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明細書 :誘導用ブロック

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5216379号 (P5216379)
公開番号 特開2009-219509 (P2009-219509A)
登録日 平成25年3月8日(2013.3.8)
発行日 平成25年6月19日(2013.6.19)
公開日 平成21年10月1日(2009.10.1)
発明の名称または考案の名称 誘導用ブロック
国際特許分類 A61F   9/08        (2006.01)
A61H   3/06        (2006.01)
FI A61F 9/08 305
A61H 3/06 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2008-063812 (P2008-063812)
出願日 平成20年3月13日(2008.3.13)
審査請求日 平成22年8月13日(2010.8.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】松原 広
【氏名】深澤 紀子
個別代理人の代理人 【識別番号】100124682、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 泰
【識別番号】100104710、【弁理士】、【氏名又は名称】竹腰 昇
【識別番号】100090479、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 一
審査官 【審査官】宮崎 敏長
参考文献・文献 特開2002-336293(JP,A)
特開平06-022998(JP,A)
特開昭60-096248(JP,A)
特開平09-099002(JP,A)
特公平04-017480(JP,B2)
特開平11-276516(JP,A)
調査した分野 A61F 9/08
A61H 3/06
E01F 9/04 - E01F 9/093
G01C 21/00 - G01C 21/36
G08G 1/005
G09B 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
路上に配設される誘導用ブロックであって、
各誘導用ブロックそれぞれの識別情報及び位置情報と所定の目的地の位置情報とを記憶した記憶部と、
近接した案内用杖の先端部に備えられたICタグからタグデータを読み取るタグリーダと、
周囲の誘導用ブロックと通信するブロック間通信部と、
前記ブロック間通信部を制御して、前記タグリーダが読み取ったタグデータ及び自誘導用ブロックの識別情報を周囲の誘導用ブロックに送信する制御を行う送信制御部と、
周囲の誘導用ブロックから送信されてきたタグデータと前記タグリーダが読み取ったタグデータとが一致した場合に、当該周囲の誘導用ブロックから送信されてきた当該誘導用ブロックの識別情報と前記記憶部の記憶内容とに基づいて、前記案内用杖の利用者の到来方向を基準とした前記所定の目的地への方向案内情報を生成する案内情報生成部と、
前記案内用杖の利用者に携帯される携帯型電子機器に、前記案内情報生成部により生成された方向案内情報を送信する案内情報送信部と、
を備えた誘導用ブロック。
【請求項2】
他の誘導用ブロックそれぞれの識別情報及び位置情報と所定の目的地の位置情報とを記憶した記憶部と、
近接した案内用杖備えられたICタグと通信を行うタグリーダライタであって、前記ICタグに記憶されているタグデータ及び前回検知時誘導用ブロックの識別情報を読み取る読取手段と、自誘導用ブロックの識別情報を前記ICタグに送信して新たな前回検知時誘導用ブロックの識別情報として当該ICタグに更新書き込みさせる書込手段とを有するタグリーダライタと、
前記タグリーダライタが読み取った誘導用ブロックの識別情報と前記記憶部の記憶内容とに基づいて、前記案内用杖の利用者の到来方向を基準とした前記所定の目的地への方向案内情報を生成する案内情報生成部と、
前記案内用杖の利用者に携帯される携帯型電子機器に、前記案内情報生成部により生成された方向案内情報を送信する案内情報送信部と、
を備えた誘導用ブロック。
【請求項3】
前記記憶部は、前記識別情報として周囲の誘導用ブロックそれぞれの識別情報を記憶し、前記位置情報として当該誘導用ブロックと自誘導用ブロックとの相対的な方向を判別可能な方向情報を記憶している請求項1又は2に記載の誘導用ブロック。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
視覚障害者を所定の目的地まで誘導案内するための誘導案内システムとして、次の構成が知られている。すなわち、視覚障害者が持つ杖部から同時送信された赤外線信号及び超音波信号が天井に設けられた受信装置で受信され、誘導案内サーバが、この受信信号をもとに杖部の位置を検出し、検出した位置に基づく誘導案内情報を生成し、天井に設けられた送受信装置から該当する視覚障害者が持つ携帯端末部に送信する。そして、携帯端末部では、受信した誘導案内情報を音声出力する(例えば、特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2002-336293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の誘導案内システムでは、杖部から受信装置、誘導案内サーバ、そして携帯端末部と通信を行う必要があるため、携帯端末部における誘導案内に時間遅れが生じる。更に、誘導案内システムの利用が集中して誘導案内サーバの処理負荷が大きくなると、この時間遅れは更に増大する。本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための第1の発明は、
路上に配設される誘導用ブロック(例えば、図3の誘導用ブロック10A)であって、
各誘導用ブロックそれぞれの識別情報及び位置情報と所定の目的地の位置情報とを記憶した記憶部(例えば、図3の記憶部140A)と、
近接した案内用杖(例えば、図3の案内用杖30)の先端部に備えられたICタグ(例えば、図3のICタグ31)からタグデータを読み取るタグリーダ(例えば、図3のタグリーダライタ120;図10のステップA11)と、
周囲の誘導用ブロックと通信するブロック間通信部(例えば、図3の無線通信部130)と、
前記ブロック間通信部を制御して、前記タグリーダが読み取ったタグデータ及び自誘導用ブロックの識別情報を周囲の誘導用ブロックに送信する制御を行う送信制御部(例えば、図3の処理部110A;図10のステップA13)と、
周囲の誘導用ブロックから送信されてきたタグデータと前記タグリーダが読み取ったタグデータとが一致した場合に、当該周囲の誘導用ブロックから送信されてきた当該誘導用ブロックの識別情報と前記記憶部の記憶内容とに基づいて、前記案内用杖の利用者の到来方向を基準とした前記所定の目的地への方向案内情報を生成する案内情報生成部(例えば、図3の処理部110A;図10のステップA15~A23)と、
前記案内用杖の利用者に携帯される携帯型電子機器(例えば、図3の携帯端末40)に、前記案内情報生成部により生成された方向案内情報を送信する案内情報送信部(例えば、図3の処理部110A;図10のステップA23)と、
を備えた誘導用ブロックである。
【0005】
この第1の発明によれば、路上に配設される誘導用ブロックでは、近接した案内用杖の先端部に備えられたICタグからタグデータを読み取ると、読み取ったタグデータ及び自誘導用ブロックの識別情報を周囲の誘導用ブロックに送信するとともに、周囲の誘導用ブロックから送信されてきたタグデータと読み取ったタグデータが一致した場合に、案内用杖の利用者の到来方向を基準とした所定の目的地への方向案内情報を生成し、案内用杖の利用者に携帯される携帯型電子機器に送信する。つまり、誘導用ブロック間で案内用杖から読み取ったタグデータのやりとりが行われ、各誘導用ブロックでは、案内用杖から読み取ったタグデータと周囲の誘導用ブロックから受信した当該案内用杖のタグデータとをもとに、この案内用杖の利用者の進行方向を判断して目的地の方向へ案内することができる。これにより、案内用杖からのデータの読み取りをきっかけとして、これまでに周囲の誘導用ブロックから受信したデータをもとに誘導用ブロックが単独で誘導案内を行うことができるため、時間遅れが生じないリアルタイムな誘導案内が可能となる。
【0006】
第2の発明は、
路上に配設される誘導用ブロック(例えば、図11の誘導用ブロック10B)であって、
各誘導用ブロックそれぞれの識別情報及び位置情報と所定の目的地の位置情報とを記憶した記憶部(例えば、図11の記憶部140B)と、
近接した案内用杖の先端部に備えられたICタグに記憶されたタグデータ及び誘導用ブロックの識別情報を読み取るとともに、自誘導用ブロックの識別情報を新たな識別情報として当該ICタグに更新書き込みするタグリーダライタ(例えば、図11のタグリーダライタ120;図12のステップB11~B13)と、
前記タグリーダライタが読み取った誘導用ブロックの識別情報と前記記憶部の記憶内容とに基づいて、前記案内用杖の利用者の到来方向を基準とした前記所定の目的地への方向案内情報を生成する案内情報生成部(例えば、図11の処理部110B;図12のステップA15~A23)と、
前記案内用杖の利用者に携帯される携帯型電子機器に、前記案内情報生成部により生成された方向案内情報を送信する案内情報送信部(例えば、図11の処理部110B;図12のステップA23)と、
を備えた誘導用ブロックである。
【0007】
この第2の発明によれば、路上に配設される誘導用ブロックでは、近接した案内用杖の先端部に備えられたICタグに記憶されたタグデータ及び誘導用ブロックの識別情報を読み取ると、自誘導用ブロックの識別情報を新たな識別情報として当該ICタグに更新書き込むとともに、読み取った誘導用ブロックの識別情報に基づいて、案内用杖の利用者の到来方向を基準とした所定の目的地への方向案内情報を生成し、案内用杖の利用者に携帯される携帯型電子機器に送信する。つまり、案内用杖のICタグには、最後にタグデータ等が読み取られた誘導用ブロックの識別情報が記憶されており、誘導用ブロックでは、案内用杖から読み取ったデータをもとに、この案内用杖の利用者の進行方向を判断して目的地の方向へ案内することができる。従って、案内用杖からのデータの読み取りをきっかけとして、誘導用ブロックが単独で誘導案内を行うことができるため、誘導用ブロック内での判断処理を短時間で行うことにより、時間遅れが生じないリアルタイムな誘導案内が可能となる。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明の誘導用ブロックであって、
前記記憶部は、前記識別情報として周囲の誘導用ブロックそれぞれの識別情報を記憶し、前記位置情報として当該誘導用ブロックと自誘導用ブロックとの相対的な方向を判別可能な方向情報を記憶している誘導用ブロックである。
【0009】
この第3の発明によれば、誘導用ブロックでは、各誘導用ブロックの識別情報として、周囲の誘導用ブロックそれぞれの識別情報が記憶され、位置情報として、当該誘導用ブロックと自誘導用ブロックとの相対的な方向を判別可能な方向情報とが記憶される。これにより、例えば改札の前といった具体的な利用者の現在位置を判別しなくとも、目的地に至る案内すべき方向を判別することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、案内用杖からのデータの読み取りをきっかけとして、誘導用ブロックが単独で誘導案内を行うことができるため、時間遅れが生じないリアルタイムな誘導案内が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下では、本発明を、視覚障害者である利用者を目的地まで案内する誘導案内システムに適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0012】
[システム構成]
図1は、本実施形態における誘導案内システム1の構成を説明する図である。同図によれば、誘導案内システム1は、通路等に敷設された視覚障害者用誘導用ブロック(以下、単に「誘導用ブロック」という)10と、視覚障害者である利用者Yが手に持つ白杖である案内用杖30と、利用者Yがポケット等に入れて携帯する携帯端末40とから構成される。
【0013】
誘導用ブロック10には制御ユニット20が埋め込まれている。この制御ユニット20は、CPUや各種ICメモリ、ICタグのリーダライタ、近距離無線通信モジュールを備えており、近接した案内用杖30から読み出したデータをもとに、利用者Yが目的地に到達するために進むべき方向や目的地までの距離を含む案内データを生成し、携帯端末40に送信する。
【0014】
案内用杖30は、その先端部にICタグを内蔵している。ICタグは、近距離無線通信を利用して非接触でデータの書き込み/読み出しを行うRFID(Radio Frequency IDentification)に用いられるタグである。このICタグには、案内用杖30を識別する杖IDを含むデータが記憶されている。
【0015】
携帯端末40は、マイク等の音声入力装置や入力音声の音声認識装置、スピーカ等の音声出力装置、CPU等の演算処理装置、ROMやRAM等の記憶装置、近距離無線通信を行う無線通信装置等を内蔵した携帯型の電子機器である。この携帯端末40は、誘導用ブロック10から受信した案内データに基づく案内音声を出力することで、利用者を設定された目的地まで誘導案内する。
【0016】
図2は、誘導案内システム1による誘導案内の一例を示す図である。同図に示すように、駅構内や地下街の通路には、複数の誘導用ブロック10が列をなして敷設されて誘導路12が形成されている。説明の簡単化のため、誘導路12は、図中上方向を北として、南北方向及び東西方向といった互いに直交する2方向に沿って直線状に形成されていることとする。また、誘導路12を形成する誘導用ブロック10のうち、いくつかの誘導用ブロック10に制御ユニット20が埋設されている。これらの制御ユニット20の埋設間隔は、制御ユニット20の通信可能距離よりも短く、数m程度である。また、誘導路12の屈曲部分や分岐部分の誘導用ブロック10には、必ず制御ユニット20が埋設されている。以下の説明においては、「誘導用ブロック」とは、この制御ユニット20が埋設されたものを指すこととする。
【0017】
利用者Yが目的地までの誘導案内を受けたい場合には、先ず、携帯端末40において目的地を設定する。この目的地の設定は、「南口改札」のように目的地の名称を音声入力することで行う。そして、誘導路12に沿った歩行を開始すると、適当なタイミング(詳細には、案内用杖30が誘導用ブロック10にて検知されたタイミング)で、進むべき方向や目的地までの距離が音声によって案内される。ここで案内される方向(案内方向)は、誘導路12に沿った方向であり、例えば前後左右といった利用者Yから見た方向である。
【0018】
例えば、図中右上の目的地に向かう場合には、次のように誘導案内がなされる。すなわち、誘導用ブロック10bに向かって東方向に進んできた利用者Yが誘導用ブロック10bに到達すると、そのまま「前方」へ進むように案内される。案内に従ってそのまま前方に進み、誘導用ブロック10cに到達すると、次は「左方」へ進むように案内される。ここで、利用者Yが左折せずにそのまま直進して誘導用ブロック10dに到達すると、「後方」へ進むように、すなわち後戻りするように案内される。そして、案内に従って後方に進み(すなわち、後戻りして)、再度誘導用ブロック10cに到達すると、今度は「右方」へ進むように案内される。このように、案内される方向に進むことで、利用者は、誘導用ブロック10f,10g,10hの位置を順に通過して目的地に到達することができる。
【0019】
このような誘導案内システム1の具体的な2つの実施例を説明する。
【0020】
[第1実施例]
(構成)
図3は、第1実施例における誘導案内システム1Aの構成図である。同図によれば、誘導案内システム1Aは、誘導用ブロック10Aと、案内用杖30と、携帯端末40とから構成される。
【0021】
案内用杖30には、ICタグ31が内蔵されており、このICタグ31には、当該案内用杖30の杖IDが記憶されている。
【0022】
携帯端末40には、当該携帯端末40の端末IDと、当該携帯端末40の利用者が持つ案内用杖30の杖IDとが記憶されている。また、携帯端末40は、利用者からの音声入力に従って目的地を設定する。すなわち、利用者の入力音声を認識処理し、予め定められた複数の候補地のうちから入力音声に合致すると判断した候補地を目的地とする。そして、設定した目的地と当該携帯端末40の端末IDと当該携帯端末40の利用者が持つ案内用杖30の杖IDとを含むデータを目的地データとして、周囲の誘導用ブロック10それぞれに繰り返し送信する。
【0023】
誘導用ブロック10Aは、処理部110Aと、タグリーダライタ120と、無線通信部130と、記憶部140Aとを備えて構成される。
【0024】
処理部110Aは、CPU等によって実現され、記憶部140Aに記憶されたプログラムやデータ、タグリーダライタ120によって読み出されたデータ、無線通信部130で受信されたデータ等に基づいて、誘導用ブロック10の全体制御を行う。また、処理部110Aは、誘導案内プログラム141Aに従った誘導案内処理(1)を行う。
【0025】
誘導案内処理(1)では、案内用杖30を検知すると、この案内用杖30のICタグ31に記憶されているデータ(杖ID)を読み出す。そして、読み出した杖IDと当該誘導用ブロック10のブロックID(自ブロックID)とを、杖検知データとして周辺の他の誘導用ブロック10に送信する。
【0026】
また、処理部110Aは、読み出した杖IDをもとに、利用者の進行方向を判断する。すなわち、杖検知管理データ155を参照して、この案内用杖30が最後に検知された他の誘導用ブロック10(前回検知ブロック)を判断する。
【0027】
図4は、杖検知管理データ155のデータ構成を示す図である。同図によれば、杖検知管理データ155は、案内用杖それぞれについて、杖ID155aと、最後に検知された誘導用ブロック10のブロックID155bとを対応付けて格納している。この杖検知管理データ155は、他の誘導用ブロック10から杖検知データが受信されると、この杖検知データをもとに更新される。すなわち、受信した杖検知データに含まれている杖IDが杖検知管理データ155の杖ID155aに格納されているならば、当該杖ID155aに対応付けられている前回検知ブロックID155bを、受信した杖検知データに含まれるブロックIDに更新する。格納されていないならば、受信した杖検知データに含まれる杖ID及びブロックIDを、新たなデータとして杖検知管理データ155に追加格納する。
【0028】
次いで、処理部110Aは、隣接ブロックデータ152を参照して、前回検知ブロックが自ブロックの隣接ブロックであるかを判断する。
【0029】
図5は、隣接ブロックデータ152のデータ構成を示す図である。同図によれば、隣接ブロックデータ152は、当該誘導用ブロック10の隣接ブロックそれぞれについて、ブロックID152aと、方向152bとを対応付けて格納している。「隣接ブロック」とは、当該誘導用ブロック10から誘導路に沿って次の誘導用ブロック10のことである。例えば、図2においては、誘導用ブロック10cの隣接ブロックは、誘導用ブロック10a,10b,10d,10fの4つである。また、誘導用ブロック10fの隣接ブロックは、誘導用ブロック10c,10gの2つである。隣接ブロックの方向152bは、当該誘導用ブロック10から誘導路に沿った隣接ブロックの方向であり、東西南北といった絶対方向で表現される。
【0030】
前回検知ブロックが隣接ブロックならば、処理部11Aは、利用者が、前回検知ブロックから自ブロックに向かって進んで来たとみなし、自ブロックから当該隣接ブロックの方向とは逆の方向を利用者の進行方向と判断する。
【0031】
図6は、利用者の進行方向の判断を説明する図である。同図において、前回検知ブロックである誘導用ブロック10aは、自ブロックである誘導用ブロック10bの隣接ブロックである。また、誘導用ブロック10bからみた誘導用ブロック10aの方向は「西」である。従って、利用者の進行方向は「東」と判断される。
【0032】
次いで、処理部110Aは、判断した利用者の進行方向と、目的地の方向との位置関係から、利用者に次に進むべき方向として案内する方向(案内方向)を判断する。すなわち、目的地管理データ154を参照して、検知した案内用杖30に対応付けられている目的地を、利用者Yの目的地であると判断する。
【0033】
図7は、目的地管理データ154のデータ構成を示す図である。同図によれば、目的地管理データ154は、案内用杖30それぞれについて、杖ID154aと、当該案内用杖30の利用者が持つ携帯端末40の端末ID154bと、目的地154cとを対応付けて格納している。この目的地管理データ154は、携帯端末40から目的地データが受信されると、この目的地データをもとに更新される。すなわち、受信した目的地データに含まれている杖IDが目的地管理データ154の杖ID154aに格納されているならば、当該杖ID154aに対応付けられている端末ID154b及び目的地154cを、受信した目的地データに含まれている端末ID及び目的地に更新する。格納されていないならば、受信した目的地データに含まれる杖ID、端末ID及び目的地を、新たなデータとして目的地管理データ154に追加格納する。
【0034】
次いで、処理部110Aは、候補地データ153を参照して、判断した目的地に該当する候補地の方向を、当該目的地の方向と判断する。
【0035】
図8は、候補地データ153のデータ構成を示す図である。同図によれば、候補地データ153は、候補地それぞれについて、候補地153aと、方向153bと、距離153cとを対応付けて格納している。「候補地」は、利用者の目的地となり得る場所のことであり、鉄道駅の構内の場合、出口や改札、券売機等である。候補地の方向は、当該誘導用ブロック10から候補地に至る誘導路に沿った隣接ブロックの方向であり、東西南北といった絶対方向で表現される。また、候補地の距離は、当該誘導用ブロック10から候補地までの誘導路に沿った距離である。当該誘導用ブロック10の位置が候補地に該当するならば、この距離がゼロに設定される。
【0036】
そして、利用者Yの進行方向を前(正面)とした場合の目的地の相対的な方向を、案内方向とする。図9は、利用者への案内方向の判断を説明する図である。同図において、利用者Yの進行方向は「東」であり、目的地の方向は「南」である。従って、利用者Yの案内方向は「右」と判断される。その後、処理部110Aは、判断した案内方向及び目的地までの距離を含む案内文のデータを生成し、検知した案内用杖30に該当する携帯端末40に送信する。
【0037】
タグリーダライタ120は、処理部110Aの制御に従って、案内用杖30のICタグ31に記憶されているデータの読み出しや、指定されたデータのICタグ31への書き込みを行う。無線通信部130は、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した無線通信モジュールであり、主に、周辺の他の誘導用ブロック10や携帯端末40との無線通信を行う。なお、Bluetooth規格に限らず、他の無線通信規格としても良い。
【0038】
記憶部140Aは、ROMやRAM等の各種ICメモリによって実現され、処理部110Aが各種処理を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されるとともに、処理部1の作業領域として用いられる。本実施例では、記憶部140Aには、プログラムとして誘導案内プログラム141Aが記憶されているとともに、データとして、当該誘導用ブロック10のブロックID151と、隣接ブロックデータ152と、候補地データ153と、目的地管理データ154と、杖検知管理データ155とが記憶される。
【0039】
(処理の流れ)
図10は、誘導案内処理(1)の流れを説明するフローチャートである。同図によれば、処理部110Aは、携帯端末40から目的地データを受信したならば(ステップA1:YES)、受信した目的地データをもとに目的地管理データ154を更新する(ステップA3)。また、他の誘導用ブロック10から杖検知データを受信したならば(ステップA5:YES)、受信した杖検知データをもとに杖検知管理データ155を更新する(ステップA7)。
【0040】
また、案内用杖30を検知したならば(ステップA9:YES)、処理部110Aは、検知した案内用杖30のICタグ31に記憶されている杖IDを読み出す(ステップA11)。次いで、読み出した杖IDと、当該誘導用ブロック10のブロックID(自ブロックID)とを含む杖検知データを、周辺の誘導用ブロック10に送信する(ステップA13)。
【0041】
また、杖検知管理データ155を参照して、検知した案内用杖30の前回検知ブロックが有るかを判断し、前回検知ブロックがあるならば(ステップA15:YES)、次いで、隣接ブロックデータ152を参照して、検知した案内用杖30の前回検知ブロックが自ブロックの隣接ブロックであるかを判断する。隣接ブロックならば(ステップA17:YES)、自ブロックから見たその隣接ブロックの方向とは逆方向を、利用者の進行方向と判断する(ステップA19)。続いて、判断した利用者の進行方向を基準とした目的地の相対的な方向を、利用者への案内方向と判断する(ステップA21)そして、判断した案内方向や目的地までの距離を含む案内文を作成し、案内文のデータを生成する。続いて、目的地管理データ154を参照して、検知した案内用杖30に対応する携帯端末40を判断し、判断した携帯端末40に生成した案内文データを送信する(ステップA23)。
【0042】
一方、前回検知ブロックがない(ステップA15:NO)、或いは、前回検知ブロックが自ブロックの隣接ブロックでないならば(ステップA17:NO)、利用者の進行方向は不明と判断する(ステップA25)。その後、ステップA1に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0043】
[第2実施例]
次に、第2実施例を説明する。なお、第2実施例において、上述の第1実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
【0044】
(構成)
図11は、第2実施例における誘導案内システム1Bの構成を説明する図である。同図によれば、誘導案内システム1Bは、誘導用ブロック10Bと、案内用杖30と、携帯端末40とを備えて構成される。
【0045】
案内用杖30に内蔵されるICタグ31には、当該案内用杖30の杖IDと、当該案内用杖30を最後に検知した誘導用ブロック10のID(前回検知ブロックID)とが記憶される。
【0046】
誘導用ブロック10Bは、処理部110Bと、タグリーダライタ120と、無線通信部130と、記憶部140Bとを備えて構成される。
【0047】
処理部110Bは、誘導案内プログラム141Bに従った誘導案内処理(2)を実行する。誘導案内処理(2)では、処理部110Bは、案内用杖30のICタグ31に記憶されている杖ID及び前回検知ブロックIDを読み出すことにより、この案内用杖30を検知する。次いで、自ブロックIDを新たな前回検知ブロックIDとして、この検知した案内用杖30のICタグ31に書き込む。
【0048】
続いて、読み出した前回検知ブロックIDをもとに、利用者の移動方向を判断する。すなわち、隣接ブロックデータ152を参照して、検知した案内用杖30の前回検知ブロックが自ブロックの隣接ブロックであるかを判断し、隣接ブロックならば、自ブロックから見た前回検知ブロックの方向とは逆方向を、利用者の進行方向と判断する。そして、判断した進行方向と目的地の方向との相対的な位置関係から、利用者への案内方向を判断する。その後、判断した案内方向及び目的地までの距離を含む案内文のデータを生成し、検知した案内用杖30に該当する携帯端末40に送信する。
【0049】
記憶部140Bには、プログラムとして誘導案内プログラム141Bが記憶されるとともに、データとして、当該誘導用ブロック10のブロックID(自ブロックID)と、隣接ブロックデータ152と、候補地データ153と、目的地管理データ154とが記憶される。
【0050】
(処理の流れ)
図12は、誘導案内処理(2)の流れを説明するフローチャートである。同図によれば、処理部110Bは、携帯端末40から目的地データを受信したならば(ステップA1:YES)、受信した目的地データをもとに、目的地管理データ154を更新する(ステップA3)。
【0051】
また、案内用杖30が検知されたならば(ステップA9:YES)、案内用杖30のICタグ31に記憶されている杖ID及び前回検知ブロックIDを読み出す(ステップB11)。次いで、自ブロックIDをこの案内用杖30のICタグ31に書き込み、前回検知ブロックIDとして更新する(ステップB13)。
【0052】
そして、処理部110Bは、前回検知ブロックIDが読み出されたか、すなわち前回検知ブロックが有るかを判断し、前回検知ブロックが有るならば(ステップA15:YES)、続いて、隣接ブロックデータ152を参照して、この前回検知ブロックが自ブロックの隣接ブロックであるかを判断する。隣接ブロックならば(ステップA17:YES)、自ブロックから見たその隣接ブロックの方向とは逆方向を利用者の進行方向と判断する(ステップA19)。次いで、判断した利用者の進行方向を基準とした目的地の相対的な方向を、利用者への案内方向と判断する(ステップA21)そして、判断した案内方向や目的地までの距離を含む案内文を作成し、案内文のデータを生成し、検知した案内用杖30に該当する携帯端末40に送信する(ステップA23)。
【0053】
一方、前回検知ブロックがない(ステップA15;NO)、或いは、前回検知ブロックが自ブロックの隣接ブロックでないならば(ステップA17:NO)、利用者の進行方向は不明と判断する(ステップA25)。その後、ステップA1に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0054】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述に実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0055】
(A)目的地を設定しない
例えば、目的地が設定されていない場合には、利用者の進行方向にある場所を案内することにしても良い。具体的には、判断した利用者の進行方向から、利用者が次に進む方向を予測し、予測した方向に進んだ際に至る候補地を案内する。例えば、「北口改札に向かっています」といった案内である。また、誘導路の分岐部分など進むと予測される方向が複数ある場合には、これら複数の方向それぞれについての候補地を案内する。例えば、「右方向に進むと1番線ホーム、直進すると2番線ホームです」といった案内である。
【0056】
(B)目的地の設定
また、上述の実施形態では、利用者が、携帯端末40に目的地を入力設定し、携帯端末40が、設定された利用者及び目的地のデータ(目的地データ)を随時発信し、この目的地データを受信することで誘導ブロック10に利用者の目的地を設定することにしたが、これを、次のようにしても良い。
【0057】
(B-1)誘導ブロック10間で送受信
例えば、誘導ブロック10間で目的地を送受信することにしても良い。すなわち、誘導ブロック10は、検知した案内用杖30のICタグ31から読み出したデータ(杖ID等)と、目的地管理データ154から取得した当該案内用杖30の利用者の目的地とを、杖検知データとして周辺の誘導ブロック10に送信する。この場合、携帯端末40は、目的地データを随時発信しても良いし、所定間隔で間欠的に発信することにしても良い。
【0058】
(B-2)案内用杖30に設定
また、案内用杖30のICタグ31に目的地を設定することにしても良い。すなわち、携帯端末40から発信された目的地データを、案内用杖30のICタグ31において受信・記憶する。そして、誘導ブロック10は、検知した案内用杖30のICタグ31から、杖ID及び目的地のデータを読み出す。
【0059】
(C)利用者情報
また、上述の実施形態では、誘導案内システムの利用者を視覚障害者としたが、例えば高齢者といった案内が必要な他の利用者を対象としても良い。この場合には、携帯端末40において、目的地とともに利用者種別(例えば、視覚障害者や高齢者、車椅子)を設定する。また、誘導用ブロック10において、候補地それぞれの方向として、利用者種別毎に方向を対応付けて設定しておく。これは、利用者種別によって、階段の利用が可能か否か、エレベータの利用の必要性、通行に必要な通路の幅といった経路条件が異なるためである。この利用者情報は、目的地データの補足情報として目的地データとともに、携帯端末40と誘導ブロック10との間、或いは、誘導ブロック10間で通信されることにしても良い。
【0060】
(D)隣接ブロック
また、上述の実施形態では、誘導ブロック10に記憶される隣接ブロックデータ152として、当該誘導ブロック10の誘導路に沿った次の誘導ブロック10の方向を記憶することとしたが、所定数(例えば、2つ)隣や近辺の誘導ブロック10も隣接ブロックとしてその方向も記憶しておくことにしても良い。ここで、隣接ブロックとする誘導ブロック10の数は、記憶容量に応じた数とすれば良い。これにより、例えば、誘導ブロック10を1つとばして検知された場合や、誘導ブロックに沿わずに歩行した場合であっても、利用者の進行方向を判断することが可能となる。
【0061】
(E)案内用杖30の検知時刻
また、上述の実施形態では、杖検知管理データ155は、他の誘導ブロック10から杖検知データが受信された場合に更新される。つまり、案内用杖30それぞれについて、当該案内用杖30が最後に検知された誘導ブロック10のデータが記憶されるが、更に、杖検知データの受信時刻(つまり、案内用杖30の検知時刻)を該当する案内用杖30の検知時刻として記憶し、この検知時刻から一定時間が経過した案内用杖30についてのデータを参照しないことにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】誘導案内システムの概略構成図。
【図2】誘導案内の一例。
【図3】第1実施例における誘導案内システムの構成図。
【図4】杖検知管理データのデータ構成例。
【図5】隣接ブロックデータのデータ構成例。
【図6】利用者の進行方向の判断の説明図。
【図7】目的地管理データのデータ構成例。
【図8】候補地データのデータ構成例。
【図9】利用者に対する案内方向の判断の説明図。
【図10】第1実施例における誘導案内処理(1)のフローチャート。
【図11】第2実施例における誘導案内システムの構成図。
【図12】第2実施例における誘導案内処理(2)のフローチャート。
【符号の説明】
【0063】
1(1A,1B) 誘導案内システム
10 誘導用ブロック
20 制御ユニット
110A,110B 処理部、120 タグリーダライタ
130 無線通信部、140A,140B 記憶部
30 案内用杖、31 ICタグ
40 携帯端末
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11