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明細書 :構造物の振動特性の非接触計測システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4912949号 (P4912949)
公開番号 特開2008-281422 (P2008-281422A)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月11日(2012.4.11)
公開日 平成20年11月20日(2008.11.20)
発明の名称または考案の名称 構造物の振動特性の非接触計測システム
国際特許分類 G01H   9/00        (2006.01)
E01D  22/00        (2006.01)
FI G01H 9/00 C
E01D 22/00 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2007-125468 (P2007-125468)
出願日 平成19年5月10日(2007.5.10)
審査請求日 平成21年7月21日(2009.7.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】上半 文昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】▲高▼見 重雄
参考文献・文献 特開2004-184377(JP,A)
特開2007-010373(JP,A)
特開平06-265355(JP,A)
特開平10-319129(JP,A)
特開2006-038445(JP,A)
特開2005-283541(JP,A)
特開平08-185702(JP,A)
特開2003-085958(JP,A)
特開平05-033578(JP,A)
特開2000-135688(JP,A)
特開2006-284289(JP,A)
特開平11-021827(JP,A)
特開2003-301598(JP,A)
実開平03-078212(JP,U)
特開2001-215148(JP,A)
調査した分野 G01H 1/00-17/00
E01D 22/00
特許請求の範囲 【請求項1】
レーザー照準スコープ付きのレーザー光を利用した構造物の振動特性の非接触計測装置に、ペイント弾を着弾させ再帰性反射塗料を付着させることによる非接触計測対象面の形成装置を併設し、前記レーザー光を利用した構造物の振動特性の非接触計測装置のセンサ部と前記非接触計測対象面の形成装置との間に弾性部材を挟着するとともに、前記非接触計測装置と非接触計測対象面の形成装置とは共通の照準器を具備することを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の構造物の振動特性の非接触計測システムにおいて、前記構造物が河川橋梁であることを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測システム。
【請求項3】
請求項1記載の構造物の振動特性の非接触計測システムにおいて、前記構造物が高架橋であることを特徴とする構造物の振動特性の非接触計測システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の振動特性の非接触計測システムに係り、特に、河川橋梁の非接触計測における構造物への非接触計測対象面の形成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国の荒廃するインフラの管理が叫ばれており、特に、2010年代に更新時期を迎える、橋梁や道路などのインフラのリスク管理が重要な課題となってきている。
本願の発明者は、既に、構造物の振動特性の非接触計測システムについて提案を行っている(下記特許文献1参照)。
一方、携帯に適したマーキングボール発射装置が提案されている(下記特許文献2参照)。

【特許文献1】特開2004-184377号公報
【特許文献2】特開2006-038445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、構造物の振動特性の非接触計測システムにおいて、レーザードップラーを用いる場合、橋梁などの高い箇所を計測対象面とする時、レーザーが反射する面を如何に設定するかが問題となる。
図7は従来の非接触計測の対象となる構造物に貼付ける再帰性反射シールを示す図、図8は従来の高架橋の下面に再帰性反射シールを貼付ける様子を示す図である。 従来は、図7に示すような再帰性反射シール101を計測の対象となる構造物に貼付けるようにしている。つまり、図8のように計測の対象となる構造物が橋梁103の下面であるような場合には、長尺状の棒(約10m)102の先に再帰性反射シール101を保持して計測の対象となる橋梁103の下面に貼付するようにしていた。
【0004】
このように、河川橋梁などにおいては、非接触計測対象物に如何にレーザーが反射する面を設定するかが問題である。
本発明は、上記状況に鑑みて、非接触計測条件が悪い箇所においても、的確にレーザーが反射する面を設定することができる構造物の振動特性の非接触計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕構造物の振動特性の非接触計測システムにおいて、レーザー照準スコープ付きのレーザー光を利用した構造物の振動特性の非接触計測装置に、ペイント弾を着弾させ再帰性反射塗料を付着させることによる非接触計測対象面の形成装置を併設し、前記レーザー光を利用した構造物の振動特性の非接触計測装置のセンサ部と前記非接触計測対象面の形成装置との間に弾性部材を挟着するとともに、前記非接触計測装置と非接触計測対象面の形成装置とは共通の照準器を具備することを特徴とする。
【0006】
〕上記〔1〕記載の構造物の振動特性の非接触計測システムにおいて、前記構造物が河川橋梁であることを特徴とする。
〕上記〔1〕記載の構造物の振動特性の非接触計測システムにおいて、前記構造物が高架橋であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、河川橋梁や高所等、従来反射ターゲットとして用いてきた再帰性反射シール等を簡単に貼付できない場所へ迅速にかつ的確に非接触計測対象面を形成することができるとともに、振動測定による構造物検査作業の効率化と安全性をめざした、構造物の振動を長距離非接触測定できる新しいシステムであるUドップラー装置(詳細は後述)から照射されたレーザー光は、再帰性反射が行われるので、その再帰性反射したレーザー光をUドップラー装置で的確に検出することができ、正確な非接触計測を実施することができる。
【0008】
また、非接触計測装置と非接触計測対象面の形成装置と間には弾性部材を備えることにより、非接触計測対象面の形成装置の操作時の衝撃・振動を吸収するようにして、非接触計測装置への影響をなくすことができる。
更に、非接触計測装置と非接触計測対象面の形成装置とは共通の照準器を具備することにより照準手段の共通化を図り、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の構造物の振動特性の非接触計測システムは、レーザー照準スコープ付きのレーザー光を利用した構造物の振動特性の非接触計測装置に、ペイント弾を着弾させ再帰性反射塗料を付着させることによる非接触計測対象面の形成装置を併設し、前記レーザー光を利用した構造物の振動特性の非接触計測装置のセンサ部と前記非接触計測対象面の形成装置との間に弾性部材を挟着するとともに、前記非接触計測装置と非接触計測対象面の形成装置とは共通の照準器を具備する
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明で用いるレーザー光を利用したUドップラー装置の構成図である。
この図において、レーザー光を利用したUドップラー装置1は、三脚2、その三脚2上にセットされるセンサ部3、そのセンサ部3上に配置される照準手段としての照準スコープ4、データレコーダ5を備えている。6はその照準スコープ4に対応してセットされる非接触計測対象面を形成するボール発射装置、7はセンサ部3とボール発射装置6との間に挟着される衝撃乃至振動を吸収する弾性部材である。因みに、センサ部3は、例えば、レーザー光源としてHe-Neガスレーザー(波長は632.8nm、出力1mW以下、測定距離範囲約1.0m~30m超)を用いる。なお、Uドップラー装置1とボール発射装置6とは共通の照準手段としての照準スコープ4を備えている。したがって、Uドップラー装置1とボール発射装置6にはそれぞれに照準手段を備える必要がないので低コスト化を図ることができる。
【0011】
図2はUドップラー装置のセンサ部と併設した非接触計測対象面を形成するボール発射装置を用いた構造物の振動特性の非接触計測システムの模式図、図3はボール発射装置の模式図、図4はそのボールとなるペイント弾(球形)の模式図、図5は再帰性反射の説明図であり、図5(a)はその再帰性反射の様子を示す図、図5(b)はその反射材の断面図、図5(c)はビーズによる再帰性反射の様子を示す図である。
【0012】
ここで、非接触計測対象面を形成するボール発射装置6は、例えば、図3に示すように一端から他端にかけてガス通路11が形成される本体部10と、圧縮気体が充填されたガスボンベ22が収納され、本体部10の一端側に装着されるガスホルダー部20と、非接触計測対象面を形成するペイント弾(ボール)33が装填され、本体部10の他端側に装着されるバレル31を有するバレル部30とを備えている。さらに、本体部10には、ガスボンベ22を開封するピストン13、およびそのピストン13の操作レバー12が設けられている。本体部10のガス通路11は、ガスホルダー部20とバレル部30により密封されており、操作レバー12の操作によりガスボンベ22が開封されると、ガスボンベ22内の圧縮気体が本体部10のガス通路11内に充満し、充満した圧縮気体の圧力により、バレル部30に装填されている非接触計測対象面を形成するペイント弾(ボール)33がバレル部30の外部へと発射される。
【0013】
このようなボール発射装置は、例えば、上記した特許文献2に開示されている。特許文献2に記載されたマーキングボール発射装置は照準器を備えているが、本発明では、Uドップラー装置に搭載されている照準スコープ4を用いるようにしており、図3に示したこのボール発射装置6を、図1に示すようにUドップラー装置1のセンサ部に併設するようにしている。なお、ボール発射装置はこのような構造に限定されるものではない。例えば、ガスボンベと発射筒とを併設してコンパクトな構造にするようにしてもよい。
【0014】
また、ボール発射装置6は、Uドップラー装置1のセンサ部3に併設するが、ボール発射装置6とセンサ部3との間には衝撃乃至振動を吸収する弾性部材7を挟着するようにしたので、ボール発射装置6のボール発射時の衝撃乃至振動を有効に吸収することができ、非接触計測装置への影響をなくすことができる。
ここでは、河川橋梁の下面に非接触計測対象面を形成する場合について説明する。
【0015】
図2に示されるように、レーザー光を利用したUドップラー装置1とこのUドップラー装置1に併設された非接触計測対象面を形成するボール発射装置6とを河川41の片岸に配置する。Uドップラー装置1の照準スコープ4で非接触計測対象面を形成するボール発射装置6の照準も合わせて、ペイント弾(図示なし)を非接触計測対象面である橋梁42の底面43に発射する。このペイント弾は着弾すると破裂して測定対象面に再帰性反射塗料が付着する。この再帰性反射塗料が乾燥すると、反射ターゲットが完成する。ここで、ペイント弾は、図4に示されるように、再帰性反射塗料52がゼラチン素材等の外被材53により覆われている。また、完成した反射ターゲットは、図5に示すように、反射材61上にはビーズ62が付着し、光が入射した方向に戻る再帰性反射面を形成することができる。
【0016】
したがって、非接触計測対象面が形成されると、Uドップラー装置1からこの面に照射されたレーザー光は再帰性反射が行われるので、その再帰性反射したレーザー光をUドップラー装置1で検出することができ、正確な非接触計測を実施することができる。
図6は本発明により高架橋に非接触計測対象面を形成する例を示す図である。
この図において、71は高架橋であり、その高架橋71上の側面72にペイント弾73を破裂させ、付着した再帰性反射塗料を乾燥させることで再帰性反射面74を形成することができる。
【0017】
このように構成することにより、特に、河川橋梁や高架橋等、従来反射ターゲットとして用いてきた再帰性反射シール等を簡単に貼付できない場所へ迅速にかつ的確に非接触計測対象面を形成することができると共に、Uドップラー装置から照射されたレーザー光は再帰性反射が行われるので、その再帰性反射したレーザー光をUドップラー装置で的確に検出することができ、正確な非接触計測を実施することができる。
【0018】
また、上記したように、レーザー照準スコープ付きの構造物の振動特性の非接触計測装置に前記非接触計測対象面の形成装置を併設することにより、構造物の振動特性の非接触計測システムを簡便に構築することができる。
なお、上記実施例では、河川橋梁や高架橋への非接触計測対象面の形成について述べたが、建築物や、高所にある岩や、電柱などへの非接触計測対象面の形成にも適用することができる。
【0019】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の構造物の振動特性の非接触計測システムは、正確な非接触計測を実施するための非接触計測対象面を迅速、かつ的確に形成することができる構造物の振動特性の非接触計測システムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明で用いるレーザー光を利用したUドップラー装置の構成図である。
【図2】Uドップラー装置のセンサ部と併設した非接触計測対象面を形成するボール発射装置を用いた構造物の振動特性の非接触計測システムの模式図である。
【図3】ボール発射装置の模式図である。
【図4】ボール発射装置のボールとなるペイント弾(球形)の模式図である。
【図5】再帰性反射の説明図である。
【図6】本発明により高架橋に非接触計測対象面を形成する例を示す図である。
【図7】従来の非接触計測の対象となる構造物に貼付ける再帰性反射シールを示す図である。
【図8】従来の高架橋の下面に再帰性反射シールを貼付ける様子を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 レーザー光を利用したUドップラー装置
2 三脚
3 センサ部
4 照準スコープ
5 データレコーダ
6 非接触計測対象面を形成するボール発射装置
7 弾性部材
10 本体部
11 ガス通路
12 操作レバー
13 ピストン
20 ガスホルダー部
22 ガスボンベ
30 バレル部
31 バレル
33,73 ペイント弾
41 河川
42 橋梁
43 橋梁の底面
52 再帰性反射塗料
53 外被材
61 反射材
62 ビーズ
71 高架橋
72 高架橋上の側面
74 再帰性反射面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7