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明細書 :ゲーム装置、及びゲームプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5804412号 (P5804412)
公開番号 特開2013-022161 (P2013-022161A)
登録日 平成27年9月11日(2015.9.11)
発行日 平成27年11月4日(2015.11.4)
公開日 平成25年2月4日(2013.2.4)
発明の名称または考案の名称 ゲーム装置、及びゲームプログラム
国際特許分類 A63F  13/80        (2014.01)
FI A63F 13/80 E
A63F 13/80 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 19
出願番号 特願2011-158263 (P2011-158263)
出願日 平成23年7月19日(2011.7.19)
審査請求日 平成26年3月31日(2014.3.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
発明者または考案者 【氏名】河内 明夫
【氏名】清水 理佳
【氏名】岸本 健吾
個別代理人の代理人 【識別番号】100156845、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 威一郎
【識別番号】100124039、【弁理士】、【氏名又は名称】立花 顕治
【識別番号】100124431、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 順也
【識別番号】100112896、【弁理士】、【氏名又は名称】松井 宏記
審査官 【審査官】彦田 克文
参考文献・文献 特開2012-223458(JP,A)
斉藤豊文 他2名,3次元ディジタル線図形のトポロジー-結び目の解析,電子情報通信学会技術研究報告 PRU,日本,1990年11月16日,Vol. 90、No. 305,Pages 15-22
調査した分野 A63F 13/00 - 13/98
特許請求の範囲 【請求項1】
基本領域内で一筆書きにより一本の線で表される閉じた準備図形に基づいて作成されるゲーム図形、及び当該ゲーム図形の周囲を囲む周囲領域を有するゲーム面を設定するゲーム面設定手段であって、前記準備図形が、前記線の2箇所が横断的に交差して形成される複数の交点、及び前記線で囲まれた複数の閉領域を有し、前記ゲーム図形が、前記閉領域及び基本領域内にそれぞれ配置される複数の連結点、前記線を一回だけ横断して前記連結点同士を結ぶ複数の連結線、及び前記連結線によって囲まれる少なくとも一つの内部領域を有する、ゲーム面設定手段と、
前記ゲーム面設定手段により設定された前記ゲーム面において、前記複数の内部領域及び周囲領域は、第1及び第2の状態のいずれか一方の状態を採るように設定されており、初期状態においては、前記複数の内部領域及び周囲領域の少なくとも一つが前記第1の状態となるように設定する領域設定手段と、
前記領域設定手段により領域が設定されたゲーム面を、表示する表示手段と、
前記複数の連結点のいずれか一つ、または前記複数の連結点のうちの一つを除いた他の連結点のいずれか一つを選択させる入力手段と、
前記入力手段により前記いずれか一つの連結点を選択したときに、選択された連結点と接するすべての内部領域及び周囲領域の状態を、それぞれに異なる状態へと変化させて表示する領域変更手段と、
少なくとも一回の前記入力手段による連結点の選択後に、すべての前記内部領域及び周囲領域が前記第2の状態に変更されたときにゲームの終了を通知する終了判定手段と、
を備えている、ゲーム装置。
【請求項2】
前記ゲーム面設定手段は、前記内部領域の数が異なるゲーム図形を有する複数のゲーム面を備えており、
前記複数のゲーム面の中から、前記入力手段により選択されたゲーム面を、プレイ用のゲーム面として設定する、請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記領域設定手段は、前記ゲーム面設定手段が設定したゲーム面において、前記各内部領域及び周囲領域の状態が異なる複数の領域パターンのゲーム面を備えており、
当該複数のゲーム面の中から、前記入力手段により選択されたゲーム面を、プレイ用のゲーム面として設定する、請求項1または2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記入力手段は、前記表示手段に設けられたタッチスイッチで構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項5】
表示手段及び入力手段を有するコンピュータに、
基本領域内で一筆書きにより一本の線で表される閉じた準備図形に基づいて作成されるゲーム図形、及び当該ゲーム図形の周囲を囲む周囲領域を有するゲーム面であって、前記準備図形が、前記線の2箇所が横断的に交差して形成される複数の交点、及び前記線で囲まれた複数の閉領域を有し、前記ゲーム図形が、前記閉領域及び基本領域内にそれぞれ配置される複数の連結点、前記線を横断して前記連結点同士を結ぶ複数の連結線、及び前記連結線によって囲まれる少なくとも一つの内部領域を有する、ゲーム面を設定する第1ステップと、
設定された前記ゲーム面において、前記複数の内部領域及び周囲領域が、第1及び第2の状態のいずれか一方の状態を採るように設定され、初期状態においては、前記複数の内部領域及び周囲領域の少なくとも一つが前記第1の状態となるように設定する第2ステップと、
前記第2ステップで設定された前記ゲーム面を、前記表示手段に表示する第3ステップと、
前記入力手段により、前記連結点のいずれか一つを選択させる第4ステップと、
前記入力手段により前記いずれか一つの連結点を選択したときに、選択された連結点と接するすべての内部領域及び周囲領域の状態を、それぞれに異なる状態へと変化させて前記表示手段に表示する第5ステップと、
少なくとも一回の前記入力手段による連結点の選択後に、すべての前記内部領域及び周囲領域が前記第2の状態に変更されたときにゲームの終了を通知する第6ステップと、
を実行させる、ゲームプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置、及びゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ルービックキューブ(登録商標)や数独(登録商標)のように数学を利用したゲームが広く知られている。これらのゲームは、数手先の結果を読むいわゆる頭脳ゲームといわれており、一般的な娯楽のほか、教育訓練や認知機能のリハビリのために用いられることもある。特に、教育訓練やリハビリには、領域を選択するゲームのように、直感的な操作を行うゲームが好まれており、このようなゲームとしては、例えば、特許文献1に記載のようなゲームがある。特許文献1には、所定領域を構成する複数の部分領域を複数のプレイヤーが領域を奪い合うようなゲームが開示されている。また、近年の情報技術の発達により、これらのゲームは、ゲーム専用機器のほか、携帯電話、スマートフォンのような情報端末、パソコンなどでも行うことができ、人気を集めている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-66043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように数学を応用したゲームの人気は高まっているが、必ず解けるようなゲームは市場には少ない。また、教育訓練などに用いることができる直感的な操作で数手先の結果を読むような単純なゲームも十分に提供されているとはいえない。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、必ず解答があり、直感的な操作が可能なゲーム装置、ゲームプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るゲーム装置は、基本領域内で一筆書きにより一本の線で表される閉じた準備図形に基づいて作成されるゲーム図形、及び当該ゲーム図形の周囲を囲む周囲領域を有するゲーム面を設定するゲーム面設定手段であって、前記準備図形が、前記線の2箇所が横断的に交差して形成される複数の交点、及び前記線で囲まれた複数の閉領域を有し、前記ゲーム図形が、前記閉領域及び基本領域内にそれぞれ配置される複数の連結点、前記線を横断して前記連結点同士を結ぶ複数の連結線、及び前記連結線によって囲まれる少なくとも一つの内部領域を有する、ゲーム面設定手段と、前記ゲーム面設定手段により設定された前記ゲーム面において、前記複数の内部領域及び周囲領域を第1及び第2の状態のいずれか一方の状態に設定し、初期状態において前記複数の内部領域及び周囲領域の少なくとも一つが前記第1の状態となるように設定する領域設定手段と、前記領域設定手段により領域が設定されたゲーム面を、表示する表示手段と、前記複数の連結点のいずれか一つ、または前記複数の連結点のうちの一つを除いた他の連結点のいずれか一つを選択させる入力手段と、前記入力手段により前記いずれか一つの連結点を選択したときに、選択された連結点と接するすべての内部領域及び周囲領域の状態を、異なる状態に変化させて表示する領域変更手段と、少なくとも一回の前記入力手段による連結点の選択後に、すべての前記内部領域及び周囲領域が前記第2の状態に変更されたときにゲームの終了を通知する終了判定手段と、を備えている。
【0007】
本発明のゲーム装置で提供されるゲームについて説明する。このゲームでは、以下のように、ゲーム図形及びその周囲を囲む周囲領域を有するゲーム面を設定する。ゲーム図形は、次のように設定される。まず、基本領域内で一筆書きにより一本の線で表される閉じた準備図形を設定する。準備図形は、線の2箇所が横断的に交差して形成される複数の交点、及び前記線で囲まれた複数の閉領域を有している。ここでいう交点とは、線の2箇所が交わって形成されるものを指し、3箇所以上が交わるものは含まない。そして、この準備図形に対する平面上の双対グラフを作成し、これをゲーム図形とする。具体的には、ゲーム図形は、上記閉領域及び基本領域内にそれぞれ配置される連結点、線を一回だけ横断して連結点同士を結ぶ連結線、及びこの連結線によって囲まれる少なくとも一つの内部領域、を有する図形である。そして、ゲーム面設定手段は、このようなゲーム図形とその周囲を囲む周囲領域を有するゲーム面を設定する。
【0008】
また、設定されたゲーム面においては、複数の内部領域及び周囲領域を第1及び第2の状態のいずれか一方の状態に設定し、初期状態においてこれらの領域の少なくとも一つが第1の状態となるように設定される。この状態で、ゲーム面の設定が完了し、ゲームがスタートする。プレイヤーは、複数の連結点のいずれか一つを選択する。このとき、選択された連結点と接するすべての内部領域及び周囲領域の状態が、異なる状態に変化する。そして、少なくとも一回の連結点の選択後に、すべての内部領域及び周囲領域が第2の状態に変更されたときにゲームが終了する。なお、第2の状態とは、一の状態を指すのではなく、少なくとも第1の状態とは異なる状態であればよい。したがって、例えば、数種類の第2の状態を設定しておき、交点の状態がそのうちの一つに変更されればよい。
【0009】
本発明のゲーム装置は、このようなゲームを提供するものであるが、このゲームは、数学理論の一つである結び目理論によって必ず解が存在することが証明されている。したがって、本発明によれば、必ず解答があり、直感的な操作が可能なゲームを提供することができる。なお、表示手段において、ゲーム面は、すべての部分を表示しなくてもよい場合があり、例えば、入力手段が、内部領域及び周囲領域のいずれか一つを選択させる場合、表示手段は、領域設定手段により交点が設定されたゲーム面を、二以上の内部領域が一部しか表示されず且つ周囲領域が分断された状態にならないように、表示することができる。
【0010】
上記ゲーム装置において、ゲーム面設定手段は、内部領域の数が異なる図形を有する複数のゲーム面を備えることができる。そして、複数のゲーム面の中から、入力手段により選択されたゲーム面を、プレイ用のゲーム面として設定することができる。これにより、プレイヤーは、自らが選択したゲーム面でゲームを行うことができる。これに代えて、ゲーム面の設定をゲーム面設定手段が自動で行うこともできる。すなわち、プレイヤーが選択するのではなく、複数のゲーム面の中から、ゲーム面設定手段がランダムにゲーム面を選択してプレイヤーにプレイさせることもできる。
【0011】
また、上記ゲーム装置において、領域設定手段は、ゲーム面設定手段が設定したゲーム面において、各内部領域及び周囲領域の状態が異なる複数の領域パターンのゲーム面を備えることができる。そして、複数のゲーム面の中から、入力手段により選択されたゲーム面を、プレイ用のゲーム面として設定することができる。これにより、プレイヤーは、自らが選択した領域パターンのゲーム面でゲームを行うことができる。これに代えて、領域設定手段が自動で行うこともできる。すなわち、プレイヤーが選択するのではなく、複数の領域パターンのゲーム面の中から、領域設定手段がランダムにゲーム面を選択してプレイヤーにプレイさせることもできる。
【0012】
上記入力手段は、表示手段に設けられたタッチスイッチで構成することができる。これにより、プレイヤーは、指やタッチペンで領域を直接タッチすることによって選択することができ、ゲームをより直感的に行うことができる。
【0013】
また、本発明に係るゲームプログラムは、表示手段及び入力手段を有するコンピュータに、基本領域内で一筆書きにより一本の線で表される閉じた準備図形に基づいて作成されるゲーム図形、及び当該ゲーム図形の周囲を囲む周囲領域を有するゲーム面であって、前記準備図形が、前記線の2箇所が横断的に交差して形成される複数の交点、及び前記線で囲まれた複数の閉領域を有し、前記ゲーム図形が、前記閉領域及び基本領域内にそれぞれ配置される複数の連結点、前記線を横断して前記連結点同士を結ぶ複数の連結線、及び前記連結線によって囲まれる少なくとも一つの内部領域を有する、ゲーム面を設定する第1ステップと、設定された前記ゲーム面において、前記複数の内部領域及び周囲領域を第1及び第2の状態のいずれか一方の状態に設定し、初期状態において前記複数の内部領域及び周囲領域の少なくとも一つが前記第1の状態となるように設定する第2ステップと、前記第2ステップで設定された前記ゲーム面を、前記表示手段に表示する第3ステップと、前記入力手段により、前記複数の連結点のいずれか一つ、または前記複数の連結点のうちの一つを除いた他の連結点のいずれか一つを選択させる第4ステップと、前記入力手段により前記いずれか一つの連結点を選択したときに、選択された連結点と接するすべての内部領域及び周囲領域の状態を、異なる状態に変化させて前記表示手段に表示する第5ステップと、少なくとも一回の前記入力手段による連結点の選択後に、すべての前記内部領域及び周囲領域が前記第2の状態に変更されたときにゲームの終了を通知する第6ステップと、を実行させる。
なお、上記プログラムでは、表示手段において、ゲーム面は、すべての部分を表示しなくてもよい場合があり、例えば、入力手段が、内部領域及び周囲領域のいずれか一つを選択させる場合、表示手段は、領域設定手段により領域が設定されたゲーム面を、二以上の内部領域が一部しか表示されず且つ周囲領域が分断された状態にならないように、表示することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、必ず解答があり、直感的な操作が可能なゲーム装置、及びゲームプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のゲーム装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】3つのゲーム領域を有するゲーム面の一例である。
【図3】ゲーム領域の作成方法を示す図である。
【図4】図2のゲーム面においてゲーム領域の色が変化した例を示す図である。
【図5】図2のゲーム面においてゲーム領域の色が変化した例を示す図である。
【図6】ゲーム面の他の例である。
【図7】3領域のゲーム面における領域パターンを示す図である。
【図8】図1のゲーム装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】ゲーム面の選択画面を示す図である。
【図10】ゲーム面の領域パターンの選択画面を示す図である。
【図11】ゲームの終了画面を示す図である。
【図12】ゲーム面の表示方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るゲーム装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。ここでは、本発明のゲーム装置をパーソナルコンピュータに適用した場合の実施形態を説明する。図1はゲーム装置の構成を示すブロック図である。

【0017】
図1に示すように、このゲーム装置は、バス10によって電気的に接続された制御ユニット11、メモリ12、ストレージ13を備えている。このほか、バス10にはディスプレイの表示を制御する表示制御部14、及び入力機器からの入力の制御を行う入力インターフェース部16が接続されている。制御ユニット11は、CPU(Central Processing Unit)などで構成されており、複数の機能ブロックを備えているが、これらについては後述する。ストレージ13は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリなどで構成される不揮発性の記憶手段であり、基本プログラム(OS)、ゲームプログラムなどの各種プログラムのほか、ゲーム用データなどの各種データが記憶される。メモリ12は、制御ユニット11によりアクセスされるプログラムや各種データが記憶され、各プログラムの一時的な作業領域として機能する。表示制御部14には、ディスプレイ15が接続されており、制御ユニット11から送信された制御信号に基づき、ディスプレイ15に表示しようとするゲーム画面用のデータにしたがって、ディスプレイ15の駆動制御を行う。また、入力インターフェース部16には、マウス17、キーボード18などの入力機器が接続されており、入力機器からの入力信号を制御する。例えば、マウス17によるクリック操作により、後述するように連結点の選択を行うことができる。

【0018】
次に、このゲーム装置で実行されるゲームの概略を説明する。図2は、ディスプレイに表示されたゲーム面を示している。ゲーム面20は、複数の線と点で構成されたゲーム図形Aと、その周囲に配置され外形が矩形状に形成された周囲領域Z1とで形成されている。

【0019】
まず、このゲーム図形Aの設定方法について図3を参照しつつ説明する。図3は、ゲーム図形Aの設定の過程を説明する図である。図3(a)に示すように、まず、基本領域R1上に準備図形Eを設定する。準備図形Eは、一筆書きの一本の線Fで描かれた図形であり、線Fが平面上で横断的に交わる複数の交点C1~C3と、線Fによって囲まれた複数の閉領域R2~R5で形成されている。ここでいう交点C1~C3とは、それぞれ、線の2箇所が交わって形成されるものを指し、3箇所以上が交わるものは含まない。図3(a)の例では、4つの閉領域R2~R5と3つの交点C1~C3とを有する準備図形Eが表示され、その周囲に周囲領域R1が描かれている。すなわち、この例では、合計5つの領域R1~R5が設定されている。ここでは、各領域R1~R5を便宜的に第1~第5閉領域と称することとする。また、交点C1~C3も便宜的に第1~第3交点と称することとする。さらに、線Fが上記交点で区切られる線分も規定し、図3(a)に示す線分F1~F6を便宜的に第1~第6線分と称することとする。例えば、第1交点C1と第2交点C2とを結ぶ線分は、第6線分F6である。なお、図3(a)は、準備図形の一例であり、一筆書きであることと、及び上述した交点の規定を満たす限り、交点の数を増やすなど、どのような形状の図形であってもよい。

【0020】
上記のような準備図形を設定した後、図3(b)に示すように、ゲーム図形Aを設定する。なお、図3(b)では、準備図形Eの符号を省略しているため、図3(a)の符号を適宜参照して説明する。まず、図3(b)に示すように、各閉領域内に、連結点と称する点を一つずつ配置する。この例では、各閉領域R1~R5内に連結点X1~X5が配置されており、それぞれ第1~第5連結点X1~X5と称することとする。続いて、上記のように設定した連結点を連結線と称する線で結ぶ。連結線は、2つの連結点の間に一つだけ線分が存在する場合に、この線分に一回だけ交差することで形成される。例えば、第3連結点X3と第4連結点X4との間には、第6線分F6が存在し、この第6線分F6に一回だけ交差することで、第3連結点X3と第4連結点X4とを連結することができるため、ここに連結線B3を配置する。一方、第1連結点X1と第5連結点X5との間には、複数の線分が存在し、いずれかの線分に一回だけ交差して両連結点X1,X5を連結できるような連結線を設けることはできない。したがって、第1連結点X1と第5連結点X5との間に連結線は設けない。以上のような規則の下、図3(a)に示す準備図形では、6本の連結線を設けることができ、これらを便宜上、第1~第6連結線B1~B6と称することとする。なお、ここでは、準備図形Eに基づいてゲーム図形Aを作成しているが、ゲーム図形Aは、準備図形Eの平面上の「双対グラフ」と呼ばれ、「双対グラフ」は数学における概念として公知である。

【0021】
以上のように設定されたゲーム図形Aは、図2に示すように、ゲーム面20に配置される。この例では、ゲーム図形Aには、6つの連結線によって囲まれる2つの閉じた領域Z2,Z3が形成されており、ゲーム面20全体では、周囲領域Z1と合わせて、3つの領域が形成される。ここでは、便宜上、これら3つの領域を第1~第3ゲーム領域Z1~Z3と称することとする。

【0022】
ゲームは、以下のように行われる。図2は初期状態の一例であるが、第1及び第2ゲーム領域Z1,Z2が灰色で表示され、第3ゲーム領域Z3が白色に表示されている。ゲームのルールとしては、最終的には、すべてのゲーム領域を灰色にすることを目的とするのであるが、初期状態では、少なくとも一つのゲーム領域が白色で表示されていればよく、或いは、すべてのゲーム領域が白色に表示されていてもよい。これは、後述するように、ゲーム装置がランダムに設定することもできるし、プレイヤーが選択することもできる。この例のように、ゲーム領域の数が3である場合には、2-1、つまり,各交点が2種類の表示が可能であるので、2の3乗、そして、ここからすべてのゲーム領域が灰色であるパターンを引いて、合計7通りの初期状態を作成することができる。

【0023】
図2の初期表示が表示されると、プレイヤーは、5つの連結点X1~X5の中からいずれか一つの連結点を選択する。例えば、マウス17によってディスプレイ15上のポインタを選択すべき連結点に移動し、その連結点上でクリックする。このとき、ゲームのルールとして、ある連結点を選択すると、選択した連結点に接しているすべてのゲーム領域の状態を変化させることとする。例えば、図2に示すように、第4連結点X4に接しているゲーム領域が、第1ゲーム領域Z1、第2ゲーム領域Z2、第3ゲーム領域Z3であり、第1及び第2ゲーム領域Z1が灰色、第3ゲーム領域Z3が白色である場合、プレイヤーが第4連結点X4を選択すると、第1及び第2ゲーム領域Z1,Z2が白色、第3ゲーム領域Z3が灰色に変化する。図4は、初期状態から第4連結点X4を選択した後のゲーム面20の状態を示している。こうして、連結点の選択を続けていき、すべてのゲーム領域の色が灰色に変化すると、ゲームが終了しプレイヤーの勝ちになる。例えば、初期状態が図2のゲーム面20においては、第4連結点X4を選択すれば、図4のようにゲーム領域の色が変化し、さらに、ここから第3連結点X3を選択すると、図5のようにゲーム領域が変化する。すなわち、図4に示すように、第3連結点X3には、第1及び第2ゲーム領域Z1,Z2が接しているため、第3連結点X3を選択すると、これらの領域Z1,Z2は白色から灰色に変化し、図5のようになる。このとき、第3連結点X3は、第3ゲーム領域Z3には接触していないので、この領域の色は変化しない。こうして、図5に示すように、すべてのゲーム領域Z1~Z3の色が灰色になると、ゲームが終了する。なお、ここでは、領域が白色であることが本発明の第1の状態であり、灰色であることが本発明の第2の状態である。

【0024】
このゲームは、結び目理論と呼ばれる数学理論に基づいており、ゲーム領域及び連結点の数がいくつになったとしても必ず解答方法があることが確認されている。結び目理論については、例えば、「レクチャー結び目理論」(河内明夫、2007年6月共立出版)に詳しく記載されている。

【0025】
次に、図1に示す制御ユニット11においてゲームプログラムを実行することにより実現される制御ユニットの各機能ブロックについて説明する。本実施形態においては、基本的に、ゲーム面設定部111、領域設定部112、領域変更部113、及び終了判定部114の4つの機能ブロックを有している。ゲーム面設定部111は、上述したゲーム面20を設定するものであり、ゲームプログラム、又はゲーム用データ内にある複数のゲーム面からプレイヤーにより選択されたゲーム面を、プレイ用のゲーム面として設定する。上述した例では、5つの連結点、3つのゲーム領域のゲーム図形を有するゲーム面を設定したが、これ以外のゲーム面をデータとして準備しておくこともできる。例えば、図6に示すように、ゲーム領域の数が4のゲーム図形(a)、ゲーム領域の数が5のゲーム図形(b)を有するゲーム面を準備しておくこともできる。図6における点線で示されている図形Eは、実線で示された各ゲーム図形Aの元になった準備図面である。なお、図6(a)において、連結点X,連結線Bは、ゲーム領域を構成する連結点や連結線とはなっていないが、ゲーム図形Aを作成する上で、このような連結点や連結線が生成されていても何ら問題はない。但し、ゲームを行う上では、邪魔になる可能性があるので、これら連結点、連結線を表示しないようにすることもできる。また、プレイヤーにゲーム面を選択させるほか、ゲーム面設定部111が、複数のゲーム面の中から任意のゲーム面をランダムに選択することもできる。

【0026】
領域設定部112は、ゲーム面設定部111により設定されたゲーム面のゲーム領域の色を設定するものである。具体的には、初期状態におけるゲーム領域の色の設定を行うものであるが、少なくとも一つのゲーム領域が白色となるように、ゲーム領域の色を設定する。図2の図形であれば、図7に示すように、7通りのパターンを生成することができるが、領域設定部112では、7通りの領域パターンからランダムに一つのパターンを選択してもよいし、プレイヤーに選択させることもできる。

【0027】
領域変更部113は、プレイヤーがマウスを介していずれかの連結点X1~X5を選択したときに、上述したルールに従って、その連結点に接するゲーム領域の色を変更するものである。また、終了判定部114は、領域変更部113によってゲーム領域の色が変更されたときに、すべてのゲーム領域が灰色になっているか否かを判定するものであり、すべてのゲーム領域が灰色になっていれば、ゲームの終了を通知する。具体的には、例えば、「終了」との文字を表示画面に表示させたり、ゲーム面の色を変化させてゲームが終了したことを通知する。一方、すべてのゲーム領域が灰色になっていない場合には、ゲームは終了せず、プレイヤーによる連結点の選択が続行される。

【0028】
次に、ゲーム装置の動作について、図8のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、ゲーム装置は、プレイヤーによってゲームプログラムが起動されることにより、ゲーム処理を開始する(S1)。これにより、ゲーム面設定部111は、表示制御部14を介して、例えば図9に示すように、ゲーム面を選択させる画面をディスプレイ15に表示させる。この画面が表示されると、プレイヤーは、いずれかのゲーム面をマウスによって選択する(S2)。すなわち、マウス17のポインタをいずれかのゲーム面のアイコン31~33上でクリックする。これにより、ゲーム面設定部111は、プレイするゲーム面を設定する。続いて、選択されたゲーム面に基づいて、図10に示すように、領域パターンの選択のための画面が表示される。この画面が表示されると、プレイヤーは、1~7の数字の中から一つをマウスによって選択する(S3)。すなわち、マウス17のポインタをいずれかの数字のアイコン上でクリックする。1~7の数字は、図7に示す領域パターンのいずれかに対応している。これにより、領域設定部112は、選択された数字に対応する領域パターンのゲーム面をディスプレイに表示する(S4)。

【0029】
こうして、例えば、図2に示すようなゲーム面がディスプレイに表示される。続いて、プレイヤーは、いずれかの連結点を選択する。つまり、マウス17のポインタをいずれかの連結点上でクリックする(S5)。そして、いずれかの連結点が選択されると、領域変更部113は、選択された連結点に接するすべてのゲーム領域の色を変化させる(S6)。ゲーム領域の色が変化されると、終了判定部114は、すべてのゲーム領域の色が灰色になったか否かを判定する(S7)。このとき、すべてのゲーム領域が灰色に変化していなければ(S7のNO)、S5に戻って連結点の選択が続行される。一方、すべての連結点が灰色に変化していれば(S7のYES)、終了判定部114は、例えば、図10に示すように、ゲーム面20の背景の色を変化させ、ゲームの終了を報知する。これと同時にディスプレイ15には、「ゲーム面の選択」、及び「ゲームの終了」のアイコン41,42が表示される。そして、プレイヤーが「ゲーム面の選択」のアイコンをクリックすれば(S9のYES)、S2に戻ってゲーム面の選択画面が表示される。一方、「ゲームの終了」のアイコンをクリックすれば(S9のNO)、ゲームは終了する。なお、「ゲーム面の選択」のアイコンをクリックしたときに、S3に戻ってもよい。すなわち、同じ図形で、領域パターンを変更したゲーム面でゲームを行えるようにしてもよい。

【0030】
以上のように、本実施形態によれば、数学上の結び目理論によって必ず解が存在することが証明されているため、必ず解答があり、直感的な操作が可能なゲームを提供することができる。したがって、教育訓練や認知機能のリハビリに有効である。また、ゲーム性を向上するために、ゲーム終了までの時間や、ゲーム終了までの連結点の選択回数を記録することもできる。

【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、上記ゲーム装置は、パーソナルコンピュータを利用して実現されたが、ゲーム専用機、携帯電話、スマートフォンなど、上述したゲームプログラムを実行可能な他の情報処理装置においても実行可能である。また、上記実施形態では、マウスによりゲーム面の選択や連結点の選択を行っていたが、ディスプレイの表面に、静電容量式、抵抗膜式などの公知のタッチスイッチを配置したタッチパネルを用いることもできる。これにより、プレイヤーは、連結点を直接指でタッチして選択することができ、より直感的にゲームを行うことができる。このほか、タッチペンなどで選択を行うこともできるが、少なくとも連結点の選択ができるのであれば、入力手段は特には限定されない。

【0032】
また、表示手段もディスプレイに限定されず、上述したゲーム面が表示されるものであれば特には限定されない。例えば、シート、壁、床などの表面にゲーム面を表示し、各連結点にセンサを配置しておけば、手、足などで連結点の選択が可能となる。そして、ゲーム領域には、その状態の変化が確認できるようにランプなどの表示部材を設置しておけばよい。こうすることで、手が不自由な人であっても、足で連結点の選択を行うことができる。したがって、老人、身体障害者などもゲームを行うことができ、リハビリとして利用することができる。また、目が不自由な人が利用できるように、ゲーム領域の状態を視覚以外で確認できるようにすることもできる。例えば、ゲーム領域の状態を音声の変化、触覚で確認できるように形状の変化などで行うこともできる。また、連結点についても、手足で触れるなどして形状を触覚で確認できるように凹凸を設けるなどして構成することもできる。

【0033】
本発明で用いられるゲーム面は、上述したものに限定されず、種々の変更が可能である。上述したように、準備図形は、一筆書きにより一本の線で表された閉じた図形であり、一つの線が横断的に交わった複数の交点、及びその線で囲まれた複数の閉領域を有する、という規則に基づくものであれば、特には限定されない。図3及び図6に示した例では、3,4,及び6交点の図形を示したが、これ以外の交点の数であってもよく、交点の数がいくつであってもよい。また、線により形成される閉領域の形状も特には限定されない。そして、ゲーム図形は、上記のような準備図形に基づいて作成される双対グラフであればよく、こうして作成されたゲーム図形を用いたゲームでは、結び目理論により必ず解がある。なお、上記例では、ゲーム図形の周囲の周囲領域の外形は矩形状に形成されているが、ゲーム図形を囲む形状であれば、特には限定されない。

【0034】
上記実施形態では、ゲーム領域の状態を色で表示してこれを変化させていたが、ゲーム領域の状態は、これに限定されるものではない。色の変更のほか、図形、キャラクターの形状を変更させたり、これらを表示させたり、消去したりなど、種々の態様が可能である。すなわち、ゲーム領域の状態の変化を確認できるものであれば、特には限定されない。

【0035】
上記実施形態では、ゲーム面(図形)の選択、領域パターンの選択をすべてプレイヤーに行わせているが、このうちの少なくとも一つをゲーム装置側で自動的に行うこともできる。すなわち、ゲームプログラムが起動したときに、自動的にゲーム面を選択して表示したり、あるいは領域パターンが決定したゲーム面を直接ディスプレイに表示することもできる。

【0036】
また、ゲーム装置が自動で選択する場合の表示についても、種々の方法がある。例えば、ゲーム面を表示させ、その後に、領域パターンの一つを表示させてもよいし、領域パターンが決まったゲーム面を表示させてもよい。また、ゲーム面設定部111は、ストレージなどに予め複数のゲーム面を記憶させておいてもよいが、上述した規則に基づいて、ゲームを始める都度、ゲーム面を生成することもできる。さらに、プレイヤーが上記規則に基づいて、タッチペンなどで任意に図形を作成し、これを読み込んでゲーム面を設定することもできる。

【0037】
また、本発明において用いられるゲーム図形は、一筆書きの一本の線で形成され、且つ複数の交点が存在する準備図形に基づいて作成されるが、結び目理論によれば、すべての連結点を使わず、1つの連結点を選択できないようしてもゲームを解くことができる。したがって、例えば、図2に示すゲーム図形の場合には、5つの連結点のうち、少なくとも4つの連結点を選択できるようにしておけば、必ずゲームを解くことができる。そのため、ゲーム面20においては、初期設定でいずれか一つの連結点を表示しないようにしておくこともできる。

【0038】
ゲーム面をディスプレイに表示する際に、周囲領域を含むすべての部分を表示してよいが、その他の表示方法もある。例えば、図12(a)は、図形Aと、その周囲をすべて囲む周囲領域R1とをゲーム面20と表示している。これに対して、図12(b)は、図12(a)に示すゲーム面20から点線部分50が切り取られた状態を示している。つまり、ゲーム図形Aのゲーム領域Z3の一部が切り取られ、それに合わせて周囲領域Z1も切り取られた残りの部分がディスプレイに表示される。このような表示であっても、ゲーム領域Z3は選択可能であり、また周囲領域Z1も分断されず、一つの領域として存在しているので、ゲームをすることは可能である。したがって、ディスプレイに表示する際に、図12(a)のようにゲーム図形及び周囲領域のすべてを表示する意外に、図12(b)のように一部のみを表示してもよい。但し、ゲーム面20の一部を表示する際には、「二以上のゲーム領域が一部しか表示されず且つ周囲領域が分断された」、状態にならないようにしなければならない。

【0039】
ゲーム領域の状態を3以上にする場合には、次のようにすることもできる。例えば、ゲーム領域の状態がA,B,Cの3つの状態となるとき、Aをゴールの状態とし、その他の状態からAへ変化するように交点を設定する。例えば、連結点を選択するごとに、B→A→C→A→B→A→C→Aのように、B,Cの状態のときから連結点を選択すると、必ずAに変化するようにし、Aの状態から連結点を選択すると、BまたはCに変化するようにする。Aの状態から連結点を選択したときには、上記のように、B,Cの状態へ規則的に変化してもよいし、ランダムに変化してもよい。もちろん、A以外の状態をゴールにすることもできるし、ゲーム領域の状態を4以上にすることもできる。また、ゴールとするゲーム領域の状態は、プレイヤー自身が選択してもよいし、予め選択されていてもよい。さらには、ゲームの途中で変更することもできる。また、ゴールのルールについても、一つの状態にする以外に、複数の状態にすることもできる(例えば、Aが1つ以上、A,Bが一つずつなど)。なお、ゲーム領域の状態を一つの状態にすることをゴールとする場合には、結び目理論により必ずゲームを終了することができる。
【符号の説明】
【0040】
111 ゲーム面設定部(ゲーム面設定手段)
112 領域設定部(領域設定手段)
113 領域変更部(領域変更手段)
114 終了判定部(終了判定手段)
15 ディスプレイ(表示手段)
17 マウス(入力手段)
20 ゲーム面
A ゲーム図形
B 連結線
C1~C3 交点
E 準備図形
R1 基本領域
R2~R5 閉領域
Z1 ゲーム領域(周囲領域)
Z2~Z5 ゲーム領域(内部領域)
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図6】
2
【図8】
3
【図9】
4
【図10】
5
【図2】
6
【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図11】
10
【図12】
11