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明細書 :高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5335260号 (P5335260)
公開番号 特開2009-232510 (P2009-232510A)
登録日 平成25年8月9日(2013.8.9)
発行日 平成25年11月6日(2013.11.6)
公開日 平成21年10月8日(2009.10.8)
発明の名称または考案の名称 高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置
国際特許分類 H02K  55/02        (2006.01)
H02K  21/14        (2006.01)
FI H02K 55/02
H02K 21/14 G
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2008-072042 (P2008-072042)
出願日 平成20年3月19日(2008.3.19)
審査請求日 平成22年7月21日(2010.7.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】尾作 仁司
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】安池 一貴
参考文献・文献 特開2002-303250(JP,A)
尾作仁司,二磁極軸回転体,第77回,2007年度秋季低温工学・超電導学会 講演概要集,日本,低温工学・超電導学会,2007年11月22日,28頁
調査した分野 H02K 55/02
H02K 21/14
特許請求の範囲 【請求項1】
回転体の軸芯部に配置される1個の磁気シャフトの働きをする磁石と、該1個の磁気シャフトの働きをする磁石の回りに回転を安定化させる働きをする磁気円盤を構成するための複数のリング状磁石を組み込んだものを一組として、前記回転体の上下にそれぞれ組み込んだ浮上用磁石と、前記回転体の側面の中央部、前記回転体の側面の上下部、あるいは側面全面に回転推進用の凹凸を具備するとともに、前記回転体の上下に配置される円柱状の磁石は、第1の構成部材をスペーサとして、前記回転体の軸芯部の上端部及び下端部に固定され、側面を第2の構成部材により固定されることを特徴とする高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置。
【請求項2】
請求項記載の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置において、前記複数個のリング状磁石は、第3の構成部材と第4の構成部材により上下面が固定され、前記第2の構成部材と第5の構成部材により側面が固定されることを特徴とする高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置。
【請求項3】
請求項記載の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置において、前記発電用磁石は、前記第3の構成部材により内周面が固定され、前記第4の構成部材と第5の構成部材により上下面が固定されることを特徴とする高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置。
【請求項4】
請求項記載の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置において、前記発電用磁石は、薄板状磁石あるいはセグメント型磁石と高分子、FRPあるいは非磁性金属の保持体からなることを特徴とする高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、小型で高速回転が可能な高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在開発されている超電導フライホイールは装置全体を真空にしている。また、フライホイールはコマのような形状である。このためオイラーの運動方程式により、回転軸ぶれが起こり易い。更に、従来の装置は大型で構造が複雑であるといった問題があった。
また、鉛直状の回転体を、制御型ラジアル磁気軸受と制御型アキシャル磁気軸受で安定回転位置に支持した状態で、超電導体を冷却して超電導軸受を作動状態にし、超電導軸受とラジアル磁気軸受で回転体を安定回転位置に支持し、回転体を回転させて運転を開始するようにした超電導軸受装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の装置は、構造が大型でかつ複雑であり、コストが上昇するといった問題があった。

【特許文献1】特開平10-231840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記状況に鑑みて、小型で高速回転が可能な高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置において、回転体の軸芯部に配置される1個の磁気シャフトの働きをする磁石と、この1個の磁気シャフトの働きをする磁石の回りに回転を安定化させる働きをする磁気円盤を構成するための複数のリング状磁石を組み込んだものを一組として、前記回転体の上下にそれぞれ組み込んだ浮上用磁石と、前記回転体の側面の中央部、前記回転体の側面の上下部、あるいは側面全面に回転推進用の凹凸を具備するとともに前記回転体の上下に配置される円柱状の磁石は、第1の構成部材(12)をスペーサとして、前記回転体の軸芯部の上端部及び下端部に固定され、側面を第2の構成部材(15)により固定されることを特徴とする。
【0006】
〕上記〔〕記載の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置において、前記複数個のリング状磁石は、第3の構成部材(16)と第4の構成部材(17a,17b)により上下面が固定され、前記第2の構成部材(15)と第5の構成部材(18a,18b)により側面が固定されることを特徴とする。
〕上記〔〕記載の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置において、前記発電用磁石は、前記第3の構成部材(16)により内周面が固定され、前記第4の構成部材(17a,17b)と第5の構成部材(18a,18b)により上下面が固定されることを特徴とする。
【0007】
〕上記〔〕記載の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置において、前記発電用磁石は、薄板状磁石あるいはセグメント型磁石と高分子、FRPあるいは非磁性金属の保持体からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型で高速回転が可能な高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置は、回転体の軸芯部に配置される1個の磁気シャフトの働きをする磁石と、この1個の磁気シャフトの働きをする磁石の回りに回転を安定化させる働きをする磁気円盤を構成するための複数のリング状磁石を組み込んだものを一組として、前記回転体の上下にそれぞれ組み込んだ浮上用磁石と、前記回転体の側面の中央部、前記回転体の側面の上下部、あるいは側面全面に回転推進用の凹凸を具備するとともに前記回転体の上下に配置される円柱状の磁石は、第1の構成部材をスペーサとして、前記回転体の軸芯部の上端部及び下端部に固定され、側面を第2の構成部材により固定される。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置の模式図、図2はその円筒型発電装置の二磁極軸回転体の正面を示す図面代用の写真、図3はその円筒型発電装置の二磁極軸回転体の底面を示す図面代用の写真、図4はその円筒型発電装置の二磁極軸回転体の断面図、図5はその円筒型発電装置の二磁極軸回転体の分解断面図である。
【0011】
図1に示すように、下部の超電導バルク体ヘッド1と上部の超電導バルク体ヘッド2との間にスペーサ3と4を介して磁気浮上式回転電機の回転体10が配置される。この回転体10の外側には第1の固定台5上に第1の高温超電導体コイル6が配置され、この第1の固定台5及び第1の高温超電導体コイル6とに対向するように、第2の固定台7上に第2の高温超電導体コイル8とが配置される。なお、下部の超電導バルク体ヘッド1及び上部の超電導バルク体ヘッド2はパルス管冷凍機(図示なし)により十分に冷却される。つまり、下部の超電導バルク体ヘッド1と上部の超電導バルク体ヘッド2内には、図示しないが、真空層を介在させた超電導バルク体が内蔵され、下部の超電導バルク体ヘッド1と上部の超導バルク体ヘッド2の右側端はパルス管冷凍機の冷却部と連結され、下部の超導バルク体ヘッド1と上部の超電導バルク体ヘッド2とは十分に冷却されるように構成されている。
【0012】
回転体10は、図5に示すように、浮上用磁石11と発電用磁石21とから構成される。
浮上用磁石11はシリンドリカル磁石(球状磁石、あるいはリング状磁石でもよい)と複数個のリング状磁石からなる。下方がS極のシリンドリカル磁石(円柱状のNd磁石:直径20mm,高さ10mm、0.45T)13(球状磁石、あるいはリング状磁石でもよい)は、中央のアクリル製の第1のパイプ(例えば,内径10mm、外径20mm)12の下部に配置され、その第1のパイプ12の上部には上方がN極のシリンドリカル磁石14(球状磁石、あるいはリング状磁石でもよい)が配置される。それらの外周にアクリル製の第2のパイプ15(例えば,内径20mm、外径30mm)を配置する。さらに、その第2のパイプ15の中央部の外周にアクリル製の第3のパイプ16(例えば、内径30mm、外径40mm)が設けられ、その第3のパイプ16の上下に一対のアクリル製第4のパイプ17a,17b(例えば,内径40mm、外径60mm)を配置する。それらの第4のパイプ17a,17bの外周に一対のアクリル製の第5のパイプ18a,18b(例えば、内径60mm、外径70mm)が配置される。すると、回転体10の上下に第1のリング状の空間19a,19bとが設けられる。この第1のリング状の空間19a,19bに、下部にN極を有するリング磁石(リング状Nd磁石:外径50mm、内径30mm、高さ5mm、0.33T)20と上部にS極を有するリング磁石21とによって挟まれたアクリル製のディスク22及び下部にN極を有するリング磁石23と上部にS極を有するリング磁石24とによって挟まれたアクリル製のディスク25が嵌着される。
【0013】
以上のように、浮上用磁石を構成すると、回転体10の中央部に第2のリング状の空間32が形成されるので、この第2のリング状の空間32に発電用磁石31が配置される。発電用磁石31は薄板状の磁石〔薄い板状Nd磁石:20×10mm、厚さ2mm、0.23T)を4極構成〕33をリング状の高分子、FRPあるいは非磁性金属の保持体に組み込んで構成される。
【0014】
上記したように、種々の径のアクリルパイプを組み合わせて構成された回転体10は、外径70mm、高さ70mmになる。浮上用磁石11は、下方がS極のシリンドリカル磁石13の回りに下部にN極を有するリング磁石23及び上部にN極を有するリング磁石24を、上方がN極のシリンドリカル磁石14の回りに下部にN極を有するリング磁石20及び上部にN極を有するリング磁石21を配置する。つまり、中央のシリンドリカル磁石(球状磁石、あるいはリング状磁石でもよい)1個の回りにリング磁石2個を組み込んだものを一組として、回転体の上下にそれぞれ配置した。また、回転体横断面中央の位置に配置した発電用磁石31は、リング状の高分子、FRPあるいは非磁性金属の保持体の外径から10mmの位置に薄板状の磁石33を4極構成とするように組み込んでいる。なお、薄板状の磁石33に代えてセグメント型磁石を用いてもよい。
【0015】
図6は本発明の実施例を示す高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体の永久磁石磁場を示す図である。
この図から明らかなように、回転体10の永久磁石の磁束密度は、メキシカン-ハット(Mexican-Hat)型にすることができた。
この回転体10の下部には上記した下部の超電導バルク体ヘッド1が配置されており、回転体10はメキシカン-ハット型の磁束密度と相まって良好に磁気浮上させることができるとともに、回転体10の上部にも上部の超電導バルク体ヘッド2を設置する構造としたので、回転体10は安定した高速回転が得られる。
【0016】
以下、上記した磁気浮上式回転電機の実験とその結果について説明する。
図7は本発明の実施例を示す高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置の全体模式図、図8は0.49MPaの窒素ガスを吹き付けた時の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置の出力正弦波を示す図、図9は窒素ガスの圧力に対する回転数の特性図である。
【0017】
上記したように構成した回転体10を2.5mmのスペーサ3,4を介して、下部の超電導バルク体ヘッド1と上部の超電導バルク体ヘッド2との間に置いた後、磁場中冷却を行った。設定温度は60Kで、設定温度到達まで10時間であった。磁場中冷却後、スペーサ3,4を外し、回転体10が下部の超電導バルク体ヘッド1と上部の超電導バルク体ヘッド2との間に固定されたことを確認した。
【0018】
その後、回転体10の横に第1の固定台5上に配置された第1の高温超電導体コイル6及び第2の固定台7上に配置された第2の高温超電導体コイル8を設置し、オシロスコープ9に接続した。これらの高温超電導体コイル6,8の横にガスノズル42,43を設置し、窒素ガスボンベ41にシリコンチューブを介して繋いだ。ガスノズル42,43は回転体10の外径にガスが吹き付けられるように位置を調整した。
【0019】
このようにしてスペースを介して下部の超電導バルクヘッド1と上部の超電導バルクヘッド2との間に回転体10が非接触状態で磁気浮上された状態で、窒素ガスボンベ41から窒素ガスを吹き付け回転を始めた。0.245MPaから0.588MPaまで、0.1MPa毎に窒素ガスの圧力を上げて測定した。その結果、図9に示すように、窒素ガス圧力が0.5MPa近傍で、最高約2000rpmを記録することができた。数度の回転実験を行ったが、回転体10は下部の超電導バルクヘッド1と上部の超電導バルクヘッド2との間で安定浮上を維持した。
【0020】
また、高温超電導体コイル6と7から、図8に示すような正弦波を得ることができた。図8において、◆は第1の高温超電導体コイル6の出力電圧、■は第2の高温超電導体コイル8の出力電圧を示している。
本発明は、回転体の上下に所謂磁気ベアリングを設置するいわゆる磁気シャフト構造としたので、上記したように安定した回転を得ることができた。
【0021】
図10は本発明の他の実施例を示す板状磁石を用いた8極発電装置の模式図である。
この図において、51は回転体であり、軸貫通穴52と、保持体53に保持された板状磁石54と、回転推進用凹凸55を有する磁石保持円筒56とからなる。
図11は本発明の更なる他の実施例を示すセグメント型磁石を用いた4極発電装置の模式図である。
【0022】
この図において、61は回転体であり、軸貫通穴62と、非磁性磁石保持円筒63と、非磁性磁石保持ボルト64と、回転推進用凹凸65を有するセグメント型磁石66とからなる。
このように、回転体は種々の形状の磁石と、種々の形状の保持体とで構成することができる。
【0023】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置は、コンパクトで高速回転が可能な円筒型発電装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例を示す高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置の模式図である。
【図2】本発明の実施例を示す円筒型発電装置の二磁極軸回転体の正面を示す図面代用の写真である。
【図3】本発明の実施例を示す円筒型発電装置の二磁極軸回転体の底面を示す図面代用の写真である。
【図4】本発明の実施例を示す円筒型発電装置の二磁極軸回転体の断面図である。
【図5】本発明の実施例を示す円筒型発電装置の二磁極軸回転体の分解断面図である。
【図6】本発明の実施例を示す高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体の永久磁石磁場を示す図である。
【図7】本発明の実施例を示す高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置の全体模式図である。
【図8】0.49MPaの窒素ガスを吹き付けた時の高温超電導体により浮上させた二磁極軸回転体を有する円筒型発電装置の出力正弦波を示す図である。
【図9】窒素ガスの圧力に対する回転数の特性図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す板状磁石を用いた8極発電装置の模式図である。
【図11】本発明の更なる他の実施例を示すセグメント型磁石を用いた4極発電装置の模式図である。
【符号の説明】
【0026】
1 下部の超電導バルク体ヘッド
2 上部の超電導バルク体ヘッド
3,4 スペーサ
5 第1の固定台
6 第1の高温超電導体コイル
7 第2の固定台
8 第2の高温超電導体コイル
10,51,61 回転体
11 浮上用磁石
12 アクリル製の第1のパイプ
13 下方がS極の円柱状の磁石(下部)
14 上方がN極の円柱状の磁石(上部)
15 アクリル製の第2のパイプ
16 アクリル製の第3のパイプ
17a,17b アクリル製の第4のパイプ
18a,18b アクリル製の第5のパイプ
19a,19b 第1のリング状の空間
20,23 下部にN極を有するリング状磁石
21,24 上部にS極を有するリング状磁石
22,25 アクリル製のディスク
31 発電用磁石
32 第2のリング状の空間部
33 薄板状の磁石
34 リング状の保持体
41 窒素ガスボンベ
42,43 ガスノズル
52,62 軸貫通穴
53 保持体
54 板状磁石
55,65 回転推進用凹凸
56 磁石保持円筒
63 非磁性磁石保持円筒
64 非磁性磁石保持ボルト
66 セグメント型磁石
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図7】
3
【図9】
4
【図10】
5
【図11】
6
【図2】
7
【図3】
8
【図6】
9
【図8】
10