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明細書 :青果物の鮮度評価方法および鮮度評価用プライマーセット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5652778号 (P5652778)
公開番号 特開2011-244692 (P2011-244692A)
登録日 平成26年11月28日(2014.11.28)
発行日 平成27年1月14日(2015.1.14)
公開日 平成23年12月8日(2011.12.8)
発明の名称または考案の名称 青果物の鮮度評価方法および鮮度評価用プライマーセット
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 12
全頁数 24
出願番号 特願2010-117512 (P2010-117512)
出願日 平成22年5月21日(2010.5.21)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成22年3月22日日本大学生物資源科学部において開催された園芸学会平成22年度春季大会で発表
審査請求日 平成25年3月21日(2013.3.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】永田 雅靖
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100120905、【弁理士】、【氏名又は名称】深見 伸子
審査官 【審査官】柴原 直司
参考文献・文献 日本農芸化学会大会講演要旨集, (2009), p.79(2P0632B)
調査した分野 C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
被検ニラ試料から調製したcDNAを鋳型とし、ALT_R68(配列番号1)、ALT_A85(配列番号2)、ALT_F04(配列番号3)、ALT_F24(配列番号4)の2種以上の遺伝子をマルチプレックスPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することを特徴とする、ニラの鮮度評価方法
【請求項2】
以下の(A)~(D)のプライマーセットの2種以上を用いてマルチプレックスPCRを行うことを特徴とする、請求項に記載の方法。
(A)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_R68増幅用プライマーセット
(B)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるALT_A85増幅用プライマーセット
(C)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F04増幅用プライマーセット
(D)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F24増幅用プライマーセット
【請求項3】
被検ホウレンソウ試料から調製したcDNAを鋳型とし、SO_R141(配列番号13)、SO_F325(配列番号14)、SO_F167(配列番号15)、SO_F188(配列番号16)の2種以上の遺伝子をマルチプレックスPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することを特徴とする、ホウレンソウの鮮度評価方法
【請求項4】
以下の(E)~(H)のプライマーセットの2種以上を用いてマルチプレックスPCRを行うことを特徴とする、請求項に記載の方法。
(E)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_R141増幅用プライマーセット
(F)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるSO_F325増幅用プライマーセット
(G)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F167増幅用プライマーセット
(H)配列番号23に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号24に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F188増幅用プライマーセット
【請求項5】
被検ブロッコリー試料から調製したcDNAを鋳型とし、BO_F106(配列番号25)、BO_F361(配列番号26)、BO_F367(配列番号27)の2種以上の遺伝子をマルチプレックスPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することを特徴とする、ブロッコリーの鮮度評価方法
【請求項6】
以下の(I)~(K)のプライマーセットの2種以上を用いてマルチプレックスPCRを行うことを特徴とする、請求項に記載の方法。
(I)配列番号28に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号29に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F106増幅用プライマーセット
(J)配列番号30に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号31に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるBO_F361増幅用プライマーセット
(K)配列番号32に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号33に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F367増幅用プライマーセット
【請求項7】
以下の(A)~(D)を含む、ニラの鮮度評価用プライマーセット。
(A)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_R68増幅用プライマーセット
(B)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるALT_A85増幅用プライマーセット
(C)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F04増幅用プライマーセット
(D)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F24増幅用プライマーセット
【請求項8】
請求項に記載のプライマーセットの全てを含む、ニラの鮮度評価用キット。
【請求項9】
以下の(E)~(H)を含む、ホウレンソウの鮮度評価用プライマーセット。
(E)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_R141増幅用プライマーセット
(F)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるSO_F325増幅用プライマーセット
(G)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F167増幅用プライマーセット
(H)配列番号23に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号24に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F188増幅用プライマーセット
【請求項10】
請求項に記載のプライマーセットの全てを含む、ホウレンソウの鮮度評価用キット。
【請求項11】
以下の(I)~(K)を含む、ブロッコリーの鮮度評価用プライマーセット。
(I)配列番号28に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号29に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F106増幅用プライマーセット
(J)配列番号30に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号31に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるBO_F361増幅用プライマーセット
(K)配列番号32に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号33に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F367増幅用プライマーセット
【請求項12】
請求項11に記載のプライマーセットの全てを含む、ブロッコリーの鮮度評価用キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物の鮮度に関連する遺伝子をマーカーとして用いる青果物の鮮度評価方法、および当該方法に用いる青果物の鮮度評価用プライマーセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、青果物の鮮度を評価するには、色、つやなどの外観で主観的に判断する方法、または、クロロフィルやビタミンC、糖、有機酸、アミノ酸などの収穫後に変動する成分の含量を測定する方法により行われていた。
【0003】
青果物の中でも鮮度低下が問題となる葉菜類の場合、葉の黄化は、鮮度低下の良い指標であるが、発生までに時間がかかり、黄化していない野菜が、どの程度の鮮度であるのかを推定することは非常に困難である。また、「しなび」は、冷水等への浸漬による蘇生操作によって外観上は回復させることができるが、その際の吸水によって内容成分が薄まるため、外観のみで鮮度を評価すると、鮮度の評価を見誤る可能性が大きい。また、ビタミンCやクロロフィル等の収穫時の含量は、栽培する季節や収穫時の大きさ、収穫の時刻等によって大きく異なることが知られている。さらに、収穫された青果物は、栽培されていた時とは異なって、光合成に必要な光、水、養分の供給が絶たれるが、自身の持つ水分や養分を使って生命活動を続け、様々な成分が変化していくことから、成分の含量から鮮度を決めることも適切ではない。
【0004】
これらのことから、官能評価に頼るのではなく、定量的に青果物の鮮度を評価する方法として、青果物に含まれる脂質過酸化物当量とリン脂質当量と糖脂質当量とを定量し、定量された当量から流通中の積算温度と高い相関を有する鮮度値を算出し、その鮮度値に基づいて青果物の評価する方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、本方法は、分析操作が煩雑な上、葉の黄化など、青果物の鮮度低下に伴う生理変化との関連は確認されていない。
【0005】
一方、これまで青果物の鮮度評価を上記のような外観や特定成分の含量に基づいて行うのではなく、青果物の鮮度変化に伴って発現量が変化する遺伝子を同定するとともに、それらの遺伝子の発現パターンに基づいて行う方法は報告されていない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2010-25883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、青果物の鮮度に関連した遺伝子を同定し、該遺伝子の発現を検出することによって、青果物の鮮度を迅速かつ簡便に評価する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、青果物の貯蔵に伴い発現が変化する遺伝子の中から、鮮度評価の指標となりうる遺伝子(鮮度マーカー遺伝子)を見出すとともに、該遺伝子の発現を特異的に検出できるプライマーセットを確立し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] 以下の工程を含む、青果物の鮮度評価方法。
(1) 鮮度評価対象の青果物を貯蔵して経時的にサンプリングした試料から全RNAを抽出し、cDNAを合成する工程
(2) 貯蔵開始時点でサンプリングした試料のcDNAと鮮度が低下した時点でサンプリングした試料のcDNAについて、サブトラクションクローニング法により発現量に差のある遺伝子を濃縮した遺伝子ライブラリーを調製する工程
(3) 該ライブラリーの遺伝子について、貯蔵開始からの遺伝子発現の経時的変化をノーザンブロット法により解析する工程
(4) ノーザンブロット法により得られた発現パターンに基づいてグループ分けする工程
(5) 異なるグループに分類された遺伝子の中から選択した2種以上の遺伝子をPCR法により増幅し、異なる長さの増幅断片が得られる遺伝子を該青果物の鮮度マーカー遺伝子として同定する工程
(6) 被検青果物試料から調製したcDNAを鋳型として上記鮮度マーカー遺伝子をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンに基づいて、該被検青果物の鮮度を評価する工程
[2] PCR法が、マルチプレックスPCRである、[1]に記載の方法。
[3] 鮮度評価対象の青果物が、ニラ、ホウレンソウ、ブロッコリーである、[1]に記載の方法。
[4] 被検青果物がニラであって、被検試料から調製したcDNAを鋳型とし、ALT_R68(配列番号1)、ALT_A85(配列番号2)、ALT_F04(配列番号3)、ALT_F24(配列番号4)の2種以上の遺伝子をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することを特徴とする、[1]に記載の方法。
[5] 以下の(A)~(D)のプライマーセットの2種以上を用いてPCRを行うことを特徴とする、[4]に記載の方法。
(A)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_R68増幅用プライマーセット
(B)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるALT_A85増幅用プライマーセット
(C)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F04増幅用プライマーセット
(D)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F24増幅用プライマーセット
[6] 被検青果物がホウレンソウであって、被検試料から調製したcDNAを鋳型とし、SO_R141(配列番号13)、SO_F325(配列番号14)、SO_F167(配列番号15)、SO_F188(配列番号16)の2種以上の遺伝子をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することを特徴とする、[1]に記載の方法。
[7] 以下の(E)~(H)のプライマーセットの2種以上を用いてPCRを行うことを特徴とする、[6]に記載の方法。
(E)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_R141増幅用プライマーセット
(F)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるSO_F325増幅用プライマーセット
(G)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F167増幅用プライマーセット
(H)配列番号23に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号24に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F188増幅用プライマーセット
【0010】
[8] 被検青果物がブロッコリーであって、被検試料から調製したcDNAを鋳型とし、BO_F106(配列番号25)、BO_F361(配列番号26)、BO_F367(配列番号27)の2種以上の遺伝子をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することを特徴とする、[1]に記載の方法。
[9] 以下の(I)~(K)のプライマーセットの2種以上を用いてPCRを行うことを特徴とする、[8]に記載の方法。
(I)配列番号28に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号29に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F106増幅用プライマーセット
(J)配列番号30に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号31に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるBO_F361増幅用プライマーセット
(K)配列番号32に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号33に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F367増幅用プライマーセット
[10] 以下の(A)~(D)を含む、ニラの鮮度評価用プライマーセット。
(A)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_R68増幅用プライマーセット
(B)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるALT_A85増幅用プライマーセット
(C)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F04増幅用プライマーセット
(D)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F24増幅用プライマーセット
[11] [10]に記載のプライマーセットの全てを含む、ニラの鮮度評価用キット。
[12] 以下の(E)~(H)を含む、ホウレンソウの鮮度評価用プライマーセット。
(E)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_R141増幅用プライマーセット
(F)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるSO_F325増幅用プライマーセット
(G)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F167増幅用プライマーセット
(H)配列番号23に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号24に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F188増幅用プライマーセット
[13] [12]に記載のプライマーセットの全てを含む、ホウレンソウの鮮度評価用キット。
[14] 以下の(I)~(K)を含む、ブロッコリーの鮮度評価用プライマーセット。
(I)配列番号28に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号29に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F106増幅用プライマーセット
(J)配列番号30に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号31に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるBO_F361増幅用プライマーセット
(K)配列番号32に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号33に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F367増幅用プライマーセット
[15] [14]に記載のプライマーセットの全てを含む、ブロッコリーの鮮度評価用キット。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、青果物の鮮度に関連する遺伝子をマーカーとして用いる青果物の鮮度評価方法、および当該方法に用いる青果物の鮮度評価用プライマーセットが提供される。本発明の方法は、鮮度に関連する特定の遺伝子を鮮度マーカー遺伝子とし、そのPCR増幅産物を検出することにより、青果物の鮮度を評価するものである。従って、本発明によれば、主観的な外観評価や、条件により変動する成分含量の変化による評価に比べ、より高精度に青果物の鮮度を評価できる。また、上記鮮度マーカー遺伝子の発現変化は青果物の成分変化や酵素活性の変化に先だって起こるので、青果物の外観や成分が変化するよりも早い段階で、鮮度が低下する兆候を捉えることが可能であり、青果物の内的な生理状態を反映する。従って、本発明は、外観からでは判断の難しかった鮮度低下(例えば葉の黄化)の兆候を、ノーザンブロット解析では約3日を要していたところ、半日で検出を可能とするものであり、非常に迅速である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】10℃にて貯蔵したニラ試料における鮮度マーカー遺伝子の候補遺伝子のノーザンブロット法による解析結果を示す(0:貯蔵0日目、1:貯蔵1日目、2:貯蔵2日目、3:貯蔵3日目、6:貯蔵6日目、P:鮮度保持包装にて貯蔵6日目)。
【図2】10℃にて貯蔵したニラ試料における鮮度マーカー遺伝子のノーザンブロット法による解析結果(左)とRT-PCR(右)による検出結果の比較を示す(0:貯蔵0日目、1:貯蔵1日目、2:貯蔵2日目、3:貯蔵3日目、6:貯蔵6日目、P:鮮度保持包装にて貯蔵6日目)。
【図3】5、10、20℃にて貯蔵したニラ試料における鮮度マーカー遺伝子のPCR 増幅による検出結果を示す(数字は貯蔵日数を示す)。
【図4】10℃にて貯蔵したホウレンソウ試料における鮮度マーカー遺伝子の候補遺伝子のノーザンブロット法による解析結果を示す(0:貯蔵0日目、1:貯蔵1日目、2:貯蔵2日目、3:貯蔵3日目、4:貯蔵4日目)。
【図5】10℃にて貯蔵したホウレンソウ試料における鮮度マーカー遺伝子のノーザンブロット法による解析結果(左)とRT-PCR(右)による検出結果の比較を示す(0:貯蔵0日目、1:貯蔵1日目、2:貯蔵2日目、3:貯蔵3日目、4:貯蔵4日目)。
【図6】10℃にて貯蔵したブロッコリー試料における鮮度マーカー遺伝子の候補遺伝子のノーザンブロット法による解析結果を示す(0:貯蔵0日目、1:貯蔵1日目、2:貯蔵2日目、3:貯蔵3日目、4:貯蔵4日目)。
【図7】10℃にて貯蔵したブロッコリー試料における鮮度マーカー遺伝子のノーザンブロット法による解析結果(左)とRT-PCR(右)による検出結果の比較を示す(0:貯蔵0日目、1:貯蔵1日目、2:貯蔵2日目、3:貯蔵3日目、4:貯蔵4日目)。
【図8】5、10、20℃にて貯蔵したブロッコリー試料における鮮度マーカー遺伝子のPCR 増幅による検出結果を示す(数字は貯蔵日数を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.青果物の鮮度評価方法
本発明の青果物の鮮度評価方法は、(1) 鮮度評価対象の青果物を貯蔵して経時的にサンプリングした試料から全RNAを抽出し、cDNAを合成する工程、(2) 貯蔵開始時点でサンプリングした試料のcDNAと鮮度が低下した時点でサンプリングした試料のcDNAについて、サブトラクションクローニング法により発現量に差のある遺伝子を濃縮した遺伝子ライブラリーを調製する工程、(3) 該ライブラリーの遺伝子について、貯蔵開始からの遺伝子発現の経時的変化をノーザンブロット法により解析する工程、(4) ノーザンブロット法により得られた発現パターンに基づいてグループ分けする工程、(5) 異なるグループに分類された遺伝子の中から選択した2種以上の遺伝子をPCR法により増幅し、異なる長さの増幅断片が得られる遺伝子を該青果物の鮮度マーカー遺伝子として同定する工程、(6) 被検青果物試料から全RNAを抽出し、調製したcDNAを鋳型として上記鮮度マーカー遺伝子をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンに基づいて、該被検青果物の鮮度を評価する工程を含む。以下、各工程について説明する。

【0014】
まず、工程(1)では、鮮度評価対象の青果物を貯蔵して経時的にサンプリングした試料から全RNAを抽出し、cDNAを合成する。

【0015】
鮮度評価対象とする青果物の種類は、野菜・果物類であれば特に限定はされないが、具体的には葉菜(キャベツ、レタス、ネギ、ニラ、ハクサイ、コマツナ、ブロッコリー、セロリ、ホウレンソウ、アスパラガスなど)、果菜(トマト、キュウリ、ナス、ビーマン、カボチャ、イチゴ、スイカ、メロンなど)、根菜(カブ、ダイコン、ゴボウ、ニンジン、レンコン、タマネギなど)などが挙げられる。

【0016】
RNA抽出に用いる青果物の組織は特に限定されず、葉、果実、種子、根、茎など、いずれの組織であってもよいが、好ましくは食用に供する部分を用いる。さらに、これらの組織は、核酸抽出の効率を良く行うことができるように液体窒素を用いて粉砕しておくことが好ましい。

【0017】
サンプリングは、貯蔵開始時点(0日)、および貯蔵開始から例えば1日、2日、3日、4日、6日の時点で行えばよく、評価対象とする青果物の種類により、適宜変更すればよい。

【0018】
RNAの抽出は、当該技術分野において通常用いられる手法、例えば、グアニジンチオシナネート法、フェノール-クロロホルム法などにより、粗RNA 画分を抽出調製する。RNA の抽出は、試薬メーカーより販売されている各種RNA抽出キットを用いてもよく、当該キットに添付される抽出プロトコルを改良した独自のプロトコルに従って行ってもよい。次いで、この粗RNA画分から、市販キット (例えば、SMART PCR cDNA Synthesis Kit (Clontech社製) を用い、オリゴ(dT)プライマー及び逆転写酵素によってmRNAに由来する一本鎖cDNAを合成し、さらに末端共通プライマーを用いたPCR反応によりcDNAを合成する。

【0019】
工程(2)は、貯蔵開始時点でサンプリングした試料のcDNAと明らかな鮮度低下が認められた時点(例えば、黄化が目視で観察された時点)でサンプリングした試料のcDNAについて、サブトラクションクローニング法により発現量に差のある遺伝子(差時的遺伝子)を濃縮した遺伝子ライブラリーを調製する。具体的には、貯蔵開始時点でサンプリングした試料から得られたRNAから上記の方法で合成したcDNAをテスターcDNA、鮮度低下が認められた時点でサンプリングした試料から得られたRNAから合成されたcDNAをドライバーcDNAとして、Clontech PCR-Slect cDNAサブトラクションキット(Takara)により鮮度低下が進んだ時点で大量に発現しているcDNAのみを濃縮することができる。また、テスターcDNAとドライバーcDNAを入れ替えることにより逆の発現パターンを示すcDNAのみを濃縮することができる。このサブトラクションクローニングには、他のcDNAサブトラクションキット(例えばDsDD(Duplex-specific Direct Digestion) cDNA Subtraction Kit (Wako社製))を利用して行うこともできる。

【0020】
工程(3)では、工程(2)で構築したライブラリーの遺伝子クローンの塩基配列を決定し、BLAST検索で既知遺伝子との類似性が認められた遺伝子について、貯蔵開始からの遺伝子発現の経時的変化をノーザンブロット法により解析する。ノーザンブロット法において、各遺伝子の転写産物の検出には、配列決定したヌクレオチド配列に含まれる、約100~1200塩基、好ましくは200~1000塩基の連続したヌクレオチド配列またはその相補配列を含むポリヌクレオチドからなる核酸プローブにより行う。

【0021】
工程(4)では、ノーザンブロット法により得られた発現パターンに基づいてグループ分けする。グループ分けは、(ND) 貯蔵試験期間中に強い発現が検出されないもの、(E0-)貯蔵0日目から発現しており、貯蔵に伴って減少するもの、(E0)貯蔵開始時から発現しており、発現の変化が少ないもの、(E0+)貯蔵0日目から発現しており、貯蔵に伴って増加するもの、以下、貯蔵n日目から検出されるものをEnとし、貯蔵に伴って減少するものはEn-、貯蔵によってあまり変化しないものはEn、貯蔵に伴って増加するものはEn+を基準に行う。グループ数については特に制限はないが、6~30が適当である。なお、青果物の品目によって鮮度低下までの日数は異なるため、貯蔵開始から、明らかな鮮度低下までの日数によりグループ数を調整する。

【0022】
工程(5)では、異なるグループに分類された遺伝子の中から選択した2種以上の遺伝子をその配列に基づいて設計されたプライマーセットを用いてPCR法により増幅し、異なる長さの増幅断片が得られる遺伝子を該青果物の鮮度マーカー遺伝子として同定する。

【0023】
最後に、工程(6)では、被検青果物試料から調製したcDNAを鋳型として上記工程(5)で同定した鮮度マーカー遺伝子をその配列に基づいて設計されたプライマーセットを用いてPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンに基づいて、該被検青果物の鮮度を評価する。ここで、鋳型となるcDNAは、前記と同様の方法に従って、RNA抽出とcDNA合成を行うことにより調製すればよい。

【0024】
被検試料がニラの場合は、ニラの鮮度マーカー遺伝子として同定されたALT_R68(配列番号1)、ALT_A85(配列番号2)、ALT_F04(配列番号3)、ALT_F24(配列番号4)から選ばれる2種以上、好ましくは全ての遺伝子に相当するDNA断片をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することにより行う。

【0025】
被検試料がホウレンソウの場合は、ホウレンソウの鮮度マーカー遺伝子として同定されたSO_R141(配列番号13)、SO_F325(配列番号14)、SO_F167(配列番号15)、SO_F188(配列番号16)から選ばれる2種以上、好ましくは全ての遺伝子に相当するDNA断片をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することにより行う。

【0026】
被検試料がブロッコリーの場合は、ブロッコリーの鮮度マーカー遺伝子として同定されたBO_F106(配列番号25)、BO_F361(配列番号26)、BO_F367(配列番号27)から選ばれる2種以上、好ましくは全ての遺伝子に相当するDNA断片をPCR法により増幅し、得られた増幅産物のパターンを解析することにより行う。

【0027】
PCR増幅は上記鮮度マーカー遺伝子の配列に基づいて設計されたプライマーセットを用いる以外は特に制限はなく、常法に従って行えばよい。具体的には、鋳型DNAの変性、プライマーへの鋳型へのアニーリング、および耐熱性酵素(Taqポリメラーゼ)を用いたプライマーの伸長反応を含むサイクルを繰り返すことにより、目的とする鮮度マーカー遺伝子を増幅させる。PCR反応液の組成、PCR反応条件(温度サイクル、サイクルの回数等)は、設計されたプライマーセットを用いたPCRにおいて高感度でPCR増幅産物が得られるような条件を予備実験等により当業者であれば適切に選択および設定することができる。プライマーのTmに基づいて適当なPCR反応条件を選択する方法は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、最初に96℃で2分間の変性反応、次に96℃で30秒間、64℃で1分間、72℃で1.5分間を1サイクルとして30サイクル、最後に72℃で7分間の伸長反応により実施することができる。より具体的には、被検青果物から抽出したRNA 1μgから合成したcDNAを鋳型として、10×PCR反応用緩衝液、プライマー各0.25~1μM、DNAポリメラーゼ(Taq ポリメラーゼ、TthDNAポリメラーゼなど)0.25~2.5U、dNTP各200μMを混合した後、全液量が10~25μlとなるように希釈したものについて、94~96℃ 2分×1サイクル、(94~96℃ 30秒、55~68℃1分間、70~74℃ 1.5分)×28~30サイクル、70~74℃ 7分×1サイクルで反応を行う。これは一例にすぎず、PCR反応液の組成、反応温度や時間は、プライマーとなるオリゴヌクレオチド配列の長さや塩基組成などに応じて適宜設定することができる。このようなPCRの一連の操作は、市販のPCRキットやPCR装置を利用して、その操作説明書に従って行うことができる。PCR装置は、例えば、サーマルサイクラーTP600(Takara社製)、GeneAmp PCR System 9700(Applied Biosystems社製)などが使用できる。

【0028】
本発明の方法において、PCR法による増幅は、上記鮮度マーカー遺伝子をPCR増幅できるプライマーセットを1種用いて行ってもよいが、一度に多くの鮮度マーカー遺伝子の検出ができる上で、複数のプライマーセットを1つの反応系で用いるマルチプレックスPCRを行うことが好ましい。また、マルチプレックスPCRを行なう際には、増幅産物の位置が約100bp程度異なって違いが目視できるようにプライマーを設計すること、異なる種類のプライマーセットを混ぜてPCR反応してもプライマーダイマーが形成されないようにすること、他の遺伝子内で交差反応しないことを実際のPCR反応で確認すること、最終的にはそれぞれの鮮度マーカー遺伝子の発現量に応じて各プライマーセットの混合割合を調整し、1本のチューブでPCRを行った時に同じような濃さのバンドになるように微調整することに留意する(後記実施例参照)。

【0029】
PCR増幅産物の検出は、アガロースゲル電気泳動やキャピラリー電気泳動などの慣用の電気泳動、DNAハイブリダイゼーションやリアルタイムPCR等の方法を用いて確認する。例えば、アガロースゲル電気泳動では、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を単一のバンドとして検出する。

【0030】
本発明の方法では、上記のようなPCR増幅の結果として得られた増幅産物のパターンに基づいて、被検青果物試料の鮮度評価を行うことができる。本発明において「増幅産物のパターン」とは、PCR増幅を終了した後の反応液中に含まれる各遺伝子断片の分子量サイズ若しくは塩基長、塩基配列、又は存在量(相対量若しくは絶対量)を意味する。「増幅産物のパターン」の典型例は、PCR増幅を終了した後の反応液を電気泳動して得たバンドパターン及びその各バンドの相対的な濃さである。

【0031】
例えば、上記ニラの鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットを用いてPCR増幅を行った場合は、ALT_A68については515bp、ALT_A85については396bp、ALT_F04については318bp、ALT_F24については206bpの増幅断片が検出される。10℃で貯蔵したニラを試料とした場合、ALT_A68に対応するバンドは、貯蔵開始直後から認められ、貯蔵日数が進むにつれて薄くなる。これに対し、ALT_A85、ALT_F04、ALT_F24に対応するバンドは貯蔵日数が2、3、6日で認められ、ALT_A85は貯蔵日数が進むにつれて濃くなる傾向にある(後記実施例1および図2)。従って、被検ニラ試料について、上記ニラの鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットの全てを用いてPCRを行って得られた増幅産物のバンドパターンに、ALT_A68に対応するバンドしか検出されない場合は、そのニラは鮮度がよい、鮮度劣化が外観上認められるまでの時間が長いと評価でき、また、ALT_A85、ALT_F04に対応するバンドも検出された場合は、そのニラは鮮度劣化が進んでいる、鮮度劣化が外観上認められるまでの時間が短いと評価できる。

【0032】
また、上記ホウレンソウの鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットを用いてPCR増幅を行った場合は、SO_R141については509bp、SO_F325については403bp、SO_F167については309bp、SO_F188については170bpの増幅断片が検出される。10℃で貯蔵したホウレンソウを試料とした場合、SO_R141に対応するバンドは、貯蔵開始直後から認められ、貯蔵日数が進むにつれて薄くなる。これに対し、SO_F167、SO_F325に対応するバンドは貯蔵日数が1、2日で認められ、いずれも貯蔵日数が進むにつれて濃くなる傾向にある。また、SO_F188に対応するバンドは貯蔵開始直後から認められ、貯蔵日数が進むでも濃さは変化しない(後記実施例2および図5)。従って、被検ホウレンソウ試料について、上記ホウレンソウの鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットの全てを用いてPCRを行って得られた増幅産物のバンドパターンに、SO_R141、SO_F188に対応するバンドしか検出されない場合は、そのホウレンソウは鮮度がよい、鮮度劣化が外観上認められるまでの時間が長いと評価でき、また、SO_R141に対応するバンドが薄くなり、SO_F167、SO_F325に対応するバンドが検出された場合は、そのホウレンソウは鮮度劣化が進んでいる、鮮度劣化が外観上認められるまでの時間が短いと評価できる。

【0033】
また、上記ブロッコリーの鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットを用いてPCR増幅を行った場合は、BO_F106については397 bp、BO_F361については293 bp、BO_F367については198 bpの増幅断片が検出される。10℃で貯蔵したホウレンソウを試料とした場合、BO_F106に対応するバンドは、貯蔵開始直後から認められ、貯蔵日数が進むにつれて濃くなる。これに対し、BO_F361、BO_F367に対応するバンドは貯蔵日数が1、2日で認められ、いずれも貯蔵日数が進むにつれてやや濃くなる傾向にある(後記実施例3および図7)。従って、被検ブロッコリー試料について、上記ブロッコリーの鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットの全てを用いてPCRを行って得られた増幅産物のバンドパターンに、BO_F106に対応するバンドしか検出されない場合は、そのブロッコリーは鮮度がよい、鮮度劣化が外観上認められるまでの時間が長いと評価でき、また、BO_F361、BO_F367に対応する明瞭なバンドが検出された場合は、そのブロッコリーは鮮度劣化が進んでいる、鮮度劣化が外観上認められるまでの時間が短いと評価できる。

【0034】
2.青果物鮮度評価用プライマーセット
本発明の青果物鮮度評価用プライマーセットは、上記1.の方法の工程(5)で同定された鮮度評価マーカー遺伝子を増幅できるプライマーセットである。

【0035】
たとえば、ニラの場合は、同定された4つの鮮度マーカー遺伝子(ALT_R68、ALT_A85、ALT_F04、ALT_F24)を増幅することのできるプライマーセットとして、下記の(A)~(D)の4組のプライマーセットを好適に用いることができる。

【0036】
(A)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_R68増幅用プライマーセット
5'-tcgtgaacac attcgaaagc agata-3' (配列番号5)
5'-ttgaggatca acaccgatag aggag-3' (配列番号6)
(B)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるALT_A85増幅用プライマーセット
5'-actcagtttt actccctcga ctttt-3' (配列番号7)
5'-gcatatgcac aatcatacgc aaatc -3' (配列番号8)
(C)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F04増幅用プライマーセット
5'-ccagtagttc aaggggtttg aaagg-3' (配列番号9)
5'-actctgtggt caggcctttg ttttt-3' (配列番号10)
(D)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるALT_F24増幅用プライマーセット
5'-gggcaaaatc ttgcacataa agtcc-3' (配列番号11)
5'-catggctcta cagagcaaca aatga-3' (配列番号12)

【0037】
ホウレンソウの場合は、同定された4つの鮮度マーカー遺伝子(SO_R141、SO_F325、SO_F167、SO_F188)を増幅することのできるプライマーセットとして、下記の(E)~(H)の4組のプライマーセットを好適に用いることができる。
(E)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_R141増幅用プライマーセット
5'-ttctaagaac cgtgagcttg aggtg-3' (配列番号17)
5'-aggttagttg cgaaagacca agcat-3' (配列番号18)
(F)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるSO_F325増幅用プライマーセット
5'-ccggaacacg atttgaagaa ttaca-3' (配列番号19)
5'-gagtgacagg gtccagagaa tttga-3' (配列番号20)
(G)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F167増幅用プライマーセット
5'-gatctaaatc cgtcccacac tctcc-3' (配列番号21)
5'-acagagttcg acgaaggttg tgaag-3' (配列番号22)
(H)配列番号23に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号24に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるSO_F188増幅用プライマーセット
5'-tagtagacgc ggttcccgta ttcat-3' (配列番号23)
5'-aaccaaagca aacccaagca ataat-3' (配列番号24)

【0038】
ブロッコリーの場合は、同定された3つの鮮度マーカー遺伝子(BO_F106、BO_F361、BO_F367)を増幅することのできるプライマーセットとして、下記の(I)~(K)の3組のプライマーセットを好適に用いることができる。
(I)配列番号28に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号29に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F106増幅用プライマーセット
5'-tcactttttc ctcttcccac atgaa-3' (配列番号28)
5'-gaaagtggtt gcagtaagcg acatc-3' (配列番号29)
(J)配列番号30に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号31に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーとから構成されるBO_F361増幅用プライマーセット
5'-gttttgtcac caagatggtt tgagc-3' (配列番号30)
5'-atgatcagtt ttgaaccgag gcttt-3' (配列番号31)
(K)配列番号32に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドと配列番号33に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドとから構成されるBO_F367増幅用プライマーセット
5'-ttactttact tgcggaacag gcaac-3' (配列番号32)
5'-acgtagtgtt cccggtctag ggtt-3' (配列番号33)

【0039】
上記のプライマーセットを構成するオリゴヌクレオチドは、各遺伝子の配列情報に基づき、各遺伝子に由来する遺伝子増幅産物が近接しないように、約100bpの間隔をあけ、検出の特異性を高めるためにプライマーは25mer以上とする。さらに、各プライマーが相補的な配列を持つことによるプライマーダイマーの形成が起こらないようにプライマーの位置を選ぶとともに、他の遺伝子内部での交差反応が起きないことも、配列から確認して、設計する。プライマーの設計は、市販のソフトウェア(例えば、GENETYX:ソフトウェア開発株式会社)や、フリーのソフトウエア(例えばAmplify)を用いて行えばよい。

【0040】
上記プライマーセットの各オリゴヌクレオチドは、配列番号5~12、17~24、28~33に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと実質的に同一の機能を有する限り、上記各塩基配列において1~数個(例えば、5個、好ましくは3個、より好ましくは1個)の塩基が欠失、付加、置換した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであってもよい。

【0041】
上記プライマーセットの各オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホトリエチル法、ホスホジエステル法等により、通常用いられるDNA自動合成装置(例えば、Applied Biosystems社製Model 394など)を利用して合成することが可能である。

【0042】
また、上記オリゴヌクレオチドは、これらをプライマーとするPCR増幅産物の検出を容易にするために、標識物質をつけたオリゴヌクレオチドであってもよい。標識物質としては、当該技術分野においてよく知られる蛍光物質(FITC、ROC等)、放射性同位体、化学発光物質(例えば、DNP)、ビオチン、DIG(ジゴキシゲニン)等を用いることができる。

【0043】
上記のプライマーセットはキット化することもできる。本発明のキットには、上記のプライマーセットを含むものであればよく、鮮度評価を行う青果物の種類、数、目的によって、これらのプライマーセットの中から適当なセットを2種以上適宜選択し、組み合わせて用いればよい。例えば下記の実施例で示されるようにニラ鮮度評価用の4組のプライマーセットは1回の増幅反応に使用することができる。また、当該キットには、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬(プライマーを除く)、反応の陽性コントロールとなるPCR増幅領域を含むDNA溶液、染色剤や染色剤電気泳動用ゲル等の検出用試薬、説明書などを含んでいてもよい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
【実施例】
【0045】
(実施例1)ニラ鮮度マーカー遺伝子による鮮度評価
(1) ニラ鮮度マーカー遺伝子の同定、およびニラ鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットの調製
被検試料として収穫後の品質低下(鮮度低下)が激しい葉菜類のひとつである「ニラ」(Allium tuberosum Rottler)を用いた。試験区のニラは、10℃で貯蔵して、鮮度低下を促進させた。経時的(0、1、2、3、6日目)にサンプリングし、液体窒素で凍結させた後、分析時まで-80℃で保存した。このニラの試料では、6日目に葉の黄化が見られた。一方で、市販の鮮度保持包装(パーシャルシール包装)したニラでは、6日目でも黄化は見られなかった。
【実施例】
【0046】
凍結保存したニラの試料(貯蔵開始時(0日目)と貯蔵6日目にサンプリングしたニラの凍結保存試料)0.1gを用い、RNeasy (QIAGEN)により全RNAを抽出した。この全RNAを試料とし、Clontech PCR-Select cDNA Subtraction Kitに添付の試薬を用い、指示書に従ってサブトラクションクローニングを行い、0日目と6日目の試料間で発現量に差のある遺伝子を単離した。これらの遺伝子をシークエンス用のベクターに組み込み、216個の遺伝子配列を解析した。
【実施例】
【0047】
216個の配列情報をBLASTで検索して、既知の遺伝子との類似性を調べた。最上位にヒットする中にニラ(Allium tuberosum Rottler)の既知遺伝子は無く、他種の植物の既知遺伝子が類似度97%~78%でヒットした(下記表1)。
【実施例】
【0048】
【表1】
JP0005652778B2_000002t.gif
【実施例】
【0049】
既知の遺伝子との類似性が認められた遺伝子のうち、上記26個の遺伝子について、経時的な発現変化をノーザンブロットにより確認した。その結果、これらの遺伝子は、発現のパターンにより、7つのグループに分けることができた(図1)。
【実施例】
【0050】
上記26個の遺伝子のうち、異なるグループに分類されていること、図1のノーザンブロット解析の発現パターンで、貯蔵後の日数で発現の開始時期が異なることを基準に選択した5つの遺伝子について、特異的に検出が可能なPCRプライマーを、増幅産物の位置(塩基数)が約100bp程度異なること、プライマーダイマーを形成しないこと、他の遺伝子内で交差反応しないことなどを基準に設計した。
【実施例】
【0051】
各試料から上記と同様にして抽出したRNAの一定量(1μg)から合成したcDNAを鋳型とし、設計したPCRプライマーセットを用いて、EX Taq Hot Start Version(Takara社)を用い、説明書に従ってPCRを行った。PCRは、サーマルサイクラーTP600型(Takara社)を使用し、下記表2の条件にて行った。
【実施例】
【0052】
【表2】
JP0005652778B2_000003t.gif
【実施例】
【0053】
得られたPCR産物はDNAサイズマーカーとともに50μg /100mLの臭化エチジウムを含む2%アガロースゲルにローディングし、130Vで30分電気泳動した後に、紫外線イルミネーターにより検出した。
【実施例】
【0054】
その結果、4つの遺伝子(クローン:ALT_R68、ALT_A85、ALT_F04、ALT_F24)を増幅することができた。下記表3に、上記4つの遺伝子に関する情報(配列長、由来する植物種、コードする酵素・タンパク質)、および各遺伝子を増幅させるために設計したPCRプライマー配列を示す。
【実施例】
【0055】
【表3】
JP0005652778B2_000004t.gif
【実施例】
【0056】
さらに、4つの遺伝子のプライマーを混合して上記と同様の条件にてPCRを行い(マルチプレックスPCR)、得られたPCR産物について電気泳動を行ったところ、交差反応せず、独立して半定量的にそれぞれの遺伝子を検出できた。また、マルチプレックスPCRの結果は、ノーザンブロットと良い相関性が認められた(図2)。
【実施例】
【0057】
以上の結果から、10℃に貯蔵して6日目に黄化が始まるニラにおいて、ALT_A85のpathogen-related protein のバンド(396bp)は、2日目に発現し、ALT_F04のcysteine proteaseのバンド(318bp)は、3日目に発現し、これらのバンドにより鮮度低下の兆候を早期に検出できた。鮮度保持包装したニラでは、ALT_A85、ALT_F04とも発現しなかった。
【実施例】
【0058】
(2) ニラ鮮度判定マーカー遺伝子の発現変化
新たに5℃、10℃、20℃にてそれぞれ貯蔵したニラを経時的(0、4、7、10、14、21日)にサンプリングし、凍結乾燥した試料から調製したcDNAについて、(1)にてニラの鮮度に関わる遺伝子として同定した4つの遺伝子(クローン:ALT_R68、ALT_A85、ALT_F04、ALT_F24)のプライマーセットの全てを用いて上記と同様の条件にてPCRを行い、遺伝子発現変化を比較した。
【実施例】
【0059】
その結果、ALT_R68 (alcohol dehydrogenase)のバンド(515bp)はいずれの貯蔵温度、貯蔵日数でも検出されたが、A85 (pathogen-related protein)のバンド(396bp)は貯蔵に伴って発現が多くなった。また、ALT_F04 (cysteine protease)のバンド(318bp)は、5℃では貯蔵21日目でも発現しないが、10℃では14日、20℃では4日目に強い発現が認められ、貯蔵温度が高くなるに従って遺伝子発現が早くなり、鮮度低下が進む傾向が確認できた(図3)。
【実施例】
【0060】
(実施例2)ホウレンソウ鮮度マーカー遺伝子による鮮度評価
(1) ホウレンソウ鮮度マーカー遺伝子の同定、およびホウレンソウ鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットの調製
被検試料としてホウレンソウ(Spinacia oleracea)を用いる以外は、実施例1と同様にしてサブトラクションクローニングを行い、0日目と4日目(黄化が見られた日)の試料間で発現量に差のある遺伝子を単離した。これらの遺伝子をシークエンス用のベクターに組み込み、177個の遺伝子配列を解析した。
【実施例】
【0061】
177個の配列情報をBLASTで検索して、既知の遺伝子との類似性を調べた。最上位にヒットする中にホウレンソウ(Spinacia oleracea)の既知遺伝子は1つ存在し、他種の植物の既知遺伝子が類似度99~68%でヒットした(下記表4)。
【実施例】
【0062】
【表4】
JP0005652778B2_000005t.gif
【実施例】
【0063】
既知の遺伝子との類似性が認められた遺伝子のうち、上記27個の遺伝子について、経時的な発現変化をノーザンブロットにより確認し、発現のパターンにより、7つのグループに分けることができた(図4)。
【実施例】
【0064】
上記27個の遺伝子のうち、異なるグループに分類されていること、図4のノーザンブロット解析の発現パターンで、貯蔵後の日数で発現の開始時期が異なることを基準に選択した4つの遺伝子について、特異的に検出が可能なPCRプライマーを、実施例1に記載と同様の基準にて設計した。
【実施例】
【0065】
試料から抽出したホウレンソウRNAの一定量(1μg)から合成したcDNAを鋳型とし、設計したPCRプライマーセットを用いて、下記表5の条件にてPCRを行い、増幅産物を検出した。
【実施例】
【0066】
【表5】
JP0005652778B2_000006t.gif
【実施例】
【0067】
その結果、4つの遺伝子(クローン:SO_R141、SO_F325、SO_F167、SO_F188)を増幅することができた。下記表6に、上記4つの遺伝子に関する情報(配列長、由来する植物種、コードする酵素・タンパク質)、および各遺伝子を増幅させるために設計したPCRプライマー配列を示す。
【実施例】
【0068】
【表6】
JP0005652778B2_000007t.gif
【実施例】
【0069】
さらに、4つの遺伝子のプライマーを混合して上記と同様の条件にてPCRを行い(マルチプレックスPCR)、得られたPCR産物について電気泳動を行ったところ、交差反応せず、独立して半定量的にそれぞれの遺伝子を検出できた。また、マルチプレックスPCRの結果は、ノーザンブロットと良い相関性が認められた(図5)。
【実施例】
【0070】
以上の結果から、10℃に貯蔵して4日目に黄化が始まるホウレンソウにおいて、SO_R141のchlorophyll a/b binding proteinのバンド(509bp)は、0日目に発現し、SO_F167のcysteine proteinase-like protein のバンド(309bp)は、1日目に発現し、SO_F325のpolygalacturonase precursorのバンド(403bp)は、2日目に発現し、これらのバンドにより鮮度低下の兆候を早期に検出できた。
【実施例】
【0071】
(実施例3)ブロッコリー鮮度マーカー遺伝子による鮮度評価
(1) ブロッコリー鮮度マーカー遺伝子の同定、およびブロッコリー鮮度マーカー遺伝子増幅用プライマーセットの調製
被検試料としてブロッコリー(Brassica oleraceavar. italica)を用いる以外は、実施例1と同様にしてサブトラクションクローニングを行い、0日目と4日目(黄化が見られた日)の試料間で発現量に差のある遺伝子を単離した。これらの遺伝子をシークエンス用のベクターに組み込み、178個の遺伝子配列を解析した。
【実施例】
【0072】
178個の配列情報をBLASTで検索して、既知の遺伝子との類似性を調べた。最上位にヒットする中にブロッコリーの既知遺伝子は3つ存在し、他種の植物の既知遺伝子が類似度100%~71%でヒットした(下記表7)。
【実施例】
【0073】
【表7】
JP0005652778B2_000008t.gif
【実施例】
【0074】
既知の遺伝子との類似性が認められた遺伝子のうち、上記17個の遺伝子について、経時的な発現変化をノーザンブロットにより確認し、発現のパターンにより、7つのグループに分けることができた(図6)。
【実施例】
【0075】
上記17個の遺伝子のうち、異なるグループに分類されていること、図6のノーザンブロット解析の発現パターンで、貯蔵後の日数で発現の開始時期が異なることを基準に選択した3つの遺伝子について、特異的に検出が可能なPCRプライマーを、実施例1に記載と同様の基準にて設計した。
【実施例】
【0076】
試料から抽出したブロッコリーRNAの一定量(1μg)から合成したcDNAを鋳型とし、設計したPCRプライマーセットを用いて、下記表8の条件にてPCRを行い、増幅産物を検出した。
【実施例】
【0077】
【表8】
JP0005652778B2_000009t.gif
【実施例】
【0078】
その結果、3つの遺伝子(クローン:BO_F106、BO_F361、BO_F367)を増幅することができた。下記表9に、上記3つの遺伝子に関する情報(配列長、由来する植物種、コードする酵素・タンパク質)、および各遺伝子を増幅させるために設計したPCRプライマー配列を示す。
【実施例】
【0079】
【表9】
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【実施例】
【0080】
さらに、3つの遺伝子のプライマーを混合して上記と同様の条件にてPCRを行い(マルチプレックスPCR)、得られたPCR産物について電気泳動を行ったところ、交差反応せず、独立して半定量的にそれぞれの遺伝子を検出できた。また、マルチプレックスPCRの結果は、ノーザンブロットと良い相関性が認められた(図7)。
【実施例】
【0081】
以上の結果から、10℃に貯蔵して4日目に黄化が始まるブロッコリーにおいて、
BO_F106のglutamate dehydrogenase のバンド(397bp)は、0日目に発現し、BO_F361のDIN2 (DARK INDUCIBLE 2) のバンド(293bp)は、0あるいは1日目に発現し、BO_F367のpectate lyase(198bp)は、2日目に発現し、これらのバンドにより鮮度低下の兆候を早期に検出できた。
【実施例】
【0082】
(2) ブロッコリー鮮度判定マーカー遺伝子の発現変化
新たに5℃、10℃、20℃にてそれぞれ貯蔵したブロッコリーを経時的(0、1、2、3、4、5日)にサンプリングし、凍結乾燥した試料から調製したcDNAについて、(1)にてブロッコリーの鮮度に関わる遺伝子として同定した3つの遺伝子(クローン:BO_F106、BO_F361、BO_F367)のプライマーセットの全てを用いて上記と同様の条件にてPCRを行い、遺伝子発現変化を比較した。
【実施例】
【0083】
その結果、BO_F106 (glutamate dehydrogenase)のバンド(397bp)はいずれの貯蔵温度、貯蔵日数でも検出されたが、BO_F361 (DIN2 (DARK INDUCIBLE 2))のバンド(293bp)は5℃では貯蔵3日目、10℃では2日目、20℃では1日目に発現が認められ、貯蔵温度が高くなるに従って遺伝子発現が早くなり、鮮度低下が進む傾向が確認できた。また、BO_F367 (pectate lyase)のバンド(198bp)は、5℃では貯蔵14日目で発現がやや確認できる程度であるが、10℃、20℃では3~5日目でも検出され、鮮度低下が進む傾向が確認できた(図8)。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の方法およびプライマーセットを用いることにより、青果物の鮮度を迅速かつ正確に、また鮮度が低下する兆候を早い段階で検出することができる。よって、本発明は、青果物の鮮度保持に用いる装置や材料の研究および製造開発分野に利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7