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明細書 :低弾性部材による軌道変位抑制構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4958575号 (P4958575)
公開番号 特開2008-196257 (P2008-196257A)
登録日 平成24年3月30日(2012.3.30)
発行日 平成24年6月20日(2012.6.20)
公開日 平成20年8月28日(2008.8.28)
発明の名称または考案の名称 低弾性部材による軌道変位抑制構造
国際特許分類 E01B   1/00        (2006.01)
FI E01B 1/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2007-034521 (P2007-034521)
出願日 平成19年2月15日(2007.2.15)
審査請求日 平成21年3月18日(2009.3.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】桃谷 尚嗣
【氏名】関根 悦夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100096091、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 誠一
審査官 【審査官】小山 清二
参考文献・文献 特開昭61-294096(JP,A)
登録実用新案第3089322(JP,U)
特開2008-196257(JP,A)
調査した分野 E01B 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに接するように地盤上に設けられ、軌道を支持する盛土およびコンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物と前記軌道の間の前記軌道側に設けられ、前記軌道の変位を抑制するための抑制部材と、
を有し、
前記抑制部材を構成する材料は、前記コンクリート構造物よりも剛性の小さい材料であることを特徴とする軌道変位抑制構造。
【請求項2】
前記抑制部材を構成する材料は、ゴム、発泡スチロール、樹脂、シリコンのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の軌道変位抑制構造。
【請求項3】
前記抑制部材は、板状の形状を有することを特徴とする請求項1記載の軌道変位抑制構造。
【請求項4】
盛土と接するように設けられ、軌道を支持するコンクリート構造物と、前記軌道との間の前記軌道側に抑制部材を設ける工程(a)を有することを特徴とする軌道変位抑制構造の構築方法。
【請求項5】
盛土と接するように設けられ、軌道を支持するコンクリート構造物と、前記軌道との間に抑制部材を設ける工程(a)を有し、
前記工程(a)は、前記軌道を持ち上げてから、前記コンクリート構造物と前記軌道との間に前記抑制部材を設ける工程であることを特徴とする道変位抑制構造の構築方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道変位抑制構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、枕木とレールとバラストからなる鉄道の軌道は、盛土上、もしくは盛土上に設けられた土路盤上に設けられていた。
【0003】
このような構造では、盛土の剛性が小さいために、列車の通過により軌道に変位が生じる場合があり、列車の走行安定性に支障が出る場合がある。
【0004】
特に、橋台やボックスカルバートのようなコンクリート構造物と、盛土が隣接している場合は、コンクリート構造物と盛土の境界部分の支持剛性が急激に変化するので、バラストの流動による軌道の変位が生じやすく、境界部分に段差ができることが多かった。
【0005】
このような場合、コンクリート構造物と盛土の境界に、アプローチブロックと呼ばれる砕石層を設け、支持剛性の急激な変化を抑制している場合があり、このような構造としては、以下のようなものが知られている(非特許文献1)。

【非特許文献1】鉄道総合技術研究所編、「鉄道構造物等設計標準・同解説-土構造物」、丸善、1992年11月10日、p.332
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アプローチブロックを有していない既設構造物に対しては、新たにアプローチブロックを設けるのは困難であり、このような構造を構築することが困難であった。
【0007】
また、既設の盛土に新たにボックスカルバート等を施工する場合にも、新たにアプローチブロックを設けるのは困難であり、このような構造を構築することが困難であった。
さらに、軌道の変位対策としては、変位の発生箇所全面を地盤改良する場合もあるが、非常に高価であった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は既設構造物に容易に構築可能で低コストな軌道変位抑制構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、互いに接するように地盤上に設けられ、軌道を支持する盛土およびコンクリート構造物と、前記コンクリート構造物と前記軌道の間の前記軌道側に設けられ、前記軌道の変位を抑制するための抑制部材と、を有し、前記抑制部材を構成する材料は、前記コンクリート構造物よりも剛性の小さい材料であることを特徴とする軌道変位抑制構造である。
【0010】
前記抑制部材を構成する材料は、ゴム、発泡スチロール、樹脂、シリコンのいずれかであってもよく、板状の形状を有してもよい。
【0011】
第2の発明は、盛土と接するように設けられ、軌道を支持するコンクリート構造物と、前記軌道との間の前記軌道側に抑制部材を設ける工程(a)を有することを特徴とする軌道変位抑制構造の構築方法である。
第3の発明は、盛土と接するように設けられ、軌道を支持するコンクリート構造物と、前記軌道との間に抑制部材を設ける工程(a)を有し、前記工程(a)は、前記軌道を持ち上げてから、前記コンクリート構造物と前記軌道との間に前記抑制部材を設ける工程であることを特徴とする軌道変位抑制構造の構築方法である
【0012】
本発明では軌道変位抑制構造が、コンクリート構造物と軌道の間に設けられた抑制部材を備えており、抑制部材が軌道の変位を抑制する。
従って、既設構造物の、コンクリート構造物と軌道の間に抑制部材を挿入することにより、容易に軌道変位抑制構造を構築可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既設構造物に容易に構築可能で低コストな軌道変位抑制構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る軌道変位抑制構造1を示す断面図であって、図2は図1の斜視図である。
また、図3はバラスト10の粒径分布を示す図であって、図4は図2の抑制部材9の拡大図である。
【0015】
図1および図2に示すように、軌道変位抑制構造1は地盤3上に設けられた盛土5を有しており、さらに地盤3上に、盛土5と接するようにして設けられた、コンクリート構造物としてのボックスカルバート11を有している。
【0016】
盛土5とボックスカルバート11上には土路盤7が設けられており、土路盤7上にはバラスト10が設けられている。なお、土路盤7を有さない構造もある。
【0017】
バラスト10上には複数の枕木13が設けられており、枕木13上には1対のレール15が設けられている。
そして、枕木13、レール15、バラスト10で軌道21を構成している。
【0018】
また、ボックスカルバート11の上方の土路盤7内には抑制部材9が設けられている。
即ち、抑制部材9はボックスカルバート11と軌道21の間に設けられている。
【0019】
そして、盛土5、ボックスカルバート11、抑制部材9で、軌道変位抑制構造1を構成している。
【0020】
盛土5は軌道21が設けられる面を水平に保ち、また列車17の荷重を支える部分であり、粘性土、砂質土、礫質土等が用いられる。
【0021】
ボックスカルバート11は箱型の水路や道路であり、コンクリートで形成される。
土路盤7は列車17の荷重を均等に盛土5に伝達するために設けられる部材であり、自然土またはクラッシャランが用いられる。
【0022】
土路盤7として、自然土を用いる場合は、以下の用件を満たすものを用いるのが望ましい。
最大粒径……………………………………………………75mm以下
標準網ふるい0.075mmを通過する粒子の割合…2~20%
標準網ふるい0.425mmを通過する粒子の割合…40%未満
均等係数……………………………………………………6以上
液性限界……………………………………………………35以下
塑性指数……………………………………………………9以下
【0023】
また、土路盤7としてクラッシャランを用いる場合は、JIS A 5001「道路用砕石」のC-40、C-30、C-20の規格に適合するものを用いるのが望ましい。
【0024】
バラスト10は列車17の荷重を均等に盛土5、ボックスカルバート11、土路盤7に伝達し、また列車17の走行により生じる騒音を低減するための部材であり、花崗岩、閃緑岩、安山岩、玄武岩等の砕石が用いられる。
なお、バラスト10の粒径分布としては図3に示すものがあげられる。
【0025】
枕木13はレール15を支持する部材であり、レール15は、図1に示す列車17の車輪19が通過する部分である。
【0026】
抑制部材9は、軌道21の変位を抑制する部材であり、図2および図4に示すように板状の形状を有している。
抑制部材9はボックスカルバート11よりも剛性が小さい材料で形成されている。
【0027】
このような材料としては例えばゴム、発泡スチロール、樹脂、シリコン等が挙げられる。
ゴムとしては例えばウレタンゴム、SBR(Styrene-butadiene rubber)系合成ゴム等が挙げられる。
【0028】
なお、抑制部材9は、列車荷重作用時における抑制部材9上面での弾性変形量が3mm以内となるような材料および厚さで形成されるのが望ましい。
また、抑制部材9の厚さは25~100mm程度である。
【0029】
図1に示すように、軌道変位抑制構造1のレール15上を列車17が通過すると、列車17の荷重は枕木13、バラスト10、土路盤7を介して盛土5とボックスカルバート11に伝達される。
【0030】
ここで、盛土5はボックスカルバート11と比べて剛性が非常に小さいので、盛土5とボックスカルバート11の境界近傍は剛性が急激に変化する。
従って、境界を列車が何度も通過し、繰り返し荷重が加えられると、境界近傍の盛土5および軌道21が変形しやすくなり、変位による段差が生じる恐れがある。
【0031】
しかし、本実施形態では、ボックスカルバート11と軌道21の間に、ボックスカルバート11よりも剛性の小さい抑制部材9が設けられているため、剛性の急激な変化は生じない。
従って、抑制部材9によって、境界に変位による段差が生じるのを防ぐことができる。
【0032】
抑制部材9を設ける場合は、図示しないジャッキ等で枕木13(軌道21)を持ち上げてから、ボックスカルバート11と軌道21の間に抑制部材9を圧入して設ける。
あるいは、土路盤7の一部を開削して抑制部材9で置き換えてもよく、あるいは、抑制部材9を構成する材料を土路盤7内に注入し、攪拌により固化させて抑制部材9を設けてもよい。
【0033】
このように、軌道変位抑制構造1は、従来アプローチブロックを設けるのが困難であった既設構造物にも容易に構築することができ、また、別途地盤改良等を行う必要がないので、低コストである。
【0034】
また、軌道変位抑制構造1は、既存の盛土に新たにボックスカルバート等を施工する場合にも、容易に構築することができる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、軌道変位抑制構造1は盛土5、ボックスカルバート11、抑制部材9を有し、抑制部材9は、ボックスカルバート11と軌道21の間に設けられている。
【0036】
従って、ボックスカルバート11と盛土5の境界における、急激な剛性の変化を抑えることができ、軌道21の変位を抑制できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、抑制部材9は板状の部材であり、別途図示しないジャッキ等で枕木13を持ち上げてから、ボックスカルバート11と軌道21の間に抑制部材9を圧入することにより、容易に設けることができる。
【0038】
従って、軌道変位抑制構造1は、従来アプローチブロックを設けるのが困難であった既設構造物にも容易に構築することができ、低コストである。
また、軌道変位抑制構造1は、既存の盛土に新たにボックスカルバート等を施工する場合にも、容易に構築することができ、低コストである。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0040】
例えば、本実施形態では抑制部材9は、ボックスカルバート11と軌道21の間に設けられているが、橋台と軌道21の間に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】軌道変位抑制構造1を示す断面図
【図2】図1の斜視図
【図3】バラスト10の粒径分布を示す図
【図4】図2の抑制部材9の拡大図
【符号の説明】
【0042】
1…………軌道変位抑制構造
3…………地盤
5…………盛土
7…………土路盤
9…………抑制部材
9a………鋼管
9d………モルタル
10………バラスト
11………ボックスカルバート
13………枕木
15………レール
16………長さ
17………列車
19………車輪
21………軌道
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3