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明細書 :プログラム及び運用整理案作成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4945370号 (P4945370)
公開番号 特開2009-051268 (P2009-051268A)
登録日 平成24年3月9日(2012.3.9)
発行日 平成24年6月6日(2012.6.6)
公開日 平成21年3月12日(2009.3.12)
発明の名称または考案の名称 プログラム及び運用整理案作成装置
国際特許分類 B61L  27/00        (2006.01)
FI B61L 27/00 H
請求項の数または発明の数 7
全頁数 18
出願番号 特願2007-217846 (P2007-217846)
出願日 平成19年8月24日(2007.8.24)
審査請求日 平成21年11月30日(2009.11.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】佐藤 圭介
個別代理人の代理人 【識別番号】100124682、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 泰
【識別番号】100104710、【弁理士】、【氏名又は名称】竹腰 昇
【識別番号】100090479、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 一
審査官 【審査官】白石 剛史
参考文献・文献 特開平11-245819(JP,A)
特開2004-224290(JP,A)
調査した分野 B61L 1/00-29/00
特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータを、
所与の運転整理ダイヤに基づいて当該運転整理ダイヤに対する乗務員の運用行路の候補を生成する行路候補生成手段、
前記生成された運用行路候補それぞれについて当該運用行路候補の選択是非を“1”又は“0”の値で表わす0以上1以下の変数として表わし、前記運転整理ダイヤを構成する全列車の乗務それぞれについて当該乗務に係る運用行路候補の変数の和が1以上となるように表わした第1のモデル式と、各乗務員それぞれについて当該乗務員の乗務に係る運用行路候補の変数の和が1となるように表わした第2のモデル式とを求め、前記第1及び第2のモデル式が成り立つ前記変数それぞれの値算出する解算出手段、
前記解算出手段により算出された前記変数の値全てが整数となったときの前記運用行路候補の組合せを暫定運用整理案として取得する暫定運用整理案取得手段、
運用行路候補が当該評価指標に適合するための条件と適合した場合の評価値とが定められた複数の評価指標それぞれの適否を判定して評価値を算出することで運用行路候補を評価する評価処理を、前記生成された運用行路候補について実行する評価手段、
前記暫定運用整理案取得手段により取得された暫定運用整理案の運用行路候補それぞれの前記変数の値と、前記評価手段により算出された当該運用行路候補の評価値との乗算値を積算した値を当該暫定運用整理案に対する総評価値として算出する総評価値算出手段、
前記解算出手段及び前記暫定運用整理案取得手段による処理を繰り返し実行させる繰り返し制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記評価指標それぞれについての評価値をユーザの操作入力に従って可変する評価値可変手段として前記コンピュータを機能させ、
前記評価手段が、前記評価値可変手段により可変された評価値に従って、前記評価処理を実行するように前記コンピュータを機能させる、
ための請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
ユーザによる所定の中断操作入力がなされたことを検出する検出手段、
前記検出手段による検出がなされた場合に前記繰り返し制御手段による繰り返し実行を一時中断する一時中断手段、
として前記コンピュータを機能させるとともに、
前記評価値可変手段が、前記一時中断手段による一時中断中に、前記評価指標それぞれについての評価値をユーザの操作入力に従って可変するように前記コンピュータを機能させる、
ための請求項に記載のプログラム。
【請求項4】
前記評価値可変手段により可変された前記評価指標それぞれの評価値の比率に基づいて各評価値を正規化する評価値補正手段として前記コンピュータを機能させるための請求項又はに記載のプログラム。
【請求項5】
前記繰り返し制御手段による繰り返し実行中に前記暫定運用整理案取得手段により暫定運用整理案が取得された場合に、取得された旨と、取得された暫定運用整理案についての総評価値とを表示制御する実行経過表示制御手段、
として前記コンピュータを機能させるための請求項のうちの何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記繰り返し制御手段が、繰り返し実行中に前記暫定運用整理案取得手段により取得された暫定運用整理案の総評価値の変化に基づいて繰り返し実行の終了を判定する繰り返し終了判定手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項のうちの何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
所与の運転整理ダイヤに基づいて当該運転整理ダイヤに対する乗務員の運用行路の候補を生成する行路候補生成手段と、
前記生成された運用行路候補それぞれについて当該運用行路候補の選択是非を“1”又は“0”の値で表わす0以上1以下の変数として表わし、前記運転整理ダイヤを構成する全列車の乗務それぞれについて当該乗務に係る運用行路候補の変数の和が1以上となるように表わした第1のモデル式と、各乗務員それぞれについて当該乗務員の乗務に係る運用行路候補の変数の和が1となるように表わした第2のモデル式とを求め、前記第1及び第2のモデル式が成り立つ前記変数それぞれの値算出する解算出手段と、
前記解算出手段により算出された前記変数の値全てが整数となったときの前記運用行路候補の組合せを暫定運用整理案として取得する暫定運用整理案取得手段と、
運用行路候補が当該評価指標に適合するための条件と適合した場合の評価値とが定められた複数の評価指標それぞれの適否を判定して評価値を算出することで運用行路候補を評価する評価処理を、前記生成された運用行路候補について実行する評価手段と、
前記暫定運用整理案取得手段により取得された暫定運用整理案の運用行路候補それぞれの前記変数の値と、前記評価手段により算出された当該運用行路候補の評価値との乗算値を積算した値を当該暫定運用整理案に対する総評価値として算出する総評価値算出手段と、
前記解算出手段及び前記暫定運用整理案取得手段による処理を繰り返し実行させる繰り返し制御手段と、
を備える運用整理案作成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、運用整理案作成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道において、ダイヤ乱れ時には、乱れたダイヤを正常なダイヤ(計画ダイヤ)に復帰させるために運転整理を行うが、運転整理された列車ダイヤ(運転整理ダイヤ)をもとに、乗務員運用計画を修正・変更する必要がある。この乗務員運用変更計画(乗務員運用整理案)を、コンピュータを用いて自動的に作成する乗務員運用整理案作成装置が知られている。かかる装置では、例えば、運転整理ダイヤを構成する各列車を乗り継ぎ可能駅で分割した列車乗務単位の何れかを組み合わせることで、乗務員が乗務可能な運用変更行路を乗務案として作成するとともに、各乗務案にコストを設定する。そして、列車乗務単位の全てに乗務員が割り当てられる乗務案の組合せを、各乗務案のコストを基に選択し、選択した乗務案の組合せを乗務員運用変更計画(乗務員運用整理案作成装置)とする(例えば、特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2006-56282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の乗務員運用整理案作成装置では、例えば各乗務案の評価値(コスト)をもとに最適と判断される1つの運用整理案を作成・出力するものであり、運用整理案の作成・出力に要する時間が考慮されていなかった。つまり、運用整理案はダイヤ乱れ時に作成されるものであり、状況によって必ずしも最適な運用整理案でなくても、限られた時間内で作成されることを優先すべき場合があり得る。
【0004】
また、従来の乗務員運用整理案作成装置では、運用整理案の作成の際に用いられる評価値は、予め定められた複数の評価指標をもとに総合的に算出されるが、この評価値の算出方法は固定であった。このため、複数の評価指標のうちのユーザが望む評価指標を重要視した整理案を作成するといったことは困難であった。また、最適と判断された1つの整理案のみではなく、複数の評価指標のうち、重要視する評価指標を異ならせた複数の運用整理案を見比べて、最適と思う整理案を選択したいという要望もあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが重要視したい評価指標を任意に設定・変更可能な運用整理案の作成を可能とし、また、制限された時間内での最適な運用整理案を作成可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
コンピュータ(例えば、図7の乗務員運用整理案作成装置1)を、
所与の運転整理ダイヤに基づいて当該運転整理ダイヤに対する乗務員の運用行路の候補を生成する行路候補生成手段(例えば、図11のステップA3,A19)、
前記生成された運用行路候補のうちから、前記運転整理ダイヤを構成する全列車の全乗務に乗務員を割り当てた運用行路候補の組合せを暫定運用整理案として取得する暫定運用整理案取得手段(例えば、図11のステップA7~A9)、
複数の評価指標それぞれの適否を判定して評価値を算出することで運用行路候補を評価する評価処理を、前記生成された運用行路候補について実行する評価手段(例えば、図11のステップA5、A21)、
前記暫定運用整理案取得手段により取得された暫定運用整理案を構成する運用行路候補それぞれの前記評価手段により評価された評価値の合計である総評価値を算出する総評価値算出手段(例えば、図11のステップA15)、
前記暫定運用整理案取得手段による暫定運用整理案の取得を繰り返し実行させる繰り返し制御手段(例えば、図11のステップA23)、
として機能させるとともに、
前記評価指標それぞれについての評価値をユーザの操作入力に従って可変する評価値可変手段(例えば、図11のステップA1)として前記コンピュータを機能させ、
前記評価手段が、前記評価値可変手段により可変された評価値に従って、前記評価処理を実行するように前記コンピュータを機能させるためのプログラム(例えば、図7の運用整理案作成プログラム510)である。
【0007】
また、第9の発明は、
所与の運転整理ダイヤに基づいて当該運転整理ダイヤに対する乗務員の運用行路の候補を生成する行路候補生成手段(例えば、図7のCPU10)と、
前記生成された運用行路候補のうちから、前記運転整理ダイヤを構成する全列車の全乗務に乗務員を割り当てた運用行路候補の組合せを暫定運用整理案として取得する暫定運用整理案取得手段(例えば、図7のCPU10)と、
複数の評価指標それぞれの適否を判定して評価値を算出することで運用行路候補を評価する評価処理を、前記生成された運用行路候補について実行する評価手段(例えば、図7のCPU10)と、
前記暫定運用整理案取得手段により取得された暫定運用整理案を構成する運用行路候補それぞれの前記評価手段により評価された評価値の合計である総評価値を算出する総評価値算出手段(例えば、図7のCPU10)と、
前記暫定運用整理案取得手段による暫定運用整理案の取得を繰り返し実行させる繰り返し制御手段(例えば、図7のCPU10)と、
前記評価指標それぞれについての評価値をユーザの操作入力に従って可変する評価値可変手段(例えば、図7のCPU10)と、
を備え、
前記評価手段が、前記評価値可変手段により可変された評価値に従って、前記評価処理を実行する、
運用整理案作成装置(例えば、図7の乗務員運用整理案作成装置1)である。
【0008】
この第1又は第9の発明によれば、運転ダイヤを構成する全列車の全乗務に乗務員を割り当てた運用行路候補の組合せである暫定運用整理案の取得が繰り返し実行されるとともに、取得の際に用いられる評価指標それぞれについての評価値が、ユーザの操作入力に従って可変される。これにより、ユーザにとってみれば、評価指標それぞれの評価値を任意に可変することが可能であるため、所望の評価指標の評価値を他の評価指標の評価値よりも大きく設定することで、当該所望の評価指標を重要視した場合の暫定運用整理案を得ることができる。また、暫定運用整理案の作成が繰り返し実行されるため、重要視する評価指標を異ならせた複数の暫定運用整理案を得ることもできる。
【0009】
第2の発明は、
コンピュータ(例えば、図7の乗務員運用整理案作成装置1)を、
所与の運転整理ダイヤに基づいて当該運転整理ダイヤに対する乗務員の運用行路の候補を生成する行路候補生成手段(例えば、図11のステップA3,A19)、
前記生成された運用行路候補を部分集合とし、前記運転整理ダイヤを構成する全列車の全乗務を要素として、前記運用行路候補それぞれの選択是非を変数として表した集合被覆問題のモデル式を求め、前記変数の値として小数を許容した解を算出する解算出手段(例えば、図11のステップA7~A9)、
前記解算出手段により算出された前記変数の値全てが整数となったときの前記運用行路候補の組合せを暫定運用整理案として取得する暫定運用整理案取得手段(例えば、図11のステップA11~A13)、
前記解算出手段及び前記暫定運用整理案取得手段による処理を繰り返し実行させる繰り返し制御手段(例えば、図11のステップA23)、
として機能させるためのプログラム(例えば、図7の運用整理案作成プログラム510)である。
【0010】
また、第10の発明は、
所与の運転整理ダイヤに基づいて当該運転整理ダイヤに対する乗務員の運用行路の候補を生成する行路候補生成手段(例えば、図7のCPU10)と、
前記生成された運用行路候補を部分集合とし、前記運転整理ダイヤを構成する全列車の全乗務を要素として、前記運用行路候補それぞれの選択是非を変数として表した集合被覆問題のモデル式を求め、前記変数の値として小数を許容した解を算出する解算出手段(例えば、図7のCPU10)と、
前記解算出手段により算出された前記変数の値全てが整数となったときの前記運用行路候補の組合せを暫定運用整理案として取得する暫定運用整理案取得手段(例えば、図7のCPU10)と、
前記解算出手段及び前記暫定運用整理案取得手段による処理を繰り返し実行させる繰り返し制御手段(例えば、図7のCPU10)と、
を備える運用整理案作成装置(例えば、図7の乗務員運用整理案作成装置1)である。
【0011】
この第2又は第10の発明によれば、生成された乗務員の運用行路候補を部分集合とし、運転整理ダイヤを構成する全乗務を要素として、運用行路候補それぞれの選択是非を変数として表した集合被覆問題のモデル式を求め、変数の値として小数を許容した解を算出し、算出された変数の値全てが整数となったときの運用行路候補の組合せが、暫定運用整理案として取得される。つまり、乗務員運用整理問題を集合被覆問題としてモデル化することで暫定運用整理案が取得されるが、運用行路候補それぞれの選択是非を表す変数の値を小数として許容することで、迅速に解を算出することが可能となる。また、暫定運用整理案の取得が繰り返し実行されることで、複数の暫定運用整理案を得ることができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明のプログラムであって、
複数の評価指標それぞれの適否を判定して評価値を算出することで運用行路候補を評価する評価処理を、前記生成された運用行路候補について実行する評価手段(例えば、図7のCPU10;図11のステップA5、A21)として前記コンピュータを機能させるとともに、
前記解算出手段が、前記運用行路候補それぞれの前記変数の値と、前記評価手段により算出された当該運用行路候補の評価値との乗算値を積算した総評価値が最良の値となる前記変数の値を算出するように前記コンピュータを機能させる、
ためのプログラムである。
【0013】
この第3の発明によれば、生成された運用行路候補それぞれの評価値が算出され、運用行路候補それぞれの変数の値と当該運用行路候補の評価値との乗算値を積算した総評価値が最良の値となる変数の値が算出される。また、暫定運用整理案の作成が繰り返し実行されるため、逐次、その時点で最良と判断される運用整理案が作成される。
【0014】
第4の発明は、第3の発明のプログラムであって、
前記評価指標それぞれについての評価値をユーザの操作入力に従って可変する評価値可変手段(例えば、図7のCPU10;図11のステップA1)として前記コンピュータを機能させ、
前記評価手段が、前記評価値可変手段により可変された評価値に従って、前記評価処理を実行するように前記コンピュータを機能させる、
ためのプログラムである。
【0015】
この第4の発明によれば、評価指標それぞれについての評価値がユーザの操作入力に従って可変され、可変された評価値に従って運用行路候補それぞれの評価値が算出される。つまり、評価値を可変すると、運用行路候補それぞれの評価値が異なり、その結果、取得される暫定運用整理案が異なる。これにより、ユーザにとってみれば、評価指標それぞれの評価値を任意に可変することが可能であるため、例えば所望の評価指標の評価値を他の評価指標の評価値よりも大きく設定することで、当該所望の評価指標を重要視した場合の暫定運用整理案を得ることができる。また、暫定運用整理案の作成が繰り返し実行されるため、重要視する評価指標を異ならせた複数の暫定運用整理案を得ることもできる。
【0016】
第5の発明は、第1又は第4の発明のプログラムであって、
ユーザによる所定の中断操作入力がなされたことを検出する検出手段(例えば、図7のCPU10;図12のステップB1)、
前記検出手段による検出がなされた場合に前記繰り返し制御手段による繰り返し実行を一時中断する一時中断手段(例えば、図7のCPU10;図12のステップB3)、
として前記コンピュータを機能させるとともに、
前記評価値可変手段が、前記一時中断手段による一時中断中に、前記評価指標それぞれについての評価値をユーザの操作入力に従って可変するように前記コンピュータを機能させる、
ためのプログラムである。
【0017】
この第5の発明によれば、ユーザによる所定の中断操作入力がなされたことが検出された場合には、暫定整理案の取得の繰り返し実行が一時中断され、この一時中断中に、評価指標それぞれについての評価値がユーザの操作入力に従って可変される。つまり、一時中断された繰り返し実行が再開された後は、変更された評価指標の評価値に基づいた暫定整理案が取得される。
【0018】
第6の発明は、第1、第4又は第5の発明のプログラムであって、
前記評価値可変手段により可変された前記評価指標それぞれの評価値の比率に基づいて各評価値を正規化する評価値補正手段として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0019】
この第6の発明によれば、可変された評価指標それぞれの評価値の比率に基づいて、各評価値が正規化される。
【0020】
第7の発明は、第1、第3~第6の何れかの発明のプログラムであって、
前記繰り返し制御手段による繰り返し実行中に前記暫定運用整理案取得手段により暫定運用整理案が取得された場合に、取得された旨と、取得された暫定運用整理案についての総評価値とを表示制御する実行経過表示制御手段(例えば、図7のCPU10;図11のステップA17)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0021】
この第7の発明によれば、暫定運用整理案が取得された場合には、取得された旨と、取得された暫定整理案についての総評価値とが表示される。これにより、ユーザは、暫定整理案が取得されたことと、その総評価値とを直ぐに知ることができる。
【0022】
第8の発明は、第1、第3~第7の何れかの発明のプログラムであって、
前記繰り返し制御手段が、繰り返し実行中に前記暫定運用整理案取得手段により取得された暫定運用整理案の総評価値の変化に基づいて繰り返し実行の終了を判定する繰り返し終了判定手段(例えば、図7のCPU10;図11のステップA29~A31)を有するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0023】
この第8の発明によれば、繰り返し実行中に取得された暫定運用整理案の総評価値の変化に基づいて、暫定運用整理案の取得の繰り返し実行の終了が判定される。総評価値の変化に基づく終了判定としては、例えば、総評価値が小さいほど「良い」とする場合には、取得された暫定運用整理案の総評価値が所定の閾値以下となった回数が所定回数に達した場合や、取得された暫定運用整理案の総評価値が直近に取得された暫定運用整理案の総評価値を超えた回数が所定回数に達した場合が考えられる。これにより、暫定運用整理案の取得の繰り返し実行を、適切なタイミングで終了させることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、運転ダイヤを構成する全列車の全乗務に乗務員を割り当てた運用行路候補の組合せである暫定運用整理案の取得が繰り返し実行されるとともに、取得の際に用いられる評価指標それぞれについての評価値が、ユーザの操作入力に従って可変される。
これにより、ユーザにとってみれば、評価指標それぞれの評価値を任意に可変することが可能であるため、例えば所望の評価指標の評価値を他の評価指標の評価値よりも大きく設定することで、当該所望の評価指標を重要視した場合の暫定運用整理案を得ることができる。また、暫定運用整理案の作成が繰り返し実行されるため、重要視する評価指標を異ならせた複数の暫定運用整理案を得ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0026】
[概要]
乗務員運用整理案作成装置は、列車のダイヤ乱れが発生した際に作成される運転整理ダイヤ(運転整理案)に合わせて、乗務員運用計画を変更した乗務員運用変更計画(乗務員運用整理案)を自動的に作成する装置である。「乗務員運用計画」とは、列車ダイヤを構成する全ての列車に対して必要な乗務員を割り当てた乗務員の運用スケジュールのことであり、「乗務員運用整理案」とは、ダイヤ乱れ時の運転整理ダイヤに対する乗務員運用計画のことである。なお、「乗務員」には「運転士」及び「車掌」が含まれるが、本実施形態では、説明の簡単化のため、「乗務員」を「運転士」のみとして説明する。
【0027】
本実施形態の乗務員運用整理案作成装置では、暫定的な乗務員運用整理案(暫定運用整理案)を作成する暫定整理案作成処理が繰り返し実行される。また、乗務員運用整理案は、この乗務員運用整理案を作成する問題を「追加制約つき集合被覆問題」にモデル化することで作成される。この「追加制約つき集合被覆問題」による乗務員運用整理案の作成について、簡単な例を挙げて説明する。
【0028】
図1は、列車ダイヤの簡単な一例を示す図である。また、この列車ダイヤに対する乗務員運用計画は、図2に示すように定められている。すなわち、この列車ダイヤには、3人の乗務員A,B,Cが割り当てられ、乗務員Aの計画行路は「乗務y→乗務b→乗務d」であり、乗務員Bの計画行路は「乗務x→乗務a」であり、乗務員Cの計画行路は「乗務z→乗務c」である。ここで、「乗務」とは、列車ダイヤを構成する全ての列車を乗務員が交代可能な駅で区切った要素であり、この乗務を組み合わせて行路が構成される。
【0029】
そして、乗務員Bの「乗務x」において事故等の障害によってB駅への到着の遅れが生じ、乗務員Bの計画行路である「乗務x→乗務a」が不可能となったとする。この場合、乗務xに障害が生じた後の時刻を開始時点し、所定期間を運用整理対象期間とする乗務員運用整理案が作成される。
【0030】
すなわち、対象の乗務員それぞれについて、運用行路の候補が設定される。「運用行路」は、1人の乗務員が勤務可能な1又は複数の乗務の組合せである。そして、「行路候補(運用行路候補)」は、対象期間の開始時点において該当する乗務員が存在する駅、或いは開始時点以降に最初に到着する駅を起点とした運用行路とされる。なお、ここで設定される行路候補は、考えられる全ての行路を含まなくとも良い。
【0031】
図1の場合、各乗務員の行路候補は、図3に示すように設定される。すなわち、乗務員Aについては、B駅を起点とする「乗務a→乗務d」、「乗務b→乗務d」及び「乗務c」の3つの行路候補が設定される。乗務員Bについては、B駅を起点とする「乗務b→乗務d」及び「乗務c」の2つの行路候補が設定される。乗務員Cについては、C駅を起点とする「乗務z→乗務b→乗務d」及び「乗務z→乗務c」の2つの行路候補が設定される。
【0032】
続いて、行路候補それぞれが、所定の評価基準に従って評価され、評価値(行路評価値)が算出される。すなわち、行路候補それぞれが、予め定められた複数の評価指標それぞれを満たすかが判定され、満たすと判定された評価指標の指標値の和が、当該行路候補の行路評価値として算出される。評価指標には、例えば、該当する乗務員の計画行路とは異なる乗務が含まれる「他行路乗務」や、該当する乗務員が所属する区所以外の区所の乗務が含まれる「他区所乗務」、行路候補における終着駅への到着時刻が、該当する乗務員の計画行路における終着駅への到着時刻より遅い時刻である「退勤遅延」、該当する乗務員が、運用計画では乗務が割り当てられていない予備乗務員である「予備乗務員」等がある。また、指標値は「正の整数」とする。つまり、行路評価値が小さいほど、「良い」行路候補であることを示す。
【0033】
次いで、これらの行路候補それぞれに「変数X」を割り当て、「追加制約つき集合被覆問題」にモデル化したモデル式が生成される。「変数X」は、対応する行路候補を選択するか否か(選択是非)を示す変数であり、「1」は当該行路候補を「選択する」ことを示し、「0」は「選択しない」ことを示す。そして、これらの行路候補を部分集合とし、運用整理ダイヤのうち、運用整理の対象期間の全ての列車の全ての乗務を要素とした「追加制約つき集合被覆問題」のモデル式を算出する。
【0034】
「集合被覆問題」とは、「全ての列車スジが、乗務員の運用行路によって被覆される」ことである。このモデル式は、例えば図3の場合には、次式(1)となる。
【数1】
JP0004945370B2_000002t.gif

【0035】
また、「追加制約」とは、「1人の乗務員が選択できる行路は1つのみ」である。
このモデル式は、例えば図3の場合には、次式(2)となる。
【数2】
JP0004945370B2_000003t.gif

【0036】
そして、この「集合被覆問題」及び「追加制約」のそれぞれのモデル式の解であって、行路評価値の総和が最小となる解が算出される。このとき、変数Xの範囲を「0.0≦X≦1.0」として解を算出する。また、このモデル式の解法としては、例えば「Simplex法」といった公知の手法を用いることができる。
【0037】
行路評価値の総和Cは、次式(3)で算出される。
【数3】
JP0004945370B2_000004t.gif
式(3)において、「j」は行路候補であり、「Xj」は行路候補jに割り当てられた変数Xである。つまり、行路評価値の総和Cは、全ての行路候補jそれぞれについて、行路評価値Cjに変数Xjの値を乗じた値を積算した値である。この行路評価値の総和Cが小さいほど、「良い」行路候補の組合せ、すなわち「良い」解であることを示す。
【0038】
そして、算出された解が「運用整理条件」を満たすならば、対応する変数Xの値が「1」である行路候補の組合せが、運用整理案とされる。ここで、「運用整理条件」は、「変数Xの値がそれぞれ「0」或いは「1」である」ことである。また、この運用整理案を構成する各行路候補の行路評価値の和が算出され、当該暫定運用整理案の総合評価値とされる。一方、算出された解が運用整理条件を満たさない(すなわち、算出した変数Xの値に「0」或いは「1」以外が1つでも含まれる)ならば、運用整理案は作成されない。「追加制約つき集合被覆問題」にモデル化することによる運用整理案の作成は、このように行われる。
【0039】
また、本実施形態では、運用整理案の作成に用いられる評価基準を、ユーザが任意に設定・変更することが可能となっている。このユーザ操作を、表示画面を参照して説明する。
【0040】
本実施形態の運用整理案作成装置では、先ず、評価基準を設定するための「評価基準設定画面」が表示される。図4に、評価基準設定画面の一例を示す。同図によれば、評価基準設定画面には、複数の評価指標それぞれについて、その指標値を変更・設定するためのスライダSが設けられているとともに、このスライダSによって指示されている現在の指標値Vが表示されている。ユーザは、この評価基準設定画面において、例えばマウス操作等によってスライダSを移動(スライド)させ、該当する評価指標の指標値Vを変更する。そして、開始アイコンIC1を選択すると、各評価指標の指標値が変更した値に設定される。その後、暫定整理案作成処理が開始され、当該処理を実行中であることを示す「実行中画面」が表示される。なお、運用整理案の作成そのものを終了する場合には、キャンセルアイコンIC2を選択する。
【0041】
図5に、実行中画面の一例を示す。同図によれば、実行中画面には、乗務員運用整理案の作成を実行中であることを示すメッセージMが表示されるとともに、作成された暫定整理案それぞれの名称及び総合評価値が次々と一覧表示される。同図では、3つの暫定整理案1~3が作成されていることを示している。なお、この暫定整理案の総合評価値は、上述の評価基準設定画面において設定された各評価指標の指標値に基づくものである。この実行中画面において中断アイコンIC3を選択すると、実行中の暫定整理案作成処理が一時中断され、評価基準を再設定するための「評価基準再設定画面」が表示される。なお、暫定整理案作成処理を終了する場合には、終了アイコンIC4を選択する。
【0042】
図6に、評価基準再設定画面の一例を示す。同図によれば、評価基準再設定画面は、評価基準設定画面と同様に、複数の評価指標それぞれについて、指標値を設定するためのスライダSが設けられているとともに、現在の指標値が表示されている。ユーザは、評価基準設定画面と同様に、スライダSを移動させて、各評価指標の指標値Vを変更する。そして、再開アイコンIC5を選択すると、各評価指標の指標値が変更した値に再設定され、一時中断している暫定整理案作成処理が再開され、図5に一例を示した実行中画面が、再度表示される。この再開以降の運用整理案作成処理は、再設定した評価基準値に基づいて実行される。
【0043】
[構成]
図7は、本実施形態の乗務員運用整理案作成装置1の構成を示すブロック図である。
この乗務員運用整理案作成装置1は、例えばコンピュータで実現され、CPU10と、入力部20と、表示部30と、通信部40と、記憶部50とを備えて構成される。
【0044】
CPU10は、記憶部50に記憶されるプログラムやデータ、入力部20から入力されたデータ等に基づいて、乗務員運用整理案作成装置1を構成する各部への指示やデータの転送を行い、乗務員運用整理案作成装置1の全体制御等を行う。また、本実施形態では、CPU10は、運用整理案作成プログラム510に従った運用整理案作成処理を行って、運転整理ダイヤ(運転整理案)に対する乗務員運用整理案を作成する。なお、運転整理ダイヤは、運転整理ダイヤデータ523に格納されている。
【0045】
具体的には、先ず、評価基準値の設定を行う。すなわち、図4に一例を示した評価基準設定画面を表示部30に表示させ、入力部20から入力されるユーザの操作指示に従って、各評価指標の指標値を設定する。設定された評価基準値は、評価基準データ524に格納される。また、入力部20から入力されるユーザの操作指示に従って、乗務員運用整理の対象となる区間や期間、乗務員等を設定する。
【0046】
図8に、評価基準データ524のデータ構成の一例を示す。同図によれば、評価基準データ524は、評価指標524aそれぞれについて、現在の指標値524bを対応付けて格納している。
【0047】
その後、例えば図5に一例を示した実行中画面を表示部30に表示させ、暫定運用整理案作成処理を開始する。先ず、対象の乗務員それぞれについて、所定数(例えば、50)の運用行路の候補を設定する。また、行路候補は、運転整理ダイヤのうち、運転整理の対象範囲(区間及び期間)内の全ての列車の乗務により構成されるものとする。なお、運転整理ダイヤは、運転整理ダイヤデータ523に格納されている。
【0048】
次いで、行路候補それぞれの行路評価値を算出する。すなわち、行路候補それぞれについて、該当する乗務員の計画行路と比較して評価指標それぞれを満たすかを判定し、満たすと判定した評価指標の指標値の和を、当該行路候補の行路評価値とする。ここで、乗務員の計画行路は、乗務員運用計画を構成する各乗務員の運用行路であり、乗務員運用計画は乗務員運用計画データ522に格納されている。また、この乗務員運用計画は、計画ダイヤデータ521に格納されている列車ダイヤに対応するものである。
【0049】
設定した行路候補についてのデータは、行路候補データ525に格納される。図9に、行路候補データ525のデータ構成の一例を示す。同図によれば、行路候補データ525は、運用整理の対象の乗務員525a毎に、設定した行路候補525bと、行路評価値525cと、変数525dとを対応付けて格納している。変数525dは、「追加制約つき集合被覆問題」としてモデル化する際に割り当てられる変数Xである。
【0050】
そして、これらの行路候補のうちから、運転整理ダイヤのうち、対象範囲の全ての列車の全ての乗務に乗務員が割り当てられる組合せであって、行路評価値の和が最小となる組合せを選択する。
【0051】
すなわち、上述のように、各乗務員に設定した行路候補それぞれに変数Xを割り当て、「追加制約つき集合被覆問題」にモデル化したモデル式を算出し、このモデル式の解を算出する。次いで、算出した解が運用整理条件を満たすかを判定する。すなわち、算出した全ての変数Xの値が「1」或いは「0」ならば、運用整理条件を満たすと判定し、それ以外の値ならば、運用整理条件を満たさないと判定する。運用整理条件を満たすと判定したならば、変数Xの値が「1」である行路候補の組合せを暫定運用整理案とし、この暫定整理案を構成する各行路候補の行路評価値の和を、当該暫定運用整理案の総合評価値とする。そして、暫定運用整理案が作成された旨と算出した総合評価値とを、例えば図5に一例を示した実行中画面のように表示部30に表示させる。また、作成した暫定運用整理案を、現在の評価基準と対応付けて暫定整理案データ527として蓄積記憶させる。一方、算出した解が運用整理条件を満たさないと判定したならば、暫定整理案は「作成されない(無し)」とする。
【0052】
図10に、暫定整理案データ527のデータ構成の一例を示す。同図によれば、暫定整理案データ527は、作成された暫定整理案毎に生成され、運用整理案528と、総合評価値528dと、評価基準529とを含んでいる。運用整理案528は、当該整理案を構成する運用行路の組合せであり、乗務員528aそれぞれについて、運用行路528bと、行路評価値528cとを対応付けて格納している。総合評価値528dは、当該整理案の総合評価値であり、当該整理案を構成する運用行路それぞれの行路評価値の和である。評価基準529は、当該整理案が作成されたときの評価基準であり、評価指標529aそれぞれについて、指標値529bを対応付けて格納している。
【0053】
CPU10は、以上の暫定整理案作成処理を、繰り返し実行する。この暫定整理案作成処理の繰り返し毎に、各乗務員に設定する行路候補を変更する。すなわち、初回(1回目)の暫定整理案作成処理では、各乗務員について所定数(例えば、50)の行路候補を設定するが、2回目以降の暫定整理案作成処理では、各乗務員について所定数(例えば、5)の行路候補を追加し、繰り返し毎に行路候補の数を増加させてゆく。このとき、追加する行路候補は、当該乗務員に既に設定されている行路候補とは異なる行路とする。これにより、より最良な暫定整理案の作成が期待される。
【0054】
また、CPU10は、2回目以降の暫定整理案作成処理では、今回作成した暫定運用整理案が、直近に作成した暫定運用整理案と比較して「改善」されているかを判断する。
具体的には、今回の暫定運用整理案の総合評価値が、直近の暫定運用整理案の総合評価値よりも小さいならば「改善された」と判断し、大きい或いは同じならば「改善されていない」と判断して所定のカウンタを「1」加算(カウントアップ)する。つまり、このカウンタは、作成した暫定運用整理案が、直近に作成した暫定運用整理案と比較して改善されなかった回数をカウントしている。なお、このカウンタは、運用整理案作成処理の開始時点ではゼロクリアされている。そして、このカウンタ値が所定値(例えば、50)に達すると、暫定整理案作成処理の繰り返しを終了する。
【0055】
また、CPU10は、暫定運用整理案作成処理の実行中、入力部20から、ユーザによる処理の一時中断指示が入力されると、実行中の暫定運用整理案作成処理を一時中断する。次いで、例えば図6に一例を示した評価基準再設定画面を表示部30に表示させ、入力部20から入力されるユーザの操作指示に従って、各評価指標の指標値を変更する。そして、入力部20から、ユーザによる暫定整理案作成処理の「再開」指示が入力されると、各評価指標の指標値を変更後の値に再設定し、一時中断している暫定整理案作成処理を再開する。このときには、一時中断前の進行状況に関わらず、乗務員に設定した行路候補それぞれの行路評価値の算出から再開する。
【0056】
また、CPU10は、入力部20から、ユーザによる暫定整理案作成処理の「終了」指示が入力されると、暫定整理案作成処理の繰り返しを終了する。
【0057】
図7に戻り、入力部20は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル及び各種スイッチ等によって実現される入力装置であり、操作入力に応じた入力信号をCPU10に出力する。表示部30は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって実現される表示装置であり、CPU10から入力される表示信号に基づく各種画面を表示する。通信部40は、例えば、無線通信モジュールやルータ、モデム、TA、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される通信装置であり、外部機器との間でデータ通信を行う。
【0058】
記憶部50は、CPU10が乗務員運用整理案作成装置1を統合的に制御するための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、シミュレーションを実現するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、CPU10の作業領域として用いられ、CPU10が各種プログラムに従って実行した演算結果や、入力部20からの入力信号等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部50は、プログラムとして運用整理案作成プログラム510を記憶しているとともに、データとして、計画ダイヤデータ521と、乗務員運用計画データ522と、運転整理ダイヤデータ523と、評価基準データ524と、行路候補データ525と、乗務員運用整理案データ526とを記憶している。
【0059】
乗務員運用整理案データ526は、乗務員運用整理案のデータであり、作成された暫定整理案それぞれのデータである暫定整理案データ527を含んでいる。
【0060】
[処理の流れ]
図11は、乗務員運用整理案作成処理の流れを説明するためのフローチャートである、
この処理は、CPU10が運用整理案作成プログラム510を実行することで実現される。同図によれば、CPU10は、先ず、評価基準の入力・設定を行う。すなわち、ユーザが評価基準の設定を行うための評価基準設定画面を表示部30に表示させ、入力部20から入力されるユーザの操作指示に従って、各評価指標の指標値を設定する(ステップA1)。次いで、乗務員それぞれについて所定数の行路候補を設定し(ステップA3)、設定した行路候補それぞれについて行路評価値を算出する(ステップA5)。
【0061】
その後、暫定整理案作成処理の繰り返しを開始する。すなわち、各乗務員に設定した行路候補それぞれに変数Xを割り当てて、「追加制約つき集合被覆問題」にモデル化したモデル式を算出する(ステップA7)。次いで、行路候補それぞれの行路評価値に当該行路候補に対応する変数Xの値を乗じた値の総和が最小となるモデル式の解を算出する(ステップA9)。そして、算出した解が運用整理条件を満たすかを判断し、満たすならば(ステップA11)、変数Xが「1」の行路候補の集合を、暫定整理案とする(ステップA13)。また、変数Xが「1」の行路候補それぞれの行路評価値の和を算出し、作成した暫定整理案の総合評価値とする(ステップA15)。そして、作成した暫定整理案を算出した行路評価値対応付けて蓄積記憶するとともに、表示部30に総合評価値とともに追加表示させる(ステップA17)。ここまでが、暫定整理案作成処理である。
【0062】
続いて、乗務員毎に、所定数の新たな行路候補を追加設定し(ステップA19)、各行路候補の行路評価値を算出する(ステップA21)。その後、上述したステップA7~A17の暫定整理案作成処理を、繰り返し行う(ステップA23)。
【0063】
この暫定整理案作成処理において暫定整理案が作成されたならば(ステップA25:YES)、当該作成された暫定整理案が直近に作成した暫定整理案と比較して改善されたかを判定する。すなわち、今回の暫定整理案の総合評価値が直近の暫定整理案の総合評価値より大きいならば「改善された」と判断し、そうでないならば「改善されていない」と判断する。解が改善されたと判断したならば(ステップA27:YES)、続いて、処理の打ち切り時間に達したかを判断する。処理の打ち切り時間に達していないならば(ステップA33:NO)、ステップA19に戻り、達しているならば(ステップA33:YES)、暫定整理案作成処理の繰り返しを終了する。
【0064】
一方、作成された暫定整理案の解が改善されていないと判断したならば(ステップA27:NO)、所定のカウンタをカウントアップする(ステップA29)。次いで、このカウント値と所定の閾値(例えば、50)とを比較し、カウント値が所定の閾値に達していないならば(ステップA31:NO)、続いて、処理の打ち切り時間に達したかを判断する。処理の打ち切り時間に達していないならば(ステップA33:NO)、ステップA19に戻り、達しているならば(ステップA33:YES)、暫定整理案作成処理の繰り返しを終了する。一方、カウント値が所定の閾値に達しているならば(ステップA31:YES)、暫定整理案作成処理の繰り返しを終了する。
【0065】
暫定整理案作成処理の繰り返しを終了した後は、蓄積記憶した暫定整理案を総合評価値とともに一覧表示し(ステップA35)、これらのうちの何れかがユーザにより選択されたならば(ステップA37:YES)、当該選択された暫定整理案の詳細表示を行う(ステップA39)。以上の処理を行うと、運用整理案作成処理を終了する。
【0066】
図12は、運用整理案作成処理と並行して実行される割込み処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、CPU10は、入力部20から、ユーザによる実行中断指示が入力されたならば(ステップB1:YES)、実行中の運用整理案作成処理を一時中断する(ステップB3)。
【0067】
次いで、ユーザが評価基準を再設定するための評価基準再設定画面を表示部30に表示させ、入力部20から入力されるユーザの変更指示に従って、各評価指標の指標値を変更する(ステップB5)。そして、入力部20から、ユーザによる再開指示が入力されたならば(ステップB7:YES)、各評価指標の評価指標を変更された値に再設定する(ステップB))。以上の処理を行うと、一時中断させている運用整理案作成処理を、ステップA21から再開させる。
【0068】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、暫定整理案の作成が繰り返し実行されるとともに、繰り返し毎に、各乗務員の行路候補が追加されてゆく。つまり、複数の暫定整理案が、逐次、作成・蓄積記憶され、これにより、限られた時間内で最適な乗務員運用整理案を得ることが可能となる。また、繰り返し毎に各乗務員の行路候補が追加されてゆくため、繰り返し回数が増加するに従って、より最適な暫定整理案が作成される可能性が高くなる。
【0069】
また、暫定整理案が作成される毎に、直近に作成された暫定整理案と比較して改善されたか判定され、「改善されていない」と判定された回数が所定回数に達すると、暫定運用整理案の作成の繰り返しが終了する。これにより、暫定運用整理案の作成を繰り返してもこれ以上の改善が見込めないと判断される時点で、運用整理案の作成を終了することができる。
【0070】
更に、評価基準をユーザが任意に設定することができるとともに、暫定整理案の作成中であっても、この作成処理を一時中断させて評価基準を再設定することができる。これにより、ユーザが所望する評価指標を重要視した運転整理案の作成が可能となるとともに、重要視する評価指標を異ならせた複数の暫定運用整理案を作成し、これをユーザが見比べて所望の整理案を選択するといったことが可能となる。
【0071】
[変形例]
なお、本発明の適用は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0072】
(A)指標値
例えば、上述の実施形態では、指標値を「正の整数」としたが、これを「小数値」としても良いし、「負値」としても良い。負値とした場合、行路評価値が大きいほど、「良い」行路となる。従って、「追加制約つき集合被覆問題」にモデル化したモデル式の解を算出する際には、行路評価値の総和Cが最大となる解を算出する。
【0073】
(B)指標値を正規化
また、各評価指標の指標値を、他の指標値との相対的な値を表すように正規化して用いても良い。具体的には、各評価指標それぞれの指標値を、全ての評価指標の指標値の総和に対する比率に基づいて正規化し、この正規化した指標値をもとに、各行路候補の行路評価値を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】列車ダイヤの一例。
【図2】図1の列車ダイヤに対する乗務員運用計画の一例。
【図3】図1の列車ダイヤに対する行路候補の一例。
【図4】評価基準設定画面の一例。
【図5】実行中画面の一例。
【図6】評価基準再設定画面の一例。
【図7】乗務員運用整理案作成装置の内部構成図。
【図8】評価基準データのデータ構成例。
【図9】行路候補データのデータ構成例。
【図10】暫定整理案データのデータ構成例。
【図11】運用整理案作成処理のフローチャート。
【図12】割込み処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0075】
1 乗務員運用整理案作成装置
10 CPU、20 入力部、30 表示部、40 通信部
50 記憶部
510 運用整理案作成プログラム
521 計画ダイヤデータ、522 乗務員運用計画データ
523 運転整理ダイヤデータ
524 評価基準データ、525 行路候補データ
526 乗務員運用整理案データ、527 暫定整理案データ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11