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明細書 :外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5198049号 (P5198049)
公開番号 特開2009-143458 (P2009-143458A)
登録日 平成25年2月15日(2013.2.15)
発行日 平成25年5月15日(2013.5.15)
公開日 平成21年7月2日(2009.7.2)
発明の名称または考案の名称 外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線
国際特許分類 B60M   1/13        (2006.01)
H01B   5/02        (2006.01)
FI B60M 1/13 A
H01B 5/02 A
請求項の数または発明の数 11
全頁数 9
出願番号 特願2007-324154 (P2007-324154)
出願日 平成19年12月17日(2007.12.17)
審査請求日 平成22年3月10日(2010.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】上條 弘貴
【氏名】長坂 整
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】原 賢一
参考文献・文献 特表2001-511290(JP,A)
調査した分野 B60M 1/00-7/00
H01B 5/00-5/12
特許請求の範囲 【請求項1】
架線を電気的に区分した区分装置を形成する導電線であって、絶縁体の繊維からなる芯部材と、該芯部材の外周に形成された導電体と、前記区分装置を形成する導電線の外周に形成された導電体の所定箇所導電体に代えて形成される絶縁部材とを具備することを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項2】
請求項1記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記外周に形成された導電体の所定箇所が導電線の端部であることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項3】
請求項1記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記外周に形成された導電体の所定箇所が導電線の途中部分であることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記芯部材が低熱膨張材料からなることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記導電体は、銅又はアルミニウムからなることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項6】
請求項1、2又は3記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲に絶縁性樹脂を塗布して前記導電体と同じ外径としたFRP部材からなることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項7】
請求項1、2又は3記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材に絶縁性樹脂を染み込ませて膨張させて前記導電体と同じ外径としたFRP部材からなることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項8】
請求項1、2又は3記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲をガラスクロスと絶縁性樹脂を用いて前記導電体と同じ外径としたFRP部材からなることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項9】
請求項1、2又は3記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲に絶縁性樹脂をガラスクロスに含浸させてプリプレグシートを巻き付けて硬化させたものであることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項10】
請求項1、2又は3記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲に絶縁性樹脂をガラスクロスに含浸させてプリプレグシートを巻き付けて設置後に硬化させることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
【請求項11】
請求項6~10の何れか一項記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トロリ線やき電ちょう架式を含むちょう架線などの導電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トロリ線やちょう架線などの高速用区分装置は、以下のように構成されている。
架線を電気的に区分して、パンタグラフが通過できる構造にしたものを区分装置(セクション:デッドセクションやエアーセクション)という。交流電化区間では、変電所ごとに電圧の位相が異なるため、変電所の境界では本線上にもセクションが必要である。
はかかる従来のデッドセクションを示す模式図である。
【0003】
この図において、101はトロリ線、102はFRPインシュレータ(2m×4本)、103はちょう架線、104は連結ロッド、105は懸垂がいし、106は連結金具である。
FRPインシュレータ102の絶縁本体はGFRPのクロスをすし巻きにして、長方形断面にプレスしたもので、2m長を4本接続して使用している。
【0004】
このように、交流電化区間では変電所ごとに位相が異なるため、その境界において位相短絡を防ぐため、絶縁区間(デッドセクション)等を設ける必要がある。在来線では図に示すように主にFRPインシュレータが用いられているが、剛性および単位長さの質量が通常のトロリ線より大きいため集電性能が劣る。そのため、車両が高速でこの区間を通過すると衝撃力が生じ、パンタグラフと架線に損傷を起こしやすい。
【0005】
一方、本願発明者は、トロリ線やちょう架線などの導電線として、総合的な熱膨張係数の小さい導電線の開発を行っている(下記特許文献1,2参照)。

【特許文献1】特開2006-85914号公報
【特許文献2】特開2007-118670公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、従来のデッドセクションにおいては、FRPインシュレータが用いられるが集電性能が低く、この区間を車両が通過すると衝撃力を生じ、パンタグラフと架線に損傷を起こしやすいといった問題が生じている。
また、デッドセクションの構成が複雑になっており、シンプル化が望まれるところである。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みて、デッドセクションなどにおけるトロリ線やちょう架線などの導電線の簡素化を図り、架線事故を低減することができる外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、架線を電気的に区分した区分装置を形成する導電線であって、絶縁体の繊維からなる芯部材と、この芯部材の外周に形成された導電体と、前記区分装置を形成する導電線の外周に形成された導電体の所定箇所導電体に代えて形成される絶縁部材とを具備することを特徴とする。
【0009】
〔2〕上記〔1〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記外周に形成された導電体の所定箇所が導電線の端部であることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記外周に形成された導電体の所定箇所が導電線の途中部分であることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記芯部材が低熱膨張材料からなることを特徴とする。
【0010】
〔5〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記導電体は、銅又はアルミニウムからなることを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲に絶縁性樹脂を塗布して前記導電体と同じ外径としたFRP部材からなることを特徴とする。
【0011】
〔7〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材に絶縁性樹脂を染み込ませて膨張させて前記導電体と同じ外径としたFRP部材からなることを特徴とする。
〔8〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲をガラスクロスと絶縁性樹脂を用いて前記導電体と同じ外径としたFRP部材からなることを特徴とする。
【0012】
〔9〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲に絶縁性樹脂をガラスクロスに含浸させてプリプレグシートを巻き付けて硬化させたものであることを特徴とする。
〔10〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁部材は、前記芯部材の周囲に絶縁性樹脂をガラスクロスに含浸させてプリプレグシートを巻き付けて設置後に硬化させることを特徴とする。
【0013】
〔11〕上記〔6〕~〔10〕の何れか一項記載の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線において、前記絶縁性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)デッドセクションなどにおけるトロリ線やちょう架線などの導電線の配置の簡素化とシンプル化を図り、架線事故を低減することができる。
(2)トロリ線、ちょう架線の張力は芯部材が受け持つため、接続がなく、均一な張力を加えることができる。接続がないので構造上、保守上有利である。
【0015】
(3)芯部材として低熱膨張特性のあるザイロン(登録商標)やダイニーマ(登録商標)を使用した場合には、低熱膨張導電線であるために、外部温度による導電線の膨張を抑えることができ、トロリ線やちょう架線の弛度を低減し、複数の電線が平行して配置される場合には、それらの電線の短絡事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線は、架線を電気的に区分した区分装置を形成する導電線であって、絶縁体の繊維からなる芯部材と、この芯部材の外周に形成された導電体と、前記区分装置を形成する導電線の外周に形成された導電体の所定箇所の導電体に代えて形成される絶縁部材とを具備する。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示す外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の斜視図、図2はその導電線の断面図、図3は図1の拡大断面図であり、図3(a)は図1のA-A線拡大断面図、図3(b)は図1のB-B線拡大断面図、図4はその外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の引留装置を示す図である。
【0018】
これらの図において、1はPBO繊維(絶縁体の繊維)である「ザイロン」や超高分子量ポリエチレン繊維(絶縁体の繊維)である「ダイニーマ」からなる芯部材、2はこの芯部材1の外周に形成される銅やアルミニウムからなる導電体、3は導電線の端部4の芯部材外周に導電体2に代わって形成される絶縁部材、5は引留装置、6は電柱、7は引留バンド、8は碍子、9は絶縁部材3が接続される引留部材である。
【0019】
その絶縁部材3としては、
(1)芯部材1の周囲に絶縁性樹脂、例えば、エポキシ樹脂を塗布して導電体2と同じ外径としたFRP部材を用いることができる。
(2)芯部材1に絶縁性樹脂、例えば、エポキシ樹脂を染み込ませて膨張させて導電体2と同じ外径としたFRP部材を用いることができる。
【0020】
(3)芯部材1の周囲をガラスクロスと絶縁性樹脂、例えば、エポキシ樹脂を用いて導電体と同じ外径としたFRP部材を用いることができる。
(4)芯部材1の周囲に、例えば、エポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させてプリプレグシートを巻き付けて硬化させたものを用いることができる。
(5)芯部材の周囲に絶縁性樹脂をガラスクロスに含浸させてプリプレグシートを巻き付けて設置後に硬化させたものを用いることができる。
【0021】
このように、複合された導電線の端部4の外周は絶縁部材3によって絶縁されるように構成されている。したがって、複合された導電線の端部4は容易に絶縁をとることができるので、簡単な固定具で固定部(図示なし)に支持することができる。従来のように、トロリ線の支持のために、連結金具、連結ロッドや懸垂がいしを用いることなく、複合された導電線の端部4を簡便に、図4に示す引留装置5に支持することができる。
【0022】
特に、電気鉄道の変電所境界で異なる変電所から電力が供給される2本のトロリ線が並列に張られたエアーセクションにおいて、並列に張られた2本のトロリ線のうち、片側のみパンタグラフと通電可能とし、他方は絶縁するようにした構成が可能となる。このような構成により、2本の電圧の異なるトロリ線がパンタグラフを短絡して、過電流によるトロリ線の破断を引き起こすといった事故を防止することができる。
【0023】
また、この導電線は低熱膨張導電線であるために、外部温度による導電線の膨張を抑えることができる。
したがって、トロリ線やちょう架線などに用いると、その固定部への取り付けが容易になるとともに、トロリ線やちょう架線の弛度を低減し、複数の電線が平行して配置される場合には、それらの電線の短絡事故を防止することができる。
【0024】
図5は本発明の第2実施例を示す外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の斜視図、図6はその導電線の断面図、図7は図5の拡大断面図であり、図7(a)は図5のC-C線拡大断面図、図7(b)は図5のD-D線拡大断面図である。なお、引留装置は、図4に示したと同様のものを用いることができる。
これらの図において、11はPBO繊維(絶縁体の繊維)である「ザイロン」や超高分子量ポリエチレン繊維(絶縁体の繊維)である「ダイニーマ」からなる芯部材、12はこの芯部材11の外周に形成される銅やアルミニウムからなる導電体、13は導電線の中間部14の芯部材11の外周に導電体12に代わって形成される絶縁部材である。
【0025】
また、絶縁部材13としては、第1実施例に示したものと同様のものを用いることができる。
このように、複合された導電線の中間部14の外周は絶縁部材13によって絶縁されるように構成されている。したがって、複合された導電線の中間部14は容易に絶縁をとることができるので、導電線の途中でデッドセクションを形成することができる。しかも、そのデッドセクションの構成がシンプルで、簡素化することができる。従来のように、トロリ線の支持のために、連結金具、連結ロッドや懸垂がいしを用いることなく、簡便に固定部に取り付けることができる。
【0026】
また、第1実施例と同様に、トロリ線やちょう架線などに用いると、その固定部への取り付けが簡便になるとともに、トロリ線やちょう架線の弛度を低減し、複数の電線が平行して配置される場合には、それらの電線の短絡事故を防止することができる。
また、途中で絶縁部材を接続する必要がなく、一本の芯部材で支持されるため、高い張力が保持でき、切断などの事故も低減できて高い信頼性を得ることができる。
【0027】
したがって、本発明の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線をトロリ線として用いると、このような絶縁区間の集電性能を向上させ、鉄道車両はパンタグラフと架線に損傷を起こさずに高速で通過することができる。
また、高強度で導電性のない繊維を芯部材として配置し、その周囲に導電材料および絶縁材料を配置して一体構造とするため、張力は芯材となる繊維が受け持ち、これまでのトロリ線と同様に適切な張力を与えた状態で敷設することができる。また、上記した第2実施例のような導電線をトロリ線として使用すると、2本を並行に配置することなく、1本のトロリ線を用いた通常のトロリ線構造で、変電所の給電区間を分けることができる。
【0028】
なお、上記実施例では、芯部材として、低熱膨張材料であるザイロン又はダイニーマを示したが、これに限定されるものではなく、絶縁材料、例えば、有機系絶縁材料、高強度スーパー繊維〔ケブラー(登録商標)、テクノーラ(登録商標)などのアラミド系繊維など)を用いるようにしてもよい。
また、本発明によれば、特に、き電線を兼ね電気を流すき電ちょう架線へも適用できる。
【0029】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線は、デッドセクションでのトロリ線の配置の簡素化を図ることができるとともに、弛度を抑えることによる給電事故を防止できる導電線として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施例を示す外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の断面図である。
【図3】図1の拡大断面図である。
【図4】本発明の外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の引留装置を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す外周の所定箇所に絶縁部位を有する導電線の断面図である。
【図7】図6の拡大断面図である。
【図8】従来のデッドセクションを示す模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1,11 芯部材
2,12 芯部材の外周に形成される導電体
導電線の端部の芯部材の外周に導電体に代わって形成される絶縁部材
4 導電線の端部
引留装置
電柱
引留バンド
碍子
引留部材
13 導電線の中間部の芯部材の外周に導電体に代わって形成される絶縁部材
14 導電線の中間部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7