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明細書 :軌道摩擦低減装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4829095号 (P4829095)
公開番号 特開2008-156878 (P2008-156878A)
登録日 平成23年9月22日(2011.9.22)
発行日 平成23年11月30日(2011.11.30)
公開日 平成20年7月10日(2008.7.10)
発明の名称または考案の名称 軌道摩擦低減装置
国際特許分類 E01B   5/18        (2006.01)
B61K   3/00        (2006.01)
E01B  19/00        (2006.01)
FI E01B 5/18
B61K 3/00
E01B 19/00 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2006-346006 (P2006-346006)
出願日 平成18年12月22日(2006.12.22)
審査請求日 平成21年3月23日(2009.3.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】緒方 政照
【氏名】伴 巧
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 隆
審査官 【審査官】小山 清二
参考文献・文献 登録実用新案第3074439(JP,U)
登録実用新案第3071849(JP,U)
特開2000-096501(JP,A)
特開平07-017402(JP,A)
特開平05-004583(JP,A)
特開2000-001802(JP,A)
登録実用新案第3086802(JP,U)
調査した分野 E01B 5/18
B61K 3/00
E01B 19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
カーブ区間に位置するレールの内側かつ近接に配置されて脱輪を防止するアングル材を有する脱線防止ガードと、この脱線防止ガードに設けられる散水手段とからなる軌道摩擦低減装置であって、
前記散水手段は、前記脱線防止ガードの内方側にて該脱線防止ガードに沿って固定された給水パイプと、この給水パイプにその長さ方向に間隔をおいて配置されかつ前記アングル材の垂直支持部を貫通するよう配置されて近傍のレールに向けて散水する噴射ノズルと、から構成されることを特徴とする軌道摩擦低減装置。
【請求項2】
前記噴射ノズルは、本体側が前記脱線防止ガード内に格納されるとともに、その先端の噴射口が、近傍に位置するレールの上部軌道面より下方に位置し、当該レールの上部軌道面に向けて散水することを特徴とする請求項1に記載の軌道摩擦低減装置。
【請求項3】
前記給水パイプは、前記脱線防止ガードに対して絶縁状態に配置されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の軌道摩擦低減装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は列車が走行するレールにてカーブ区間の車輪とレールとの摩擦を低減させることができる軌道摩擦低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車がレールのカーブ区間を走行する場合に、内側車輪と外側車輪の周速差によって車輪とレールとに摩擦が発生し、この摩擦によって、きしり音発生、著大横圧、フランジ磨耗、レールの磨耗といった数々の問題が生じる。そして、このような車輪とレールとの摩擦を低減させるために、それらの間に散水、塗油、固体潤滑剤等を噴射するなど種々の対策が取られている(「非特許文献1」、「非特許文献2」参照)。
【0003】
具体的には、車両に積載される摩擦調整材供給ユニット(FMC)と摩擦調整材供給装置(FMS)と噴射ノズルとを有し、レール上に摩擦調整材を噴射する摩擦調整材噴射装置(「非特許文献3」参照)、レールの外側にタブを設け、車輪がタブを踏む圧力によってグリスをタンクからレール面に塗布するアラジン式塗油装置、タイマーを使用して定量のマシン油をノズルから噴射する名往式給油装置、ボックス部(タンクと制御部からなる)と塗布バーと構成されてKeltrackと称される摩擦調整材を塗布する装置(いずれも「非特許文献4」参照)、などの摩擦低減策が知られている。

【非特許文献1】「鉄道車両と技術 No.71」(有)レールアンドテック出版、2002年1月20日発行、「車両運動制御のための車輪・レール間の摩擦制御の実用化(その1・コンセプトと効果)」の項目、2頁-6頁
【非特許文献2】「鉄道車両と技術 No.72」(有)レールアンドテック出版、2002年4月20日発行、「車両運動制御のための車輪・レール間の摩擦制御の実用化(その2・コンセプトと効果)」の項目、30頁-34頁
【非特許文献3】「鉄道車両と技術 No.75」(有)レールアンドテック出版、2002年7月20日発行、「車両運動制御のための車輪・レール間の摩擦制御の実用化(その3・コンセプトと効果)」の項目、32頁-37頁
【非特許文献4】「鉄道車両と技術 No.79」(有)レールアンドテック出版、2002年11月20日発行、「摩擦調整材によりきしり音対策」の項目、32頁-40頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記非特許文献1~4に示される車輪とレールとの摩擦を低減させる手段は、いずれも装置が大掛かり、制御が複雑などの問題がある。また、上述した摩擦調整材として使用される油、グリスなどの潤滑材は、土壌を汚染する恐れがあり、最良の摩擦調整材とは言えない。
【0005】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、土壌を汚染することなくかつ簡易な構成で、車輪とレールとの摩擦を効果的に低減させることができる軌道摩擦低減装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、上記目的を達成するために本発明の課題解決手段では、カーブ区間に位置するレールの内側かつ近接に配置されて脱輪を防止するアングル材を有する脱線防止ガードと、この脱線防止ガードに設けられる散水手段とからなる軌道摩擦低減装置であって、前記散水手段を、前記脱線防止ガードの内方側にて該脱線防止ガードに沿って固定された給水パイプと、この給水パイプにその長さ方向に間隔をおいて配置されかつ前記アングル材の垂直支持部を貫通するよう配置されて近傍のレールに向けて散水する噴射ノズルと、から構成する。
【0007】
また、本発明の課題解決手段では、前記噴射ノズルを、その本体側を前記脱線防止ガード内に格納するとともに、その先端の噴射口を近傍に位置するレールの上部軌道面より下方に位置させて、当該レールの上部軌道面に向けて散水させる。
【0008】
また、本発明の課題解決手段では、前記給水パイプを前記脱線防止ガードに対して絶縁状態に配置する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された軌道摩擦低減装置によれば、脱線防止ガードの内方側にて該脱線防止ガードに沿って固定された給水パイプと、この給水パイプに間隔をおいてかつ脱線防止ガードのアングル材の垂直支持部を貫通するよう配置された噴射ノズルとからなる散水手段を設けたので、この散水手段の噴射ノズルから噴射された水が、カーブ区間のレールに散水され、これによってカーブ区間の車輪とレールとの摩擦を低減させ、きしり音発生、著大横圧、フランジ磨耗、レールの磨耗等を防止することができる。そして、本発明の軌道摩擦低減装置では、脱線防止ガードに沿って固定された給水パイプと、この給水パイプに間隔をおいて設けられた噴射ノズルという簡易な構成によって、カーブ区間の車輪とレールとの摩擦を低減させることができ、従来の摩擦低減装置と比較して大幅な構造の簡素化を実現することができる。また、水により車輪とレールとの摩擦を低減させることから、従来の摩擦低減装置のように摩擦調整材によって土壌を汚染する恐れもない。
【0010】
また、上記軌道摩擦低減装置によれば、噴射ノズルを、その本体側を前記脱線防止ガード内に格納するとともに、その先端の噴射口を、近傍に位置するレールの上部軌道面より下方に位置させるようにし、そのレールの上部軌道面に向けて噴射ノズルから散水を行うようにしたので、噴射ノズルから噴射された水を、弧を描く放射線状となるようにレール上に散水させることができ、1つの噴射ノズルから広範囲に効率良く散水することが可能となる。
【0011】
また、上記軌道摩擦低減装置によれば、脱線防止ガードに対して絶縁状態に給水パイプを配置するようにしたので、この給水パイプを通じて線路が導通された状態となることがなく、これにより、列車の存在によりレールが導通された状態となりかつこの導通を検出することで線路上の列車位置を確認する軌道回路に対して、悪影響を与えることが防止される。すなわち、上記構成の散水手段を配置したとしても、列車位置を検出する軌道回路を正常に機能させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を図1~図4に基づいて説明する。図1は本発明の軌道摩擦低減装置100が設置されるレールRのカーブ区間であって、このレールRの内軌R1には脱輪を防止する脱線防止ガード1が設けられている。
【0013】
この脱線防止ガード1は、図2及び図3に示すようにレールRの内軌R1の近傍にレールRに沿うように設けられたL字状のアングル材2と、このアングル材2をレールRに固定する取付け部材3とから構成されるものである。アングル材2は水平部2Aと垂直支持部2Bとからなり、垂直支持部2Bが取付け部材3によってレールRの基部Raに締結固定されている。取付け部材3は、レールRに対してその長さ方向に所定の間隔をおいて配置されており、ボルト・ナットからなる締結手段4によって、レールRの各所にアングル材2を締結固定する。なお、図2において符号5で示されるものは、レールRを枕木Mに対して固定するためのレール締結金具である。
【0014】
この脱線防止ガード1には、図2に示されるように、レールRの内軌R1に対して散水するための散水手段6が設けられている。この散水手段6は、図3に示すように脱線防止ガード1の内方側にて該脱線防止ガード1の長さ方向に沿って固定された給水パイプ7と、この給水パイプ7にその長さ方向に間隔をおいて設けられた噴射ノズル8と、から構成される。給水パイプ7は例えば塩化ビニル等のプラスチックパイプからなるものであって、固定手段(図示略)によって脱線防止ガード1のL字状アングル材2の角部内側に固定される。また、アングル材2の垂直支持部2Bには貫通孔2bが形成されており、噴射ノズル8は、この貫通孔2bを経由するノズルパイプ9を通じて、給水パイプ7内の水を近傍のレールRの内軌R1に向けて散水する。また、この噴射ノズル8は、その本体側を前記脱線防止ガード1内に格納するとともに、近傍に位置するレールRの上部軌道面(符号Rbで示す)より下方に、その先端の噴射口8Aを位置させ、給水パイプ7の水が、レールRの上部軌道面Rbに向けて弧を描く放射線状となるように調整されている。
【0015】
なお、上記の散水手段6では、塩化ビニル等のプラスチックパイプからなる給水パイプ7を使用したが、これは、この給水パイプ7を通じてレールRが常時、導通状態となることを防止するためである。すなわち、レールRの内軌R1と外軌R2とは互いに絶縁され、かつレールRも区間毎に絶縁された状態にあり、列車がその区間に存在するときのみその列車によってレールRが導通された状態となる。そして、この導通を軌道回路によって検出することで線路上の列車位置を確認するようにしているので、上記のような給水パイプ7を使用したとしても、軌道回路に対して影響を与えることが無く、かつ列車位置を検出する軌道回路を正常に機能させることができる。また、この実施の形態では、プラスチックパイプからなる給水パイプ7を使用したが、これに限定されず、金属製の給水パイプ7を使用した場合には、図4に符号10で示すように、脱線防止ガード1のアングル材2にプラスチック等の絶縁体により形成された固定手段を設け、この固定手段10に金属製の給水パイプ7を支持させることによって、レールRを非導通な状態としても良い。
また、前記給水パイプ7に図示せぬ電磁弁を付設し、車両の走行位置を検知するセンサからの信号によってこの電磁弁を開閉し、車両が所定距離以内に近づきそれらが通過するときのみ、散水手段6による給水を行うようにしても良い。
【0016】
上記のように構成された軌道摩擦低減装置100によれば、脱線防止ガード1の内方側にて該脱線防止ガード1に沿って固定された給水パイプ7と、この給水パイプ7に間隔をおいてかつ脱線防止ガード1のアングル材2の垂直支持部2Bを貫通するよう配置された噴射ノズル8とからなる散水手段6を設けたので、この散水手段6の噴射ノズル8から噴射された水が、カーブ区間のレールRの内軌R1に散水され、これによってカーブ区間の車輪とレールRの内軌R1との間に液体を介在させることにより両者の摩擦を低減させ、きしり音発生、著大横圧、フランジ磨耗、レールRの磨耗等を防止することができる。そして、この軌道摩擦低減装置100では、脱線防止ガード1に沿って固定された給水パイプ7と、この給水パイプ7に間隔をおいて設けられた噴射ノズル8という簡易な構成によって、カーブ区間の車輪とレールRの内軌R1との摩擦を低減させることができ、従来の摩擦低減装置と比較して大幅な構造の簡素化を実現することができる。また、水により車輪とレールRとの摩擦を低減させるものであるので、従来の摩擦低減装置のように摩擦調整材によって土壌を汚染する恐れもない。
【0017】
また、上記の軌道摩擦低減装置100では、噴射ノズル8の噴射口を、近傍に位置するレールRの上部軌道面Rbより下方に位置させるようにし、そのレールRの上部軌道面Rbに向けて噴射ノズル8から散水を行うようにしたので、噴射ノズル8から噴射された水を、弧を描く放射線状となるようにレールR上に散水させることができ、1つの噴射ノズル8から広範囲に効率良く散水することが可能となる。
【0018】
また、上記の軌道摩擦低減装置100では、脱線防止ガード1に対して絶縁状態に給水パイプ7を配置するようにしたので、この給水パイプ7を通じて線路が導通された状態となることがなく、これにより、列車の存在により導通された状態となりかつこの導通を検出することで線路上の列車位置を確認する軌道回路に対して、影響を与えず、列車位置を検出する軌道回路を正常に機能させることができるという効果が奏される。
【0019】
なお、上記の軌道摩擦低減装置100では、レールRの内軌R1の内側に設けた脱線防止ガード1に散水手段6を設置したが、レールR1の外軌R2に内側に設けた脱線防止ガードに散水手段6を設置しても良く、路線の状況に応じて適宜選択される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】レールRの内軌R1に配置された脱線防止ガード1と給水パイプ7との位置関係を示す図。
【図2】脱線防止ガード1に取り付けられた散水手段6を示す斜視図。
【図3】散水手段6の具体的構成を示す断面図。
【図4】散水手段6の他の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0021】
R レール
R1 内軌
R2 外軌
1 脱線防止ガード
2 アングル材
6 散水手段
7 給水パイプ
8 噴射ノズル
100 軌道摩擦低減装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3