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明細書 :踏切制御システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5057158号 (P5057158)
公開番号 特開2009-220619 (P2009-220619A)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発行日 平成24年10月24日(2012.10.24)
公開日 平成21年10月1日(2009.10.1)
発明の名称または考案の名称 踏切制御システム
国際特許分類 B61L  29/28        (2006.01)
FI B61L 29/28 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2008-064409 (P2008-064409)
出願日 平成20年3月13日(2008.3.13)
審査請求日 平成22年7月8日(2010.7.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】土師 将人
【氏名】新井 英樹
【氏名】佐藤 和敏
個別代理人の代理人 【識別番号】100079201、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 光正
審査官 【審査官】八木 誠
参考文献・文献 特開平10-016778(JP,A)
特開平06-022402(JP,A)
特開2000-233752(JP,A)
調査した分野 B61L29/28
特許請求の範囲 【請求項1】
自列車が当該駅に対して通過列車か停止列車かの列車種別を表す列車情報をATS送受信器及び車上子を介して地上側に送信する車上装置と、前記車上子から列車情報受信用地上子を介して列車情報を受信する列車情報検知装置と、前記列車情報検知装置から伝送される列車情報に基づいて駅出発方踏切の踏切機器の駆動開始時点を列車の種別に関わりなく駆動時間が一定時間となるように制御する踏切制御装置とからなる踏切制御システムにおいて、
前記車上装置に、車上データベースに格納されている列車ダイヤデータを用いて自列車が当該駅に対して通過列車か停止列車かを判定し、その判定結果に対応する通過列車情報又は停止列車情報を内容とする列車情報を出力する判定手段を付加し、
前記踏切制御装置に前記列車情報検知装置から伝送された列車情報を車上に通知する手段を付加し、
前記車上装置に、自列車が当該駅に対して停止列車であると判定した時に前記車上データベースを用いて前記駅の停止位置目標までの停止パターンを生成し、その生成された停止パターンに従って走行を制御する手段を備え、 前記車上装置に、前記車上側から地上側に送信した列車情報が停止列車情報であるとき、出発方踏切制御用地上子を介して前記車上側で受信した列車情報が前記車上側から地上側に送信した列車情報と一致しないときは非常ブレーキを作動させる停止手段を備えたこと、
を特徴とする踏切制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の踏切制御システムにおいて、
列車情報検知装置から踏切制御装置に伝送された列車情報を車上に通知する手段は、前記列車情報検知装置から前記踏切制御装置に伝送される列車情報をオーム返しに前記列車情報検知装置に送信する手段と、前記列車情報検知装置が前記踏切制御装置から受信した列車情報を駅出発方踏切制御用地上子を介して車上子に送信する手段とからなることを特徴とする踏切制御システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、駅出発方踏切に列車が接近するときに、その列車の種別に関わらず、その踏切の警報機等の踏切機器を定時間制御する踏切制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図3の概略図に基づいて、従来の踏切制御システムの構成及び作用を説明する。同図に示すように、駅Sに向かって走行する列車(車上)Tは、車上装置を構成する列車情報設定器1と変周式ATS送受信器2とを有する。列車情報設定器1より出力される列車種別や列車番号等の情報(以下、列車情報という。)を変周式ATS送受信器2と車上子3を経由して列車情報受信用地上子a1に送信する。列車情報受信用地上子a1が受信した列車情報は、列車情報検知装置4を経由して踏切制御装置5へ伝送される。
踏切制御装置5は、その受信した列車情報から当該列車Tが駅Sを通過する列車(通過列車)か、停止する列車(停止列車)かを判定する。そして、停止列車であると判定したときは、その列車Tが踏切機器(警報機A及び遮断機B)の駆動開始点となる踏切制御子a2を起動させた時点から駅出発方踏切RCの警報機Aの警報鳴動及び遮断機Bの遮断動作のマスキング(当該列車が駅に停車する時間を含めて警報機の警報開始及び遮断機の遮断開始を所要時間遅くらせる制御)を行うとともに、速度照査用地上子a3,a4及び絶対停止用地上子a5への出力を行って、停止する予定の列車Tが当該駅Sを誤通過しないようにしている。また、踏切制御装置5が受信した列車情報から当該列車Tが通過列車であると判定したときは、踏切制御子a2が起動された時点又はその時点から当該列車の種別に応じた所定時間の遅延後に、警報機Aの警報鳴動及び遮断機Bの遮断動作を開始させる制御を行う。

【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、従来の踏切制御システムは、列車情報受信用地上子a1にて受信した列車情報を踏切制御装置5に伝送し、当該列車の種別すなわち通過列車か停止列車かを判定し、停止列車と判定したときは警報機器の駆動開始を所定時間遅らせる制御を行うとともに、停止列車の誤通過防止のために、速度照査用地上子a3,a4及び絶対停止用地上子a5を設置して、速度制限情報又は非常停止情報を送出するように構成されている。
従って、従来は、地上子の設置数が多く、これに伴い、使用する制御ケーブルの数量も多くなるので、設備コストが高く付く。また、車上から地上に送信される列車情報に誤りがあったり、速度照査用地上子a3,a4や絶対停止用地上子a5に故障が発生したりなどのシステム異常が発生したときに、これに迅速に対応できず、列車の誤通過を生じさせる虞があるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みてなれたものであり、その解決しようとする課題は、設備コストの削減を図るとともに、システム異常時に列車を早期に停止させることができ、安全性の向上が図れる踏切制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は、駅出発方踏切制御用地上子の新設と、車上速度照査式ATSの車上データベース機能の活用とにより、設備の簡素化及び異常時の列車の迅速な停止を図るようにしたものである。
【0006】
さらに詳述すると、本発明は、自列車が当該駅に対して通過列車か停止列車かの列車種別を表す列車情報をATS送受信器及び車上子を介して地上側に送信する車上装置と、前記車上子から列車情報受信用地上子を介して列車情報を受信する列車情報検知装置と、前記列車情報検知装置から伝送される列車情報に基づいて駅出発方踏切の警報機器の駆動開始時点を列車の種別に関わりなく動作時間が一定時間となるように制御する踏切制御装置とからなる踏切制御システムにおいて、(a)前記車上装置に、車上データベースに格納されている列車ダイヤデータを用いて自列車が当該駅に対して通過列車か停止列車かを判定し、その判定結果に対応する通過列車情報又は停止列車情報を内容とする列車情報を出力する判定手段を付加し、(b)前記踏切制御装置に前記列車情報検知装置から伝送された列車情報を車上に通知する手段を付加し、(c)前記車上装置に、自列車が当該駅に対して停止列車であると判定した時に前記車上データベースを用いて前記駅の停止位置目標までの停止パターンを生成し、その生成された停止パターンに従って走行を制御する手段を備え、(d)前記車上装置に、前記車上側から地上側に送信した列車情報が停止列車情報であるとき、出発方踏切制御用地上子を介して前記車上側で受信した列車情報が前記車上側から地上側に送信した列車情報と一致しないときは非常ブレーキを作動させる停止手段を備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0007】
上記踏切制御システムにおいて、列車情報検知装置から踏切制御装置に伝送された列車情報を車上に通知する手段は、前記列車情報検知装置から前記踏切制御装置に伝送される列車情報をオーム返しに前記列車情報検知装置に送信する手段と、前記列車情報検知装置が前記踏切制御装置から受信した列車情報を駅出発方踏切制御用地上子を介して車上子に送信する手段とからなることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、列車は車上のATS送受信器に備えてある車上データベースの列車ダイヤデータを利用して自列車が踏切手前の駅に対して通過列車か停止列車かを判定し、停車列車であるときは当該駅の停止位置目標までの停止パターンを生成してそのパターンに沿った走行制御を行い、かつ踏切制御用地上子の起動時点から所定時間のマスキングを行うので、従来の踏切制御システムにおいては必要とされる速度照査用地上子、絶対停止用地上子が不要になるので、設備コストの削減が可能であり、制御ケーブルの設置長の短縮も可能である。
そして、車上側から地上側に送信した列車情報を踏切制御装置で受信したとき、その受信した列車情報を車上に送信して、車上から地上に送信した列車情報(とくに通過列車情 報)と地上から車上に受信した列車情報が不一致の場合は、非常停止の制御を行うように したので、システム異常時は、列車が早期に非常停止されるため、安全性の向上を図ることができる。
また、当該踏切に接近する列車が通過列車か停止列車かの列車情報を、車上データベースの列車ダイヤデータを基に車上から地上に送信し、踏切制御装置による踏切機器の制御を行うので、踏切制御装置に膨大な量の列車ダイヤデータを格納する必要がなく、踏切制御装置においてその列車ダイヤデータを基に列車種別の特定と制御のための複雑で時間の掛かる処理が不要になる。
【0009】
請求項2の発明によれば、列車情報検知装置から踏切制御装置に伝送された列車情報を車上に通知する手段は、列車情報検知装置から踏切制御装置に伝送される列車情報をオーム返しに列車情報検知装置に送信する手段と、列車情報検知装置が踏切制御装置から受信した列車情報を駅出発方踏切制御用地上子を介して車上子に送信する手段とからなるので、駅出発方踏切制御用地上子の新設以外は、既存の車上子の利用と列車情報検知装置及び踏切制御装置に僅かな送信回路付加するだけで実現可能であり、コスト上昇を最小限に止めることができ、構成も複雑化しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本発明の踏切制御装置の構成及び作用を説明する、図3に対応する概略図である。図3と同一の構成要素には同一の符号を用いる。
【0011】
図1に示すように、本発明においては、列車(車上)Tは、列車情報設定器1とATS送受信器2と車上子3とを有するほか、ATS送受信器2に列車ダイヤデータを含む情報を格納した車上データベース(DB)2aを備えている。ATS送受信器2はその列車ダイヤデータから自列車が各駅に対して通過列車か停車列車かの列車情報を取得することが出来る。そして、当該駅に対して停車列車であるときは、その駅の停止位置目標までの停止パターンP1を生成する。この停止パターンP1は、自列車の当該駅誤通過防止のためのものである。当該駅に対して通過列車であるときは、通過パターンP2を生成してもよい。
【0012】
踏切RC手前の駅Sへの停止パターンP1が生成されたときは、車上(ATS送受信器2及び車上子3)より停車列車情報が列車情報受信用地上子a1に送信され、さらに、列車情報検知装置4を経由して、当該駅出発方の踏切制御装置5へ送信される。踏切制御装置5は、その停車列車情報に基づいて、駅Sの出発方踏切RCの警報機Aの鳴動のマスキングを行う。
また、通過パターンP2が生成されたときは、同様に通過列車情報が踏切制御装置5へ送信される。踏切制御装置5はその通過列車情報に基づいて、駅Sの出発方踏切の警報機Aの鳴動を直ちに開始させ、遮断機Bの遮断杆を降下させる。
【0013】
一方、踏切制御装置5は、列車情報検知装置4から受信した列車情報を列車情報検知装置4に反射的に返信して、車上側から受信した列車情報に基づいて踏切制御を行っていることを列車情報検知装置4に通知するように構成されている。列車情報検知装置4は、踏切制御装置5から返信されてきた列車情報を、本発明において新設された駅出発方踏切制御用地上子a6を介して当該列車Tに向けて送信するように構成されている。
【0014】
すなわち、列車Tから送信された停車列車情報が列車情報受信用地上子a1及び列車情報検知装置4を介して踏切制御装置5に伝送されたときは、踏切制御装置5からその停車列車情報が列車情報検知装置4及び駅出発方踏切制御用地上子a6を介して列車Tにオーム返しに送信される。こうして、地上側での踏切制御が車上側の停止パターンP1又は通過パターンP2による走行制御と整合しているか否か、すなわち、踏切制御装置5が車上から送信した列車情報に基づいて正しく踏切制御を行っているか否かを車上側で確認することができるようになっている。
【0015】
車上側では、列車ダイヤデータに基づいて自列車が当該駅に対して通過列車であると判定しているときに、駅出発方踏切制御用地上子a6から受信する列車情報が停車列車情報である場合は、すなわち、制御の不一致を検知したときは、列車は危険側の動作をしている可能性があると判断して、走行制御手段が列車を非常停止させるように構成されている。
【0016】
なお、自列車が当該駅に対して通過列車であると判定しているときに、駅出発方踏切制御用地上子a6から受信する列車情報が通過列車情報である場合は、すなわち、制御の一致を検知したときは、踏切機器の駆動開始は警報開始用踏切制御子a2が起動されると同時に行われ、マスキング制御を行わないので、車上側では、その列車情報を扱わない。換言すると、車上側では、通過列車情報を送信したときに、駅出発方踏切制御用地上子a6から停車情報を受信した場合にのみ、非常停止させる制御を行う。
【0017】
図2は、本発明に係る踏切制御システムにおいて、正常時ならびに異常時のそれぞれの場合のシステム動作を示す表である。同表の上段には、システム正常時の、当該列車が当該駅に対して停止列車である場合(駅停車)と通過列車である場合(駅通過)の制御動作の内容が記載され、同表の下段には、システム異常時の、すなわち、それぞれ括弧内に記載された箇所で伝送誤りが発生した場合における、当該列車が当該駅に対して停止列車である場合(駅停車)と通過列車である場合(駅通過)の制御動作の内容が記載されている。
【0018】
図2から、システム異常時は、通過列車に対しては警報機の鳴動開始を遅延させる制御を行うとともに、通過パターンに基づく走行制御ではなく、非常ブレーキを作動させることにより、駅の誤通過を防止していることが、理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の踏切制御システムの構成及び作用を説明する概略図。
【図2】本発明に係る踏切制御システムにおいて正常時ならびに異常時のそれぞれの場合のシステム動作を示す表。
【図3】従来の踏切制御システムの構成及び作用を説明する概略図。
【符号の説明】
【0020】
T 列車
1 列車情報設定器
2 ATS送受信器
2a 車上データベース
3 車上子
4 列車情報検知装置
5 踏切制御装置
a1 列車情報受信用地上子
a2 踏切制御子
a6 駅出発方踏切制御用地上子
S 駅
RC 踏切
A 踏切警報機
B 遮断機
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2