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明細書 :強風監視方法及び強風監視装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5009174号 (P5009174)
公開番号 特開2009-162657 (P2009-162657A)
登録日 平成24年6月8日(2012.6.8)
発行日 平成24年8月22日(2012.8.22)
公開日 平成21年7月23日(2009.7.23)
発明の名称または考案の名称 強風監視方法及び強風監視装置
国際特許分類 G01P   5/02        (2006.01)
G01W   1/00        (2006.01)
B61L  23/00        (2006.01)
FI G01P 5/02
G01W 1/00 A
B61L 23/00 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2008-001450 (P2008-001450)
出願日 平成20年1月8日(2008.1.8)
審査請求日 平成22年3月10日(2010.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 昌弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】田邉 英治
参考文献・文献 特表2004-512492(JP,A)
特開平06-222067(JP,A)
特開昭62-025268(JP,A)
特開2005-003535(JP,A)
特開2007-269055(JP,A)
特表平01-503492(JP,A)
特開2005-257570(JP,A)
特開2006-250647(JP,A)
調査した分野 G01P 5/00- 5/22
G01L 1/00- 1/26
G01D 5/26
G01M 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
鉄道や道路、長大構造物などの施設構造物において強風警告や規制を行う強風監視方法であって、
(a)前記施設構造物の周りに複数の柱を設置し、
(b)該複数の柱に風に対する抵抗力増幅装置を固定したブリルアン散乱型光ファイバケーブルを架設し、
(c)該ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの両端にそれぞれ第1の変調光発生装置および第1の散乱光解析装置と、第2の変調光発生装置および第2の散乱光解析装置とを接続し、
(d)前記施設構造物の全域に渡り風速を計測し、前記施設構造物に対する強風警告や規制を行うための強風の監視を行うとともに、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの横側からの横風に応答し、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルに沿った方向からの風には応答しない、風向に対応した風速の計測を行い、かつ前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルが切断した場合には、前記第1の散乱光解析装置と第2の散乱光解析装置からの出力の変動によりその切断位置をすぐに特定できるようにしたことを特徴とする強風監視方法。
【請求項2】
鉄道や道路、長大構造物などの施設構造物において強風警告や規制を行う強風監視装置であって、
(a)前記施設構造物の周りに設置される複数の柱と、
(b)該複数の柱の間に架設される風に対する抵抗力増幅装置を固定したブリルアン散乱型光ファイバケーブルと、
(c)該ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの両端にそれぞれ接続される第1の変調光発生装置および第1の散乱光解析装置と、第2の変調光発生装置および第2の散乱光解析装置とを備え、
(d)前記施設構造物の全域に渡り風速を計測し、前記施設構造物に対する強風警告や規制を行うための強風の監視を行うとともに、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの横側からの横風に応答し、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルに沿った方向からの風には応答しない、風向に対応した風向別の風速の計測手段を具備し、かつ前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルが切断した場合には、前記第1の散乱光解析装置と第2の散乱光解析装置からの出力の変動によりその切断位置をすぐに特定できるようにしたことを特徴とする強風監視装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道、道路沿線や長大構造物における強風監視に係り、特に、強風による光ファイバケーブルのひずみを利用した強風監視方法及び強風監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道や道路、長大構造物において強風規制や警告を行うための風速は、限られた地点に設置された風速計によって測定されている。
一方、光ファイバを用いた測定装置として、プローブ光を不連続プローブ光としたブリルアン散乱型光ファイバを用いた測定装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
また、本願の出願人らによる光ファイバを用いた軌道狂いの計測装置(下記特許文献2参照)や、光ファイバを用いた雪崩検知装置(下記特許文献3参照)も提案されている。
【0003】
更に、ブリルアン散乱型光ファイバを用いた温度センサが提案されている(下記非特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2000-074697号公報
【特許文献2】特許第3942864号公報
【特許文献3】特許第3964804号公報
【非特許文献1】笹岡 英資・山本 義典・林 哲也・坂部 至,「ブリルアン散乱型光ファイバ温度センサ(ThermoGazer)」2007年1月・SEIテクニカルレビュー,第170号,pp.14-18
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の風速計を用いる方法では、鉄道や道路等の全線にわたる風速を測定するためには、非常に多くの風速計を設置する必要があり、実現が難しかった。
また、ブリルアン散乱型光ファイバケーブルを強風監視に用いたものは開発されていないのが現状である。
本発明は、上記状況に鑑みて、簡便な構成で沿線又は長大構造物の全域にわたる風速を監視することができる強風監視方法及び強風監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕鉄道や道路、長大構造物などの施設構造物において強風警告や規制を行う強風監視方法であって、前記施設構造物の周りに複数の柱を設置し、この複数の柱に風に対する抵抗力増幅装置を固定したブリルアン散乱型光ファイバケーブルを架設し、このブリルアン散乱型光ファイバケーブルの両端にそれぞれ第1の変調光発生装置および第1の散乱光解析装置と、第2の変調光発生装置および第2の散乱光解析装置とを接続し、前記施設構造物の全域に渡り風速を計測し、前記施設構造物に対する強風警告や規制を行うための強風の監視を行うとともに、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの横側からの横風に応答し、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルに沿った方向からの風には応答しない、風向に対応した風速の計測を行い、かつ前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルが切断した場合には、前記第1の散乱光解析装置と第2の散乱光解析装置からの出力の変動によりその切断位置をすぐに特定できるようにしたことを特徴とする。
【0006】
〕鉄道や道路、長大構造物などの施設構造物において強風警告や規制を行う強風監視装置であって、前記施設構造物の周りに設置される複数の柱と、この複数の柱の間に架設される風に対する抵抗力増幅装置を固定したブリルアン散乱型光ファイバケーブルと、このブリルアン散乱型光ファイバケーブルの両端にそれぞれ接続される第1の変調光発生装置および第1の散乱光解析装置と、第2の変調光発生装置および第2の散乱光解析装置とを備え、前記施設構造物の全域に渡り風速を計測し、前記施設構造物に対する強風警告や規制を行うための強風の監視を行うとともに、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの横側からの横風に応答し、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルに沿った方向からの風には応答しない、風向に対応した風向別の風速の計測手段を具備し、かつ前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルが切断した場合には、前記第1の散乱光解析装置と第2の散乱光解析装置からの出力の変動によりその切断位置をすぐに特定できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)沿線全域にわたり、連続的に風速を監視することができる。
(2)強風の生じた箇所をピンポイントで特定することができる。
(3)従来は、風速計の設置箇所のみでしか風速が分からなかったが、そのような風速計と風速計との間で発生し見逃してしまっていた強風を本発明により検知することができる。特に局所的な竜巻などの発生を的確に検知することができる。
【0008】
(4)強風が生じたことの警報システムと鉄道の信号システムを直結することにより、列車を転覆させるような強風が生じた瞬間に、走行中の列車に対して強風発生を知らせることができる。さらに、列車への信号を停止信号または徐行信号にして通知することで未然に事故を防ぐことができる。
(5)横風の場合はブリルアン散乱型光ファイバケーブルにひずみが生じるが、列車や車に対して正面から吹く強風規制の必要のない風では、ブリルアン散乱型光ケーブルにひずみはほとんど生じない。よって、列車や車に対する風向別規制ができる。
【0009】
(6)ブリルアン散乱型ケーブルは数十kmまでの測定が可能である。よって数駅領域毎に強風監視装置を設置すればよい。
(7)従来の風速計のような可動部分がないので装置の故障が少ない。万が一、ブリルアン散乱型光ファイバケーブルが切断しても、散乱光を測定することによりその切断位置がすぐに特定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の強風監視方法は、鉄道や道路、長大構造物などの施設構造物において強風警告や規制を行う強風監視方法であって、前記施設構造物の周りに複数の柱を設置し、この複数の柱に風に対する抵抗力増幅装置を固定したブリルアン散乱型光ファイバケーブルを架設し、このブリルアン散乱型光ファイバケーブルの両端にそれぞれ第1の変調光発生装置および第1の散乱光解析装置と、第2の変調光発生装置および第2の散乱光解析装置とを接続し、前記施設構造物の全域に渡り風速を計測し、前記施設構造物に対する強風警告や規制を行うための強風の監視を行うとともに、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの横側からの横風に応答し、前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルに沿った方向からの風には応答しない、風向に対応した風速の計測を行い、かつ前記ブリルアン散乱型光ファイバケーブルが切断した場合には、前記第1の散乱光解析装置と第2の散乱光解析装置からの出力の変動によりその切断位置をすぐに特定できるようにした
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明のブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
この図において、1は第1の変調光発生装置、2は第1の散乱光解析装置、3は第2の変調光発生装置、4は第2の散乱光解析装置、5はこれらの装置1~4に接続されるコンピュータ、6は第1の変調光発生装置1および第1の散乱光解析装置2と第2の変調光発生装置3および第2の散乱光解析装置4との間に架設されるブリルアン散乱型光ファイバケーブルである。7はブリルアン散乱型光ファイバケーブル6が受ける風に対して抵抗力を増すために光ファイバケーブル6に固定される風に対する抵抗力増幅装置であり、ここでは板状体である。
【0012】
図2は本発明の第1実施例を示す鉄道沿線に架設するブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
この図において、11はレール、12はレール11上を走行する列車、13はレール11の沿線に設置される電柱、14はその電柱13に架設されるブリルアン散乱型光ファイバケーブル、15はその光ファイバケーブル14が受ける風に対して抵抗力を増すために光ファイバケーブル14に固定される風に対する抵抗力増幅装置、ここでは板状体である。16は第1の変調光発生装置、17は第1の散乱光解析装置、18は第2の変調光発生装置、19は第2の散乱光解析装置、20はこれらの装置16~19に接続されるコンピュータである。
【0013】
このように、ブリルアン散乱型光ファイバケーブル14を鉄道(又は道路わき)の電柱13に架設する。光ファイバケーブル14に対して横方向から風が吹くと、ブリルアン散乱型光ファイバケーブル14にはその両端にそれぞれ第1の変調光発生装置16と第2の変調光発生装置18、並びに第1の散乱光解析装置17と第2の散乱光解析装置19が接続されているので、その横風によりブリルアン散乱型光ファイバケーブル14がひずむと、ブリルアン散乱型光ファイバケーブル14の両端の第1の変調光発生装置16と第2の変調光発生装置18から周波数の異なった光が送られるので、光が散乱する。その散乱光を第1の散乱光解析装置17と第2の散乱光解析装置19により解析し、そのデータがコンピュータ20によって演算されて風力が計測される。その計測された風力がコンピュータ20にあらかじめ記憶されている参照値と比較され、計測された風力が参照値より大きい場合は強風と判定して、それに基づいて列車12へ強風の警告を発して、列車12の走行規制を行う。
【0014】
図3は本発明の第2実施例を示す橋梁に架設するブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
この図において、21は吊り橋型の橋梁、22は吊り柱、23は吊りロープ、24は吊り柱22の間に架設されるブリルアン散乱型光ファイバケーブルである。また、25はその光ファイバケーブル24が受ける風に対して抵抗力を増すために光ファイバケーブル24に固定される風に対する抵抗力増幅装置であり、ここでは板状体である。
【0015】
第2実施例における強風監視装置の動作は、第1実施例と同様である。ここでは、強風を検知し、警告が出されると、橋梁を通行する自動車や歩行者の通行規制を行って安全を確保するようにする。橋梁を鉄道車両が通行する場合も同様に規制される。
図4は本発明の第3実施例を示す長大構造物に架設するブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
【0016】
この図において、31は長大構造物、例えばビッグイベントビルディング、32はその長大構造物31の周りに配置される支持柱、33はその支持柱32の間に配置されるブリルアン散乱型光ファイバケーブルである。34は光ファイバケーブル33が受ける風に対して抵抗力を増すために光ファイバケーブル33に固定される風に対する抵抗力増幅装置であり、ここでは板状体である。
【0017】
この第3実施例における強風監視装置の動作も、第1実施例と同様である。ここでは、強風を検知し警告が出されると、長大構造物にいる人へ強風が発生したことを通知して、屋外への移動などを規制する。
これらの実施例では、光ファイバケーブルに対して横風が吹くと、光ファイバケーブルに固定した抵抗力増幅装置により風に対する抵抗力が増し、確実に風力を捕らえることができるので、横風を確実に検出することができる。
【0018】
また、上記実施例では、風に対する抵抗力増幅装置として板状体を示したが、これに代えて、光ファイバケーブルのコアの周囲の被覆(クラッド)の厚みを増やすことで風に対する抵抗力を増加させるようにしてもよい。
このように、本発明によれば、鉄道、道路沿線や長大構造物の周りに柱を設けて、その柱にブリルアン散乱型光ファイバケーブルを架設する簡単な構成で、強風の監視を行うことができる。
【0019】
なお、本発明の強風監視方法によれば、ブリルアン散乱型光ファイバケーブルの横側からの横風に応答し、ブリルアン散乱型光ファイバケーブルに沿った方向の風には応答しない、風向に対応した風速の計測を行うことができる。
また、ブリルアン散乱型ケーブルは数十kmまでの測定が可能である。よって数駅領域毎に本発明の強風監視装置を設置すればよい。
【0020】
更に、従来の風速計のような可動部分がないので装置の故障が少ない。万が一、ブリルアン散乱型光ファイバケーブルが切断しても散乱光を測定することによりその切断位置がすぐに特定できる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の強風監視方法及び強風監視装置は、鉄道、道路沿線や長大構造物における強風監視に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す鉄道沿線に架設するブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す橋梁に架設するブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
【図4】本発明の第3実施例を示す長大構造物に架設するブリルアン散乱型光ファイバケーブルを用いた強風監視装置の構成図である。
【符号の説明】
【0023】
1,16 第1の変調光発生装置
2,17 第1の散乱光解析装置
3,18 第2の変調光発生装置
4,19 第2の散乱光解析装置
5,20 コンピュータ
6,14,24,33 ブリルアン散乱型光ファイバケーブル
7,15,25,34 風に対する抵抗力増幅装置
11 レール
12 列車
13 電柱
21 吊り橋型の橋梁
22 吊り柱
23 吊りロープ
31 長大構造物
32 支持柱
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3