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明細書 :通信制御方法、案内用杖、携帯型電子機器及び制御プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5113566号 (P5113566)
公開番号 特開2009-219510 (P2009-219510A)
登録日 平成24年10月19日(2012.10.19)
発行日 平成25年1月9日(2013.1.9)
公開日 平成21年10月1日(2009.10.1)
発明の名称または考案の名称 通信制御方法、案内用杖、携帯型電子機器及び制御プログラム
国際特許分類 A61F   9/08        (2006.01)
H04W   4/02        (2009.01)
H04B   1/59        (2006.01)
H04W  84/10        (2009.01)
G06K  17/00        (2006.01)
G08G   1/005       (2006.01)
FI A61F 9/08 305
H04Q 7/00 103
H04B 1/59
H04Q 7/00 629
G06K 17/00 F
G06K 17/00 L
G08G 1/005
請求項の数または発明の数 9
全頁数 20
出願番号 特願2008-063813 (P2008-063813)
出願日 平成20年3月13日(2008.3.13)
審査請求日 平成22年8月13日(2010.8.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】松原 広
【氏名】深澤 紀子
個別代理人の代理人 【識別番号】100124682、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 泰
【識別番号】100104710、【弁理士】、【氏名又は名称】竹腰 昇
【識別番号】100090479、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 一
審査官 【審査官】宮崎 敏長
参考文献・文献 特開2008-026875(JP,A)
米国特許出願公開第2005/0124376(US,A1)
特開2004-309305(JP,A)
特開平11-347061(JP,A)
調査した分野 A61F 9/08
A61H 3/06
E01F 9/04 - E01F 9/093
G01C 21/00 - G01C 21/36
G08B 1/005
G09B 21/00
H04W 4/02
H04W 84/10
特許請求の範囲 【請求項1】
案内用杖の先端部に具備されたタグリーダが、各所の誘導用ブロックに埋設されて予め定められた複数の通信方式の何れかでなるICタグからタグデータを読み取る際の通信制御方法であって、
前記タグデータには、自ICタグ又は自ICタグが埋設された誘導用ブロック(以下包括して「タグスポット」という。)を識別する識別情報と、タグスポットの配設方向に沿った自タグスポットと当該自タグスポットの次のタグスポット(以下「次タグスポット」という。)との相対的な方向を判別可能な方向情報と、次タグスポットのICタグの通信方式を示す通信方式情報とが含まれ、
今回及び過去に読み取ったタグデータに基づいて今回読み取ったタグデータのタグスポットに至った際の前記案内用杖の利用者の進行方向を判別する進行方向判別ステップと、
前記判別された進行方向に基づいて今回読み取ったタグデータのタグスポットから前記利用者が次に進行しようとする方向を予測する進行方向予測ステップと、
今回読み取ったタグデータに含まれる前記予測された進行方向に対応する次タグスポットの通信方式を優先通式方式として、前記タグデータの読み取りを試みる際の前記タグリーダの通信を制御する通信制御ステップと、
を含む通信制御方法。
【請求項2】
前記通信制御ステップは、優先通信方式と他の通信方式とを、前記優先通信方式を最も長い実行時間として時分割に切り替える制御を行うステップである請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記通信制御ステップは、時分割に実行する各通信方式の実行時間を可変する時分割時間可変ステップを有する請求項2に記載の通信制御方法。
【請求項4】
最後にタグデータの読み取りに成功してから所定時間が経過したことを検出する時間経過検出ステップを更に含み、
前記時分割時間可変ステップは、前記時間経過検出ステップによる検出に応じて、前記優先通信方式と他の通信方式との実行時間を可変するステップである、
請求項3に記載の通信制御方法。
【請求項5】
最後にタグデータの読み取りに成功してから所定時間が経過したことを検出する時間経過検出ステップと、
前記時間経過検出ステップによる検出に応じて、現在優先通信方式とされている通信方式を変更する優先通信方式変更ステップと、
を更に含む請求項1~3の何れか一項に記載の通信制御方法。
【請求項6】
所定の目的地と今回読み取ったタグデータとに基づいて前記利用者に前記目的地への移動方向を案内する方向案内ステップを更に含み、
前記進行方向予測ステップは、前記方向案内ステップで案内される移動方向を、前記利用者が進行しようとする方向として予測するステップである、
請求項1~5の何れか一項に記載の通信制御方法。
【請求項7】
各所の誘導用ブロックに埋設されたICタグと通信するタグリーダを先端部に備えるとともに、請求項1~5の何れか一項に記載の通信制御方法を実行する制御部を備えた案内用杖。
【請求項8】
各所の誘導用ブロックに埋設されたICタグと通信するタグリーダを先端部に有する案内用杖の利用者に携帯され、前記案内用杖と通信可能な携帯型電子機器であって、
前記案内用杖は、前記タグリーダによって前記ICタグから読み出した前記タグデータを前記携帯型電子機器に送信する送信部と、前記携帯型電子機器から受信した通信方式切替制御信号に応じて前記タグデータの通信方式を切り替える切替制御部とを備え、
請求項1~6の何れか一項に記載の通信制御方法を実行する制御部を備えた携帯型電子機器。
【請求項9】
各所の誘導用ブロックに埋設されたICタグと通信するタグリーダを先端部に有する案内用杖の利用者に携帯され、前記案内用杖と通信可能な携帯型電子機器の制御プログラムであって、
前記案内用杖は、前記タグリーダによって前記ICタグから読み出した前記タグデータを前記携帯型電子機器に送信する送信部と、前記携帯型電子機器から受信した通信方式切替制御信号に応じて前記タグデータの通信方式を切り替える切替制御部とを備え、
前記携帯型電子機器に内蔵されたコンピュータに、請求項1~6の何れか一項に記載の通信制御方法を実行させるための制御プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、案内用杖の先端部に具備されたタグリーダが、複数の通信方式の何れかでなるICタグからタグデータを読み取る際の通信制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚障害者用誘導案内システムとして、誘導ブロック等に埋め込まれたICタグを用いた構成が知られている。かかるシステムは、視覚障害者である利用者が持つ先端にタグリーダが装備された案内用杖と、利用者のポケット等に装着される携帯端末装置と、位置情報が記憶されて地中や駅構内等の施設に埋設されたICタグとから構成される。案内用杖は、ICタグからタグリーダで読み取った位置情報を携帯端末装置に送信する。そして、携帯端末装置は、案内用杖から受信した位置情報をもとに利用者の局所的行動を予測し、予測に基づく案内を行う(例えば、特許文献1参照)。

【特許文献1】特許第3553373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ICタグには、例えば搬送周波数が異なる複数の通信方式がある。このため、案内用杖のタグリーダの通信方式がICタグの通信方式に一致していないと、このICタグからタグデータを読み取れない。誘導案内システムでは、案内用杖の先端で誘導用ブロックを辿りながら歩行する利用者を対象として案内を行うため、案内用杖の先端部とICタグとが近接する1秒程度の短時間で、ICタグからタグデータを読み取らなくてはならない。つまり、通信方式が異なる複数種類のICタグが埋設されている場合、制限された時間内で、タグリーダの通信方式をICタグの通信方式に合わせてICタグから確実にタグデータを読み取る必要がある。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、誘導案内システムで用いられる案内用杖のタグリーダが、ICタグの通信方式が複数種類の何れであってもより確実にタグデータを読み取れるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための第1の発明は、
案内用杖(例えば、図1,5の案内用杖30)の先端部に具備されたタグリーダ(例えば、図5のタグリーダ310)が、各所の誘導用ブロックに埋設されて予め定められた複数の通信方式の何れかでなるICタグ(例えば、図1,5のICタグ20)からタグデータ(例えば、図5のタグデータ210A)を読み取る際の通信制御方法であって、
前記タグデータには、自ICタグ又は自ICタグが埋設された誘導用ブロック(以下包括して「タグスポット」という。)を識別する識別情報と、自タグスポットと誘導用ブロックに沿った自タグスポットの次のタグスポット(以下「次タグスポット」という。)との相対的な方向を判別可能な方向情報と、次タグスポットのICタグの通信方式を示す通信方式情報とが含まれ、
今回及び過去に読み取ったタグデータに基づいて今回読み取ったタグデータのタグスポットに至った際の前記利用者の進行方向を判別する進行方向判別ステップ(例えば、図10のステップA15)と、
前記判別された進行方向に基づいて今回読み取ったタグデータのタグスポットから前記利用者が次に進行しようとする方向を予測する進行方向予測ステップ(例えば、図10のステップA17)と、
今回読み取ったタグデータに含まれる前記予測された進行方向に対応する次タグスポットの通信方式を優先通式方式として、前記タグデータの読み取りを試みる際の前記タグリーダの通信を制御する通信制御ステップ(例えば、図10のステップA23)と、
を含む通信制御方法である。
【0005】
この第1の発明によれば、案内用杖の先端部に具備されたタグリーダが誘導用ブロックに埋設されたICタグからタグデータを読み取る際に、今回及び過去に読み取ったタグデータに基づいて利用者の進行方向が判別され、判別された進行方向に基づいて利用者が次に進行しようとする方向が予測され、予測された進行方向に対応する次タグスポットの通信方式を優先通信方式としてタグデータの読み取りが行われる。タグリーダの通信方式が読み取ろうとするICタグの通信方式と異なると、このICタグからタグデータを読み取れない。また、歩行する利用者が案内用杖を持つ場合、案内用杖のタグリーダがICタグに近接する短時間(長くて数秒程度)の間に、このICタグからタグデータを読み出さなくてはならない。このため、本発明のように、利用者の予測した進行方向に対応する次タグスポット、すなわち次に読み取られると予測されるICタグの通信方式を優先通信方式としてICタグからのタグデータの読み取りを行うことで、タグデータのより確実な読み取りが可能となる。
【0006】
第2の発明は、第1の発明の通信制御方法であって、
前記通信制御ステップは、優先通信方式と他の通信方式とを、前記優先通信方式を最も長い実行時間として時分割に切り替える制御を行うステップである通信制御方法である。
【0007】
この第2の発明によれば、優先通信方式と他の通信方式とが、優先通信方式を最も長い実行時間として時分割に切り替えられる。つまり、優先通信方式の実行時間を最も長くすることで、この優先通信方式でのタグデータの読み取りを一層確実に実現し得る。
【0008】
第3の発明は、第2の発明の通信制御方法であって、
前記通信制御ステップは、時分割に実行する各通信方式の実行時間を可変する時分割時間可変ステップを有する通信制御方法である。
【0009】
この第3の発明によれば、時分割に実行される各通信方式の実行時間が可変される。
【0010】
第4の発明は、第3の発明の通信制御方法であって、
最後にタグデータの読み取りに成功してから所定時間が経過したことを検出する時間経過検出ステップ(例えば、図10のステップA7)を更に含み、
前記時分割時間可変ステップは、前記時間経過検出ステップによる検出に応じて、前記優先通信方式と他の通信方式との実行時間を可変するステップである、
通信制御方法である。
【0011】
この第4の発明によれば、最後にタグデータの読み取りに成功してから所定時間が経過したことが検出され、この検出に応じて優先通信方式と他の通信方式との実行時間が可変される。所定時間が経過してもICタグのタグデータが読み出されない場合、このICタグの通信方式が優先通信方式としている通信方式と一致していない可能性が高い。このような場合に、例えば優先通信方式の実行時間を短くするとともに他の通信方式の実行時間を長くなるように可変することで、より確実なタグデータの読み取りが可能となる。
【0012】
第5の発明は、第1~第3の何れかの発明の通信制御方法であって、
最後にタグデータの読み取りに成功してから所定時間が経過したことを検出する時間経過検出ステップ(例えば、図10のステップA7)と、
前記時間経過検出ステップによる検出に応じて、現在優先通信方式とされている通信方式を変更する優先通信方式変更ステップと、
を更に含む通信制御方法である。
【0013】
この第5の発明によれば、最後にタグデータの読み取りに成功してから所定時間が経過したことが検出され、この検出に応じて現在最優先通信方式とされている通信方式が変更される。所定時間が経過してもICタグのタグデータが読み出されない場合、このICタグの通信方式が、優先通信方式としている通信方式と一致していない可能性が高い。このような場合に、優先通信方式とする通信方式を変更することで、より確実なタグデータの読み取りが可能となる。
【0014】
第6の発明は、第1~第5の何れかの発明の通信制御方法であって、
所定の目的地と今回読み取ったタグデータとに基づいて前記利用者に前記目的地への移動方向を案内する方向案内ステップ(例えば、図10のステップA19)を更に含み、
前記進行方向予測ステップは、前記方向案内ステップで案内される移動方向を、前記利用者が進行しようとする方向として予測するステップである、
通信制御方法である。
【0015】
この第6の発明によれば、今回読み取ったタグデータに基づいて利用者に目的地への移動方向が案内され、この案内される移動方向が利用者が進行使用とする方向として予測される。利用者を目的地へ案内する場合、利用者は、案内された方向へ進行することが殆どである。このため、利用者への案内方向に対応する次タグスポットの通信方式を優先通信方式とすることで、より確実なタグデータの読み取りが可能となる。
【0016】
第7の発明は、
各所の誘導用ブロックに埋設されたICタグと通信するタグリーダを先端部に備えるとともに、第1~第5の何れかの発明の通信制御方法を実行する制御部を備えた案内用杖である。
【0017】
この第7の発明によれば、第1~第5の何れかの発明と同様の効果を奏する案内用杖を実現できる。
【0018】
第8の発明は、
各所の誘導用ブロックに埋設されたICタグと通信するタグリーダを先端部に有する案内用杖の利用者に携帯され、前記案内用杖と通信可能な携帯型電子機器であって、
前記案内用杖は、前記タグリーダによって前記ICタグから読み出した前記タグデータを前記携帯型電子機器に送信する送信部と、前記携帯型電子機器から受信した通信方式切替制御信号に応じて前記タグデータの通信方式を切り替える切替制御部とを備え、
第1~第6の何れかの発明の通信制御方法を実行する制御部を備えた携帯型電子機器である。
【0019】
また、第9の発明は、
各所の誘導用ブロックに埋設されたICタグと通信するタグリーダを先端部に有する案内用杖の利用者に携帯され、前記案内用杖と通信可能な携帯型電子機器の制御プログラムであって、
前記案内用杖は、前記タグリーダによって前記ICタグから読み出した前記タグデータを前記携帯型電子機器に送信する送信部と、前記携帯型電子機器から受信した通信方式切替制御信号に応じて前記タグデータの通信方式を切り替える切替制御部とを備え、
前記携帯型電子機器に内蔵されたコンピュータに、第1~第6の何れかの発明の通信制御方法を実行させるための制御プログラムである。
【0020】
この第8又は第9の発明によれば、携帯型電子機器による案内用杖の制御によって、第1~第6の何れかの発明と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、案内用杖の先端部に具備されたタグリーダが誘導用ブロックに埋設されたICタグからタグデータを読み取る際に、利用者が次に進行しようとする方向が予測され、予測された進行方向に対応する次タグスポット、すなわち次に読み取られると予測されるICタグの通信方式を優先通信方式としてICタグからのタグデータの読み取りを行うことで、タグデータのより確実な読み取りが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下では、本発明を、視覚障害者であるユーザを目的地まで案内する誘導案内システムに適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0023】
[システム構成]
図1は、本実施形態における誘導案内システム1の概略構成を示す図である。同図によれば、誘導案内システム1は、通路等に敷設された視覚障害者用誘導ブロック(以下、単に「誘導ブロック」という)10に埋め込まれたICタグ20と、視覚障害者であるユーザYが手に持つ白杖である案内用杖30と、ユーザがポケット等に入れて携帯する小型の携帯端末40とから構成される。
【0024】
ICタグ20は近距離無線通信を利用して非接触でデータの書き込み/読み出しを行うRFID(Radio Frequency IDentification)に用いられるタグである。このICタグ20には、当該ICタグ20或いは敷設された誘導ブロック10の識別情報を含むデータ(タグデータ)が記憶されている。ここで、ICタグ20或いはこのICタグ20が埋設された誘導ブロック10が、「タグスポット」に該当する。
【0025】
案内用杖30は、その先端付近にICタグ20のリーダ(タグリーダ)が設けられているとともに、携帯端末40と無線通信を行うための無線通信装置を内蔵しており、先端部分に接近したICタグ20に記憶されているデータ(タグデータ)をタグリーダで読み取り、読み取ったタグデータを携帯端末40に送信する。
【0026】
携帯端末40は、案内用杖30と無線通信を行うための無線通信装置を内蔵し、案内用杖30から受信したICタグ20のタグデータをもとに、進むべき方向や目的地までの距離等を音声出力することで、設定された目的地までユーザを誘導案内する。案内用杖30と携帯端末40との間の無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)で実現される。なお、Bluetooth規格に限らず、他の通信規格としても良い。
【0027】
図2は、誘導案内システム1による誘導案内の一例を示す図である。同図に示すように、駅構内や地下街の通路には複数の誘導ブロックが列をなして敷設され、これらの誘導ブロックの連なりである誘導路12が形成されている。説明の簡便化のため、誘導路12は、図中上方向を「北」として、南北方向及び東西方向といった互いに直交する2方向に沿って直線状に形成されていることとする。そして、誘導路12上には、ICタグ20が、例えば数~十数mの間隔で設置されている。また、誘導路12の屈曲部分や分岐部分には、必ずICタグ20が設置されている。
【0028】
ユーザが目的地までの誘導案内を受けたい場合には、先ず、携帯端末40において目的地を設定する。この目的地の設定は、「改札口」のように目的地の名称を音声入力することで行う。ここで、目的地の設定は、音声入力に限らず他の方法であっても良い。例えば、携帯端末40は携帯電話機のテンキーと同様の操作キーを具備することとし、携帯電話機のテンキー操作入力と同様の操作入力で文字入力を行い、入力済みの文字列を音声読み上げ機能で音声出力することで確認する等としても良い。或いは、予め番号と候補地とを対応付けて設定しておき、携帯端末40の音声ガイダンスによってテンキー操作で番号入力を行って目的地を設定することにしても良い。
【0029】
目的地を設定すると、誘導路12に沿った歩行を開始する。すると、適当なタイミング(詳細には、案内用杖30によってICタグ20が検知されたタイミング)で、進むべき方向や目的地までの距離が音声によって案内される。ここで案内される方向(案内方向)は、誘導路12に沿った方向であり、例えば前後左右方向といったユーザを基準とした方向で表現される。
【0030】
例えば、図中右上の目的地に向かう場合には、次のように誘導案内がなされる。すなわち、東方向に向かって進んできたユーザがICタグ20bに到達すると、そのまま「前方」へ進むように案内される。案内に従ってそのまま前方に進行し、ICタグ20cに到達すると、次は「左方」へ進むように案内される。ここで、ユーザが左折せずにそのまま直進してICタグ20dに到達すると、「後方」へ進むように、すなわち後戻りするように案内される。そして、案内に従って後方に進み(すなわち、後戻りして)、再度ICタグ20cに到達すると、今度は「右方」へ進むように案内される。このように、案内される方向に進むことで、ユーザは、ICタグ20f,20g,20hの位置を順に通過し、目的地に到達することができる。
【0031】
ところで、ICタグ20の通信方式が複数ある場合があり、ここでは、説明の簡便化のため、通信方式A,Bの2種類があるものとする。すなわち、設置されているICタグ20には、通信方式Aのものと、通信方式Bのものとが混在している。通信方式A,Bは、例えば搬送波周波数が互いに異なる通信方式であり、搬送周波数の一例としては、一方が125kHzであり、他方が134.2kHzである。このため、案内用杖30では、ICタグ20の通信方式が何れであっても記憶されているタグデータを読み出せるように、通信方式Aでの読み取りと、通信方式Bでの読み取りを交互に行う。具体的には、各通信方式での読み取りを行う時間tをそれぞれ異ならせ、一方の通信方式を他方の通信方式に対して優先させて読み取りを行う。より詳細には、優先させる通信方式が異なる3種類の通信モードX,Y,Zが定められており、優先させる通信方式に応じた通信モードX,Y,Zが設定される。
【0032】
図3は、通信モードを説明する図である。同図において、上側は通信モードXを示し、中側は通信モードYを示し、下側は通信モードZを示している。同図に示すように、ユーザが1つの誘導ブロックを通過するのに要する時間T(50ms~1s程度)が、通信方式Aで読み取りを行う時間taと、通信方式Bで読み取りを行う時間tbとに時分割され、この実行時間ta,tbの比率が、通信モードによって異なっている。すなわち、通信モードXは、通信方式Aを優先させたモードであり、実行時間taが実行時間tbより長く定められている。具体的には、例えば実行時間taが実行時間tbの3倍の長さである。また、通信モードYは、通信方式Bを優先させたモードであり、実行時間tbが実行時間taよりも長く定められている。具体的には、例えば実行時間tbが実行時間taの3倍の長さである。勿論、この実行時間ta,tbの長さは任意である。そして、通信モードZは、実行時間ta,tbが等しい場合である。
【0033】
通信モードX,Y,Zは、次に検知されると予測されるICタグ20の通信方式に応じて切り替えられる。すなわち、ICタグ20が検知されると、次に進むべき方向(目的地に至る方向)が案内されるが、この案内方向のICタグ20の通信方式に応じた通信モードに切り替えられる。つまり、次のICタグ20が通信方式Aならば通信モードXに切り替えられ、通信方式Bならば通信モードYに切り替えられる。
【0034】
図4は、通信モードの切り替えを説明する図である。同図において、ユーザが、誘導路12に沿ってICタグ20aに向かって進んでいる。このとき、ICタグ20aが通信方式Aであるため、通信モードXに設定されているものとする。そして、このユーザがICタグ20aの位置に到達すると、「前方」へ進むように案内される。このとき、案内方向にあるICタグ20bが通信方式Aであるため、通信モードの設定は通信モードXのままである。続いて、ユーザが直進してICタグ20bが検知されると、次は「左方」へ移動するように案内され、この案内方向にあるICタグ20dが通信方式Bであるため、通信モードXから通信モードYに切り替えられる。
【0035】
また、ICタグ20の検知が所定の検知待機時間(例えば、数秒程度)の間なされない場合、現在の通信モードから他の通信モードに切り替えられる。例えば、ユーザが案内方向とは異なる方向に進んだ場合、ユーザの実際の進行方向のICタグ20の通信方式が案内方向のICタグ20の通信方式と異なると、ICタグ20が検知されない確率が高くなる。このような場合に対処するために、検知待機時間の経過に応じて通信モードを切り替えることで、ICタグ20のより確実な検知が可能となる。
【0036】
このような誘導案内システム1の具体的な3つの実施例を説明する。
【0037】
[第1実施例]
先ず、第1実施例を説明する。図5は、第1実施例における誘導案内システム1Aの構成図である。同図によれば、誘導案内システム1Aは、ICタグ20と、案内用杖30と、携帯端末40Aとから構成される。
【0038】
ICタグ20には、タグデータ210Aが記憶されている。図6に、タグデータ210Aのデータ構成を示す。同図によれば、タグデータ210Aは、当該ICタグ20の識別番号であるタグID211と、当該ICタグ20の隣接タグについてのデータ(隣接タグデータ)212Aと、候補地についてのデータ(候補地データ)213Aとから構成される。
【0039】
「隣接タグ」は、当該ICタグ20から誘導路に沿って次のICタグ20のことであり、「自タグスポット」である当該ICタグ20の「次タグスポット」に該当する。例えば、図2においては、ICタグ20cの隣接タグは、ICタグ20a,20b,20d,20fの4つである。また、ICタグ20fの隣接タグは、ICタグ20c,20gの2つである。隣接タグデータ212Aは、当該ICタグの隣接タグそれぞれについて、タグIDと、方向と、通信方式とを対応付けて格納している。隣接タグの方向は、当該ICタグ20から誘導路に沿った隣接タグの方向であり、東西南北といった絶対方向で表現される。
【0040】
「候補地」は、目的地となり得る場所のことであり、鉄道の駅構内の場合、出口や改札、券売機、トイレ、ホーム、駅事務室等である。候補地データ213Aは、候補地それぞれについて、候補地IDと、方向と、距離とを対応付けて格納している。候補地の方向は、当該ICタグ20の位置から当該候補地に至る誘導路に沿った隣接タグの方向であり、東西南北といった絶対方向で表現される。候補地までの距離は、当該ICタグ20の位置から当該候補地までの誘導路に沿った距離である。当該ICタグ20の設置位置が当該候補地であるならば、この距離がゼロに設定される。
【0041】
案内用杖30は、タグリーダ310と、無線通信装置320とを有している。タグリーダ310は、ICタグ20に記憶されているデータ(タグリーダ)を読み取る。また、このタグリーダ310は、2種類の通信方式A,Bでデータを読み取り可能であり、読み取りを行う通信方式は、携帯端末40から受信した切替信号に従って切り替えられる。無線通信装置320は、Bluetooth規格に準拠した無線通信モジュールであり、携帯端末40等の外部機器との無線通信を制御する。本実施例では、主に、タグリーダ310によって読み取られたICタグ20のタグデータを携帯端末40に送信するとともに、携帯端末40から送信される通信方式の切替信号を受信する。
【0042】
携帯端末40Aは、処理部410Aと、操作入力部420と、音声入力部430と、表示部440と、音声出力部450と、無線通信部460と、記憶部470Aとを有する。
【0043】
処理部410Aは、CPU等によって実現され、記憶部470Aに記憶されたプログラムやデータ、操作入力部420や音声入力部430からの入力データ等に基づいて、携帯端末40Aの全体制御を行う。また、本実施形態では、処理部410Aは、誘導案内プログラム471Aに従った誘導案内処理(1)を行う。
【0044】
この誘導案内処理(1)では、処理部410Aは、先ず、目的地を設定する。具体的には、音声入力部430からのユーザの入力音声を音声認識処理し、候補地テーブル481に定められている複数の候補地のうちの何れかを目的地として設定する。設定した目的地は、目的地データ483に格納される。候補地テーブル481は、候補地を定めたデータテーブルであり、複数の候補地について、その候補地IDと候補地名とを対応付けて格納している。これらの候補地は、タグデータ210Aに格納される候補地と共通である。
【0045】
次いで、案内用杖30によってICタグ20が検知されると、目的地に到着したかを判断する。ここで、「ICタグ20が検知された」とは、「案内用杖30からICタグ20のタグデータ210Aが受信された」ことを意味する。すなわち、受信されたタグデータ210Aにおいて、目的地に該当する候補地までの距離がゼロならば、目的地に到着したと判断する。そして、目的地に到着したことを、例えば「目的地に到着しました」といった所定音声を音声出力部450に出力させることでユーザに案内する。
【0046】
目的地に到着していないならば、処理部410Aは、今回検知したICタグ20(今回タグ)と前回検知したICタグ20(前回タグ)との位置関係から、ユーザの進行方向を判断する。タグデータ210Aには、当該ICタグ20の隣接タグそれぞれについて、IDタグ及び方向が含まれている。つまり、今回検知したICタグ20(以下、「今回タグ」という)のタグデータ210と、前回検知したICタグ20(以下、「前回タグ」という)のタグデータ210を参照して、今回タグが前回タグの隣接タグであるかを判断する。今回タグが前回タグの隣接タグならば、ユーザは前回タグの位置から今回タグの位置まで進んできたとみなし、前回タグから見た今回タグの方向をユーザの進行方向と判断する。
【0047】
図7は、ユーザの進行方向の判断を説明する図である。同図において、前回タグであるICタグ20aの隣接タグはICタグ20bであり、その方向は「東」である。また、今回タグであるICタグ20bの隣接タグはICタグ20aであり、その方向は「西」である。つまり、ICタグ20aから見たICタグ20bの方向は「東」であり、従って、ユーザの進行方向は「東」であると判断される。
【0048】
次いで、処理部410Aは、判断したユーザの現在の進行方向(現在進行方向)と、今回タグを基準とした目的地の方向(今回タグから目的地に至る方向)との関係から、ユーザが次に進むべき方向として案内する方向(案内方向)を判断する。図8は、ユーザの案内方向の判断を説明する図である。同図において、ユーザの現在の進行方向(現在進行方向)は「東」であり、目的地の方向は「南」である。従って、案内方向は「右」と判断される。そして、処理部410Aは、判断した案内方向及び目的地までの距離を、音声出力部450に音声出力させることでユーザに案内する。
【0049】
また、処理部410Aは、今回タグから目的地に至る隣接タグを、次に検知されるICタグ20であると判断し、この隣接タグの通信方式に応じて通信モードを切り替える。すなわち、隣接タグが通信方式Aならば通信モードXに設定し、通信方式Bならば通信モードYに設定する。また、処理部410Aは、ICタグ20の検知から所定時間が経過しても次のICタグ20が検知されない場合、現在の通信モードから他の通信モードに切り替える。そして、以降は、次にICタグ20が検知されるまで、所定時間が経過する毎に、通信モードを切り替える。現在の通信モードは、通信モードデータ484に格納される。
【0050】
更に、処理部410Aは、設定されている通信モードに応じて、案内用杖30のタグリーダ310の通信方式を制御する。具体的には、通信モードテーブル482に従って、現在の通信モードに対応する通信方式A,Bそれぞれの読み取り時間ta,tbが経過する毎に、通信方式A,Bの切替信号を案内用杖30に送信する、図9に、通信モードテーブル482のデータ構成の一例を示す。同図によれば、通信モードテーブル482は、通信モード482aと、各通信方式の実行時間482bとを対応付けて格納している。
【0051】
操作入力部420は、キーボードやタッチパネル、各種スイッチ等によって実現され、操作入力に応じた入力信号を処理部410Aに出力する。音声入力部430は、マイク等によって実現され、入力音声を処理部410Aに出力する。表示部440は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって実現され、処理部410Aから入力される表示信号に基づく各種画面を表示する。音声出力部450は、スピーカ等で実現され、処理部410Aから入力される音信号に基づく各種音声を出力する。無線通信部460は、BlueTooth規格に準拠した無線通信モジュールによって実現され、主に案内用杖30との間のデータ通信を行う。
【0052】
記憶部470Aは、ROMやRAM、ハードディスク等によって実現され、処理部410Aが携帯端末40Aを統合的に制御するための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、各種処理を実現するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部410Aの作業領域として用いられ、処理部410Aが各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作入力部420からの入力信号等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部470Aには、プログラムとして誘導案内プログラム471Aが記憶されるとともに、データとして、候補地テーブル481と、通信モードテーブル482と、目的地データ483と、通信モードデータ484と、前回検知タグデータ485と、今回検知タグデータ486とが記憶される。
【0053】
図10は、第1実施例における誘導案内処理(1)の流れを説明するフローチャートである。同図によれば、処理部410Aは、先ず、目的地を設定する(ステップA1)。また、通信モードを初期設定(例えば、通信モードZ)する(ステップA3)。次いで、ICタグ20が検知されていないならば(ステップA5:NO)、前回のICタグ20の検知、或いは、前回の検知待機時間の経過による通信モードの切り替えからの経過時間を判断する。経過時間が検知待機時間に達しているならば(ステップA7:YES)、現在の通信モードから他の通信モードに切り替え(ステップA9)、ステップA5に戻る。
【0054】
そして、ICタグ20が検知されたならば(ステップA5:YES)、そのICタグ20から読み出されたタグデータ210Aをもとに、目的地に到着したかを判断する。目的地に到着したならば(ステップA11:YES)、目的地に到着したことを音声出力によって案内する(ステップA31)。そして、誘導案内処理(1)を終了する。
【0055】
一方、目的地に到着していないならば(ステップA11:NO)、ユーザの進行方向を判断する。すなわち、今回の検知タグが前回の検知タグの隣接タグであるかを判断し、隣接タグならば(ステップA13:YES)、前回の検知タグから見た今回の検知タグの方向を、ユーザの現在の進行方向と判断する(ステップA15)。次いで、判断したユーザの進行方向と目的地の方向との相対関係から、ユーザへの案内方向を判断する(ステップA17)。そして、判断した案内方向及び目的地までの距離を、音声出力によって案内する(ステップA19)。
【0056】
一方、今回の検知タグが前回の検知タグの隣接タグでないならば(ステップA13:NO)、ユーザの進行方向は不明と判断する(ステップA23)。続いて、処理部410Aは、検知タグの全ての隣接タグそれぞれの通信方式を判断し、全て同一の通信方式ならば(ステップA25:YES)、その通信方式に応じた通信モードに切り替える(ステップA27)。具体的には、全ての隣接タグの通信方式が方式Aならば通信モードXに切り替え、方式Bならば通信モードYに切り替える。一方、全ての隣接タグの通信方式が同一でないならば(ステップA25:NO)、各隣接タグの通信方式の割合に応じた通信モードに切り替える(ステップA29)。例えば、全ての隣接タグのうち、方式Aが方式Bより多いならば通信モードXに切り替え、逆に、方式Bが方式Aより多いならば通信モードYに切り替え、方式A,Bが同数ならば通信モードZに切り替える。その後、ステップA5に戻る。
【0057】
[第2実施例]
次に、第2実施例を説明する。なお、第1実施例と同一の構成要素については同一符号を付し、詳細な説明を省略又は簡略する。第2実施例は、ICタグ20に記憶されるデータ(タグデータ)の構造が、第1実施例と異なる。
【0058】
図11は、第2実施例におけるタグデータ210Bのデータ構成を示す図である。同図によれば、タグデータ210Bは、当該ICタグのタグID211と、候補地データ213Bとから構成される。候補地データ213Bは、候補地それぞれについて、候補地IDと、候補地に至る隣接タグのタグID、方向及び通信方式と、候補地までの距離とを対応付けて格納している。
【0059】
図12は、第2実施例における携帯端末40Bの内部構成を示す図である。同図によれば、携帯端末40Bは、処理部410Bと、操作入力部420と、音声入力部430と、表示部440と、音声出力部450と、無線通信部460と、記憶部470Bとを備えて構成される。
【0060】
処理部410Bは、誘導案内プログラム471Bに従った誘導案内処理(2)を行う。この誘導案内処理(2)では、先ず、目的地を設定する。次いで、ICタグ20が検知されると、目的地に到着したかを判断し、目的地に到着していないならば、今回検知したICタグ20(今回タグ)と、前回検知したICタグ20(前回タグ)との位置関係から、ユーザの現在の進行方向を判断する。
【0061】
タグデータ210Bには、当該ICタグ20から候補地それぞれに至る隣接タグのID及びその方向が含まれている。このため、今回タグ及び前回タグそれぞれのタグデータ210を参照して、今回タグが、前回タグから見て何れかの候補地に至る隣接タグであるかを判断し、隣接タグならば、前回タグから見た今回タグの方向を、ユーザの進行方向と判断する。
【0062】
次いで、判断したユーザの進行方向と今回タグから目的地に至る隣接タグ方向との関係から、ユーザが次に進むべき方向である案内方向を判断し、判断した案内方向と目的地までの距離とを案内する。また、処理部410Bは、今回タグから目的地に至る隣接タグの通信方式に応じて通信モードを切り替える。
【0063】
記憶部470Bには、プログラムとして誘導案内プログラム471Bが記憶され、データとして、候補地テーブル481と、通信モードテーブル482と、目的地データ483と、通信モードデータ484と、前回検知タグデータ485と、今回検知タグデータ486とが記憶される。
【0064】
図13は、第2実施例における誘導案内処理(2)を説明するフローチャートである。同図によれば、処理部410Bは、先ず、目的地を設定し(ステップA1)、また、通信モードを初期設定(例えば、通信モードZ)する(ステップA3)。次いで、ICタグ20が検知されたかを判断し、検知されていないならば(ステップA5:NO)、前回タグの検知、或いは、前回の検知待機時間の経過による通信モードの切り替えからの経過時間を判断する。経過時間が検知待機時間に達しているならば(ステップA7:YES)、現在の通信モードを他の通信モードに切り替え(ステップA9)、ステップA5に戻る。そして、ICタグ20が検知されたならば(ステップA5:YES)、目的地に到達したかを判断する。目的地に到達したならば(ステップA11:YES)、目的地に到着したことを案内した後(ステップA31)、誘導案内処理(2)を終了する。
【0065】
目的地に到達していないならば(ステップA11:NO)、ユーザの進行方向を判断する。すなわち、今回の検知タグが、前回の検知タグの何れかの目的地に至る隣接タグであるかを判断し、隣接タグならば(ステップB13:YES)、前回の検知タグから今回の検知タグの方向を、ユーザの進行方向と判断する(ステップB15)。続いて、判断したユーザの進行方向と目的地に至る隣接方向との位置関係から、ユーザが次に進むべき方向(案内方向)を判断し(ステップA17)、判断した案内方向と目的地までの距離とを案内する(ステップA19)。続いて、目的地に至る隣接タグの通信方式に応じて通信モードを切り替え(ステップB21)、その後、ステップA5に戻る。
【0066】
一方、今回の検知タグが前回の検知タグの隣接タグでないならば(ステップB13:NO)、ユーザの進行方向は不明と判断する(ステップB23)。次いで、検知タグから読み出されたタグデータ210Bをもとに、通信方式が定められている隣接タグそれぞれの通信方式を判断し、全て同一の通信方式ならば(ステップB25:YES)、その通信方式に応じた通信モードに切り替える(ステップB27)。一方、隣接タグの通信方式が同一でないならば(ステップB25:NO)、各隣接タグの通信方式の割合に応じて通信モードを切り替える(ステップB29)。例えば、これらの隣接タグのうち、通信方式Aが通信方式Bよりも多いならば通信モードXに切り替え、逆に通信方式Bが通信方式Aよりも多いならば通信モードYに切り替え、通信方式A,Bが同数ならば通信モードZに切り替える。その後、ステップA5に戻る。
【0067】
[第3実施例]
次に、第3実施例を説明する。なお、第1又は第2実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略又は簡略する。第3実施例は、ICタグ20のタグIDが、所定の規則性に従って符番されていることに特徴がある。
【0068】
図14は、ICタグ20のタグIDの規則性を説明する図である。同図に示すように、本実施例では、東西方向及び南北方向に沿って形成された誘導路12上に、ICタグ20が設置されている。但し、図中上方向が「北」である。
【0069】
ICタグ20のタグIDは4桁で表現され、その上位2桁に「南北方向」が割り当てられ、下位2桁に「東西方向」が割り当てられている。そして、タグIDの上位2桁は、該当するICタグ20の位置が南方向であるほど大きな値となるように設定され、下位2桁は、該当するICタグ20の位置が東方向であるほど大きな値となるように設定される。従って、前回の検知タグのタグIDから今回の検知タグのタグIDへの変化から、ユーザの移動方向を判断できる。なお、タグIDは4桁に限らず何桁でも良く、ここでは、説明の簡便化のため4桁であるとする。
【0070】
つまり、タグIDの上位2桁に着目すると、南北方向への移動を判断できる。すなわち、タグIDの上位2桁の値が増加しているならば南方向に移動し、減少しているならば北方向に移動し、変化していないならば南北方向には移動していないと判断できる。同様に、タグIDの下位2桁に着目すると、東西方向への移動を判断できる。すなわち、タグIDの下位2桁の値が増加しているならば東方向に移動し、減少しているならば西方向に移動し、変化していないならば東西方向には移動していないと判断できる。そして、この南北方向及び東西方向への移動を組み合わせることで、東西南北の絶対方向での移動方向を判断できる。
【0071】
例えば、前回タグがタグID「0603」のICタグ20cであり、今回タグがタグID「0604」のICタグ20dである場合、前回タグと今回タグとでは、タグIDの上位2桁は変化しておらず、下位2桁は増加しているため、ユーザの進行方向は「東」と判断される。また、前回タグがタグID「0503」のICタグ20fであり、今回タグがタグID「0603」のICタグ20cである場合、前回タグと今回タグとでは、タグIDの上位2桁が増加し、下位2桁は変化してないため、ユーザの進行方向は「南」と判断される。
【0072】
図15は、第3実施例におけるタグデータ210Cのデータ構成を示す図である。同図によれば、タグデータ210Cは、当該ICタグのタグID211と、候補地データ213Cとから構成される。候補地データ213Cは、候補地それぞれについて、候補地IDと、候補地に至る隣接タグの方向及び通信方式と、候補地までの距離とを対応付けて格納している。
【0073】
図16は、第3実施例における携帯端末40Cの内部構成を示す図である。同図によれば、携帯端末40Cは、処理部410Cと、操作入力部420と、音声入力部430と、表示部440と、音声出力部450と、記憶部470Cとを備えて構成される。
【0074】
処理部410Cは、誘導案内プログラム471Cに従った誘導案内処理(3)を行う。誘導案内処理(3)では、先ず、目的地を設定する。次いで、ICタグ20が検知されると、目的地に到着したかを判断し、目的地に到着していないならば、今回検知したICタグ20(今回タグ)のタグIDと、前回検知したICタグ20(前回タグ)のタグIDをもとに、ユーザの現在の進行方向を判断する。すなわち、符番ルールテーブル487を参照して、タグIDの上位2桁の増減の変化から南北方向への移動を判断し、下位2桁の増減の変化から東西方向への移動を判断する。
【0075】
符番ルールテーブル487は、タグIDの符番の規則性を定義したデータテーブルである。図17に、符番ルールテーブル487のデータ構成の一例を示す。同図によれば、符番ルールテーブル487は、タグIDの桁487aそれぞれに、値が増加する方向487bと、減少する方向487cとを対応付けて格納している。なお、本実施例では、タグIDの上位2桁を南北方向、下位2桁を東西方向としたが、各桁に対応する方向を、誘導路に沿った方向に適宜定めて良いのは勿論である。
【0076】
次いで、判断したユーザの進行方向と今回タグから目的地に至る隣接タグ方向との関係から、ユーザが次に進むべき方向である案内方向を判断し、判断した案内方向と目的地までの距離とを案内する。また、処理部410Cは、今回タグから目的地に至る隣接タグの通信方式に応じて通信モードを切り替える。
【0077】
記憶部470Cには、プログラムとして誘導案内プログラム471Cが記憶されるとともに、データとして、候補地テーブル481と、通信モードテーブル482と、符番ルールテーブル487と、目的地データ483と、通信モードデータ484と、前回検知タグデータ485と、今回検知タグデータ486とが記憶される。
【0078】
図18は、第3実施例における誘導案内処理(3)を説明するフローチャートである。同図によれば、処理部410Cは、先ず、目的地を設定し(ステップA1)、また、通信モードを初期設定(例えば、通信モードZ)する(ステップA3)。次いで、ICタグ20が検知されたかを判断し、検知されていないならば(ステップA5:NO)、最後にICタグ20が検知されてから、或いは、最後に検知待機時間の経過により通信モードが切り替えられてからの経過時間を判断する。経過時間が所定の検知待機時間に達しているならば(ステップA7:YES)、現在の通信モードから他の通信モードに切り替え(ステップA9)、ステップA5に戻る。そして、ICタグ20を検知したならば(ステップA5:YES)、目的地に到着したかを判断する。目的地に到着したなら(ステップA11:YES)、目的地に到着したことを案内し(ステップA31)、誘導案内処理(3)を終了する。
【0079】
一方、目的地に到着していないならば(ステップA11:NO)、前回の検知タグのタグIDから今回の検知タグのタグIDへの変化をもとに、ユーザの進行方向を判断する(ステップC13)。ユーザの進行方向が判断できたならば(ステップC15:YES)、続いて、判断したユーザの進行方向と目的地に至る隣接タグの方向とから、ユーザが次に進むべき方向(案内方向)を判断する(ステップA17)。続いて、判断した案内方向と目的地までの距離とを案内する(ステップA19)。そして、目的地に至る隣接タグの通信方式に応じて通信モードを切り替え(ステップC21)、その後、ステップA5に戻る。
【0080】
一方、ユーザの進行方向を判断できなかったならば(ステップC15:NO)、次いで、検知タグから読み出されたタグデータ210Cをもとに、通信方式が定められている隣接タグそれぞれの通信方式を判断し、全て同一の通信方式ならば(ステップC23:YES)、その通信方式に応じた通信モードに切り替える(ステップC25)。一方、隣接タグの通信方式が同一でないならば(ステップC23:NO)、各隣接タグの通信方式の割合に応じて通信モードを切り替える(ステップC27)。例えば、これらの隣接タグのうち、通信方式Aが通信方式Bよりも多いならば通信モードXに切り替え、逆に通信方式Bが通信方式Aよりも多いならば通信モードYに切り替え、通信方式A,Bが同数ならば通信モードZに切り替える。その後、ステップA5に戻る。
【0081】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0082】
(A)通信モードの切り替え
例えば、上述の実施形態では、通信モードの切り替えを、目的地に至る経路方向の隣接タグの通信方式に応じて切り替えることにしたが、目的地が設定されていない場合には、次のように行う。すなわち、ユーザの次に進む方向を予測し、予測した方向(予測方向)の隣接タグの通信方式に応じて通信モードを切り替える。
【0083】
具体的には、次に進む歩行の候補となる候補方向が1つならば、その候補方向を予測方向とし、この予測方向の隣接タグの通信モードに応じた通信モードに切り替える。また、誘導路の分岐部分など候補方向が複数ある場合には、これら複数の候補方向それぞれの隣接タグの通信方式に応じて切り替える。すなわち、複数の候補方向それぞれの隣接タグの通信方式が全て同じならば、当該通信方式に応じた通信モードに切り替える。また、候補方向それぞれの隣接タグの通信方式が異なるならば、最も多い通信方式に応じた通信モードに切り替えても良いし、或いは、予め候補地に優先度をつけておき、複数の候補方向のうち、優先度が最も高い候補地に至る経路の方向を予測方向として、この予測方向の隣接タグの通信方式に応じた通信モードに切り替えても良い。
【0084】
更にこの場合、隣接タグの通信方式の数に応じて、各通信方式A,Bでの実行時間ta,tbを可変としても良い。具体的には、全ての隣接タグそれぞれの通信方式を判断し、判断した各通信方式の割合に比例させるように、各通信方式での実行時間tの比率を変更する。例えば、これにより、全ての隣接タグの通信方式が同一ならば、他の通信方式での実行時間tはゼロとなり、この同一の通信方式での読み取りのみが行われることになる。
【0085】
(B)通信方式
また、上述の実施形態では、ICタグ20の通信方式は方式A,Bの2種類としたが、3種類以上の場合にも同様に適用可能である。すなわち、3種類以上の通信方式それぞれを他の通信方式よりも優先させた、通信方式の種類数に応じた数の通信モードを定める。各通信モードでは、ユーザが1つの誘導ブロックを通過するのに要する時間Tを、3種類以上の通信方式それぞれで読み取りを行う時間で時分割するとともに、優先させる通信方式での読み取りを行う時間を、他の通信方式での読み取りを行う時間よりも長く設定する。
【0086】
更に、ICタグ20の通信方式が1種類の場合には、この通信モードの機能をオフにすることとしても良い。例えば、所定の施設内等、設置されているICタグ20の通信方式が1種類であると予め判っている場合には、複数の通信方式での読み取りを交互で行う通信モードの機能をオフとして、該当する通信方式のみでのICタグ20の検知を行う。
【0087】
(C)地図データを内蔵
携帯端末40が地図データを内蔵し、検知したICタグ20をもとにユーザを目的地まで案内することにしても良い。この場合、携帯端末40では、予め、ICタグ20の設置位置と地図上における位置とを対応付けたデータを内蔵しておく。なお、ICタグ20に、当該ICタグ20の設置位置(例えば、建物の入り口から北へ100m)を記憶しておくことにしても良い。
【0088】
そして、携帯端末40では、案内用杖30で検知されたICタグ20に記憶されている当該ICタグ20のタグIDから、地図上におけるユーザの現在位置を判断する。また、直近に検知したICタグ20の設置位置の変化から、ユーザの移動方向(東西南北の絶対方向)を判断する。そして、判断したユーザの移動方向と、現在位置から誘導路に沿って目的地に至る方向との関係から、ユーザへの案内方向(前後左右の相対方向)を判断し、判断した案内方向を音声出力等によってユーザに案内する。それとともに、目的地に至る次のICタグ20の通信方式に応じて、通信モードを切り替える。
【0089】
更に、目的地が設定されていない場合には、判断したユーザの現在位置や、或いは、誘導路に沿ったユーザの進行方向の先にある候補地を案内することにしても良い。この場合には、ユーザが、判断した進行方向にそのまま進んだと仮定し、そのときの次のICタグ20の通信方式に応じて、通信モードを切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】誘導案内システムの概略構成の説明図。
【図2】誘導案内の一例。
【図3】通信モードの説明図。
【図4】通信モードの切り替えの説明図。
【図5】第1実施例における誘導案内システムの構成図。
【図6】第1実施例におけるタグデータのデータ構成例。
【図7】ユーザの進行方向の判断の説明図。
【図8】案内方向の判断の説明図。
【図9】通信モードテーブルのデータ構成例。
【図10】第1実施例における誘導案内処理(1)のフローチャート。
【図11】第2実施例におけるタグデータのデータ構成例。
【図12】第2実施例における携帯端末の構成図。
【図13】第2実施例における誘導案内処理(2)のフローチャート。
【図14】ICタグのタグIDの規則性の説明図。
【図15】第3実施例におけるタグデータのデータ構成例。
【図16】第3実施例における携帯端末の構成図。
【図17】符番ルールテーブルのデータ構成例。
【図18】第3実施例における誘導案内処理(3)のフローチャート。
【符号の説明】
【0091】
1 誘導案内システム
10 誘導ブロック
20 ICタグ
210A,210B,210C タグデータ
30 案内用杖
310 タグリーダ、320 無線通信装置
40(40A,40B,40C) 携帯端末
410A,410B,410C 処理部
470A,470B,470C 記憶部
471A,471B,471C 誘導案内プログラム
481 候補地テーブル、482 通信モードテーブル
483 目的地データ、484 通信モードデータ
485 前回検知タグデータ、486 今回検知タグデータ
487 符番ルールテーブル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17