TOP > 国内特許検索 > 複合環境試験装置 > 明細書

明細書 :複合環境試験装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5000907号 (P5000907)
公開番号 特開2007-256521 (P2007-256521A)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月15日(2012.8.15)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
発明の名称または考案の名称 複合環境試験装置
国際特許分類 G09B   9/00        (2006.01)
FI G09B 9/00 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 7
出願番号 特願2006-079535 (P2006-079535)
出願日 平成18年3月22日(2006.3.22)
審査請求日 平成20年7月11日(2008.7.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 浩明
【氏名】白戸 宏明
【氏名】中川 千鶴
【氏名】渡邉 健
【氏名】星野 宏則
【氏名】鈴木 江里光
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】植田 泰輝
参考文献・文献 特開2003-295750(JP,A)
特開2002-14604(JP,A)
特開2001-346286(JP,A)
調査した分野 G09B 9/00-9/56,19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
固定部と模擬客室との間に配置される8Hz以下の振動を発生できるアクチュエータによる加振機と、0.5~80Hz程度までの振動を発生できる高周波加振台と、0.5~80Hz程度までの低周波音を再生できる超低周波音スピーカーと、80Hz~20kHz程度までの中高周波を再生できる中高周波用スピーカーと、20~100kHz程度までの超高周波を再生できる超高周波音スピーカーとを備えた前記模擬客室を有する複合環境試験装置であって、前記模擬客室の外に設置した大型スクリーンにより、振動や音と連動した映像を投影することにより、列車や自動車、航空機など乗り物の走行時の車内環境を模擬することを特徴とする複合環境試験装置。
【請求項2】
請求項1記載の複合環境試験装置において、振動と音の周波数および大きさを別々に制御できることにより、人間の環境快適性の評価における、振動と音の複合影響を調べることができることを特徴とする複合環境試験装置。
【請求項3】
請求項1記載の複合環境試験装置において、振動と音の周波数帯域が重なっていることにより、任意の振動の大きさに対する人間の体感による評価が、音が加わることにより受ける影響を調べることができることを特徴とする複合環境試験装置。
【請求項4】
請求項1記載の複合環境試験装置において、振動と音の周波数帯域が重なっていることにより、任意の音の大きさに対する人間の体感による評価が、振動が加わることにより受ける影響を調べることができることを特徴とする複合環境試験装置。
【請求項5】
請求項1記載の複合環境試験装置において、さらに模擬客室の明るさをコントロールすることにより、列車や自動車、航空機など乗り物の走行時の車内環境を模擬し、その快適性評価を可能とすることを特徴とする複合環境試験装置。
【請求項6】
請求項1記載の複合環境試験装置において、さらに模擬客室の温度をコントロールすることにより、列車や自動車、航空機など乗り物の走行時の車内環境を模擬し、その快適性評価を可能とすることを特徴とする複合環境試験装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、列車や自動車、航空機など乗り物の客室における乗り心地評価を行う複合環境試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、客室内環境模擬装置として、様々な客室内環境を模擬できるものが提案されている(下記特許文献1参照)。
図4は客室内環境模擬装置の模式図である。
この図において、101は固定部、102は揺動装置本体、103は模擬客室、104は空調機の室外機、105はサーボアンプ、106は揺動制御装置、107は昇降装置である。
【0003】
また、列車や自動車、航空機など乗り物の客室の乗り心地評価を行うために、体感振動としては高周波域の評価を、室内騒音としては中高周波域の評価をそれぞれ別個に計測するようにしていた。

【特許文献1】特開2003-295750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交通機関の快適性の指標である乗り心地については、振動周波数に対する人体の感度に合わせた周波数重み付けをフィルターとした指標が用いられてきた。
図5は従来のISO2631-1に基づく等感覚曲線を示す図であり、横軸に周波数(Hz)、縦軸に周波数重み付け(dB)を示している。
図5から明らかなように、人体の振動周波数に対する感度は、上下方向では5Hz、左右・前後方向では2Hz付近が最も高く、これより低周波および高周波に行くに従い、感度は低下するとされている。
【0005】
一方、軽量車体を有する高速鉄道車両や航空機等では、乗り心地に影響を与える振動加速度の周波数域は、在来鉄道等の交通機関にはほとんどない高周波数成分(20~80Hz)を多く含んでいる。この周波数帯は、従来の評価方法では人体の感度特性は低いとされ、乗り心地に大きく影響しないとされるが、実際には乗り心地に大きく影響しており、従来の評価法では体感との乖離があった。なぜならば、この周波数帯域は、従来法で重み付けの高い10Hz以下の成分に比べると、振動の大きさとしての人体感受性はあまり高くないものの、ビビリとして皮膚表面では十分知覚される成分であること、また、音域として低周波の可聴域に重なるので、低周波騒音として知覚されることで顕在化するためと思われる。
【0006】
以上より、この高周波振動領域の乗り心地評価には、高周波振動に加えて超低周波音・低周波音による影響も考慮する必要がある。さらに、客室内の騒音再現には、従来の中高音に加えて、超高周波音の影響も考慮することが必要である。
本発明は、上記状況に鑑みて、乗り心地評価に、高周波振動に加えて超低周波音・低周波音、超高周波音による影響も考慮した、複合環境試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕固定部(1)と模擬客室(2)との間に配置される8Hz以下の振動を発生できるアクチュエータによる加振機(3)と、0.5~80Hz程度までの振動を発生できる高周波加振台(4)と、0.5~80Hz程度までの低周波音を再生できる超低周波音スピーカー(5)と、80Hz~20kHz程度までの中高周波を再生できる中高周波用スピーカー(6)と、20~100kHz程度までの超高周波を再生できる超高周波音スピーカー(7)とを備えた前記模擬客室(2)を有する複合環境試験装置であって、前記模擬客室(2)の外に設置した大型スクリーンにより、振動や音と連動した映像を投影することにより、列車や自動車、航空機など乗り物の走行時の車内環境を模擬することを特徴とする。
【0008】
〕上記〔1〕記載の複合環境試験装置において、振動と音の周波数および大きさを別々に制御できることにより、人間の環境快適性の評価における、振動と音の複合影響を調べることができることを特徴とする。
〕上記〔1〕記載の複合環境試験装置において、振動と音の周波数帯域が重なっていることにより、任意の振動の大きさに対する人間の体感による評価が、音が加わることにより受ける影響を調べることができることを特徴とする。
【0009】
〕上記〔1〕記載の複合環境試験装置において、振動と音の周波数帯域が重なっていることにより、任意の音の大きさに対する人間の体感による評価が、振動が加わることにより受ける影響を調べることができることを特徴とする。
〕上記〔1〕記載の複合環境試験装置において、さらに模擬客室の明るさをコントロールすることにより、列車や自動車、航空機など乗り物の走行時の車内環境を模擬し、その快適性評価を可能とすることを特徴とする。
【0010】
〕上記〔1〕記載の複合環境試験装置において、さらに模擬客室の温度をコントロールすることにより、列車や自動車、航空機など乗り物の走行時の車内環境を模擬し、その快適性評価を可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来の中~低周波振動に加えて、高周波振動と低周波音の同時暴露が可能となり、鉄道車両や航空機等の客室内環境を現実に近い条件で再現することができ、より体感に近い乗り心地評価を確立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の複合環境試験装置は、固定部(1)と模擬客室(2)との間に配置される8Hz以下の振動を発生できるアクチュエータによる加振機(3)と、0.5~80Hz程度までの振動を発生できる高周波加振台(4)と、0.5~80Hz程度までの低周波音を再生できる超低周波音スピーカー(5)と、80Hz~20kHz程度までの中高周波を再生できる中高周波用スピーカー(6)と、20~100kHz程度までの超高周波を再生できる超高周波音スピーカー(7)とを備えた前記模擬客室(2)を有する複合環境試験装置であって、前記模擬客室(2)の外に設置した大型スクリーンにより、振動や音と連動した映像を投影することにより、列車や自動車、航空機など乗り物の走行時の車内環境を模擬する。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す複合環境試験装置の模式図、図2はその複合環境試験装置の高周波加振台と座席とを示す模式図、図3はその複合環境試験装置の超低周波音スピーカーを示す図である。
これらの図において、1は固定部、2は模擬客室、3は固定部1と模擬客室2との間に配置される8Hz以下の振動を発生できるアクチュエータによる加振機、4は模擬客室2内に配置される、05~80Hz程度までの振動を発生できる高周波加振台、5は模擬客室2内に配置される、0.5~80Hz程度までの低周波音を再生できる超低周波音スピーカー、6は80~20kHz程度までの中高周波を再生できる中高周波用スピーカー、7は20~100kHz程度まで超高周波音を再生できる超高周波音スピーカーである。より詳しくは、模擬客室2には客室の底部8、座席9、座席の床部10が設けられており、上記高周波加振台4は、図2に示すように、座席の床部10と模擬客室2の底部8との間に配置され、8Hz~80Hz程度までの振動を座席の6自由度(前後x、左右y、上下z、x軸回りのロール、y軸回りのピッチ、z軸回りのヨー)方向に発生させることができる。図3に示す超低周波音スピーカー5は、図1に示すように、模擬客室2の底部8に配置される。この超低周波音スピーカー5は、例えば、サーロジック社製SPD-SW2000Dであり、出力は1kW+1kW、再生周波数は10~120Hz(ローパスフィルタは20~120Hzで可変)である。また、中高周波数スピーカー6は座席8の近傍に配置される。また、超高周波音スピーカー7は模擬客室2の高所に配置される。
【0014】
このように、本発明の複合環境試験装置は、模擬客室2内に、0.5~80Hz程度までの振動を発生できる高周波加振台と、0.5~80Hz程度までの低周波音を再生できる超低周波音スピーカーと、80~20kHz程度までの中高周波を再生できる中高周波用スピーカー6と、20~100kHz程度まで超高周波音を再生できる超高周波音スピーカー7を設置し、走行音(もしくは飛行音)や振動を模擬することにより、これらの複合環境の評価試験を行うことができる。
【0015】
本発明によれば、従来の中~低周波振動に加えて、高周波振動と超低周波~超高周波音の同時暴露が可能となり、高速鉄道車両や航空機等の客室内環境を現実に近い条件で再現することができ、より体感に近い乗り心地評価を確立することができるようになる。
また、本発明によれば、高周波振動が生じる環境の評価試験を行うことが可能である。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の複合環境試験装置は、音と振動が複合した環境下での快適性の計測装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例を示す複合環境試験装置の模式図である。
【図2】本発明の実施例を示す複合環境試験装置の高周波加振台と座席とを示す模式図である。
【図3】本発明の実施例を示す複合環境試験装置の超低周波音スピーカーを示す図である。
【図4】従来の列車内環境模擬装置の模式図である。
【図5】従来のISO2631-1に基づく等感覚曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 固定部
2 模擬客室
3 8Hz以下の振動を発生できるアクチュエータによる加振機
4 0.5~80Hz程度までの振動を発生できる高周波加振台
5 0.5~80Hz程度までの低周波音を再生できる超低周波音スピーカー
6 80~20kHz程度までの中高周波を再生できる中高周波用スピーカー
7 20~100kHz程度までの超高周波音を再生できる超高周波音スピーカー
8 客室の底部
9 座席
10 座席の床部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4