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明細書 :投資行動における人間の行動を判別する方法及びその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5467453号 (P5467453)
公開番号 特開2010-036025 (P2010-036025A)
登録日 平成26年2月7日(2014.2.7)
発行日 平成26年4月9日(2014.4.9)
公開日 平成22年2月18日(2010.2.18)
発明の名称または考案の名称 投資行動における人間の行動を判別する方法及びその装置
国際特許分類 A61B   5/16        (2006.01)
A61B  10/00        (2006.01)
G09B   9/00        (2006.01)
FI A61B 5/16
A61B 10/00 E
G09B 9/00 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 20
出願番号 特願2009-162527 (P2009-162527)
出願日 平成21年7月9日(2009.7.9)
優先権出願番号 2008181352
優先日 平成20年7月11日(2008.7.11)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年7月6日(2012.7.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】下川 哲矢
【氏名】参沢 匡将
【氏名】鈴木 恭子
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特表2006-524157(JP,A)
特開2006-320424(JP,A)
特開2004-170958(JP,A)
特開2007-061484(JP,A)
国際公開第2004/047076(WO,A1)
特開2005-528937(JP,A)
”機能的近赤外分光法による列車運転中の脳活動計測”,日本機械学会誌 Vol.110,No.1060,2007年 3月,217頁
中川 匡弘,”フラクタル感情情報工学(脳波の複雑性から感性を読み取る)”,社団法人情報処理学会研究報告2008-BIO-13(7),2008年 6月26日,25~30頁
調査した分野 A61B 5/16
A61B 10/00
G09B 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
投資行動におけるユーザの行動を予測する予測モデルを構築する方法であって、
侵襲性のない脳活動測定部によって、特定部位の脳活動情報を測定するステップと、
測定した前記脳活動情報から前記予測モデルを構築するステップと、を有し、
前記特定部位を、
国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、
又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、
のいずれかとすることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法により構築された予測モデルを用いて、投資行動におけるユーザの行動の補助情報を提示する方法であって、
ユーザに対して特定の情報を提示するステップと、
前記脳活動測定部によって、前記特定の情報が提示された際の前記特定部位の判定用脳活動情報を測定するステップと、
前記判定用脳活動情報及び前記予測モデルから、ユーザの取り得る行動を予測するステップと、
予測される前記行動が適切であるか否かを判定するステップと、
前記行動が適切でないと判定されることを条件に、補助情報を提示するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法であって、
前記特定部位を、
国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる主要部位A1、
又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、
のいずれかとすることを特徴とする方法。
【請求項4】
脳活動情報から投資行動におけるユーザの行動を予測する予測モデルを構築可能なサーバ端末と通信可能に接続されたユーザ端末であって、
特定部位の脳活動情報を測定する侵襲性のない脳活動測定部と、
前記脳活動測定部により測定された前記脳活動情報を前記サーバ端末に送信する通信部と、を備え、
前記特定部位を、
国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、
又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、
のいずれかとすることを特徴とするユーザ端末。
【請求項5】
特定部位の脳活動情報から投資行動におけるユーザの行動を予測した予測モデルを格納するとともに、当該予測モデルを用いて前記特定部位におけるユーザの脳活動情報から予測されるユーザの予測行動が適切でない場合に前記予測行動についての補助情報を送信するサーバ端末と通信可能に接続されたユーザ端末であって、
特定の情報が提示された際の前記特定部位の判定用脳活動情報を測定する侵襲性のない脳活動測定部と、
前記脳活動測定部により測定された前記判定用脳活動情報を前記サーバ端末に送信する通信部であって、前記サーバ端末から前記補助情報を受信する通信部と、
受信した前記補助情報をユーザに提示する提示装置と、を備え、
前記特定部位を、
国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、
又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、
のいずれかとすることを特徴とするユーザ端末。
【請求項6】
請求項4又は5記載のユーザ端末であって、
前記特定部位を、
国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる主要部位A1、
又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、
のいずれかとすることを特徴とするユーザ端末。
【請求項7】
投資行動におけるユーザの行動を予測する予測モデル構築システムであって、
特定部位の脳活動情報を測定する侵襲性のない脳活動測定部と、
前記脳活動測定部により測定された前記脳活動情報から予測モデルを構築する解析部と、を備え、
前記特定部位を、
国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、
原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、
又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、
のいずれかとすることを特徴とする予測モデル構築システム。
【請求項8】
請求項7記載の予測モデル構築システムにより構築された予測モデルを用いて、投資行動におけるユーザの行動についての補助情報を提示する補助情報提示システムであって、
前記脳活動測定部は、特定の情報が提示された際の前記特定部位の判定用脳活動情報を測定し、
前記判定用脳活動情報及び前記予測モデルから、ユーザの取り得る行動を予測する行動予測部と、
前記行動予測部により予測される前記行動が適切であるか否かを判定する適正判定部と、
前記適正判定部により適切でないと判定されることを条件に、補助情報を提示する提示装置と、を有することを特徴とする補助情報提示システム。
【請求項9】
前記特定部位を、
国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる主要部位A1、
又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、
のいずれかとすることを特徴とする請求項7記載の予測モデル構築システム、又は請求項8記載の補助情報提示システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、投資行動における人間の行動を判別する方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被験者の脳情報を用いて意思決定プロセスの解明を試みる実験が行われている。例えば、特許文献1には、電動車椅子の動作をユーザの脳情報により制御する装置であって、ユーザの脳情報をNIRS(Near InfraRed Spectroscopy)を用いて測定する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-202882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの実験は脳全体を測定した上で人間の意思決定を予測しようとするため、大規模な施設が必要になり、導入コストや維持コストが非常に高くなるという問題があった。また、測定環境が固定され、体動制限も厳しいため、被験者に肉体的・精神的なストレスを与えてしまっていた。そのため、実験以外への応用、すなわち、日常生活への応用が困難であり、実用性にかけていた。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、人間の意思決定の予測を導入コストや維持コストを抑えつつ行い、被験者に肉体的・精神的なストレスを与えることのない方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 投資行動におけるユーザの行動を予測する予測モデルを構築する方法であって、侵襲性のない脳活動測定部によって、特定部位の脳活動情報を測定するステップと、測定した前記脳活動情報から前記予測モデルを構築するステップと、を有し、前記特定部位を、国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、のいずれかとすることを特徴とする方法。
【0007】
(1)の方法によれば、投資行動における人間の行動を予測する予測モデルを構築するに際して、脳活動情報を用いているため、無意識的な行動や情動的な行動をも反映させた予測モデルを構築することができる。
【0008】
また、脳活動情報を補助部位B1、補助部位B2、又は補助部位Cという特定部位から測定しているため、脳全体を測定する必要がなく、脳活動測定部の小型化を図ることができる。その結果、比較的安い導入コスト・維持コストで投資行動における人間の行動を予測する予測モデルを構築できる。また、ユーザに体動制限が課せられることがないため、ユーザに対し肉体的・精神的なストレスを与えることがない。
【0009】
特に、これらの特定部位は、投資行動における人間の行動の予測に適しているため、高精度な予測モデルを構築することができる。
【0010】
(2) (1)記載の方法により構築された予測モデルを用いて、投資行動における人間の行動の補助情報を提示する方法であって、ユーザに対して特定の情報を提示するステップと、前記脳活動測定部によって、前記特定の情報が提示された際の前記特定部位の判定用脳活動情報を測定するステップと、前記判定用脳活動情報及び前記予測モデルから、ユーザの取り得る行動を予測するステップと、予測される前記行動が適切であるか否かを判定するステップと、前記行動が適切でないと判定されることを条件に、補助情報を提示するステップと、を有することを特徴とする方法。
【0011】
(2)の方法によれば、脳活動測定部の小型化を図りつつ、予測されるユーザの行動が適切でない場合には補助情報を提示することができるため、日常社会に応用が可能であり、実用性に富んだものとすることができる。
【0012】
(3) (1)又は(2)記載の方法であって、前記特定部位を、国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる主要部位A1、又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、のいずれかとすることを特徴とする方法。
【0013】
(3)の方法によれば、投資行動における人間の行動の予測(判定)に関し、より精度を高めることができる。
【0014】
(4) 脳活動情報から投資行動におけるユーザの行動を予測する予測モデルを構築可能なサーバ端末と通信可能に接続されたユーザ端末であって、特定部位の脳活動情報を測定する侵襲性のない脳活動測定部と、前記脳活動測定部により測定された前記脳活動情報を前記サーバ端末に送信する通信部と、を備え、前記特定部位を、国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、のいずれかとすることを特徴とするユーザ端末。
【0015】
(5) 特定部位の脳活動情報から投資行動におけるユーザの行動を予測した予測モデルを格納するとともに、当該予測モデルを用いて前記特定部位におけるユーザの脳活動情報から予測されるユーザの予測行動が適切でない場合に前記予測行動についての補助情報を送信するサーバ端末と通信可能に接続されたユーザ端末であって、特定の情報が提示された際の前記特定部位の判定用脳活動情報を測定する侵襲性のない脳活動測定部と、前記脳活動測定部により測定された前記判定用脳活動情報を前記サーバ端末に送信する通信部であって、前記サーバ端末から前記補助情報を受信する通信部と、受信した前記補助情報をユーザに提示する提示装置と、を備え、前記特定部位を、国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、のいずれかとすることを特徴とするユーザ端末。
【0016】
(6) (4)又は(5)記載のユーザ端末であって、前記特定部位を、国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる主要部位A1、又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、のいずれかとすることを特徴とするユーザ端末。
【0017】
(7) 投資行動における人間の行動を予測する予測モデル構築システムであって、特定部位の脳活動情報を測定する侵襲性のない脳活動測定部と、前記脳活動測定部により測定された前記脳活動情報から予測モデルを構築する解析部と、を備え、前記特定部位を、国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%から上20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる補助部位B1、原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の10%の横軸幅とからなる補助部位B2、又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の20%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%までの横軸幅とからなる補助部位C、のいずれかとすることを特徴とする予測モデル構築システム。
【0018】
(8) (7)記載の予測モデル構築システムにより構築された予測モデルを用いて、投資行動における人間の行動についての補助情報を提示する補助情報提示システムであって、前記脳活動測定部は、特定の情報が提示された際の前記特定部位の判定用脳活動情報を測定し、前記判定用脳活動情報及び前記予測モデルから、ユーザの取り得る行動を予測する行動予測部と、前記行動予測部により予測される前記行動が適切であるか否かを判定する適正判定部と、前記適正判定部により適切でないと判定されることを条件に、補助情報を提示する提示装置と、を有することを特徴とする補助情報提示システム。
【0019】
(9) 前記特定部位を、国際10-20法における原点Fpzから頭頂部Cz方向を上として鼻根部Nz・頭頂部Cz間の下10%の縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3及び右耳介前点T4方向にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの横軸幅とからなる主要部位A1、又は原点Fpzから頭頂部Cz方向に鼻根部Nz・頭頂部Cz間の10%から20%までの縦軸幅と、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%までの横軸幅とからなる主要部位A2、のいずれかとすることを特徴とする(7)記載の予測モデル構築システム、又は(8)記載の補助情報提示システム。
【0020】
(4)記載のユーザ端末、又は(7)記載の予測モデル構築システムによれば、(1)記載の方法と同様の効果を奏することができる。
【0021】
(5)記載のユーザ端末、又は(8)記載の補助情報提示システムによれば、(2)記載の方法と同様の効果を奏することができる。
【0022】
(6)記載のユーザ端末、又は(9)記載のシステムによれば、(3)記載の方法と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無意識下におけるユーザの選好関係の予測を導入コストや維持コストを抑えつつ行い、被験者に肉体的・精神的なストレスを与えることのない方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の予測モデル構築システムを示すブロック図である。
【図2】NIRS装着位置を示す図である。
【図3】国際10-20法を示す図である。
【図4】国際10-20法を示す図である。
【図5】株式投資比率と脳血中酸化ヘモグロビン濃度との関係を示す図である。
【図6】株式投資比率と脳血中酸化ヘモグロビン濃度との関係を示す図である。
【図7】投資行動予測を示す図である。
【図8】補助情報提示システムを示すブロック図である。
【図9】補助情報を提示するためのフローチャートを示す図である。
【図10】脳活動測定部の一例を示す図である。
【図11】投資行動の予測に関する主要部位を示す図である。
【図12】投資行動の予測に関する補助部位を示す図である。
【図13】投資行動の予測に関する補助部位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。

【0026】
[実験概要]
ユーザに体動制限を課すことなく、リスク下における意思決定(例えば、投資行動)を解明することを実現するため、次のような実験を行った。

【0027】
被験者に初期資産として100万円を与え、この資産から株式に投資する株式投資比率を被験者に決定させた。なお、株式投資比率は実験中いつでも変更できるものとし、決定された株式投資比率に応じた金額が株式に投資され、残った資産は預金に回されることとした(なお、預金に回された資産に対する利子率は0%である)。株式への投資額は株価の変動に応じて変化することとし、株価を750msec毎に自動的に更新することとした。そして、一銘柄の株価時系列につき、株価の総更新回数が75回行われることを1タスクとして、株価データを変えて被験者1人につき10タスクの実験を行った。また、タスクとタスクとのあいだにレスト期間として20sec取った。

【0028】
[投資行動についての予測モデル構築システムの全体図]
投資行動についての予測モデル構築システム1を示すブロック図である。

【0029】
予測モデル構築システム1は、ユーザXの脳活動情報(例えば、脳血中酸化ヘモグロビン濃度)を測定する脳活動情報測定部14を備えるユーザ端末1a、及び脳活動情報測定部14により測定された脳活動情報に基づいてユーザの投資行動を予測する予測モデルを構築するサーバ端末1bを備える。なお、ユーザ端末1a及びサーバ端末1bは、それぞれ通信可能に接続されている。

【0030】
ユーザ端末1aは、提示装置12、意思決定部13、及び脳活動測定部14を備える。また、サーバ端末1bは、金融情報データベース10、提示情報決定部11、脳情報前処理部15、被験者情報データベース16、及び解析部17を備える。なお、ユーザ端末1a及びサーバ端末1bはそれぞれ送受信可能な通信部を備えるが、データの通信元及び通信先を明確にするため、図示を省略している。

【0031】
金融情報データベース10には、実験に用いられる株価データが格納されている。なお、株価データは現実のものでも良く、またシミュレーション上のものであっても良い。提示情報決定部11は、金融情報データベースに格納される株価データを適時読み出し、提示装置12に送信する。なお、提示装置12に送信された株価データは、被験者情報データベースにも送信される。

【0032】
提示装置12は、受信した株価データをユーザXに提示する。株価が提示されるとユーザXは意思決定部13を用いて株式投資比率を決定する。なお、決定された株式投資比率に応じて、シミュレーション上の株価を更新することとしてもよい。ユーザXが株式投資比率を決定すると、この株式投資比率についての情報が被験者情報データベース16に送信される。

【0033】
他方、脳活動測定部14は、提示装置12により株価が提示されている際のユーザXの脳活動情報を測定する。ここで、予測モデルの構築には、脳血中酸化ヘモグロビンの濃度変化を用いている。また、このような脳活動情報を測定するために、空間分解能が低く、かつ低深度しか観測できないNIRS(Near InfraRed Spectroscopy)を用いている。

【0034】
NIRSは、透過性の高い近赤外光(波長700~1000nm)を用いて、血液中に含まれる酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの変化量を計測する装置であり、侵襲性のない装置である。計測は、頭皮上に3cm間隔で設置された一対の送光点と受光点とによって行われ、送光点より照射された近赤外光が,受光点によって検出される間に光が吸収された量,すなわち受光点に届いた光の減衰量から血液中のヘモグロビン変化量を逆算する。なお、NIRSは、原理的に電子ノイズの影響を受けないため、電子機器を扱う実験にも適した装置である。

【0035】
ここで、今回の実験では前頭前野に注目すべく、NIRSを前頭部分に装着し、送光点と受光点とを格子状に並べることで32チャンネルの同時計測を行った(図2参照)。なお、図2中、白丸に黒文字の部分は送光点を示し、黒丸に白文字の部分は受光点を示し、また、白四角に黒文字の部分はチャンネルを示す。また、NIRSの装着には、国際10-20法を用い(図3及び図4参照)、サンプリング期間は110msとした。

【0036】
再び、図1を参照して、脳情報前処理部15は、脳活動測定部14により測定された脳活動情報から、生体特有の周期的なゆらぎを除去するため、スムージングなどの前処理を行う。脳情報前処理部15によりスムージングされた脳活動情報は、被験者情報データベース16に送信される。

【0037】
被験者情報データベース16は、提示情報決定部11により読み出された株価データ、株価が提示された際にユーザXが決定した株式投資比率、及び株価が提示された際の脳活動情報(スムージング済み)を受信すると、これら、株価データ、株式投資比率、及び脳活動情報を解析部17に送信する。解析部17は、測定された脳活動情報を予測ファクターとする予測モデルを構築し、被験者情報データベース16に送信する。

【0038】
このように、サーバ端末1bはユーザ端末1aが測定した脳活動情報に基づいて、ユーザXの投資行動を予測する予測モデルを構築する。そのため、ユーザ端末1aは、脳活動情報に基づいてユーザXの投資行動を予測する予測モデルを構築するサーバ端末1bに通信可能に接続されているといえる。

【0039】
[実験結果]
図5及び図6は実験データのサンプルパスである。図5及び図6の(a)は、被験者に提示された株価を時系列で示したものであり、図5及び図6の(d)は、被験者の株式投資比率である。また、図5及び図6の(b)、(c)、(e)、(f)は、脳各部位の脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化である。なお、図5及び図6の(b)はチャンネル11(11ch)の脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化を示し、図5及び図6の(c)はチャンネル13(13ch)脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化を示す。また、図5及び図6の(e)はチャンネル29(29ch)脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化を示し、図5及び図6の(f)はチャンネル30(30ch)の脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化を示す。

【0040】
ここで、11chと13chとの脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化と被験者の株式投資比率とを比較すると、正の相関が観察できる。なお、このような血流量と投資率とのパラレルな変動は、他の被験者においても、かなり頑強に観察された。

【0041】
次に、29chと30chとの脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化は、一転して、株式投資比率とおおむね逆に相関していることが見て取れる。特に、株式投資比率を急激に低下させ危険回避的な行動をとる場合、この部分の血流量が上昇していることがわかる。なお、この部分については、観測が難しいためか、観測できた被験者とできない被験者がいた。

【0042】
[予測モデルの構築]
このような観測データの有効性を検証するため、観測された血流量をファクターとする投資行動予測モデルを構築した。各被験者について、株価列8本分(8タスク分)の実験データを使い、予測モデルのパラメータを学習させ、残りの株価2本分(2タスク分)についての投資率を予測した。予測モデルには3層パーセプトロンを用い、パラメータやハイパーパラメータはマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)によるベイズ推定を行っている。中間層や予測ファクターの選択には、ハイパーパラメータ周辺尤度を用いた。

【0043】
図2の各チャンネルで表される前頭前野の各部位を予測ファクターの候補として、ベイズ推定における赤池ベイズ情報量基準(ABIC)によって、有効な部位を選択した。その結果、予測モデルでは、11ch、13ch、29ch、30chの脳血中酸化ヘモグロビン濃度が有意なファクターとして採用され、1次の自己回帰型AR(1)予測モデルと比較して、ハイパーパラメータ周辺尤度で3%~24%、平均2乗予測誤差(the mean squared deviations ,MSD)で0%~35%程度の改善があった。つまり、脳血中酸化ヘモグロビン濃度によって大幅に投資行動の説明力が増加することが確認された。

【0044】
ところで、個人の投資行動には大きなノイズが含まれ、このことは投資行動を予測する際に問題となる。すなわち、仮に投資行動にある統計的な傾向があったとしても、このようなノイズの存在は、当該傾向の観測を難しくさせる。個人のノイズを取り除く一つの簡便で有効な方法が、個人間の平均を取ることである。図7は、平均化された投資率と脳血中酸化ヘモグロビン濃度とを用いた予測である。ただしfNIRSの脳血中酸化ヘモグロビン濃度は、あくまで個人の相対変化を表しており、平均化するには注意が必要である。本実施の形態では各個人のデータを、正規化し、個人間での変動の大きさや平均的なトレンドの差を除く処理をした後で足し合わせ、平均化している。なお、図7における縦軸は投資比率を示し、横軸は時間を示している。

【0045】
図7の(a)の実線51はモデルが予測した投資率をあらわし、破線53は被験者による実際の投資率をあらわす。両者を見比べると、比較的高い精度で予測できていることが確認できる。モデルの選択の結果、中間層としては4、予測ファクターとしては意思決定直前の投資率に加え、11chと29chとの血流量が採用された。これらの血流量データを加えることにより、無い場合と比較して、予測誤差で約30%の改善が可能となった。

【0046】
図7の(b)の実線51はモデルが予測した投資率をあらわし、破線55a、55bは、投資行動予測についての50%区間をあらわす。図7の(b)を参照すると、ほとんどの期において、この区間内に実際の投資率が含まれていることが確認できる。

【0047】
このように低空間分解能・低深度の軽便な測定装置(NIRS)を用いた場合であっても、測定する部位を特定することでユーザによる投資意思決定をある程度予測し得ることが分かった。

【0048】
すなわち、従来におけるユーザの意思決定についての知見は、空間分解能が高いMRIを用いて脳の比較的深部を測定することにより得られていた(例えば、報酬系や情動系)ところ、低空間分解能・低深度の軽便な測定装置を用いた場合には、ユーザの意思決定についてどの程度の知見が得られるか未確定な部分が多かった。この点について、本実験により低空間分解能・低深度の軽便な測定装置であるNIRSを用いた場合であっても、ユーザの意思決定を予測することが可能であることが判明した。

【0049】
その結果、MRIなどの大規模な施設を用いることなく、比較的安い導入コスト・維持コストでユーザの投資意思決定について予測することができる。また、測定する部位が特定されているためユーザに体動制限を課すこともなく、ユーザの肉体的・精神的ストレスを緩和しつつ、ユーザの投資意思決定について予測することができる。

【0050】
[補助情報提示システムの全体図]
上記のように構築された予測モデルを用いた補助情報提示システム2について図8を参照して説明する。

【0051】
補助情報提示システム2は、ユーザXの脳活動情報(例えば、脳血中酸化ヘモグロビン濃度)を測定する脳活動情報測定部14を備えるユーザ端末2a、及び測定された脳活動情報に基づいて予測されるユーザXの投資行動が適切であるか否かを判定するサーバ端末2bを備える。なお、ユーザ端末2a及びサーバ端末2bは、それぞれ通信可能に接続されている。

【0052】
ユーザ端末2aは、少なくとも提示装置12、及び脳活動測定部14を備える。また、サーバ端末2bは、少なくとも、脳情報前処理部15、被験者情報データベース16、投資行動予測部20、市場分析データベース21、適正判定部22、及び補助情報作成部23を備える。ここで、予測モデルは被験者情報データベース16に格納されている。なお、ユーザ端末2a及びサーバ端末2bはそれぞれ送受信可能な通信部を備えるが、データの通信元及び通信先を明確にするため、図示を省略している。

【0053】
提示装置12は、金融市場Yから受信した株価などの情報をユーザXに提示する。脳活動測定部14は、ユーザXの脳活動情報(脳血中酸化ヘモグロビン)を金融市場の情報が提示されている間継続的に測定する。なお、測定した脳活動情報は脳情報前処理部15に送信される。

【0054】
脳情報前処理部15は、この測定値に対しスムージングなどの前処理を行う。そして、脳情報前処理部15によりスムージングされた測定値は、投資行動予測部20に送信される。

【0055】
投資行動予測部20は、被験者情報データベース16に格納されている予測モデルを取り出し、この予測モデルと測定値とから、ユーザXの投資行動を予測する。なお、投資行動の予測は、例えば、測定値が予測モデルの閾値を超えているか否かにより行う。

【0056】
投資行動を予測すると、適正判定部22は市場分析データベースに格納される金融市場の状況を参照して、予測された投資行動が適正であるか否かを判定する。なお、市場分析データベースには、統計的解析技術や確率的データマイニング技術を使用して得られた金融市場の状況が格納されている。

【0057】
補助情報作成部23は、測定された脳活動情報から予測されるユーザXの投資行動が適正でない場合(例えば、統計的解析結果との著しい齟齬が生じた場合)には、ユーザXに対して誤りを指摘するとともに補助情報(例えば、統計的解析結果や過去の類似状況のデータなどの適切な行動をとるための補助情報)を提示装置12に送信する。提示装置12は、受信した補助情報をユーザXに提示する。

【0058】
このように、サーバ端末2bはユーザ端末2aが測定した脳活動情報に基づいて、ユーザXの好みを判定する。そのため、ユーザ端末2aは、脳活動情報に基づいて予測されるユーザXの投資行動が適切であるか否かを判定するサーバ端末2bに通信可能に接続されているといえる。

【0059】
なお、補助情報提示システム2では、予測されるユーザXの投資行動についての補助情報を提示することとしているが、これとともに、予測モデルを構築する構成を設けてもよい。すなわち、図8に示すように、意思決定部13及び解析部17を設け、上記のように予測モデルを構築することとしてもよい。その結果、予測モデルを適宜更新することができる。

【0060】
[補助情報を提示するためのフローチャート]
図9を参照して、補助情報提示システム2により補助情報を提示するためのフローチャートについて説明する。

【0061】
初めに、提示装置12を介して株価などの刺激をユーザに提示する(S101)。続いて、脳活動測定部14を介して特定部位の脳血中酸化ヘモグロビン濃度変化を測定する(S102)。

【0062】
続いて、脳情報前処理部15を介して測定値をスムージングする(S103)。続いて、投資行動予測部20を介して予測モデルにスムージングした測定値を入れ(S104)、この測定値が予測モデルの閾値を超えたか否かを判定する(S105)。

【0063】
この判定が、閾値を超えた場合にはユーザが投資をする(株式投資比率を上げる)と予測され(S106)、閾値を超えていない場合にはユーザが投資をしない(株式投資比率を下げる)と予測される(S107)。続いて、市場分析データベース21から金融市場の状況を取得し(S108)、適正判定部22を介して、予測された投資行動が適正か否かを判定する(S109)。

【0064】
この判定が適正である場合には、処理を終了し、適正でない場合には、補助情報作成部23を介して補助情報を作成し、この補助情報を提示装置12に提示する(S110)。その後、処理を終了する。

【0065】
このように補助情報提示システム2では、ユーザの脳活動情報から予測される行動が適切でない場合には、ユーザに対して注意喚起を促すとともに、より適切な行動をとるための補助情報を提示することができる。その結果、脳活動情報を用いたインタラクティブ性のある情報提供が可能となる。

【0066】
また、情動的なユーザの行動が適正であるか否かを統計的解析結果という客観的な情報を用いて判定することができるため、例えば、恐慌などの金融リスク回避ができるようになる。

【0067】
また、株式投資のプロの脳活動情報と比較することで、投資初心者に適切な判断を下すように促すことも可能になり、投資教育に応用することも可能である。

【0068】
なお、本実施形態では、株式投資の行動予測及びその適否の判定を行っているが、これに限られるものではない。すなわち、株式投資に限られず、不確実性下における人間の行動一般について、その予測及び適否の判定を行うことができる。

【0069】
[脳活動測定部]
本実施形態によれば、脳情報を測定する部位を特定するため、脳活動測定部14の小型化が望める。そこで、本実施形態の好適な脳活動測定部14の一例について図10を参照して説明する。

【0070】
脳活動測定部14は、バンド部200と測定部201と図示しない脳情報送信部とからなる。測定部201は、送光部201a及び受光部201bから構成され、ユーザの脳情報を測定する。送光部201a及び受光部201bは、投資行動の予測に好適な部位(例えば、11ch)における脳情報を測定する。バンド部200は、脳情報を測定するために好適な位置に測定部201を固定するために用いられる。

【0071】
このように本実施形態によれば、装置の小型化を図ることができ、ユーザに体動制限が課せられることがなく、比較的安い導入コスト・維持コストでユーザの投資行動を予測(判定)することができる。特に、測定部201が測定する部位を特定しているため、ユーザの投資行動を適確に予測(判定)することができる。

【0072】
[測定部位の特定]
以下では、投資行動を予測(判定)するための好適な部位について、図11~図13を参照して説明する。

【0073】
なお、図11~図13においては、国際10-20法における表記(図3及び図4参照)を用いて測定部位の特定を行う。また、図11~図13においては、鼻根部Nzから頭頂部Czまでの縦軸線の長さを20cm、左耳介前点T3から右耳介前点T4までの横軸線の長さを30cmと仮定し、測定部位の特定を行う。また、原点Fpzから頭頂部Czに向かう方向を「上」、原点Fpzから鼻根部Nzに向かう方向を「下」、原点Fpzから左耳介前点T3に向かう方向を「左」、さらに原点Fpzから右耳介前点T4に向かう方向を「右」と表現する。

【0074】
図11を参照して、投資行動の予測(判定)に関して最も好適な主要部位A1及びA2について説明する。

【0075】
主要部位A1は、縦軸が原点Fpzから下2cmの幅2cmである。これは、鼻根部Nz(0%)から頭頂部Cz(100%)までの10%から20%までの範囲、すなわち、原点Fpzの下10%の範囲である。そして、横軸が原点Fpzから左右に1.25cmずつの幅2.5cmである。これは、左耳介前点T3(0%)から右耳介前点T4(100%)までの約46%から約54%までの範囲、すなわち、原点Fpzから左右にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの範囲である。

【0076】
主要部位A2は、縦軸が原点Fpzの上2cmから4cmまでの幅2cmである。これは、鼻根部Nz(0%)から頭頂部Cz(100%)までの30%から40%までの範囲、すなわち、原点Fpzの上10%から20%までの範囲である。そして、横軸が原点Fpzから左に1.25cmから3.75cmの幅2.5cmである。これは、左耳介前点T3(0%)から右耳介前点T4(100%)までの37.5%から約46%までの範囲、すなわち、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%の範囲である。

【0077】
このように、主要部位A1は、原点Fpzの下10%の範囲と原点Fpzから左右にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの範囲とからなる部位である。また、主要部位A2は、原点Fpzの上10%から20%までの範囲と原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%から12.5%の範囲とからなる部位である。なお、主要部位A1は、上述の29ch及び30chを含む部位であり、主要部位A2は、上述の11chを含む部位である。

【0078】
以上、投資行動の予測(判定)に関して最も好適な部位について説明したが、これらの部位以外においても投資行動の予測(判定)に関して一定の精度を実現可能な補助部位が存在する。以下、図12及び図13を参照して、投資行動の予測(判定)に関して好適な補助部位について説明する。

【0079】
図12は、投資行動の予測(判定)に関して一定の精度を実現可能な補助部位B1及びB2を示す。

【0080】
補助部位B1は、縦軸が原点Fpzの下2cmから上4cmまでの幅6cmである。これは、鼻根部Nz(0%)から頭頂部Cz(100%)までの10%から40%までの範囲、すなわち、原点Fpzの下10%から上20%までの範囲である。横軸は、原点Fpzから左右に1.25cmずつの幅2.5cmである。これは、左耳介前点T3(0%)から右耳介前点T4(100%)までの約46%から約54%までの範囲、すなわち、原点Fpzから左右にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの範囲である。

【0081】
補助部位B2は、縦軸が原点Fpzから下2cmの幅2cmである。これは、鼻根部Nz(0%)から頭頂部Cz(100%)までの10%から20%までの範囲、すなわち、原点Fpzの下10%の範囲である。横軸は、原点Fpzから左右に3cmずつの幅6cmである。これは、左耳介前点T3(0%)から右耳介前点T4(100%)までの約40%から約60%までの範囲、すなわち、原点Fpzから左右にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略10%ずつの範囲である。

【0082】
このように、補助部位B1は、原点Fpzの下10%から上20%までの範囲と原点Fpzから左右にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略4%ずつの範囲とからなる部位である。また、補助部位B2は原点Fpzの下10%の範囲と原点Fpzから左右にそれぞれ左耳介前点T3・右耳介前点T4間の略10%ずつの範囲とからなる部位である。このような補助部位B1又はB2においても、投資行動の予測(判定)において一定の精度を実現することができる。

【0083】
図13は、投資行動の予測(判定)に関して一定の精度を実現可能な補助部位Cを示す。

【0084】
補助部位Cは、縦軸が原点Fpzから上4cmの幅4cmである。これは、鼻根部Nz(0%)から頭頂部Cz(100%)までの20%から40%までの範囲、すなわち、原点Fpzの上20%の範囲である。横軸は、原点Fpzから左に6cmから8.5cmまでの幅2.5cmである。これは、左耳介前点T3(0%)から右耳介前点T4(100%)までの約22%から30%までの範囲、すなわち、原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%の範囲である。

【0085】
このように、補助部位Cは、原点Fpzの上20%の範囲と原点Fpzから左耳介前点T3方向に左耳介前点T3・右耳介前点T4間の20%から略28%の範囲とからなる部位である。このような補助部位Cにおいても、投資行動の予測及び判定において一定の精度を実現することができる。なお、補助部位Cは、上述の13chを含む部位である。

【0086】
[効果]
このように本実施形態によれば、脳活動情報を用いてユーザの投資行動を予測しているため、無意識的な又は情動的な投資行動も定量的に測定することができる。そして、このような無意識的な又は情動的な投資行動が適切であるか否かを、統計的解析結果という客観的な情報を用いて判定しているため、例えば、恐慌などの金融リスク回避ができるようになる。

【0087】
また、脳活動情報を用いた予測(判定)にあたり、測定する部位を特定しているため、測定装置の小型化(図10参照)を図ることができ、ユーザに体動制限が課せられることがなく、比較的安い導入コスト・維持コストでユーザの投資行動を予測(判定)することができる。

【0088】
また、特定された部位は投資行動の予測(判定)に好適な部位であり、投資行動を高精度に予測(判定)することができる。

【0089】
また、例えば、株式投資のプロの脳活動情報と比較することで投資初心者に適切な判断を下すように促すことも可能になり、投資教育に応用することもできる。この場合において、測定装置の小型化を実現することができるため、実用性に富んだものとすることができる。

【0090】
[その他]
本実施の形態では、脳活動情報の測定にNIRSを用いているが、これに限られるものではない。例えば、EEG(Electroencephalogram)などの侵襲性がなく体動制限や実験環境の制限がすくない装置一般を用いることとしても良い。すなわち、本発明は投資行動を予測(判定)するにあたり、特定の部位の脳活動情報を測定することに特徴を有するのであり、侵襲性がなく体動制限が少ない装置であれば測定装置は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 予測モデル構築システム
2 補助情報提示システム
10 金融情報データベース
11 提示情報決定部
12 提示装置
13 意思決定部
14 脳活動測定部
15 脳情報前処理部
16 被験者情報データベース
17 解析部
20 投資行動予測部
21 市場分析データベース
22 適正判定部
23 補助情報作成部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12