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明細書 :時間-脈管内圧制御に基づく細胞内薬物送達システム及び細胞内薬物送達方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5922864号 (P5922864)
公開番号 特開2012-000198 (P2012-000198A)
登録日 平成28年4月22日(2016.4.22)
発行日 平成28年5月24日(2016.5.24)
公開日 平成24年1月5日(2012.1.5)
発明の名称または考案の名称 時間-脈管内圧制御に基づく細胞内薬物送達システム及び細胞内薬物送達方法
国際特許分類 A61M   5/168       (2006.01)
FI A61M 5/168 500
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2010-136490 (P2010-136490)
出願日 平成22年6月15日(2010.6.15)
審判番号 不服 2015-001877(P2015-001877/J1)
審査請求日 平成25年5月9日(2013.5.9)
審判請求日 平成27年1月30日(2015.1.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
発明者または考案者 【氏名】須田 剛士
【氏名】上村 顕也
【氏名】尾田 雅文
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
参考文献・文献 特表10-511864(JP,A)
特開2003-290343(JP,A)
特表2006-501177(JP,A)
特開平7-231879(JP,A)
特開2000-333913(JP,A)
特開2000-116786(JP,A)
特開2001-346767(JP,A)
特開2005-291945(JP,A)
特開2009-226012(JP,A)
調査した分野 A61M 5/168
特許請求の範囲 【請求項1】
対象臓器に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するための細胞内薬物送達システムであって、カテーテルと、このカテーテルの基部に接続し溶液を送り出すための送液手段と、この送液手段の動作を制御するための制御手段と、脈管内圧を検出するための内圧検出手段とを備え、前記内圧検出手段が前記カテーテルの先端部近傍に配置され、前記制御手段は、前記内圧検出手段により検出された脈管内圧に基づいて、注入開始後0~12.5秒において予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように前記送液手段の動作を制御するように構成されたことを特徴とする細胞内薬物送達システム。
【請求項2】
対象臓器(ヒトのものを除く)に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するために、カテーテルと、このカテーテルの基部に接続し溶液を送り出すための送液手段と、この送液手段の動作を制御するための制御手段と、脈管内圧を検出するための内圧検出手段とを備え、前記内圧検出手段が前記カテーテルの先端部近傍に配置された細胞内薬物送達システムの動作による、時間-脈管内圧制御に基づく細胞内薬物送達方法であって、前記制御手段は、前記内圧検出手段により検出された脈管内圧に基づいて、注入開始後0~12.5秒において予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように前記送液手段の動作を制御することを特徴とする細胞内薬物送達方法。
【請求項3】
対象臓器(ヒトのものを除く)に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するために、カテーテルと、このカテーテルの基部に接続し溶液を送り出すための送液手段と、この送液手段の動作を制御するための制御手段と、脈管内圧を検出するための内圧検出手段とを備え、前記内圧検出手段が前記カテーテルの先端部近傍に配置された細胞内薬物送達システムの動作方法であって、前記制御手段は、前記内圧検出手段により検出された脈管内圧に基づいて、注入開始後0~12.5秒において予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように前記送液手段の動作を制御することを特徴とする細胞内薬物送達システムの動作方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトを含む動物の細胞内に薬物を送達するためのシステム及びそのシステムを用いた細胞内薬物送達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近開発されたハイドロダイナミック遺伝子導入法は、核酸単体を含む溶液を血管内に注入することでDNAやRNAなどを効率よく肝実質細胞内に送達することを可能とした。ハイドロダイナミック遺伝子導入法は、一定溶液量を一定時間で注入することにより惹起される脈管内圧の上昇に基づく遺伝子導入方法として開発されたため、脈管内圧の静圧を制御することにより対象とする細胞内へ効果的に核酸を送達する方法として研究が進められた。その成果として、例えば、特許文献1、2には、脈管内圧の静圧の制御に基づいて遺伝子やポリヌクレオチドを送達することが開示されている。
【0003】
しかし、一定溶液量を一定時間で注入することにより脈管内圧の上昇を惹起させる方法は、注入溶液に対して注入対象が閉鎖系となる全身的な送達様式においては再現性を示すが、全身的な様式では循環不全が必発であり時に生命が脅かされるため、全身的な送達様式をヒトを含めた大動物に応用することはできない。一方、局所的な送達様式によってハイドロダイナミック遺伝子導入を達成しようとする場合、注入溶液に対して注入対象が開放系となるため再現性を担保することができず、実用化できないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するための送達法として、非特許文献1には、コンピュータ制御を用いたハイドロダイナミック遺伝子導入法が開示されている。この方法は、所定の圧力に調整された二酸化炭素のガス圧により溶液を押し出すとともに、脈管内圧が所定の圧力に維持されるように、検出された脈管内圧に基づいてバルブの開閉を制御するものである。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表2002-512985号公報
【特許文献2】特表2006-501177号公報<nplcit num="1"> <text>Suda,T, Suda,K and Liu,D. Computer-assisted Hydrodynamic Gene Delivery. Mol Ther 2008; 16: 1098-1104.</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハイドロダイナミック遺伝子導入法を大動物において用いる場合、その送達様式は局所的な方法に限定され、一定溶液量を一定時間で注入する方法では一定の導入効率が担保されない。ハイドロダイナミック遺伝子導入法の効率を規定する因子は脈管内圧の静圧ではなく時間-脈管内圧変化であり、好ましい時間-脈管内圧変化は対象動物や対象臓器によって異なる。一定溶液量を一定時間で注入する方法では、一定の時間-脈管内圧変化を局所に再現することができず、また所定の圧力に調整されたガス圧を利用した制御では、任意の時間-脈管内圧曲線を描くように脈管内圧を制御するのは不可能であった。
【0007】
本発明は、脈管内圧を時間軸に沿ってリアルタイムに制御することを可能とするシステムを用い、時間-脈管内圧制御に基づく細胞内薬物送達法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の細胞内薬物送達システムは、対象臓器に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するための細胞内薬物送達システムであって、カテーテルと、このカテーテルの基部に接続し溶液を送り出すための送液手段と、この送液手段の動作を制御するための制御手段と、脈管内圧を検出するための内圧検出手段とを備え、前記内圧検出手段が前記カテーテルの先端部近傍に配置され、前記制御手段は、前記内圧検出手段により検出された脈管内圧に基づいて、注入開始後0~12.5秒において予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように前記送液手段の動作を制御するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の細胞内薬物送達システムを用いた薬物送達方法は、対象臓器(ヒトのものを除く)に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するために、カテーテルと、このカテーテルの基部に接続し溶液を送り出すための送液手段と、この送液手段の動作を制御するための制御手段と、脈管内圧を検出するための内圧検出手段とを備え、前記内圧検出手段が前記カテーテルの先端部近傍に配置された細胞内薬物送達システムの動作による、時間-脈管内圧制御に基づく細胞内薬物送達方法であって、前記制御手段は、前記内圧検出手段により検出された脈管内圧に基づいて、注入開始後0~12.5秒において予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように前記送液手段の動作を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の細胞内薬物送達システムの動作方法は、対象臓器(ヒトのものを除く)に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するために、カテーテルと、このカテーテルの基部に接続し溶液を送り出すための送液手段と、この送液手段の動作を制御するための制御手段と、脈管内圧を検出するための内圧検出手段とを備え、前記内圧検出手段が前記カテーテルの先端部近傍に配置された細胞内薬物送達システムの動作方法であって、前記制御手段は、前記内圧検出手段により検出された脈管内圧に基づいて、注入開始後0~12.5秒において予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように前記送液手段の動作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の細胞内薬物送達システムは、内圧検出手段がカテーテルの先端部近傍に配置され、内圧検出手段により検出された脈管内圧に基づいて、注入開始後0~12.5秒において予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように送液手段の動作を制御するように構成されたので、従来の送達方法が脈管内圧の静圧を制御するのに対して、脈管内圧を時間軸に沿ってリアルタイムに制御することができる。このことにより、注入溶液に対して開放系となる局所的な送達様式においても細胞内薬物送達の安全性と再現性を担保することで、ハイドロダイナミック遺伝子導入法の原理をヒトを含めた大動物へ応用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における細胞内薬物送達システムの構成を示す全体図である。
【図2】実施例2における時間-脈管内圧曲線である。
【図3】実施例3におけるラットの肝臓組織の写真である。
【図4】実施例4における時間-脈管内圧曲線と遺伝子導入効率である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の細胞内薬物送達システムは、対象臓器に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するための細胞内薬物送達システムである。ここで、薬物とは、治療や診断などを目的として生体内に持ち込まれる物質全般のことをいい、特定の物質に限定されない。例えば、化学薬品のような薬物の他に、遺伝子に代表されるようなDNAやRNAなどの核酸、さらには赤血球や血小板程度のサイズの構造体も含まれる。

【0014】
以下、本発明の細胞内薬物送達システムの実施例について、添付した図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
本実施例の細胞内薬物送達システムの全体構成を図1に示す。なお、図1は、ターゲットとなる対象臓器をラットAの肝臓aとし、一時的なクランプc、dで肝臓aから出入りする血管を閉塞して、肝臓の所属脈管である下大静脈bから薬物を注入する場合を示している。
【実施例1】
【0016】
図1において、1は下大静脈bに留置されたカテーテルである。このカテーテル1の基部には、薬物を含む溶液を収容する耐圧シリンジ2が接続している。そして、耐圧シリンジ2に収容された溶液は、送液手段としての電動アクチュエーター3の動作により押し出されて、カテーテル1を経由して下大静脈bへ送り出されるようになっている。電動アクチュエーター3は、電源4、制御回路5を経由して、制御手段としてのコンピュータ6に電気的に接続しており、コンピュータ6からの指令に基づいて動作するようになっている。
【実施例1】
【0017】
一方、カテーテル1の先端部近傍には、脈管内圧を検出するための内圧検出手段としての圧検出器7が配置されている。圧検出器7は、カテーテル1を通じて下大静脈b内に挿入され、アンプ8、制御回路5を経由して、コンピュータ6に電気的に接続している。圧検出器7により検出された脈管内圧は、コンピュータ6へ送られるようになっている。なお、圧検出器7は所属脈管から薬物を含む溶液を収容する耐圧シリンジまでのいずれの部位に配置されても良いが、所属脈管以外の場合には、所属脈管から圧検出器までの間の圧力損失を考慮する必要がある。
【実施例1】
【0018】
コンピュータ6には、圧検出器により検出された脈管内圧に基づいて、予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように、制御回路5、電源4を介して電動アクチュエーター3の動作を制御するためのプログラムがインストールされている。
【実施例1】
【0019】
つぎに、本実施例の細胞内薬物送達システムの動作方法について説明する。
【実施例1】
【0020】
コンピュータ6は、キーボードやマウスからの入力に基づき、電動アクチュエーター3を始動させるための指令を制御回路5に向けて発する。制御回路5はその指令に基づいて、電動アクチュエーター3を始動させるための電圧を電源4から出力させる。そして、電源4から出力された電圧によって電動アクチュエーター3が始動し、耐圧シリンジ2内の液体が押し出される。耐圧シリンジ2内の液体は、カテーテル1を経由して下大静脈b内に注入される。圧検出器7により検出された下大静脈bの脈管内圧の検出信号は、アンプ8で増幅され、制御回路5を経由して、リアルタイムにコンピュータ6へ送られる。そして、コンピュータ6は、脈管内圧を常にモニターする。
【実施例1】
【0021】
コンピュータ6は、予め設定された時間-脈管内圧曲線に基づくその時点での脈管内圧(以下、設定内圧という。)と、圧検出器7により検出されたその時点での脈管内圧(以下、検出内圧という。)とをリアルタイムに比較する。検出内圧が設定内圧を下回っているときは、コンピュータ6は制御回路5に指令を出し、電動アクチュエーター3の動作を速くする。或いは、電動アクチュエーター3が停止していたときは、電動アクチュエーター3を動作させる。一方、検出内圧が設定内圧を上回っているときは、コンピュータ6は制御回路5に指令を出し、電動アクチュエーター3の動作を遅くするか停止させる。
【実施例1】
【0022】
このように、コンピュータ6は、予め設定された時間-脈管内圧曲線と、実際の時間-脈管内圧曲線が重なるように、リアルタイムに電動アクチュエーター3の動作を制御する。すなわち、コンピュータ6は、溶液の注入に伴い生じる脈管内圧の変化を常時モニターすることで、予め設定された時間-脈管内圧曲線を再現するように電動アクチュエーター3を制御し、注入を完了する。
【実施例1】
【0023】
以上のように、本実施例の細胞内薬物送達システムは、対象臓器に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するための細胞内薬物送達システムであって、溶液を送り出すための送液手段としての電動アクチュエーター3と、この電動アクチュエーター3の動作を制御するための制御手段としてのコンピュータ6と、脈管内圧を検出するための内圧検出手段としての圧検出器7とを備え、コンピュータ6は、圧検出器7により検出された脈管内圧に基づいて、予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように電動アクチュエーター3の動作を制御するように構成されたものである。
【実施例1】
【0024】
また、本実施例の細胞内薬物送達方法は、対象臓器に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するために、溶液を送り出すための電動アクチュエーター3と、この電動アクチュエーター3の動作を制御するためのコンピュータ6と、脈管内圧を検出するための圧検出器7とを備えた細胞内薬物送達システムの動作による、時間-脈管内圧制御に基づく細胞内薬物送達方法であって、コンピュータ6は、圧検出器7により検出された脈管内圧に基づいて、予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように電動アクチュエーター3の動作を制御するものである。
【実施例1】
【0025】
また、本実施例の細胞内薬物送達システムの動作方法は、対象臓器に所属する脈管に薬物を含む溶液を注入して脈管内圧を増加させ、時間-脈管内圧変化を制御することにより、対象臓器の細胞内に薬物を送達するために、溶液を送り出すための電動アクチュエーター3と、この電動アクチュエーター3の動作を制御するためのコンピュータ6と、脈管内圧を検出するための圧検出器7とを備えた細胞内薬物送達システムの動作方法であって、コンピュータ6は、圧検出器7により検出された脈管内圧に基づいて、予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように電動アクチュエーター3の動作を制御するものである。
【実施例1】
【0026】
本実施例の細胞内薬物送達システムは、圧検出器7により検出された脈管内圧に基づいて、予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように電動アクチュエーター3の動作を制御するように構成されたので、マウスなどの小動物で開発されたハイドロダイナミック遺伝子導入法を、ヒトを含めた大動物へ応用する際に必要となる、安全性と薬剤導入効率の再現性を担保することができる。具体的には、従来の送達方法が脈管内圧の静圧を制御するのに対して、脈管内圧を時間軸に沿ってリアルタイムに制御することができる。このことにより、注入溶液に対して開放系となる局所的な送達様式においても細胞内薬物送達の安全性と再現性を担保することで、ハイドロダイナミック遺伝子導入法の原理をヒトを含めた大動物へ応用することが可能となり、遺伝子治療などの様々な分野へ活用されるものと期待される。
【実施例1】
【0027】
なお、本発明は本実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、本実施例では、制御手段としてコンピュータ6を用いているが、コンピュータ6を使用せずに、目標とする脈管内圧力と現状値の比較並びに電動アクチュエーター3の制御を、制御回路5で行うように構成してもよい。また、電源4は、モーターコントローラー或いはこれと同等の装置で構成してもよい。
【実施例2】
【0028】
実施例1の細胞内薬物送達システムを用いて、体重199gのラットの肝臓にプラスミド(pCMV-Luc)を5μg/ml含む生理食塩水溶液を注入した。電動アクチュエーターは、津川製作所製のものを用いた。
【実施例2】
【0029】
12.5秒かけて脈管内圧が2次曲線を描くように緩やかに上昇して30mmHg又は40mmHgに達したときに注入が完了するように、時間-脈管内圧曲線を図2の破線のようにそれぞれ設定した。実際の注入における時間-脈管内圧曲線は、図2の実線のとおりであり、いずれの場合も設定した0~12.5秒において、予め設定された時間-脈管内圧曲線を描くように制御できることが確認された。
【実施例3】
【0030】
ハイドロダイナミック遺伝子導入法の原理を用いて、様々な物質をラットの肝臓に注入した。図3のAはエバンスブルー蛍光色素、BはFITC結合アルブミン、Cはベータガラクトシダーゼ遺伝子を注入した後のラットの肝臓組織の写真である。様々な物質を肝臓の細胞内に直接送達することができることが確認された。
【実施例4】
【0031】
体重約20gのマウスの肝臓を対象として、実施例1の電動アクチュエーターの代わりに手動で様々な時間-脈管内圧曲線を描いてルシフェラーゼ遺伝子を導入し、その活性を調べた。その結果を図4に示す。時間-脈管内圧曲線の形状によって、ルシフェラーゼ活性が大きく異なっており、時間-脈管内圧の制御が遺伝子導入効率に重大な影響を及ぼすことが確認された。
【符号の説明】
【0032】
3 電動アクチュエーター(送液手段)
6 コンピュータ(制御手段)
7 圧検出器(内圧検出手段)
図面
【図2】
0
【図4】
1
【図1】
2
【図3】
3