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明細書 :磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4790661号 (P4790661)
公開番号 特開2008-283803 (P2008-283803A)
登録日 平成23年7月29日(2011.7.29)
発行日 平成23年10月12日(2011.10.12)
公開日 平成20年11月20日(2008.11.20)
発明の名称または考案の名称 磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石
国際特許分類 B60L  13/03        (2006.01)
B61F   3/00        (2006.01)
H01F   6/04        (2006.01)
B61B  13/08        (2006.01)
FI B60L 13/02 ZAAA
B61F 3/00 C
B61F 3/00 D
H01F 7/22 G
B61B 13/08 B
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2007-126545 (P2007-126545)
出願日 平成19年5月11日(2007.5.11)
審査請求日 平成21年11月12日(2009.11.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】長嶋 賢
【氏名】岩松 勝
【氏名】清野 寛
【氏名】小方 正文
【氏名】宮崎 佳樹
【氏名】荒井 有気
【氏名】笹川 卓
【氏名】小柳 圭
【氏名】田崎 賢司
【氏名】小野 通隆
【氏名】山下 知久
【氏名】柳瀬 康人
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】根本 徳子
参考文献・文献 特開2005-32861(JP,A)
特開2001-155917(JP,A)
特開2002-208512(JP,A)
特開平6-325630(JP,A)
特開平3-185881(JP,A)
特開平1-278706(JP,A)
調査した分野 B60L 13/03
B61F 3/00
H01F 6/04
B61B 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、該超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却することを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
【請求項2】
希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、輻射熱シールド板を省略して前記超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却することを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
【請求項3】
希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、輻射熱シールド板や超電導磁石内の配管を省略して前記超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却することを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルの励磁方法をフラックスポンプ方式とすることを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルに熱電素子を取り付けて熱起電力で励磁することを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
【請求項6】
請求項1から3の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルの電流リード及び冷却配管を省略して前記超電導コイルを収めた真空容器の高さを低くすることにより磁気浮上式鉄道車両の案内輪の位置を下げることを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
【請求項7】
請求項1から3の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルの形状を矩形化することを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
【請求項8】
請求項1から3の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルは、複数のコイルを組み合わせてラダー構造にすることを特徴とする磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石に係り、特に、RE系HTS-SCM(希土類元素系高温超電導体を用いた超電導磁石)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、希土類元素系高温超電導磁石(下記特許文献1参照)や、Y系超電導コイル(下記非特許文献1参照)などが提案されている。

【特許文献1】米国特許第5,724,820号公報
【特許文献2】特開2005-32861号公報
【非特許文献1】「超電導コイル応用」,石山 敦士,長屋 重夫,IEEJ Journal Vol.126,No.5,2006,pp.286-287
【非特許文献2】超電導ハンドブック、電気学会、オーム社、昭和43年8月25日初版発行、pp.193~211
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本願発明者は、上記した希土類元素系高温超電導磁石を磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石として利用することを検討した。
【0004】
図8は従来の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石システムの模式図、図9はその磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石(低音SCM)の模式図である。
【0005】
図8において、100は磁気浮上式鉄道車両に搭載されるヘリウム圧縮機、101は外槽、102は輻射シールド板、103はNbTi合金を用いた超電導コイル、104は電流リード、105は永久電流スイッチ、106は窒素冷凍機、107はヘリウム冷凍機、108は窒素タンク、109はヘリウムタンクである。
【0006】
また、図9において、201は超電導コイル、202は超電導コイル締付金具、203は内槽、204Aは左右荷重支持材、204Bは上下荷重支持材、205は輻射シールド板、206は外槽、207は車載冷凍機、208は液体ヘリウムタンク、209は液体窒素タンクである。
【0007】
図10はかかる磁気浮上式鉄道車両の右側の半分を示す図である。
【0008】
この図に示すように、車体170の下部には台車172が構成されており、台車枠173にはNbTi合金超電導コイル161、クライオスタット162等を具備する超電導磁石160が搭載され、更に、補助案内装置174、緊急着地装置176などが設けられる。また、軌道130の両側壁131の凹所132には、地上コイル141,142が配置され、ヌルフラックス線145が接続される。ここで、軌道130の両側壁131の高さはH1 である。
【0009】
このように現在の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石は、複雑な構造を有し、また、容積が大きく、信頼性の面でも問題があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、軽量で信頼性の高い磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、この超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却することを特徴とする。
【0012】
〔2〕磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、輻射シールド板を省略して前記超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却することを特徴とする。
【0013】
〔3〕磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、輻射シールド板や超電導磁石内の配管を省略して前記超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却することを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔1〕から〔3〕の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルの励磁方法をフラックスポンプ方式とすることを特徴とする。
【0015】
〔5〕上記〔1〕から〔3〕の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルに熱電素子を取り付けて熱起電力で励磁することを特徴とする。
【0016】
〔6〕上記〔1〕から〔3〕の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルの電流リード及び冷却配管を省略して前記超電導コイルを収めた真空容器の高さを低くすることにより磁気浮上式鉄道車両の案内輪の位置を下げることを特徴とする。
【0017】
〔7〕上記〔1〕から〔3〕の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルの形状を矩形化することを特徴とする。
【0018】
〔8〕上記〔1〕から〔3〕の何れか一項記載の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、前記超電導コイルは、複数のコイルを組み合わせてラダー構造にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構造が簡単になり、軽量で信頼性の高い磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石システムが構成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の磁気浮上式鉄道用超電導磁石は、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、この超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却する。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の第1実施例を示す磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石の構成図であり、図1(a)はその内部を示す断面図、図1(b)は側面断面図である。
【0023】
図1に示すように、本発明の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石は、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを具備し、この超電導コイルを一段冷凍機のみで超電導状態となる温度以下まで冷却するようにしている。
【0024】
図1において、外槽1内に希土類元素系高温超電導コイル2を配置するだけでよい。ここで用いる希土類元素系高温超電導コイル2は、希土類元素系線材であり、希土類元素-Ba-Cu-O材料を使用した高温超電導テープ線材である。
【0025】
なお、3は希土類元素系高温超電導コイル2の内槽、4は希土類元素系高温超電導コイル2の支持部材、5は一段冷凍機、6は電流端子、7は電流リード、9はPL(パワーリード)熱アンカ冷却伝熱板、10はコイル冷却伝熱板、11は排気ポートである。
【0026】
このように構成したので、本発明の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石は、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイル2を具備し、この超電導コイル2を一段冷凍機5のみで超電導状態となる温度以下まで冷却することができる。
【0027】
図2は本発明の第2実施例を示す磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石の構成図である。
【0028】
この図において、21は外槽、22は希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイル、23は高温超電導コイル内槽、24は荷重支持部材、25は一段冷凍機である。
【0029】
この実施例では、上記のように構成したので、磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石において、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイル22を具備し、従来用いられていた輻射熱シールド板は省略し、一段冷凍機25のみで前記超電導コイル22が超電導状態となる温度以下まで冷却することができる。
【0030】
また、輻射熱シールド板を省略することで、超電導コイル中心からコイル外槽表面までの距離が、従来の超電導コイル中心からコイル外槽表面までの距離より減らすことができる。
【0031】
従って、超電導コイルの起磁力が同じであるならば、より大きな磁束密度が得られ、同じ磁束密度で良いのであれば、超電導コイルの起磁力を低減することができる。
【0032】
更に、本発明では、図1又は図2に示したように、従来用いられていた輻射熱シールド板や超電導磁石内の配管を省略して、コンパクトでかつ簡素な磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石を得ることができる。
【0033】
さらに、本発明では希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルの励磁方法をフラックスポンプ(flux pump)方式とする。
【0034】
図3は本発明にかかる高温超電導体からなる超電導コイルの励磁方法であるフラックスポンプ方式の説明図である。
【0035】
ここで、フラックスポンプ方式とは、図3に示すように、臨界温度以下に冷やしたとき、小さな交流電流入力Ip を大きな直流出力に変える超電導磁石励磁方式である。出力電流Il はポンプ運動のように各ステップ毎に強くなる(マグローヒル科学技術用語大辞典、改訂第3版、日刊工業新聞社、pp.1601参照)。なお、フラックスポンプ方式には、Mendelssohn、Olsen、Buckhold、Volger、Wipf、移動磁界形、回転磁界型などの種々のものがある(上記非特許文献2参照)。
【0036】
次に、希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルに熱電素子を取り付けて熱起電力で励磁するように構成した場合について説明する。
【0037】
図4はその熱起電力励磁型高温超電導磁石の模式図である。なお、上記した特許文献2として、熱電能材に温度差を生じさせて熱起電力を発生させ、これを電源として超電導コイルに電流を流す超電導マグネット装置において、熱電能材に起因する超電導コイルへの侵入熱を低減してシステム効率を高めるようにした提案がなされている。
【0038】
図4において、31は断熱容器、32は希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイル、33は熱伝導材、34は高温超電導電流リード、35は熱電素子、36はヒーター、37は冷凍機である。
【0039】
この熱起電力励磁型高温超電導磁石は、高温超電導コイル32と熱電素子〔ペルチェ素子等:熱電材料は、例えばBiTe(p,nタイプ)〕35を直列に接続し閉回路を構成し、熱電素子35の両端に発生する熱起電力を利用して高温超電導コイル32に電流を流す。この回路ではその起電力を熱電素子35自体の内部抵抗と高温超電導コイル32のフロー抵抗で消費するため、これらの抵抗値により回路に流れる電流が決まる。この熱起電力励磁型高温超電導磁石は、熱電素子35の低温側を冷凍機37で冷却し、さらに、高温超電導コイル32と熱電素子35との間に電流リード34を設けた構成とすることで高温超電導コイル32への侵入熱を低減する。なお、高温超電導コイル32の電流を制御するため熱電素子35の高温側及び低温側の温度制御を行う(例えば、第68回、2003年度春季低温工学・超電導学会、pp.239参照)。
【0040】
前述のフラックスポンプによる励磁では、高温超電導コイルの電流リードを省略して超電導コイルを収めた真空容器の高さを低くすることにより、磁気浮上式鉄道車両の案内輪の位置を下げることができる。
【0041】
図5は本発明の磁気浮上式鉄道車両の右側の半分の断面図である。
【0042】
図5に示すように、車体41の下部には台車43が構成されており、台車枠44には希土類元素系高温超電導コイル47、クライオスタット48等を具備する高温超電導磁石50が搭載され、更に、補助案内装置51、緊急着地装置53などが設けられる。また、軌道60の両側壁61の凹所62には、地上コイル71,72が配置され、ヌルフラックス線75が接続される。
【0043】
このように構成したので、軌道60の両側壁61の高さH2 は、図10に示す従来の軌道130の両側壁131の高さH1 に対して大幅に低減することができる。
【0044】
さらに、磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石における希土類元素系高温超電導コイルの形状を矩形化するとともに、隣接する希土類元素系高温超電導コイル同士は密に配置するようにすることが望ましい。
【0045】
図6は本発明にかかる矩形化された高温超電導コイルの概略構成図である。
【0046】
(1)高温超電導磁石80の高温超電導コイル81,82,83,84の形状を矩形化する。
【0047】
これにより、起磁力を向上させることができ、以下のような利点がある。
【0048】
(a)磁気浮上式鉄道車両の浮上コイルの誘導電流が下げられ、その分温度上昇を抑制することができ、長寿命化を図ることができる。
【0049】
システム設計上は、高温超電導磁石の起磁力を増大させた分、地上コイルの導体量を低減することができる。因みに、コイル温度が10℃上昇すればコイルの寿命は半減する。
【0050】
(b)磁気浮上式鉄道車両の浮上開始速度を低減することができる。
【0051】
(c)磁気浮上式鉄道車両の電磁バネが硬くなる。特に磁気浮上式鉄道車両の低速域では有利である。
【0052】
(d)磁気浮上式鉄道車両の浮上コイル電流が下げられるため、超電導コイルのACロスが減少する。
【0053】
(e)磁気浮上式鉄道の揚杭比が増える。
【0054】
(f)推進系の特性が向上する(LSM電流低減によるランニングコストを低減することができる)。
【0055】
(2)矩形化された高温超電導コイル(S極)91と高温超電導コイル(N極)92の隣接する同士を密に配置するようにする。つまり、高温超電導コイルは、複数のコイルを組み合わせてラダー構造にすることができる。
【0056】
これにより、図7に示すように、矩形化された高温超電導コイル91の縦辺93と矩形化された高温超電導コイル92の縦辺94とには互いに逆方向の電磁力95と96が作用することになるため、縦辺93,94においては電磁力がキャンセルされることになる。
【0057】
これにより、磁気浮上式鉄道車両の電磁バネが硬くなり、特に磁気浮上式鉄道車両の低速域では有利である。
【0058】
本発明の希土類元素系高温超電導体からなる超電導コイルを有する磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石は、これまでのNbTi合金を用いた超電導コイルを有する磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石と比べて下記のメリットがある。
(1)希土類元素-Ba-Cu-O材料を使用した高温超電導テープ線材は、曲げ半径を10mm程度にまで低減できる。つまり曲げに対して強い超電導コイルを製作することができる。
(2)希土類元素-Ba-Cu-O材料を使用した高温超電導テープ線材からなる超電導コイルは高い応力にも耐えられる。
(3)希土類元素-Ba-Cu-O材料を使用した高温超電導テープ線材は、高温、高磁場中での臨界電流密度を大きくできる。
【0059】
このような希土類元素-Ba-Cu-O材料による線材のメリットを活かせば、図1に示すように、構造が簡単になり、軽量で信頼性の高い磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石システムが構成可能である。特に、交通機関の車上装置に求められることは安全性・信頼性と軽量化であるが、構成要素を減らすことは軽量化と同時に信頼性(安全性)の向上に役立つ。
【0060】
具体的には、下記の理由により、単純な構成の高温超電導磁石システムを構成することができる。
【0061】
(1)運転温度上昇(50K以上)により、熱容量を増大させることができる。
【0062】
(2)冷凍システム削減を図ることができる。つまり、従来の図8に示された窒素冷凍機やヘリウム冷凍機、ヘリウム圧縮機、窒素タンクやヘリウムタンク及び配管をなくすことができる。
【0063】
これにより、磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石の重量低減、製造コスト低減、信頼性向上を図ることができる。
【0064】
(3)フラックスポンプによる励磁により、電流リードをなくし、熱侵入量を低減することができ、冷凍保持時間の増大を図ることができる。
【0065】
(4)外槽の高さを低減することができる。これにより、磁気浮上式鉄道車両の案内輪の低位置化を図ることができるとともに、ガイドウェイの高さを低減し、建設費低減化を図ることができる。
【0066】
(5)小さな曲げ半径で超電導コイルを構成することができ、高温高磁場特性の向上を図ることができる。よって、超電導コイル形状の矩形化(ラダー化)を図り、超電導磁石の構成の単純化を図ることができる。
【0067】
さらには、起磁力を増大(1000kA)することにより、車両走行時の地上コイルの通電電流を低減し、地上コイルの長寿命化乃至メンテナンスコストの低減を図ることができる。
【0068】
本発明の希土類元素系HTS-SCMは、以下のように構成することができる。
(1)希土類元素系HTS-超電導磁石の重量を1トン以下にする。なお、現在の超電導磁石は1.6トン(圧縮機含み)となっている。
(2)運用温度を50K以上とする。なお、輻射シールド板は省略する。
(3)夜間は車両基地で希土類元素系HTS-超電導磁石の冷凍(8時間)を行い、昼間(16時間)は冷凍なしで運用する。
【0069】
例えば、冷凍機を引き抜き構造とし、冷凍機を下ろせば、圧縮機分240kgの重量低減が可能である。
【0070】
また、車上電源も8kW/SCMの電力低減となる。つまり、1車両当たり16kWの電力の低減となる。
(4)起磁力を1000kATとする。
【0071】
なお、希土類元素としては、Gd、Dy、Nd、Eu、Sm、Yなどを用いることができる。
【0072】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石は、構造が簡便になり、軽量で信頼性の高い磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施例を示す磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石の構成図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石の構成図である。
【図3】本発明にかかる高温超電導体からなる超電導コイルの励磁方法であるフラックスポンプ方式の説明図である。
【図4】本発明にかかる熱起電力励磁型高温超電導磁石の模式図である。
【図5】本発明の磁気浮上式鉄道車両の右側の半分を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる矩形化された高温超電導コイルの概略構成図である。
【図7】本発明にかかる隣接する矩形化された高温超電導コイルを密に配置する例を示す図である。
【図8】従来の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石システムの模式図である。
【図9】従来の磁気浮上式鉄道車両用超電導磁石(低温SCM)の模式図である。
【図10】従来の磁気浮上式鉄道車両の右側の半分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1,21 外槽
2,22,32,45,47,81,82,83,84 希土類元素系高温超電導コイル
3,23 高温超電導コイルの内槽
4 高温超電導コイルの支持部材
5,25 一段冷凍機
6 電流端子
7 電流リード
9 PL(パワーリード)熱アンカ冷却伝熱板
10 コイル冷却伝熱板
11 排気ポート
24 荷重支持部材
31 断熱容器
33 熱伝導材
34 高温超電導電流リード
35 熱電素子
36 ヒーター
37 冷凍機
41 車体
42 空気バネ
43 台車
44 台車枠
46,48 クライオスタット
50,80 高温超電導磁石
51 補助案内装置
52 補助支持装置
53 緊急着地装置
60 軌道
61 軌道の両側壁
62 凹所
71,72,73,74 地上コイル
75,76 ヌルフラックス線
91 高温超電導コイル(S極)
92 高温超電導コイル(N極)
93,94 高温超電導コイル縦辺
95,96 電磁力
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9