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明細書 :磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサ及びその異状検知システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4912805号 (P4912805)
公開番号 特開2008-070329 (P2008-070329A)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月11日(2012.4.11)
公開日 平成20年3月27日(2008.3.27)
発明の名称または考案の名称 磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサ及びその異状検知システム
国際特許分類 G01M  99/00        (2011.01)
B61K   9/08        (2006.01)
FI G01M 99/00 Z
B61K 9/08
請求項の数または発明の数 5
全頁数 7
出願番号 特願2006-251504 (P2006-251504)
出願日 平成18年9月15日(2006.9.15)
審査請求日 平成21年1月29日(2009.1.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 正夫
【氏名】田中 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開平06-217421(JP,A)
特開平05-175046(JP,A)
特開2004-301571(JP,A)
特開平05-281281(JP,A)
特開平07-236205(JP,A)
特開平07-059210(JP,A)
特開平08-258714(JP,A)
特開2004-087068(JP,A)
実開昭56-129723(JP,U)
調査した分野 G01M 99/00
B61K 9/08
特許請求の範囲 【請求項1】
磁気浮上式鉄道用地上コイルの成形時に、センサ部と、信号処理部と、メモリ部と、信号送信部と電源部とを具備する異状検知センサを配置し、前記電源部は、コイルと、該コイルに接続されるコンデンサとを具備することを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサ。
【請求項2】
(a)磁気浮上式鉄道用地上コイルに配置される、センサ部と、信号処理部と、メモリ部と、信号送信部と、電源部とを具備する異状検知センサと、
(b)保守用車両に搭載されるデータ読取・収録装置とを備え、
(c)磁気浮上式鉄道車両走行時のセクション内通電によって推進コイルに生ずる交流磁場により、前記電源部で発電した電力を用い、前記異状検知センサの情報を前記信号送信部から送信し、前記保守用車両に搭載されるデータ読取・収録装置により収集することを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システム。
【請求項3】
請求項記載の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システムにおいて、前記センサ部が振動加速度センサ、歪みセンサ、温度センサを含むことを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システム。
【請求項4】
請求項記載の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システムにおいて、前記電源部は、コイルと、該コイルに接続されるコンデンサとを具備することを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システム。
【請求項5】
請求項記載の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサにおいて、前記異状検知センサを地上コイルの上段締結部近傍や下部の端子部に配置することを特徴とする磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサ及びその異状検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気浮上式鉄道の地上コイルは、軌道の両側に配置され、磁気浮上式車両に搭載される超電導磁石との磁気作用により、磁気浮上式車両を走行させるようになっている(特許文献1,2参照)。
かかる磁気浮上式鉄道の地上コイルの保守管理は、作業員が徒歩による目視点検で地上コイルの異状の有無を判断するようにしていた。

【特許文献1】特許第3202765号公報
【特許文献2】特許第2706217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
気浮上式鉄道の安定運行には地上コイルの保守管理が不可欠であるが、全線に亘って敷設される膨大なコイルの保守は容易ではない。特に、一旦敷設された地上コイルは最低でも30年間の安定使用が期待され、現地での保守運用管理手法の確立が実用化に向けた大きな問題となっている。
本発明は、上記問題点を解決するために、磁気浮上式鉄道用地上コイルの保守管理を簡単に、かつ自動的に行うことができる磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサ及びその異状検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
〔1〕磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサにおいて、磁気浮上式鉄道用地上コイルの成形時に、センサ部と、信号処理部と、メモリ部と、信号送信部と電源部とを具備する異状検知センサを配置し、前記電源部は、コイルと、このコイルに接続されるコンデンサとを具備することを特徴とする。
〕磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システムにおいて、磁気浮上式鉄道用地上コイルに配置される、センサ部と、信号処理部と、メモリ部と、信号送信部と、電源部とを具備する異状検知センサと、保守用車両に搭載されるデータ読取・収録装置とを備え、磁気浮上式鉄道車両走行時のセクション内通電によって推進コイルに生ずる交流磁場により、前記電源部で発電した電力を用い、前記異状検知センサの情報を前記信号送信部から送信し、前記保守用車両に搭載されるデータ読取・収録装置により収集することを特徴とする。
【0005】
〕上記〔〕記載の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システムにおいて、前記センサ部が振動加速度センサ、歪みセンサ、温度センサを含むことを特徴とする。
〕上記〔〕記載の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知システムにおいて、前記電源部は、コイルと、このコイルに接続されるコンデンサとを具備することを特徴とする。
【0006】
〕上記〔〕記載の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサにおいて、前記異状検知センサを地上コイルの上段締結部近傍や下部の端子部に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)磁気浮上式鉄道用地上コイルの保守管理を簡単に、かつ自動的に行うことができる。
(2)磁気浮上式鉄道用地上コイルの保守管理に要する時間の大幅な短縮を図ることができるばかりでなく、作業者による技量の差や見落としがなくなり、飛躍的な信頼性改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサは、磁気浮上式鉄道用地上コイルの成形時に、センサ部と、信号処理部と、メモリ部と、信号送信部と電源部とを具備する異状検知センサを配置し、前記電源部は、コイルと、このコイルに接続されるコンデンサとを具備する。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサの配置状況を示す図、図2はその異状検知センサを有する磁気浮上式鉄道用地上コイルの平面図、図3はその地上コイルの断面図、図4はそのコイル表面保護層の断面図(横断面図)、図5はその異状検知センサのブロック図である。
【0010】
磁気浮上式鉄道用地上コイルに関するこれまでの各種試験から、不具合発生前の兆候として、樹脂の歪み増大、振動増加、温度上昇等が発見されている。そこで、磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサとして、各種センサと情報処理部を一つのチップに集積した小型センサを、磁気浮上式鉄道用地上コイルの成形時に内蔵することにより、コイル自身が発する、樹脂の歪み、振動加速度、温度などの多種多様な情報を外部から収集可能にする磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサを備えるようにした。
【0011】
図1において、1は軌道、2は軌道の側壁、3は磁気浮上式鉄道用地上コイル、4はその磁気浮上式鉄道用地上コイル3の成形時に内蔵される異状検知センサである。ここで、異状検知センサ4は、後述するが、地上コイル3の最も下部の端子部5に配置することが望ましい。なお、地上コイルの上段締結部に取り付けるようにしてもよい。
その異状検知センサ4は、図5に示すように、センサ部4Aと、このセンサ部4Aからの信号を受けて信号を処理する信号処理部4Bと、情報を記憶するメモリ部4Eと、信号処理部4Bからの信号を受けて外部へ送信する信号送信部4Cと、これらに電力を供給する電源部4Dからなる。そして、センサ部4Aには、地上コイルの歪みセンサ4A-1、振動加速度センサ4A-2、温度センサ4A-3などが配置される。
【0012】
また、その異状検知センサ4は、図4に示すように、地上コイルのコイル表面保護層6に実装する。つまり、このコイル表面保護層6は、FRP板6A、ガラスマット6B、ガラスクロス6C、導電性塗膜6D,6Eとからなり、異状検知センサ4はガラスマット6B内に実装される。
より具体的には、樹脂の歪みに対しては、車両通過時の電磁力に基づく歪みを検知するセンサとして、歪みセンサや圧電式センサ、光ファイバなどを用いることができる。発熱に対しては、異状電流、巻線コイルの層間短絡やコネクタ部の接触抵抗増大などによる異状発熱を検知するセンサとして、温度センサや臭いセンサを用いる。振動に対しては、局部破壊や締結部の緩みに起因する異状振動、衝突検知するセンサとして、振動加速度センサを用いることができる。また、それら以外にも、環境による劣化に関しては、紫外線、吸水による樹脂劣化を検知するセンサとして、色センサを用いることができる。
【0013】
ここで、図5に示すように、電源部4Dは、磁気浮上式鉄道車両走行時のセクション内通電により推進コイルに生ずる交流磁場を利用し、誘導電圧生成部(コイル)4D-1で電力を生成し、その電力を蓄積可能な蓄電部(蓄積可能なコンデンサ)4D-2に備える。その電力を異状検知センサ4による異常状態の検出のために用いる。ここで、異状検知センサ4は、地上コイル3の上段締結部近傍や下部の端子部5に配置することが望ましい。
【0014】
以下、その磁気浮上式鉄道用地上コイルの異常状態の検出方法を図6のフローチャートを参照しながら説明する。
(1)車両走行時のセクション内通電により、推進コイルに交流磁場を発生させる。(ステップS1)。
(2)すると、電磁誘導作用により各異状検知センサの電源部に電力を発生させる(ステップS2)。
【0015】
(3)車両通過時のセンサからの信号を信号処理部で変換し、ピーク値をメモリに転送する。その際、基準値以下であるかどうかの自動判定を行う。なお、状態監視期間内の走行によりピーク値が更新された場合は、更新データ及び判定結果をメモリに保存する(ステップS3)。
(4)データ読取・収録装置を搭載した保守用車両を走行させ、データ読取・収録装置からの電磁波によりメモリ内のデータを読み取り、データ読取・収録装置を介して地上コイル毎の識別番号とセンサのピーク値を自動収録する(ステップS4)。
【0016】
(5)収録されたデータは瞬時に自動判定され、地上コイルの異状の有無、異状項目、所見等の表示がされる(ステップS5)。
収集された各地上コイルのセンサ部の識別記号(IDコード)毎のデータは各センサ部毎に管理する。
そこで、例えば、図7に示すように、地上コイルの識別記号(IDコード)としての「海、○○U、○番目」の地上コイルの振動加速度センサ4A-2が異状信号を発すると、信号処理部4Bで処理されて、信号送信部4Cから外部に送信される。その送信信号は、保守用車両7に搭載されるデータ読取・収録装置8によって収集されることになる。例えば、振動加速度が400m/sec2 の場合、地上コイルの締め付けボルトの緩みであると判別できる。
【0017】
このように構成することにより、これまで作業者が徒歩による目視点検で判別していたコイル異常状態の有無を、磁気浮上式鉄道用地上コイル自らに備えた異状検知センサで検知して異常状態の信号を無線で送信し、この送信信号を保守用車両のデータ読取・収録装置で収集して、各地上コイル毎に管理する。
したがって、地上コイルの保守管理に要する時間の大幅な短縮を図ることができるばかりでなく、作業者による技量の差や見落としがなくなり、飛躍的な信頼性改善を図ることが可能となる。
【0018】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサは、大幅な時間短縮を図り得る磁気浮上式鉄道用地上コイル異状のデータの収集・管理に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例を示す磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサの配置状況を示す図である。
【図2】本発明の実施例を示す異状検知センサを有する磁気浮上式鉄道用地上コイルの平面図である。
【図3】本発明の実施例を示す異状検知センサを有する磁気浮上式鉄道用地上コイルの断面図である。
【図4】本発明の実施例を示す異状検知センサを有する磁気浮上式鉄道用地上コイルのコイル表面保護層の断面図(横断面図)である。
【図5】本発明の実施例を示す異状検知センサを有する磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知センサのブロック図である。
【図6】本発明の実施例を示す磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知フローチャートである。
【図7】本発明の実施例を示す磁気浮上式鉄道用地上コイルの異状検知例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 軌道
2 軌道の側壁
3 磁気浮上式鉄道用地上コイル
4 異状検知センサ
4A センサ部
4B 信号処理部
4C 信号送信部
4D 電源部
4E メモリ部
4A-1 歪みセンサ
4A-2 振動加速度センサ
4A-3 温度センサ
4D-1 誘導電圧生成部(コイル)
4D-2 蓄電部(蓄積可能なコンデンサ)
5 端子部
6 コイル表面保護層
6A FRP板
6B ガラスマット
6C ガラスクロス
6D,6E 導電性塗膜
7 保守用車両
8 データ読取・収録装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6