TOP > 国内特許検索 > 地盤浸食判別装置および地盤浸食判別方法 > 明細書

明細書 :地盤浸食判別装置および地盤浸食判別方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4798787号 (P4798787)
公開番号 特開2008-129849 (P2008-129849A)
登録日 平成23年8月12日(2011.8.12)
発行日 平成23年10月19日(2011.10.19)
公開日 平成20年6月5日(2008.6.5)
発明の名称または考案の名称 地盤浸食判別装置および地盤浸食判別方法
国際特許分類 G08B  21/10        (2006.01)
E02D  17/20        (2006.01)
E02D   1/00        (2006.01)
G01V   8/10        (2006.01)
FI G08B 21/10
E02D 17/20 106
E02D 1/00
G01V 9/04 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2006-314133 (P2006-314133)
出願日 平成18年11月21日(2006.11.21)
審査請求日 平成21年3月30日(2009.3.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】坂井 宏行
個別代理人の代理人 【識別番号】100085394、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
審査官 【審査官】谷治 和文
参考文献・文献 特開平11-183207(JP,A)
特開平10-253763(JP,A)
特開2000-098051(JP,A)
特開2002-054956(JP,A)
特開2002-312868(JP,A)
特開平09-305876(JP,A)
調査した分野 G08B 21/10
E02D 1/00
E02D 17/20
G01V 8/10
特許請求の範囲 【請求項1】
地盤の監視箇所に穿設したボーリング孔に挿入セットされて地盤の浸食を監視するための地盤監視具と、該地盤監視具からの監視結果に基づいて地盤浸食の判別をする浸食判別手段とを備え、地盤監視具は、光検知センサーがそれぞれ組込まれた複数の開口が間隙を存して一連状に設けられ、地盤が浸食を受けたことにより開口から入った光を前記光検知センサーで検知して出力する筒状の外筐を用いて構成され、浸食判別手段は、前記出力された検知信号が外筐の先端側から複数個連続してある場合には地盤崩落であると判別し、中間部に点在するものである場合には地盤ひび割れであると判別するように設定されていることを特徴とする地盤浸食判別装置。
【請求項2】
浸食判別手段は、検知信号が先端開口からのみである場合には、地盤浸食が開始されたと判別するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の地盤浸食判別装置。
【請求項3】
地盤の監視箇所に穿設したボーリング孔に挿入セットされて地盤の浸食を監視するための地盤監視具と、該地盤監視具からの監視結果に基づいて地盤浸食の判別をする浸食判別手段とを備え、地盤監視具は、光検知センサーがそれぞれ組込まれた複数の開口が間隙を存して一連状に設けられ、地盤が浸食を受けたことにより開口から入った光を前記光検知センサーで検知して出力する筒状の外筐を用いて構成され、浸食判別手段は、前記出力された検知信号が外筐の先端側から複数個連続してある場合には地盤崩落であると判別し、中間部に点在するものである場合には地盤ひび割れであると判別することを特徴とする地盤浸食判別方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤が浸食を受けたことで発生した地盤の変状あるいは変位が地盤崩落であるのか地盤ひび割れであるかの判別をするための地盤浸食判別装置および地盤浸食判別方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、海岸や河岸では波浪や流水によって地盤浸食を受けており、このような地盤浸食によって発生する災害を未然に防止することが切望されている。ところでこのような災害発生を回避するためには、浸食の進捗状況を監視する必要があるが、これを人手に頼ることは効率が悪いだけでなく、場所によっては監視できないような危険箇所があったりするという問題がある。
そこで、光ケーブルをボーリング孔に装填し、浸食によって光ケーブルが破断したり、折曲したりすることの検知をして浸食状態を監視するようにしたものが知られている(特許文献1)。

【特許文献1】特開平11-336041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで前記光ケーブルを用いて地盤の浸食を監視しようとする場合に、該監視しようとする地盤の性状について多種多様のものが有るのが実情で、ある地盤では地盤浸食により光ケーブルが破断ないしは光伝送をしないほどの折曲が発生することにより地盤浸食の検知はできるが、性状の異なる別の地盤においてはこのような破断ないしは折曲が発生するという保証はなく、このため監視しようとする地盤の性状に合わせて、地盤浸食があった場合に確実に破断ないしは折曲する光ケーブルをいちいち製作しなければならないことになって検知精度の信頼性に劣るだけでなく、この地盤浸食が地盤崩落なのか地盤ひび割れなのかを判別することができないのが実情であって、これらに本発明が解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、地盤の監視箇所に穿設したボーリング孔に挿入セットされて地盤の浸食を監視するための地盤監視具と、該地盤監視具からの監視結果に基づいて地盤浸食の判別をする浸食判別手段とを備え、地盤監視具は、光検知センサーがそれぞれ組込まれた複数の開口が間隙を存して一連状に設けられ、地盤が浸食を受けたことにより開口から入った光を前記光検知センサーで検知して出力する筒状の外筐を用いて構成され、浸食判別手段は、前記出力された検知信号が外筐の先端側から複数個連続してある場合には地盤崩落であると判別し、中間部に点在するものである場合には地盤ひび割れであると判別するように設定されていることを特徴とする地盤浸食判別装置である。
請求項2の発明は、浸食判別手段は、検知信号が先端開口からのみである場合には、地盤浸食が開始されたと判別するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の地盤浸食判別装置である。
請求項3の発明は、地盤の監視箇所に穿設したボーリング孔に挿入セットされて地盤の浸食を監視するための地盤監視具と、該地盤監視具からの監視結果に基づいて地盤浸食の判別をする浸食判別手段とを備え、地盤監視具は、光検知センサーがそれぞれ組込まれた複数の開口が間隙を存して一連状に設けられ、地盤が浸食を受けたことにより開口から入った光を前記光検知センサーで検知して出力する筒状の外筐を用いて構成され、浸食判別手段は、前記出力された検知信号が外筐の先端側から複数個連続してある場合には地盤崩落であると判別し、中間部に点在するものである場合には地盤ひび割れであると判別することを特徴とする地盤浸食判別方法である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1または3の発明とすることにより、外筐に形成の開口から入った光を光検知センサーが検知することに基づいて浸食監視ができることになって、光ケーブルを用いたもののように地盤の性状にあわせたものにする必要がないうえに、該検知された地盤浸食が、地盤崩壊であるか地盤ひび割れであるかの判別も簡単にできることになって、信頼性の高い地盤監視ができると共に早期対策を計ることが可能になる。
請求項2の発明とすることにより、地盤浸食の検知が先端開口だけである場合、地盤崩壊であるか地盤ひび割れであるかの判別はしないものの、地盤浸食が開始されたことの判別ができて、早期対策を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図中、1は地盤の監視具であって、該監視具1は、長筒状をした外筐2と、該外筐2に収容される光検知センサー3とを用いて構成されている。前記外筐2は、鉄、ステンレス等の金属製、あるいはポリ塩化ビニルやポリメタクリル酸等の合成樹脂製の筒体からなるが、本発明においては地盤浸食に基づく地盤崩落にまで耐え得る強度が要求されることから金属製であることが好ましく、さらに長期間での監視において腐食を考慮した場合に、腐食しづらい金属、例えばステンレス鋼材を用いることが好ましい。外筐2が合成樹脂製である場合、透明を含めた透光性素材で形成されることがあり、このような場合には不透光性顔料を分散させて不透光の外筐2を形成しても良く、また表面あるいは裏面に不透光な塗料を塗布したり、不透光な布材や金属箔で被覆する等して不透光状態にしたものであってもよい。
【0007】
そして外筐2には、後述するように所定の間隔を存して開口(窓)4が開設されているが、この間隔(ピッチ)は、等間隔(例えば15cm間隔や25cm間隔等)であってもよいが、ボーリング孔Xに監視具1をセットした場合に、該監視具1の孔奥側は間隔が大きく、孔入口側は間隔が小さくなるように間隔を異ならしめても勿論よい。このように間隔を異ならしめる場合、例えば先端側半部を25cm間隔、基端側半部を15cm間隔とするように段階的(二段階だけでなく、三段階等、必要において複数段階にすることができる)に異ならしめることもでき、また例えば、先端の25cm間隔から次第にピッチを短くして、あるいは長くして基端で15cm間隔になるように漸次間隔が短くなるあるいは長くなるように異ならしめても実施することができる。これら間隔を異ならしめるのは、確度(精度)の高い監視をしたい場合に間隔を短くし、さほど確度を必要としない監視でよいところについては間隔を長くするようにして使い分けることができる。
【0008】
さらに外筐2は、1本の長筒体を用いて構成してもよいが、複数の短筒体5を一連状に連結しても構成することができる。この場合、短筒体5は、前記開口4を1個または2個以上の複数個が形成されたものとすることができ、本実施の形態では複数個が形成されており、これら短筒体5を連結部材6を用いて連結することで外筐2を形成している。
【0009】
また、光検知センサー3は受光素子で構成され、このようなものとしてフォトトランジスタやフォトダイオード、硫化カドニウム(CdS)が例示される。
【0010】
一方、7は前記短筒体5の開口4部位に組込まれる監視室であって、該監視室7は、基板8によって一連状に連結された状態で短筒体5内に組込まれることで、該監視室7は開口4に対応する位置にセットされ、ビス7aを用いて短筒体5に固定される。監視室7には、前記光検知センサー3と共に、該光検知センサー3が正常に光検知作動をしているか否かの診断をするための発光体9が光検知センサー3と対となって配設されている。発光体9は、寿命、消費電力、コスト等の経済性を考えたとき、発光ダイオード(LED)のような発光素子であることが好ましい。そして監視室7は、開口4に対向する面部位を透光材で形成し、あるいは何も設けない状態としていて開口4からの光入射を可能とし、残りの面部位は不透光とし、これによって隣接する監視室7同士は光学的に遮断されていて互いに光の漏洩がないように設計されている。尚、本実施の形態では、開口4を透光性部材4aで閉鎖して外筐2内に土砂が浸入しないようにしているが、外筐2内を透光性樹脂材を充填するようにしても土砂の浸入を防止することができる。
【0011】
このようにして監視具1が形成されるが、さらに本実施の形態では、前記光検知センサー3からの光検知信号の入力および発光体9の発光をさせるための配線を纏めたケーブル10を内装した筒体11が前記監視具1に連結される状態で設けられている。そしてこのように形成された監視具1は、監視箇所に施工したボーリング孔Xに挿入セットされることになるが、監視具1は、開口4が下面を向くようにセットすることが、崩落した土砂が外筐上面に堆積しても監視ができることになるので好ましい。また、このようにすることで、受光部を土砂で遮光することができる。勿論、必要において開口4が横向き、上向きとなるように筒体11をセットすることができる。
【0012】
前記ケーブル10は、筒体11から引き出され、監視箇所近傍に配した送受信具12に接続されている。送受信具12は太陽電池13を電源として起動するものであり、管理施設Yに設けた制御部14からの制御信号に基づいて必要な指令の入出力をするようになっている。尚、管理施設Yが近くにあるような場合には、送受信具12を用いることなく、ケーブル10を延長して制御部14に直接接続することもできる。また、き電設備がある場合、該き電設備から送受信具12に直接電源を受けるようにしてもよい。
【0013】
さらに本実施の形態では、制御部14は図4のブロック回路図に示すようにパーソナルコンピューターにおいて構成され、表示用のディスプレイ15、入力用のキーボード16、プリンター17およびスピーカ18が接続され、さらには適宜の通信回線を介して図示しないホストコンピューターに接続され、必要な監視管理、警報発信管理等の管理業務が実行されるようになっている。前記制御部14には、光検知センサー3からの光検知信号の有無に基づき、浸食があったか否かの判断をするためのソフトウエア、浸食判別をするためのソフトウエア、所定時間ごとに発光体9に対して発光指令を出力するためのソフトウエア等の各種のソフトウエアが格納されている。
【0014】
次に、光検知センサー3からの光検知信号が入力された場合に、それがどのような地盤浸食であるかの判別を行う手順について図5に示すフローチャート図を用いて説明する。制御部14において、電源投入によりシステムスタートをし、必要な情報読み込みをして初期設定がなされると、地盤浸食の判別制御が実行されることになるが、この実施の形態では、まず光検知センサー3からの光検知信号の入力があったか否かの判断Iがなされる。この場合において、制御部14は、各光検知センサー3の配置を識別することができ、例えばこれは先端側から光検知センサー3-1、3-2、3-3、・・・、3-nと順番に番号当て(番地付け)をすることで識別できることになる。そして光検知信号の入力があった場合に、これが複数であるか否かの判断IIがなされ、複数であった場合、連続する光検知センサー3-c、3-d、・・・からの光検知信号の入力であるか否かの判断IIIがなされ、連続する光検知信号の入力であった場合、さらに先端の光検知センサー3-1からの光検知信号の入力であるか否かの判断IVがなされる。そして先端の光検知センサー3-1からの光検知信号の入力であった場合、これを地盤崩落と判断(判別)Vし、そして制御部14は、先端の光検知センサー3-1から入力末端の光検知センサー3-iまでの開口4部位の地盤が崩落したとしてこれを記憶すると共に、ディスプレイ表示、プリントあるいは警報発令等の必要な報知をし、併せて該情報を外部送信することになる。
【0015】
一方、前記判断IIで光検知信号の入力が複数でない、つまり単数であると判断された場合、該光検知をした光検知センサー3が先端のものであるか否かの判断VIがなされ、先端の光検知センサー3-1であると判断された場合、地盤浸食が開始されたと判断VIIされ、これを前記同様、ディスプレイ表示、プリントあるいは警報発令等の必要な報知をし、併せて該情報を外部送信することになる。これに対し、前記判断VIで先端の光検知センサー3-1でなく、中間の光検知センサー3-iであると判断された場合、該判断された部位の地盤がひび割れたものであると判断VIIIすると共に、ディスプレイ表示、プリントあるいは警報発令等の必要な報知をし、併せて該情報を外部送信することになる。
【0016】
一方、前記判断IIIで、複数あった光検知が連続した光検知センサー3ではないと判断された場合、あるいは判断IVで先端からの光検知ではないと判断された場合、該判断された部位の地盤がひび割れたものであると判断VIIIすると共に、ディスプレイ表示、プリントあるいは警報発令等の必要な報知をし、併せて該情報を外部送信することになる。
【0017】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、監視対象地盤に穿設したボーリング孔Xに監視具1を挿入セットした状態にしておいた状態で地盤浸食を受けて地盤崩落Aをした場合には、地盤崩落Aが進むにつれて先端側から順番に開口4が露出して外光がここから入り込みをし、これによって、該開口4に設けた光検知センサー3が検知し、この検知信号が制御部14に入力して地盤崩落の地盤浸食があったことの判断がなされることになる。また地盤浸食がひび割れBである場合には、ひびを通って浸入した外光を開口4に設けた光検知センサー3で検知することになるが、この検知信号は、前述した地盤崩落のように先端側から順番の光検知ではなく、部分的あるいは局所的な検知となってこれが制御部14に入力することになり、これによってひび割れの地盤浸食があったことの判断がなされることになる。
【0018】
このようにボーリング孔Xに監視具1を挿入して地盤浸食の監視をすることになるが、該監視は、外筐2に形成した開口4に地盤浸食によって外光が入り込むか否かによってなされるため、従来の光ケーブルの破断や折曲に基づいて検知するもののように地盤性状に影響されることがなく、この結果、監視精度が高く、安定性がある地盤浸食の監視をすることができる。
【0019】
しかもこのものでは、光検知をしている光検知センサー3が、先端から連続して複数有ると判断される場合には地盤崩落の浸食を受けたものであると判別し、先端からでなく中間部である(中間部に点在する)と判断される場合にはひび割れの浸食を受けたものであると判別し、しかもひび割れた部位、数、さらには大きさの特定ができることになって、各対応する対策を早期のうちに採れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】地盤監視具を地盤にセットした状態を示す全体断面図である。
【図2】地盤監視具の一部を省略した断面正面図である。
【図3】地盤監視具を示すものであって、(A)は開口部位の拡大断面側面図、(B)は開口部位の拡大断面正面図である。
【図4】制御回路のブロック回路図である。
【図5】制御手順の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0021】
1 地盤監視具
2 外筐
3 光検知センサー
4 開口
14 制御部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4