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明細書 :地下水含有イオン濃度の連続測定方法および連続測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4818074号 (P4818074)
公開番号 特開2008-128643 (P2008-128643A)
登録日 平成23年9月9日(2011.9.9)
発行日 平成23年11月16日(2011.11.16)
公開日 平成20年6月5日(2008.6.5)
発明の名称または考案の名称 地下水含有イオン濃度の連続測定方法および連続測定装置
国際特許分類 G01N  27/416       (2006.01)
G01N  33/18        (2006.01)
FI G01N 27/46 351Z
G01N 33/18 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2006-310027 (P2006-310027)
出願日 平成18年11月16日(2006.11.16)
審査請求日 平成21年3月30日(2009.3.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】坂井 宏行
個別代理人の代理人 【識別番号】100085394、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
審査官 【審査官】野村 伸雄
参考文献・文献 特開昭57-086749(JP,A)
特開2003-279561(JP,A)
特開2004-037273(JP,A)
特開平09-281070(JP,A)
特開2000-039431(JP,A)
坂井宏行、外2名,関門トンネルの分析化学的漏水管理におけるイオン選択性電極の導入による測定作業の簡素化,日本鉄道施設協会誌,日本,社団法人日本鉄道施設協会,2002年 1月 1日,Vol.40,No.1,p. 40-42
調査した分野 G01N 27/26-27/49
G01N 33/18
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
地下水に含有する特定イオンのイオン濃度を、測定現場にセットしたイオン濃度測定センサを用いて連続的に測定するにあたり、測定現場に設置され、供給される地下水がオーバーフロー状態で溜められ、イオン濃度測定センサがセットされる地下水溜めを抗菌性金属雰囲気下にすると共に、不活性ガス供給手段から供給される不活性ガスにより地下水溜めに溜められた地下水が空気に接触するのを防止して測定するようにしたことを特徴とする地下水含有イオン濃度の連続測定方法。
【請求項2】
地下水に含有する特定イオンのイオン濃度を、測定現場にセットしたイオン濃度測定センサを用いて連続的に測定するための連続測定装置を、測定現場にセットされ、地下水がオーバーフロー状態で溜められる地下水溜めと、該地下水溜めにセットされるイオン濃度測定センサとを備えて構成するにあたり、前記地下水溜め内抗菌性金属雰囲気に設定すると共に、該地下水溜めに溜められた地下水が空気に接触するのを防止するため不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を設けたことを特徴とする地下水含有イオン濃度の連続測定装置。
【請求項3】
不活性ガス供給手段から供給される不活性ガスは窒素であることを特徴とする請求項1に記載の地下水含有イオン濃度の連続測定方法。
【請求項4】
不活性ガス供給手段から供給される不活性ガスは窒素であることを特徴とする請求項2に記載の地下水含有イオン濃度の連続測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水に含有するナトリウムイオンや塩化物イオンに代表されるイオンの濃度を長期間に亘って連続的に測定する地下水含有イオン濃度の連続測定方法および連続測定装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者は、地下水に含有するナトリウムイオンや塩化物イオンに代表される各種イオンのうち、予め測定目標とした特定イオンのイオン濃度を測定することで、例えば地盤変位の予知や地下構造物の安定度、さらには地下構造物への地下水の漏水流量の測定等ができるのではという推論のもと、これらについて実際に検証し、前記推論が正しいことを見出し、各種の発明を創作した(例えば特許文献1~5)。ところでこのような特定イオンのイオン濃度を測定する場合、定期的に測定現場に赴いて地下水のサンプリングをし、そして該現場で濃度測定をするか、あるいはサンプリングした地下水を実験室や検査室まで搬送して測定をするのが一般的な測定手法である。ところが測定現場が辺鄙なところにある場合、測定現場に出向くことすら煩わしく、さらにこのようなところからサンプリングした地下水を運び出すとなると、多大な労力と時間を要するという問題がある。

【特許文献1】特開2001-141545号公報
【特許文献2】特開2002-294681号公報
【特許文献3】特開2002-339373号公報
【特許文献4】特開2003-279561号公報
【特許文献5】特開2005-345110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで測定現場にイオン選択性電極で代表されるイオン濃度検出センサをセットし、該セットしたイオン濃度検出センサによって検出されるイオン濃度を連続的に測定し、この測定データを無線や有線による通信回線を介して入手するようにし、これによっていちいち測定現場に出向くことを省略できるようにすることが提唱される。そこで本発明の発明者は、このような現場での長期間に亘る測定が可能であるかを検証すべく、イオン選択性電極を場所を変えた複数の測定現場にセットし、イオン濃度の継続的な測定を試みたところ、何れの測定現場のものも時間が経過するほどイオン濃度の測定値が低下していき、短いものでは1週間ほどした段階でイオン濃度の測定値がゼロに近い数値となることが確認され、測定結果に信頼性が得られないという結果になった。このようになった原因がどこにあるかということでイオン選択性電極を調べてみたところ、何れのものも電極表面にバイオフィルム(ヌメリ)が発生しており、そこでこのバイオフィルムを除去すると再び高精度でイオン濃度の測定ができることが確認された。このことから、バイオフィルムの発生が測定精度を低下させる原因であることが確認された。
そこでこのバイオフィルム発生の原因を調べたところ、これは地下水中に生存するバクテリアが電極表面に付着することによるものであることが確認され、長期間に亘って信頼性が高いイオン濃度の測定をするにはバクテリア対策をすればよい、ということに着目し、これを本発明の解決課題とし、鋭意検討した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、地下水に含有する特定イオンのイオン濃度を、測定現場にセットしたイオン濃度測定センサを用いて連続的に測定するにあたり、測定現場に設置され、供給される地下水がオーバーフロー状態で溜められ、イオン濃度測定センサがセットされる地下水溜めを抗菌性金属雰囲気下にすると共に、不活性ガス供給手段から供給される不活性ガスにより地下水溜めに溜められた地下水が空気に接触するのを防止して測定するようにしたことを特徴とする地下水含有イオン濃度の連続測定方法である。
請求項2の発明は、地下水に含有する特定イオンのイオン濃度を、測定現場にセットしたイオン濃度測定センサを用いて連続的に測定するための連続測定装置を、測定現場にセットされ、地下水がオーバーフロー状態で溜められる地下水溜めと、該地下水溜めにセットされるイオン濃度測定センサとを備えて構成するにあたり、前記地下水溜め内抗菌性金属雰囲気に設定すると共に、該地下水溜めに溜められた地下水が空気に接触するのを防止するため不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を設けたことを特徴とする地下水含有イオン濃度の連続測定装置である。
請求項3の発明は、不活性ガス供給手段から供給される不活性ガスは窒素であることを特徴とする請求項1に記載の地下水含有イオン濃度の連続測定方法である。
請求項4の発明は、不活性ガス供給手段から供給される不活性ガスは窒素であることを特徴とする請求項2に記載の地下水含有イオン濃度の連続測定装置である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1または2の発明とすることで、地下水溜め内の地下水が抗菌性金属雰囲気となって地下水中に生存するバクテリアを排除できることになってセンサ表面にバイオフィルムが発生することを防止すると共に、地下水溜めに溜められた地下水が酸素に接触することを防止してバクテリアの増殖を抑制することができることになって、長期間に亘って精度の高いイオン濃度の検出ができることになる。
請求項3または4の発明とすることにより、不活性ガスとして窒素を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次ぎに、本発明の参考例について図1に基づいて説明する。図中、1は地下水に含有するナトリウムイオンや塩化物イオンに代表される特定イオンのイオン濃度を連続して測定するための測定装置であって、該測定装置1は、地下水溜めになる容器2と、該容器2にセットされるイオン選択性電極3とを備えて構成されるが、容器2は内面全体が抗菌性金属の一つである銀で鍍金されている。前記イオン選択性電極3は、参照電極4、温度計5と共に測定部位が容器内2に供給される地下水Wの水面下に位置するようにセットされる。そしてイオン選択性電極3は、濃度測定するものとして選択される特定イオン、例えばナトリウムイオン(Na)のイオン濃度の定量分析をするもので、特定イオンに感応して参照電極4とのあいだでイオン濃度に応じた電位差を生じるものであって、この電位差を電位差計6で測定し、該測定データを温度データと共に無線(携帯電話回線に代表される空中伝送波。勿論、有線であってもよい。)Xを介して図示しない管理システムに送信され、管理システムでは、該受信した測定データに温度補正をして特定イオンの濃度データを時系列的に蓄積し、ディスプレイ表示あるいはプリントできるようになっている。尚、Bは蓄電池を内蔵する太陽電池であって、電位差計6や無線送信当において必要となる電源供給をするようになっている。因みに、太陽光線が届かない暗所にセットするような場合にはバッテリ(市販電池に代表される)や自家発電装置を用いることができることはいうまでもない。
【0007】
7は地下水Wを容器2に供給するための配管であって、該配管7は、一端7aが地盤G中の地下水脈にセットされ、他端7bが容器2の水面以下に位置するようにセットされ、これによって地下水Wは外気に対して無接触状態で容器2に連続して供給されるようになっている。尚、地下水Wの供給は定量であることがこのましく、そのため、配管7にフローセルに代表される流量センサと可変絞り弁を設け、地下水Wが定量供給されるように制御することができる。
【0008】
叙述のごとく構成された本発明の参考例において、前記セットしたものと、容器としてポリエチレン製ものに同様のシステムをセットしたものを比較例とし、特定イオンとしてナトリウムイオンのイオン濃度を連続的に測定し、その結果を図2のグラフ図に示す。その結果、容器2に銀鍍金をしたものは、60日を過ぎても安定したイオン濃度の測定を継続してしているが、銀鍍金のないものは10日くらいのところから測定データが減少し始め、30日を経過するあたりで殆どゼロに近い測定結果となった。
【0009】
そして比較例のイオン選択性電極2と参照電極3とを容器から取り出し、触ってみたところ、表面がぬるぬるしていた。そこでこのバイオフィルムをきれいに洗い落としたものを再び地下水W中に入れてイオン濃度を測定したところ、良好な精度での濃度測定ができた。このことからバイオフィルムの発生が濃度測定の精度を低減していることが確認された。
これに対し、銀鍍金した容器2に入れたものについては60日を経過したものについて触ってみたが、バイオフィルムの発生は観測されなかった。
【0010】
このように、本発明の参考例においては、抗菌性金属である銀が容器2の内周面に鍍金され、この鍍金された銀がppb単位で地下水W中に溶出し、これによって容器2内に溜められた地下水Wが抗菌性雰囲気下となって地下水W中に生存するバクテリアを殆ど死滅させせたものと推測され、これによってイオン選択性電極表面にバイオフィルムの発生が抑制され、長期に亘って精度の高いイオン濃度の測定ができることになったと推測される。
【0011】
しかも参考例のものは、地下水Wを容器2に供給するにあたり、そのための配管7は、一端7aが地盤G中に埋設され、他端7bが容器2の水面下であって底面に近い位置に位置しているため、地下水Wは外気に触れない(無接触)状態で供給されることになり、この結果、好気性バクテリアの増殖を抑制する効果があり、一段とバイオフィルム形成を低減することができる。
【0012】
、抗菌性金属としては銀に限定されず、銅、金、白金、錫等の各種の金属(重金属)が挙げられるが、銀は安価に入手しやすく、また安全性も高いことから好ましい。
さらに地下水溜め内の地下水を抗菌性金属雰囲気下にするものとして、前記鍍金に限定されず、例えば抗菌性金属を綿状にしたもの、メッシュ状にしたもの、顆粒状にしたもの、さらには板や塊状にする等したものを採用することができるが、板や塊状のものは表面積が小さく、そこで表面をヤスリで擦過する等の処理をして凹凸を施しておくことで表面積を大きくして溶出効率を高くすることができる。またさらに、抗菌性金属をゼオライトに担持させて活性化し、地下水中に溶出しやすくしたものについても採用することができる。
【0013】
次に、本発明の実施の形態について、図3に基づいて説明する。尚、図3において、前記参考例と共通するもの(同一のもの)については、同一の符号を附すと共に説明を省略する。
つまり、前記参考例のものは、容器2がオープン型であるため、溜められている地下水Wの水面が外気(空気)に接触することになって好気性バクテリアの増殖抑制効果が低減に結びつくことになる。そこで容器2について、図3に示すように天板2aを備えたものにすると共に、排水管2bをU字形にしたものとして、容器2を、外気が入り込まない密閉型としておけば溜められた地下水の酸素との接触が防止されて好気性バクテリアの増殖回避が図れることになる。
らに、窒素に代表される不活性ガスを前記天板2aがある容器2に供給するようにしておくことで、地下水の酸素との接触が防止されて好気性バクテリアの増殖回避が図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】参考例における地下水含有イオン濃度の連続測定装置の概略図である。
【図2】イオン選択性電極を用いてナトリウムイオンのイオン濃度を測定したグラフ図である。
【図3】密封型容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 測定装置
2 容器
3 イオン選択性電極
7 配管
W 地下水
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2