電圧に含まれる零相成分の高調波を抑制することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、偶数台の単位インバータの出力変圧器をスター結線して多重化し、駆動電力をLSMに供給する多重インバータにおいて、前記偶数台の単位インバータを2台ずつのインバータ群にグループ分けし、各インバータ群を構成する2台の単位インバータの出力電圧の基本波の位相差が60度となるように各単位インバータを制御するようにしたことを特徴とする多重インバータの制御システムである。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1は、図1に示す如く、三相コイルLu ,Lv ,w で示すLSM50に、任意の周波数と振幅値を持った交流電流を供給する4多重インバータ30の制御システムである。4多重インバータ30は、単位インバータ31、単位インバータ32、単位インバータ33及び単位インバータ34の出力変圧器をスター結線して多重化したインバータであって、コンバータ40の直流出力電圧VDCを所定の三相交流に変換するものである。コンバータ40は、電力会社から受電した三相交流を直流に変換する。
【0011】
スター結線されたLSM50の三相コイルLu ,Lv ,w は、4多重インバータ30のスター結線された出力トランスの対応する相の一端にそれぞれ接続されている。
【0012】
即ち、4多重インバータ30のU相の出力トランスは、単位インバータ31のU相の出力トランスTu1、単位インバータ32のU相の出力トランスTu2、単位インバータ33のU相の出力トランスTu3、単位インバータ34のU相の出力トランスTu4を直列に接続したもので、一端は接地され、他端はLSM50のコイルLuの一端に接続されている。
【0013】
また、4多重インバータ30のV相の出力トランスは、単位インバータ31のV相の出力トランスTv1、単位インバータ32のV相の出力トランスTv2、単位インバータ33のV相の出力トランスTv3、単位インバータ34のV相の出力トランスTv4を直列に接続したもので、一端は接地され、他端はLSM50のコイルLの一端に接続されている。
【0014】
更に、4多重インバータ30のW相の出力トランスは、単位インバータ31のW相の出力トランスTw1、単位インバータ32のW相の出力トランスTw2、単位インバータ33のW相の出力トランスTw3、単位インバータ34のW相の出力トランスTw4を直列に接続したもので、一端は接地され、他端はLSM50のコイルLの一端に接続されている。
【0015】
単位インバータ31は、それぞれ4個の半導体スイッチをブリッジ状に接続して構成したU相スイッチ回路U1、V相スイッチ回路V1、W相スイッチ回路W1の3つの半導体スイッチ回路で構成されている。U相スイッチ回路U1、V相スイッチ回路V1、W相スイッチ回路W1を構成する半導体スイッチ回路は、ゲート信号発生部20から各ゲートに与えられたゲート信号に対応してオン・オフ動作を行い、単位インバータ31の入力端子に印加された直流電圧VDCを三相交流電圧に変換し、U相の出力トランスTu1、V相の出力トランスTv1、及び、W相の出力トランスTw1に三相交流電圧を発生させる。
【0016】
単位インバータ32は、それぞれ4個の半導体スイッチをブリッジ状に接続して構成したU相スイッチ回路U2、V相スイッチ回路V2、W相スイッチ回路W2の3つの半導体スイッチ回路で構成されている。U相スイッチ回路U2、V相スイッチ回路V2、W相スイッチ回路W2を構成する半導体スイッチ回路は、ゲート信号発生部20から各ゲートに与えられたゲート信号に対応してオン・オフ動作を行い、単位インバータ32の入力端子に印加された直流電圧VDCを三相交流電圧に変換し、U相の出力トランスTu2、V相の出力トランスTv2、及び、W相の出力トランスTw2に三相交流電圧を発生させる。
【0017】
単位インバータ33は、それぞれ4個の半導体スイッチをブリッジ状に接続して構成したU相スイッチ回路U3、V相スイッチ回路V3、W相スイッチ回路W3の3つの半導体スイッチ回路で構成されている。U相スイッチ回路U3、V相スイッチ回路V3、W相スイッチ回路W3を構成する半導体スイッチ回路は、ゲート信号発生部20から各ゲートに与えられたゲート信号に対応してオン・オフ動作を行い、単位インバータ33の入力端子に印加された直流電圧VDCを三相交流電圧に変換し、U相の出力トランスTu3、V相の出力トランスTv3、及び、W相の出力トランスTw3に三相交流電圧を発生させる。
【0018】
単位インバータ34は、それぞれ4個の半導体スイッチをブリッジ状に接続して構成したU相スイッチ回路U4、V相スイッチ回路V4、W相スイッチ回路W4の3つの半導体スイッチ回路で構成されている。U相スイッチ回路U4、V相スイッチ回路V4、W相スイッチ回路W4を構成する半導体スイッチ回路は、ゲート信号発生部20から各ゲートに与えられたゲート信号に対応してオン・オフ動作を行い、単位インバータ34の入力端子に印加された直流電圧VDCを三相交流電圧に変換し、U相の出力トランスTu4、V相の出力トランスTv4、及び、W相の出力トランスTw4に三相交流電圧を発生させる。
【0019】
制御部10は、ゲート信号発生部20を制御する。即ち、制御部10の制御によって、ゲート信号発生部20が発生するゲート信号の波形や位相が決定される。本発明において、各単位インバータの直流/交流変換機能は従来と同じである。
即ち、単位インバータ31において、ゲート信号発生部20からU相スイッチ回路U1、V相スイッチ回路V1、W相スイッチ回路W1に与えられるゲート信号の位相の関係は従来と同じである。また、単位インバータ32においても、ゲート信号発生部20からU相スイッチ回路U2、V相スイッチ回路V2、W相スイッチ回路W2に与えられるゲート信号の位相の関係は従来と同じである。また、単位インバータ33においても、ゲート信号発生部20からU相スイッチ回路U3、V相スイッチ回路V3、W相スイッチ回路W3に与えられるゲート信号の位相の関係は従来と同じである。更に、単位インバータ34においても、ゲート信号発生部20からU相スイッチ回路U4、V相スイッチ回路V4、W相スイッチ回路W4に与えられるゲート信号の位相の関係は従来と同じである。
【0020】
本発明の実施例1は、4台の単位インバータ31、32、33、及び34の出力変圧器をスター結線して多重化した4多重インバータにおいて、単位インバータ31と32を第1インバータ群、単位インバータ33と34を第2インバータ群とグループ分けし、各インバータ群を構成する2台の単位インバータの出力電圧の基本波の位相差が60度となるように各単位インバータのゲートを制御するようにした多重インバータの制御システムである。
【0021】
各インバータ群を構成する2台の単位インバータの出力電圧の基本波の位相差が60度となるとは、具体的には次の通りである。即ち、第1インバータ群については、単位インバータ31のU相の出力トランスTu1に発生する出力電圧と単位インバータ32のU相の出力トランスTu2に発生する出力電圧の基本波の位相差が60度であり、また、単位インバータ31のV相の出力トランスTv1に発生する出力電圧と単位インバータ32のV相の出力トランスTv2に発生する出力電圧の基本波の位相差が60度であり、単位インバータ31のW相の出力トランスTw1に発生する出力電圧と単位インバータ32のW相の出力トランスTw2に発生する出力電圧の基本波の位相差が60度であるということである。
【0022】
また、第2インバータ群については、単位インバータ33のU相の出力トランスTu3に発生する出力電圧と単位インバータ32のU相の出力トランスTu4に発生する出力電圧の基本波の位相差が60度であり、また、単位インバータ33のV相の出力トランスTv3に発生する出力電圧と単位インバータ34のV相の出力トランスTv4に発生する出力電圧の基本波の位相差が60度であり、単位インバータ33のW相の出力トランスTw3に発生する出力電圧と単位インバータ34のW相の出力トランスTw4に発生する出力電圧の基本波の位相差が60度であるということである。
【0023】
第1インバータ群を構成する2台の単位インバータ31と32の出力電圧の基本波の位相差が60度となるように制御するのは、単位インバータ31と32の構成スイッチに与えられるゲート信号の波形と位相を調節することによって行う。即ち、単位インバータ31のU相スイッチ回路U1と単位インバータ32のU相スイッチ回路U2に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせ、単位インバータ31のV相スイッチ回路V1と単位インバータ32のV相スイッチ回路V2に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせ、及び、単位インバータ31のW相スイッチ回路W1と単位インバータ32のW相スイッチ回路W2に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせることによって行う。
【0024】
同様に、第2ンバータ群を構成する2台の単位インバータ33と34の出力電圧の基本波の位相差が60度となるように制御するのは、単位インバータ33と34の構成スイッチに与えられるゲート信号の波形と位相を調節することによって行う。即ち、単位インバータ33のU相スイッチ回路U3と単位インバータ34のU相スイッチ回路U4に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせ、単位インバータ33のV相スイッチ回路V3と単位インバータ34のV相スイッチ回路V4に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせ、及び、単位インバータ33のW相スイッチ回路W3と単位インバータ33のW相スイッチ回路W4に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせることによって行う。
【0025】
上述の如く、第1インバータ群を構成する単位インバータ31と単位インバータ32の出力電圧の位相差が60度となるように、単位インバータ31と単位インバータ32のゲートを制御し、同時に、第2インバータ群を構成する単位インバータ33と単位インバータ34の出力電圧の位相差が60度となるように、単位インバータ33と単位インバータ34のゲートを制御することによって、多重インバータ30の出力電圧中に含まれる零相高調波、即ち、通信誘導障害の要因となる高調波が低減される。
【0026】
以下、インバータ群を構成する2台の単位インバータの出力電圧の基本波の位相差が60度となるように各単位インバータを制御することによって零相高調波が抑制される理由を詳細に説明する。
【0027】
先ず、制御部10により、パルス幅変調制御を完全に停止し、出力周波数に同期させて正負の矩形電圧を出力するワンパルス制御を行う場合には、その出力電圧vは数式1で表され、直流電圧2VDCを上回る電圧を出力することが可能である。図2はワンパルス制御時の単相分の出力電圧波形を示す。
【0028】
【数1】
JP0004838031B2_000002t.gif
但しVDCは直流電圧、ωは出力角周波数(ω=2πf)、fは出力周波数、φは位相差、ηは電圧増加率、aは直流電圧の利用率(最大変調率│a│<1.0>)である。
【0029】
零相高調波低減は、図1に示す如く、単位インバータを多重化して構成されたLSM駆動用の多重インバータ30において、単位インバータ間の出力電圧の基本波の位相を最適化することで実現したものである。多重化は偶数多重(2多重)とし、単位インバータ1の出力電圧と単位インバータ2の出力電圧の位相差φ図3に示すように変化させた場合の高調波を計算すると以下の如くになる。なお、単位インバータ1と単位インバータ2は、図1の多重インバータ30の第1インバータ群においては単位インバータ31と単位インバータ32に相当し、第2インバータ群においては単位インバータ33と単位インバータ34に相当する。
【0030】
多重化をMとした場合の1相(j相)の全電圧vojは数式2で表すことができる。全電圧圧vojのn次高調波成分の振幅値Vonは数式3となり、そのうちn=3(2k-1)が零相成分(k=1,2,3・・・)である。零相成分の高調波の実効値Voz数式4で表わすことができ、Voz=0となる場合には零相電圧は発生しない。
【0031】
【数2】
JP0004838031B2_000003t.gif

【0032】
ここで、偶数多重(2多重)の場合はφ=0とし、φを0~180度で変化させ、それぞれ数式3と数式4を基に零相成分の高調波を計算する。
偶数多重時の結果は図4に示す如くとなる。偶数多重の場合は2台の単位インバータ間の出力電圧の位相差φが60度のとき、零相成分の高調波が完全に抑制される。
以上のことから、ワンパルス制御を行う場合、零相成分の高調波を抑制するには、偶数台で多重化し、かつ任意の2台の出力電圧位相を60度にすればよいことが分かる。
【0033】
【数3】
JP0004838031B2_000004t.gif

【0034】
【数4】
JP0004838031B2_000005t.gif

【0035】
次に、対称成分(線間電圧)の高調波の低減について説明する。
ここで、多重化数は零相成分の高調波が完全に抑制可能な偶数多重(4多重)とし、図1に示す通り4台の単位インバータをそれぞれ第1インバータ群、第2インバータ群とに分け、図5に示す如く同一群内の単位インバータ間の電圧の位相差を60度とするとともに、第1インバータ群、第2インバータ群の単位インバータの出力電圧の基本波の位相を変化させて線間電圧高調波の実効値を算出する。
【0036】
線間電圧は数式5で表すことができる。このとき、基本波を除く対称成分の高調波の実効値は数式6で表すことができる。
【0037】
【数5】
JP0004838031B2_000006t.gif

【0038】
【数6】
JP0004838031B2_000007t.gif

【0039】
数式6に従って、線間電圧高調波の実効値を計算すると、高調波の実効値が最小となるのはφが32度のときで、線間電圧高調波の実効値は最大で0.99(p.u.)程度となる。
【0040】
図6は4多重インバータの基本波電圧ベクトルを示す図である。4多重インバータの出力電圧に位相差を持たせることは、図6から推測できる通り、出力電圧の低下につながる。同一インバータ群の2台の単位インバータ間の出力電圧の基本波の位相差が60度で、且つ異なるインバータ群の単位インバータ間の位相差φが変化した場合のインバータ全体の出力電圧は少しづつ低下する。しかしながら、各インバータ群で60度の位相差を持たせ、更に2つのインバータ群間の位相差φを32度としても、4.2(p.u.)程度の出力電圧が得られる。4台の単位インバータ間で全く位相差が無い場合の出力電圧4×4/π(p.u.)と比較した場合、低下した割合は17%程度である。
【0041】
このように、偶数台のインバータを図1の如く構成したLSM駆動用の多重インバータ30にワンパルス制御を導入することで、直流電圧の利用率の改善が図れ、しかも4台以上の偶数台で多重化すると、零相成分の高調波を抑制しながら、対称成分の高調波についても低減できる。要するに、本発明では、偶数台の単位インバータの出力変圧器をスター結線して多重化した多重インバータにおいて、前記偶数台の単位インバータを2台ずつのインバータ群にグループ分けし、前記2台の単位インバータのスイッチ回路に与えるゲート信号に60度の位相差を持たせて前記各単位インバータをワンパルス制御するのである。
【0042】
次に、図1の多重インバータ30にパルス幅変調制御を適用した多重インバータの制御システムについて説明する。制御部10により、パルス幅変調制御を行う場合、1つのインバータ群を構成する2台のインバータのキャリア信号を同位相にし、変調信号の位相のみ60度ずらすことで、零相成分の高調波を完全に除去することができる。即ち、図7に示す如く、4台の三相ブリッジインバータで構成された4多重インバータにおいて、第1インバータ群の単位インバータ1と単位インバータ2のキャリア信号を同位相にし、変調信号の位相のみ60度ずらす。同様に、第2インバータ群の単位インバータ3と単位インバータ4のキャリア信号を同位相にし、変調信号の位相のみ60度ずらすのである。
【0043】
この制御方法によれば、出力電圧基本波の振幅値は13.4%程度低減し、等価変調周波数も1/2に低下するが、零相成分の高調波は完全に除去することが出来た。なお、上記の単位インバータ1,2,3及び4は、図1の多重インバータ30の単位インバータ31,32,33及び34に対応する。要するに、本発明では、偶数台の単位インバータの出力変圧器をスター結線して多重化した多重インバータにおいて、前記偶数台の単位インバータを2台ずつのインバータ群にグループ分けし、前記2台の単位インバータのキャリア信号を同位相にし、変調信号は60度ずらして前記各単位インバータをパルス幅変調制御するのである。
【0044】
以上、4台の単位インバータで構成された偶数多重インバータに適用された実施例1について詳細に説明したが、本発明は実施例1に限定されるものではなく、その特許請求の範囲において様々に変形して実施することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1の4多重インバータの回路構成図である。
【図2】ワンパルス制御時の出力電圧波形図である。
【図3】偶数多重インバータの出力電圧波形図である。
【図4】偶数多重インバータの零相高調波実効値を示す図である。
【図5】4多重インバータの出力電圧位相を示す図である。
【図6】4多重インバータの出力電圧位相の出力電圧基本波のベクトルを示す図である。
【図7】4多重インバータをパルス幅変調制御により駆動した場合の零相高調波の低減を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0046】
10 制御部
20 ゲート信号発生部
30 多重インバータ
31,32,33,34 単位インバータ
40 コンバータ
50 LSM
u, Lv , w LSMの三相コイル
U1~U4 U相スイッチ回路
V1~V4 V相スイッチ回路
W1~W4 U相スイッチ回路
u1~Tu4,v1~Tv4,w1~Tw4 出力変圧器




















図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6