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明細書 :橋脚の健全性評価システムとその健全性評価プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4698466号 (P4698466)
公開番号 特開2007-271402 (P2007-271402A)
登録日 平成23年3月11日(2011.3.11)
発行日 平成23年6月8日(2011.6.8)
公開日 平成19年10月18日(2007.10.18)
発明の名称または考案の名称 橋脚の健全性評価システムとその健全性評価プログラム
国際特許分類 G01M  99/00        (2011.01)
G01H  13/00        (2006.01)
FI G01M 19/00 Z
G01H 13/00
請求項の数または発明の数 6
全頁数 16
出願番号 特願2006-096300 (P2006-096300)
出願日 平成18年3月31日(2006.3.31)
審査請求日 平成20年9月17日(2008.9.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】佐溝 昌彦
【氏名】渡邉 諭
【氏名】淵脇 晃
【氏名】杉山 友康
【氏名】小林 徹
【氏名】中村 貴史
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開2005-283361(JP,A)
特開2003-156415(JP,A)
特開2000-186984(JP,A)
特公平07-001223(JP,B2)
調査した分野 G01M 99/00
G01H 13/00
特許請求の範囲 【請求項1】
橋脚の健全性を評価する橋脚の健全性評価システムであって、
河川の水位が所定高さを超えたとき前記橋脚の振動を検出する振動検出部の出力信号を高速フーリエ変換処理して、この橋脚の卓越振動数を演算する演算部と、
前記演算部が演算した前記橋脚の卓越振動数に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記橋脚の固有振動数に基づいてこの橋脚の安定性を評価する評価部とを備え、
前記特定部は、前記演算部が演算した前記橋脚の卓越周波数のうち、前記橋脚が健全な状態であるときにこの橋脚に衝撃荷重試験を実施して予め測定したこの橋脚の固有振動数に対応する卓越周波数をこの橋脚の固有振動数として特定すること、
を特徴とする橋脚の健全性評価システム。
【請求項2】
請求項に記載の橋脚の健全性評価システムにおいて、
前記特定部は、前記橋脚の卓越振動数の移動平均に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定すること、
を特徴とする橋脚の健全性評価システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の橋脚の健全性評価システムにおいて、
前記評価部は、前記橋脚の固有振動数の変化に基づいてこの橋脚の安定性を評価すること、
を特徴とする橋脚の健全性評価システム。
【請求項4】
橋脚の健全性を評価するための橋脚の健全性評価プログラムであって、
河川の水位が所定高さを超えたとき前記橋脚の振動を検出する振動検出部の出力信号を高速フーリエ変換処理して、この橋脚の卓越振動数を演算する演算手順と、
前記演算手順において演算した前記橋脚の卓越振動数に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する特定手順と、
前記特定手順において特定した前記橋脚の固有振動数に基づいてこの橋脚の安定性を評価する評価手順とをコンピュータに実行させ、
前記特定手順は、前記演算手順において演算した前記橋脚の卓越周波数のうち、前記橋脚が健全な状態であるときにこの橋脚に衝撃荷重試験を実施して予め測定したこの橋脚の固有振動数に対応する卓越周波数をこの橋脚の固有振動数として特定する手順を含むこと、
を特徴とする橋脚の健全性評価プログラム。
【請求項5】
請求項に記載の橋脚の健全性評価プログラムにおいて、
前記特定手順は、前記橋脚の卓越振動数の移動平均に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する手順を含むこと、
を特徴とする橋脚の健全性評価プログラム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の橋脚の健全性評価プログラムにおいて、
前記評価手順は、前記橋脚の固有振動数の変化に基づいてこの橋脚の安定性を評価する手順を含むこと、
を特徴とする橋脚の健全性評価プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、橋脚の健全性を評価する橋脚の健全性評価システムとその健全性評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変位計、加速度計又は速度計などのセンサを利用して橋脚の振動量を計測し、この橋脚の異常を検知するシステムが提案されている。従来の橋脚の異常検知システムは、橋脚の天端部に取り付けられてこの橋脚の振動を検出する加速度計と、この加速度計の出力信号を高速フーリエ変換処理してフーリエスペクトルを生成する高速フーリエ変換処理部と、このフーリエスペクトル波形を平滑化する平均化処理部と、平滑化後のフーリエスペクトルを重み付け関数によって重み付けする重み付け処理部と、重み付け後のフーリエスペクトルの曲線とベースラインとによって囲まれる領域の面積を正規化する面積算定正規化処理部と、正規化後の面積の減少をしきい値と比較する正規化面積減少評価部などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の橋脚の異常検知システムでは、橋脚の微動信号に基づいて橋脚の固有振動数を高速フーリエ変換処理によって演算し、衝撃荷重試験による固有振動数と比較して、洗掘などに起因する橋脚の支持力の変化を適切に定常的に監視している。
【0003】

【特許文献1】特開2000-186984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の橋脚の異常状態検知システムでは、加速度計によって橋脚の微動振動を常時測定し、測定データを記録装置に常時記録するとともに測定データを常時処理している。このため、従来の橋脚の異常状態検知システムでは、無駄なデータ処理が多くなって電源の消費が激しくなりコストが高くなってしまう問題点がある。また、従来の橋脚の異常状態検知システムでは、低水時には橋脚の微動レベルが低下するため橋脚の振動を測定することが困難であり、橋脚の異常状態を精度よく検知することができない問題点がある。
【0005】
この発明の課題は、河川の増水時に効率的に橋脚の振動を検出して、橋脚の安定性を精度よく評価することができる橋脚の健全性評価システムとその健全性評価プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、橋脚(B2)の健全性を評価する橋脚の健全性評価システムであって、河川(R)の水位(H)が所定高さを超えたとき前記橋脚の振動を検出する振動検出部(2a)の出力信号を高速フーリエ変換処理して、この橋脚の卓越振動数を演算する演算部(2g)と、前記演算部が演算した前記橋脚の卓越振動数に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する特定部(2k)と、前記特定部が特定した前記橋脚の固有振動数に基づいてこの橋脚の安定性を評価する評価部(2n)とを備え、前記特定部は、前記演算部が演算した前記橋脚の卓越周波数のうち、前記橋脚が健全な状態であるときにこの橋脚に衝撃荷重試験を実施して予め測定したこの橋脚の固有振動数に対応する卓越周波数をこの橋脚の固有振動数として特定することを特徴とする橋脚の健全性評価システム(1)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項に記載の橋脚の健全性評価システムにおいて、前記特定部は、前記橋脚の卓越振動数の移動平均に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定することを特徴とする橋脚の健全性評価システムである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の橋脚の健全性評価システムにおいて、前記評価部は、前記橋脚の固有振動数の変化に基づいてこの橋脚の安定性を評価することを特徴とする橋脚の健全性評価システムである。
【0009】
請求項4の発明は、橋脚(B2)の健全性を評価するための橋脚の健全性評価プログラムであって、河川(B)の水位(H)が所定高さを超えたとき前記橋脚の振動を検出する振動検出部(2a)の出力信号を高速フーリエ変換処理して、この橋脚の卓越振動数を演算する演算手順(S130)と、前記演算手順において演算した前記橋脚の卓越振動数に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する特定手順(S140)と、前記特定手順において特定した前記橋脚の固有振動数に基づいてこの橋脚の安定性を評価する評価手順(S150)とをコンピュータ(2t)に実行させ、前記特定手順は、前記演算手順において演算した前記橋脚の卓越周波数のうち、前記橋脚が健全な状態であるときにこの橋脚に衝撃荷重試験を実施して予め測定したこの橋脚の固有振動数に対応する卓越周波数をこの橋脚の固有振動数として特定する手順を含むことを特徴とする橋脚の健全性評価プログラムである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項に記載の橋脚の健全性評価プログラムにおいて、前記特定手順は、前記橋脚の卓越振動数の移動平均に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する手順を含むことを特徴とする橋脚の健全性評価プログラムである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の橋脚の健全性評価プログラムにおいて、前記評価手順は、前記橋脚の固有振動数の変化に基づいてこの橋脚の安定性を評価する手順を含むことを特徴とする橋脚の健全性評価プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、河川の増水時に効率的に橋脚の振動を検出して、橋脚の安定性を精度よく評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの使用状態を示す側面図である。図2は、この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの使用状態を示す正面図であり、図2(A)は橋脚が安定状態であるときの正面図であり、図2(B)は橋脚が不安定状態であるときの正面図である。図3は、この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの構成図である。
【0020】
図1及び図2に示す橋梁Bは、健全性評価システム1によって健全性が評価される評価対象物であり、車両Vが走行する軌道Wの下部に空間を確保して、列車の荷重を支持する固定構造物である。橋梁Bは、水平方向に配置されて軌道Wを支持する橋桁B1と、この橋桁B1を支持する橋脚(ピア)B2と、橋梁B全体に作用する荷重を地盤に伝達してこの橋梁Bを支持する橋脚基礎B3と、橋脚B2の上端面を構成する天端部B4と、この天端部B4上に橋桁B1を支持する支承部B5などを備えている。橋梁Bは、橋桁B1が上部構造を構成し、橋脚B2及び橋脚基礎B3が下部構造を構成している。図1及び図2に示す橋梁Bは、例えば、梁構造によって荷重を受ける桁橋であり、橋桁B1が鋼材を主要材料とする鋼桁で構成されており、橋脚B2が石材、レンガ又はコンクリートなどの剛体で構成されている。
【0021】
河川Rは、橋梁Bの下方を流れる川であり、図2(B)に示す洗掘Sは河川Rの川底を流れる水によって橋脚基礎B3周辺の川底が深くえぐられた状態である。軌道Wは、車両Vが走行する通路(線路)であり、車両Vは橋梁B上を走行する電車又は気動車などの鉄道車両である。利用者Mは、健全性評価システム1を使用して橋梁Bを監視、保守又は検査する作業者である。
【0022】
図3に示す健全性評価システム1は、橋脚B2の健全性を評価するシステムである。健全性評価システム1は、図1に示す健全性評価装置2A~2Cと、図3に示す表示装置3などを備えている。健全性評価システム1は、図1に示す3組の健全性評価装置2A~2Cによって橋脚B2の振動を検出してこの橋脚B2の卓越振動数を演算し、橋脚B2の固有振動数を特定して橋脚B2の健全性を評価するとともに、図3に示す表示装置3によってこの評価結果を表示する。
【0023】
図1に示す健全性評価装置2A~2Cは、橋脚B2の健全性を評価する装置である。健全性評価装置2A~2Cは、橋脚B2の振動及び河川Rの水位Hを自動的に計測してデータ処理する計測データ処理部を構成しており、この計測データ処理部は振動及び水位を計測するセンサ部と、このセンサ部によって計測された計測データを制御する計測データ制御部とから構成されている。健全性評価装置2A~2Cは、設置位置の変更が容易で持ち運びに便利なように可搬型に構成されており、3本の橋脚B2にそれぞれ配置されて、3本の橋脚B2の固有振動数を特定しそれぞれの橋脚B2の健全性を評価する。健全性評価装置2A~2Cは、いずれも同一構造であり、以下では健全性評価装置2Aについて説明する。健全性評価装置2Aは、図3に示すように、振動検出部2aと、信号処理部2bと、水位検出部2cと、信号処理部2dと、振動情報記憶部2eと、水位情報記憶部2fと、演算部2gと、卓越振動数情報記憶部2hと、計時部2iと、固有振動数情報記憶部2jと、特定部2kと、しきい値情報記憶部2mと、評価部2nと、評価情報記憶部2pと、電源部2qと、プログラム記憶部2rと、通信部2sと、制御部2tなどを備えている。
【0024】
図2及び図3に示す振動検出部2aは、橋脚B2の振動を検出する手段である。振動検出部2aは、例えば、河川Rの水位が所定高さを超えたときに橋脚B2の振動の検出を開始し、河川Rの水位が所定高さ以下になるまで橋脚B2の振動の検出を継続する。振動検出部2aは、図2に示すように、車両Vの振動の影響を強く受け易い支承部B5よりも上方の橋桁B1には設置せずに、支承部B5よりも下方の天端部B4に設置されている。振動検出部2aは、例えば、橋梁Bの長さ方向(図1及び図2に示すX軸方向)と直交する橋梁Bの幅方向(Y軸方向)の橋脚B2の振動を検出する加速度センサ、速度センサ又は変位センサなどの振動センサである。振動検出部2aは、図2に示すように、天端部B4のY軸方向に所定の間隔をあけて2台設置されている。振動検出部2aは、橋脚B2の振動に応じた振動検出信号(振動情報)を、内蔵するA/D変換器によってディジタル信号に変換して信号処理部2bに出力する。
【0025】
図3に示す信号処理部2bは、振動検出部2aが出力する出力信号を処理する手段である。信号処理部2bは、例えば、振動検出部2aが出力する振動検出信号を増幅する増幅回路と、この振動検出信号から所定の周波数成分を抽出するフィルタ回路などを備えている。信号処理部2bは、処理後の振動検出信号を制御部2tに出力する。
【0026】
図2及び図3に示す水位検出部2cは、河川Rの水位Hを検出する手段である。水位検出部2cは、図2に示すように、天端部B4に設置されており、河川Rの水面に向かって信号を送信し、この水面から反射する反射信号を受信して河川Rの水位Hを検出する超音波レベル計、赤外線レベル計又はレーザレベル計などの水位計である。水位検出部2cは、河川Rの水位Hに応じた水位検出信号(水位情報)を信号処理部2dに出力する。
【0027】
図3に示す信号処理部2dは、水位検出部2cが出力する出力信号を処理する手段である。信号処理部2dは、例えば、水位検出部2cが出力する水位検出信号を増幅する増幅回路と、この水位検出信号から所定の周波数成分を抽出するフィルタ回路と、この水位検出信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換するA/D変換回路などを備えている。信号処理部2dは、処理後の水位検出信号を制御部2tに出力する。
【0028】
振動情報記憶部2eは、振動検出部2aの検出結果を記憶する手段であり、信号処理部2bが出力する振動検出信号(振動情報)を記憶するメモリである。水位情報記憶部2fは、水位検出部2cの検出結果を記憶する手段であり、信号処理部2dが出力する水位検出信号(水位情報)を記憶するメモリである。
【0029】
演算部2gは、振動検出部2aの検出結果に基づいて橋脚B2の卓越振動数を演算する手段である。演算部2gは、河川Rの水位Hが所定高さを超えたときの振動検出部2aの出力信号に基づいてこの卓越振動数を演算する。ここで、卓越振動数とは、橋脚B2の振動波形を周波数分析したときに振幅スペクトルが極大となる周波数である。演算部2gは、振動検出部2aの出力信号を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation(以下、FFTという))処理して橋脚B2の卓越振動数を演算する。演算部2gは、例えば、河川Rの水位Hが所定高さを超えてから所定高さ以下になるまでの間に振動検出部2aが出力する振動データを、設定された任意のデータ長で抽出してFET処理したり、設定された任意の周期でFET処理したりする。演算部2gは、振動検出部2aが出力する振動情報及び水位検出部2cが出力する水位情報を処理するデータ処理装置を構成する。演算部2gは、演算後の卓越振動数を卓越振動数情報として制御部2tに出力する。
【0030】
卓越振動数情報記憶部2hは、演算部2gの演算結果を記憶する手段である。卓越振動数情報憶部2hは、演算部2gが出力する卓越振動数情報を記憶するメモリである。
【0031】
計時部2iは、時刻を計測する手段である。計時部2iは、例えば、所定時間毎に動作開始信号を制御部2tに出力し、この動作開始信号を出力してから所定時間経過後に動作終了信号を制御部2tに出力する。また、計時部2iは、例えば、河川Rの水位Hが所定の高さを超えたときには、FFT処理を開始させる動作開始信号を制御部2tに出力し、この動作開始信号を出力してから所定時間経過後に動作終了信号を制御部2tに出力する。
【0032】
固有振動数情報記憶部2jは、橋脚B2の固有振動数を記憶する手段である。固有振動数情報記憶部2jは、例えば、図2(A)に示すような健全な状態である橋脚B2に重錘を衝突させて橋脚B2を強制的に加振する衝撃荷重試験を実施したときに測定された橋脚B2の固有振動数(共振振動数)を固有振動数情報として記憶している。また、固有振動数情報記憶部2jは、特定部2kが特定した卓越振動数情報を固有振動数情報として記憶している。固有振動数情報記憶部2jは、各橋梁Bの橋脚B2毎に固有振動数情報を更新可能に記憶している。
【0033】
特定部2kは、橋脚B2の卓越振動数に基づいてこの橋脚B2の固有振動数を特定する手段であり、河川Rの水位Hが所定高さを超えたときの橋脚B2の卓越振動数に基づいてこの橋脚B2の固有振動数を特定する。特定部2kは、振動検出部2aの出力信号に基づいて卓越振動数の移動平均を演算し、この卓越振動数の移動平均に基づいて固有振動数を特定する。特定部2kは、卓越振動数情報記憶部2hが記憶する卓越振動数情報を移動平均処理し、固有振動数情報記憶部2jが記憶する衝撃荷重試験によって測定した橋脚B2の固有振動数と対応する卓越振動数を固有振動数と特定する。特定部2kは、特定後の固有振動数情報を制御部2tに出力する。
【0034】
図4は、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの健全性評価装置の特定部による固有振動数の特定手法を説明するためのグラフである。
図4に示す縦軸は、加速度スペクトル(10-6gal*sec)であり、横軸は振動数(Hz)である。太線は、低水時(水深0m)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、細線は増水時(水深2.7m)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、いずれも実際の鉄道橋梁の橋脚微動を測定して周波数解析した波形である。図4に示すように、低水時には橋脚の固有振動数の応答が明瞭ではないが、増水時には橋脚が揺すられるために橋桁の固有振動数の応答よりも橋脚の固有振動数の応答のほうが明瞭になる。増水時の波形には、加速度スペクトルが極大となる4つの卓越振動数f1~f4が存在するが、フーリエスペクトルからだけではこれらの卓越振動数f1~f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するのか不明である。このため、橋脚に重錘を衝突させて橋脚の固有振動数を測定する衝撃荷重試験を実施して橋脚の固有振動数を予め特定しておき、増水時の橋脚の卓越振動数f1~f4を演算したときに、演算後の卓越振動数f1~f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するかを判断することができる。図4に示す波形では、橋桁の固有振動数は3.5Hzであり、橋脚の固有振動数は11.3Hzであるが、増水時の卓越振動数f1~f4を演算することによって、4つの卓越振動数f1~f4のうちの一つの卓越振動数f3が橋脚の固有振動数に対応することが分かる。このように、特定部2kは、河川Rの水位Hが所定高さを超える増水時の橋脚B2の卓越振動数f1~f4を、衝撃試験などによって予め特定されている橋脚B2の固有振動数と照合して、複数の卓越振動数f1~f4のうち卓越振動数f3が橋脚B2の固有振動数であると特定する。
【0035】
図3に示すしきい値情報記憶部2mは、橋脚B2の安定性を評価するときに基準となるしきい値を記憶する手段である。しきい値情報記憶部2mは、一般に、図2(B)に示す洗掘Sが発生すると橋脚B2の固有振動数が低下するため、橋脚B2が安定であるか否かを判定する際に基準となる基準振動数をしきい値情報として記憶するメモリである。しきい値情報記憶部2mは、各橋梁Bの橋脚B2毎にしきい値情報を更新可能に記憶している。
【0036】
図5は、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの健全性評価装置の評価部の評価手法を説明するための模式図であり、図5(A)は橋脚が安定であるときの橋脚の固有振動数を示す模式図であり、図5(B)は橋脚が不安定であるときの橋脚の固有振動数を示す模式図である。
【0037】
図3に示す評価部2nは、橋脚B2の固有振動数に基づいてこの橋脚B2の安定性を評価する手段である。評価部2nは、特定部2kが卓越振動数から特定した橋脚B2の固有振動数の変化に基づいて、この橋脚B2の安定性を評価する。評価部2nは、特定部2kが特定した橋脚B2の固有振動数が低下して、しきい値情報記憶部2mが記憶するしきい値を下回ったときには橋脚B2が不安定であると評価する。例えば、評価部2nは、図5(A)に示すように、特定部2kが卓越振動数から特定した橋脚B2の固有振動数fがしきい値fthを超えているときには、橋脚B2が安定であると評価する。一方、評価部2nは、図2(B)に示すような洗掘Sが発生して、図5(B)に示すように特定部2kが卓越振動数から特定した橋脚B2の固有振動数fが低下ししきい値fthを下回るときには、橋脚B2が安定であると評価する。評価部2nは、これらの評価結果を評価情報として制御部2tに出力する。
【0038】
評価情報記憶部2pは、評価部2nの評価結果を記憶する手段である。評価情報部憶部2pは、評価部2nが出力する評価情報を記憶するメモリであり、各橋梁Bの橋脚B2毎に評価情報を更新可能に記憶している。
【0039】
電源部2qは、健全性評価装置2Aに電力を供給する手段である。電源部2qは、計時部2iに微小な電力を常時供給しており、計時部2iが動作開始信号を制御部2tに出力すると振動検出部2a及び水位検出部2cなどに電力を供給し、計時部2iが動作終了信号を制御部2tに出力すると振動検出部2a及び水位検出部2cなどへの電力の供給を停止する。電源部2qは、例えば、河川Rの水位が所定高さを超えると振動検出部2aなどに電力を供給し、河川Rの水位が所定高さ以下になると振動検出部2aなどへの電力の供給を停止する。電源部2qは、健全性評価装置2Aに着脱自在に装着され交換可能な電池である。
【0040】
プログラム記憶部2rは、橋脚B2の健全性を評価するための健全性評価プログラムを記憶する手段である。プログラム記憶部2rは、例えば、通信部2sから入力する健全性評価プログラムを記憶するメモリである。通信部2sは、表示装置3側の通信部3aとの間で通信する手段であり、通信部3aとの間で種々の情報を送受信する無線装置である。
【0041】
制御部2tは、健全性評価装置2Aの種々の動作を制御する手段(中央処理部(CPU))である。制御部2tは、プログラム記憶部2rから健全性評価プログラムを読み出して一連の評価処理を実行する。制御部2tは、例えば、振動情報の記憶を振動情報記憶部2eに指令したり、水位情報の記憶を水位情報記憶部2fに指令したり、卓越振動数の演算を演算部2gに指令したり、卓越振動数情報の記憶を卓越振動数情報記憶部2hに指令したり、計時部2iに計測動作の開始及び終了を指令したり、固有振動数情報記憶部2jに固有振動数情報の記憶を指令したり、特定部2kに固有振動数の特定を指令したり、しきい値情報の記憶をしきい値情報記憶部2mに指令したり、橋脚B2の健全性の評価を評価部2nに指令したり、評価情報記憶部2pに評価情報の記憶を指令したり、電源部2qに電力の供給及び停止を指令したり、通信部2sに通信動作を指令したりする。制御部2tには、振動検出部2a、信号処理部2b、水位検出部2c、信号処理部2d、振動情報記憶部2e、水位情報記憶部2f、演算部2g、卓越振動数情報記憶部2h、計時部2i、固有振動数情報記憶部2j、特定部2k、しきい値情報記憶部2m、評価部2n、評価情報記憶部2p、電源部2q、プログラム記憶部2r及び通信部2sが相互に通信可能に接続されている。
【0042】
図1~図3に示す表示装置3は、種々の情報を表示する装置である。表示装置3は、例えば、図1及び図2に示すように、利用者Mが携帯可能であって現場に持ち運びが容易な可搬型のパーソナルコンピュータなどの携帯端末機である。表示装置3は、健全性評価装置2A~2Cの計測データ及び評価データを処理するデータ処理部を構成するとともに、これらの計測データを表示する計測データ表示部を構成する。表示装置3は、図3に示すように、通信部3aと、表示部3bと、評価情報記憶部3cと、インタフェース部3dと、制御部3eなどを備えている。
【0043】
通信部3aは、健全性評価装置2A~2C側の通信部2sとの間で通信する手段であり、通信部2sとの間で種々の情報を送受信する無線装置である。表示部3bは、種々の情報を表示する手段である。
【0044】
表示部3bは、健全性評価装置2A~2Cの評価結果を表示したり、健全性評価装置2A~2Cの測定結果を表示したりする。表示部3bは、例えば、橋脚B2が不安定であると評価部2nが評価したときには所定の警告を画面上に表示する表示装置である。
【0045】
評価情報記憶部3cは、健全性評価装置2A~2Cの評価部2nの評価結果を記憶する手段である。評価情報部憶部3cは、評価部2nが出力する評価情報を記憶するメモリであり、各橋梁Bの橋脚B2毎に評価情報を更新可能に記憶している。
【0046】
インタフェース部3dは、外部装置との間で種々の情報を送受信する手段である。インタフェース部3dは、例えば、衝撃荷重試験により測定された固有振動数情報及びしきい値情報などが外部装置から入力するとともに、卓越振動数情報及び評価情報などを外部装置に出力するインタフェース(I/O)回路である。また、インタフェース部3dには、情報記録媒体から読み取られた健全性評価プログラムや、電気通信回線を通じて健全性評価プログラムなどが入力する。
【0047】
制御部3eは、表示装置3の種々の動作を制御する手段(中央処理部(CPU))である。制御部3eは、例えば、通信部3aに通信動作を指令したり、表示部3bに表示動作を指令したり、評価情報記憶部3cに評価情報の記憶を指令したり、インタフェース部3dに情報の入出力動作を指令したりする。制御部3eには、通信部3a、表示部3b、評価情報記憶部3c及びインタフェース部3dが相互に通信可能に接続されている。
【0048】
次に、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの健全性評価装置の動作を説明する。
図6は、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの健全性評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図3に示す制御部2tの動作を中心として説明する。
図6に示すステップ(以下、Sという)100において、河川Rの水位Hの検出開始を水位検出部2cに制御部2tが指令する。計時部2iが所定時間毎に動作開始信号を制御部2tに出力すると、健全性評価装置2A全体への電力の供給開始を制御部2tが電源部2qに指令し、水位検出部2cが河川Rの水位Hの検出を開始して水位検出信号を信号処理部2dに出力する。
【0049】
S110において、河川Rの水位Hが所定高さを超えたか否かを制御部2tが判断する。信号処理部2dが水位検出信号を制御部2tに出力すると、この水位検出信号に基づいて河川Rの水位Hが所定高さを超えたか否かを制御部2tが判断する。河川Rの増水時には橋脚B2が流れによって揺すられるため、低水時に比べて微動レベルが増大して橋脚B2の振動を容易に検出可能になる。このため、所定高さは、例えば、橋脚B2が容易に振動して微動レベルの増大が期待されるときの河川水位に設定されており、各橋梁Bの橋脚B2毎に設定されている。河川Rの水位Hが所定高さを超えたと制御部2tが判断したときにはS120に進み、河川Rの水位Hが所定高さ以下であると制御部2tが判断したときには一連の処理を終了する。
【0050】
S120において、橋脚B2の振動の検出開始を振動検出部2aに制御部2tが指令する。その結果、振動検出部2aが橋脚B2の振動の検出を開始し、振動検出信号を信号処理部2bに出力する。信号処理部2bが振動検出信号を制御部2tに出力すると、制御部2tが振動情報記憶部2eに振動情報を出力し、振動情報記憶部2eに振動情報の記憶を指令する。
【0051】
S130において、卓越振動数の演算を演算部2gに制御部2tが指令する。橋脚B2の振動の検出開始を振動検出部2aに制御部2tが指令するのと同時に、卓越振動数の演算開始を演算部2gに制御部2tが指令すると、制御部2tが出力する振動情報に基づいて演算部2gがFFT処理して卓越振動数を演算し、卓越振動数情報を制御部2tに出力する。その結果、この卓越振動数情報を制御部2tが卓越振動数情報記憶部2hに出力し、卓越振動数情報記憶部2hに卓越振動数情報の記憶を指令する。
【0052】
S140において、固有振動数の特定を特定部2kに制御部2tが指令する。卓越振動数情報記憶部2hから卓越振動数情報を制御部2tが読み出してこの卓越振動数情報を特定部2kに出力するとともに、衝撃荷重試験によって測定された固有振動数情報を固有振動数情報記憶部2jから制御部2tが読み出してこの固有振動数情報を特定部2kに出力する。その結果、卓越振動数情報の移動平均を特定部2kが演算し、衝撃荷重試験によって測定された橋脚B2の固有振動数に対応する卓越振動数を固有振動数と特定する。特定後の固有振動数情報を特定部2kが制御部2tに出力すると、この特定後の固有振動数情報を制御部2tが固有振動数情報記憶部2jに出力し、特定後の固有振動数情報の記憶を固有振動数情報記憶部2jに指令する。
【0053】
S150において、橋脚B2の安定性の評価を評価部2nに制御部2tが指令する。しきい値情報記憶部2mからしきい値情報を制御部2tが読み出して、このしきい値情報を制御部2tが評価部2nに出力するとともに、特定部2kが特定した固有振動数情報を制御部2tが評価部2nに出力する。橋脚B2の安定性の評価を制御部2tが評価部2nに指令すると、特定部2kが特定した固有振動数としきい値情報記憶部2mが記憶するしきい値情報とを評価部2nが比較して、固有振動数がしきい値を下回るか否かを判定する。その結果、固有振動数がしきい値を下回ったときには橋脚B2が不安定であると評価部2nが評価し、固有振動数がしきい値を超えるときには橋脚B2が安定であると評価部2nが評価する。これらの評価情報を制御部2tに評価部2nが出力すると、これらの評価情報を評価情報記憶部2pに制御部2tが出力して、これらの評価情報の記憶を評価情報記憶部2pに指令する。
【0054】
S160において、通信部3aが送信するデータ送信指令を通信部2sが受信したか否かを制御部2tが判断する。図1及び図2に示すように、表示装置3によって橋脚B2の健全性を確認するときには、図3に示す表示装置3の通信部3aから健全性評価装置2A~2Cの通信部2sにデータ送信が指令される。通信部3aから制御部2tにデータ送信が指令されたときにはS170に進み、通信部3aから制御部2tにデータ送信指令がされなかったときにはS180に進む。
【0055】
S170において、評価情報の送信を制御部2tが通信部2sに指令する。データ送信指令を通信部2sが受信すると制御部2tが評価情報記憶部2pから評価情報を読み出して通信部2sに出力し、この評価情報の送信を通信部2sに指令する。
【0056】
S180において、河川Rの水位Hが所定高さ以下か否かを制御部2tが判断する。信号処理部2dが水位検出信号を制御部2tに出力すると、この水位検出信号に基づいて河川Rの水位Hが所定高さ以下か否かを制御部2tが判断する。河川Rの水位Hが所定高さ以下であると制御部2tが判断したときにはS190に進む。一方、河川Rの水位Hが所定高さを超えていると制御部2tが判断したときにはS130に戻り、河川Rの水位Hが所定高さ以下になるまでS130の卓越振動数の演算処理、S140の固有振動数の特定処理及びS150の評価処理などが継続される。
【0057】
S190において、橋脚B2の振動の検出終了を振動検出部2aに制御部2tが指令する。河川Rの水位Hが所定高さ以下に戻ると、水位検出部2cが出力する水位検出信号に基づいて、振動検出部2aに検出動作の終了を制御部2tが指令する。
【0058】
次に、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの表示装置の動作を説明する。
図7は、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの表示装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図3に示す制御部3eの動作を中心として説明する。
図7に示すS200において、データ送信を制御部3eが通信部3aに指令する。図1及び図2に示すように、橋脚B2の健全性を確認するときには、利用者Mが表示装置3を現場に持ち運び、この表示装置3の図示しない操作部を操作してデータ送信動作が選択される。その結果、制御部3eが通信部3aにデータ送信を指令し、通信部3aから通信部2sにデータ送信が指令される。
【0059】
S210において、評価情報を通信部3aが受信したか否かを制御部3eが判断する。通信部3aが評価情報を受信すると、この評価情報が制御部3eに出力され、制御部3eが評価情報を表示部3bに出力するとともに、評価情報の記憶を評価情報記憶部3cに指令する。評価情報を通信部3aが受信したときにはS220に進み、評価情報を通信部3aが受信しなかったときには表示部3bにエラー表示を制御部3eが指令して一連の処理を終了する。
【0060】
S220において、判定結果の表示を表示部3bに制御部3eが指令する。評価情報を通信部3aが受信すると、表示部3bの画面上に評価結果が表示される。例えば、橋脚B2が不安定であるときには利用者Mに注意を喚起するための警告が画面上に表示される。
【0061】
この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、河川Rの水位Hが所定高さを超えたときの振動検出部2aの出力信号に基づいて、橋脚B2の卓越振動数を演算部2gが演算する。このため、河川Rの増水によって橋脚B2の微動レベルが増大することを利用して、橋脚B2の卓越振動数を容易に特定することができる。また、橋脚B2の振動を低水時には検出しないため効率的にデータを処理することができ、電源の消費を抑え橋脚B2の健全性を安価に評価することができる。
【0062】
(2) この実施形態では、振動検出部2aの出力信号をFFT処理して卓越振動数を演算部2gが演算する。このため、増水時の橋脚B2の微動振動に基づいて橋脚B2の卓越振動数を簡単に演算することができる。
【0063】
(3) この実施形態では、演算部2gが演算した卓越振動数に基づいて橋脚B2の固有振動数を特定部2kが特定する。このため、橋脚B2の固有振動数を精度よく簡単に特定することができる。
【0064】
(4) この実施形態では、橋脚B2の卓越振動数の移動平均に基づいて橋脚B2の固有振動数を特定部2kが特定する。このため、短時間の振動情報をFFT処理してこの処理結果にばらつきが発生したときに、卓越振動数情報の移動平均を演算することによってこのばらつきを抑えることができる。
【0065】
(5) この実施形態では、特定部2kが特定した固有振動数に基づいて橋脚B2の安定性を評価部2nが評価する。このため、増水時の橋脚B2の洗掘Sを事前に予測して列車の安全運行を図ることができる。
【0066】
(6) この実施形態では、橋脚B2の固有振動数の変化に基づいてこの橋脚B2の安定性を評価部2nが評価する。このため、例えば、特定部2kが特定した橋脚B2の固有振動数の低下度に応じて、橋脚基礎B3の周辺の地盤の深さやしまり具合などの地盤の支持条件を推定することができ、橋脚基礎B3の安定性を評価することができる。
【0067】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、鉄道車両が走行する橋梁Bを例に挙げて説明したが、自動車が走行する橋や歩行者のみが通行する橋などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、振動検出部2aによって橋梁Bの幅方向(Y軸方向)の振動を検出する場合を例に挙げて説明したが検出方向を限定するものではなく、幅方向(Y軸方向)、長さ方向(X軸方向)又は高さ方向(Z軸方向)の少なくとも一方の振動を状況に応じて検出可能なように振動検出部2aを配置することもできる。
【0068】
(2) この実施形態では、3組の健全性評価装置2A~2Cを橋脚B2にそれぞれ設置した場合を例に挙げて説明したが設置台数を3組に制限するものではなく、橋梁B毎の橋脚B2の本数に応じて任意の台数を設置することができる。また、この実施形態では、健全性評価装置2A~2Cと表示装置3とを相互に無線通信可能に構成した場合を例に挙げて説明したが、これらを有線通信可能に構成することもできる。さらに、この実施形態では、健全性評価装置2A~2Cと表示装置3とを別々に構成する場合を例に挙げて説明したがこれらを一体に構成することもできる。この場合には、一つの健全性評価プログラムによって健全性評価システム1を動作させることができる。
【0069】
(3) この実施形態では、河川Rの増水が予測される時期や水位Hが所定高さを越えたときに橋脚B2の振動の検出を開始しているが、河川Rの水位Hに関わらず橋脚B2の振動の検出を開始することもできる。例えば、河川Rの水位Hが所定高さを超えたときに橋脚B2の振動を検出する増水時振動検出モードと、河川Rの水位Hに関わらず橋脚B2の振動を検出する常時振動検出モードとに検出モードを切替可能にすることもできる。この場合に、橋梁B上を車両Vが走行するときには橋脚B2の振動の検出を中止することもできる。また、この実施形態では、固有振動数の低下度から橋脚B2の安定性を評価しているが、基礎地盤の状態を推定しこの基礎地盤の状態に基づいて橋脚B2の安定性を演算し評価することもできる。
【0070】
(4) この実施形態では、電源部2qが電池である場合例に挙げて説明したが、橋梁B上を走行する車両Vの振動によって電力を発生する圧電素子などを電源部2qとして使用することもできる。また、この実施形態では、電源部2qが常時又は定時に電力を供給する給電方式を例に挙げて説明したが、状況に応じていずれか一方の給電方式に変更することもできる。例えば、電源部2qが常時給電する場合には、太陽光発電装置や燃料電池などを使用することができ、電源部2qが定時給電する場合にはコンデンサなどの充電装置を使用することができる。さらに、この実施形態では、橋脚B2が不安定であるときには表示部3bに警告を表示しているが、橋梁Bの手前の信号機の信号現示を停止信号(赤信号)に切り替えて、橋梁Bに進入する前に車両Vを停止させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの使用状態を示す側面図である。
【図2】この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの使用状態を示す正面図であり、(A)は橋脚が安定状態であるときの正面図であり、(B)は橋脚が不安定状態であるときの正面図である。
【図3】この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの構成図である。
【図4】この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの表示装置の特定部による固有振動数の特定手法を説明するためのグラフである。
【図5】この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの表示装置の評価部の評価手法を説明するための模式図であり、(A)は橋脚が安定であるときの橋脚の固有振動数を示す模式図であり、(B)は橋脚が不安定であるときの橋脚の固有振動数を示す模式図である。
【図6】この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの健全性評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの表示装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1 健全性評価システム
2A~2C 健全性評価装置
2a 振動検出部
2c 水位検出部
2e 振動情報記憶部
2f 水位情報記憶部
2g 演算部
2h 卓越振動数情報記憶部
2j 固有振動数情報記憶部
2k 特定部
2m しきい値情報記憶部
2n 評価部
2p 評価情報記憶部
2s 通信部
2t 制御部
3 表示装置
3a 通信部
3b 表示部
3c 評価情報記憶部
3e 制御部
B 橋梁
2 橋脚
3 橋脚基礎
R 河川
S 洗掘
H 水位
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6