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明細書 :都心地域へ増強される交通システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4689575号 (P4689575)
公開番号 特開2008-106436 (P2008-106436A)
登録日 平成23年2月25日(2011.2.25)
発行日 平成23年5月25日(2011.5.25)
公開日 平成20年5月8日(2008.5.8)
発明の名称または考案の名称 都心地域へ増強される交通システム
国際特許分類 E01C   1/00        (2006.01)
E01F   1/00        (2006.01)
FI E01C 1/00 Z
E01F 1/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2006-287375 (P2006-287375)
出願日 平成18年10月23日(2006.10.23)
審査請求日 平成21年1月29日(2009.1.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】鳥取 誠一
【氏名】武藤 雅威
【氏名】前橋 栄一
【氏名】岡本 大
【氏名】黒川 浩嗣
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】石川 信也
参考文献・文献 特開平10-035486(JP,A)
特開昭58-188748(JP,A)
特開昭57-172874(JP,A)
調査した分野 E01C 1/00
E01F 1/00
B61B 13/00-15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)複数車線を有するとともに中央部にホームが設けられる下層走行路と、
(b)該下層走行路の中央部のホームから上空に桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路と、
(c)該上層走行路の中央部に構築される島状停留所と、
(d)該島状停留所の中央部に前記上層走行路と下層走行路を接続する垂直方向の昇降路と該島状停留所の上流部と下流部にそれぞれ前記上層走行路と下層走行路を接続する傾斜方向の昇降路とを構築することを特徴とする都心地域へ増強される交通システム。
【請求項2】
請求項1記載の都心地域へ増強される交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路はフード付きの階段であることを特徴とする都心地域へ増強される交通システム。
【請求項3】
請求項1記載の都心地域へ増強される交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路はフード付きのエスカレータであることを特徴とする都心地域へ増強される交通システム。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の都心地域へ増強される交通システムにおいて、前記上層走行路は都心地域と郊外の地域との接続部において、立体的な構造を有することを特徴とする都心地域へ増強される交通システム。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載の都心地域へ増強される交通システムにおいて、前記上層走行路は複数並行走行路を含むことを特徴とする都心地域へ増強される交通システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、都心地域へ増強される交通システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図5に示すような四車線の道路における従来のLRT(Light Rail Transit)・バス複合システムでは、図6に示すように、LRT・バス専用走行レーン101,103は、自動車走行レーン102の両側に新たに路面軌道を敷設して構築する必要がある。
新たな交通システム走行路(線路・ガイドウエイを含む)を建設、設置する場合、特に、市街地や住宅地等の都市周辺地域では用地確保が困難となる。
【0003】
高価な用地買収は、交通システム開通後の運賃や維持経費に転嫁され、経営継続困難な状況に至らしめる場合があり、一方、用地買収が容易な郊外だけに路線建設しても利用客が集まらずに経営が破綻する傾向がある。
このような背景から、新規交通システムは利用客が見込めるものの用地買収が困難な地域に最低限の結節を図りながらも、全線にわたって建設費低減可能な構築を行わないと運営・維持管理が不可能なものとなる。
【0004】
郊外エリアでも地平構築は道路平面交差の問題も生じ、一般自動車と混在する路面軌道の長距離設備は低速運転や混雑の点で速達性、定時を欠き乗客離れを加速するものとなる。
なお、本願の発明者は、既に、懸垂式モノレールと路面電車とを組み合わせ、懸垂式モノレールの軌道桁下に絶縁物を介して架線を配置し、路面電車のパンタグラフを介して給電し、路面電車を懸垂式モノレールと合流させるようにした複合交通システムを提案している(下記特許文献1参照)。

【特許文献1】特許第3545316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新規な交通システムの構築においても、利用客の見込めない郊外設置だけでは採算性が不足するため、狭隘な都市市街地への結節も重要な課題となる。
低廉な建設費と運営費を標榜する複合交通システムにおいて、例えば都市内の道路上空や水路上空等による建設を行えば、用地取得コストが低減できる。
ただし、かかる交通システムの構築にあたっては、狭隘部であるため設置可能な走行路幅や駅・停留所の配置にも制約が生ずることとなる。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて、最低限の立体構築によって既存の自動車交通等との最低限の分離を行い、定時性と速達性を持たせつつ競争力を維持して建設コストの低減が可能な道路上空へ構築される都心地域へ増強される交通システムを提供することを目的とする。
また、複数の異種交通手段の複合化により、運転頻度向上や乗換え利便性の向上、走行路共有化による建設、維持管理保守コストの低減を図り得る、都心地域へ増強される交通システムを提供することを目的とする。
【0007】
すなわち、道路上空等に安価に複合交通システムを構築するための改善策を提供するものである。
また、ガイドウエイバスとLRT車両で共用する複合交通システムの場合、いずれも桁やレールによって操舵される運転形態となるため複線線路構築においても建設最大幅が一般道路以下に縮小可能で建設費も安価にできる。
【0008】
しかしながら、駅・停留所部においては運転される車両の特異な形態による制約で、進行方向左側に上下線個別にホームを設置する対向式ホーム配列を選択せざるをえない。この場合、両側ホームを含めた全幅が広くなり、建設規模が大きくなってコストが上昇するばかりか、地上等との立体移動に必要な階段やエレベータを複数設置することになり、建設コストだけでなく運営、保守コストも増大することになる。
【0009】
ただし、道路及び一般鉄道は、例えば日本においては左側通行に統一されているが、複合交通専用軌道においては逆の右側通行構築とすることで左側専用ドア扱い構造バス・LRT車両のままで島式ホーム構築が可能となり、複線路の停留所及び駅構築をスリム化でき、コスト削減効果も大きい都心地域へ増強される交通システムを構築することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕都心地域へ増強される交通システムにおいて、複数車線を有するとともに中央部にホームが設けられる下層走行路と、この下層走行路の中央部のホームから上空に桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路と、この上層走行路の中央部に構築される島状停留所と、この島状停留所の中央部に前記上層走行路と下層走行路を接続する垂直方向の昇降路と該島状停留所の上流部と下流部にそれぞれ前記上層走行路と下層走行路を接続する傾斜方向の昇降路とを構築することを特徴とする。
【0011】
〔2〕上記〔1〕記載の都心地域へ増強される交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路は、フード付きの階段であることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の都心地域へ増強される交通システムにおいて、前記島状停留所の上流部と下流部の傾斜方向の昇降路は、フード付きのエスカレータであることを特徴とする。
【0012】
〔4〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の都心地域へ増強される交通システムにおいて、前記上層走行路は都心地域と郊外の地域との接続部において、立体的な構造を有することを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の都心地域へ増強される交通システム において、前記上層走行路は複数並行走行路を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)都心部の道路上空へ新たな交通システムを低コストで構築することができる。
(2)上層走行路の停留所から下層走行路のホームへの移動が円滑であり、乗換えを容易にすることができる。
また、ガイドウエイバス及びLRT車両は、例えば片側(左側)にしかドアの無い簡易な従来車体構造のまま導入可能となり、あわせて狭隘空間に複合共用交通路を小規模に設置可能となるため、車両、施設ともにコスト削減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の都心地域へ増強される交通システムは、複数車線を有するとともに中央部にホームが設けられる下層走行路と、この下層走行路の中央部のホームから上空に桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路と、この上層走行路の中央部に構築される島状停留所と、この島状停留所の中央部に前記上層走行路と下層走行路を接続する垂直方向の昇降路と該島状停留所の上流部と下流部にそれぞれ前記上層走行路と下層走行路を接続する傾斜方向の昇降路とを構築する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す右側通行島式の道路上空へ構築される交通システムの横断面図、図2はその交通システムの上空からみた平面図、図3はその複合交通システムの島状停留所の模式斜視図、図4はそのバスとLRT車両が乗り入れた右側通行島式の道路上空へ構築される複合交通システムの模式図である。
【0016】
これらの図において、1は複数車線を有するとともに中央部にホーム2が設けられる下層走行路、3はこの下層走行路1の中央部のホーム2から上空に桁幅を有するほぼ断面がT字形状の上層走行路であり、この上層走行路3には脚部3Aと両側の壁3Bと桁3Cに構築される第1の道路3Dと第2の道路3Eとが設けられる。4はその上層走行路3の中央部に構築される島状停留所、5はその島状停留所4の中央部に設けられる上層走行路3と下層走行路1を接続する垂直方向の昇降路(エレベータ)、6,7はその島状停留所4の上流部と下流部にそれぞれ設けられる、上層走行路3と下層走行路1を接続する傾斜方向の昇降路(エスカレータ、又は階段)である。なお、例えば、第1の道路3Dには第1の車両(例えば、LRT車両)8、第2の道路3Eには第2の車両(例えば、ガイドウエイバス(通常の乗合バスでもよい))9が運行される。また、第1の道路3Dと第2の道路3Eは、図2に示すように、郊外の地域Bより、都心地域Aに入る地点Cで交差する立体的な構造となっており、都心地域Aでは第1の道路3Dと第2の道路3Eは、平行に配置され、また、都心地域Aから郊外の地域Bに入る地点Cで交差する立体的な構造となっている。なお、10は上層走行路3のT字形状の支持橋脚であり、このT字形状の支持橋脚10の上部は上層走行路3の幅程度であり、下部は狭められて下層走行路1のホーム2の端部に構築されるようになっている。
【0017】
このように構成されるので、下流の郊外の地域B2より入ってくる第1の車両(LRT車両)8は上流の郊外の地域B1からみて島状停留所4の左側に停車することにより、乗車客を下ろしたり、乗車させることができる。その島状停留所4で降りた者は、島状停留所4の中央部に配置されている上層走行路3と下層走行路1を接続する垂直方向の昇降路(エレベータ)5又は島状停留所4の上流部と下流部にそれぞれ設けられる上層走行路3と下層走行路1を接続する傾斜方向の昇降路(エスカレータ、又は階段)6,7を利用して下層走行路1の中央部のホーム2に下りてそれぞれの交通機関に乗り換えることができる。
【0018】
また、上流の郊外の地域Bより入ってくる第2の車両(ガイドウエイバス)9も上流からみて島状停留所4の右側に停まり、乗車客を下ろしたり、乗車させることができる。その島状停留所4で降りた者は、島状停留所4の中央部に配置されている上層走行路3と下層走行路1を接続する垂直方向の昇降路(エレベータ)5又は島状停留所4の上流部と下流部にそれぞれ設けられる上層走行路3と下層走行路1を接続する傾斜方向の昇降路(エスカレータ、又は階段)6,7を利用して下層走行路1の中央部のホーム2に下りてそれぞれの交通機関に乗り換えることができる。
【0019】
本発明によれば、都心地域の道路上空へ新たな道路交通システムを低コストで構築することができる。また、上層走行路の停留所から下層走行路のホームへの移動が円滑であり、乗換えを容易にすることができる。さらに、新たな道路交通網としての例えばガイドウエイバス及びLRT車両は、例えば片側(左側)にしかドアの無い簡易な従来車体構造のまま導入可能となり、あわせて狭隘空間に複合共用交通路を小規模に設置可能となるため、車両、施設ともにコスト削減が可能となる。
【0020】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の都心地域へ増強される交通システムは、低コストで構築することができる都心地域の道路上空への新たな道路交通システムとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例を示す右側通行島式の道路上空へ構築される交通システムの横断面図である。
【図2】本発明の実施例を示す右側通行島式の道路上空へ構築される交通システムの上空から見た平面図である。
【図3】本発明の実施例を示す複合交通システムの島状停留所の模式斜視図である。
【図4】本発明の実施例を示すバスとLRT車両が乗り入れた右側通行島式の道路上空へ構築される複合交通システムの図面代用の模式図である。
【図5】従来の四車線の道路を示す図面代用の模式図である。
【図6】従来の問題点を示す複合交通システムの模式図である。
【符号の説明】
【0023】
1 下層走行路
2 下層走行路の中央部のホーム
3 上層走行路
3A 脚部
3B 壁
3C 桁
3D 第1の道路
3E 第2の道路
4 上層走行路の島状停留所
5 垂直方向の昇降路(エレベータ)
6,7 傾斜方向の昇降路(エスカレータ、又は階段)
8 第1の車両(LRT車両)
9 第2の車両(ガイドウエイバス)
10 T字形状の支持橋脚
A 都心地域
B1 上流の郊外の地域
B2 下流の郊外の地域
C 郊外の地域Bより都心地域Aに入る地点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図6】
3
【図4】
4
【図5】
5