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明細書 :作業員所在警戒システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4866746号 (P4866746)
公開番号 特開2008-176600 (P2008-176600A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年2月1日(2012.2.1)
公開日 平成20年7月31日(2008.7.31)
発明の名称または考案の名称 作業員所在警戒システム
国際特許分類 G08B  25/10        (2006.01)
H04W   4/04        (2009.01)
G08B  21/02        (2006.01)
FI G08B 25/10 B
H04B 7/26 E
G08B 21/02
請求項の数または発明の数 4
全頁数 31
出願番号 特願2007-009916 (P2007-009916)
出願日 平成19年1月19日(2007.1.19)
審査請求日 平成21年4月14日(2009.4.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】関 清隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100124682、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 泰
【識別番号】100104710、【弁理士】、【氏名又は名称】竹腰 昇
【識別番号】100090479、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 一
審査官 【審査官】谷治 和文
参考文献・文献 特開2006-338579(JP,A)
特開2005-348011(JP,A)
特開2006-270857(JP,A)
特開2006-318247(JP,A)
特開2004-254237(JP,A)
特開2006-139380(JP,A)
特開2002-367050(JP,A)
調査した分野 G08B 25/10
G08B 21/02
特許請求の範囲 【請求項1】
互いにマルチホップ通信によるアドホック通信(以下「近距離アドホック通信」という)が可能な複数の無線通信端末と、前記無線通信端末のアドホック通信よりも長距離のマルチホップ通信によるアドホック通信(以下「長距離アドホック通信」という)により互いに無線信号を中継伝送可能な複数の特定通信装置と、警報装置を具備した作業員所在警戒システムであって、
前記各無線通信端末が、
前記警報装置宛てに自機の識別情報を前記近距離アドホック通信によって定期的に送信する端末送信手段を備え、
前記各特定通信装置が、
前記無線通信端末から前記近距離アドホック通信によって送信された識別情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された識別情報を、当該識別情報の伝達経路とともに、前記長距離アドホック通信によって前記警報装置宛てに中継又は直接伝送する伝送手段と、
を備え、
前記警報装置が、
前記複数の無線通信端末それぞれの識別情報を記憶する記憶手段と、
前記近距離アドホック通信によって送信された前記無線通信端末の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段で前記識別情報を受信するのに要したホップ数が所定の上限ホップ数を超過たことを検出する第1のホップ数超過検出手段と、
前記長距離アドホック通信によって伝送された前記無線通信端末の識別情報及び伝達経路を受信する伝送受信手段と、
前記伝送受信手段で前記識別情報を受信するのに要したホップ数を、前記長距離アドホック通信に係るホップ数に重み付けをして算出し、この算出したホップ数が前記所定の上限ホップ数を超過したことを検出する第2のホップ数超過検出手段と、
前記第1及び第2のホップ数超過検出手段の何れかの検出に応じて所定の報知を行報知手段と、
を備えた作業員所在警戒システム。
【請求項2】
前記特定通信装置は、所定の危険エリアとされる場所に設置され
前記警報装置が、
前記伝送受信手段により前記識別情報が受信された場合に、当該識別情報の無線通信端末が危険エリアに接近している旨の報知を行う危険エリア端末接近報知手段、
を備えた請求項1に記載の作業員所在警戒システム。
【請求項3】
前記各特定通信装置が、
所定の接近警告信号を発信する接近警告信号発信手段を備え、
前記警報装置が、
前記接近警告信号発信手段により発信された接近警告信号を受信する接近警告信号受信手段と、
前記接近警告信号受信手段の受信に応じて自身が所定エリアに接近した旨の報知を行う自身接近報知手段と、
を備えた請求項1又は2に記載の作業員所在警戒システム。
【請求項4】
前記各無線通信端末が、
前記接近警告信号発信手段により発信された接近警告信号を受信する接近警告信号受信手段と、
前記接近警告信号受信手段の受信に応じて自身が所定エリアに接近した旨の報知を行う自身接近報知手段と、
を備えた請求項に記載の作業員所在警戒システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業員で作業活動をする際に作業員の所在に係る警戒に供される作業員所在警戒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
管理装置と携帯可能な無線端末とを用いた無線通信システムを用いて、管理範囲内において無線端末を携帯する者の所在を確認し、事故を未然に防ごうとする技術が知られている。
【0003】
例えば、GPS(Global Positioning System)により測位された現在の位置情報を管理装置に無線通信するセンサネットワーク機を海水浴客それぞれに携帯させ、管理装置で受信した各センサネットワーク機の現在位置が予め設定されている危険海域内にあるか否かを判定することで、水難を未然に防ごうとする技術がある(例えば、特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2005-348011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々な作業現場において複数の作業員でチームを編成して作業活動をする形態が見られる。例えば、鉄道線路の保線作業もその一つであり、複数の作業員に少なくとも一名の監督者(=チームリーダ)で一つのチームが編成され、所定の作業区間に沿って展開して鉄道施設の敷設・点検・整備を行う。
【0005】
こうしたチームによる作業活動を行う場合、特に保線作業のように比較的広範囲に作業員が展開するケースでは、監督者は作業員の安全確保のために各員の所在を常に把握しておく必要がある。そして監督者は、例えば作業事故が心配される危険エリアに作業員が接近した場合には注意を喚起し未然に事故を防ぎ、或いは作業員が遠く離れてしまわないようにチーム全体を指揮監督しなければならない。ほとんどの場合、監督者は目視によって各作業員の所在を把握しているが、作業区間を一望できない状況では監視位置を小まめに変えなければならず監督者の大きな負担となっていた。
【0006】
こうした監督者の負担を軽減することを考えた場合、前述の従来技術の適用が考えられる。しかし、例えば特許文献1の技術では、作業員が携帯することになるであろうセンサネットワーク機はGPS機能を搭載する必要があり、またGPS機能に係る電力を必要とする。そのため、センサネットワーク機の小型化・軽量化・稼働時間長期化が難しい。その一方で、保線作業のように比較的長時間におよぶ作業では、携帯する装置はできるだけ小型軽量で電池などの交換をできるだけ少なくしたいといった強い要望がある。また、特許文献1の技術のようにGPSで現在位置を検出することを必須とする方法では、GPSの精度や、トンネル内などのGPSを利用できない環境での利用に制限が生じる点も問題となる。
【0007】
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、GPSによる現在位置の検出機能を用いなくとも作業員の所在に係る警戒に利用できる警戒システムを実現することである。更に望むらくは、作業員が携帯する装置をできるだけ小型軽量に実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する第1の発明は、互いにマルチホップ通信によるアドホック通信が可能な複数の無線通信端末(例えば、図1の作業員端末100)及び警報装置(例えば、図1のリーダ端末300)を具備した作業員所在警戒システムであって、前記各無線通信端末が、前記警報装置宛てに自機の識別情報を前記アドホック通信によって定期的に送信する端末送信手段(例えば、図1の制御ユニット190、第1無線通信モジュール106、アンテナ110)を備え、前記警報装置が、前記複数の無線通信端末それぞれの識別情報を記憶する記憶手段(例えば、図1の制御ユニット390、ICメモリ304、図13の作業員端末登録データ372)と、前記アドホック通信によって前記無線通信端末の識別情報を受信する識別情報受信手段(例えば、図1の制御ユニット390、第1無線通信モジュール306、アンテナ310)と、前記識別情報受信手段により受信された識別情報と前記記憶手段に記憶されている識別情報とを定期的に照査し、受信されない識別情報の発生を検出する未受信検出手段(例えば、図1の制御ユニット390、図18のステップS100~S104)と、前記検出に応じて所定の報知を行う第1報知手段(例えば、図1のバイブレータ309、LCD316、イヤホン322、図18のステップS106)と、を備えた作業員所在警戒システムである。
【0009】
第1の発明によれば、無線通信端末はマルチホップ通信によるアドホック通信によって警報装置宛てに自機の識別情報を定期的に送信することができる。そして、警報装置側では、無線通信端末から受信した識別情報を記憶手段に記憶されている識別情報と定期的に照査し、受信されない識別情報の発生を検出して所定の報知をすることができる。
【0010】
例えば、作業員に無線通信端末を携行させ、警報装置を監督者であるチームリーダが所持すれば、作業員がアドホック通信できない位置に至ると、無線通信端末からは自機の識別情報を警報装置に送れなくなり、警報装置で自動的に報知がなされることになる。チームリーダは、報知によって作業員がチームから離脱状態になろうとしている或いはなったことが自動的に知らされるので、常に目視で作業員の所在を確認し続けなければならない従来に比べて、遙かに容易にチームの安全確保及びその担保ができるようになる。また、第1の発明によれば、無線通信端末にはGPS機能を必要としない。したがって、無線通信端末を小型軽量化することが容易になる。また、GPS機能が使えないトンネル内の保線作業などにも利用可能になる。
【0011】
第2の発明は、互いにマルチホップ通信によるアドホック通信が可能な複数の無線通信端末及び警報装置を具備した作業員所在警戒システムであって、前記各無線通信端末が、前記警報装置宛てに自機の識別情報を前記アドホック通信によって定期的に送信する端末送信手段を備え、前記警報装置が、前記複数の無線通信端末それぞれの識別情報を記憶する記憶手段と、前記アドホック通信によって前記無線通信端末の識別情報を受信する識別情報受信手段と、前記識別情報受信手段で前記識別情報を受信するのに要したホップ数が所定の上限ホップ数を超過して受信したことを検出するホップ数超過検出手段(例えば、図1の制御ユニット390、図18のステップS112)と、前記ホップ数超過検出手段の検出に応じて所定の報知を行う第2報知手段(例えば、図1の制御ユニット390、バイブレータ309、LCD316、イヤホン322、図18のステップS114)と、を備えた作業員所在警戒システムである。
【0012】
また、第3の発明は、前記警報装置が、前記識別情報受信手段で前記識別情報を受信するのに要したホップ数が所定の上限ホップ数を超過して受信したことを検出するホップ数超過検出手段と、前記ホップ数超過検出手段の検出に応じて所定の報知を行う第2報知手段と、を更に備えた第1の発明の作業員所在警戒システムである。
【0013】
マルチホップ通信では、有効通信距離が数m~10m程度の比較的近距離に限定される場合が多い。つまり、マルチホップ通信によって要したホップ数に有効通信距離を乗算すれば、発信元の無線局からの概ねの距離が把握できることになる。
【0014】
第2の発明及び第3の発明によれば、無線通信端末から送信された識別情報が、警報装置で受信されるまでに要したホップ数が所定の上限ホップ数を超過した場合にこれを検出することができる。つまり、超過が検出された識別信号を送信した無線通信端末が、概ね上限ホップ数にマルチホップ通信の有効通信距離を乗算した距離まで離れた状態であると判断できる。したがって、警報装置が超過検出に応じて所定の報知を行うことで、超過が検出された識別信号を送信した無線通信端末を所持する作業者が遠く離れていることを報知するといったことができる。更に、システムで使用する無線通信の数に近い上限ホップ数を適当に設定することによって、チームが広く分散した状態にあることを知らせることもできる。
【0015】
第4の発明は、互いに無線信号を中継伝送可能な特定通信装置(例えば、図1の中継装置200)であって、前記無線通信端末の端末送信手段によって送信される識別情報を受信することにより、当該無線通信端末の接近を検出する接近検出手段(例えば、図1の第1無線通信モジュール206、アンテナ210、制御ユニット290、図17のステップS70)と、前記接近検出手段により受信された識別情報を含む接近検出信号を、前記アドホック通信より長距離の無線通信により前記警報装置宛てに中継又は直接伝送する接近検出信号伝送手段(例えば、図1の第2無線通信モジュール207、アンテナ210、制御ユニット290、図17のステップS72~S84)とを備え、所定の危険エリアとされる場所に設置される特定通信装置を複数具備し、前記警報装置が、前記接近検出信号伝送手段によって伝送された接近検出信号を受信する接近検出信号受信手段(例えば、図1の第2無線通信モジュール307、アンテナ310)と、前記接近検出信号受信手段による接近検出信号の受信に応じて所定の報知を行う第3報知手段(例えば、図1の制御ユニット390、バイブレータ309、LCD316、イヤホン322、図18のステップS124~S126)と、を備えた第1~第3の何れかの発明の作業員所在警戒システムである。
【0016】
第4の発明によれば、第1~第3の何れかの発明と同様の効果を奏するとともに、互いに無線信号を中継伝送可能な特定通信装置によって、無線通信端末の端末送信手段によって送信される識別情報を受信することにより当該無線通信端末の接近を検出した場合に、警報装置に宛てて接近が検出された無線通信端末の識別情報を含む接近検出信号を送信することができる。そして、警報装置では、接近検出信号を受信した場合に所定の報知を実行することができる。
【0017】
つまり、例えば、各作業員がそれぞれ無線通信を携行し、警報装置を監督者であるチームリーダが携行していれば、作業員が危険エリアに設置された特定通信装置に接近したことをチームリーダに報知することができることになる。
【0018】
また、特定通信装置は、接近検出信号を無線通信端末のアドホック通信よりも長距離の無線通信によって警報装置宛てに中継又は直接伝送できるので、無線通信端末の配置条件に影響されることなく警報装置に接近検出信号を送信でき、確実に第3報知手段による報知を実現できる。
【0019】
第5の発明は、互いに無線信号を中継伝送可能な特定通信装置であって、前記無線通信端末の前記アドホック通信によって送信された識別情報を受信する受信手段(例えば、図1の第1無線通信モジュール206、アンテナ210)と、前記受信手段により受信された識別情報を、当該識別情報の伝達経路とともに、前記アドホック通信より長距離の無線通信により前記警報装置宛てに中継又は直接伝送する伝送手段(例えば、図1の第2無線モジュール207、図21のステップS72~S84)と、を備えた特定通信装置を複数具備し、前記警報装置が、前記特定通信装置の伝送手段により伝送された識別情報及び伝達経路を受信する伝送受信手段(例えば、図1の第2無線通信モジュール307、アンテナ310)と、前記伝送受信手段により受信された識別情報の伝達経路が所定の遠距離条件を満たしていることを検出する遠距離条件検出手段(例えば、図1の制御ユニット390、図22のステップS108~S112)と、前記遠距離条件検出手段の検出に応じて所定の報知を行う第4報知手段(例えば、図1の制御ユニット390、バイブレータ309、LCD316、イヤホン322、図22のステップS114)と、を備えた第1~第3の何れかの発明の作業員所在警戒システムである。
【0020】
また、第6の発明は、前記各特定通信装置が、前記無線通信端末の前記アドホック通信によって送信された識別情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された識別情報を、当該識別情報の伝達経路とともに、前記アドホック通信より長距離の無線通信により前記警報装置宛てに中継又は直接伝送する伝送手段と、を備え、前記警報装置が、前記特定通信装置の伝送手段により伝送された識別情報及び伝達経路を受信する伝送受信手段と、前記伝送受信手段により受信された識別情報の伝達経路が所定の遠距離条件を満たしていることを検出する遠距離条件検出手段と、前記遠距離条件検出手段の検出に応じて所定の報知を行う第4報知手段と、を備えた第4の発明の作業員所在警戒システムである。
【0021】
第5及び第6の発明によれば、特定通信装置によって、受信手段により受信された識別情報を、当該識別情報の伝達経路とともに、無線通信端末のアドホック通信よりも長距離の無線通信によって警報装置宛てに中継又は直接伝送される。そして、これを受信した警報装置では、受信された識別情報の伝達経路が所定の遠距離条件を満たしていることを検出した場合に、第4報知手段によって所定の報知がなされる。したがって、例えば、作業員が無線通信端末を所持し、警報装置をチームリーダが所持していれば、警報装置が遠距離条件を満たす程に遠く離れた作業員の存在を自動的に検知し報知することとなる。
また、特定通信装置を介して無線通信端末のアドホック通信によって送信された識別情報を受信して警報装置に中継することが出来るので、他の無線通信端末の配置条件に影響されずに確実に識別情報を警報装置に届けることができる。
【0022】
第7の発明は、前記各特定通信装置が、所定の接近警告信号を発信する接近警告信号発信手段(例えば、図1の第1無線通信モジュール206、図17のステップS84)を備え、前記警報装置が、前記接近警告信号発信手段により発信された接近警告信号を受信する接近警告信号受信手段(例えば、図1の第1無線通信モジュール306)と、前記接近警告信号受信手段の受信に応じて自身が所定エリアに接近した旨の報知を行う自身接近報知手段(例えば、図1の制御ユニット390、バイブレータ309、LCD316、イヤホン322、図18のS116~S118)と、を備えた第4~第6の何れかの発明の作業員所在警戒システムである。
【0023】
第7の発明によれば、第4~第6の何れかの発明と同様の効果を奏するとともに、警報装置が特定通信装置から発信された接近警告信号を受信した場合に、自身が所定エリアに接近した旨の報知がなされる。したがって、例えば、警報装置をチームリーダが携行していれば、チームリーダ自身の危険エリアへの接近を警告し安全を確保することができる。
【0024】
第8の発明は、前記各無線通信端末が、前記接近警告信号発信手段により発信された接近警告信号を受信する接近警告信号受信手段(例えば、図20における作業員端末100Bの無線通信モジュール392)と、前記接近警告信号受信手段の受信に応じて自身が所定エリアに接近した旨の報知を行う自身接近報知手段(例えば、図20における作業員端末100Bの制御ユニット390、バイブレータ309、LCD316、イヤホン322、図25のステップS36~S38)と、を備えた第7の発明の作業員所在警戒システムである。
【0025】
第8の発明によれば、第7の発明と同様の効果を奏するとともに、特定通信装置から発信された接近警告信号を受信した場合に、各無線通信端末自身が危険エリアに接近した旨の報知が行われる。したがって、例えば、無線通信端末を作業者が携行すればチームリーダによる注意喚起と、各員の無線通信端末の自身接近報知手段による報知との2重の警告によってより確実に危険エリアからの離脱を促すことができる。
【0026】
第9の発明は、前記各特定通信装置が、自身の識別情報を前記警報装置宛てに定期的に中継又は直接伝送する特定通信装置識別情報伝送手段(例えば、図1の第2無線通信モジュール207、図17のステップS84)を備え、前記警報装置が、前記各特定通信装置それぞれの識別情報を記憶する特定通信装置識別情報記憶手段(例えば、図1のICメモリ304、図12の中継装置登録データ370)と、前記特定通信装置識別情報伝送手段により伝送された識別情報と前記特定通信装置識別情報記憶手段に記憶されている識別情報とを定期的に照査し、受信されない識別情報の発生を検出する特定通信装置識別情報未受信検出手段(例えば、図1の制御ユニット390、図18のステップS120~S122、S128)と、前記特定通信装置識別情報未受信検出手段の検出に応じて当該検出された識別情報の特定通信装置に支障がある旨の報知を行う支障発生装置報知手段(例えば、図1の制御ユニット390、バイブレータ309、LCD316、イヤホン322、図18のステップS130)と、を備えた第4~第8の何れかの発明の作業員所在警戒システムである。
【0027】
第9の発明によれば、第4~第8の何れかの発明と同様の効果を奏するとともに、警報装置が、特定通信装置から定期的に受信されない識別情報を検出して、当該検出された識別情報の特定通信装置に支障がある旨の報知がなされることとなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、無線通信端末はマルチホップ通信によるアドホック通信によって警報装置宛てに自機の識別情報を定期的に送信される。そして、警報装置側では、無線通信端末から受信した識別情報を記憶手段に記憶されている識別情報と定期的に照査し、受信されない識別情報の発生を検出して所定の報知がなされる。
【0029】
また、無線通信端末から送信された識別情報が、警報装置で受信されるまでに要したホップ数が所定の上限ホップ数を超過した場合にこれを検出する。つまり、超過が検出された識別信号を送信した無線通信端末が、上限ホップ数にマルチホップ通信の有効通信距離を乗算した距離まで離れた状態であることを報知することができる。
【0030】
したがって、例えば、無線通信端末を作業員に所持・携帯させ、警報装置を監督者であるチームリーダに所持・携帯させれば、GPS機能を用いなくともチームリーダは作業員が所在不明になるのを未然に防ぎ、作業チームの安全を容易に確保することができるようになる。また、本発明では無線通信端末にGPS機能を設けない分だけ無線通信端末を小型軽量化することができ、バッテリーの消費を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
〔第1実施形態〕
以下、本発明を適用した第1実施形態として、鉄道の保線作業に従事する保線作業チームで用いる場合の作業員所在警戒システムを例に挙げて説明する。
【0032】
[システムの構成]
図1は、本実施形態で用いられる作業員所在警戒システムの構成を説明する図である。同図に示すように、本実施形態における作業員所在警戒システムは、作業員端末100と、中継装置200と、リーダ端末300とを具備する。
【0033】
作業員端末100は、作業チームで保線作業を行う作業員が所持する無線通信端末装置であって、作業チームの作業員数と同数だけ使用される。作業員端末100は、樹脂ケース101内に、CPU(中央演算装置)102や各種ICメモリ104、第1無線通信モジュール106を搭載した制御ユニット190と、バッテリー108とを内蔵する。また、その外装部には、無線通信用のアンテナ110と、パソコン等の外部情報機器とデータ伝送に用いられるケーブルジャック112を備える。
【0034】
第1無線通信モジュール106は、有効通信距離が数m~10m程度となる近距離無線通信(第1無線)によって、有効通信距離内に存在する同種の無線局とアドホックに通信接続してマルチホップ通信を行う機能を備える。例えば、Bluetooth(登録商標)や、ZigBee(登録商標)などの通信モジュールを用いることで実現できる。
【0035】
ケーブルジャック112は、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394などの規格に対応した伝送ケーブルの接続端子である。
【0036】
制御ユニット190は、ケーブルジャック112で接続された伝送ケーブルを介してパソコンなどの外部情報装置と接続し、外部情報装置からICメモリ104に自在にプログラムやデータを書き込むことが可能に構成されている。電源スイッチ114がONにされると、制御ユニット190はICメモリ104に記憶されているプログラム及びデータに基づいて端末各部を制御し、作業員端末100を自動的に起動させる。そして、無線通信モジュール106によってマルチホップ通信可能なアドホック通信を確立し、自身の識別情報(以下、「作業員端末ID」と言う。)を定期的にリーダ端末300に宛てて送信する制御と、自身の作業員端末IDを定期的に中継装置200に送信する制御とを実行する。
【0037】
中継装置200は、固定式の特定通信装置であって、作業チームが保線作業する区域内の危険エリア内又は危険エリアの近傍に予め配置される。中継装置200は、樹脂ケース201内に、CPU(中央演算装置)202や各種ICメモリ204、第1無線通信モジュール206並びに第2無線通信モジュール207を搭載した制御ユニット290を内蔵する。また、その外装部には、無線通信用のアンテナ210と、パソコン等の外部情報機器とデータ伝送に用いられるケーブルジャック212とを備える。尚、電源は、コンセントなどの外部電源から供給を受ける構成や、バッテリーを内蔵する構成を適宜組み合わせる。
【0038】
第1無線通信モジュール206は、有効通信距離が数m~10m程度となる近距離無線通信によって、有効通信距離内に存在する同種の無線局とアドホックに通信接続してマルチホップ通信を行う機能を備える。例えば、Bluetooth(登録商標)や、ZigBee(登録商標)などの通信規格に基づく通信モジュールを用いることで実現できる。
【0039】
第2無線通信モジュール207は、有効通信距離が100m~150m程度に及ぶ長距離無線通信(第2無線)によって、有効通信距離内に存在する同種の無線局とアドホックに通信接続してマルチホップ通信を行う機能を備える。例えば、無線LANなどの無線通信モジュールによって実現できる。
【0040】
尚、無線の有効通信距離を切換可能な通信モジュールを用いる場合には、第1無線通信モジュール206及び第2無線通信モジュール207を同一の無線モジュールで実現する構成としても良いのは勿論である。その場合、以下の説明で第1無線通信モジュール206によって送信する旨記載されているところでは、無線の出力を「小」に切り換えてから送信すると読み替えれば良い。同様に第2無線通信モジュール207によって送信する旨記載されているところでは、無線の出力を「大」に切り換えてから送信すると読み替えれば良い。
【0041】
制御ユニット290は、ケーブルジャック212で接続された伝送ケーブルを介してパソコンなどの外部情報装置と接続し、外部情報装置からICメモリ204に自在にプログラムやデータを書き込むことが可能に構成されている。電源スイッチ214がONにされると、制御ユニット290はICメモリ204に記憶されているプログラム及びデータに基づいて装置全体を制御し、中継装置200を自動的に起動させる。そして、第1無線通信モジュール206及び第2無線通信モジュール207によって他の無線局とマルチホップ通信可能なアドホック通信を確立し、自身の識別情報(以下、「中継装置ID」と言う。)を定期的にリーダ端末300に宛てて送信する制御と、第1無線通信モジュール206による無線通信で1ホップでのアドホック通信可能に接続した作業員端末100の作業員端末IDをリストアップした接続端末リストを作成し、リーダ端末300に送信する制御とを実行する。
【0042】
リーダ端末300は、作業チームの作業全体の指揮監督をするリーダが所持する無線通信端末装置であって本システムにおける警報装置である。基本的には一台だけ用いられるが、正・副のリーダで指揮監督する場合には複数台用いる構成としても良い。
【0043】
そしてリーダ端末300は、樹脂ケース301内に、CPU(中央演算装置)302や各種ICメモリ304、第1無線通信モジュール306並びに第2無線通信モジュール307を搭載した制御ユニット390と、バッテリー308と、バイブレータ309とを内蔵する。また、樹脂ケース301の外装部には、無線通信モジュール306用のアンテナ310と、ケーブルジャック312と、電源スイッチ314と、各種情報を画像表示するためのLCD(液晶ディスプレイ)316と、操作入力をするための選択キー318及びプッシュボタンキー320と、イヤホン322を接続するイヤホンジャック324とを備える。
【0044】
第1無線通信モジュール306は、有効通信距離が数m~10m程度となる近距離無線通信によって、有効通信距離内に存在する同種の無線局とアドホックに通信接続してマルチホップ通信を行う機能を備える。例えば、Bluetooth(登録商標)や、ZigBee(登録商標)などの通信モジュールを用いることで実現できる。
【0045】
第2無線通信モジュール307は、有効通信距離が100m~150m程度に及ぶ長距離無線通信によって、有効通信距離内に存在する同種の無線局とアドホックに通信接続してマルチホップ通信を行う機能を備える。例えば、無線LANなどの無線通信モジュールによって実現できる。
【0046】
尚、無線の有効通信距離を切換可能な通信モジュールを用いる場合には、第1無線通信モジュール306及び第2無線通信モジュール307を同一の無線モジュールで実現する構成としても良いのは勿論である。その場合、以下の説明で第1無線通信モジュール306によって送信する旨記載されているところでは、無線の出力を「小」に切り換えてから送信すると読み替えれば良い。同様に第2無線通信モジュール307によって送信する旨記載されているところでは、無線の出力を「大」に切り換えてから送信すると読み替えれば良い。
【0047】
制御ユニット390は、ケーブルジャック312で接続されたパソコンなどの外部装置から搭載するICメモリ304に自在にプログラムやデータを書き込むことが可能に構成されており、電源スイッチ314がONにされると自動的に起動する。そして、ICメモリ304に記憶されているプログラム及びデータに基づいて端末全体を制御し、第1無線通信モジュール306及び第2無線通信モジュール307によって他の無線局とマルチホップ通信可能なアドホック通信を確立し、作業員端末100からの作業員IDの受信、中継装置200からの近距離/長距離それぞれでの中継装置IDの受信、中継装置200からの接続端末リストの受信に係る制御を実行する。更に、作業員IDの受信履歴に基づく作業員端末100を所持する作業員の保線作業チームからの離脱状態であることを警告する報知出力、保線作業チームの広がりが大きくなり分散状態であることを警告する報知出力、中継装置200から受信した接続端末リストに基づく作業員の危険エリアへの接近を警告する報知出力、リーダ端末300を所持するリーダ自身の危険エリアへの接近を警告する報知出力、といった各種の報知制御を実行する。
【0048】
図2は、本実施形態の使用例を示す概念図である。同図の例では、保線作業チームは5人の作業員2a~2eと、1人のリーダ4から構成されており、鉄道の線路6に沿って展開して保線作業を行う様子を模式化している。線路6は保線作業のため列車は通らないようにされているが、併設されている別の線路8には列車が通る。
【0049】
作業員2a~2eは、それぞれ作業員端末100a~100eを携行し、リーダ4はリーダ端末300を携行する。作業員端末100a~100e及びリーダ端末300の近距離無線の有効通信範囲は、送信元となる装置を中心とする破線円又は破線弧で示されている。互いの有効通信範囲に入っていれば双方向のデータ通信が可能になる。また、送信元の有効通信範囲に受信する側が入っており、受信する側の有効通信範囲に送信元が入っていない場合には、送信元から受信側へのデータ送信はできるが受信側からの送信はできない。
【0050】
作業開始に先立って、作業区間における危険エリア近傍に複数台の中継装置200(200a,20b,・・・)が間隔Lをおいて配置される。図2(a)の例では、線路8には時折列車が通過するので、これが危険エリアとされ、中継装置200は線路8から安全距離だけ線路6方向に離した位置に配置される。その他、危険エリアは作業区間に配置されている施設や環境によって適宜設定可能である。例えば、分岐器やクロッシング、変圧器などの敷設場所が考えられる。
【0051】
中継装置200の第1無線通信モジュール206による近距離無線の有効通信範囲は、図2(a)において当該装置を中心とする破線円又は破線弧で示されている。間隔Lは、作業員端末100a~100e及びリーダ端末300の近距離無線による有効通信距離rの4倍以下となるように配置される。また、中継装置200は、図2(b)に示すように、中継装置200の第2無線通信モジュール207による第2の無線の有効通信範囲(図中一点破線)で単独の中継装置、又は複数の中継装置の有効通信範囲によって作業区間全体を覆うことができるように考慮されて配置される。
【0052】
図3は、本実施形態における作業員端末100を所持する作業員2が保線作業チームから離脱した状態であることを警告する制御に係る原理を説明するための概念図である。尚、図を見易くするために図2における作業員2a~2e及びリーダ4の図示を省略している。また、近距離無線の有効通信範囲は説明上必要な端末についてのみ付記し、その他の端末については省略している。
【0053】
図3(a)に示すように、作業員端末100a~100eは、それぞれ近距離無線を用いて定期的に、リーダ端末300宛に自身の作業員端末IDを送信する。以下、この通信を「ID定期通信」と言うことにする。同図のように、作業員及びリーダが互いに近くで作業しているような状況では、作業員端末100a~100e及びリーダ端末300は、相互に近距離無線の有効通信範囲に存在するのでマルチホップ通信によりアドホックに自動的に無線通信接続する。従って、作業員端末100a~100eが送信するID定期通信は、マルチホップ通信によってリーダ端末300へ中継される。例えば、作業員端末100aのID定期通信は、作業員端末100a→作業員端末100b→作業員端末100d→リーダ端末300の順にホップされてリーダ端末300で受信される。リーダ端末300は、自身宛のID定期通信を受信すると、作業員端末100a~100eそれぞれについてID定期通信を受信した受信時刻の履歴を記憶する。
【0054】
ここで、図3(b)に示すように、保線作業の位置が図の右側に移ったが、図の左端の作業員が作業に夢中になり他の作業員やリーダから離れてしまった状況になったとする。この状況では、作業員端末100b~100eは、図3(a)と同様に相互に近距離無線の有効通信範囲に存在し続けているので、これらが送信するID定期通信はリーダ端末300で受信することができる。一方、作業員端末100aの近距離無線の有効通信範囲には、最寄りの作業員端末100bですら存在しない。このため、作業員端末100aが送信したID定期通信はリーダ端末300に届けられない。リーダ端末300では、上述のように作業員端末100a~100eそれぞれについてID定期通信を受信した受信時刻の履歴を記憶しているが、作業員端末100aについては通信時刻の更新が成されないことになる。つまり、ここで作業員端末100aがチームから遠く離れて離脱した状態にあることが分かる。そこで、リーダ端末300では、一定時間以上ID定期通信の受信時刻が更新されていない作業員端末100を抽出した場合、つまり、受信されない識別情報の発生を検出した場合、所定の報知出力を行い警告を発する。例えば、LCD316で作業員の行方不明を報知する表示、バイブレータ309による振動の発生、及びイヤホン322への警告音の出力によって警報を発する。よって、リーダは作業員の位置を再確認し、該当作業員へ声をかけて注意を喚起し、監視する位置を適切に変更するなどして不要な事故を未然に防ぐように行動することが可能になる。
【0055】
尚、作業員端末100が故障或いはバッテリー切れなどによって正常に作動しない場合であっても、一定時間以上ID定期通信の受信時刻が更新されていない作業員端末として抽出されるので、作業員端末100の故障警報としての役割も果たすことができる。
【0056】
図4は、本実施形態における保線作業チームの広がりが大きくなり分散状態であることを警告する制御に係る原理を説明するための概念図である。尚、図を見易くするために図2における作業員2a~2e及びリーダ4の図示を省略している。また、近距離無線の有効通信範囲は説明上必要な端末についてのみ付記し、その他の端末については省略している。
【0057】
図4(a)に示すように、作業員端末100a~100eによるID定期通信は、マルチホップ通信によってアドホックに無線接続された無線局間で受け渡しされるようにしてリーダ端末300に届けられる。尚、無線局間の受け渡し順番、つまりマルチホップ通信の経路は公知のマルチホップ通信技術によって最小ホップ数となる経路が自動的に選択されるものとする。
【0058】
ID定期通信には経路に関する情報として、ホップする際に経由した作業員端末100の作業員端末IDが付加される。ID定期通信がリーダ端末300で受信された後、この付加された作業員端末IDを数えることによって、当該通信を受信するまでに要したホップ回数を知り、近距離無線の有効通信距離から当該通信の送信先の作業員端末100までの距離を概ね知ることが可能になる。
【0059】
本実施形態では、リーダ端末300がID定期通信に要する上限ホップ数を予め記憶している。同図の例では、作業員端末100は5台用いられているので上限ホップ数を「4」とする。そして、リーダ端末300は、ID定期通信を受信する毎に当該通信のホップ回数を数え、上限ホップ数「4」以上である場合に保線作業チームの作業員の配置が伸びきった分散状態にあることを報知する。尚、上限ホップ数は警告を発する状態をどの程度の分散度合にするかによって適宜設定することができる。
【0060】
例えば図4(a)のように、概ね作業員が近くで作業している場合には、最短経路でホップされると作業員端末100の総数よりも少ないホップ回数でID定期通信を受信することが可能である。保線作業チームのうち最も左端にある作業員端末100aのID定期通信でもホップ回数は「3」となるので、警告は発せられない。
ところが、図4(b)のように、保線作業チームが線路6に沿って長くなるように作業員が比較的離れた状態では、作業員端末100aのID定期通信は他の全作業員端末100b~100e全てを介したホップ回数「5」でリーダ端末300に受信されることになる。ここで、リーダ端末300では、上限ホップ数「4」が設定されているので作業員端末100aからのID定期通信が上限ホップ数以上になるので、近距離無線通信によるマルチホップ通信が可能ではあるが、全作業員端末からID定期通信を受信可能な長さを超えそうなほど保線作業チームが分散状態にあると判断できる。
【0061】
この状態で、リーダ端末300がLCD316でチーム分散を報知する表示、バイブレータ309による振動の発生、及びイヤホン322からの警告音の出力によって警報を発することよって、リーダは作業員の位置を再確認し、該当作業員へ声を掛けて保線作業チームの体制を立て直すといった対応をとることが可能になり、不要な事故を未然に防ぐことができる。
【0062】
図5及び図6は、本実施形態における作業員が危険エリアへ接近したことを警告する制御に係る原理を説明するための概念図である。尚、図を見易くするために図2における作業員2a~2e及びリーダ4の図示を省略している。また、近距離無線の有効通信範囲は説明上必要な端末についてのみ付記し、その他の端末については省略している。
【0063】
作業員端末100a~100eは、それぞれ近距離無線を用いて、定期的に中継装置200a、200b、200cそれぞれ宛に自身の作業員端末IDを、最大ホップ数「1」に限定して送信する。以下、この通信を「中継装置向け通信」と言うことにする。
【0064】
図5に示すように、作業員が中継装置200a、200b、200cから破線円で示す近距離無線の有効通信距離より遠くで作業している場合には、作業員端末100a~100eから送信される中継装置向け通信は、中継装置200a、200b、200cには届かない。そもそも中継装置200は作業区間における危険エリア近傍に配置される。従って、中継装置200a、200b、200cに中継装置向け通信が届かないということは、それだけ作業員は危険エリアから離れていると判断できるので、警告は発する必要はない。
【0065】
一方、作業員が近距離無線の有効通信距離内に中継装置200へ接近すると、中継装置向け通信が中継装置200に受信される状態となり、それだけ作業員が危険エリアに接近したと判断できることになる。例えば図6の例では、図中左端の作業員が中継装置200aに接近している。作業員端末100aの中継装置向け通信は、近距離無線の有効通信範囲内に存在する中継装置200aでのみ受信されるが、同有効通信範囲内には存在しない中継装置200b,200cでは受信されない。
【0066】
中継装置200aは、受信した中継装置向け通信の送信元の作業員端末IDを、第2無線通信モジュール207でリーダ端末300に送信する。以下、この通信を「接続端末リスト通信」ということにする。
【0067】
第2無線通信モジュール207による第2無線の有効通信範囲は100m~150m程度有り、作業区域を広くカバーできるように設定されているので、リーダ端末300は第2無線の有効通信範囲内(図中一点破線弧の内側)に存在し常時接続端末リスト通信を受信することができる。そして、リーダ端末300は、中継装置200aから接続端末リスト通信を受信し、接続端末リスト通信に含まれる作業員端末IDに対応する作業員が危険エリアに接近していることを警告する報知出力をする。例えば、LCD316で作業員の危険エリアへの接近を報知する表示、バイブレータ309による振動の発生、及びイヤホン322からの警告音の出力によって警報を発する。これによって、リーダは作業員の位置を再確認し、該当作業員へ声を掛けて不要な事故を未然に防ぐことができる。
【0068】
更に、予め中継装置200の配置位置に関する情報を設定しておけば、何れの中継装置200から危険エリアに接近した作業員端末IDを受信したかを判定することによって、どの危険エリアに接近しているかも知ることが可能になる。
【0069】
尚、同図の例では、中継装置200aから1ホップでリーダ端末300に第1無線によって接続した作業員端末100の作業員端末IDを送信しているが、中継装置200bなど他の中継装置とのマルチホップ通信によってリーダ端末300に届けられるケースもある。
【0070】
図7は、本実施形態におけるリーダが危険エリアへ接近したことを警告する制御に係る原理を説明するための概念図である。尚、図を見易くするために図2における作業員2a~2e及びリーダ4の図示を省略している。また、近距離無線の有効通信範囲は説明上必要な端末についてのみ付記し、その他の端末については省略している。
【0071】
中継装置200a,200b,200cは、第1無線通信モジュール206を用いてリーダ端末300を送信先にして自身の識別情報(以下「中継装置ID」と言う。)を最大ホップ数「1」で送信する。以下、この接近警告信号の発信となる通信を「接近警報通信」と言うことにする。リーダ端末300の第1無線モジュール306の有効通信範囲と、中継装置の第1無線通信モジュール206の有効通信範囲が重ならないほど離れていれば、接近警報通信は受信されないので、リーダ端末300は危険エリアに接近していないと判断できるのでなんら警告は報知されない。一方、リーダ端末300が中継装置200からの接近警報通信を受信したならば、それだけ危険エリアに接近したと判断することができることになる。例えば、図7の例では、リーダ端末300は中継装置200cに接近している。リーダ端末300は、中継装置200cからの接近警報通信を受信できるようになる。そして、受信した場合には自身が危険エリアに接近したことを警告する報知出力をする。例えば、LCD316で自身の危険エリアへの接近を報知する表示、バイブレータ309による振動の発生、及びイヤホン322からの警告音の出力によって警報を発する。よって、危険エリアから離れるなどの対処をすることで、事故を未然に防ぐことが可能になる。
【0072】
[機能ブロックの説明]
次に、上述の原理に基づく各種の報知出力を可能にする機能構成について説明する。
図8は、本実施形態における作業員端末100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように、作業員端末100は、無線通信部140と、処理部150と、記憶部160とを備える。
【0073】
無線通信部140は、無線通信の受信を行うための受信部142と、無線通信の送信を行うための第1送信部144とを備え、有効通信距離数m~10m程度の第1無線による送受信を実現する。本実施形態では、無線通信部140は図1の無線通信モジュール106とアンテナ110に該当する。
【0074】
処理部150は、例えばマイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、作業員端末100の各機能部との間でデータの入出力を行うとともに、記憶部160に記憶されているプログラムやデータに従って種々の演算処理を実行して作業員端末100の各部の動作を制御する。本実施形態では、図1の制御ユニット190がこれに該当する。
【0075】
記憶部160は、例えばICメモリや、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカードといった情報記憶媒体によって実現され、コンピュータが読み取り可能な情報を記憶する。本実施形態では、図1の制御ユニット190に搭載されたICメモリ104がこれに該当する。
【0076】
記憶部160は、プログラムとしては、作業員端末100のシステムプログラムに当る作業員端末制御プログラム162と、第1通信制御プログラム164を記憶している。
第1通信制御プログラム164には、無線通信部140でアドホック通信によるマルチホップ通信を実現するための制御やデータ変換処理、マルチホップの経路選定処理、マルチホップの経路に関する情報を他の無線局と交換する処理などを実行するためのプログラムとデータが格納されており、公知の近距離無線技術の規格を適宜用いることで実現できる。
【0077】
また、記憶部160は、データとして、当該作業員端末100自身の個体識別情報である作業員端末ID170と、リーダ端末300の個体識別情報であるリーダ端末ID172と、中継装置200の個体識別情報である中継装置ID174と、ルート情報176を記憶している。作業員端末ID170、リーダ端末ID172及び中継装置ID174は、作業員端末100を使用する前に、予め設定・記憶されている。
【0078】
ルート情報176は、マルチホップ通信可能なアドホック通信によって用いられるマルチホップの経路に関する情報を格納する。第1通信制御プログラム164を実行することによって他の無線局と交換された情報が格納される。
【0079】
図9は、本実施形態における中継装置200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように、中継装置200は、無線通信部240と、処理部250と、記憶部260とを備える。
【0080】
無線通信部240は、無線通信を受信するための受信部242と、有効通信距離が数m~10m程度の比較的近距離な第1の無線通信による送信を行うための第1送信部244と、有効通信距離が100m~150m程度の第2の無線通信による送信を行うための第2送信部246とを備え、所定の規格に則った無線の送受信を実現する。本実施形態では、無線通信部240は図1のアンテナ210、第1無線通信モジュール206、第2無線通信モジュール207に該当する。
【0081】
処理部250は、例えばマイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、中継装置200の各機能部との間でデータの入出力を行うとともに、記憶部260に記憶されているプログラムやデータに従って種々の演算処理を実行して中継装置200の各部の動作を制御する。本実施形態では、図1の制御ユニット290がこれに該当する。
【0082】
記憶部260は、例えばICメモリや、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカードといった情報記憶媒体によって実現され、コンピュータが読み取り可能な情報を記憶する。本実施形態では、図1の制御ユニット290に搭載されたメモリ204がこれに該当する。
【0083】
記憶部260は、プログラムとしては、中継装置200のシステムプログラムに当る中継装置制御プログラム262と、処理部250に第1送信部244による第1の無線通信を実現させるための第1通信制御プログラム264と、処理部250に第2送信部246による第2の無線通信を実現させるための第2通信制御プログラム266を記憶している。
【0084】
第1通信制御プログラム264及び第2通信制御プログラム266には、無線通信部240でアドホック通信によるマルチホップ通信を実現するための制御やデータ変換処理、マルチホップの経路選定処理、マルチホップの経路に関する情報を他の無線局と交換する処理などを実行するためのプログラムやデータが格納されている。前者は、例えば公知の近距離無線技術の規格を適宜用いることで実現できる。また後者は、例えば公知の無線LAN技術の規格を適宜用いることで実現できる。
【0085】
また、記憶部260は、データとして、当該中継装置200の自身の個体識別情報である中継装置ID270と、リーダ端末300の個体識別情報であるリーダ端末ID272と、接続端末リストデータ274と、ルート情報276とを記憶している。中継装置ID270、リーダ端末ID272は、中継装置200を使用する前に、予め設定・記憶されている。
【0086】
接続端末リストデータ274は、例えば図10に示すように、第1送信部244によって自身宛(=自身の中継装置IDが送信先IDに設定されている)の中継装置向け通信の送信元となっている作業員端末100の作業員端末IDを接続中端末ID274aとして格納し、これに対応づけて当該中継装置向け通信の受信時刻274bを対応づけて登録している。初期状態では接続端末リストデータ274は生成されていないか、何も登録されていない状態である。また、処理部250によって、一定時間以上継続的に中継装置向け通信を受信しなかった作業員端末IDの登録が抹消される。つまり、接続端末リストデータ274に登録されている作業員端末IDは、近距離無線の有効通信範囲に入るほど当該中継装置200に近づき、一定時間以上継続的にその範囲内に存在する作業員端末100を示している。
【0087】
ルート情報276は、マルチホップ通信に用いられるマルチホップの経路に関する情報を格納する。第1通信制御プログラム264や第2通信制御プログラム266を実行することによって他の無線局と交換された情報が格納される。
【0088】
図11は、本実施形態におけるリーダ端末300の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように、リーダ端末300は、無線通信部340と、処理部350と、操作入力部352と、警報部354と、記憶部360とを備える。
【0089】
無線通信部340は、無線通信を受信するための受信部342と、有効通信距離が数m~10m程度の比較的近距離な第1の無線通信による送信を行うための第1送信部344と、有効通信距離が100m~150m程度の第2の無線通信による送信を行うための第2送信部346とを備え、所定の規格に則った無線の送受信を実現する。本実施形態では、無線通信部340は図1のアンテナ310、第1無線通信モジュール306、第2無線通信モジュール307に該当する。
【0090】
処理部350は、例えばマイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、リーダ端末300の各機能部との間でデータの入出力を行うとともに、記憶部360に記憶されているプログラムやデータに従って種々の演算処理を実行してリーダ端末300の各部の動作を制御する。本実施形態では、図1の制御ユニット390がこれに該当する。
【0091】
操作入力部352は、例えばアナログレバーやトラックパッド、マウス、トラックボール、タッチパネルによって実現される。図1の方向キー318やプッシュボタン320がこれに該当する。
【0092】
警報部354は、画像表示素子や振動発生素子、放音素子およびそれらのドライバ回路などによって実現され、リーダ端末300を携行する者に種々の警告を報知する。図1のLCD316、バイブレータ309、イヤホン322、イヤホンジャック324がこれに該当する。
【0093】
記憶部360は、例えばICメモリや、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカードといった情報記憶媒体によって実現され、コンピュータが読み取り可能な情報を記憶する。本実施形態では、図1の制御ユニット390に搭載されたメモリ304がこれに該当する。
【0094】
記憶部360は、プログラムとしては、リーダ端末300のシステムプログラムに当るリーダ端末制御プログラム362と、処理部350に第1送信部344による第1の無線通信を実現させるための第1通信制御プログラム364と、処理部350に第2送信部346による第2の無線通信を実現させるための第2通信制御プログラム366を記憶している。
【0095】
第1通信制御プログラム364及び第2通信制御プログラム366には、無線通信部340でアドホック通信によるマルチホップ通信を実現するための制御やデータ変換処理、マルチホップの経路選定処理、マルチホップの経路に関する情報を他の無線局と交換する処理などを実行するためのプログラムやデータが格納されている。前者は、例えば公知の近距離無線技術の規格を適宜用いることで実現できる。また後者は、例えば公知の無線LAN技術の規格を適宜用いることで実現できる。
【0096】
また、記憶部360は、データとして、中継装置登録データ370と、作業員端末登録データ372と、上限ホップ数374と、ルート情報376と、リーダ端末300自身の個体識別情報であるリーダ端末ID378とを記憶している。
【0097】
中継装置登録データ370は、例えば図12に示すように、使用する中継装置200について、中継装置ID370aと、配置場所情報370bと、通信時刻370cとを対応付けて格納する。配置場所情報370bは、作業開始前に対応する中継装置200を何所に配置したかを端的に示すテキストが格納される。同図の例では、例えば中継装置200aは「第1分岐器付近」、中継装置200bは「下り線:12km距離標付近」に配置されていることを示している。通信時刻370cは、中継装置200から第2無線によってリーダ端末300宛に定期的に送信された中継装置IDを含む通信(以下、「中継装置定期通信」と言う。)を受信した時刻が格納される。
【0098】
作業員端末登録データ372は、例えば図13に示すように、使用する作業員端末10について、作業員端末ID372aと、その携行者の名前など個人を特定するための情報を格納する携行者情報372bと、通信時刻372cとを対応付けて格納する。通信時刻372cには、作業員端末100からマルチホップ通信によってリーダ端末300宛に定期的に送信されたID定期通信を受信した時刻が格納される。
【0099】
上限ホップ数374は、作業員端末100のID定期通信がリーダ端末300に受信されるまでに要するホップ数の上限基準値を格納する。受信したデータのホップ数がこの上限ホップ数374以上である場合には、保線作業チームが広く展開しすぎていると判断される。
【0100】
ルート情報376は、マルチホップ通信に用いられるマルチホップの経路に関する情報を格納する。第1通信制御プログラム364や第2通信制御プログラム366を実行することによって他の無線局と交換された情報が格納される。
【0101】
[動作の説明]
次に、本実施形態における動作について説明する。
先ず、図14は、作業員端末100、中継装置200、リーダ端末300に共通する本実施形態におけるアドホック通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。また、図15は、本実施形態におけるアドホック通信処理において送信されるデータのパケット構造の一例を示す図である。
【0102】
本実施形態におけるアドホック通信処理は、基本的には公知のマルチホップ通信可能なアドホック通信規格によって実現可能である。作業員端末100、中継装置200及びリーダ端末300のそれぞれの処理部が、第1通信制御プログラム164,264,364や第2通信制御プログラム266、366を読み出して実行することによって実現され、所定の制御サイクルで繰り返し実行される。尚、前提として有効通信範囲内に存在する同規格に対応する無線局と自動的に通信を確立するものとする。
【0103】
図14に示すように、本実施形態におけるアドホック通信処理では、先ずデータを受信したならば(ステップS2のYES)、受信したデータの送信先IDが自身の識別情報(ID)と一致するか否かを判定する(ステップS4)。
【0104】
本実施形態におけるアドホック通信で送信されるデータは、図15に示すように、ヘッダー10、送信元ID12、送信先ID14、中継最大ホップ数16、ペイロードデータ18、経路スタック20を含んでいる。送信元ID12は、送信する側の装置が自身の識別情報(作業員端末IDや中継装置ID)を格納し、送信先IDは、データを送りたい宛先の装置の識別情報(リーダ端末IDや中継装置ID)を格納する。中継最大ホップ数16は、当該通信が許可される最大のホップ回数を格納する。ペイロードデータ18には、当該通信に添付されるデータを格納する。経路スタック20は、当該通信の経路情報であって、マルチホップ通信によって経路となった無線局のIDが格納される。経路スタック20に格納されているIDを数えることで、当該データが受信されるまでに要したホップ数を知ることができる。
【0105】
従って、ステップS4では、受信したデータの送信先ID14を、それぞれの記憶部160,260,360に格納されている自身の識別情報(作業員端末ID、中継装置ID、リーダ端末ID)と比較する。そして比較の結果、送信先IDが自身のIDと一致した場合(ステップS4のYES)、処理部150,250,350は、受信したデータを各々の記憶部160,260,360に記憶する(ステップS6)。
【0106】
一方、受信したデータの送信先IDが自身のIDに一致しない場合には(ステップS4のNO)、処理部150,250,350は、次に経路スタック20から求めた受信したデータの現在のホップ数をカウントし、中継最大ホップ数16に達しているか否かを判定する(ステップS8)。現在のホップ数が中継最大ホップ数16に達している場合には(ステップS8のYES)、これ以上ホップすることが許可されていないと判断されるので、受信したデータを消去して(ステップS14)、アドホック通信処理を終了する。
【0107】
現在のホップ数が中継最大ホップ数16に達していない場合には(ステップS8のNO)、ルート情報176,276,376を参照し、最小ホップ数で送信先へ中継する最短ルート上に自身があるか否かを判定する(ステップS10)。そして、最短ルート上に自身があると判定された場合(ステップS10のYES)、受信したデータの経路スタック20に自身のIDを追加して送信し(ステップS12)、アドホック通信処理を終了する。
尚、ステップS12における送信では、当該アドホック処理を実行している装置が中継装置200である場合には、最短ルート上で次の無線局が作業員端末100又はリーダ端末300である場合には第1送信部244で送信し、次の無線局が中継装置200である場合には第2送信部246で送信するものとする。
【0108】
一方、最小ホップ数で送信先へ中継するルート上に自身が無いと判定された場合(ステップS10のNO)、受信したデータを消去して(ステップS14)アドホック通信処理を終了する。
【0109】
よって、自身宛のデータは記憶するが、自身宛ではないデータや、最大ホップ数が超過するデータ、最小ホップ数で送信先へ中継する最短ルート上に自身が存在しない場合については受信したデータを破棄・消去し、次にはホップしないように動作する。従って、作業員端末100と中継装置200とリーダ端末300とを含む一つのシステムとしての通信トラフィックの増加を抑制するとともに、無駄な送信の抑制によるバッテリーの消耗を防ぐことができる。特に後者は、保線作業のように一旦作業を始めると比較的長時間に及ぶ作業では大変有益である。
【0110】
次に、各装置の動作を個別に説明する。
図16は、本実施形態における作業員端末100に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで説明する処理は、先のアドホック通信処理の前後又は並列して所定の制御サイクルで繰り返し実行される。
【0111】
先ず、処理部150はリーダ端末300への定期通信時刻であるか否かを判定する(ステップS30)。定期通信は、例えば10秒間隔といった具合に適当な時間が予め設定されている。そして、定期通信時刻の場合には(ステップS30のYES)、リーダ端末300を送信先にして自身の作業員端末IDを送信する(ステップS32)。つまり、リーダ端末300宛てにID定期通信を実行する。自身の作業員端末IDは、そもそも送信元ID12(図15参照)に含まれるのでリーダ端末300でこれを参照することで用は足りるが、通信するデータのペイロードデータ18に格納するとしても良い。また、中継最大ホップ数16は無制限となるように、例えば「999」といった極端に大きな所定数を格納するものとする。
【0112】
次いで処理部150は、使用されている複数台の中継装置200それぞれについて、自身の作業員端末IDを、中継最大ホップ数「1」に設定して送信する(ステップS34)。つまり、中継装置向け通信を実行する。
【0113】
一方、リーダ端末300への定期通信時刻ではない場合には(ステップS30のNO)、何も送信しない。
【0114】
尚、本実施形態では中継装置向け通信をリーダ端末へのID定期通信と同時に送信する構成としたが、中継装置向け通信を独自の定期通信周期を設定する構成としても良い。また、本実施形態では中継装置それぞれ個別に中継装置向け通信を送信する構成としたが、予め中継装置200に共通のIDを設定しておき、これを送信元IDに設定することでブロードキャスト形式によって一度で複数台の中継装置に向けた通信を行う構成としても良いのは勿論である。
【0115】
図17は、本実施形態における中継装置200に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで説明する処理は、先のアドホック通信処理の前後又は並列して所定の制御サイクルで繰り返し実行される。
【0116】
処理部250はまず、作業員端末から自身宛のデータを受信した場合(ステップS70のYES)、接続端末リストデータ274に該受信したデータの送信元ID12(図15参照)に格納されている作業員端末IDを接続中端末ID274aに格納し、受信した時刻を受信時刻274bに格納し登録する(ステップS72)。次いで、接続端末リストデータ274に既に登録済みの作業員端末IDで、現在時刻と受信時刻274bに格納されている時刻とを比較し、所定時間以上(例えば、20秒以上)受信時刻274bが更新されていない作業員端末IDを削除する(ステップS74)。
【0117】
一方、作業員端末からデータを受信しても、そのデータが自身宛でない場合には(ステップS70のNO)、接続端末リストデータ274への作業員端末IDの登録の処理は行わない。
【0118】
次に、処理部250は、リーダ端末への定期通信時刻であるか否かを判定する(ステップS76)。定期通信の時間間隔は適宜設定可能であるが、例えば20秒とする。定期通信時刻である場合には(ステップS76のYES)、無線通信部240の第2送信部246によって実現される有効通信距離が100m~150m程度の第2無線によってリーダ端末300へ自身の中継装置IDを送信する(ステップS78)。つまり、作業員端末100のID定期通信と同様の通信を行う。
【0119】
次いで、接続端末リストデータ274を参照し、登録されている作業員端末IDが有るか否かを判定する(ステップS80)。そして、登録されている作業員端末IDが有る場合には(ステップS80のYES)、第2無線によってリーダ端末300へ宛てて接続端末リストデータ274を送信する(ステップS82)。接続端末リストデータ274に登録されている作業員端末IDが無ければ(ステップS80のNO)、接続端末リストデータ274の送信は行わない。
【0120】
次に、処理部250はリーダ端末300の当該中継装置が配置されている危険エリアへの接近警報通信として、無線通信部240の第1送信部244によって実現される有効通信距離が数m~10m程度の第1無線によって、自身の中継装置IDを中継最大ホップ数「1」に設定して送信する(ステップS84)。そして、ステップS70の処理に戻る。
一方、ステップS76において、定期通信時刻で無いと判断された場合には(ステップS76のNO)、リーダ端末への送信は行わずにステップS70に戻る。
【0121】
尚、本実施形態では、接続端末リストデータ274の送信や接近警報通信を、リーダ端末300への中継装置のID定期通信と同時に送信する構成としたが、それぞれ独自の定期通信周期を設定する構成としても良いのは勿論である。
【0122】
図18は、本実施形態におけるリーダ端末300に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで説明する処理は、先のアドホック通信処理の前後又は並列して所定の制御サイクルで繰り返し実行される。
【0123】
処理部350は、先ず作業員端末100から自身宛のデータを受信した場合(ステップS100のYES)、作業員端末登録データ372から、受信したデータの送信元ID12に該当する作業員端末ID372aの通信時刻372cを、当該データを受信した時刻で更新する(ステップS102)。
【0124】
次に、作業員端末データ372を参照して、現在時刻と通信時刻372cを比較し、所定時間以上(例えば、30秒以上)更新されていない作業員端末を抽出する。所定時間以上通信時刻が更新されていない作業員端末が有る場合(ステップS104のYES)、処理部350は、該当する作業員端末ID372aを携行する作業員が所在不明である旨警告する報知出力をする(ステップS106)。具体的には、例えば図19に示すように、LCD316に「警告」の文字と、該当する作業員端末ID372aに対応する携行者情報372bに格納されているテキスト(図中の“name1”)とともに「所在不明」と表示出力させる。また、バイブレータ309を所定の振動パターンで振動させる。また、イヤホンジャック324に接続されているイヤホン322に所定の警告音を放音させる。
【0125】
次に、処理部350は、受信したデータの経路スタック20(図15参照)を参照して、リーダ端末300で受信されるのに要したホップ数を求めて上限ホップ数374と比較する。比較の結果、受信したデータのホップ数が上限ホップ数374以上である場合には(ステップS112のYES)、処理部350は「チーム分散」を警告する報知出力を実行する(ステップS114)。具体的には、LCD316に「警告」の文字と「チーム分散」の文字を表示させる、更に作業員が所在不明である場合とは異なるパターンで、バイブレータ309を振動させるとともにイヤホン322に警告音を放音させる。
【0126】
次に、処理部350は、有効通信距離が数m~10m程度の第1無線によって中継装置200から自身宛のデータを受信した場合(ステップS116のYES)、自身の危険エリア接近を警報する報知出力をする(ステップS118)。具体的には、LCD316に「警告」の文字と「危険エリア接近」の文字を表示させる。また、他の報知とは異なるパターンでバイブレータ309を振動させるとともにイヤホン322に警告音を放音させる。つまり、中継装置200から第1無線によって送信されるリーダ端末300宛ての通信が、リーダ端末300が中継装置200へ接近したことを警告する接近警告信号としての役割を担うことになる。
勿論、第1無線によって中継装置200から自身宛のデータを受信しなければ(ステップS116のNO)、当該報知出力は実行しない。
【0127】
次に、処理部350は、有効通信距離が100m~150m程度の第2無線によって中継装置200から自身宛のデータを受信した場合(ステップS120のYES)、受信したデータの送信元ID12に格納されている中継装置IDに対応する中継装置登録データ370の通信時刻370cを、データの受信時刻で更新する(ステップS122)。
【0128】
更に、受信したデータに接続端末リストデータ274がペイロードデータ18(図15参照)に含まれている場合には(ステップS124のYES)、この接続端末リストデータ274に登録されている作業員端末について「危険エリア接近」警告する報知出力を実行する(ステップS126)。具体的には、例えばLCD316に、「警告」の文字とともに接続端末リストデータ274に登録されている作業員端末の携行者情報372bに格納されているテキストと、「危険エリア接近」の文字を表示させる。さらに、中継装置登録データ370を参照して、送信元ID12に格納されている中継装置IDに対応する配置場所情報370bに格納されているテキストを表示させる。また、他の報知とは異なるパターンでバイブレータ309を振動させるとともにイヤホン322に警告音を放音させる。
一方、受信したデータに接続端末リストデータ274が含まれていない場合には(ステップS124のNO)、報知出力は実行しない。
【0129】
次に、処理部350は、中継装置登録データ370を参照して通信時刻370cが所定時間以上(例えば、30秒以上)更新されていない中継装置を抽出し、該当する中継装置が有る場合には(ステップS128のYES)、該当中継装置の故障を警告する旨の報知出力をする(ステップS130)。具体的には、例えばLCD316に「警告」の文字と、「(配置位置情報370bのテキスト)配置の中継装置故障」と表示させる。また、他の報知とは異なるパターンでバイブレータ309を振動させるとともにイヤホン322に警告音を放音させる。
一方、通信時刻370cが所定時間以上更新されていない中継装置が抽出されなければ(ステップS128のNO)、故障の警報は実行しない。
【0130】
次に、処理部350は、例えば、選択キー318やプッシュボタン320から所定の報知解除操作の入力が有った場合(ステップS132のYES)、報知出力を停止し(ステップS134)、ステップS100に戻る。
勿論、報知解除操作が入力されない場合や、報知出力がされていなければ報知出力の停止処理は実行せずにステップS100に戻る。
【0131】
以上の処理を作業員端末100、中継装置200、リーダ端末300がそれぞれ実行することによって、第1に、図3(b)を参照して説明したように、作業員が保線作業チームからの離脱状態であることを警告することが可能になる。第2に、図4(b)を参照して説明したように、保線作業チームが分散状態にあることを警告することが可能になる。また、第3に図5並びに図6を参照して説明したように、作業員が危険エリアへ接近したことを警告することが可能になるとともに、中継装置200の故障を警告することも可能になる。また、図7を参照して説明したようにリーダが危険エリアへ接近したことを警告することも可能になる。
【0132】
尚、第1無線と第2無線との有効通信距離は上記例に限るものではなく、第1無線の有効通信距離よりも第2無線の有効通信距離が長く、且つ、第2無線の有効通信距離が中継装置200の単独又は複数によって作業区間がカバーされる程度であれば良く、適宜設定可能である。
【0133】
〔第2実施形態〕
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。本実施形態は基本的に第1実施形態と同様の構成を有して実現されるが、作業員端末においても警報が発せられるように構成されている点と、第1無線と第2無線とが同じ無線通信規格の出力変更によって実現される点が異なる。以下では、主に第1実施形態と異なる点に着目して説明する。第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与して説明は省略する。
【0134】
図20は、本実施形態において用いられる作業員所在警戒システムの構成の一例を示す図である。同図に示すように、作業員端末100Bはハードウェアの構成としてはリーダ端末300と同様の構成を有しており、報知出力のためにLCD316、バイブレータ309、イヤホン322及びイヤホンジャック324を備える。
【0135】
また本実施形態では、第1実施形態における第1無線通信モジュール106,206,306及び第2無線通信モジュール207,307は、有効通信距離数m~10m程度となる「小」出力と有効通信距離100m~150mとなる「大」出力とを切換自在な、例えばBluetoothなどの無線通信モジュール292,392に置き換えられている。したがって、作業員端末100B、中継装置200B及びリーダ端末300は、送信出力切換可能にマルチホップ通信とアドホック通信とを実現することができる。
【0136】
図21は、本実施形態における中継装置200Bに特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示すように、基本的には第1実施形態における図17の処理の流れと同様の構成を有するが、ステップS74の次に、処理部250は接続端末リストデータ274に登録されている作業員端末宛に「危険エリア接近」を警告する報知出力を作業員端末100Bに発動させるためのトリガーとなる接近を警告する信号(以下、「危険エリア接近信号」と言う。)を送信し(ステップS75)、ステップS76に移行する。
【0137】
図22及び図23は、本実施形態におけるリーダ端末300に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示すように、基本的には第1実施形態における図18の処理の流れと同様の構成を有するが、幾つかステップが追加されている。
【0138】
先ず第1の追加ステップについて説明する。処理部350は、ステップS106の次に受信したデータのホップ数を、中継装置IDによるホップを考慮して求める。具体的には、受信したデータの経路スタック20を参照して経路中に中継装置IDが含まれている場合には(ステップS108のYES)、中継装置のホップ数に重み付けをして当該受信したデータのホップ数を「受信したデータのホップ数=作業員端末100Bによるホップ数の合計+中継装置200Bによるホップ数×重み付け係数k」として算出することによって、伝達経路を、ホップ数をパラメータとした距離情報とする(ステップS110)。そして、続くステップS112において、算出されたホップ数が上限ホップ数以上であるか否かを判定し、上限ホップ数である場合(ステップS112のYES)、すなわち、伝達経路が所定の遠距離条件を満たしている場合には、「チーム分散」を警告する報知出力を実行する(ステップS114)。これによって、本実施形態では、作業員端末100BのID定期通信の経路に中継装置200Bによるホップを含んでなお、「チーム分散」の警告が可能なように対応している。
【0139】
より具体的には、例えば保線作業チームの作業状況が図24に示すような状況では、有効通信範囲数m~10m程度の第1の無線と、有効通信距離100m~150mの第2無線とが同一規格の通信の出力違いによって実現されるので、作業員端末100aは第1の無線によって作業員端末100bとともに中継装置200aとも通信接続できることになる。マルチホップ通信によるルート選択においては、最小ホップ数で送信先にデータが届けられるようにルート選択されるので、この場合「作業員端末100a→中継装置200a→リーダ端末300」といったルートを辿ることになる。そもそも、チーム分散の警告は第1無線の有効通信距離がホップ数分だけ乗算された距離だけ作業員端末100aがリーダ端末300から離れているという原理に基づいている。そこで、中継装置200aによるホップ分を仮想的に作業員端末100Bの複数回のホップと見なすように例えば重み付け係数k=「4」と設定することによって、実際のホップ数は「2」であるが受信したデータのホップ数を「5」と算出する。よって、リーダ端末300で「チーム分散」を警告する旨の報知出力がされることになる。
【0140】
尚、重み付け係数kの値は、中継装置200Bの配置間隔と第1無線による有効通信距離との関係から適当な値を予め設定されるべきであり、この例に限るものではない。
また、同図の例では、結果的に作業員端末100aは、中継装置200aと第1無線で通信接続可能な距離に近づいているので、作業員端末100aについて「危険エリア接近」の警告をする報知出力も実行されることになる。
【0141】
次に、第2の追加ステップについて説明する。
処理部350は、ステップS114において「チーム分散」を警告する報知出力をした後、更に第1無線によって全作業員端末宛に、各作業員端末で「チーム分散」警告の報知出力を発動させるトリガー信号(以下、「チーム分散警告信号」と言う。)を送信する(ステップS115)。
【0142】
また、第3の追加ステップとして、処理部350はステップS134の次に、各作業員端末宛への定期通信時刻であるか否かを判定する(ステップS136)。例えば、20秒周期の定期通信時刻が設定されているとする。そして、定期通信時刻である場合には(ステップS136のYES)、第1無線によって各作業員端末宛にリーダ端末IDを送信し(ステップS138)、ステップS100に戻る。
【0143】
図25は、本実施形態における作業員端末100Bに特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示すように、基本的には第1実施形態における図16の処理の流れと同様の構成を有するが、幾つかステップが追加されている。
【0144】
追加されたステップとして、処理部150はステップS34に続いて、中継装置200Bから危険エリア接近信号を受信した場合(ステップS36のYES)、自身が危険エリアに接近した旨警告する報知出力を実行する(ステップS38)。例えば、作業員端末100BのLCD316に「警告」の文字と「危険エリア接近」の文字を表示出力させるとともに、作業員端末100Bのバイブレータ309を所定の振動パターンで振動させ、イヤホン322から所定の警告音を放音させる。つまり、中継装置200Bから発信される危険エリア接近信号が当該中継装置200Bへの接近警報信号としての役割を担うことになる。したがって、危険エリア接近信号を受信しなければ(ステップS36のNO)、報知出力は実行しない。
【0145】
次に、処理部150はリーダ端末300からチーム分散警告信号を受信した場合(ステップS40のYES)、チームが分散状態である旨警告する報知出力を実行する(ステップS42)。例えば、作業員端末100BのLCD316に「警告」の文字と「チーム分散状態」の文字を表示出力させるとともに、作業員端末100Bのバイブレータ309を他の報知とは異なる特定の振動パターンで振動させ、作業員端末100Bのイヤホン322から特定の警告音を放音させる。チーム分散警告信号を受信しなければ(ステップS40のNO)、報知出力は実行しない。
【0146】
次に、処理部150はリーダ端末300から自身宛の定期通信を受信した場合(ステップS44のYES)、当該定期通信を受信した時刻を記憶部160に記憶する(ステップS46)。そして、記憶されている受信時刻を現在の時刻と比較して、リーダ端末300からの定期通信の受信時刻の更新が所定時間以上行われていない場合(ステップS48のYES)、自身がチームから離脱状態である旨警告する報知出力を実行し(ステップS50)、ステップS30に戻る。例えば、作業員端末100BのLCD316に「警告」の文字と「チームから離れています」の文字を表示出力させるとともに、作業員端末100Bのバイブレータ309を他の報知とは異なる特定の振動パターンで振動させ、作業員端末100Bのイヤホン322から特定の警告音を放音させる。チーム分散警告信号を受信しなければ(ステップS44のNO)、報知出力は実行しないで、ステップS30に戻る。
【0147】
これら本実施形態における処理によって、作業員端末100Bでも種々の警告報知がなされ、作業員各員が不要な事故を未然に防ぐよう行動できるように補助することができる。
【0148】
尚、前述のように本実施形態では、作業員端末100Bからリーダ端末300に宛てたID定期通信は中継装置200Bを経由するケースがある。中継装置200Bを経由するということは、作業員端末100Bが第1無線の有効通信距離内で危険エリアに接近した証ともなる。したがって、本実施形態の変形例として、作業員端末100Bから各中継装置200Bへ宛てて定期的に作業員端末IDを送信する「中継装置向け通信」を省略した形態が考えられる。この場合、中継装置向け通信に要する電力消費を削減することができるので連続稼働時間を長くすることができる。
【0149】
〔変形例の説明〕
以上、本発明を適用した第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明の適用がこれらの実施形態に限定されるものではない。発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜構成要素の変更や追加、省略を行うことができる。
【0150】
例えば、上記実施形態では、本発明を鉄道の保線作業に従事する保線作業チームでのシステムに適用する場合を例に挙げたので第1無線の有効通信距離を数m~10m程度、第2無線の有効通信距離を100m~150mとしたがこれに限るものではない。例えば、高速道路の保線作業、空港滑走路の整備作業など、その他のチーム作業に用いることが可能であり、作業区間の大きさによって第1無線及び第2無線の有効通信距離を上記以外に設定しても良い。
【0151】
また、リーダ端末300におけるLCD316での警告報知では、テキストを表示する例を挙げたが、記憶部360に予め地図情報を記憶するとともに、中継装置登録データ370に配置場所情報370bにこの地図情報における座標を格納する構成とし、報知出力時に中継装置の周辺を地図表示する構成とすることもできる。
【0152】
また、上記実施形態ではマルチホップ通信の受信/非受信を利用して作業員端末100の位置や健全性の確認をしているが、GPSや予め位置座標が特定している無線局間との通信を利用した公知の位置検知技術を適用することもできる。この場合、メートル単位で作業員端末100の位置を検知し、作業員端末100がリーダ端末300から所定メートル以上離れた場合に「所在不明」の警告報知、中継装置200に所定メートル以内に接近すると「危険エリア接近」の警告報知をするなど、より警報の精度を高めることができる。
【0153】
更には、作業員端末100の位置を逐次検知する構成として、リーダ端末300が作業員端末100それぞれの移動速度を算出し、危険エリアの外側であるが危険エリア(つまり中継装置)へ向けて所定速度以上の速さで移動している場合に「危険エリア接近」の警告報知をする構成とするならば、より予測的に警告を発することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1実施形態で用いられる作業員所在警戒システムの構成を説明する図。
【図2】第1実施形態における作業員所在警戒システムの使用例を示す概念図。
【図3】作業員が保線作業チームから離脱した状態であることを警告する制御に係る原理を説明するための概念図。
【図4】保線作業チーム全体の広がりが大きくなり分散状態であることを警告する制御に係る原理を説明するための概念図。
【図5】作業員が危険エリアへ接近したことを警告する制御に係る原理を説明するための概念図。
【図6】作業員が危険エリアへ接近したことを警告する制御に係る原理を説明するための概念図。
【図7】リーダが危険エリアへ接近したことを警告する制御に係る原理を説明するための概念図。
【図8】作業員端末の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
【図9】中継装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
【図10】接続端末リストのデータ構成の一例を示すデータ構成図。
【図11】リーダ端末の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
【図12】中継装置登録データのデータ構成の一例を示すデータ構成図。
【図13】作業員端末登録データのデータ構成の一例を示すデータ構成図。
【図14】作業員端末、中継装置及びリーダ端末に共通するアドホック通信処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図15】アドホック通信処理において送信されるデータのパケット構造の例を示す図。
【図16】第1実施形態における作業員端末に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図17】第1実施形態における中継装置に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図18】第1実施形態におけるリーダ端末に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図19】作業員が所在不明である旨警告する報知出力の一例を示す図。
【図20】第2実施形態で用いられる作業員所在警戒システムの構成を説明する図。
【図21】第2実施形態における中継装置に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図22】第2実施形態におけるリーダ端末に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図23】図22に続くフローチャート。
【図24】第2実施形態において作業員端末から中継装置を経由してリーダ端末に作業員端末IDを送信する一例を示す概念図。
【図25】第2実施形態における作業員端末に特有の通信処理の流れを説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0155】
2(2a~2e) 作業員
4 リーダ
100(100a~100e) 作業員端末
106 第1無線通信モジュール
110 アンテナ
200(200a~200c) 中継装置
206 第1無線通信モジュール
207 第2無線通信モジュール
300 リーダ端末
306 第1無線通信モジュール
307 第2無線通信モジュール
309 バイブレータ
316 LCD(液晶ディスプレイ)
322 イヤホン
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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