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明細書 :車両制動方法及び車両制動装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4757816号 (P4757816)
公開番号 特開2008-220118 (P2008-220118A)
登録日 平成23年6月10日(2011.6.10)
発行日 平成23年8月24日(2011.8.24)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
発明の名称または考案の名称 車両制動方法及び車両制動装置
国際特許分類 B60L   7/28        (2006.01)
B61H   7/00        (2006.01)
FI B60L 7/28
B61H 7/00 D
B61H 7/00 F
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願2007-057043 (P2007-057043)
出願日 平成19年3月7日(2007.3.7)
審査請求日 平成21年7月28日(2009.7.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】笹川 卓
【氏名】柏木 隆行
【氏名】田中 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 隆
審査官 【審査官】竹下 晋司
参考文献・文献 特開2006-199170(JP,A)
特公昭47-023129(JP,B1)
調査した分野 B60L 1/00 - 15/42
B61H 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
車両下部に固定されかつレール頭部の上方位置にて該レール頭部と上下に間隔をおいて対向配置されるとともにレールの長手方向に沿って直列配置された複数の電機子のそれぞれに対して、直流励磁電流を供給することにより、レールに対向する面においてレールの長手方向と直交する方向に沿ってN極—S極またはS極—N極が並ぶ二極の磁極を発生させ、該磁極によりレールに対する吸引力又はブレーキ力を生じさせる車両制動方法であって、
前記レールの長手方向と直交する方向に沿う電機子の二極の磁極を、N極-S極又はS極-N極のいずれかとし、これらN極-S極とS極-N極の磁極をレールの長手方向に沿って交互に位置するように、各電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替えることを特徴とする車両制動方法。
【請求項2】
車両下部に固定されかつレール頭部の上方位置にて該レール頭部と上下に間隔をおいて対向配置されるとともにレールの長手方向に沿って直列配置され、レールに対向する面においてレールの長手方向と直交する方向に沿ってN極—S極またはS極—N極が並ぶ二極の磁極が生じる複数の電機子と、これら各電機子の巻線に直流励磁電流を供給する駆動手段とを有し、この駆動手段から供給された直流励磁電流により前記電機子に対して磁極を発生させ、該磁極によりレールに対する吸引力又はブレーキ力を生じさせる車両制動装置であって、
前記駆動手段には、レールの長手方向と直交する方向に沿う電機子の二極の磁極を、N極-S極又はS極-N極のいずれかとし、これらN極-S極とS極-N極の磁極をレールの長手方向に沿って交互に位置させるように、各電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替える選択切替手段が、設けられていることを特徴とする車両制動装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は車両の走行時にレール内に発生させた渦電流によりブレーキ力を効果的に得ることができる車両制動方法及び車両制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両制動装置として下記特許文献1に示される脱線防止装置が知られている。この脱線防止装置は、車両下部に固定されかつレール頭部の上方位置にて該レール頭部と上下に間隔をおいて対向するように配置されて、磁芯の溝に巻かれた巻線に電流が供給されたときに磁界を発生させる複数の電機子を有するものであって、これら電機子は、レールの長手方向に沿って直列配置され、レールに対向する面においてレールの長手方向と直交する方向にS極・N極の磁界を発生させる。そして、これら電機子では、巻線に対して供給する直流電流の方向を適宜切り替えることにより、レールの長手方向、及びレールと直交する方向に沿う磁界が変更され、これにより、レールに対して吸引力又はブレーキ力が発生する。
【0003】
具体的には、電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替えることにより、脱線防止動作モードにおいては、図8(a)に示されるように、レールRの長手方向に沿う第1列P(1,1)~P(1,6)を全てN極の並び、第2列P(2,1)~P(2,6)を全てS極の並びとすることで、電機子とレールRとの間に脱線を防止する吸引力を発生させる。また、渦電流ブレーキ動作モードにおいては、図8(b-1)に示されるように、レールRの長手方向に沿った第1列と第2列の組に、N極-N極の組と、S極-S極の組とが交互に並ぶようにして、鉄道車両の走行に伴ってレールR内に交番磁界を発生させる。これにより、レールR内に渦電流損が発生して、車両にそのジュール熱相当のブレーキ力を発生させることができる。

【特許文献1】特開2006-199170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図8(b-1)に示される渦電流ブレーキ動作モードでは、図8(b-1)を側方から見た図8(b-2)の側面図に示されるように、主に車両の進行方向に沿うように磁界が形成され、この磁界によって生じる渦電流損からジュール熱を発生させ、このジュール熱により車両にブレーキ力を発生させていたが、磁界の方向と列車の進行方向とが同一であり、渦電流損により生じるジュール熱の発生効率が悪い、すなわちブレーキ効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、渦電流損により生じるジュール熱の発生効率を改善し、高いブレーキ力を得ることができる車両制動方法及び車両制動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、上記目的を達成するために本発明の課題解決手段では、車両下部に固定されかつレール頭部の上方位置にて該レール頭部と上下に間隔をおいて対向配置されるとともにレールの長手方向に沿って直列配置され、レールに対向する面においてレールの長手方向と直交する方向に沿ってN極—S極またはS極—N極が並ぶ二極の磁極が生じる複数の電機子と、これら各電機子の巻線に直流励磁電流を供給する駆動手段とを有し、この駆動手段から供給された直流励磁電流により前記電機子に対して磁極を発生させ、該磁極によりレールに対する吸引力又はブレーキ力を生じさせる車両制動装置であって、前記駆動手段には、レールの長手方向と直交する方向に沿う電機子の二極の磁極を、N極-S極又はS極-N極のいずれかとし、これらN極-S極とS極-N極の磁極をレールの長手方向に沿って交互に位置させるように、各電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替えるようにしている。
【0007】
また、本発明の課題解決手段では、車両下部に固定されかつレール頭部の上方位置にて該レール頭部と上下に間隔をおいて対向配置されるとともにレールの長手方向に沿って直列配置され、レールに対向する面においてレールの長手方向と直交する方向に沿ってN極—S極またはS極—N極が並ぶ二極の磁極が生じる複数の電機子と、これら各電機子の巻線に直流励磁電流を供給する駆動手段とを有し、この駆動手段から供給された直流励磁電流により前記電機子に対して磁極を発生させ、該磁極によりレールに対する吸引力又はブレーキ力を生じさせる車両制動装置であって、前記駆動手段には、レールの長手方向と直交する方向に沿う電機子の二極の磁極を、N極-S極又はS極-N極のいずれかとし、これらN極-S極とS極-N極の磁極をレールの長手方向に沿って交互に位置させるように、各電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替える選択切替手段を設ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明に示す車両制動方法では、レールの長手方向と直交する方向に沿う電機子の二極の磁極を、N極-S極又はS極-N極のいずれかとし、これらN極-S極とS極-N極の磁極をレールの長手方向に沿って交互に位置するように、各電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替えることにより、車両の進行方向と直交する方向に磁界を発生させ、かつこれら磁界の向きを、レールの長手方向に配置される電機子に対して交互に変更するようにしたので、これら磁界によって生じる渦電流損、渦電流損により生じるジュール熱を増大させることができ、高いブレーキ力を得ることが可能となる。
【0009】
本発明に示す車両制動装置では、レールの長手方向と直交する方向に沿う電機子の二極の磁極を、N極-S極又はS極-N極のいずれかとし、これらN極-S極とS極-N極の磁極をレールの長手方向に沿って交互に位置させるように、各電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替える選択切替手段により、車両の進行方向と直交する方向に磁界を発生させ、かつこれら磁界の向きを、レールの長手方向に配置される電機子に対して交互に変更するようにしたので、これら磁界によって生じる渦電流損、渦電流損により生じるジュール熱を増大させることができ、高いブレーキ力を得ることが可能となる。また、本発明に示す車両制動装置では、駆動手段によって各電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替えることで、レールの長手方向に沿う第1列を全てN極の並び、第2列を全てS極の並びとする脱線防止動作モードとすることもでき、この脱線防止動作モードによって、電機子とレールとの間に吸引力を発生させ、車両の脱線を未然に防止することも可能である。すなわち、本発明の車両制動装置では、電機子とレールとの間に吸引力を発生させる脱線防止動作モードと、前述したような、レール内に渦電流損を発生させることによりブレーキ力を発生させる渦電流ブレーキ動作モードのいずれかを選択することができ、汎用性の高い車両制動装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1~図7を参照して説明する。図1において符号10で示すものは、一方のレールR1の上方位置にて該レールR1の頭部に対向するように配置された第1の電機子11と、他方のレールR2の上方位置にて該レールR2の頭部に対向するように配置された第2の電機子12とからなる電磁変換部であって、これらの電機子11及び12は、車輪13を回転可能に支持する台車14の台枠(バネ間)に固定されているか、又は、車輪13の軸箱(バネ下)に直接固定されている。あるいは、電機子11及び12を使用時に台車14から下方に移動させる機構を介して、これらの電機子11及び12を台車14に取り付けても良い。なお、電機子は、先頭/後尾車等の特定の車両のみに取り付けても良いし、特定車両の特定台車又は軸箱のみに取り付けても良い。
【0011】
図2(a)(b)は電機子11・12の斜視図、図3(a)(b)は「◎」と「×」の符号により直流励磁電流の向きを示す正断面図である。これらの図において図2(a)及び図3(a)は同一形式の電磁子、図2(b)及び図3(b)は同一形式の電磁子であるが、図2(a)及び図3(a)と図2(b)及び図3(b)は形式が異なっている。
【0012】
まず、図2の(a)及び図3の(a)を参照して、第1の例の電機子11・12を説明する。図2(a)において、電機子11及び12の各々は、長手方向に沿って溝が形成された直線状のコア(磁芯)1の中央部に巻線2を巻くことにより電磁石を構成するものであって、駆動手段20(図4参照)から巻線2に直流励磁電流が供給されることにより、図3の(a)に示されるように、レールR1又はR2と対向する面において、レールの長手方向と直交する方向にN極とS極とが並んだ磁界を発生させる。
【0013】
このような電機子11・12では、コア1とレールR1又はR2との間の空隙(ギャップ長)を小さくすることにより、これらを通過する磁路を短くすることができるので、磁気抵抗が小さくなって磁束が増加する。その結果、電機子11とレールR1との間、及び、電機子12とレールR2との間に、強力な吸引力又はブレーキ力を発生させることができる。
【0014】
次に、図2の(b)及び図3の(b)を参照して、第2の例の電機子11・12を説明する。第2の例の電機子11及び12の各々は、長手方向に沿って溝が形成された直線状のコア1の図中左側の脚部に第1の巻線3を巻き、図中右側の脚部に第2の巻線4を巻くことにより電磁石を構成するものであって、駆動手段20(図4参照)から巻線3・4に直流励磁電流が供給されることにより、図3(b)に示されるように、レールR1又はR2と対向する面において、レールの長手方向と直交する方向にN極とS極とが並んだ磁界を発生させる。そして、図2(b)及び図3(b)に示す電機子11・12も、図2(a)及び図3(a)に示す電機子11・12と同様に、電機子11又は12とレールR1又はR2との間に強力な吸引力又はブレーキ力を発生させることができる。
【0015】
なお、台車14に固定する電機子11・12を、いずれも図2(a)、図3(a)に示す第1の例とするか、図2(b)、図3(b)に示す第2の例とするかは、任意に選択されるものである。
【0016】
次に、図4を参照して、脱線防止装置及び渦電流ブレーキ装置としての2つの機能を持つ車両制動装置の制御を行うブロック図について説明する。図4において符号20で示すものは駆動手段であって、車輪13を介してレールに接地されており、架線(トロリ)からパンタグラフ15及びインダクタ16を介して印加される直流電圧に基づいて、電機子11及び12の複数の巻線に直流励磁電流を供給し、これにより直流磁界を発生させるものである。
【0017】
符号21で示すものは中央演算装置(CPU)内に設けられた演算制御手段であって、この演算制御手段21には、指令部(図示略)からの指令信号、脱線検知部(図示略)からの脱線検出信号が入力されるようになっており、これら指令信号、脱線検出信号に基づき、電機子11・12に対して脱線防止動作モード、渦電流ブレーキ動作モードのいずれを設定すべきかを判断する。なお、演算制御手段21にはROM23が設けられており、このROM23内に、脱線防止動作モード又は渦電流ブレーキ動作モード(後述する)に対応した、電機子11・12に供給する直流励磁電流値及びその電流の向きが制御データとして予め記憶されている。そして、この演算制御手段21では、指令信号又は脱線検出信号に基づき、ROM23に記憶された脱線防止動作モード又は渦電流ブレーキ動作モードを選択して、これを制御データとして符合22で示す切替手段に供給する。
【0018】
切替手段22は、演算制御手段21から出力された制御データ(脱線防止動作モード又は渦電流ブレーキ動作モード)に基づき、電機子11及び12に供給すべき直流励磁電流値及びその電流の向きを切り替える。以下、これら2つのモードについて図5及び図6を参照して具体的に説明する。
【0019】
なお、演算制御手段21に脱線検出信号を出力する脱線検知部(図示略)は、電機子とレールとの間のギャップ長を計測することにより車両が脱線したか否かを検知するものであるが、その具体的な検出手段として、探りコイル、ヌルフラックスなどが用いられる。
【0020】
図5は本発明に係る車両制動装置の電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを示す平面図であって、矢印は電流の向きを、「◎」と「×」は磁界の向きをそれぞれ示している。また、図6は図5に示す直流励磁電流によって形成された磁極(N極又はS極)を示す平面図である。そして、これらの図において、図5(a)及び図6(a)は吸引力が発生される脱線防止動作モードであり、図5(b)及び図6(b)はブレーキ力が発生される渦電流ブレーキ動作モードをそれぞれ示している。なお、以下の説明において、P(x,y)は、電機子11・12のそれぞれにおいて、レールの長手方向と直交する方向に形成された磁極の組を示すものであって、“x”は列番を示し、また、“y”はレールの長さ方向に沿う電機子11・12の組番号を示している。
【0021】
まず、脱線防止動作モードでは、図5(a)に示されるように、極P(1,1)~P(1,6)の巻線に時計回りの方向の電流が流れ、極P(2,1)~P(2,6)の巻線に反時計回りの方向の電流が流れるように、直流励磁電流の向きが選択される。これにより、図6(a)に示されるように、レールR1又はR2の長手方向に沿って、第1列に複数のN極が並び、第2列に複数のS極を並列させることができる。すなわち、レールの長手方向と直交する方向に沿う各電機子11・12にある二極の磁極を、全てN極(1列目)-S極(2列目)とし、このような磁極の並びによって、電機子11又は12とレールR1又はR2との間に吸引力を発生させることができる。なお、このような脱線防止動作モードでは、鉄道車両が走行してもレール内の磁束の向きが、レールR1・R2に直交する一方向に揃えられるので、ブレーキ力は、ほとんど発生しない。この配置は、進行方向にできるだけ磁束の変化が起こらないようにして、高速走行時にレール内に発生する渦電流によって吸引力が低下するのを防止するためのものである。
【0022】
一方、渦電流ブレーキ動作モードでは、図5(b)に示されるように、極P(1,1)、P(2,2)、P(1,3)、P(2,4)、P(1,5)、P(2,6)の巻線に時計回りの方向の電流が流れ、かつ、極P(2,1)、P(1,2)、P(2,3)、P(1,4)、P(2,5)、P(1,6)の巻線に反時計回りの方向の電流が流れるように、直流励磁電流の向きが選択される。これにより、レールR1・R2の長手方向と直交する方向に沿う各電機子11・12の二極の磁極(N極-S極又はS極-N極)が、レールR1・R2の長手方向に沿って交互に位置し、このような磁極の配置によって、図6(b)に示すようなレールR1・R2の長手方向と直交する方向に沿って、互い違いとなる磁界の向きを形成し、図7で示すような渦電流を発生させることができる。そして、このような磁界の向きによって渦電流損が増大、さらに、渦電流損により生じるジュール熱が増大し、これによって高いブレーキ力を得ることができる。なお、このような渦電流ブレーキ動作モードでは、渦電流によって磁束が遮蔽されるので、高速走行時には吸引力が大幅に低下する。渦電流ブレーキ動作モードでの配置は、進行方向にできるだけ磁束の変化が起こるようにして、鉄道車両の走行時にレール内に渦電流を発生させ、そのジュール熱相当のブレーキ力を得るためのものである。また、レールR1・R2の長さ方向に沿って配置される電機子11・12の個数は、本実施形態のように各レールR1・R2に6組ずつに限定されず、それ以上又は以下でも良いが、基本的にはレールR1とレールR2とは同数組を配置する。
【0023】
なお、この車両制動装置では、脱線防止装置及び渦電流ブレーキ装置を兼用することが可能であり、これにより、通常は脱線検知動作を行いながら、脱線の危険性が検知されたときに渦電流ブレーキ動作モードとして緊急ブレーキ動作を行うことが可能となる。
また、上記車両制動装置では、直流渦電流ブレーキを利用しているので、バッテリー電源でも動作可能である。したがって、電系(カテナリー)が地震などでフェイルまたは停止したような場合であっても、予め配備されたバッテリー電源を利用することにより、動作させることができる。
【0024】
以上詳細に説明した車両制動に関する実施形態では、レールR1・R2の長手方向と直交する方向に沿う電機子11・12の二極の磁極を、N極-S極又はS極-N極のいずれかとし、これらN極-S極とS極-N極の磁極をレールR1・R2の長手方向に沿って交互に位置させるように、各電機子11・12の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替える演算制御手段21及び切替手段22により、車両の進行方向と直交する方向に磁界を発生させ、かつこれら磁界の向きを、レールR1・R2の長手方向に配置される電機子11・12に対して交互に変更するようにしたので、図7で示す渦電流が発生するとともに、渦電流損により生じるジュール熱が増大して、高いブレーキ力を得ることが可能となる。
【0025】
また、上記実施形態では、駆動手段によって各電機子11・12の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替えることで、レールR1・R2の長手方向に沿う第1列を全てN極の並び、第2列を全てS極の並びとする脱線防止動作モードとすることができ、この脱線防止動作モードによって、電機子11・12とレールR1・R2との間に吸引力を発生させ、車両の脱線を未然に防止することも可能である。すなわち、本発明の車両制動装置では、電機子11・12とレールR1・R2との間に吸引力を発生させる脱線防止動作モードと、前述したような、レールR1・R2内に渦電流損を発生させることによりブレーキ力を発生させる渦電流ブレーキ動作モードのいずれかを選択することができ、汎用性の高い車両制動装置を実現することができる。
【0026】
なお、上記実施形態に示される「演算制御手段21」及び「切替手段22」によって請求項の「選択切替手段」が構成される。また、上記実施形態は、レールR1・R2の長手方向と直交する方向に沿う電機子11・12の二極の磁極(N極-S極又はS極-N極)がレールR1・R2の長手方向に沿って交互に位置するように、各電機子11・12の巻線に流れる直流励磁電流の向きを切り替える車両制動方法を用いた車両制動装置が示されるものであるが、このような磁極の配列が可能であれば、上述した構成に限定されない。例えば、極P(1,1)と極(1,2)、極P(1,3)と極(1,4)、極P(1,5)と極(1,6)、極P(2,1)と極(2,2)、極P(2,3)と極(2,4)、極P(2,5)と極(2,6)が組なるように、各電機子11・12の磁極を配置し、このような電機子11・12の配置の下で、上述したN極・S極の磁極(すなわち、渦電流ブレーキ動作モードとなる磁極の配置)を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電機子11・12が取り付けられる台車14を示す斜視図
【図2】電機子11・12の斜視図
【図3】電機子11・12における直流励磁電流の向きを示す正断面図
【図4】車両制動装置の制御を行うブロック図
【図5】電機子の巻線に流れる直流励磁電流の向きを示す平面図
【図6】図5に示す直流励磁電流により生じるN極又はS極の磁極を示す平面図
【図7】渦電流ブレーキ動作モードにおいてレールR1・R2に生じる渦電流を示す斜視図
【図8】直流励磁電流により生じる従来の磁極を示す図、(a)は吸引力発生用の磁極の配列を示す平面図、(b-1)はブレーキ力発生用の磁極の配列を示す平面図、(b-2)は(b-2)に示す磁極配列である場合の磁界の方向を示す側面図
【符号の説明】
【0028】
11 第1の電機子
12 第2の電機子
14 台車
20 駆動手段
21 演算制御手段(選択切替手段)
22 切替手段(選択切替手段)
R1 レール
R2 レール
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7