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明細書 :電気車制御シミュレータ及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4685753号 (P4685753)
公開番号 特開2008-162394 (P2008-162394A)
登録日 平成23年2月18日(2011.2.18)
発行日 平成23年5月18日(2011.5.18)
公開日 平成20年7月17日(2008.7.17)
発明の名称または考案の名称 電気車制御シミュレータ及びプログラム
国際特許分類 B60L  11/12        (2006.01)
B61L  27/00        (2006.01)
FI B60L 11/12
B61L 27/00 G
請求項の数または発明の数 7
全頁数 19
出願番号 特願2006-353750 (P2006-353750)
出願日 平成18年12月28日(2006.12.28)
審査請求日 平成21年4月14日(2009.4.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】近藤 圭一郎
【氏名】山下 修
個別代理人の代理人 【識別番号】100124682、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 泰
【識別番号】100104710、【弁理士】、【氏名又は名称】竹腰 昇
【識別番号】100090479、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 一
審査官 【審査官】竹下 晋司
参考文献・文献 特開2006-240547(JP,A)
特開2004-282859(JP,A)
特開2006-238542(JP,A)
調査した分野 B60L 1/00 - 15/42
B61L 27/00
特許請求の範囲 【請求項1】
所与の制御指令に従って仮想発電機を模擬する発電機模擬手段と、
前記仮想発電機による発電電力を直流電力に変換する仮想コンバータを模擬するコンバータ模擬手段と、
所与の運転指令に従って駆動制御された仮想主電動機を模擬する主電動機模擬手段と、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力から前記仮想主電動機の仮想駆動電力に変換する仮想インバータを模擬することで、前記主電動機模擬手段により模擬されている仮想主電動機の駆動に要する要求電力を逆算的に求めるインバータ模擬手段と、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力と前記インバータ模擬手段により算出された要求電力との差異に応じた電力を仮想的に充放電する仮想蓄電器を模擬する蓄電器模擬手段と、
前記仮想蓄電器の蓄電量に応じた発電制御モードの切替パターンとして、走行速度域及びノッチ段数毎に予め設定された複数の切替パターンのうち、前記仮想主電動機による現在の走行速度及び現在のノッチ段数に対応する切替パターンを選択する選択手段と、
前記選択された切替パターンに基づき、前記仮想蓄電器の現在の蓄電量に応じた発電制御モードで前記仮想発電機模擬手段による仮想発電機の仮想発電動作を制御する発電機制御手段と、
を備えた電気車制御シミュレータ。
【請求項2】
前記仮想蓄電器の蓄電量、前記仮想主電動機による走行速度、ノッチ段数、前記仮想発電機の発電制御モード、及び、前記仮想発電機による燃料消費量のうち少なくとも1つの制御シミュレーション中の値を記録する記録手段を備えた請求項1に記載の電気車制御シミュレータ。
【請求項3】
前記仮想蓄電器の現在の蓄電量及び前記仮想発電機の最大発電電力に基づき、前記インバータ模擬手段により算出された要求電力に対する給電不足の発生可能性を検出する電力不足検出手段を備え、
前記選択手段が、前記電力不足検出手段による検出に応じて、現在のノッチ段数より下の段数に対応する切替パターンを選択する請求項1又は2に記載の電気車制御シミュレータ。
【請求項4】
前記電力不足検出手段が、前記仮想蓄電器の現在の蓄電量に基づき、前記インバータ模擬手段により算出された要求電力に対する給電不足の発生可能性を検出する請求項3に記載の電気車制御シミュレータ。
【請求項5】
前記切替パターンは、前記仮想蓄電器の蓄電量に応じて、前記仮想発電機が最大出力で発電する最大発電モード、前記仮想発電機が最適効率で発電する効率発電モード、及び、発電を停止する発電停止モードの何れかのモードを切り替えるパターンである請求項1~4の何れか一項に記載の電気車制御シミュレータ。
【請求項6】
前記切替パターンには、前記仮想蓄電器が所定の最大蓄電量及び/又は最低蓄電量の限界蓄電量に至ったときにモードを切り替えるとともに、当該限界蓄電量から所定量変化したときに切り替え前の元のモードに切り替えるパターンが含まれている請求項1~5の何れか一項に記載の電気車制御シミュレータ。
【請求項7】
コンピュータを、
所与の制御指令に従って仮想発電機を模擬する発電機模擬手段、
前記仮想発電機による発電電力を直流電力に変換する仮想コンバータを模擬するコンバータ模擬手段、
所与の運転指令に従って駆動制御された仮想主電動機を模擬する主電動機模擬手段、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力から前記仮想主電動機の仮想駆動電力に変換する仮想インバータを模擬することで、前記主電動機模擬手段により模擬されている仮想主電動機の駆動に要する要求電力を逆算的に求めるインバータ模擬手段、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力と前記インバータ模擬手段により算出された要求電力との差異に応じた電力を仮想的に充放電する仮想蓄電器を模擬する蓄電器模擬手段、
前記仮想蓄電器の蓄電量に応じた発電制御モードの切替パターンとして、走行速度域及びノッチ段数毎に予め設定された複数の切替パターンのうち、前記仮想主電動機による現在の走行速度及び現在のノッチ段数に対応する切替パターンを選択する選択手段、
前記選択された切替パターンに基づき、前記仮想蓄電器の現在の蓄電量に応じた発電制御モードで前記仮想発電機模擬手段による仮想発電機の仮想発電動作を制御する発電機制御手段、
として機能させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車の制御をシミュレーションする電気車制御シミュレータ及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、電気車の一種である電車においては、制動時に発生する回生電力を有効利用すべく、発生した回生電力を架線に戻して他の電車の運行に利用したり、車両内部に備えられている二次電池等のバッテリに回収させて再利用する技術が普及している。
【0003】
例えば特許文献1には、内部に発電機及び回生電力を回収する二次電池を備え、この発電機及びバッテリから供給される電力に基づいて、主電動機が車輪を回転駆動して走行するハイブリッド型鉄道車両が開示されている。

【特許文献1】特開2005-198416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハイブリッド型鉄道車両等の電気車における大きな課題の1つとして、省エネルギー化の実現がある。具体的には、発電機の発電をいかに制御すれば、無駄な発電を抑えることができるかという問題である。
【0005】
特許文献1に開示されているハイブリッド型鉄道車両は、予め定められた運転曲線(ランカーブ)を走行線区の速度域に応じて部分的に変更していき、その変更後の運転曲線に従った発電制御を行うことで、走行にかかる所要時間の短縮を実現している。しかし、特許文献1に開示されている技術はあくまでも所要時間の短縮化を目的とするものであって、省エネルギー化が目的ではなかった。
【0006】
しかしながら、ハイブリッド型鉄道車両などの電気車における省エネルギーの問題を解析的な手法により明らかにするのは困難である。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、省エネルギーの問題を演繹的に明らかにするため、ハイブリッド型の電気車の制御シミュレーションを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための第1の発明は、
所与の制御指令に従って仮想発電機(例えば、図1の仮想発電機10)を模擬する発電機模擬手段と、
前記仮想発電機による発電電力を直流電力に変換する仮想コンバータ(例えば、図1の仮想コンバータ20)を模擬するコンバータ模擬手段と、
所与の運転指令に従って駆動制御された仮想主電動機(例えば、図1の仮想主電動機40)を模擬する主電動機模擬手段と、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力から前記仮想主電動機の仮想駆動電力に変換する仮想インバータ(例えば、図1の仮想インバータ30)を模擬することで、前記主電動機模擬手段により模擬されている仮想主電動機の駆動に要する要求電力を逆算的に求めるインバータ模擬手段と、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力と前記インバータ模擬手段により算出された要求電力との差異に応じた電力を仮想的に充放電する仮想蓄電器(例えば、図1の仮想バッテリ60)を模擬する蓄電器模擬手段と、
前記仮想蓄電器の蓄電量に応じた発電制御モードの切替パターンとして、走行速度域及びノッチ段数毎に予め設定された複数の切替パターン(例えば、図7、図8の切替パターン)のうち、前記仮想主電動機による現在の走行速度及び現在のノッチ段数に対応する切替パターンを選択する選択手段(例えば、図2のCPU200;図9のステップA9、図10のステップB3、図11のステップC3)と、
前記選択された切替パターンに基づき、前記仮想蓄電器の現在の蓄電量に応じた発電制御モードで前記仮想発電機模擬手段による仮想発電機の仮想発電動作を制御する発電機制御手段(例えば、図2のCPU200;図10のステップB5~B31、図11のステップC5~C35)と、
を備えた電気車制御シミュレータである。
【0009】
また、他の発明として、
コンピュータを、
所与の制御指令に従って仮想発電機を模擬する発電機模擬手段、
前記仮想発電機による発電電力を直流電力に変換する仮想コンバータを模擬するコンバータ模擬手段、
所与の運転指令に従って駆動制御された仮想主電動機を模擬する主電動機模擬手段、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力から前記仮想主電動機の仮想駆動電力に変換する仮想インバータを模擬することで、前記主電動機模擬手段により模擬されている仮想主電動機の駆動に要する要求電力を逆算的に求めるインバータ模擬手段、
前記仮想コンバータにより変換された仮想電力と前記インバータ模擬手段により算出された要求電力との差異に応じた電力を仮想的に充放電する仮想蓄電器を模擬する蓄電器模擬手段、
前記仮想蓄電器の蓄電量に応じた発電制御モードの切替パターンとして、走行速度域及びノッチ段数毎に予め設定された複数の切替パターンのうち、前記仮想主電動機による現在の走行速度及び現在のノッチ段数に対応する切替パターンを選択する選択手段、
前記選択された切替パターンに基づき、前記仮想蓄電器の現在の蓄電量に応じた発電制御モードで前記仮想発電機模擬手段による仮想発電機の仮想発電動作を制御する発電機制御手段、
として機能させるためのプログラムを構成することとしてもよい。
【0010】
この第1の発明等によれば、仮想蓄電器の蓄電量に応じた仮想発電機の発電制御モードの切替パターンが、仮想主電動機により駆動される仮想電気車の現在の走行速度及び現在のノッチ段数に応じて選択される。そして、選択された切替パターンに基づいて、仮想蓄電器の現在の蓄電量に応じた発電制御モードで仮想発電機が制御される。
【0011】
仮想蓄電器の蓄電量に応じた発電制御モードで仮想発電機が制御されるため、例えば仮想蓄電器の蓄電量が多い場合は仮想発電機の発電を低発電とし、逆に、仮想蓄電器の蓄電量が少ない場合は仮想発電機の発電を高発電とするといった制御がシミュレートされる。従って、ハイブリッド型の電気車の制御シミュレーションが実現されるとともに、上記のような仮想発電機等の制御が実際に実現可能か否かをシミュレーションにより確認することができる。
【0012】
また、第2の発明として、第1の発明の電気車制御シミュレータであって、前記仮想蓄電器の蓄電量、前記仮想主電動機による走行速度、ノッチ段数、前記仮想発電機の発電制御モード、及び、前記仮想発電機による燃料消費量のうち少なくとも1つの制御シミュレーション中の値を記録する記録手段を備えた電気車制御シミュレータを構成してもよい。
【0013】
この第2の発明によれば、制御シミュレーションを行った後に、当該シミュレーションの結果を解析・検討することができる。
【0014】
また、第3の発明として、第1又は第2の発明の電気車の制御装置であって、
前記仮想蓄電器の現在の蓄電量及び前記仮想発電機の最大発電電力に基づき、前記インバータ模擬手段により算出された要求電力に対する給電不足の発生可能性を検出する電力不足検出手段(例えば、図2のCPU200;図10のステップB29)を備え、
前記選択手段が、前記電力不足検出手段による検出に応じて、現在のノッチ段数より下の段数に対応する切替パターンを選択する(例えば、図2のCPU200;図10のステップB31)電気車制御シミュレータを構成しても良い。
【0015】
この第3の発明によれば、現在のノッチ段数及び走行速度による仮想電動機の駆動に要する要求電力と、仮想蓄電器の現在の蓄電量及び仮想発電機の最大発電電力とに基づいて、要求電力に対する給電不足の発生可能性が検出される。そして、発生可能性の検出に応じて、現在のノッチ段数より下の段数に対応する切替パターンが選択される。
【0016】
一般に、ノッチ段数が下がると、同一の走行速度において電動機の駆動に要する要求電力は低くなる。このため、給電不足の発生が予想される場合に、現在のノッチ段数よりも下の段数に対応する切替パターンが選択されるようにすることで、給電不足の発生が効果的に防止される。
【0017】
また、第4の発明として、第3の発明の電気車制御シミュレータであって、
前記電力不足検出手段が、前記仮想蓄電器の現在の蓄電量に基づき、前記インバータ模擬手段により算出された要求電力に対する給電不足の発生可能性を検出する電気車制御シミュレータを構成しても良い。
【0018】
この第4の発明によれば、仮想蓄電器の現在の蓄電量に基づいて、要求電力に対する給電不足の発生可能性が検出される。この場合も、第3の発明と同様の効果が発揮される。
【0019】
また、第5の発明として、第1~第4の何れか一の発明の電気車制御シミュレータであって、
前記切替パターンは、前記仮想蓄電器の蓄電量に応じて、前記仮想発電機が最大出力で発電する最大発電モード、前記仮想発電機が最適効率で発電する効率発電モード、及び、発電を停止する発電停止モードの何れかのモードを切り替えるパターンである電気車制御シミュレータを構成しても良い。
【0020】
この第5の発明によれば、仮想蓄電器の蓄電量に応じて、仮想発電機が最大出力で発電する最大発電モード、仮想発電機が最適効率で発電する効率発電モード、及び、発電を停止する発電停止モードの何れかのモードに発電制御モードが切り替えられる。
【0021】
また、第6の発明として、第1~第5の何れか一の発明の電気車制御シミュレータであって、
前記切替パターンには、前記仮想蓄電器が所定の最大蓄電量及び/又は最低蓄電量の限界蓄電量に至ったときにモードを切り替えるとともに、当該限界蓄電量から所定量変化したときに切り替え前の元のモードに切り替えるパターンが含まれている電気車制御シミュレータを構成しても良い。
【0022】
この第6の発明によれば、仮想蓄電器が所定の最大蓄電量及び/又は最低蓄電量の限界蓄電量に至ったときに発電制御モードが切り替えられ、また、当該限界蓄電量から所定量変化したときに切り替え前の元のモードに発電制御モードが切り替えられる。固定点1点で切替の判定を行った場合、その値に達したか否かで制御が切り替わり、頻繁な切替(ハンチング)が起こり易くなる。しかし、いわゆるヒステリシスを切替パターンに持たせることで、仮想電動機の安定的な駆動がなされているか否かをシミュレーションにより確認できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ハイブリッド型の電気車の制御シミュレーションが実現されるとともに、仮想発電機等の制御が実際に実現可能か否かをシミュレーションにより確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明を電気車の一種であるハイブリッド型鉄道車両の制御シミュレータ(以下単に「制御シミュレータ」と呼ぶ。)に適用した場合の実施形態について説明する。但し、本発明の適用が以下の実施形態に限定されるものではなく、例えば同様の主回路構成を有する電気自動車等の電気車の制御シミュレータに適用しても良いことは勿論である。
【0025】
1.構成
図1は、本実施形態の制御シミュレータ1により模擬される各仮想機器の構成の概念を説明するための図である。制御シミュレータ1は、発電機の動作をモデル化した仮想発電機10と、コンバータの動作をモデル化した仮想コンバータ20と、インバータの動作をモデル化した仮想インバータ30と、主電動機の動作をモデル化した仮想主電動機40と、補助電源装置の動作をモデル化した仮想補助電源装置50と、バッテリの動作をモデル化した仮想バッテリ60とのそれぞれの仮想機器をプログラムによりモデル化してシミュレートし、系全体の電力の需給に関するシミュレーションを行う。
【0026】
具体的には、仮想発電機10による発電電力を仮想コンバータ20により交直変換して供給電力とする。一方、仮想主電動機40の駆動に要する電力から仮想インバータ30による直交変換前の電力を逆算的に算出して要求電力とする。また、仮想補助電源装置50は、客室内の照明等の補機に使用するための電力を生成する装置である補助電源装置を模擬するため、一定電力(以下「補機用電力」と呼ぶ。)を出力するとする。そして、供給電力と要求電力と補機用電力とを勘案した電力需給の過不足分を、仮想バッテリ60の充放電に当てる。
【0027】
さらに、仮想主電動機40は、ユーザによる操作入力又は予めプログラムにより規定された入力値である運転台のノッチ指令や制動指令等の制御指令入力に応じて駆動が制御される。また、仮想発電機10は、発電制御モードが、ノッチ指令や現在速度等に基づく後述する電力制御処理により切り替えられて制御される。
【0028】
具体的には、仮想発電機10の発電制御モードとして、「MAXモード」、「OPTモード」、「SIVモード」の3つのモードが用意されており、「MAXモード」においては最大出力で、「OPTモード」においては仮想発電機10の仕様上の最適効率出力で仮想発電機10が駆動されるように制御される。また、「SIVモード」においては仮想発電機10の駆動が停止され、仮想補助電源装置50の出力が仮想主電動機40に供給される。
【0029】
また、本実施形態において仮想主電動機40は、三相誘導電動機を模擬し、回生時に仮想発電機として動作して回生電力を発電するよう模擬される。そして、発電された回生電力は、仮想インバータ30を介して仮想バッテリ60に充電されるよう模擬される。
【0030】
図2は、制御シミュレータ1の構成を示した図である。制御シミュレータ1は、CPU(Central Processing Unit)200と、ROM(Read Only Memory)300と、RAM(Random Access Memory)400と、操作入力装置500と、表示装置600と、通信装置700とがバス900を介して接続されて構成されたコンピュータシステムである。
【0031】
CPU200は、ROM300に記憶されている制御シミュレーションプログラム310に従った制御シミュレーション処理を行う。制御シミュレーション処理については詳細に後述する。また、制御シミュレーションプログラム310は、仮想発電機10、仮想コンバータ20、仮想インバータ30、仮想主電動機40、仮想補助電源装置50、仮想バッテリ70それぞれを、実際の機器の動作パラメータ等に従って実際の機器の動作を模擬するようにモデル化された発電機模擬プログラム311、コンバータ模擬プログラム312、インバータ模擬プログラム313、主電動機模擬プログラム314、補助電源模擬プログラム315、バッテリ模擬プログラム316をサブルーチンとして有している。
【0032】
RAM400は、CPU200により実行される各種プログラム、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを形成している。RAM400には、SOCデータ410と、運転台ノッチデータ420と、パラメータノッチデータ430と、状況記録データ440とが記憶される。
【0033】
SOCデータ410は、仮想バッテリ60の最新の蓄電量(以下、「SOC(State Of Charge)」と呼ぶ。)のデータである。運転台ノッチデータ420は、運転士による運転台からのノッチ指令として操作入力装置500から入力される現在のノッチ(以下、「運転台ノッチ」と呼ぶ。)が記憶されたデータである。
【0034】
パラメータノッチデータ430は、制御上用いられる内部パラメータとしてのノッチ(以下、「パラメータノッチ」と呼ぶ。)が記憶されたデータである。運転台ノッチとパラメータノッチとは原則的に一致するが、仮想主電動機40に対する給電不足の発生可能性が検出された場合等に、例外的にパラメータノッチが低い段数に切り替えられる。
【0035】
状況記録データ440は、仮想バッテリ60の蓄電量と、仮想主電動機40による仮想鉄道車両(電気車)の走行速度と、運転台ノッチデータ420及びパラメータノッチデータ430に格納されているそれぞれのノッチ段数と、仮想発電機10の発電制御モードと、仮想発電機10の発電に要した燃料消費量とが、制御シミュレーション処理の実行中に定期的に記録・蓄積されたデータである。
【0036】
2.原理
次に、制御シミュレーション処理の動作原理について説明する。以下、模擬するハイブリッド型鉄道車両(適宜「仮想鉄道車両」と呼ぶ。)の力行時、制動時及びアイドリング時における制御シミュレーションの原理についてそれぞれ説明する。
【0037】
2-1.力行時の制御シミュレーション
本実施形態では、力行時のパラメータノッチとして、「0N」、「2N」、「3N」、「4N」及び「5N」の5段階のノッチが使用される。尚、「1N」は車両の構内入れ替え等で使用されるノッチであり、通常運転では使用されないことから、ここでは除外している。
【0038】
また、仮想発電機10の発電制御モードとして、「MAXモード」、「OPTモード」及び「SIVモード」の3種類のモードが使用される。
【0039】
「MAXモード」では、仮想発電機10が最大出力で駆動されて、その出力が仮想主電動機40に供給される。「OPTモード」では、仮想発電機10が仕様上予め定められた最適効率の出力で駆動され、その出力が仮想主電動機40に供給される。
【0040】
「SIVモード」では、仮想発電機10の駆動が停止され、仮想補助電源装置50の出力が仮想主電動機40に供給される。尚、仮想主電動機40に比べて遥かに低い補機等の電力を賄うためのものであるため、その出力は、仮想発電機10の最大出力や最適効率の出力と比べて遥かに小さい。
【0041】
図3~6に、各パラメータノッチにおいて、仮想主電動機40の駆動に要する電力(以下、「要求電力」と呼ぶ。)の変化を表した要求電力曲線を示す。各図において、横軸は仮想鉄道車両の速度(仮想主電動機40による走行速度)、縦軸は要求電力を示している。尚、パラメータノッチが「0N」の場合については図示を省略する。
【0042】
図3は、パラメータノッチが「5N」の場合の要求電力曲線を示す図である。
仮想鉄道車両の速度がV1に到達するまでは要求電力が線形的に増加していき、速度V1~V2では一定となる。そして、速度V2を超えると、要求電力は徐々に減少していく。
【0043】
また、「MAXモード」による発電制御だけで走行が可能なのは、仮想鉄道車両の速度がVθ1(<V1)に到達するまでであり、速度がVθ1を超えると、「MAXモード」による発電制御だけでは電力が足りなくなる。この速度Vθ1を、以下「第1臨界速度」と呼ぶ。
【0044】
仮想鉄道車両の速度が「0~Vθ1」の速度域の場合に、「MAXモード」による発電制御だけを行うと、当該速度域では常に供給電力が要求電力を上回るため、その差分の電力は余剰電力として仮想バッテリ60に充電されることになる(図3の領域R1+R2)。しかし、仮想バッテリ60のSOCが最大蓄電量に達していれば、余剰電力は仮想バッテリ60に充電されず、余剰電力が無駄になってしまう。
【0045】
また、当該速度域において、「OPTモード」による発電制御だけを行うと、仮想鉄道車両の速度がV3(<Vθ1)に到達するまでは常に供給電力が要求電力を上回るため、その差分の電力は余剰電力として仮想バッテリ60に充電されることになる(図3の領域R1)。しかし、この場合も、仮想バッテリ60のSOCが最大蓄電量に達していれば、余剰電力は仮想バッテリ60に充電されないことになる。
【0046】
そこで、仮想鉄道車両の速度が「0~Vθ1」の速度域の場合は、仮想バッテリ60のSOCに応じて、「MAXモード」と、「OPTモード」と、「SIVモード」とを切り替えながら発電制御を行うように模擬する。
【0047】
図7は、発電制御モードの切替手順を表した切替パターンを示す図である。同図において、横軸は仮想鉄道車両の速度域、縦軸は仮想バッテリ60のSOCを示している。また、切替パターン中の矢印の始点から終点までが、当該発電制御モードによる発電制御を行うことを示している。
【0048】
速度域「0~Vθ1」において、SOCのレベルが最低レベル値「SOCmin0」である場合は、「MAXモード」による発電制御を行い、余剰電力は仮想バッテリ60に充電される。そして、SOCのレベルが最低レベル値「SOCmin0」よりも僅かに高い低レベル値「SOCmin1」に到達したら、発電制御モードを「MAXモード」から「OPTモード」に切り替える。
【0049】
その後、「OPTモード」における供給電力が要求電力を上回る場合は、余剰電力が仮想バッテリ60に更に充電されていき、SOCのレベルが最高レベル値「SOCmax0」に到達したら、発電制御モードを「OPTモード」から「SIVモード」に切り替える。即ち、仮想発電機10の駆動を停止させて、仮想補助電源装置50からの出力を開始させるように模擬する。
【0050】
「SIVモード」では、僅かな電力が供給されるに止まるため、不足電力は仮想バッテリ60から供給されることになり、SOCは減少していく。そして、SOCのレベルが最高レベル値「SOCmax0」よりも僅かに低い高レベル値「SOCmax1」に到達したら、発電制御モードを「SIVモード」から「OPTモード」に切り替える。即ち、仮想補助電源装置50からの出力を停止させて、仮想発電機10の駆動を開始させるように模擬する。
【0051】
その後、「OPTモード」における供給電力が要求電力に満たない場合は、不足電力が仮想バッテリ60から供給され続け、SOCのレベルが最低レベル値「SOCmin0」に到達したら、発電制御モードを「OPTモード」から「MAXモード」に切り替える。
【0052】
本実施形態では、仮想バッテリ60のSOCが最高レベル値及び最低レベル値(以下、包括的に「限界レベル値」と呼ぶ。)に達したときに発電制御モードを切り替えると共に、この限界レベル値から僅かに変化した高レベル値又は低レベル値にSOCが達したときに、切り替え前の元のモードに発電制御モードを切り替えるようにしている。固定点1点で切替の判定を行った場合、その値に達したか否かで制御が切り替わり、頻繁な切替(ハンチング)が起こり易くなる。しかし、いわゆるヒステリシスを切替パターンに持たせることで、仮想主電動機40の安定的な駆動が確保される。
【0053】
尚、発電制御モードを「MAXモード」から「OPTモード」に切り替えた後に、「OPTモード」における供給電力が要求電力に満たない場合は、不足電力が仮想バッテリ60から供給されることとなる。そして、SOCのレベルが最低レベル値「SOCmin0」に到達したら、発電制御モードを「OPTモード」から再び「MAXモード」に切り替える。即ち、切替パターンの左辺から右辺に遷移する形となる。
【0054】
また、発電制御モードを「SIVモード」から「OPTモード」に切り替えた後に、「OPTモード」における供給電力が要求電力を上回る場合は、余剰電力が仮想バッテリ60に充電されるように模擬される。そして、SOCのレベルが最高レベル値「SOCmax0」に到達したら、発電制御モードを「OPTモード」から再び「SIVモード」に切り替える。即ち、切替パターンの右辺から左辺に遷移する形となる。
【0055】
一方、図3の要求電力曲線から、仮想鉄道車両の速度が第1臨界速度Vθ1を超えると、「MAXモード」による発電制御だけでは電力が足りなくなる。そこで、速度域「Vθ1以上」では、常に「MAXモード」による発電制御を行い、不足電力が仮想バッテリ60から補われるように模擬される。
【0056】
図4は、パラメータノッチが「4N」の場合の要求電力曲線を示す図である。
仮想鉄道車両の速度がV1に到達するまでは要求電力が線形的に増加していき、速度V1を超えると、要求電力は徐々に減少していく。
【0057】
また、「MAXモード」による発電制御だけで走行が可能なのは、仮想鉄道車両の速度が第1臨界速度Vθ1に到達するまでであり、速度が第1臨界速度Vθ1を超えると、「MAXモード」による発電制御だけでは電力が足りなくなる。
【0058】
そこで、パラメータノッチが「4N」の場合も、「5N」の場合と同様の発電制御を行う。即ち、図7の切替パターンに従って、仮想鉄道車両の速度が「0~Vθ1」の速度域の場合は、「MAXモード」と、「OPTモード」と、「SIVモード」とを切り替えながら発電制御を行い、「Vθ1以上」の速度域の場合は、常に「MAXモード」による発電制御を行う。
【0059】
図5は、パラメータノッチが「3N」の場合の要求電力曲線を示す図である。
仮想鉄道車両の速度が第1臨界速度Vθ1に到達するまでは要求電力が線形的に増加していく。そして、第1臨界速度Vθ1~速度Vθ2では、要求電力が「MAXモード」における供給電力と一致し、速度Vθ2を超えると、要求電力は徐々に減少していく。この速度Vθ2を、以下「第2臨界速度」と呼ぶ。
【0060】
仮想鉄道車両の速度が「0~Vθ1」の速度域の場合に、「MAXモード」による発電制御だけを行うこととすると、仮想バッテリ60のSOCが最大蓄電量に達している場合は、余剰電力が仮想バッテリ60に充電されず無駄になってしまう。これは、「Vθ2以上」の速度域についても同様である。
【0061】
そこで、パラメータノッチが「3N」の場合は、図8の切替パターンに従って発電制御モードの切替を行う。即ち、仮想鉄道車両の速度が「0~Vθ1」の速度域の場合は、図7の切替パターンと同様に、「MAXモード」と、「OPTモード」と、「SIVモード」とを切り替えながら発電制御を行うように模擬する。
【0062】
そして、速度が「Vθ1~Vθ2」の速度域の場合は、常に「MAXモード」による発電制御を行うように模擬する。また、速度が「Vθ2以上」の速度域の場合は、「MAXモード」と「SIVモード」とを切り替えながら発電制御を行うように模擬する。具体的には、SOCのレベルが最低レベル値「SOCmin0」である場合は、「MAXモード」による発電制御を行い、余剰電力はバッテリ60に充電されるように模擬する。そして、SOCのレベルが最高レベル値「SOCmax0」に到達したら、発電制御モードを「MAXモード」から「SIVモード」に切り替える。
【0063】
「SIVモード」では、僅かな電力が供給されるに止まるため、不足電力は仮想バッテリ60から供給されることになり、SOCは減少していく。そして、SOCのレベルが高レベル値「SOCmax1」に到達したら、発電制御モードを「SIVモード」から「MAXモード」に切り替える。
【0064】
図6は、パラメータノッチが「2N」の場合の要求電力曲線を示す図である。
仮想鉄道車両の速度が第1臨界速度Vθ1に到達するまでは要求電力が線形的に増加していく。そして、速度Vθ1を超えると、要求電力は徐々に減少していく。
【0065】
そこで、パラメータノッチが「2N」の場合も、「3N」の場合と同様の発電制御を行う(但し、この場合は「Vθ1=Vθ2」とする。)。即ち、図8の切替パターンに従って、仮想鉄道車両の速度が「0~Vθ1」の速度域の場合は、「MAXモード」と、「OPTモード」と、「SIVモード」とを切り替えながら発電制御を行うように模擬する。また、速度が「Vθ1以上」の速度域の場合は、「MAXモード」と、「SIVモード」とを切り替えながら発電制御を行うように模擬する。
【0066】
最後に、パラメータノッチが「0N」の場合は、常に「SIVモード」による発電制御を行うように模擬する。尚、仮想バッテリ60のSOCに応じて、仮想バッテリ60への充電を行う場合は、「0N」の場合に、「OPTモード」で仮想発電機10を駆動するように制御しても良い。
【0067】
2-2.制動時の制御シミュレーション
仮想鉄道車両の制動時には、仮想バッテリ60のSOCに基づいて回生ブレーキを動作制御することで、回生電力が仮想バッテリ60に充電されるように模擬する。具体的には、SOCが最高レベル値「SOCmax0」に満たない場合は、回生ブレーキを作動させて、仮想主電動機40により発電された回生電力が仮想バッテリ60に充電されるようにする。一方、SOCが最高レベル値「SOCmax0」である場合は、回生ブレーキを動作させずに、機械ブレーキを動作させる。
【0068】
2-3.アイドリング時の制御シミュレーション
仮想鉄道車両のアイドリング時には、仮想バッテリ60のSOCに基づいて仮想発電機10を駆動制御して、仮想バッテリ60を充電するように模擬する。具体的には、SOCが最高レベル値「SOCmax0」に満たない場合は、仮想発電機10を「OPTモード」で駆動させ、このときの出力電力で仮想バッテリ60を充電するようにする。一方、SOCが最高レベル値「SOCmin0」である場合は、仮想発電機10の駆動を停止させる。
【0069】
3.処理の流れ
次に、フローチャートを用いて、制御シミュレーション処理の流れについて説明する。尚、仮想発電機10、仮想コンバータ20、仮想インバータ30、仮想主電動機40、仮想補助電源装置50、仮想バッテリ60の動作制御については公知の技術を適用可能であるため、詳細な説明を省略し、仮想鉄道車両の全体的な電力制御を中心に説明する。図9は、CPU200により制御シミュレーションプログラム310に従って実行される制御シミュレーション処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
先ず、CPU200は、発電機模擬プログラム311、コンバータ模擬プログラム312、インバータ模擬プログラム313、主電動機模擬プログラム314、補助電源模擬プログラム315、バッテリ模擬プログラム316を起動・実行して各仮想機器モデルの個別のシミュレートを開始する(ステップA1)。そして、現在の仮想バッテリ60のSOCでRAM400のSOCデータ410を更新する(ステップA2)。
【0071】
次いで、操作入力装置500から、運転台のノッチ指令や制動指令等の制御指令としての入力を受け付ける(ステップA3)。CPU200は、操作入力された運転台からのノッチ指令と、運転台ノッチデータ420とを比較することで、運転台ノッチが変化したか否かを判定し(ステップA4)、変化しなかったと判定した場合は(ステップA4;No)、ステップA7へと処理を移行する。
【0072】
ステップA4において運転台ノッチが変化したと判定した場合は(ステップA4;Yes)、CPU200は、当該運転台ノッチでRAM400の運転台ノッチデータ420を更新すると共に、当該運転台ノッチをパラメータノッチとして、パラメータノッチデータ430を更新する(ステップA5)。
【0073】
次いで、CPU200は、仮想主電動機40の動作状態に基づいて仮想鉄道車両が力行状態であるか否かを判定し(ステップA7)、力行状態ではないと判定した場合は(ステップA7;No)、ステップA17へと処理を移行する。
【0074】
ステップA7において力行状態であると判定した場合は(ステップA7;Yes)、CPU200は、パラメータノッチデータ430に記憶されているパラメータノッチを判定する(ステップA9)。
【0075】
ステップA9において判定したパラメータノッチが「0N」であった場合は(ステップA9;0N)、CPU200は、発電制御モードを「SIVモード」に切り替える(ステップA11)。
【0076】
また、ステップA9において判定したパラメータノッチが「4N」又は「5N」であった場合は(ステップA9;4N又は5N)、CPU200は、高ノッチ用発電制御モード切替処理を行う(ステップA13)。
【0077】
図10は、高ノッチ用発電制御モード切替処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、CPU200は、仮想主電動機40の駆動状態から仮想鉄道車両の現在の走行速度を取得する(ステップB1)。そして、CPU200は、ステップB1で取得した走行速度に対応する速度域を判定する(ステップB3)。
【0078】
ステップB3で判定した速度域が「0~Vθ1」であった場合は(ステップB3;0~Vθ1)、CPU200は、SOCデータ410に記憶されているSOCが、最高レベル値「SOCmax0」以上であるか否かを判定する(ステップB5)。
【0079】
ステップB5において最高レベル値「SOCmax0」未満であると判定した場合は(ステップB5;No)、CPU200は、ステップB9へと処理を移行する。一方、最高レベル値「SOCmax0」以上であると判定した場合は(ステップB5;Yes)、CPU200は、発電制御モードを「SIVモード」に切り替える(ステップB7)。
【0080】
次いで、CPU200は、SOCデータ410に記憶されているSOCが、最低レベル値「SOCmin0」以下であるか否かを判定し(ステップB9)、最低レベル値「SOCmin0」よりも高いと判定した場合は(ステップB9;No)、ステップB13へと処理を移行する。
【0081】
一方、ステップB9において最低レベル値「SOCmin0」以下であると判定した場合は(ステップB9;Yes)、CPU200は、発電制御モードを「MAXモード」に切り替える(ステップB11)。
【0082】
次いで、CPU200は、SOCデータ410に記憶されているSOCが、高レベル値「SOCmax1」以上であるか否かを判定し(ステップB13)、高レベル値「SOCmax1」以上であると判定した場合は(ステップB13;Yes)、現在の発電制御モードを判定する(ステップB15)。
【0083】
ステップB15において現在の発電制御モードが「SIVモード」であると判定した場合は(ステップB15;SIVモード)、CPU200は、発電制御モードを「OPTモード」に切り替える(ステップB17)。
【0084】
また、ステップB13において高レベル値「SOCmax1」未満であると判定した場合(ステップB13;No)、又はステップB15において現在の発電制御モードが「OPTモード」であると判定した場合は(ステップB15;OPTモード)、CPU200は、ステップB19へと処理を移行する。
【0085】
次いで、CPU200は、SOCデータ410に記憶されているSOCが、低レベル値「SOCmin1」以下であるか否かを判定し(ステップB19)、低レベル値「SOCmin1」以下であると判定した場合は(ステップB19;Yes)、現在の発電制御モードを判定する(ステップB21)。
【0086】
ステップB21において現在の発電制御モードが「MAXモード」であると判定した場合は(ステップB21;MAXモード)、CPU200は、発電制御モードを「OPTモード」に切り替える(ステップB23)。そして、CPU200は、高ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。
【0087】
また、ステップB19において低レベル値「SOCmin1」よりも高いと判定した場合(ステップB19;No)、又はステップB21において現在の発電制御モードが「OPTモード」であると判定した場合は(ステップB21;OPTモード)、CPU200は、高ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。
【0088】
一方、ステップB3で判定した速度域が「Vθ1以上」であった場合は(ステップB3;Vθ1以上)、CPU200は、発電制御モードを「MAXモード」に切り替える(ステップB25)。
【0089】
そして、CPU200は、現在のパラメータノッチで、現在の走行速度で走行する場合の仮想主電動機40の要求電力を判定する(ステップB27)。
【0090】
そして、CPU200は、SOCデータ410に記憶されている現在のSOCによる仮想バッテリ60の充電量と、「MAXモード」による供給電力との和が、ステップB27で判定した要求電力未満であるか否かを判定し(ステップB29)、要求電力以上であると判定した場合は(ステップB29;No)、高ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。
【0091】
一方、ステップB29において要求電力未満であると判定した場合は(ステップB29;Yes)、CPU200は、パラメータノッチデータ430に記憶されているパラメータノッチを1段階下のパラメータノッチに更新して(ステップB31)、高ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。
【0092】
「Vθ1以上」の速度域では、仮想バッテリ60のSOCによる仮想バッテリ60の充電量と、「MAXモード」による供給電力との和が、当該速度における要求電力に満たない場合がある。この場合は、給電不足が発生することになり、当該パラメータノッチにおける当該速度での走行は不可能となる。そこで、給電不足の発生可能性が検出された場合は、強制的にパラメータノッチを1段階下げることにしている(ステップB27~B31)。パラメータノッチを1段階下げると、同一の速度において主電動機40の駆動に要する要求電力が低くなるため(図3~図6の要求電力曲線)、給電不足の発生が解消される。
【0093】
図9の制御シミュレーション処理に戻って、ステップA9においてパラメータノッチが「2N」又は「3N」であると判定した場合は(ステップA9;2N又は3N)、CPU200は、中ノッチ用発電制御モード切替処理を行う(ステップA15)。
【0094】
図11は、中ノッチ用発電制御モード切替処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、CPU200は、仮想主電動機40の駆動状態から仮想鉄道車両の現在の走行速度を取得する(ステップC1)。そして、CPU200は、ステップC1で取得した速度に対応する速度域を判定する(ステップC3)。
【0095】
ステップC3で判定した速度域が「0~Vθ1」であった場合は(ステップC3;0~Vθ1)、CPU200は、ステップC5~C23の処理を行って、中ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。尚、ステップC5~C23の処理は、図10の高ノッチ用発電制御モード切替処理におけるステップB5~B23の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0096】
ステップC3で判定した速度域が「Vθ1~Vθ2」であった場合は(ステップC3;Vθ1~Vθ2)、CPU200は、発電制御モードを「MAXモード」に切り替えて(ステップC25)、中ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。
【0097】
また、ステップC3で判定した速度域が「Vθ2以上」であった場合は(ステップC3;Vθ2以上)、CPU200は、SOCデータ410に記憶されているSOCが、最高レベル値「SOCmax0」以上であるか否かを判定する(ステップC27)。
【0098】
ステップC27において最高レベル値「SOCmax0」未満であると判定した場合は(ステップC27;No)、CPU200は、ステップC31へと処理を移行する。一方、最高レベル値「SOCmax0」以上であると判定した場合は(ステップC27;Yes)、CPU200は、発電制御モードを「SIVモード」に切り替える(ステップC29)。
【0099】
次いで、CPU200は、SOCデータ410に記憶されているSOCが、高レベル値「SOCmax1」以上であるか否かを判定し(ステップC31)、高レベル値「SOCmax1」以上であると判定した場合は(ステップC31;Yes)、現在の発電制御モードを判定する(ステップC33)。
【0100】
ステップC33において現在の発電制御モードが「SIVモード」であると判定した場合は(ステップC33;SIVモード)、CPU200は、発電制御モードを「MAXモード」に切り替える(ステップC35)。そして、CPU200は、中ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。
【0101】
また、ステップC31において高レベル値「SOCmax1」未満であると判定した場合(ステップC31;No)、又はステップC33において現在の発電制御モードが「MAXモード」であると判定した場合は(ステップC33;MAXモード)、CPU200は、中ノッチ用発電制御モード切替処理を終了する。
【0102】
図9の制御シミュレーション処理に戻って、ステップA11、A13又はA15の処理を終了すると、CPU200は、仮想主電動機40の駆動状態に基づいて仮想鉄道車両が制動状態であるか否かを判定し(ステップA17)、制動状態であると判定した場合は(ステップA17;Yes)、SOCデータ410に記憶されているSOCが、最高レベル値「SOCmax0」以上であるか否かを判定する(ステップA19)。
【0103】
ステップA19において最高レベル値「SOCmax0」未満であると判定した場合は(ステップA19;No)、CPU200は、回生電力により仮想バッテリ60を充電させる(ステップA21)。具体的には、CPU200が回生ブレーキを作動させることにより、給電ラインに回生電力が供給され、仮想バッテリ60が充電される。
【0104】
ステップA17において制動状態ではないと判定した場合(ステップA17;No)、又はステップA19において最高レベル値「SOCmax0」以上であると判定した場合は(ステップA19;Yes)、CPU200は、ステップA23へと処理を移行する。
【0105】
次いで、CPU200は、仮想鉄道車両がアイドリング状態であるか否かを判定し(ステップA23)、アイドリング状態であると判定した場合は(ステップA23;Yes)、SOCデータ410に記憶されているSOCが、最高レベル値「SOCmax0」以上であるか否かを判定する(ステップA25)。
【0106】
ステップA25において最高レベル値「SOCmax0」未満であると判定した場合は(ステップA25;No)、CPU200は、仮想発電機10の出力電力で仮想バッテリ60を充電させる(ステップA27)。具体的には、CPU200は、仮想発電機10を「OPTモード」で駆動させ、この出力電力で仮想バッテリ60を充電させる。
【0107】
ステップA23においてアイドリング状態ではないと判定した場合(ステップA23;No)、ステップA25において最高レベル値「SOCmax0」以上であると判定した場合(ステップA25;Yes)、又は、ステップS27の処理の後、CPU200は、仮想バッテリ60の蓄電量と、仮想主電動機40による仮想鉄道車両の走行速度と、運転台ノッチデータ420及びパラメータノッチデータ430に格納されているそれぞれのノッチ段数と、仮想発電機10の発電制御モードと、仮想発電機10の発電に要した燃料消費量とを現在時刻と対応づけて状況記録データ440に蓄積的に記録し(ステップA29)、ステップA2に処理を移行する。
【0108】
4.作用効果
本実施形態によれば、仮想バッテリ60のSOCに応じた仮想発電機10の発電制御モードの切替パターンが、仮想鉄道車両の走行速度域及びパラメータノッチ毎に予め設定されている。そして、仮想鉄道車両の現在の走行速度及びパラメータノッチに応じて、切替パターンが択一的に選択される。そして、現在の仮想バッテリ60のSOCに応じた発電制御モードで、仮想発電機10の駆動が制御されるように模擬される。
【0109】
例えば、仮想鉄道車両の走行速度が第1臨界速度未満の速度域の場合は、仮想バッテリ60のSOCに基づいて、「MAXモード」と、「OPTモード」と、「SIVモード」とが切り替えられることになる。具体的には、SOCが最高レベル値に近い場合は、「OPTモード」と「SIVモード」とが切り替えられ、SOCが最低レベル値に近い場合は、「MAXモード」と、「OPTモード」とが切り替えられる。従って、要求電力に応じて仮想発電機10の出力を適切に抑えるような仮想発電機10の駆動制御をシミュレーションすることができ、省エネルギー化の運転制御としての実現可能性を探ることが可能となる。
【0110】
5.変形例
5-1.中ノッチにおける発電制御モード
パラメータノッチが「3N」又は「2N」である場合は、高速域において、「MAXモード」と、「SIVモード」とを切り替えながら発電制御を行うものとして説明したが、これに「OPTモード」を加えても勿論良い。この場合は、低速域の場合と同様に発電制御モードの切り替えを行うようにする。
【0111】
5-2.給電不足の発生可能性検出
本実施形態では、パラメータノッチが「5N」又は「4N」である場合の高速域において、仮想バッテリ60のSOCによる仮想バッテリ60の充電量と、「MAXモード」による供給電力との和が、要求電力未満であるか否かを判定することで、給電不足の発生可能性を検出するものとして説明したが、これを仮想バッテリ60のSOCに基づいて検出することにしても良い。例えば、図10のステップB29の代わりに、仮想バッテリ60のSOCが所定の極低レベル(SOCmin0未満)である場合は、給電不足の発生可能性ありと判定する。
【0112】
5-3.給電不足時のパラメータノッチの切替
また、本実施形態では、給電不足の発生可能性が検出された場合に、パラメータノッチを1段階ずつ下げるものとして説明したが、これを2段階以上下げることにしても良い。例えば、パラメータノッチが「5N」である場合は「3N」に下げ、パラメータノッチが「4N」である場合は「2N」に下げるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】制御シミュレータにより模擬される各仮想機器の構成の概念を説明するための図。
【図2】制御シミュレータの構成を示す図。
【図3】パラメータノッチが「5N」の場合の要求電力曲線を示す図。
【図4】パラメータノッチが「4N」の場合の要求電力曲線を示す図。
【図5】パラメータノッチが「3N」の場合の要求電力曲線を示す図。
【図6】パラメータノッチが「2N」の場合の要求電力曲線を示す図。
【図7】パラメータノッチが「5N」又は「4N」の場合の切替パターンを示す図。
【図8】パラメータノッチが「3N」又は「2N」の場合の切替パターンを示す図。
【図9】制御シミュレーション処理の流れを示すフローチャート。
【図10】高ノッチ用発電制御モード切替処理の流れを示すフローチャート。
【図11】中ノッチ用発電制御モード切替処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0114】
1 制御シミュレータ
10 仮想発電機
20 仮想コンバータ
30 仮想インバータ
40 仮想主電動機
50 仮想補助電源装置
60 仮想バッテリ
200 CPU
300 ROM
310 制御シミュレーションプログラム
400 RAM
410 SOCデータ
420 運転台ノッチデータ
430 パラメータノッチデータ
440 状況記録データ
500 操作入力装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10