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明細書 :免疫賦活剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5704749号 (P5704749)
公開番号 特開2012-121872 (P2012-121872A)
登録日 平成27年3月6日(2015.3.6)
発行日 平成27年4月22日(2015.4.22)
公開日 平成24年6月28日(2012.6.28)
発明の名称または考案の名称 免疫賦活剤
国際特許分類 A61K  31/575       (2006.01)
A61P  37/04        (2006.01)
C07J  73/00        (2006.01)
FI A61K 31/575
A61P 37/04
C07J 73/00
請求項の数または発明の数 6
全頁数 20
出願番号 特願2010-276017 (P2010-276017)
出願日 平成22年12月10日(2010.12.10)
審査請求日 平成25年12月9日(2013.12.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503359821
【氏名又は名称】独立行政法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】小川 健司
【氏名】中野 雄司
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100111741、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 夏夫
審査官 【審査官】▲高▼岡 裕美
参考文献・文献 特開2009-046443(JP,A)
特開2008-273866(JP,A)
Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology,108 (2008),164-170
調査した分野 A61K 31/00-31/80
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の一般式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する免疫賦活剤。
【化1】
JP0005704749B2_000014t.gif

(式中、
R1は水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、
R2~R5はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の低級アルキル基若しくは低級アシル基を表し、
Xは-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CO-CH2-、-CO-(CH2)2-、-CO-(CH2)3-、-CH2-CO-CH2-、-CO-O-CH2-、-CO-O-(CH2)2-、-O-CO-CH2-、-O-CO-(CH2)2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-(CH2)2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-O-(CH2)3-、-NHY-CO-CH2-、-NHYCO-(CH2)2-、-CO-NHY-CH2-又は-CO-NHY-(CH2)2-を表す。
ここで、Yは水素原子又は低級アルキル基を表す。)
【請求項2】
R1が1,2-ジメチルプロピル基である、請求項1に記載の免疫賦活剤。
【請求項3】
R2~R5が水素原子である、請求項1又は2に記載の免疫賦活剤。
【請求項4】
Xが-CO-O-CH2-である、請求項1~3のいずれか一項に記載の免疫賦活剤。
【請求項5】
以下の式(II)で示される化合物である、請求項4に記載の免疫賦活剤。
【化2】
JP0005704749B2_000015t.gif

【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の免疫賦活剤を有効成分として含有する医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシノステロイドを有効成分として含む免疫賦活剤、及びそれを含む医薬組成物及び飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫賦活剤は、宿主の免疫を活性化することにより、感染症等に対する宿主の予防及び/又は治療効果を増強する作用を有する。例えば、宿主におけるサイトカインの産生を促進することで、自然免疫系を強化し、或いは、貪食および抗原提示能を促進することで、獲得免疫系を強化することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
従来、免疫賦活剤としては、BCGに代表される細菌の構成成分若しくは死菌又は特許文献1~5に記載のもの等が知られている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平5-213765号公報
【特許文献2】特開2006-104068号公報
【特許文献3】特開2009-114122号公報
【特許文献4】特開2009-149523号公報
【特許文献5】特開2010-235544号公報
【0005】

【非特許文献1】Janeway CA, Jr. et al., 2005, Immunobiology. 6th ed., GarlandScience
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、安全性が高く、長期にわたって投与可能な免疫賦活剤、並びにそれを有効成分として含有する医薬組成物及び免疫賦活用飲食品を開発し、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために野菜や果物をはじめとするあらゆる植物に普遍的に存在する化合物の中から上記免疫賦活化作用を有する物質の探索を行った。その結果、ブラシノステロイドが微量で動物の免疫賦活化作用を有することを見出した。
【0008】
ブラシノステロイドとは、植物の発生、葉緑体制御、種子形成などに重要な役割を果たす植物に特有の生理活性物質である(Azpiroz R. et al., 1988, Plant Cell, 10:219-230; Clouse S. & Sasse J., 1998, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol.,49: 427-45; Mandava N., 1988, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol., 39:23-52; Sakurai A. et al., 1999, Brassinosteroids, Steroidal Plant Hormones, Tokyo: Springer)。ステロイド骨格を有することから、植物ホルモンとも呼ばれるが、水酸基に富む構造的特徴から動物のステロイドホルモンとは異なる物性を示す。
【0009】
植物由来の化合物には、ダイズにおけるイソフラボンのように、立体構造上の類似性からステロイドホルモン受容体に結合してその作用を模倣する物質が知られている。イソフラボンは、健康増進に効果があることが広く知られているが、妊婦などが大量に摂取すると流産等の副作用を生じる可能性も報告されている(食品安全委員会、2006年5月「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」)。一方、ブラシノステロイドは、ステロイドホルモン受容体を活性化しないことから、このような副作用が生じない。また、生薬成分のようにヒトに対して有効な効果を有する植物由来の化合物のほとんどは、通常、植物生理学的には二次代謝化合物であり、植物の生長サイクルには全く重要な役割を果たしていないが、ブラシノステロイドは、植物においても植物生長サイクルに重要な役割を担う生理活性物質であり、あらゆる植物に普遍的に存在する(高橋信孝、増田芳雄編、植物ホルモンハンドブック「ブラシノステロイド」(培風館)1994年P.203-240)。それ故、ヒトが日常的に摂取する野菜等にも含まれており、摂取による副作用はないか、又は極めて小さいと考えられており、人体に対する安全性が非常に高い物質である。本発明は、上記新規知見に基づき、当該ブラシノステロイドを免疫賦活剤として利用するものであり、以下を提供する。
【0010】
(1)以下の一般式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する免疫賦活剤。
【化1】
JP0005704749B2_000002t.gif
(式中、
R1は水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、
R2~R5はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の低級アルキル基若しくは低級アシル基を表し、
Xは-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4、-CO-CH2-、-CO-(CH2)2-、-CO-(CH2)3-、-CH2-CO-CH2-、-CO-O-CH2-、-CO-O-(CH2)2-、-O-CO-CH2-、-O-CO-(CH2)2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-(CH2)2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-O-(CH2)3-、-NHY-CO-CH2-、-NHYCO-(CH2)2-、-CO-NHY-CH2-又は-CO-NHY-(CH2)2-を表す。
ここで、Yは水素原子又は低級アルキル基を表す。)
【0011】
(2)R1が1,2-ジメチルプロピル基である、(1)に記載の免疫賦活剤。
(3)R2~R5が水素原子である、(1)又は(2)に記載の免疫賦活剤。
(4)Xが-CO-O-CH2-である、(1)~(3)のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【0012】
(5)以下の式(II)で示される化合物である、(4)に記載の免疫賦活剤。
【化2】
JP0005704749B2_000003t.gif

【0013】
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の免疫賦活剤を有効成分として含有する医薬組成物。
(7)(1)~(5)のいずれかに記載の免疫賦活剤を有効成分として含有する免疫賦活用飲食品。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安全性が高く、長期にわたって投与可能な免疫賦活剤、及びそれを有効成分として含有する医薬組成物及び免疫賦活用飲食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ブラシノライド(BL)によるマウス脾臓細胞(T細胞及びB細胞)の細胞増殖活性を示す。
【図2】ブラシノライド(BL)による卵白アルブミン(OVA)抗原刺激に対する抗体産生の活性化を示す。
【図3】マクロファージにおけるインターフェロンαの遺伝子発現に対するブラシノライド(BL)の効果を示す。
【図4】マクロファージにおけるインターフェロンβの遺伝子発現に対するブラシノライド(BL)の効果を示す。
【図5】マクロファージにおけるIL-12サブユニットp35の遺伝子発現に対するブラシノライド(BL)の効果を示す。
【図6】マクロファージにおけるIL-12サブユニットp40の遺伝子発現に対するブラシノライド(BL)の効果を示す。
【図7】マクロファージにおけるTNF-αの遺伝子発現に対するブラシノライド(BL)の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.免疫賦活剤
本発明の第1の実施形態は、免疫賦活剤である。
本発明で「免疫賦活剤」とは、動物生体内における免疫作用を活性化する薬剤をいう。免疫は、マクロファージ、好中球及びNK細胞等を介した非特異的防御である自然免疫系とT細胞及びB細胞を介した特定の対象のみに有効な特異的防御である獲得免疫系に大別できるが、本発明の免疫賦活剤は、自然免疫系及び獲得免疫系のいずれも活性化することができる。

【0017】
本発明の免疫賦活剤は、以下で述べる一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を、有効成分として少なくとも1種含有することを特徴とする。

【0018】
1-1.一般式(I)で表される化合物
本発明の免疫賦活剤の有効成分である以下の一般式(I)で表される化合物は、ブラシノステロイドである。前述したように、「ブラシノステロイド」(Brassinosteroid:以下、「BR」とする)は、植物生体内で生合成され、植物の成長調節、光形態形成、維管束形成制御、葉緑体機能調節、種子形成等に関与する生理活性物質である。ただし、本発明のBRは、以下の一般式(I)で表される構造を有するものであれば、植物生体内で生合成され、植物から抽出される植物由来のBRに限定されず、化学合成されたものであっても構わない。

【0019】
【化3】
JP0005704749B2_000004t.gif

【0020】
上記一般式(I)において、R1は水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表す。ここで、炭素数3~6の場合には、炭素鎖は直鎖状、又は分枝状のいずれであってもよい。炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2-メチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基又は1-エチル-2-メチルプロピル基が該当する。好ましくは、1,2-ジメチルプロピル基である。

【0021】
「置換基を有する若しくは無置換の」とは、R1を構成する炭素数1~6のアルキル基及び/又は後述するR2~R5を構成する低級アルキル基若しくは低級アシル基が、置換基で置換されてもよいし、又は置換されていなくてもよいことをいう。ここでいう「置換基」には、ハロゲン、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、アミド基、N-低級アルキルアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルバモイル基、硫酸基又は亜硫酸基等が挙げられる。好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はシアノ基である。上記置換基の数は、化合物あたり1個若しくは複数個、例えば、1~4個、1~3個、又は1若しくは2個である。

【0022】
また、R2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有する若しくは無置換の低級アルキル基若しくは低級アシル基を表す。

【0023】
本明細書において、「低級アルキル基」とは、炭素数1~4個の直鎖状又は炭素数3~4個の分枝状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。

【0024】
本明細書において、「低級アシル基」とは、炭素数1~6個の直鎖状又は炭素数3~4個の分枝状のアシル基であり、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、n-ブチリル基、イソブチリル基、sec-ブチリル基、tert-ブチリル基等が挙げられる。

【0025】
「ハロゲン」は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)又はヨウ素原子(I)である。

【0026】
本明細書において、「低級アルケニル基」とは、炭素数2~8個、好ましくは2~4個の直鎖状又は分岐状のアルケニル基である。具体的にはエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘプテニル基、ヘプタジエニル基、オクテニル基、オクタジエニル基又はこれらの異性体等が含まれる。

【0027】
本明細書において、「低級アルキニル基」とは、炭素数2~8個、好ましくは2~4個の直鎖状又は分岐状のアルキニル基である。具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ブタジイニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘプチニル基、ヘプタジイニル基、オクチニル基又はオクタジイニル基等が含まれる。

【0028】
本明細書において、「低級アルコキシ基」とは、炭素数1~6個、好ましくは1~4個の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基である。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基又はイソヘキシルオキシ基等が含まれる。

【0029】
本明細書において、「低級アルキルアミノ基」とは、アミノ基に上記の低級アルキル基が1つ又は2つ置換して形成される基である。
本発明において、R2~R5は、水素原子であることが好ましい。

【0030】
さらに、上記一般式(I)のXは、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4、-CO-CH2-、-CO-(CH2)2-、-CO-(CH2)3-、-CH2-CO-CH2-、-CO-O-CH2-、-CO-O-(CH2)2-、-O-CO-CH2-、-O-CO-(CH2)2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-(CH2)2-、-O-CH2-、-O-(CH2)2-、-O-(CH2)3-、-NHY-CO-CH2-、-NHYCO-(CH2)2-、-CO-NHY-CH2-又は-CO-NHY-(CH2)2-を表す。ここで、Yは、水素原子又は低級アルキル基を表す。

【0031】
本発明において、Xは、-CO-CH2-又は-CO-O-CH2-であることが好ましい。より好ましくは、-CO-O-CH2-である。

【0032】
本発明の免疫賦活剤に含まれる有効成分として特に好ましいBRは、植物生体内で生合成される以下の式(II)で示されるブラシノライド(Brassinolide:以下「BL」とする)である。

【0033】
【化4】
JP0005704749B2_000005t.gif

【0034】
さらに、上記BLの他に、本発明の免疫賦活剤に含まれる有効成分として好ましいBRには、例えば、以下の式(III)で示されるカスタステロン(Castasterone)、式(IV)で示されるイソブラシノライド(iso-Brassinolide)、式(V)で示される6a-カルバブラシノライド(6a-carba-Brassinolide)、式(VI)で示される5-エピカルバブラシノライド(5-epi-carba-Brassinolide)、式(VII)で示されるイソカルバブラシノライド(iso-carba-Brassinolide)、式(VIII)で示されるホモカルバホモブラシノライド(homo-carba-homo-Brassinolide)、及び(IX)で示される6-デオキソメチレンカスタステロン(6-deoxo-metylene-Castasterone)等の化合物が挙げられる。

【0035】
【化5】
JP0005704749B2_000006t.gif

【0036】
【化6】
JP0005704749B2_000007t.gif

【0037】
【化7】
JP0005704749B2_000008t.gif

【0038】
【化8】
JP0005704749B2_000009t.gif

【0039】
【化9】
JP0005704749B2_000010t.gif

【0040】
【化10】
JP0005704749B2_000011t.gif

【0041】
【化11】
JP0005704749B2_000012t.gif

【0042】
本発明の免疫賦活剤は、単一のBRだけではなく、二種類以上のBRを包含することもできる。例えば、上記BLとカスタステロンとの混合物が挙げられる。

【0043】
1-2.薬学的に許容される塩
「薬学的に許容される塩」とは、一般式(I)で示される化合物の塩、すなわちBRの塩であって、BRの特定の置換基(例えば、ヒドロキシル基)に基づいて、塩基又は酸を用いて調製された薬学的に非毒性の活性化合物の塩をいう。使用した塩基又は酸により塩基性付加塩と酸付加塩とに分類できる。

【0044】
「塩基性付加塩」としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ブロカイン塩等の脂肪族アミン塩、N,N-ジベンジルエチレンジアミン等のアラルキルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等の複素環芳香族アミン塩、アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。

【0045】
「酸付加塩」としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩、メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸等が挙げられる。

【0046】
1-3.効果
本実施形態の免疫賦活剤は、有効成分であるBRが食品として利用されるトマト等の野菜をはじめとするほとんど全ての植物に含まれることから、人体等に対する安全性が高い。また、後述する実施例で示すように低濃度でも免疫賦活作用を発揮し得る。したがって、本実施形態によれば、微量で副作用のない又は極めて小さい免疫賦活作用を有する免疫賦活剤を提供できる。

【0047】
2.医薬組成物
本発明の第2の実施形態は、医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、生体内の免疫を賦活化するため医薬であって、免疫作用の増強により疾患の予防及び/又は治療を目的とするものである。本発明の医薬組成物は、前記第1の実施形態の免疫賦活剤を有効成分として含有することを特徴とする。

【0048】
本明細書において「予防」とは疾患の罹患を防ぐことをいう。「治療」とは、罹患した疾患及び/又はそれに伴う症状を緩和又は除去することをいう。

【0049】
2-1.構成
本発明の医薬用組成物は、前記第1の実施形態の免疫賦活剤の有する免疫賦活作用を阻害又は抑制しない範囲で、製薬上許容可能な担体、及び/又は同一の若しくは異なる薬理効果を有する薬剤、例えば、胃腸薬等を含むことができる。

【0050】
2-1-1.製薬上許容可能な担体
「製薬上許容可能な担体」とは、例えば、製薬上許容される、賦形剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、乳化剤、流動添加調節剤又は潤滑沢剤をいう。

【0051】
賦形剤としては、例えば、単糖、二糖類、シクロデキストリン及び多糖類のような糖(具体的には、限定はしないが、グルコース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストリン、マルトデキストリン、デンプン及びセルロースを含む)、金属塩(例えば、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、クエン酸、酒石酸、グリシン、低、中、高分子量のポリエチレングリコール(PEG)、プルロニック、或いはそれらの組み合わせが挙げられる。

【0052】
結合剤としては、例えば、トウモロコシ、コムギ、コメ、若しくはジャガイモのデンプンを用いたデンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン等が挙げられる。

【0053】
崩壊剤としては、例えば、前記デンプンや、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、アルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウム又はそれらの塩が挙げられる。

【0054】
充填剤としては、例えば、前記糖及び/又はリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウム、若しくはリン酸水素カルシウム)が挙げられる。

【0055】
乳化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。

【0056】
流動添加調節剤及び滑沢剤としては、例えば、ケイ酸塩、タルク、ステアリン酸塩又はポリエチレングリコールが挙げられる。

【0057】
このような担体は、医薬組成物の製剤化を容易にし、またそれに含有される本発明の免疫賦活剤としての薬剤効果を維持するために用いられるものであり、必要に応じて適宜使用すればよい。本発明の医薬組成物は、上記の添加剤の他、必要に応じて矯味矯臭剤、溶解補助剤(可溶化剤)、懸濁剤、希釈剤、界面活性剤、安定剤、吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等)、増量剤、付湿剤、保湿剤(例えば、グリセリン、澱粉等)、吸着剤(例えば、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等)、崩壊抑制剤(例えば、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等)、コーティング剤、着色剤、保存剤、抗酸化剤、香料、風味剤、甘味剤、緩衝剤等を含むこともできる。

【0058】
2-1-2.プロドラッグ
本発明の医薬組成物は、有効成分である前記第1の実施形態の免疫賦活剤に含まれるBR又はその薬学的に許容される塩を、プロドラッグの形態で包含することもできる。「プロドラッグ」とは、生理学的条件下で容易に化学変化を受け、その結果として目的の薬理作用を有する活性形態を提供する化合物である。例えば、投与前は、BRとは異なる構造の化合物として医薬組成物中に存在し、投与後、例えば、消化管内で消化酵素の作用によってBR又はその活性型に変換される化合物をいう。或いは、ex vivo環境で化学的又は生化学的方法によってBR又はその活性型に変換される化合物も含み得る。

【0059】
2-1-3.免疫賦活剤の含有量
本発明の医薬組成物に含まれる前記第1の実施形態の免疫賦活剤の含有量は、使用する免疫賦活剤の種類及び/又はその有効量、医薬組成物の剤形(形態、大きさを含む)、並びに添加する担体の種類によって異なり、それぞれの条件において適宜選択される。

【0060】
含有量の一例としては、本発明の医薬組成物を固形剤として調製する場合であれば、1錠重量に対して前記実施形態1の免疫賦活剤を0.00001重量%~50重量%、好ましくは0.00001重量%~30重量%、より好ましくは0.00001重量%~20重量%含有していればよい。具体的には、例えば、1錠200mgの錠剤を製造する場合、BRを1錠あたり通常2μg~100mg含んでいればよい。これ以外にも薬学的に許容可能な担体として、上記添加剤を当該分野で公知の含有率で含むことができる。

【0061】
ただし、固形剤の場合、免疫賦活剤の有効量は剤数によって調整することが可能であるため、必ずしも1錠中に有効量を含有させる必要はなく、一投与単位中に、すなわち、複数の錠剤等を服用する場合、1回の服用単位中に総計で免疫賦活剤が有効量含有されていればよい。

【0062】
ここで「有効量」とは、本明細書においては、BR又はその薬学的に許容される塩が有効成分としての機能を発揮する上で必要な量、すなわち、本発明では免疫賦活剤が免疫賦活作用を生体に付与する上で必要な量であって、かつそれを投与する患者に対して有害な副作用をほとんど又は全く付与しない量をいう。この有効量は、被検体の情報及び投与経路等の様々な条件によって変化し得る。

【0063】
「被検体の情報」とは、全身の健康状態、病気の進行度や重症度、年齢、体重、性別、食生活、薬剤感受性、併用医薬の有無及び治療に対する耐性等を含む。上記の免疫賦活剤の最終的な有効量、及びそれに基づいて算出される投与量は、個々の被検体(ヒトであれば患者)の情報等に応じて、最終的には医師又は獣医師の判断によって決定される。

【0064】
含有量の他の例として、本発明の医薬組成物を注射剤として調製する場合には、一投与単位の注射剤中に含有される上記免疫賦活剤は、通常0.1%(w/v)~30%(w/v)、好ましくは0.1%(w/v)~20%(w/v)、より好ましくは0.1%(w/v)~10%(w/v)である。具体的には、例えば、1回2mLの注射剤を製造する場合、BRを通常2μg~600μg含むことができる。

【0065】
2-1-4.医薬組成物の剤形
本発明の医薬組成物の剤形は、投与方法及び/又は処方条件によって異なる。投与方法は、通常、経口投与又は非経口投与に大別することができる。これについては後述する。

【0066】
経口投与に適した剤形としては、例えば、固形剤(錠剤、丸剤、舌下剤、カプセル剤、ドロップ剤、トローチ剤を含む)、顆粒剤、粉剤、散剤、液剤等を挙げることができる。さらに固形剤は、必要に応じ、当該分野で公知の剤皮を施した剤形、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠とすることができる。

【0067】
非経口投与は、組織内投与、局所投与、経直腸的投与にさらに細分され、本発明の医薬組成物も、それぞれの投与方法に適した剤形にすることができる。組織内投与に適した剤形としては、例えば、液剤である注射剤が挙げられる。局所投与に適した剤形としては、例えば、液剤(塗布剤、点眼剤、点鼻剤、吸引剤を含む)、懸濁剤(乳剤、クリーム剤を含む)、粉剤(点鼻剤、吸引剤を含む)、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、硬膏剤等を挙げることができる。経直腸的投与に適した剤形としては、例えば、坐剤等を挙げることができる。

【0068】
BRは低分子であり、腸管吸収性が高いことから、本発明の医薬組成物は、侵襲性が低く、投与が容易な経口投与に適した剤形であることが好ましい。

【0069】
なお、上記各剤形の具体的な形状、大きさについては、いずれもそれぞれの剤形において当該分野で公知の剤形の範囲内にあればよく、特に限定はしない。

【0070】
2-2.医薬組成物の製造
本発明の医薬組成物を製剤化するには、原則として当該分野で公知の方法を利用することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Merck Publishing Co.,Easton,Pa.)に記載の方法を用いればよい。

【0071】
例えば、注射剤は、薬学的に許容可能な溶媒に溶解した前記第1の実施形態の免疫賦活剤を用いて当該分野で慣用されている方法により製造することができる。

【0072】
薬学的に許容可能な溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらは、殺菌されていることが望ましく、必要に応じて血液と等張に調整されていることが好ましい。

【0073】
2-3.医薬組成物の投与方法
本発明の医薬組成物の投与方法は、当該分野で周知の投与単位形態で投与することができる。投与単位形態には、例えば、経口投与、組織内投与(例えば、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与等)、局所投与(例えば、経皮投与等)又は経直腸的投与等が挙げられる。本発明の医薬組成物は、これらの投与単位形態のいずれを使用してもよい。ただし、上記のようにBRは低分子であり、腸管吸収性が高いことから、侵襲性が低く、投与が容易な経口投与であることが好ましい。

【0074】
一方、本発明の医薬組成物を組織内投与する場合に好ましい投与方法は、注射である。
注射の場合、注入部位は特に限定しない。例えば、静脈内、動脈内、肝臓内、筋肉内、関節内、骨髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、皮内、腹腔内、鼻腔内、腸内、舌下等が挙げられる。好ましくは、静脈内注射、動脈内注射等の血管内への注射である。血流を介して本発明の有効成分である免疫賦活剤を直ちに全身に行き渡らせることが可能であり、また侵襲性が比較的低く、被検体に与える負担が小さいからである。

【0075】
本発明の医薬組成物を投与する場合、前述のように、一投与単位中に免疫賦活作用が発揮され得る有効量が含有されていることが好ましい。

【0076】
具体的な投与量の一例として、例えば、他の医薬の併用を必要としないヒト成人に経口投与する場合、一日当たりの免疫賦活剤の有効量は、通常0.1~1000mg/kg体重、好ましくは1~100mg/kg体重の範囲である。患者の状態又は投与経路等に応じて、上記範囲未満又は上記範囲を超える用量を投与することもできる。免疫賦活効果を得る上で、上記医薬組成物の大量投与が必要な場合、被検体に対する負担軽減のために数回に分割して投与することもできる。

【0077】
3.免疫賦活用飲食品
本発明の第3の実施形態は、免疫賦活用飲食品である。本発明の免疫賦活用飲食品は、摂取した動物の免疫作用を賦活化するための飲食品であって、前記第1の実施形態の免疫賦活剤を有効成分として有効量包含することを特徴とする。

【0078】
3-1.構成
本発明の「免疫賦活用飲食品」は、飲食によって免疫作用を賦活化させることを目的とする飲食品である。ここでいう「飲食品」とは、ヒトが摂取する飲料、食物及び/又は健康食品のみならず、家畜(養魚を含む)、競走馬、愛玩動物又は鑑賞動物等に給餌される飼料、餌料又は食餌(ペットフード等)を含む。

【0079】
これらの飲食品の形態は、特に制限されない。例えば、製剤形態、加工食品や各種飲料とすることができる。

【0080】
3-1-1.製剤形態としての免疫賦活用飲食品
本発明の「免疫賦活用飲食品」を、免疫賦活用飲食品組成物として、健康食品、機能性食品又は特定保健用食品のような製剤形態とする場合、前記第2の実施形態の医薬組成物に準じた構成にすることができる。例えば、製薬上許容可能な担体に代えて、食品上許容可能な担体を包含してもよい。ここでいう「食品上許容可能な担体」とは、例えば、日本の食品衛生法で規定された食品添加物等が挙げられる。また、免疫賦活用飲食品中の免疫賦活剤の含有量も第2の実施形態の医薬組成物に準じた含有量でよい。さらに、剤形も第2の実施形態の医薬組成物に準じた剤形、例えば、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤とすることができる。

【0081】
3-1-2.加工食品としての免疫賦活用飲食品
本発明の「免疫賦活用飲食品」を加工食品とする場合、公知の加工食品に第1の実施形態の免疫賦活剤を有効量添加すればよい。加工食品には、例えば、パン類、麺類、スプレッド類(バター、マーガリン、ジャム、ふりかけ、ドレッシング、マヨネーズ等を含む)、パスタ、味噌、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープ又はソース類、菓子(例えばビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)等が挙げられる。また、飼料、餌料や食餌も同様に公知の飼料、餌料や食餌に第1の実施形態の免疫賦活剤を有効量添加すればよい。

【0082】
本発明の「免疫賦活用飲食品」を飲料とする場合、公知の飲料に、同様に第1実施形態の免疫賦活剤を有効量添加すればよい。飲料には、例えば、緑茶、ウーロン茶や紅茶等の茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、精製水等の飲料が挙げられる。

【0083】
飲食品に添加する第1の実施形態の免疫賦活剤を有効量も第2の実施形態の医薬組成物に準じた量を添加すればよい。免疫賦活用飲食品における第1の実施形態の含有量は、その形態により異なるが、乾燥質量を基準として、通常は0.001~80質量%、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは1~50質量%の範囲である。上述した成人1日当たりの摂取量を飲食できるように、1日当たりの摂取量が管理できる形状にするのが好ましい。

【0084】
3-2.免疫賦活用飲食品の製造
免疫賦活用飲食品の製造は、基本的にはその形態の製造方法に準じて、適当な工程で第1の実施形態の免疫賦活剤を添加することで達成できる。例えば、製剤形態の飲食品は、第2の実施形態の医薬組成物と同様の方法で製造すればよい。投与形態も、経口投与であれば、原則として第2の実施形態の医薬組成物に準じればよい。また、加工食品や各種飲料等もそれらの公知の製造方法に準じて行えばよい。免疫賦活用飲食品の製造にあたっては、各種食品の製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、各種油脂を常法に従って添加することができる。また、通常食されている食品、例えば、米に本発明の剤を配合することもできる。

【0085】
3-3.効果
本発明の飲食品は、第1の実施形態の免疫賦活剤を有効成分として含有することから、安全性が高く、経口摂取により、長期間にわたって日常的な継続的に摂取することが可能である。日常的な摂取により個体の免疫系を賦活化することで、感染性疾患をはじめとする様々な疾患の予防及び/又は改善をすることができる。
【実施例】
【0086】
<実施例1:抗原刺激によるB細胞の増殖に対するBLの効果>
抗原刺激による脾臓細胞の増殖に与えるBLの影響を検証した。
(材料及び方法)
10g卵白アルブミン(Sigma社)と4mg水酸化アルミニウム(Pierce社)の混合液(0.2mL)をBALB/cマウス(雌、8~12週齢)に腹腔内投与し、2週間後に脾臓を採取した。脾臓から細胞を単離し、10%ウシ胎仔血清(Cansera International社)及び5×10-5M β-メルカプトエタノール(和光純薬社)、20U/mLペニシリン(明治製菓社)、100μg/mLストレプトマイシン(明治製菓社)を含むRPMI-1640培地中で、5%CO2存在下37℃で培養した。BL(ブラシノ社)を10nMの濃度で添加した細胞及び非添加の細胞を、それぞれ抗原(10g/mL卵白アルブミン)で刺激して3日間培養し、脾臓細胞増殖の指標としてBrdUの取り込みを細胞増殖ELISA BrdU発色キット(Roche社)を用いて測定した。
【実施例】
【0087】
(結果)
結果を図1に示す。抗原刺激によって誘導された脾臓細胞の増殖が10nMという微量のBLの添加によって有意に促進された。通常、脾臓細胞は、約50%がB細胞で、また約40%がT細胞で構成される。したがって、BLは、獲得免疫系に寄与するB細胞及びT細胞の増殖を活性化すること、すなわちBLが免疫賦活作用を有することが立証された。
【実施例】
【0088】
<実施例2:マウスの抗体産生に対するBLの効果>
(材料及び方法)
BALB/cマウス(雌、8~12週齢)に10g卵白アルブミン(Sigma社)と4mg水酸化アルミニウム(Pierce社)の混合液(0.2mL)を腹腔内投与し、0.2mLのPBSに溶解したBL(0、0.2、1、及び5mg/Kg体重)を1日おきに腹腔内投与した。2週間後に血清を分離し、抗原(卵白アルブミン)特異的な免疫グロブリン(IgG)の産生をELISAで測定した。ELISAには、二次抗体としてビオチン化抗マウスIgG抗体(Southern Biotechnology社)、ストレプトアビジン-HRP(Prozyme社)、発色剤としてTMB Microwell Peroxidase Substrate(Kirkegaard & Perry Laboratories社)を用い、吸光度450nmを測定した。
【実施例】
【0089】
(結果)
図2に結果を示す。卵白アルブミン及び水酸化アルミニウム刺激によって誘導された抗原特異的抗体産生がBLの添加によって量依存的に有意に促進された。
【実施例】
【0090】
<実施例3:自然免疫応答に対するBLの効果>
自然免疫応答に対するBLの影響を検証した。
(材料及び方法)
BALB/cマウス(雌、8~12週齢)に3%チオグリコレート培地(Difco社)3mLを腹腔内投与し、3日後に腹腔内細胞を採取、10%ウシ胎仔血清(Cansera International社)及び5×10-5M β-メルカプトエタノール(和光純薬社)、20U/mLペニシリン(明治製菓社)、100μg/mLストレプトマイシン(明治製菓社)を含むRPMI-1640培地中で、5%CO2存在下37℃で培養した。1×106/mLの腹腔内細胞を6ウェルプレート(2mL/ウェル)で3時間培養後、非付着細胞を除去し、付着細胞をマクロファージとして実験に供した。マクロファージは、BL 10nMの存在下又は非存在下で15分間培養した後、100ng/mLのR848(Invivogen社)又はLPS(Sigma社)で刺激し、1時間後にRneasy Mini Kit(QIAGEN社)を用いてRNAを採取した。単離したRNA1gからPrimescript RT reagent kit(Takara社)を用いて、添付のプロトコルに従ってcDNAを合成し、Thermal Cycler Dice Real Time System II(Takara社)を用いてリアルタイムPCRを行い、サイトカイン(IFN-α、IFN-β、IL-12サブユニットp35、IL-12サブユニットp40、TNF-α)のmRNA発現の変化を検討した。リアルタイムPCRに用いたサイトカインの特異的プライマーは、表1に示す通りである。
【実施例】
【0091】
【表1】
JP0005704749B2_000013t.gif
(結果)
結果を図3~7に示す。図3はIFN-αの、図4はIFN-βの、図5はIL-12のサブユニットp35の、図6はIL-12のサブユニットp40の、そして図7はTNF-αのmRNA量を示す。なお、各図におけるmRNA量は、ハウスキーピング遺伝子であるHPRTのmRNA量との相対量で示している。
【実施例】
【0092】
図3~7からも明らかなように、BLは、10nMという低濃度で、R848刺激により誘導されたTLR-7の活性化によるIFN-α及びIFN-βのmRNA発現誘導を、またLPS刺激により誘導されたTLR-4の活性化によるIL-12 p35、IL-12 p40及びTNF-αのmRNA発現誘導を、増強することが判明した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6