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明細書 :電気転てつ機据付装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4848233号 (P4848233)
公開番号 特開2008-063842 (P2008-063842A)
登録日 平成23年10月21日(2011.10.21)
発行日 平成23年12月28日(2011.12.28)
公開日 平成20年3月21日(2008.3.21)
発明の名称または考案の名称 電気転てつ機据付装置
国際特許分類 E01B   7/22        (2006.01)
B61L   5/06        (2006.01)
F16B   5/02        (2006.01)
F16B  39/28        (2006.01)
FI E01B 7/22
B61L 5/06
F16B 5/02 F
F16B 39/28 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2006-243577 (P2006-243577)
出願日 平成18年9月8日(2006.9.8)
審査請求日 平成21年1月29日(2009.1.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】潮見 俊輔
【氏名】五十嵐 義信
個別代理人の代理人 【識別番号】100079201、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 光正
審査官 【審査官】藤澤 和浩
参考文献・文献 特開2002-227810(JP,A)
特開平10-317303(JP,A)
特開平11-124802(JP,A)
調査した分野 E01B 7/22
B61L 5/06
F16B 5/02
F16B 39/28
特許請求の範囲 【請求項1】
連結まくらぎと、複数個の敷板と、転てつ機と、ねじ又はボルトナットと、複数個の緊締用スリーブとからなり、
前記連結まくらぎは、道床に敷設された場合に一方のレールの外方に転てつ機据付距離を超える位置まで延長された2本のまくらぎを少なくともその両端部近傍において連結材により一定間隔を持って平行に連結して構成され、前記2本のまくらぎにはそれぞれ前記転てつ機据付位置に複数個のねじ孔又はボルト貫通孔が互いに離れて形成されているものであり、
前記敷板は、前記連結まくらぎのまくらぎとほぼ等しい長さを有し、前記連結まくらぎの2本のまくらぎのねじ孔又はボルト貫通孔にそれぞれ対応する位置にそれらの孔よりも径が大きい孔が設けられ、各まくらぎの上に載置され、かつ、前記孔を各まくらぎのねじ孔又はボルト貫通孔に合致させた状態で、基本レールに固定されるものであり、
前記転てつ機は、その筐体に前記連結まくらぎのねじ孔又はボルト貫通孔にそれぞれ対応する互いに離れた位置において前記連結まくらぎのねじ孔又はボルト貫通孔に貫通されるボルトの軸部の径よりも大きい径を有する孔が少なくとも2個設けられたものであり、
前記緊締用スリーブは、前記転てつ機の筐体の孔に回転可能に緊密に嵌合する嵌合部と、その嵌合部の一端にスパナ等の回転工具を係合して回転力を加えるための被係合部とを有し、かつ、前記ねじ又はボルトの軸部の径とほぼ等しい径を有して軸方向に貫通する偏心孔を備えたものであり、
前記連結まくらぎの各まくらぎに載置された前記敷板に前記転てつ機据付位置において前記転てつ機の筐体を前記連結まくらぎの転てつ機据付位置側の連結材及びまくらぎの上面に載せ、その筐体の前記各孔に前記緊締用スリーブの嵌合部を嵌合するとともに前記緊締用スリーブの偏心孔に前記ねじ又はボルトの軸部を通し、そのねじ又は前記ボルトナットにより前記転てつ機の筐体を前記連結まくらぎに締結し、前記緊締用スリーブの少なくとも一つを前記被係合部を介して回転不能になるまで回転することにより前記転てつ機の筐体と前記ねじ又はボルトの軸部との間の弛緩を無くし、又は、前記筐体の各孔に前記緊締用スリーブの嵌合部を嵌合するとともに前記緊締用スリーブの偏心孔に前記ねじ又はボルトの軸部を通し、そのねじ又は前記ボルトナットにより前記筐体、敷板及び前記まくらぎを仮締結し前記緊締用スリーブの少なくとも一つを前記被係合部を介して回転不能になるまで回転することにより前記転てつ機の筐体と前記ねじ又はボルトの軸部との間の弛緩を無くし、最後に前記ねじ又はボルトナットにより前記転てつ機の筐体を前記連結まくらぎに完全に締結することを特徴とする転てつ機据付装置。
【請求項2】
転てつ機の筐体を、連結まくらぎの転てつ機据付位置側の連結材とまくらぎとの結合部分からレール側及びレールと反対側に離れた位置において、連結まくらぎに固定したことを特徴とする請求項に記載の転てつ機据付装置。
【請求項3】
連結まくらぎの連結材は、2本の基本レールの下側と転てつ機据付位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の転てつ機据付装置。
【請求項4】
連結まくらぎの連結材が、スイッチアジャスタロッド又はタイバーの取付けを妨げないように、その連結材の上面の一部又は全部の高さを低くし、又は連結材に溝もしくは孔を形成したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の転てつ機据付装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気転てつ機をまくらぎ(以下、便宜的に枕木という。)に据え付ける据付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気転てつ機(以下、単に転てつ機という。)は、鉄道の分岐器のトングレールを定位から反位へ、又は反位から定位へ電動機を用いて移動(転換)させ、転換終了時にそのトングレールの状態を照査し確認して、その状態を保持(鎖錠)するものである。
【0003】
一般に、転てつ機は、所定間隔を持って平行に敷設された2本の枕木のレールから外方に所定距離隔てた据付位置に据え付けられる。そして、転てつ機の転換装置を構成する動作かんは、スイッチアジャスタを介してタイバー(転てつ棒)に連結され、そのタイバーはトングレールに固着されている。また、転てつ機の鎖錠装置を構成するロックピースによって施錠・解錠される鎖錠かんは、接続かん及びフロントロッドを介してひじ金に連結され,そのひじ金はトングレールの先端に固着されている。従って、転換系及び鎖錠系の正常な動作は、転てつ機が基本レール及びトングレールに対して正確な位置、すなわち、レールと平行な方向及びレールに対して直角な方向に高精度に据付けられて初めて保証される。
【0004】
[高精度据付に対する阻害要件 その1]
しかしながら、従来の転てつ機据付装置に関しては、高精度据付に対して阻害要件があった。その一つは、転てつ機の枕木に対する取付位置のずれの問題である。すなわち、枕木を道床に敷設し、その枕木にレールを固定した後に転てつ機がねじ又はボルトナットにより締結されるから、転てつ機を基本レール及びトングレールに対して正確な位置に取り付けるには、枕木の転てつ機取付用ねじ孔又はボルト貫通孔及び敷板に設けられる孔を現場で加工する必要がある。
して、転てつ機の筐体に設けられる孔がボルトの軸と同径の真円である場合は、枕木に対する現場加工に伴う加工精度不良に起因して、据付が不可能になる場合がある。
れを避けるため、加工精度に影響されないように転てつ機にボルトの径よりも大きめの孔を開け、枕木と敷板と転てつ機の各孔に挿通した爪ボルトにナットを締め付けて敷板と転てつ機を枕木に固着する方法が採用された。
【0005】
しかしながら、孔が大きめに加工されるために、列車通過時に加わる横圧により、転てつ機の枕木に対する位置ずれが発生するという問題が生じた。この転てつ機に大きめの孔を設けることによる位置ずれの問題は、特許文献1に開示された固着装置により解決されたかに思われた。

【特許文献1】特開2002-227810号公報
【0006】
この特許文献1の固着装置は、被固定部材に予め設けてある孔に貫通したねじを固定部材に予め設けてある孔にねじ込むことにより、又は、前記被固定部材に予め設けてある孔と前記固定部材に予め設けてある孔にボルトを貫通するとともに、前記ボルトの軸部の先端にナットをねじ締めすることにより、前記被固定部材を前記固定部材に固着する固着装置において、被固定部材の孔を互いに離れた位置に少なくとも2個設けるとともに、その各孔の径をねじ又はボルトの軸部の径よりも大きくし、前記被固定部材の各孔に回転可能に緊密に嵌合し得る嵌合部と、その嵌合部の一端にスパナその他の回転工具を係合して回転力を加えるための水平断面形状が多角形に形成された被係合部とを有し、かつ、前記ねじ又はボルトの軸部の径とほぼ等しい径を有して軸方向に貫通する偏心孔を備えた緊締用スリーブを用意し、前記被固定部材の各孔に前記緊締用スリーブの嵌合部を嵌合し、前記緊締用スリーブの偏心孔に前記ねじ又はボルトの軸部を通し、そのねじ又は前記ボルトナットにより前記被固定部材と前記固定部材とを締結し、前記緊締用スリーブの少なくとも一つを前記被係合部を介して回転不能になるまで回転することにより、前記被固定部材と前記ねじ又はボルトの軸部との間の弛緩を無くするようにしたこと、又は、前記被固定部材の各孔に前記緊締用スリーブの嵌合部を嵌合し、前記緊締用スリーブの偏心孔に前記ねじ又はボルトの軸部を通し、そのねじ又は前記ボルトナットにより前記被固定部材と前記固定部材とを仮締結し、前記緊締用スリーブの少なくとも一つを前記被係合部を介して回転不能になるまで回転することにより、前記被固定部材と前記ねじ又はボルトの軸部との間の弛緩を無くし、最後に、前記ねじ又はボルトナットにより前記被固定部材と前記固定部材とを完全に締結するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
そして、上記固着装置を転てつ機の据付に応用した転てつ機据付装置は、設置現場において転てつ機の枕木に対する据付位置の位置合わせをした後、前記枕木と前記敷板に、前記転てつ機据付用敷板を前記枕木に固着するためのねじ釘をねじ込む孔又はボルトを貫通する孔を設け、前記敷板に設けてある孔に貫通した前記ねじ釘を前記枕木の孔にねじ込むことにより、又は前記ボルトを前記敷板の孔と前記枕木の孔に貫通するとともに、前記ボルトの軸部の先端にナットをねじ締めすることにより、前記敷板に固定される転てつ機を前記枕木に据え付ける転てつ機据付装置において、前記敷板に1本の枕木に付き少なくとも1対の前記ねじ釘又はボルトの軸部の径よりも大きい径を有する第1の孔を前記枕木の長手方向に隔てた位置に設けるとともに、前記敷板に第2の孔を有する転てつ機の筐体を各孔の軸心を一致させた状態で接合し又は一体に形成し、前記転てつ機の筐体の第2の孔の中に回転可能に緊密に嵌合し得る嵌合部と、その嵌合部の一端にスパナその他の回転工具を係合して回転力を加えるための水平断面形状が多角形に形成された被係合部とを有し、かつ、前記ねじ又はボルトの軸部とほぼ等しい径を有して軸方向に貫通する偏心孔を備えた緊締用スリーブを用意し、前記緊締用スリーブを前記転てつ機の筐体の第2の孔に嵌合し、前記緊締用スリーブの偏心孔及び前記敷板の第1の孔に貫通した前記ねじ釘を前記枕木の孔にねじ込み、又は前記緊締用スリーブの偏心孔及び前記敷板の第1の孔に貫通したボルトにナットをねじ締めして、前記敷板と前記枕木とを締着し、前記緊締用スリーブの少なくとも一つを前記被係合部を介して回転不能になるまで回転することにより、前記敷板と前記ねじ又はボルトの軸部との間の弛緩を無くするようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
[高精度据付に対する阻害要件 その2]
高精度据付に対する二つ目の阻害要件は、従来の転てつ機据付装置が転てつ機を取り付ける枕木が互いに独立していることに起因する。すなわち、2本の枕木は単にレールに締結金具により固定されているのみで、レールに対して摺動可能である。従って、転てつ機動作時の動作かん、スイッチアジャスタ、タイバーなどに加わる転換力の反力などによって、枕木が移動して、又は転てつ機と分岐器の位置関係が変わり、完全な平行状態ではなくなり、これが鎖錠かんの僅少な移動で鎖錠かんの切欠とロックピースの間に狂い(ロック狂い)が生じて転換不能を起こす虞があるので、特許文献1の発明を適用しても、実効が上がらない虞があった。
そのため、従来は、スイッチアジャスタによる密着力の調整や鎖錠かんの調整を定期的に行う必要があったが、その調整作業の労働的、経済的負担は少なくなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
独立枕木の移動に起因する転てつ機の位置ずれを防止するため、本発明者らは、特許文献2、3,4に開示された井桁型枕木を、転てつ機据付装置に適用することを想起した。
しかしながら、これらの井桁型枕木は、通常の独立枕木と同じ長さの2本の枕木を両端部付近の2カ所で連結材により連結してなるものであり、その連結材をレールの下側に設置し、レールを支持する構造である。そのため、この井桁型枕木を転てつ機据付に適用するためには、2本の枕木をレールの外方に延長し、その延長部分を据付位置とする必要がある。
<patcit num="2"><text>特開平10-317303号公報</text></patcit><patcit num="3"><text>特開2003-184001号公報</text></patcit><patcit num="4"><text>特開2005-9119号公報</text></patcit>
【0010】
ところで、通常、枕木は木製もしくはGFRPなどの合成樹脂製であり、わずかな弾性を有する。このような材質の井桁型枕木のレール外方延長部分に転てつ機を取り付ける場合は、依然として、列車通過時の横圧により、あるいは、特に転てつ機動作時の反力によって、枕木のレール外方延長部分が数mm(ロック狂い検出範囲を超える距離)程度で移動又は振動する。そのため、転てつ機に転換不能を生じさせる虞が解消されないと言う問題があった。さらに、従来の井桁型枕木においては、連結材の上面が枕木の上面と同一面に存在するため、そのまま転てつ機据付に用いると、転てつ機の動作かんに接続されるスイッチアジャスタやタイバーを取り付けることができない場合があるという問題が発生する。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、解決しようとする第一の課題は、転てつ機の基本レール及びトングレールに対する位置ずれが完全に防止され、転換不能を生じる虞が無く、従って、転換の密着性調整や鎖錠かんの調整を軽減することができる転てつ機据付装置を提供することにある。また、解決しようとする第二の課題は、転てつ機を井桁型枕木に据え付ける際にもスイッチアジャスタやタイバーの取付けを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記第一の課題を解決するため、本願の請求項1の発明は、(a)転てつ機据付装置を連結枕木と複数個の敷板と転てつ機とねじ又はボルトナットと複数個の緊締用スリーブとから構成した。(b)前記連結枕木は、道床に敷設された場合に一方のレールの外方に転てつ機据付距離を超える位置まで延長された2本の枕木を少なくともその両端部近傍において連結材により一定間隔を持って平行に連結して構成し、前記2本の枕木にはそれぞれ前記転てつ機据付位置に複数個のねじ孔又はボルト貫通孔が互いに離れて形成した。(c)敷板は、前記連結枕木の各枕木とほぼ等しい長さを有し、前記各枕木のねじ孔又はボルト貫通孔にそれぞれ対応する位置にそれらの孔よりも径が大きい孔が設けられ、枕木の上に載置され、かつ、前記孔を各枕木のねじ孔又はボルト貫通孔に合致させた状態で、基本レールに固定される。(d)転てつ機には、その筐体に前記連結枕木のねじ孔又はボルト貫通孔にそれぞれ対応する互いに離れた位置において前記連結枕木のねじ孔又はボルト貫通孔に貫通されるボルトの軸部の径よりも大きい径を有する孔が少なくとも2個設けた。(e)緊締用スリーブは、前記転てつ機の筐体の孔に回転可能に緊密に嵌合する嵌合部と、その嵌合部の一端にスパナ等の回転工具を係合して回転力を加えるための被係合部とを有し、かつ、前記ねじ又はボルトの軸部の径とほぼ等しい径を有して軸方向に貫通する偏心孔を備えたものである。そして、(f)連結枕木の各枕木に載置された敷板に転てつ機据付位置において転てつ機の筐体を前記連結まくらぎの転てつ機据付位置側の連結材及びまくらぎの上面に載せ、その筐体の前記各孔に緊締用スリーブの嵌合部を嵌合するとともに緊締用スリーブの偏心孔にねじ又はボルトの軸部を通し、そのねじ又は前記ボルトナットにより転てつ機の筐体を連結枕木に締結し、緊締用スリーブの少なくとも一つを前記被係合部を介して回転不能になるまで回転することにより転てつ機の筐体と前記ねじ又はボルトの軸部との間の弛緩を無くし、又は、筐体の各孔に緊締用スリーブの嵌合部を嵌合するとともに緊締用スリーブの偏心孔に前記ねじ又はボルトの軸部を通し、そのねじ又は前記ボルトナットにより筐体、各敷板及び連結枕木を仮締結し前記緊締用スリーブの少なくとも一つを前記被係合部を介して回転不能になるまで回転することにより転てつ機の筐体とねじ又はボルトの軸部との間の弛緩を無くし、最後にねじ又はボルトナットにより転てつ機の筐体を連結枕木に完全に締結するようにした。以上を特徴としている。
【0013】
転てつ機の筐体は、連結枕木の転てつ機据付位置側の連結材と枕木との結合部分からレール側及びレールと反対側に離れた位置において、ねじ又はボルトナットにより連結枕木に固定されることが望ましい(請求項)。
【0014】
連結枕木の連結材は、2本のレールの下側と転てつ機据付位置に設けられていることが望ましい(請求項)。
【0015】
連結枕木の連結材は、スイッチアジャスタ又はタイバーの取付けを妨げないように、その連結材の上面の一部又は全部の高さを低くし、又は連結材に孔を形成することが望ましい(請求項)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、略井桁状の連結枕木を用いるので、転てつ機が固着される2本の枕木の間隔と平行度が確保されるため、枕木が列車通過時の横圧により移動することが防止される。また、転てつ機はその筐体が各枕木に対して少なくとも2カ所で緊締用スリーブを介してねじ又はボルトナットにより締結されるが、その緊締用スリーブは筐体のねじ又はボルトの軸の径よりも大きい孔に嵌合され、ねじ又はボルトを貫通する孔が偏心孔であるので、少なくとも一方の緊締用スリーブを被係合部に回転工具を係合して回転不能になるまで回転することにより、筐体は枕木に固着されたねじ又はボルトの軸に対して完全に移動不能に固定される。その結果、転てつ機の動作時の反力などによる基本レール及びトングレールに対する位置ずれが完全に防止され、転換不能を生じる虞が無い。従って、密着力調整や鎖錠かんの調整を軽減することができる。加えて、転てつ機の筐体は、連結枕木の転てつ機据付位置側の連結材及び枕木の上面に載せて固定されるので、転てつ機取付状態に高い安定性が得られる。
【0017】
請求項の発明によれば、転てつ機の筐体は、連結枕木の転てつ機据付位置側の連結材と枕木との結合部分からレール側及びレールと反対側に離れた位置において、緊締用スリーブ及びねじ又はボルトナットにより連結枕木に固定されるので、転てつ機の連結枕木に対する固着強度が一層大きくなる。
【0018】
請求項の発明によれば、連結枕木の連結材は、それぞれ2本の基本レールと転てつ機据付位置に対応する位置に設けられるので、連結枕木の強度が全体的にバランス良く増大するとともに、列車通過時に基本レールから連結枕木に加わる力が均等に分散され、かつ、転てつ機据付位置のずれ防止効果がさらに向上する。
【0019】
請求項の発明によれば、連結枕木の連結材は、スイッチアジャスタ又はタイバーの取付けを妨げないように、その連結材の上面の一部又は全部の高さを低くし、又は連結材に溝もしくは孔を形成してあるので、既知の井桁型枕木をそのまま使用する場合のスイッチアジャスタロッド又はタイバーの取付けを可能にするための煩雑な加工が不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
続いて、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る転てつ機据付装置により転てつ機が据え付けられた状態を示す一例の斜視図、図2は同装置を構成する連結枕木の一例を示す斜視図、図3は連結枕木の他例を示す分解斜視図、図4は転てつ機の連結枕木に対する取付構造の一例を示す斜視図、図5は転てつ機の枕木に対する位置ずれを防止する緊締用スリーブを示す斜視図、図6は同緊締用スリーブの作用説明図、図7は転てつ機が連結枕木に固定された状態の平面図、図8は図7のX-X線断面図、図9は連結枕木のさらに他の例を示す平面図である。
【0021】
図1において、1は従来の枕木、2は連結枕木、3は基本レール、4はトングレール、5は連結枕木の上面に取り付けられた敷板、6は連結枕木2に据え付けられた転てつ機、7は動作かん、8はスイッチアジャスタ、9はタイバー(転てつ棒)、10は鎖錠かん、11は接続かん、12はフロントロッド、13はひじ金である。
【0022】
連結枕木2は、本発明に係る転てつ機据付装置の重要な構成要素の一つであり、図2に示すように、道床に敷設された場合に一端が一方の基本レール3(図1では右側の基本レール)の外方に所定の転てつ機据付距離L2を超える位置まで延長された2本の枕木21,21を少なくともその両端部近傍において連結材22,22により一定間隔を持って平行に連結して井桁状に構成され、2本の枕木21,21にはそれぞれ前記転てつ機据付位置の互いに離れた位置に少なくとも一対のねじ孔又はボルト貫通孔23,23(以下、単にボルト貫通孔という。)が形成されている。
このような井桁状の連結枕木2は、図2に示すように、GFRPその他の合成樹脂により一体成型されたものでも良いし、図3に分解して示すように、分離された所要長さの2本の枕木21,21の間にスペーサとしての連結材22,22を配置し、一方の枕木の外からその枕木、連結材及び他方の枕木にボルト24を貫通し、そのボルトの両端にナット25を締め付けることより、井桁状の連結枕木2Eを組み立てることもできる。
【0023】
そして、このような井桁型の連続枕木2又は2Eは、図1に示すように、一方(左側)の連結材22が一方(左側)の基本レール3の下側に存在し、他方(右側)の連結材22が他方(右側)の基本レール3の外方(軌間L1の外側)に存在するように、道床に敷設される。最も好ましい実施の形態においては、他方(右側)の連結材22は、転てつ機の据付距離L2に位置するように設けられる。また、少なくとも一対のボルト貫通孔23は、各枕木21,21の他方の連結材22との結合部の互いに反対側に設けられている。
【0024】
連結枕木2には、これに転てつ機を取り付けるための敷板5が固着される。図1及び図4に示された敷板5は、基本レール3を各枕木21,21に固定するためにも共用されている例である。しかし、転てつ機を枕木に固着するための敷板と、基本レールを枕木に固着するための敷板は、各枕木に沿って延びる2枚に代えて別体に形成されたものを連結しても良い。いずれの場合も、敷板5には、各枕木の少なくとも一対のボルト貫通孔23に対応する、そのボルト貫通孔よりも大きい孔51が開けられている。
【0025】
図4に示すように、転てつ機6の転換機構及び鎖錠機構の主要構成部分を収容する筐体61の互いに反対側に延出されている底板62に、各枕木のボルト貫通孔23及び敷板5の孔51に対応する位置に枕木21のボルト貫通孔23よりも大きい径の孔63が開けられている。
【0026】
こうして、転てつ機6を連結枕木2に取り付けるには、図4に示すように、連結枕木2の各枕木21に敷板5を載せ、その敷板の上側の所定据付位置に転てつ機6の筐体61を置き、枕木21のボルト挿通孔23にその下側から挿通した爪ボルト14の軸部を敷板5及び転てつ機の筐体61の孔63に挿通する。そして、そのボルト14の転てつ機の筐体の底板62の上方に突出させた軸に、本発明の重要な構成要素の一つである緊締用スリーブ15を嵌合し、さらにボルト14の上端部にナット16を締め付け、後述するようにして位置調整と移動阻止を行って、転てつ機6を固着する。この緊締用スリーブ15の構造と位置調整及び移動阻止の原理は、特許文献1に開示された固着装置と同じである。
【0027】
次に、その緊締用スリーブ15の構造を図5及び図6に基づいて説明する。
図5の15、15Eは、転てつ機6の筐体61の各孔63に対応して用意されている緊締用スリーブである。緊締用スリーブ15は、嵌合部151と被係合部152とを一体に有し、軸方向に貫通する偏心孔153が設けられている。図6に示すように、嵌合部151は、これを筐体の底板62の孔63に回転可能に緊密に嵌合される外形を有し、被係合部152は、嵌合部151が筐体61の孔63に嵌合された状態でその孔の上方に存在して、これにスパナなどの回転工具を係合して回転力を加えることができる外形を有する。このような緊締用スリーブは、嵌合部151が図5(a)及び図6に示すように倒立頭截円錐状のもの15と、図5(b)に示すように円柱状のもの15Eの2種類のいずれかを使用することができる。従って、転てつ機の底板の孔63も、嵌合部151の形状と合致する形状を有する。すなわち、例えば、筐体61の底板の拡大された孔63は、図6に示すような嵌合部151が倒立頭截円錐状の緊締用スリーブ15を用いる場合は、同様の倒立頭截円錐状に形成される。
【0028】
連結枕木の各枕木21のボルト貫通孔23、敷板5の拡大された孔51、筐体61の底板の拡大された孔63及び緊締用スリーブ15の偏心孔153の寸法条件を説明する。枕木21のボルト貫通孔23の径は、用いられるボルト14の軸部の最大径と等しい。偏心孔153の径は、用いられるボルトの軸部の径と等しいか、あるいはわずかに大きく、偏心孔153にボルト14の軸を挿通した状態で、緊締用スリーブ15を軸芯回りに回すことが可能である。図6において、c1は緊締用スリーブ15の軸芯、c2は偏心孔153の軸芯である。敷板5の拡大された孔51は、筐体の孔63よりもやや大きい。
【0029】
そして、上記緊締用スリーブ15を用いて転てつ機6を連結枕木2の所定据付位置に固着するには、敷板5を枕木21、21の上に載置し、敷板5の孔51を枕木のボルト貫通孔23に合致させた状態でクランプ17を介して基本レール3に固定し、その敷板5の所定据付距離L2に転てつ機6の筐体61を載せ、その筐体の底板62の孔63を敷板5の孔51及び枕木のボルト貫通孔23に合致させ、図8に示すように枕木の下側から爪ボルト14をそれらの孔に貫通し、筐体の孔63から上方に突出された軸部を緊締用スリーブ15の偏心孔153に挿通する。そして、緊締用スリーブ15をその外周面が筐体の孔63と敷板5の孔51に嵌合できるように適量回転し、それらの孔に嵌合した後、一対の緊締用スリーブ15のうち少なくとも一方の緊締用スリーブ15の被係合部152に回転工具を嵌合して、その緊締用スリーブ15がそれ以上回転できなくなるまで強く回転する。その回転の際は、筐体61がボルト14の軸心と直角な方向に微小移動される。これにより、緊締用スリーブ15はその外周面と筐体の孔63の内周面との間の摩擦力を最大に高めるため、筐体61はボルト14に対して移動することが完全に阻止される。そして、爪ボルト14の上端にナット16をしっかり締めて固着する。あるいは、ナット16を仮締めし、緊締用スリーブ15を回して位置調整をし、移動不能になった状態でナット16を完全に締める。こうして、転てつ機が所定据付距離に固着され、かつ、基本レールに対して位置ずれを起こすことが確実に防止される。
【0030】
図8に示されたように、枕木21の下側から上方に貫通されるボルト14と、これに螺合されるナット16により枕木と敷板及び筐体の底板を締結することに代えて、ねじ釘を筐体の底板62の上方からその底板の孔63、敷板5の孔51に貫通して、枕木21の孔23にねじ込んで、枕木と敷板及び筐体の底板を締結することもできる。この場合も、ねじのねじ込み途中に緊締用スリーブ15を被係合部を介して回転不能になるまで回転させて、再びねじを最終的にねじ込んで固着するか、又はねじの完全なねじ込みの後に、緊締用スリーブ15を被係合部を介して回転不能になるまで回転させて固着することができる。
【0031】
図4に示す例のように、転てつ機6を連結枕木2の枕木21を連結する連結材22に載せて据付ける場合は、取付安定性が最も高くかつ取付強度が最も大きいので好ましい。そして、連結枕木は、枕木の両端付近、すなわち、転てつ機据付位置とこれから遠い側(図1の左側)の基本レールの下側とに連結材がある井桁型の連結枕木であれば、枕木の間隔及び平行度は確実に確保されるが、図9に示すように、枕木21,21の間の両基本レール3,3の下側となる位置及び転てつ機据付位置の3カ所に連結材22a,22b,22cを設ける場合は、列車通過時に基本レール3,3から連結枕木2に加わる荷重及び横圧を連結枕木全体に対して均等に分散することができるので、耐久性が向上するとともに、転てつ機6の動作時の反力に対する強度がさらに向上する利点がある。
【0032】
そして、連結枕木2に3本の連結材22a,22b,22cを備える場合は、基本レールの下側に存在する連結材22a,22bの上面が枕木21の上面と面一の場合は、図1における転てつ機6の動作かん7に接続されるスイッチアジャスタロッド8’やタイバー9を基本レール3の下側を通すことができない場合があり得る。特に、図1における連結枕木2に載置される敷板5の厚みが薄い場合には問題になり得る。その場合には、レールの下側に存在する連結材22a,22bの上面を枕木21の上面よりも低くするか、低くする代わりに、その連結材の上部にスイッチアジャスタロッド8’又はタイバー9を軸方向移動可能に嵌合する溝や孔を形成する等して、対処することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る転てつ機据付装置により転てつ機が据え付けられた状態を示す斜視図。
【図2】同装置を構成する連結枕木の一例を示す斜視図。
【図3】連結枕木の他例を示す分解斜視図。
【図4】転てつ機の連結枕木に対する取付構造の一例を示す斜視図。
【図5】転てつ機の枕木に対する位置ずれを防止する緊締用スリーブを示す斜視図。
【図6】同緊締用スリーブの作用説明図。
【図7】転てつ機が連結枕木に固定された状態の平面図。
【図8】図7のX-X線断面図。
【図9】連結枕木のさらに他の例を示す平面図。
【符号の説明】
【0034】
2 連結枕木
21 枕木
22 連結材
23 ボルト貫通孔
3 基本レール
4 トングレール
5 敷板
51 孔
6 転てつ機
61 筐体
62 底板
63 孔
7 動作かん
8 スイッチアジャスタ
10 鎖錠かん
11 接続かん
12 フロントロッド
13 ひじ金
14 ボルト
15 緊締用スリーブ
151 嵌合部
152 被係合部
153 偏心孔
16 ナット
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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