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明細書 :土木構造物の傾斜検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5339569号 (P5339569)
公開番号 特開2008-191114 (P2008-191114A)
登録日 平成25年8月16日(2013.8.16)
発行日 平成25年11月13日(2013.11.13)
公開日 平成20年8月21日(2008.8.21)
発明の名称または考案の名称 土木構造物の傾斜検出装置
国際特許分類 G01C   9/10        (2006.01)
G01C   9/06        (2006.01)
H01H  35/02        (2006.01)
FI G01C 9/10
G01C 9/06 R
H01H 35/02 C
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2007-028635 (P2007-028635)
出願日 平成19年2月8日(2007.2.8)
審判番号 不服 2012-005212(P2012-005212/J1)
審査請求日 平成21年3月17日(2009.3.17)
審判請求日 平成24年3月21日(2012.3.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】佐溝 昌彦
【氏名】太田 直之
【氏名】淵脇 晃
【氏名】渡邉 諭
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
参考文献・文献 特開2006-105632(JP,A)
特開2000-331579(JP,A)
実開昭61-82336(JP,U)
調査した分野 G01C9/00-9/36,G01H1/00-17/00,G08B19/00-21/24,H01H35/02-35/42
特許請求の範囲 【請求項1】
土木構造物に取り付けられる傾斜検出装置において、
内部に高粘性流体が内封される球体と、該球体内に設けられ、底部に前記球体の内面形状に対応した底面形状を有する錘体を備えた傾斜スイッチ装置を備え、前記傾斜スイッチ装置が導電性台座と、該導電性台座上を移動可能な導電性球体と、前記導電性台座とは接触しないように配置されている導電性カバーとを具備するとともに、前記錘体の上面には前記導電性台座と前記導電性カバーとを支持する絶縁部位を具備し、前記球体の傾斜により前記導電性台座も傾斜し、前記導電性球体による前記導電性台座と前記導電性カバーとの橋絡により出力信号を発することを特徴とする土木構造物の傾斜検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、橋脚周りの防護工流出等を検出する土木構造物の傾斜検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図5に示すように、橋脚101周りに防護工102が施されているが、その橋脚101周りの防護工102は増水などにより流出することがあり、その防護工102の変状を検知する必要がある。防護工102が水上に位置している場合には、目視による防護工102の流出の点検も可能であるが、図6に示すように、防護工102が水面103下に施されている場合には防護工102の流出の点検は不可能である。そこで、防護工102の流出を検知するためには、土木構造物の傾斜検出装置が必要になる。
【0003】
ところで、従来、構造物の傾斜や振動を電気の接点信号で出力する装置がある。
図7は従来の傾斜検知装置の模式図である(下記特許文献1参照)。
図7において、111は導電性台座であり、すり鉢状の表面112を有している。113は導電性球体であり、導電性台座111のすり鉢状の表面112に載置されている。114は導電性カバーであり、導電性台座111とは接触しないように配置されている。
【0004】
そこで、図7(a)に示すように、導電性台座111が水平な状態にある場合には、導電性球体113がすり鉢状の表面112の中央に位置し、導電性台座111と導電性カバー114は離れており、電気的にOFFの状態にある。ところが、図7(b)に示すように、導電性台座111が傾斜すると、導電性球体113はその傾斜方向に転がり、導電性台座111と導電性カバー114とを橋絡するので電気的にONの状態となる。したがって、導電性台座111が傾斜したことを検知することができる。
【0005】
勿論、導電性台座111の振動によっても、導電性球体113は移動するので、導電性台座111の振動をも検知することができる。
また、検出する傾斜量を変更する場合は、すり鉢状の表面や山形状の表面の傾斜角度を変更することで対応可能である。
更に、従来の傾斜検知装置としては、導電性液体を用いた傾斜スイッチも用いられている(下記特許文献2参照)。

【特許文献1】特開2000-67718号公報
【特許文献2】特開2000-21274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したように、傾斜検出器を用いて構造物が変状したことを検出し、信号を発信する装置が開発されているが、一旦発信した信号を止める機能がなく、電池が消耗するまで発信し続けている。このため、変状が止まり沈静化した場合においても再利用することができず、可動期間が電池の寿命に依存しているといった問題があった。
本発明は、上記状況に鑑みて、傾斜検出装置が動作後自動的に原状状態に復帰し、来る動作に備えることができるとともに、電池エネルギーの消耗を最小限に抑えることができる土木構造物の傾斜検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕土木構造物に取り付けられる傾斜検出装置において、内部に高粘性流体が内封される球体(1)と、この球体(1)内に設けられ、底部に前記球体(1)の内面形状に対応した底面形状を有する錘体(7,14)を備えた傾斜スイッチ装置(2)を備え、前記傾斜スイッチ装置(2)が導電性台座(3,11)と、この導電性台座(3,11)上を移動可能な導電性球体(5,12)と、前記導電性台座(3,11)とは接触しないように配置されている導電性カバー(6,13)とを具備するとともに、前記錘体(7,14)の上面には前記導電性台座(3,11)と前記導電性カバー(6,13)とを支持する絶縁部位(7A,14A)を具備し、前記球体(1)の傾斜により前記導電性台座(3,11)も傾斜し、前記導電性球体(5,12)による前記導電性台座(3,11)と前記導電性カバー(6,13)との橋絡により出力信号を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、傾斜検出装置が動作後自動的に原状状態に復帰し、来る動作に備えることができるとともに、電池エネルギーの消耗を最小限に抑えることができる。そして、傾斜検出装置の状態を検出して、橋脚周りの防護工の変状を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の土木構造物の傾斜検出装置は、内部に高粘性流体が内封される球体と、該球体内に設けられ、底部に前記球体の内面形状に対応した底面形状を有する錘体を備えた傾斜スイッチ装置を備え、前記傾斜スイッチ装置が導電性台座と、該導電性台座上を移動可能な導電性球体と、前記導電性台座とは接触しないように配置されている導電性カバーとを具備するとともに、前記錘体の上面には前記導電性台座と前記導電性カバーとを支持する絶縁部位を具備し、前記球体の傾斜により前記導電性台座も傾斜し、前記導電性球体による前記導電性台座と前記導電性カバーとの橋絡により出力信号を発する
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す土木構造物に取り付けられる傾斜検出装置の模式図である。
この図において、1は球体、2はその球体1内に装着される傾斜スイッチ装置であり、この傾斜スイッチ装置2は、すり鉢状の表面4が形成される導電性台座3、そのすり鉢状の表面4上を導電性台座3の傾斜にしたがって移動可能な導電性球体5、導電性台座3とは離れて配置される導電性カバー6、前記導電性台座3と導電性カバー6を絶縁部位7Aで支持するとともに、球体1の内面形状と同様の形状を有する錘体7を有している。さらに、球体1内には高粘性流体(例えば、高粘度を有する油)8を充填し内部に封入するようにしている。9は傾斜検出装置が取り付けられる土木構造物(例えば、橋脚周りの防護工)である。
【0011】
以下、この傾斜検出装置の動作を図2を参照しながら説明する。
図2(a)に示すように、傾斜検出装置が水平な状態にある場合は、傾斜スイッチ装置2は水平位置にある。つまり、導電性台座3のすり鉢状の表面4の中央部に導電性球体5が位置しているので、導電性台座3と導電性カバー6とは離れており、電気的にOFFの状態になる。ところが、図2(b)に示すように、傾斜検出装置が傾斜すると、傾斜スイッチ装置2も同時に傾斜する。すると、導電性台座3が傾斜し、導電性球体5はその傾斜方向に転がり、導電性球体5は導電性台座3と導電性カバー6とを橋絡するので電気的にONの状態となる。したがって、導電性台座3が傾斜したことを検知することができる。つまり、この傾斜検出装置は、例えば、土木構造物としての橋脚の防護工に固定されることで、その防護工の変状を検知することができる。
【0012】
次いで、その導電性台座3が傾斜したことを検知した後に、図2(c)のように、傾斜スイッチ装置2は錘体7を有しているので、高粘性流体8の介在により、図2(a)の原状位置へと復帰することができる。したがって、再び、導電性台座3は水平な状態に復帰できるので、導電性台座3と導電性カバー6とは離れることになり、電気的にOFFの状態にすることができる。
【0013】
このように、傾斜検出装置が傾斜を検知した後に、再び、傾斜検出装置を電気的にOFFの状態にすることができるので、来る動作に備えることができるとともに、電池エネルギーの消耗を最小限に抑えることができる。
上記実施例では、導電性台座3の表面形状をすり鉢状に形成したが、種々の形状に構成することができる。例えば、以下に示すように構成してもよい。
【0014】
図3は本発明の他の実施例を示す傾斜検出装置の傾斜スイッチ装置の構造を示す図である。
この実施例では、傾斜スイッチ装置は、中央に凹部11Aとその両側に平坦部11Bとさらにその両側に窪み部11Cが形成される導電性台座11、その導電性台座11の傾斜にしたがって移動可能な導電性球体12、導電性台座11とは離れて配置される導電性カバー13、導電性台座11と導電性カバー13を絶縁部位14Aで支持するとともに、球体(図示なし)の内面形状と同様の形状を有する錘体14を有している。さらに、球体(図示なし)内には高粘性流体(例えば、高粘度を有する油)15を充填し内部に封入するようにしている。
【0015】
また、傾斜スイッチ装置としては、水銀容器の傾きや液体面の変化によって動作する傾斜スイッチ装置が公知であるが、そのような傾斜スイッチ装置の底部に錘体を備えることにより、その傾斜スイッチ装置の雰囲気に存在する高粘性流体との作用を利用して、起き上がりこぼしの原理で原状のスイッチの状態に復帰させるようにしてもよい。
図4は本発明の傾斜検出装置の適用例を示す模式図である。
【0016】
この図において、21は橋脚、22は橋脚周りの防護工、23はその防護工22に取り付けられる無線送信装置を備える傾斜検出装置(センサ)、24は橋脚21に取り付けられ、その傾斜検出装置(センサ)からの出力情報を収集する無線受信装置、25は水面である。
このように、傾斜検出装置(センサ)23からの出力情報を無線受信装置24で収集することにより、橋脚周りの防護工22が流出しているか否かの変状を、的確に把握して、それに伴い防護工の措置を講じることができる。
【0017】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の土木構造物の傾斜検出装置は、橋脚の防護工の変状検知装置等として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示す土木構造物に取り付けられる傾斜検出装置の模式図である。
【図2】本発明の傾斜検出装置の動作を示す模式図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す傾斜検出装置の傾斜スイッチの構造を示す図である。
【図4】本発明の傾斜検出装置の適用例を示す図である。
【図5】従来の橋脚の防護工を示す写真である。
【図6】従来の橋脚の防護工が水面下にある場合の模式図である。
【図7】従来の傾斜検知装置の模式図である。
【符号の説明】
【0020】
1 球体
2 傾斜スイッチ装置
3,11 導電性台座
4 すり鉢状の表面
5,12 導電性球体
6,13 導電性カバー
7,14 錘体
7A,14A 絶縁部位
8,15 高粘性流体
9 土木構造物
11A 凹部
11B 平坦部
11C 窪み部
21 橋脚
22 橋脚周りの防護工
23 無線送信装置を備える傾斜検出装置(センサ)
24 無線受信装置
25 水面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図5】
6